JP2010004875A - 油脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

油脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】含気泡油脂組成物をそのまま、もしくはケーキ等にデコレーションした状態で冷凍保存し、解凍しても、ひび割れ、口溶け、造花性および風味の劣化を起こさない優れた特性を有する含気泡油脂組成物を提供することを課題とする。又、本発明は、冷凍解凍耐性に優れた含気泡油脂組成物の製造方法を提供することを課題とする。さらに、気泡を含ませることで上記含気泡油脂組成物を提供しうる、水中油型乳化油脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】含気泡油脂組成物に不凍タンパク質を含有させることによって、凍結保存し、解凍しても、ひび割れ、口溶け、造花性および風味の劣化を起こさない含気泡油脂組成物を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水中油型乳化油脂組成物、含気泡油脂組成物及びその製造方法に関するものである。更に詳しくは、冷凍解凍耐性効果のある含気泡油脂組成物を得ることの可能な水中油型乳化油脂組成物、含気泡油脂組成物及びその製造方法に関する。特に、含気泡油脂組成物そのまま、もしくは該含気泡油脂組成物をケーキ等にデコレーションした状態で冷凍保存し、あるいは解凍しても外観、風味ともに良好な、冷凍解凍耐性効果のある含気泡油脂組成物及びその製造方法に関する。
従来のケーキ等のデコレーションに用いる含気泡油脂組成物(ホイップドクリーム)は、特に家庭や小規模洋菓子店では使用の度にホイップする必要があった。この作業工程は、品質を一定に保つためには熟練を要する上、時間と労力を必要とする。そのため、洋菓子業界においては、省力化、合理化が進められてきており、自動で行うことのできる連続ホイッパーの開発がなされている。このようなホイッパーの導入により、一度に大量の含気泡油脂組成物を得ることが出来るようになったが、含気泡油脂組成物もしくはそれを使用したデコレーションケーキを冷蔵、冷凍の状態で長期間保存しておくことは、クリームの物性変化等の原因から不可能であった。
このような問題点を解決するため、これまでに冷凍解凍耐性のある含気泡油脂組成物類が種々提案されている。例えば、特許文献1−4が挙げられるが、多量の糖類または/及びガム類が添加されており食感や味の低下の点で実用上問題がある。また、特許文献5には、糖類、加工澱粉およびガム類等を含むことが必要であり、口溶け等の食感の低下は免れない旨記載がある。
一方、近年において消費者は、食生活の充実・高級化を反映して、クリーム類において、風味、口溶けの良い、生クリームに近いものを要望する傾向がますます増大している。それらのニーズに対して原料成分として例えばバターオイルのような乳脂肪が用いられることも多く、さらに本来の生クリームの風味を出すために、クリーム製造時に生クリームを加えることは広く行われている。乳脂肪源として生クリームを用いない場合においても、凍結処理を行えば乳化状態の破壊、乾燥がおこり、使用に耐えられないものとなるが、生クリームを加えたクリームにおいては、生クリームがいわば天然の乳化物であり、品質が一定しないという難点を有することから、クリームの物性、機能性をコントロールすることはさらに困難であり、凍結処理を行うことはできなかった。したがって消費者ニーズに応えることのできる冷凍解凍耐性のある含気泡油脂組成物は未だ開発されていない。
特公昭58−57145号公報 特開昭52−79059号公報 特開昭58−51864号公報 特公平3−62386号公報 特公平4−12101号公報
従って、本発明は、含気泡油脂組成物もしくは該含気泡油脂組成物をケーキ等にデコレーションした状態で冷凍保存し、解凍しても、ひび割れ、口溶け、造花性および風味の劣化を起こさない優れた特性を有する含気泡油脂組成物を提供することを課題とする。又、本発明は、冷凍解凍耐性に優れた含気泡油脂組成物の製造方法を提供することを課題とする。さらに、気泡を含ませることで上記含気泡油脂組成物を提供しうる、水中油型乳化油脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、不凍タンパク質を含有する水中油型乳化油脂組成物に気泡を含有させることによって、これらを凍結保存し、解凍しても、ひび割れ、口溶け、造花性および風味の劣化を起こさない含気泡油脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明が提供するのは以下のとおりである。
