JP2010007836A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】目的とする防振性能が安定して確保されつつ、キャビテーションによる異音や振動の抑制効果が効果的に発揮され得る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供する。
【解決手段】受圧室60と平衡室62の連通口42を塞ぐように配設された閉塞ゴム弾性板66の外周縁部において、仕切部材30に重ね合わせ状態に保持される当接保持部74を周上で複数設けると共に、閉塞ゴム弾性板66の各当接保持部74の周方向間において受圧室60と平衡室62の圧力差に基づいて弾性変形して仕切部材30からの離隔により連通口42を開口させる弾性変形領域76を形成し、更に、弾性変形領域76の弾性特性を非線形としてその変形量の増大に伴って弾性特性を非線形的に一層硬くする非線形化手段を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用に基づく防振効果を利用する流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体や防振支持体等の防振装置の一種として、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結した防振装置があり、かかる防振装置の発展型として流体封入式防振装置が知られている。この流体封入式防振装置は、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成された受圧室と壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室を形成して、両室に非圧縮性流体を封入すると共に、両室をオリフィス通路を通じて相互に連通させた構造とされている。このような構造によれば、受圧室に振動が入力されて、受圧室と平衡室の間の圧力差によりオリフィス通路を通じて流動する流体の共振作用等の流動作用によって防振効果が発揮され得る。かくの如き流体封入式防振装置は、例えば、自動車用のエンジンマウントやボデーマウント、デフマウント、サスペンションメンバマウントの他、サスペンションブッシュ等への適用が検討されている。
ところで、自動車用のエンジンマウント等では、複数の周波数域の振動に対してそれぞれ防振効果が要求される。そこで、一般に、オリフィス通路をエンジンシェイク等の低周波大振幅振動にチューニングすると共に、走行こもり音等の高周波小振幅振動に対しては受圧室の圧力変動を吸収する可動膜を設ける等して対応している。
加えて、自動車用エンジンマウント等においては、近年、過大な振動荷重や衝撃荷重の入力時に振動や異音の発生が問題視されている。これは、主として、受圧室に過大な負圧が発生することに伴うキャビテーション気泡が原因と考えられる。即ち、大振幅の振動が入力されて受圧室が過大な負圧状態になると、受圧室の流体中に溶存していた空気が液相分離をし、キャビテーション気泡を形成する。そして、かかる気泡の崩壊に伴う水撃圧が第一の取付部材や第二の取付部材に伝播して、自動車ボデー等の振動伝達系を構成する部材に伝達されることによって、問題となる異音や振動が生じるものと考えられる。
かかる問題に対処するために、本出願人は、先に特許文献1(特願2007−311749号)において、受圧室と平衡室を仕切る仕切部材に両室を連通する連通路を設けると共に、連通路に対して受圧室側から重ね合わせて連通路を閉塞する閉塞ゴム弾性板を配設して、連通路の連通、遮断制御手段を構成した新規な構造を提案した。過大な振動荷重や衝撃荷重の入力時に急激な圧力低下が受圧室に発生した際、閉塞ゴム弾性板が弾性変形して仕切部材から離隔することで連通路が連通状態となり、受圧室と平衡室が短絡することによって、受圧室の負圧発生が回避され得る。また、この閉塞ゴム弾性板は、連通路を遮断した状態下での弾性変形により受圧室の圧力変動の吸収機能を発揮することで、高周波小振幅振動に対する防振効果も発揮し得る。
ここで、本発明者は、特許文献1に記載の流体封入式防振装置について、更なる検討を重ねたところ、未だ改良の余地があることを想到した。即ち、かかる特許文献1に記載の連通、遮断制御手段では、エンジンシェイク等の振動入力時、連通路を覆蓋する閉塞ゴム弾性板はその表裏両面に及ぼされる圧力差に基づいて弾性変形し、この弾性変形に伴って受圧室の圧力が吸収される。そのため、オリフィス通路を通じての流体流動量が低下してしまい、オリフィス通路による低周波大振幅振動に対する防振効果が充分に発揮され難くなるおそれを有していた。
なお、これに対処するために、閉塞ゴム弾性板の変形剛性を大きくすることも考えられるが、それでは、走行こもり音等の高周波小振幅振動の入力時に受圧室の圧力変動が軽減されなくなり、高周波小振幅振動に対する防振性能が低下してしまう問題が発生する。
要するに、特許文献1に開示された流体封入式防振装置では、(i)オリフィス通路による低周波大振幅振動に対する防振効果と、(ii)閉塞ゴム弾性板の弾性変形による高周波小振幅振動に対する防振効果とを両立して達成すると共に、(iii)過大な振動入力に伴う受圧室の圧力変動に起因する衝撃や異音の発生を抑えることに関して、その要求を未だ充分に満足し得ない場合があったのである。
特願2007−311749号
