JP2010002677A - 濃度分布マスクとその製造方法及びマイクロレンズアレイの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】濃度分布マスクを用いて露光して形成するマイクロレンズアレイの、感光性材料へのパターン露光の露光効率を良くするとともに、マイクロレンズの形状の縦横の寸法の誤差を小さくしたマイクロアレイレンズを得る。
【解決手段】濃度分布マスクの個々の単位レンズのパターンの中心から同心円状に形成した仮想的な階調境界円により分割された単位レンズの環状領域毎に、階調に応じた寸法の菱形の遮光パターンを、仮想的な縦横の格子の交点の格子点の位置に設置した濃度分布マスクを用いてマイクロレンズアレイを製造する。
【選択図】図2

Description

本発明は、撮像デバイスに利用されるマイクロレンズアレイの製造方法に用いる濃度分布マスクとその製造方法、及び、その濃度分布マスクを用いたマイクロレンズアレイの製造方法に関する。
ビデオカメラ、ディジタルカメラ、カメラ付き携帯電話などに用いられる撮像デバイスは高画素化が求められている。画素が微細となると、画素を構成するCCD、CMOS等からなる受光素子も微細となる。微細な受光素子への集光効率を高めるため、受光素子の光が入射する面側にマイクロレンズを形成する方法が広く利用されている。これは、画素への入射光を効率よくマイクロレンズにて集光して、受光素子に入射させ、受光感度を向上させるためである。
このようなマイクロレンズに所望する曲面を形成するために、特許文献1から3で、3次元形状作成用濃度分布マスクを用いた感光性材料へのパターン露光および現像により、基板上に3次元構造の感光性材料パターンを形成する方法、又は、その感光性材料パターンを基板に彫り写すことにより3次元構造の表面形状をもつ物品を製造する方法が提案されている。この濃度分布マスクを用いる方法にてマイクロレンズを製造すれば、隣接するマイクロレンズ同士を接して形成することが可能になるためマイクロレンズで画素領域を覆う割合を大きくでき、集光性が向上できる。
特許文献1によれば、3次元形状の工程や傾斜面は、露光マスクの濃淡(光透過率100%から0%の間の任意の濃度)と中間階調の濃度の連続的な変化により露光光の透過率を変化させ、感光性材料に露光する光量を変化させ、露光量に応じた膜厚を有する感光性材料を得ることにより実現している。
具体的には、濃度分布マスクの露光に使用される領域には、遮光パターンの配置する場所(座標)を決めるために、平面視で、複数本の平行線(例えば、単位レンズの中心を原点とするX軸に平行な複数の線)と、前記複数本の平行線と各々直交する複数本の線(例えば、単位レンズの中心を原点とするY軸に平行な複数の線)とからなる格子を仮りに設定している。その格子の交わる格子点(座標)上に、円形の遮光パターン(ドット)を互い違いに千鳥足状に配置する。その円形の遮光パターンを、段階的に大きさを変えて形成し、所定の透過量(あるいは濃度)を得ている。
円形の遮光パターンの大きさが段階的に変化するものであっても、単位セルが充分に小さければ、例えば露光装置の解像度又は使用する感光性材料の解像度よりも単位セルの大きさ、もしくは遮光パターンの大きさが小さければ、結果として、露光から現像処理により感光性材料で形成されるパターンの表面形状は連続的に変化する3次元形状になる。
特許文献1では、円形の遮光パターンで形成された濃度分布マスクを用いて、写真製版工程(フォトリソ工程)で以下の工程を含めた方法で、基板上に3次元構造の感光性材料パターンによるマイクロレンズを形成している。
(1)前記のような3次元構造を製作するために、その3次元構造を基に露光時の露光量の全体的な光強度分布を計算し、基板上での各ポイントの感光性材料の除去量をシミュレーションで計算し、除去量に見合った光を透過する寸法の円形の遮光パターンの配列を設計する計算シミュレーション工程。
(2)透明基板上に遮光膜を形成し、さらにその上にマスク用感光性材料層をもつマスク
ブランクスに電子線またはレーザー光線によって前記の設計された円形の遮光パターンの配列に基づいて露光し、現像してマスク用感光性材料パターンを形成するパターン化工程。