本発明の特徴の1つは、不凍タンパク質を含有することを特徴とする含気泡油脂組成物である。
本発明の特徴の1つは、水中油型乳化油脂組成物をホイップすることを特徴とする不凍タンパク質を含有する含気泡油脂組成物の製造方法である。
本発明の特徴の1つは、不凍タンパク質を含有する含気泡油脂組成物を製造するために用いることができる、水中油型乳化油脂組成物である。
本発明の特徴の1つは、不凍タンパク質を含有する水中油型乳化油脂組成物を含有する食品である。
本発明の特徴の1つは、不凍タンパク質を含有する水中油型乳化油脂組成物を乳製品代替品として含有することを特徴とする食品である。
本発明によれば、含気泡油脂組成物もしくは該含気泡油脂組成物をケーキ等にデコレーションした状態で冷凍保存し、解凍しても、ひび割れ、口溶け、造花性および風味の劣化を起こすことがない優れた特性を有する含気泡油脂組成物、及び冷凍解凍耐性に優れた含気泡油脂組成物の製造方法が提供される。また、気泡を含ませることで上記含気泡油脂組成物を提供しうる、水中油型乳化油脂組成物が提供される。
本発明は、不凍タンパク質(AFP)を含有する含気泡油脂組成物が、上記課題を有効に解決できるとの知見に基づいてなされたものである。
本発明に係る不凍タンパク質は、冷海水中で生息している北極海や南極海に生息する魚の体液や植物等に種々存在し、不凍糖タンパク質、不凍ポリペプチドなどもこれに含まれる。特に魚類においては、現在、数種類の異なる不凍タンパク質が様々の由来から確認されている。例えば、I型不凍タンパク質はアラニンに富み(αヘリックスポリペプチド)、多くのカレイやカジカに存在することが知られている。II型不凍タンパク質はハーフシスチンに富み、ケムシカジカ、キュウリウオ及びニシンに存在することが知られている。III型不凍タンパク質は球状タンパク質であり、ゲンゲやオオカミウオを含む数種のゾアルコイド科に存在することが知られている。不凍糖タンパク質は南極魚と南極タラおよび北極タラの3科に見られ、主に、トレオニル残基に結合した二糖を含むトリペプチド (Ala-Ala-Thr)反復からなっている。これら不凍タンパク質および不凍糖タンパク質には構造上異なるものも含まれるが、氷表面に結合することにより氷晶増殖を阻止する能力を有している点で共通する。
本発明の含気泡油脂組成物に使用する不凍タンパク質は、上述した不凍ポリペプチド、不凍糖タンパク質を含有する抽出物であっても、それぞれに単離精製されたものを用いても良い。また、不凍タンパク質は、単独の不凍タンパク質であっても、それらの混合物であっても良い。好ましくは、熱に強いとされる植物由来の不凍タンパク質が好ましい。
不凍タンパク質は、例えば、生物の血清または体液から従来手段によって取り出すことができる。タンパク質の単離および精製は、遠心などの分離工程、各種のクロマトグラフィー、ならびに吸着、晶析および濃縮などにより行うことができる。文献等によって公知となっている他の手段によっても単離精製することができる。また不凍タンパク質は、従来の化学的合成法または組換えDNA技術を含む方法によっても製造することができる。これらのタンパク質をコードする遺伝子の中には塩基配列が解明され、報告されているものもある。例えば、DeVries,A.L.ら,J.Biol.Chem.246:305(1971); Lin,Y.ら,Biochem.Biophys.Res.Commun.46:87(1972); Yang,D.S.C.ら、Nature 333:232 (1988); Lin,Y., Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:2825(1981); Davies,P.L.ら、J.Biol.Chem.79:335 (1982); Gourlie,B.ら、J.Biol.Chem.259:14960(1984); Scott,G.K.ら、Can.J.Fish.Aquat.Sci.43:1028 (1986); Scott,G.K.ら、J.Mol.Evol.27:29 (1988)に記載された塩基配列からなる遺伝子を利用することができる。また、AFP遺伝子を他の生物種に顕微注射する方法も報告されている。この方法については、例えば、Zhu,Z ら、Angew.Ichthyol.1:31(1985); Kexue Tongbao 31:988(1986); Chourrout,D.ら、Aquaculture 51:143(1986); Dumman,R.A.ら、Trans.AM.Fish.Soc.116:87 (1987); Fletcher,G.L.ら、Can.J.Fish Aquat.Sci.45:352(1988); Maclean,N.D.ら、Bio Teghnology 5:257:(1987); Stuart,G.W.ら、Development 103:403(1988); McEvoy,T.ら、Aquaculture 68:27(1988); Ozato,K ら、Cell Differ.19:237(1986)等を参照することができる。