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、(i)オリフィス通路による低周波大振幅振動に対する防振効果を充分に確保しつつ、(ii)高周波小振幅振動に対する防振効果の向上と、(iii)過大な振動入力時における衝撃や異音の抑制効果とを、一層効果的に達成せしめ得る、先願(特許文献1)よりも更に改良された構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様及び技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明の特徴とするところは、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成された受圧室と壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室とを形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、前記受圧室と前記平衡室を仕切る仕切部材に対してそれら受圧室と平衡室を連通する連通口を形成すると共に、該連通口に対して該受圧室側から重ね合わされて該連通口を閉塞する閉塞ゴム弾性板を配設して該閉塞ゴム弾性板の一方の面に該受圧室の圧力が及ぼされ且つ他方の面に該連通口を通じて該平衡室の圧力が及ぼされるようにする一方、該閉塞ゴム弾性板の外周縁部において該仕切部材に対する重ね合わせ状態に保持される当接保持部を周上で複数設けると共に、該閉塞ゴム弾性板における周方向で隣り合う該当接保持部の周方向間において該受圧室と該平衡室の圧力差に基づいて弾性変形せしめられて該仕切部材から離隔することにより該連通口を開口させる弾性変形領域を形成し、更に、該閉塞ゴム弾性板の該弾性変形領域における弾性特性を非線形として該弾性変形領域における弾性変形量の増大に伴って弾性特性を非線形的に一層硬くする非線形化手段を設けた流体封入式防振装置にある。
このような本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、閉塞ゴム弾性板の弾性変形領域における弾性変形量の増大に伴って弾性特性が非線形的に一層硬くなる非線形化手段が設けられている。ここでいう非線形とは、弾性変形領域の変形量の増大に対するばね定数の増大が比例関係よりも大きく変化することである。その変化態様は特に限定されるものでなく、ある変化量から急激に折れ線状に変化する他、二次元や多次元の関数状に変化したり、複数段の段階的に変化したりする態様を含む。
従って、閉塞ゴム弾性板の表裏両面に及ぼされる圧力差の変動が小さい小振幅振動の入力時には、閉塞ゴム弾性板の比較的に柔らかいばね特性によって、弾性変形領域が比較的に容易に弾性変形する。これにより、閉塞ゴム弾性板の弾性変形作用に基づいて受圧室の圧力吸収効果が発揮されて、高周波小振幅振動に対する防振効果が効果的に発揮され得るのである。また、場合によっては、閉塞ゴム弾性板が仕切部材から離隔して連通路が開口することとなり、それによる受圧室と平衡室の短絡作用に基づいても、同様な効果が発揮される。
一方、閉塞ゴム弾性板の表裏両面に及ぼされる圧力差の変動が大きな、オリフィス通路のチューニング周波数域の低周波大振幅振動の入力時には、閉塞ゴム弾性板の弾性変形領域のばね特性が非線形的に急に硬くなる領域まで変形が大きくなって、それ以上の弾性変形やかかる弾性変形に伴う連通路の開口が抑制される。その結果、受圧室における連通口を通じての圧力漏れが抑えられて、受圧室の圧力変動が効果的に生じることとなり、オリフィス通路を通じての流体流動量が充分に確保されて、オリフィス通路の流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が効果的に発揮され得る。
また、過大な若しくは衝撃的な振動荷重が入力されて、受圧室の圧力が著しく低下すると、閉塞ゴム弾性板の弾性変形領域における非線形的に硬くされたばね特性であっても、閉塞ゴム弾性板を変形させるに充分な圧力が弾性変形領域に及ぼされることとなる。その結果、弾性変形領域の全体に大きな弾性変形が生じて、連通口が大きく開口し、受圧室と平衡室が短絡する。これにより、受圧室における過大な負圧の発生が回避乃至は速やかに解消されて、キャビテーションに起因すると考えられる異音や振動の発生が防止され得る。
それ故、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置では、上述の(i)オリフィス通路による低周波大振幅振動に対する防振効果の確保や、(ii)高周波小振幅振動に対する防振効果の向上や、(iii)過大な振動入力時における衝撃や異音の抑制効果が、何れも効果的に達成され得るのである。
また、本発明の流体封入式防振装置では、前記閉塞ゴム弾性板の中央部分に中央取付部が一体形成されており、この中央取付部が前記仕切部材に対して固定状態で取り付けられている一方、該中央取付部から外周側に向かって放射状に延びるスポーク状保持部が設けられていると共に、該スポーク状保持部の先端部分から周方向に延びるようにして前記当接保持部が設けられている態様が、採用されても良い。かかる態様によれば、中央取付部の仕切部材への固定力が、複数のスポーク状保持部を介して各当接保持部に対して当接保持力として伝達されることとなり、閉塞ゴム弾性板の外周縁部の仕切部材に対する当接状態が効果的に保持され得る。
また、本発明の流体封入式防振装置では、前記当接保持部が厚肉ゴム部によって構成されていると共に、該厚肉ゴム部を挟んで前記仕切部材と反対側に押圧保持部材が設けられて、該厚肉ゴム部が該押圧保持部材で該仕切部材に対して押し付けられて弾性的に挟圧保持されており、更に該厚肉ゴム部の周方向間に位置する前記弾性変形領域が該厚肉ゴム部よりも薄肉とされており、且つ該弾性変形領域の厚さ寸法が周方向両側の該厚肉ゴム部から周方向中央部分に向かって次第に又は段階的に小さくなるように変化していることにより、前記非線形化手段が構成されている態様が、採用されても良い。
また、本発明の流体封入式防振装置では、前記閉塞ゴム弾性板の外周縁部にはゴム弾性体よりも硬質の補強部材が固着されて該補強部材により前記当接保持部が構成されていると共に、該当接保持部の周方向間に位置する前記弾性変形領域は該補強部材が固着されておらず変形容易とされている一方、該補強部材が該当接保持部から該弾性変形領域に向けて周方向で延び出して該当接保持部よりも低剛性の延出保持部とされており、該延出保持部によって該弾性変形領域の周方向両側の弾性特性が周方向中央部分よりも硬くされていることにより、前記非線形化手段が構成されている態様が、採用されても良い。