(3)形成されたマスク用感光性材料パターンをマスクにして、前記遮光膜をドライエッチング又はウエットエッチングして円形の遮光パターンの配列を形成する工程。
(4)次いで必要により、工程(3)で形成された遮光パターンを工程(1)で設計された円形の遮光パターンの配列と比較し、両者が一致するように前記形成された濃度分布マスクの遮光パターンを修正する工程。
また、特許文献2では、遮光パターンを矩形にして、格子の交わる格子点(座標)上に配置する。特許文献3では、遮光パターンを矩形にすることで、電子ビーム描画装置で濃度分布マスクを描画する場合に、描画パターンのデータ量を特許文献1より少なくした。データ量が少なくなる理由は、電子ビーム描画装置は、スループットを高くするため、電子銃から放射された電子ビームを2枚の矩形のアパーチャを通して矩形ビームに形成し、そして、成形された矩形ビームを縮小倍率レンズ系で縮小し、濃度分布マスク用の基板上に収束投影することで濃度分布マスクの遮光パターンを描画するため、遮光パターンを矩形にすると、1つの矩形の投影だけで遮光パターンが描画できるからである。更に、特許文献3では、図6(b)のように、矩形の遮光パターンを、格子の交わる格子点(座標)上に、互い違いに千鳥足状に配置した。
以下に公知文献を記す。
特開2002−244273号公報 特開2007−41094号公報 特開2007−298625号公報
この矩形の遮光パターンは、濃度分布マスクのポジ型のパターンでは、開口部になる。そして、濃度分布マスクによるマイクロレンズアレイの感光性材料へのパターン露光の際に、遮光パターン(ポジ型マスクでは開口部)を通る露光用の光は、遮光パターン(開口部)の境界線から内側に露光用光の半波長(λ/2)程度の領域では光が透過せず、遮光パターン(開口部)の実質的な直径はその遮光パターンの直径より1波長(λ)分小さくなる。そのため、特許文献2の濃度分布マスクでは、矩形の遮光パターンを格子点上に配置するので、矩形の遮光パターンの縦横の寸法が最大の寸法の、格子間隔(α)程度まで大きくなった場合でも、その遮光パターンの実質的な縦横の寸法は格子間隔(α)より1波長(λ)分小さくなり、露光光の濃度分布マスクの最大の透過光量の割合は、露光光よりも(1−λ/α)の二乗に少なくなった。例えば、露光光の波長λに365nmを用い、ステッパーで5分の1に縮小投影する像のピッチを150nmにするための元の濃度分布マスクのパターンを、その格子間隔(α)を750nmにする場合では、その濃度分布マスクの遮光パターン(開口部)の最大透過率は57%になってしまい、露光の効率が悪い問題があった。
一方、特許文献3の濃度分布マスクでは、図6(b)のように、矩形の遮光パターンを格子点上に千鳥足状に設置するので、遮光パターンの縦横の寸法の最大値は格子間隔(α)の2倍まで大きくなり、そのときの露光光の濃度分布マスクの最大の透過光量は、1より、(λ/α)の二乗の2分の1だけ小さくなった程度である。格子間隔(α)を750nmとし、露光光の波長λに365nmを用いる場合に、最大透過率は97%あり、露光の効率が良い。しかし、特許文献3では、遮光パターンの縦横の配列の間隔は、格子間隔(α)の2倍あるので、濃度分布マスクを用いて製造するマイクロレンズの形状の縦横の寸法の誤差が2α程度あり、縦横の寸法の誤差が大きい問題があった。
本発明は、この問題点を解決し、濃度分布マスクを用いて露光して形成するマイクロレンズアレイの、感光性材料へのパターン露光の露光効率を良くするとともに、マイクロレンズの形状の縦横の寸法の誤差を小さくしたマイクロアレイレンズを得ることを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、単位レンズを複数配列したマイクロレンズアレイの製造に用いる濃度分布マスクにおいて、前記濃度分布マスクの個々の単位レンズのパターンの中心から同心円状に形成した仮想的な階調境界円により分割された単位レンズの環状領域毎に、階調に応じた寸法の菱形の遮光パターンを、仮想的な縦横の格子の交点の格子点の位置に設置したことを特徴とする濃度分布マスクである。