この含気泡油脂組成物には、植物由来の不凍タンパク質を使用することができる。植物は特に制限はないが、好ましくは食用植物を使用する。より好ましくは、低温度領域でも生育可能な植物、さらに好ましくは低温耐性能を有する植物を使用する。例えば、アブラナ科、セリ科、ユリ科、またはキク科に属する野菜が挙げられる。アブラナ科に属する植物は、ハクサイ、ダイコン、ブロッコリー、チンゲン菜、コマツナ、カブ、シロナ、野沢菜、広島菜、ミズナ、マスタード等が挙げられる。中でも、ダイコンやマスタードなどを好適に用いることができる。セリ科に属する植物はニンジンなどが、ユリ科に属する植物はネギなどが、キク科に属する植物は春菊などが挙げられる。これらの植物の類縁品種および改良品種も適宜に使用することができる。この植物由来の不凍タンパク質は、前記植物の全体または一部分(例えば、葉、葉柄、花、果実、枝根、芽、種子等)から公知の手段によって抽出される。抽出方法は、特に制限はないが、植物の全体または一部の粉砕物を3〜200℃、より好ましくは40〜120℃で水または有機溶媒により抽出する方法が挙げられる。好ましい方法としては、植物の粉砕物を、約10倍量の水に混合し、室温〜105℃で10分〜2時間攪拌抽出する。その後必要に応じて既存の方法によって濃縮操作をおこなってもよい。得られた抽出物を限外濾過遠心濃縮装置(分画分子量3000)により1,000〜10,000gで濾過することによって、目的の不凍タンパク質を得ることができる。必要により、さらに濃縮、濾過、凍結乾燥等の処理を行ってもよい。また、2種以上の異なる植物種からそれぞれ得られた不凍タンパク質を組み合わせたものであってもよい。
含気泡油脂組成物を得るために加える不凍タンパク質量の下限は、得られる含気泡油脂組成物あたり、0.000005重量%以上が好ましく、より好ましくは0.00001重量%以上、さらに好ましくは0.00005重量%以上である。上限は1.0重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下であり、さらに好ましくは0.1重量%以下である。このようにして製造した含気泡油脂組成物の冷凍するときの温度は、好ましくは−18℃以下、さらに好ましくは−30℃以下とするのがよい。
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、前記不凍タンパク質、油脂、無脂乳固形分、乳化剤、水、等からなる。油脂としては、例えば大豆油、ナタネ油、コーン油、綿実油、サフラワー油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、乳脂、ラードなど、一般的な植物性油脂や動物性油脂であれば何ら制限されない。これら油脂の1種または2種以上を使用することができ、そのままでも使用できるがこれらの油脂に対して分別、水素添加、エステル交換等のいずれか、またはこれらの複数の処理を施したものを使用することができる。
無脂乳固形分としては、牛乳の全固形分から乳脂肪分を差し引いた成分をいい、これを含む原料としては、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、脱脂乳、生クリーム、濃縮乳、バターミルクパウダー、乳清タンパク質、カゼイン等の乳由来の原料を挙げることができ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
乳化剤としては、レシチン、モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
上記成分のほか、糖類、安定剤、香料、着色料、保存料、セルロース、リン酸塩など、一般の水中油型乳化油脂組成物に添加される原料も含むことができる。
また、本発明の水中油型乳化油脂組成物は乳製品の代替品として使用もすることも可能であり、ホワイトソース、ゼリーやプリンなどのデザート類、等に使用できる。
本発明の水中油型乳化油脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常広く実施される製造方法を用いることができる。例えば、油脂に溶解しやすい乳化剤を油相部に溶解させ、一方水に溶解させた不凍タンパク質、無脂乳固形分、水に溶けやすい乳化剤等から成る水相をそれぞれ調製後に、混合、予備乳化させた後、ホモジナイザー等による公知の方法による均質化を行い、公知の方法による殺菌または滅菌を行い、冷却、エージングすることにより得ることができる。