これら前記二つの態様では、閉塞ゴム弾性板の弾性変形領域において、周方向中央部分に柔らかいばね特性領域が形成されると共に、それとは相対的に硬いばね特性領域が周方向両側に形成されることとなる。
また、本発明の流体封入式防振装置では、前記閉塞ゴム弾性板における前記弾性変形領域を前記受圧室側から離隔して覆う受圧室側カバー部材が設けられていると共に、該弾性変形領域と該受圧室側カバー部材の対向面には、一方から他方に向かって突出して先端部が該他方に対して所定距離を隔てて対向する対向当接突部が設けられており、該弾性変形領域が弾性変形して前記仕切部材から離隔して該対向当接突部が該他方に当接することで前記非線形化手段が構成されている態様が、採用されても良い。
このような態様によれば、閉塞ゴム弾性板における形状や大きさ、構造等の設定に加え、対向当接突部の形状や大きさ、構造、数、配置等の設定によっても、弾性変形領域の弾性特性の非線形性が調節可能である。
また、本発明の流体封入式防振装置では、前記閉塞ゴム弾性板を前記受圧室側から離隔して覆う受圧室側カバー部材が設けられていると共に、該受圧室側カバー部材には、該受圧室側カバー部材と該閉塞ゴム弾性板との間の内部領域を該受圧室に接続する連通孔が、該閉塞ゴム弾性板における前記弾性変形領域に対する対向部位を外れた位置に設けられている態様が、採用されても良い。
このような態様によれば、受圧室の過負圧状態で閉塞ゴム弾性板の弾性変形領域の変形に伴い連通口が開口するに際して、開口部付近で気泡が生じる場合に、気泡が内部領域から連通孔を通じて受圧室に流動する。その際に、気泡がカバー部材に当接することによって、気泡の成長を抑えたり、気泡を細分化させることが出来る。それ故、大きな気泡の崩壊に伴う水撃圧に起因する異音や振動が抑制され得るのである。
また、本発明の流体封入式防振装置では、前記仕切部材の中央部分に対して前記閉塞ゴム弾性板が重ね合わされて配設されている一方、該仕切部材の外周部分を周方向に延びるように前記オリフィス通路が形成されている態様が、採用されても良い。かかる態様によれば、閉塞ゴム弾性板の面積やオリフィス通路の通路長さが何れも大きく確保されて、目的とする防振性能やキャビテーション防止効果が効率的に得られる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。先ず、図1には、本発明の流体封入式防振装置に関する第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。自動車用エンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で互いに連結された構造を有している。この第一の取付金具12が自動車のパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付金具14が車両ボデーに取り付けられることにより、パワーユニットが車両ボデーに対して防振連結されるようになっている。
なお、図1では、自動車に装着する前の自動車用エンジンマウント10の単体での状態が示されているが、自動車への装着状態では、パワーユニットの分担支持荷重がマウント軸方向(図1中、上下)に入力されることにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14がマウント軸方向で相互に接近する方向に変位して、本体ゴム弾性体16が弾性変形する。また、かかる装着状態下、防振すべき主たる振動は、略マウント軸方向に入力される。以下の説明中、特に断りのない限り、上下方向は、マウント軸方向となる図1中の上下方向をいう。
より詳細には、第一の取付金具12は、略円形ブロック形状を有していると共に、上方に向かって取付ボルト18が突設されている。取付ボルト18がパワーユニット側に締結されることによって、第一の取付金具12がパワーユニットに取り付けられ得る。
一方、第二の取付金具14は、大径の略円筒形状を有しており、図示しないブラケット金具等を介して車両ボデーに取り付けられるようになっている。この第二の取付金具14の上方の開口部側に第一の取付金具12が離隔配置されて、第一の取付金具12と第二の取付金具14の対向面間に本体ゴム弾性体16が配設されている。
本体ゴム弾性体16は、略円錐台形状を有していて、その小径側端面に第一の取付金具12の外周面が固着されていると共に、大径側端部の外周面に第二の取付金具14の内周面が固着されている。それによって、第一の取付金具12と第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16を介して弾性的に連結されていると共に、第二の取付金具14の上側開口部が本体ゴム弾性体16で流体密に閉塞されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端面には、逆すり鉢状の大径凹所20が第二の取付金具14の内側に向かって開口して形成されていると共に、第二の取付金具14の内周面には、薄肉のシールゴム層22が被着形成されている。また、第二の取付金具14の下端部には、可撓性膜としてのダイヤフラム24が配設されている。
ダイヤフラム24は、全体として略円形状を有する変形容易な薄肉のゴム膜からなり、外周縁部に大径リング状の固定金具26が固着されている。この固定金具26が第二の取付金具14の下端部に内挿されて、第二の取付金具14に八方絞り等の縮径加工が施されることにより、固定金具26がシールゴム層22を介して第二の取付金具14に密着状態で固定されている。これにより、ダイヤフラム24が第二の取付金具14に固定されて、第二の取付金具14の下側開口部がダイヤフラム24によって流体密に閉塞されている。