また、本発明は、上記の濃度分布マスクの製造方法において、前記濃度分布マスクの前記環状領域内の前記格子点の位置に前記環状領域の階調に応じた寸法の菱形の遮光パターンを描画する描画位置と遮光パターンの寸法から成る描画データを作成する工程と、次に、電子銃から放射された電子ビームを、第1の電子ビームアパーチャと、45度の開口辺を有する第2の電子ビームアパーチャを通すことで菱形ビームに成形する構成を有する電子ビーム描画装置により、前記菱形ビームを、縮小倍率レンズ系で縮小し、前記濃度分布マスク用の透明基板の遮光膜上に形成したマスク用感光性レジストに、前記描画データにより指定された寸法の菱形の遮光パターンを指定された描画位置に投影する工程と、前記マスク用感光性レジストを現像することで得たレジストパターンで前記遮光膜を被覆して前記遮光膜をエッチングすることで遮光パターンを形成する工程を有することを特徴とする濃度分布マスクの製造方法である。
また、本発明は、上記の濃度分布マスクを用いて、マイクロレンズアレイ用基板上に塗布した感光性レンズ材料層に、上記濃度分布マスクのパターンを露光し、前記感光性レンズ材料層を現像することで単位レンズの配列を製造する工程を有することを特徴とするマイクロレンズアレイの製造方法である。
また、本発明は、上記のマイクロレンズアレイの製造方法において、上記マイクロレンズアレイ用基板が、撮像デバイスの半導体基板上にカラーフィルター層を形成したマイクロレンズアレイ用基板であることを特徴とするマイクロレンズアレイの製造方法である。
本発明のマイクロレンズアレイの製造方法は、以上のように、単位レンズを複数配列したマイクロレンズアレイを形成するための、縦横の仮想的な格子の交点の格子点の位置に菱形の遮光パターンを設置した濃度分布マスクを用いてマイクロレンズアレイを製造する為、電子ビーム露光装置で少ない描画データ量で遮光パターンを描画できる濃度分布マスクが形成される効果があり、また、露光して形成するマイクロレンズアレイの、感光性材料へのパターン露光の露光効率を良くするとともに、マイクロレンズの形状の縦横の寸法の誤差を小さくしたマイクロアレイレンズを製造できる効果がある。
本実施形態では、図1に示すように、撮像デバイス10の半導体基板11上に平坦化層13とカラーフィルター層14を形成して成るマイクロレンズアレイ用基板15上に、感光性レンズ材料層20を塗布し、それに濃度分布マスク2のパターンを露光し感光性レンズ材料層20を現像することで、その撮像デバイス10の個々の受光素子12毎に、平坦化層13上のカラーフィルター層14の画素14r、14g、14b上に、個々のマイクロレンズ(単位レンズ)を形成することでマイクロレンズアレイ1を製造する。個々の単
位レンズは、平面上の画素の配列の個々のカラーフィルター層14の画素14r、14g、14b毎に夫々平面視略矩形状の単位レンズを配置する。
(濃度分布マスク)
マイクロレンズアレイ1の形成用の濃度分布マスク2は、実際に形成するパターンの5倍や4倍や1.25倍の寸法に拡大して露光用パターンを形成し、パターン露光時に、縮小投影型露光装置(ステッパー)で縮小して、露光光の波長以下の寸法のパターンにして投影する。あるいは、濃度分布マスク2を実際に形成するパターンと同じ縮尺の寸法に形成し、マスクアライナーで濃度分布マスク2のパターンを半導体基板11に、コンタクト露光あるいはプロキシミティ露光又は投影露光しても良い。
本発明の濃度分布マスク2を得るにあたり、先ず、図2(a)に平面図を示すように、個々の単位レンズ毎に、単位レンズの中心の周りの同心円の階調境界円5により単位レンズの領域を環状領域6に分割する。なお、単位レンズの中心では、環状領域6は円形である。中心から離れると、環状領域6は隣接する階調境界円5に囲まれたドーナツ状の領域となる。ちなみに、図2(a)の各単位レンズでは4個の環状領域6に分割されている。