本発明の含気泡油脂組成物とは、いわゆるホイップ済みのクリームのことであり、前記不凍タンパク質を含有する水中油型乳化油脂組成物をホイップすることにより得ることができる。ホイップする機器としては、積極的に含気させるホバートミキサー、ケンミックス、連続ホイッパー等を挙げることができる。このようにして得られる含気泡油脂組成物として、好ましくはバタークリーム、ホイップクリーム、常温タイプホイップクリームなどが挙げられる。
また、本発明の含気泡油脂組成物は、不凍タンパク質を含有しない水中油型乳化油脂組成物をホイップすることによっても得ることができる。この場合は、ホイップする時、又はホイップ後に前記不凍タンパク質を添加すれば良い。
さらに、本発明の含気泡油脂組成物は、不凍タンパク質を含有しない生クリームをホイップすることによっても得ることができる。この場合は、ホイップする時、又はホイップ後に前期不凍タンパク質を添加すれば良い。
本発明の含気泡油脂組成物は、含気泡油脂組成物のまま、もしくは含気泡油脂組成物をケーキ等にデコレーションした状態で長期間の冷凍保存が可能であり、食する場合は、自然解凍、冷蔵解凍、電子レンジ等により解凍して食することができる。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は特に規定しない限り重量基準である。
(実施例1)
(1)不凍タンパク質溶液の製造
2.5リットルの蒸留水に市販Brassica juncea(商品名;マスタード芽、村上農園製)700gを入れ、105℃で1時間熱水処理した。ろ紙(アドバンテック社製)を使用し濾別後、約2リットルの抽出液を限外ろ過濃縮装置(アドバンテック社製、UHP−150)で加圧濃縮し、濃縮液200mlを得た。これを10,000×g、10分間遠心分離して上清を回収した。この上清のタンパク質濃度をBCA法(BCAキット、ピアース社製)によって測定したところ、5mg/mlであった。従って、この不凍タンパク質溶液の濃度は0.5%である。
(2)不凍タンパク質含有水中油型乳化油脂組成物の製造
硬化ヤシ油(融点28℃)25%、硬化パーム油(融点36℃)3%、コーン油2%、硬化パーム油(融点30℃)5%からなる油脂部にレシチン0.2%、グリセリン脂肪酸エステル(HLB4)0.15%を添加し、65℃で溶解して油相部を作製した。
一方、水57.95%に(1)で調製した不凍タンパク質0.005%、バターミルクパウダー6%、乳清ミネラル0.2%、結晶セルロース0.5%、ショ糖脂肪酸エステル0.15%を60℃にて溶解した水相部を作製した。この油相部と水相部を20分間予備乳化を行った後、70Kg/cm2の圧力で均質化処理を行った。その後142℃で3秒間滅菌処理を行った後、10℃まで冷却して不凍タンパク質含有水中油型乳化油脂組成物を得た。
(3)不凍タンパク質を含まない水中油型乳化油脂組成物の製造
(2)において、(1)で調製した不凍タンパク質を用いない以外は、(2)と同様にして不凍タンパク質を含まない水中油型乳化油脂組成物を得た。
(実施例2)
実施例1(2)で得られた不凍タンパク質含有水中油型乳化油脂組成物1000gをホバートミキサー(ホバートジャパン株式会社製、N−50型)、目盛り3にて最適状態までホイップし、含気泡油脂組成物を得た。得られた含気泡油脂組成物を実験例1の評価方法に従って評価を行った。評価結果を表1に示した。
(実施例3)
実施例1(3)で得られた不凍タンパク質を含まない水中油型乳化油脂組成物1000gおよび実施例1(1)で調製した不凍タンパク質0.005%を実施例2と同様に最適状態までホイップした。
実験例1の評価方法に従って評価を行った。評価結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1(3)で得られた不凍タンパク質を含まない水中油型乳化油脂組成物1000gを実施例2と同様に最適状態までホイップした。
実験例1の評価方法に従って評価を行った。評価結果を表1に示した。
(実験例1)評価方法