また、第二の取付金具14の内側における本体ゴム弾性体16とダイヤフラム24の軸方向対向面間には、隔壁部材28が配設されている。隔壁部材28は、図2にも示されているように、全体として略円形ブロック状を有していると共に、アルミニウム合金等の金属材やポリプロピレン(PP)等の合成樹脂材等の比較的に剛性が大きな材料を用いて形成される。また、隔壁部材28は、仕切部材としての仕切金具30と受圧室側カバー部材としてのカバー金具32を含んで構成されている。
仕切金具30は、図3,4にも示されているように、略円板形状を有しており、径方向中央部分に上方に開口する円形状の収容凹所34が形成されている。この収容凹所34の径方向中央部分には、底壁部から立ち上がる中央突部36が突設されていると共に、収容凹所34の周壁部には、径方向内方に突出する外周突部38の複数が周方向に等間隔に設けられている。これら中央突部36と各外周突部38の上端面には係止突起40が突設されている。また、収容凹所34における中央突部36の周りの底壁部の中央側には、略扇状の連通口42が周方向に離隔して複数貫設されている。また、仕切金具30の外周部分には、上端面及び外周面に開口して周方向に所定の長さ(本実施形態では半周弱)で連続して延びる下側周溝44が形成されていると共に、下側周溝44の周方向一方の端部側に開口部46が形成されて仕切金具30の下端面に開口している。
一方、カバー金具32は、浅底の略有底円筒形状を有している。このカバー金具32の筒状部には、外周面に開口して周方向に所定の長さ(本実施形態では一周弱)で連続して延びる上側周溝48が形成されており、上側周溝48の周方向一方の端部側に内壁面に開口する開口部50が形成されていると共に、上側周溝48の周方向他方の端部側に接続窓52が形成されてカバー金具32の下端面に開口している。また、カバー金具32の底壁部の中央側には、複数の透孔54が周方向に離隔して貫設されていると共に、該底壁部の外周側には、周方向に長手状に延びる連通孔56が周方向に離隔して複数貫設されている。更に、カバー金具32の底壁部の径方向中央部分と該底壁部の外周側において連通孔56と異なる位置には、係止孔58の複数が貫設されている。
このカバー金具32が上方から仕切金具30に重ね合わされて、仕切金具30の各係止突起40がカバー金具32の各係止孔58に挿通されて係止されている。これにより、仕切金具30とカバー金具32が周方向で位置合わせされつつ相互に固定されて、隔壁部材28が構成されている。また、仕切金具30の収容凹所34の開口部がカバー金具32によって覆蓋されている。更に、仕切金具30の下側周溝44の上部開口がカバー金具32で覆蓋されていると共に、下側周溝44とカバー金具32の上側周溝48の各周方向他方の端部が相互に位置合わせされて、接続窓52を通じて接続されている。これにより、上側周溝48と下側周溝44が直列的に接続されて、隔壁部材28の外周部分を螺旋状に所定の長さで延びる周溝が構成されている。
上述のダイヤフラム24の第二の取付金具14への組み付けに先立って、隔壁部材28が第二の取付金具14に内挿されて、第二の取付金具14に八方絞り等の縮径加工が施されることにより、隔壁部材28がシールゴム層22を介して第二の取付金具14に密着状態で固定されている。それによって、第二の取付金具14の内側における本体ゴム弾性体16とダイヤフラム24の軸方向対向面間が隔壁部材28によって流体密に二分されている。
隔壁部材28を挟んだ一方の側(図1中、上側)には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて振動入力に伴い圧力変動が惹起される受圧室60が形成されていると共に、隔壁部材28を挟んだ他方の側(図1中、下側)には、壁部の一部がダイヤフラム24で構成されて容積変化が容易に許容される平衡室62が形成されている。これら受圧室60と平衡室62には、例えば、水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールなどの粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体からなる非圧縮性流体が封入されている。
また、隔壁部材28の上側及び下側周溝44,48がシールゴム層22を介して第二の取付金具14に流体密に閉塞されていることによって、隔壁部材28の外周部分を螺旋状に所定の長さ(本実施形態では一周弱〜一周半弱)で延びるオリフィス通路64が形成されている。このオリフィス通路64の一方の端部がカバー金具32の開口部50を通じて受圧室60に接続されていると共に、オリフィス通路64の他方の端部が仕切金具30の開口部46を通じて平衡室62に接続されている。それによって、受圧室60と平衡室62がオリフィス通路64を通じて相互に連通されて、振動入力による受圧室60と平衡室62の圧力差に応じてオリフィス通路64を通じての流体流動が生じることとなり、かかる流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が発揮されるようになっている。なお、オリフィス通路64を通じて流動する流体の共振周波数は、通路断面や通路長さ等に基づいて設定されており、本実施形態では、例えば自動車のエンジンシェイク等に相当する10Hz程度の低周波数域に設定されている。
また、仕切金具30においてカバー金具32で覆蓋された円環状の収容凹所34が、カバー金具32の透孔54や連通孔56を通じて受圧室60に連通されていると共に、仕切金具30の連通口42を通じて平衡室62に連通されている。ここにおいて、かかる収容凹所34には、仕切金具30とカバー金具32の組み付けに先立って、受圧室60側となる収容凹所34の上方開口部から底壁部に重ね合わせるようにして、閉塞ゴム弾性板としての弾性ゴム板66が配設されている。