図2(b)には、マイクロレンズアレイ1の個々の単位レンズを形成する領域の濃度分布パターン3(ネガ型)を示す。個々の単位レンズの領域では、正方形を45度傾けた形の菱形の遮光パターン4を格子状に並べて濃度分布パターン3を形成する。遮光パターン4は後述する格子間隔で設定した縦横の格子の交差点の格子点4aの座標位置に設置する。図2(a)の階調境界円5で分割した環状領域6毎に、すなわち、単位レンズの中心からの距離が異なる円環状の環状領域6毎に指定された階調(グレースケール:濃度)に従って、図2(b)に示すように、寸法(面積)を変えた遮光パターン4を設置する。こうして、寸法が異なる環状領域6毎に階調を変える。図2(b)の濃度分布マスク2のネガパターンは、単位レンズの中心に近い環状領域6ほど、個々の遮光パターン4の面積を大きくすることで濃度を薄くするように階調を変化させた。そして、このネガパターンの白黒を反転し、個々の単位レンズ毎の濃度分布パターン3を有するポジ型の濃度分布マスク2を製造する。その濃度分布マスク2を介してポジ型の感光性レンズ材料層20を露光する。
本実施形態は、菱形の遮光パターン4を格子状に配列した濃度分布マスク2を用いるので、この濃度分布マスクによるマイクロレンズアレイ1の感光性材料へのパターン露光の露光効率は、格子間隔(α)を750nmとし、露光光の波長λに365nmを用いる場合に、最大透過率は76%あるとともに、マイクロレンズ1の縦横の形の寸法精度を750nm程度に精度を良くしてマイクロレンズ1を製造できる効果がある。
(濃度分布マスクの階調)
濃度分布マスク2の濃度(階調)は、グリッド(格子)上の格子点4aの座標位置に配置された菱形の遮光パターン4の寸法を変えて調整する。すなわち、菱形の遮光パターン4の辺の長さを0からグリッドの格子間隔の1.4倍の大きさにまで変えることにより、マスクの光透過率を変えて調整する。菱形の遮光パターン4の辺の長さがグリッドの格子間隔の0.7倍の場合は、遮光パターン4と、その間の同じ大きさの菱形の開口パターンとが市松模様に形成される。菱形の遮光パターン4の辺の長さが開口パターンより大きい場合は、隣接する菱形の遮光パターン4同士が重なり合い、その間の菱形の開口パターンの寸法が小さくなる。こうして単位面積当たりに形成される光透過部の割合により濃度分布マスク2の階調を調整する。
図3の平面図に、マイクロレンズアレイ1の単位レンズの濃度分布パターン3内の階調境界円5a、5b、5c、5dの位置と、その間の環状領域6a、6b、6c、6dを示
す。その階調境界円5aから5dの間の環状領域6aから6d毎に、指定された階調に応じた寸法の菱形の遮光パターン4を格子点4aに設置して、本発明に係わる濃度分布マスク2を作製する。
(濃度分布マスクの格子点の格子間隔)
濃度分布マスク上には、遮光パターンの配置する場所(座標)を決めるために、平面視で、複数本の平行線(例えば、単位レンズの中心を原点とするX軸に平行な複数の線)と、前記複数本の平行線と各々直交する複数本の線(例えば、単位レンズの中心を原点とするY軸に平行な複数の線)とからなる格子を仮りに設定している。平行線同士が交差する格子点4a(グリッド)の格子間隔は以下の様に設定する。すなわち、半導体基板11側のステッパーの投影レンズの開口比をNaとし、露光する光の波長をλとすると、(λ/Na)に0.2から0.7の係数K1を掛け算した値の寸法より小さい格子間隔のグリッドとする。
かかる格子間隔とした格子点(座標)上に、菱形の遮光パターン4を図2(b)の様に格子状に配置する。この投影レンズの開口比Naは最大1.3まで可能である。例えば、半導体基板11を露光する光の波長λが0.365μmの場合、投影レンズのNaが0.5程度でK1が0.2の場合、遮光パターンが置かれるグリッド(座標)の格子間隔の上限は概ね0.15μmになる。この場合は、縮尺が5倍の濃度分布マスク2には、750nmの格子間隔のグリッド(座標)上に遮光パターン4を格子状に配置したパターンを形成する。この遮光パターンをステッパーで5分の1に縮小してマイクロレンズアレイ用基板15上に塗布した感光性レンズ材料層20に投影する。あるいは、概ね1μmの格子間隔の格子点4a(グリッド)に遮光パターン4を格子状に設置し、1:1の縮尺の濃度分布マスク2のパターンを形成した濃度分布マスク2を作製し、その濃度分布マスク2の遮光パターンをマスクアライナーでマイクロレンズアレイ用基板15上の感光性レンズ材料層20に投影する露光処理を行うこともできる。これにより、個々の単位レンズ毎に異なる濃度分布パターン3が感光性レンズ材料層20に露光し、それを現像することにより、マイクロレンズアレイ用基板15の位置毎に異なる形状の単位レンズを複数配列したマイクロレンズアレイ1を作製することができる。すなわち、本発明で言う格子及び格子点は、遮光パターン4を配置する座標を決めるために仮に設定しているもので、濃度分布マスク上には存在しないパターンである。