実施例2、実施例3および比較例1で得られた含気泡油脂組成物をスポンジケーキにデコレーションし、−30℃の冷凍庫で10日間保存後、5℃の冷蔵庫内で5時間解凍した。その後、「割れ」および「口溶け」について専門パネル8名により、5段階での評価を行った。その結果を表1に示す。「割れ」および「口溶け」は、1(劣る)〜3(普通)〜5(良い)とした平均値で示した。 同時に得られた含気泡油脂組成物を絞り口付プラスチック三角袋に充填して、−30℃の冷凍庫で10日間保存後、5℃の冷蔵庫内で5時間解凍した。その後、絞り口付プラスチック三角袋より絞り出して、「造花性」、「口溶け」および「風味」について専門パネル8名により、5段階での評価を行った。その結果を表1に示す。「造花性」、「口溶け」および「風味」は、1(劣る)〜3(普通)〜5(良い)とした平均値で示した。
Figure 2010004875
表1から明らかなように、不凍タンパク質を含んでいる実施例2及び実施例3で得られた含気泡油脂組成物は、冷凍保存後、解凍しても、ひび割れを起こさず、口溶け、風味も良好であった。いずれの過酷な条件においても良好な商品性を維持し、冷凍保存後もホイップ直後と同じ程度の風味、口溶けを示した。一方、不凍タンパク質を含んでいない比較例1で得られた含気泡油脂組成物は、冷凍保存後、解凍すると、ひび割れが起こり、口溶けおよび風味も劣るものであった。
不凍タンパク質を含む効果は明らかである。
(実施例4)
実施例1(2)で得られた不凍タンパク質を含む水中油型乳化油脂組成物500g、生クリーム(乳脂肪分47%)500gおよび実施例1(1)で調製した不凍タンパク質0.0025%を原料にして、実施例2と同様にして最適状態までホイップした。
実験例2の評価方法に従って評価を行った。評価結果を表2に示した。
(比較例2)
実施例1(3)で得られた不凍タンパク質を含まない水中油型乳化油脂組成物500gおよび生クリーム(乳脂肪分47%)500gを原料にして、実施例2と同様にして最適状態までホイップした。
実験例2の評価方法に従って行った。評価結果を表2に示した。
(実施例5)
実施例1(1)で調製した不凍タンパク質0.005%および生クリーム(乳脂肪分47%)1000gを原料にして、実施例2と同様にして最適状態までホイップした。
実験例2の評価方法に従って評価を行った。評価結果を表2に示した。
(比較例3)
実施例1(1)で調製した不凍タンパク質を除いた以外は実施例5と同様にして最適状態までホイップした。
実験例2の評価方法に従って評価を行った。評価結果を表2に示した。
(実験例2)評価方法
実施例4、実施例5、比較例2および比較例3で得られた含気泡油脂組成物をスポンジケーキにデコレーションし、−30℃の冷凍庫で10日間保存後、5℃の冷蔵庫内で5時間解凍した。その後、「割れ」および「口溶け」について専門パネル8名により、5段階での評価を行った。その結果を表1に示す。「割れ」および「口溶け」は、1(劣る)〜3(普通)〜5(良い)とした平均値で示した。 同時に得られた含気泡油脂組成物を絞り口付プラスチック三角袋に充填して、−30℃の冷凍庫で10日間保存後、5℃の冷蔵庫内で5時間解凍した。その後、絞り口付プラスチック三角袋より絞り出して、「造花性」、「口溶け」および「風味」について専門パネル8名により、5段階での評価を行った。その結果を表1に示す。「造花性」、「口溶け」および「風味」は、1(劣る)〜3(普通)〜5(良い)とした平均値で示した。
Figure 2010004875
表2から明らかなように、不凍タンパク質を含んでいる実施例4及び実施例5で得られた含気泡油脂組成物は、冷凍保存後、解凍するとホイップ直後よりは劣るものの、ひび割れの程度は低く、口溶け、風味も良く、不凍タンパク質を含んでいない比較例2および比較例3で得られた含気泡油脂組成物に比較すると非常に良好であった。
不凍タンパク質を含む効果は明らかである。
(実施例6)
ナタネ油28.25%からなる油脂部に生クリーム2.5%、コハク酸モノグリセリド0.2%、トコフェロール0.005%を添加し、60℃で溶解して油相部を作製した。
一方、水59.229%に実施例1(1)で調製した不凍タンパク質溶液5.0%、トータルミルクプロテイン(乳タンパク質含量82.0%)4.25%、ホエイパウダー0.175%、リン酸塩0.175%、精製塩0.133%、天日塩0.033%、親水性ポリグリセリド(坂本薬品工業社製、SYグリスターMS−5S)0.05%を60℃にて溶解した水相部を作製した。この油相部と水相部を20分間予備乳化を行った後、70Kg/cm2の圧力で均質化処理を行った。その後142℃で3秒間滅菌処理を行った後、10℃まで冷却して不凍タンパク質含有水中油型乳化油脂組成物を得た。
(実施例7)ホワイトソース様食品の製造
ホワイトルー(株式会社カネカ社製、ホワイトルーGE60M)10.0%を木ベラで伸ばした後、実施例6で得た水中油型乳化油脂組成物20.0%を加え十分に伸ばし、粉末コンソメスープ0.002%、チーズパウダー0.3%、レモン果汁0.1%、水69.58%の順番で添加し、品温が85℃になるまで加熱を続けてホワイトソースを得た。