弾性ゴム板66は、図5,6にも示されているように、全体として略円形の平板形状を有していると共に、ゴム弾性材を用いて形成されている。また、弾性ゴム板66の径方向中央部分には、略円筒形状の中央取付部68が形成されている。かかる中央取付部68の内孔70に仕切金具30の中央突部36が挿通されて、中央取付部68の下端面が、収容凹所34の底壁部における各連通口42よりも径方向内方の上端面に重ね合わされていると共に、中央取付部68の上端面が、カバー金具32の底壁部における各透孔54よりも径方向内方の下端面に重ね合わされている。
また、中央取付部68から弾性ゴム板66の外周部分に向かって放射状に延びる3つのスポーク状保持部72,72,72が周方向に等間隔に形成されて、各スポーク状保持部72が、収容凹所34の周方向で隣り合う各一対の連通口42,42の間の底壁部とかかる底壁部と軸方向で対向位置せしめられたカバー金具32の複数の透孔54間の底壁部との間に配置されている。
さらに、弾性ゴム板66の下端面の外周側には、環状のシールリップ78が突設されて、収容凹所34の底壁部における各連通口42よりも径方向外方部分に重ね合わされている。要するに、弾性ゴム板66が仕切金具30の複数の連通口42を全体に亘って覆うようにして重ね合わされて、弾性ゴム板66の外周縁部が各連通口42の外周縁部よりも径方向外方に位置している。特に本実施形態では、弾性ゴム板66の外周縁部が、カバー金具32の各透孔54よりも径方向外方に位置していると共に、各連通孔56よりも径方向内方に位置している。これにより、各連通孔56が、弾性ゴム板66の外周縁部に対する軸方向の対向部位を外れた位置に設けられている。
更にまた、弾性ゴム板66の外周縁部には、円弧状の当接保持部74の3つが周方向に等間隔に形成されており、特に、各当接保持部74の周方向中央部分が、中央取付部68から径方向外方に延び出す各スポーク状保持部72の先端部分と接している。
本実施形態の弾性ゴム板66においては、中央取付部68やスポーク状保持部72、当接保持部74の各厚さ寸法が互いに略同じとされていると共に、カバー金具32の底壁部と仕切金具30の収容凹所34の底壁部の軸方向対向面間の寸法(両底壁部の軸方向の離隔距離)に比して大きくされている。これにより、中央取付部68やスポーク状保持部72、当接保持部74が、収容凹所34における仕切金具30及びカバー金具32の両底壁部の軸方向間で圧縮変形していると共に、かかる圧縮変形状態が仕切金具30とカバー金具32の固定力により保持されて、中央取付部68やスポーク状保持部72、当接保持部74が隔壁部材28に挟圧保持されている。また、中央取付部68が仕切金具30の中央突部36に弾性的に嵌着固定されている。更に、各当接保持部74の周方向中央部分の外周面が、仕切金具30の各外周突部38の内周面に径方向で圧接されている。その結果、弾性ゴム板66が仕切金具30に重ね合わされた状態に保持されている。
一方、弾性ゴム板66において、中央取付部68やそれぞれ周方向で隣り合う各一対のスポーク状保持部72,72や各一対の当接保持部74,74で囲まれた略扇状を有する各領域の厚さ寸法が、カバー金具32の底壁部と仕切金具30の収容凹所34の底壁部の軸方向対向面間の寸法に比して充分に小さくされている。かかる略扇状の領域が、弾性ゴム板66の周方向に等間隔に3つ設けられていると共に、各領域が各連通口42よりも大きな形状で各連通口42の全体を覆うようにして、各連通口42と周方向で位置合わせされている。また、かかる領域が、弾性ゴム板66と仕切金具30の重ね合わせ方向で、カバー金具32に対して所定距離を隔てて対向配置されている。そして、各領域の一方の面にカバー金具32の透孔54や連通孔56を通じて受圧室60の圧力が及ぼされていると共に、各領域の他方の面に対して、仕切金具30の連通口42を通じて平衡室62の圧力が及ぼされている。要するに、弾性ゴム板66が仕切金具30に重ね合わされた状態下、受圧室60と平衡室62の圧力差に応じて、弾性ゴム板66の弾性変形を許容し得る弾性変形領域としての弾性弁部76が、かかる略扇状の領域によって構成されているのである。
特に本実施形態では、弾性弁部76の外周縁部が、連通口42の外周縁部よりも径方向外方に位置して、且つ当接保持部74の外周縁部よりも径方向内方に位置している。また、弾性ゴム板66の周方向で隣り合う各一対の当接保持部74,74の間における各弾性弁部76の外周縁部の周方向中央部分が、各連通口42の外周縁部の周方向中央部分と周方向で位置合わせされている。
さらに、図7にも示されているように、弾性弁部76の外周縁部を挟んだ周方向両側における各当接保持部74の周方向端部側には、径方向に延びる切欠き状の溝部80を介して対向当接突部としての段差部82が、弾性弁部76や当接保持部74と一体形成されている。段差部82の厚さ寸法(高さ寸法)は、弾性弁部76の厚さ寸法に比して大きくされていると共に、当接保持部74の厚さ寸法に比して小さくされている。そして、弾性ゴム板66の仕切金具30への重ね合わせ状態下、段差部82がカバー金具32から離隔配置されている。弾性ゴム板66の外周縁部において段差部82から当接保持部74の周方向中央部分にかけての部位が、仕切金具30の各連通口42よりも径方向外方部分を連通口42の縁部に沿って延びている。
なお、上述の説明からも明らかなように、本実施形態の中央取付部68やスポーク状保持部72、当接保持部74が、弾性ゴム板66の弾性弁部76よりも厚さ寸法が大きくされて、カバー金具32と仕切金具30の間に挟圧保持される厚肉ゴム部として構成されていると共に、かかる厚肉ゴム部の剛性が弾性弁部76の剛性に比して十分に大きくされている。また、本実施形態のカバー金具32が、かかる厚肉ゴム部を仕切金具30に対して押し付ける押圧保持部材として機能する。特に本実施形態では、弾性弁部76の外周縁部を除く周縁部が中央取付部68やスポーク状保持部72、当接保持部74、段差部82で拘束されている一方、弾性弁部76の外周縁部の周方向両側に位置する段差部82がカバー金具32から離隔していることによって、弾性弁部76の中央部分と外周縁部のばね特性が、外周縁部を除く外周側や内周側、周方向両側のばね特性に比して柔らかくされている。
このような構造とされた自動車用エンジンマウント10においては、自動車の走行に際してエンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動が入力されると、受圧室60と平衡室62の間に圧力差が生じて、それら両室60,62の間でオリフィス通路64を通じての流体流動が惹起される。
ここにおいて、エンジンシェイクに相当する振幅が例えば±1〜2mmの振動入力時には、弾性ゴム板66の段差部82がカバー金具32に当接する程に大きく変形変位しないようにされており、それによって、弾性ゴム板66が仕切金具30に重ね合わされて仕切金具30の各連通口42が各弾性弁部76で流体密に閉塞された状態が保持されるようになっている。特に、かかる振動入力時に、弾性弁部76の外周縁部側の柔らかいばね特性によって、図7に二点鎖線で示される如く、弾性弁部76の外周縁部が仕切金具30から離隔して、連通口42が開口するようなことがある場合においても、弾性弁部76に比して厚さ寸法が大きくされた段差部82と更に段差部82よりも厚さ寸法が大きくされて且つ隔壁部材28に拘束された当接保持部74等の硬いばね特性に基づいて、弾性弁部76のばね特性が非線形的に急に硬くなる領域まで変形が大きくなることによって、段差部82がカバー金具32に当接する程に弾性弁部76の外周縁部が仕切金具30から大きく離隔する変形が抑えられている。これにより、受圧室60の圧力変動が連通口42を通じて必要以上に逃されて吸収されてしまうことが防止されて、オリフィス通路64を通じて流動する流体の流動量が十分に確保される結果、目的とする防振効果(高減衰効果)が安定して得られるのである。
一方、走行こもり音等に相当する振幅が例えば±0.05〜0.1mm程度の高周波数小振幅振動の入力時には、オリフィス通路64を流動する流体の反共振作用によって、オリフィス通路64が実質的に閉塞状態となるが、弾性弁部76の中央部分や外周縁部の比較的に柔らかいばね特性に基づく、図7に二点鎖線で示される如き弾性弁部76の微小変形による受圧室60の液圧吸収作用によって、目的とする防振効果(低動ばね効果)が安定して得られるのである。
また、自動車が段差を乗越えたり、凹凸の大きな路面を走行する等して、振幅が例えば±2mm以上の過大な若しくは衝撃的な振動荷重が入力されると、受圧室60の圧力が大きく低下する場合がある。そこにおいて、本実施形態では、図8にも示されているように、かかる受圧室60の圧力低下状態で、弾性ゴム板66の段差部82が仕切金具30から離隔してカバー金具32に当接する程に大きな圧力が弾性弁部76に及ぼされることとなる。即ち、上述の過大な衝撃的振動荷重の入力時には、弾性弁部76が中央部分や外周縁部の柔らかいばね特性領域に加えて、段差部82が配置された連通口42の外周縁部の周方向両側まで広がって、弾性弁部76が仕切金具30から離隔する変形量が大きく確保されることから、連通口42の開口量が全体として大きくされ得る。それ故、受圧室60と平衡室62が速やかに且つ確実に短絡して、受圧室60の過負圧状態の解消に基づいてキャビテーション気泡の発生が抑えられるのであり、ひいては気泡の崩壊に伴う水撃圧に起因する衝撃的な異音や振動の抑制効果が効果的に発揮され得るのである。
特に本実施形態では、弾性ゴム板66の弾性弁部76における弾性特性を非線形として弾性弁部76の弾性変形量の増大に伴って弾性特性を非線形的に一層硬くする非線形化手段が、(イ)弾性弁部76のまわりに設けられた中央取付部68やスポーク状保持部72、当接保持部74からなる厚肉ゴム部がカバー金具32と仕切金具30の間に挟圧保持されていることや、(ロ)弾性弁部76の厚さ寸法がスポーク状保持部72や段差部82を利用して周方向両側から中央部分に向かって段階的に小さくなるように変化していることや、(ハ)弾性弁部76が仕切金具30から大きく離隔するように弾性変形する際に段差部82がカバー金具32に当接することによって構成されている。即ち、かかる非線形化手段が、既存のカバー金具32や仕切金具30の形状や組み付け構造を利用して構成されていることに加え、全てゴム材からなる弾性ゴム板66を用いていることから、構造の簡略化や製造コストの低減化が有利に図られ得る。
以下に、本発明の流体封入式防振装置に関して第一の実施形態の自動車用エンジンマウント10と異なる形態の自動車用エンジンマウントについて、幾つか説明するが、かかる説明中、第一の実施形態と実質的に同一の構造とされた部材及び部位については、同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
すなわち、図9,10には、本発明の第二の実施形態としての自動車用エンジンマウントに採用される弾性ゴム板84が示されているが、その各弾性弁部76の外周縁部には、対向当接突部としての当接突起86が一対形成されている。これら当接突起86,86は、弾性弁部76と一体形成されて、上方に向かって突設されており、周方向で互いに離隔配置されていると共に、当接保持部74の各周方向端部と周方向で離隔配置されている。また、当接突起86の高さ寸法が当接保持部74の高さ寸法に比して小さくされて、弾性ゴム板84が仕切金具30に重ね合わされた状態下、カバー金具32から離隔配置されている。また、当接突起86の先端部分が略半球状を有している。
このような当接突起86を備えた弾性ゴム板84が採用されることによって、対向当接突部が当接保持部74と一体形成される場合に比してばね剛性を小さくすることが出来、弾性弁部76の更なる低ばね化が図られ得る。また、弾性ゴム板84の外周縁部においてカバー金具32に打ち当たる部分が、周方向に離隔して複数設けられていることに加え、当接面積が小さくされていることによって、衝撃的な打ち当たりに伴う大きな打音が効果的に低減され得る。