得られたホワイトソースはクリーム風味が強く濃厚であり且つ乳、油による味の後残りが少なくさっぱりした後味であった。物性は、きめが細かく非常に滑らかで、乳化破壊も確認されなかった。
不凍タンパク質含有水中油型乳化油脂組成物を乳製品の代替品として、ホワイトソースに使用可能であることは明らかである。

Claims (22)

  1. 不凍タンパク質を含有することを特徴とする含気泡油脂組成物。
  2. 不凍タンパク質が、植物由来であることを特徴とする請求項1に記載の含気泡油脂組成物。
  3. 不凍タンパク質が、アブラナ科、セリ科、ユリ科、またはキク科に属する植物からなる群から選ばれる1以上の植物から得られることを特徴とする請求項2に記載の含気泡油脂組成物。
  4. 不凍タンパク質が、ハクサイ、ダイコン、ブロッコリー、チンゲン菜、コマツナ、カブ、シロナ、野沢菜、広島菜、ミズナ、マスタード、ニンジン、ネギ、春菊、および、これらの類縁品種・改良品種からなる群から選らばれる1以上の植物から得られることを特徴とする請求項3に記載の含気泡油脂組成物。
  5. 不凍タンパク質が、植物の全体または一部分から得られることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の含気泡油脂組成物。
  6. 不凍タンパク質が、植物の葉、葉柄、花、果実、枝根、芽、種子からなる群から選ばれる1以上の部分から得られることを特徴とする請求項5に記載の含気泡油脂組成物。
  7. 不凍タンパク質を0.000005重量%以上含有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の含気泡油脂組成物。
  8. 不凍タンパク質を1.0重量%以下含有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の含気泡油脂組成物。
  9. 水中油型乳化油脂組成物をホイップすることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の含気泡油脂組成物の製造方法。
  10. 不凍タンパク質を含有する水中油型乳化油脂組成物をホイップすることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
  11. 水中油型乳化油脂組成物をホイップする際に、不凍タンパク質を加えることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
  12. 請求項1から8のいずれか1項に記載の含気泡油脂組成物を製造するために用いることができる、不凍タンパク質を含有する水中油型乳化油脂組成物。
  13. 不凍タンパク質を含有することを特徴とする水中油型乳化油脂組成物。
  14. 不凍タンパク質が、植物由来であることを特徴とする請求項13に記載の水中油型乳化油脂組成物。
  15. 不凍タンパク質が、アブラナ科、セリ科、ユリ科、またはキク科に属する植物からなる群から選ばれる1以上の植物から得られることを特徴とする請求項14に記載の水中油型乳化油脂組成物。
  16. 不凍タンパク質が、ハクサイ、ダイコン、ブロッコリー、チンゲン菜、コマツナ、カブ、シロナ、野沢菜、広島菜、ミズナ、マスタード、ニンジン、ネギ、春菊、および、これらの類縁品種・改良品種からなる群から選らばれる1以上の植物から得られることを特徴とする請求項15に記載の水中油型乳化油脂組成物。
  17. 不凍タンパク質が、植物の全体または一部分から得られることを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載の水中油型乳化油脂組成物。
  18. 不凍タンパク質が、植物の葉、葉柄、花、果実、枝根、芽、種子からなる群から選ばれる1以上の部分から得られることを特徴とする請求項17に記載の水中油型乳化油脂組成物。
  19. 不凍タンパク質を0.000005重量%以上含有することを特徴とする請求項13から18のいずれか1項に記載の水中油型乳化油脂組成物。
  20. 不凍タンパク質を1.0重量%以下含有することを特徴とする請求項13から19のいずれか1項に記載の水中油型乳化油脂組成物。
  21. 請求項12から20のいずれか1項に記載の水中油型乳化油脂組成物を含有する食品。
  22. 請求項12から20のいずれか1項に記載の水中油型乳化油脂組成物を乳製品代替品として含有することを特徴とする請求項21に記載の食品。
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