なお、かかる当接突起86の形状や大きさ、構造、数、配置等の形態は限定されるものでなく、例えば図11,12に示される本発明の第三の実施形態としての自動車用エンジンマウントに採用される弾性ゴム板88のように、当接突起86が各弾性弁部76の外周縁部の周方向中央部分に一つ設けられても良い。
また、当接保持部74の周方向端部において当接保持部74と高さ寸法を異ならせた対向当接突部としての段差部82を特別に形成することなく、例えば図13,14に示される如き本発明の第四の実施形態としての自動車用エンジンマウントに採用される弾性ゴム板90のようにしても良い。即ち、弾性ゴム板90と仕切金具30の重ね合わせ方向となるマウント軸方向で、当接保持部74の周方向両側と対向配置されたカバー金具32に凹所92を形成して、当接保持部74の周方向両側部分がカバー金具32と所定距離を隔てて対向させる。かかる当接保持部74の周方向中央部分と高さ寸法が同じである周方向両側部分によって対向当接突部94を構成する。
また、図15,16に示される如き本発明の第五の実施形態としての自動車用エンジンマウントに採用される弾性ゴム板96のようにしても良い。即ち、当接保持部74の周方向両側に一体形成される対向当接突部としての各段差部98が、かかる当接保持部74から離隔する周方向外方に向かって高さ寸法が次第に小さくされる。これにより、弾性弁部76の厚さ寸法が周方向両側から中央に向かって次第に小さく変化している。
また、前記第一乃至は第五の実施形態では、弾性ゴム板の厚さ寸法を部分的に異ならせたり、弾性ゴム板を受圧室側から覆うように配設するカバー金具の形状や構造を利用したりして、非線形化手段が構成されていたが、例えば図17,18に示される如き弾性ゴム板100を採用した本発明の第六の実施形態としての自動車用エンジンマウントの如き構成も採用可能である。即ち、厚さ寸法が略一定の平板形状のゴム板102に対して、かかるゴム板102よりも硬質の補強部材としての補強金具104が埋設状態で固着されて、弾性ゴム板100が構成されている。ゴム板102における補強金具104を配置した部分と配置しない部分との剛性差を利用して、非線形化手段を構成することとなる。
具体的には、補強金具104の中央部分に形成された小径のボス状部106が、ゴム板102の中央部分に配置されて、ボス状部106から外周側に向かって放射状に延びるスポーク状部108が配置され、スポーク状部108の先端部分から周方向に円弧状に広がる分割リム状部110が、ゴム板102の外周縁部に沿って配設される。これにより、ゴム板102において補強金具104が配置されていない略扇状の部分により弾性弁部76を構成する。また、補強金具104の分割リム状部110によって当接保持部を構成する。更に、分割リム状部110の周方向中央部分の外周縁部に切欠き状部112が形成されて、当接保持部のばね特性が調節され得る。更にまた、分割リム状部110の周方向端部から弾性弁部76に向けて周方向に延び出すようにして延出保持部としての細片部114が一体形成されて、かかる細片部114が分割リム状部110よりも小さくされていることで低剛性とされて、かかる細片部114からなる補強金具104の低剛性部分によって弾性弁部76の周方向両側の弾性特性が周方向中央部分よりも硬くされることにより、非線形化手段を構成することとなる。
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明してきたが、これら実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、前記実施形態では、弾性ゴム板の弾性弁部76に比して剛性の大きな部分が、厚肉ゴム部やゴム板に補強金具を埋設配置した部分によって構成されていたが、全体に亘って厚さ寸法が一定のゴム板に対して部分的に当接したり拘束変形させる突起を仕切金具やカバー金具に設けることにより、ゴム板のかかる突起が当たる部分で高剛性部分を構成したり、或いは金具や合成樹脂等の剛性部材の単層構造で高剛性部分を構成することも可能である。
また、弾性ゴム板における中央取付部やスポーク状保持部、当接保持部等は、弾性ゴム板の仕切金具への重ね合わせ状態で、カバー金具と仕切金具の間に挟圧保持されている必要はなく、例えば、中央取付部やスポーク状保持部、当接保持部をカバー金具に単に当接させたり、カバー金具と所定距離を隔てて対向配置させても良い。
また、前記実施形態では、弾性ゴム板66の中央部分(中央取付部68)が仕切金具30の中央突部36に弾性的に嵌着されると共に、弾性ゴム板66の中央部分や外周部分が隔壁部材28に挟圧保持されることによって、弾性ゴム板66が隔壁部材28に固定されていたが、例えば、弾性ゴム板を隔壁部材におけるカバー金具と仕切金具の少なくとも一方に対してビスやボルト等で固定することも可能である。
また、前記実施形態の自動車用エンジンマウント10では、単一のオリフィス通路64を設けた構造が採用されていたが、複数のオリフィス通路を採用することも可能である。
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車用エンジンマウントに適用したものの具体例について説明したが、本発明は、自動車用ボデーマウントやデフマウント、サスペンションメンバマウント、サスペンションブッシュ等の他、自動車以外の各種振動体を防振する流体封入式防振装置に対して、何れも、適用可能である。
本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面図であって図2のI−I断面に対応する図。 図1の自動車用エンジンマウントの一部を構成する隔壁部材に弾性ゴム板を組み付けた状態を示す平面図。 図2の隔壁部材の一部を構成する仕切金具に弾性ゴム板を組み付けた状態を示す平面図。 図3の仕切金具の底面図。 図2の弾性ゴム板の平面図。 図5のVI−VI断面図。 図1のVII−VII断面の拡大図。 図1の自動車用エンジンマウントの要部を拡大して示し、且つ図7と異なる一動作状態を示す縦断面図。 本発明の第二の実施形態としての自動車用エンジンマウントに採用される弾性ゴム板の平面図。 図9のX−X断面図。 本発明の第三の実施形態としての自動車用エンジンマウントに採用される弾性ゴム板の平面図。 図11のXII−XII断面図。 本発明の第四の実施形態としての自動車用エンジンマウントに採用される弾性ゴム板の平面図。 図13の自動車用エンジンマウントにおける要部の一動作状態を拡大して示す縦断面図であって、図7に対応する図。 本発明の第五の実施形態としての自動車用エンジンマウントに採用される弾性ゴム板の平面図。 図15の自動車用エンジンマウントにおける要部の一動作状態を拡大して示す縦断面図であって、図7に対応する図。 本発明の第六の実施形態としての自動車用エンジンマウントに採用される弾性ゴム板の平面図。 図17のXVIII−XVIII断面図。
符号の説明
10:自動車用エンジンマウント、12:第一の取付金具、14:第二の取付金具、16:本体ゴム弾性体、24:ダイヤフラム、30:仕切金具、42:連通口、60:受圧室、62:平衡室、64:オリフィス通路、66:弾性ゴム板、74:当接保持部、76:弾性弁部

Claims (7)

  1. 第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成された受圧室と壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室とを形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、
    前記受圧室と前記平衡室を仕切る仕切部材に対してそれら受圧室と平衡室を連通する連通口を形成すると共に、該連通口に対して該受圧室側から重ね合わされて該連通口を閉塞する閉塞ゴム弾性板を配設して該閉塞ゴム弾性板の一方の面に該受圧室の圧力が及ぼされ且つ他方の面に該連通口を通じて該平衡室の圧力が及ぼされるようにする一方、該閉塞ゴム弾性板の外周縁部において該仕切部材に対する重ね合わせ状態に保持される当接保持部を周上で複数設けると共に、該閉塞ゴム弾性板における周方向で隣り合う該当接保持部の周方向間において該受圧室と該平衡室の圧力差に基づいて弾性変形せしめられて該仕切部材から離隔することにより該連通口を開口させる弾性変形領域を形成し、更に、該閉塞ゴム弾性板の該弾性変形領域における弾性特性を非線形として該弾性変形領域における弾性変形量の増大に伴って弾性特性を非線形的に一層硬くする非線形化手段を設けたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記閉塞ゴム弾性板の中央部分に中央取付部が一体形成されており、この中央取付部が前記仕切部材に対して固定状態で取り付けられている一方、該中央取付部から外周側に向かって放射状に延びるスポーク状保持部が設けられていると共に、該スポーク状保持部の先端部分から周方向に延びるようにして前記当接保持部が設けられている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記当接保持部が厚肉ゴム部によって構成されていると共に、該厚肉ゴム部を挟んで前記仕切部材と反対側に押圧保持部材が設けられて、該厚肉ゴム部が該押圧保持部材で該仕切部材に対して押し付けられて弾性的に挟圧保持されており、更に該厚肉ゴム部の周方向間に位置する前記弾性変形領域が該厚肉ゴム部よりも薄肉とされており、且つ該弾性変形領域の厚さ寸法が周方向両側の該厚肉ゴム部から周方向中央部分に向かって次第に又は段階的に小さくなるように変化していることにより、前記非線形化手段が構成されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記閉塞ゴム弾性板の外周縁部にはゴム弾性体よりも硬質の補強部材が固着されて該補強部材により前記当接保持部が構成されていると共に、該当接保持部の周方向間に位置する前記弾性変形領域は該補強部材が固着されておらず変形容易とされている一方、該補強部材が該当接保持部から該弾性変形領域に向けて周方向で延び出して該当接保持部よりも低剛性の延出保持部とされており、該延出保持部によって該弾性変形領域の周方向両側の弾性特性が周方向中央部分よりも硬くされていることにより、前記非線形化手段が構成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記閉塞ゴム弾性板における前記弾性変形領域を前記受圧室側から離隔して覆う受圧室側カバー部材が設けられていると共に、該弾性変形領域と該受圧室側カバー部材の対向面には、一方から他方に向かって突出して先端部が該他方に対して所定距離を隔てて対向する対向当接突部が設けられており、該弾性変形領域が弾性変形して前記仕切部材から離隔して該対向当接突部が該他方に当接することで前記非線形化手段が構成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記閉塞ゴム弾性板を前記受圧室側から離隔して覆う受圧室側カバー部材が設けられていると共に、該受圧室側カバー部材には、該受圧室側カバー部材と該閉塞ゴム弾性板との間の内部領域を該受圧室に接続する連通孔が、該閉塞ゴム弾性板における前記弾性変形領域に対する対向部位を外れた位置に設けられている請求項1乃至5の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  7. 前記仕切部材の中央部分に対して前記閉塞ゴム弾性板が重ね合わされて配設されている一方、該仕切部材の外周部分を周方向に延びるように前記オリフィス通路が形成されている請求項1乃至6の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
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