(濃度分布マスクの製造方法)
このようにパターンを設計して製造する濃度分布マスク2は、半導体基板11上に樹脂のマイクロレンズアレイ1を形成するために用いる。それは、そのパターンの設計を含めて、以下の工程で製造する。
(工程1)マイクロレンズアレイ1を製造するために、そのマイクロレンズアレイ1の3次元構造を基に露光時の露光量の全体的な光強度分布を計算し、マイクロレンズアレイ用基板15上での各ポイントの感光性レンズ材料層20の除去量をシミュレーションで計算し、除去量に見合った光を透過するように菱形の遮光パターン4の大きさを設計する。
(工程2)濃度分布マスク用の合成石英ガラス基板からなる透明基板上にCr等の金属もしくは金属酸化物の遮光膜を形成し、さらにその上にマスク用感光性レジストを形成する。こうして形成したマスクブランクスに電子ビーム描画装置で以下のようにして菱形の遮光パターン4を描画し、マスク用感光性レジストを現像してマスク用パターンを形成する。すなわち、電子ビーム描画装置は、電子銃から放射された電子ビームを、第1の電子ビームアパーチャと、次に、45度の開口辺を有する第2の電子ビームアパーチャを通すことで菱形ビームに成形する。そして、成形された菱形ビームを縮小倍率レンズ系で縮小し、濃度分布マスク用の基板上に収束投影することで菱形の遮光パターン4を描画する。これにより、電子ビーム描画装置が、少ない描画データで目的の菱形の遮光パターン4を
透明基板上のマスク用感光性レジストに描画することができる。
(工程3)こうして形成されたマスク用感光性レジストのパターンをエッチングマスクにして前記の金属もしくは金属酸化物の遮光膜をドライエッチング又はウエットエッチングし遮光パターン4を形成する。
(工程4)次いで必要に応じ、工程(3)で形成された遮光パターン4を工程(1)で設計された遮光パターン4と比較し、両者が一致するように、濃度分布マスク2の遮光パターン4の寸法を修正する。
(露光強度分布のシミュレーション)
図4に、単位レンズの縦横の寸法が約2μmのマイクロレンズアレイ1の濃度分布マスク2を用いて感光性レンズ材料層20に露光する場合の露光光量のシミュレーション結果を示す。図2(b)のように、階調境界円5間の環状領域6毎に、ステッパーで縮小投影するピッチが約140nmの格子点4a上に遮光パターン4を、階調の指定に応じて寸法を変えて設置したポジ型の濃度分布マスク2を形成した。図4(b)に、そのポジ型の濃度分布マスク2を用いてポジ型の感光性レンズ材料層20を露光する場合の露光光の強度分布のシミュレーション結果の平面図を示す。図4(a)に、図4(b)の横方向の直線の位置の露光光の強度を縦軸であらわすグラフを実線で示し、斜め45度方向の直線の位置の露光光の強度を破線であらわすグラフを示す。図4(a)、(b)に示すように、露光光の強度分布は、単位レンズ毎に3次元的なお椀形(凹状)の湾曲面の光強度分布が形成された。これにより、ポジ型の感光性レンズ材料層20を露光し、現像することで凸状の単位レンズの配列のマイクロレンズアレイ1が形成される。
なお、ポジ型の濃度分布マスク2は、隣接する単位レンズの濃度分布パターン3同士の境界線上に両単位レンズの濃度分布パターン3にかかるように、スリット(ネガ型のパターンでは帯状遮光部になる)を形成することが望ましい。それにより、単位レンズにおける濃度分布パターン3は、端部が中央部に比べ透過率を急激に変えることができ、急激に透過率を高くすることで、この濃度分布マスク2のパターンを感光性レンズ材料層20に露光・現像して形成する単位レンズの傾斜をレンズの端部で大きくできる。特に、単位レンズの濃度分布パターン3の四隅のパターンを四隅近傍のパターンに比し大きく開口して光を多く透過させるパターンで形成した濃度分布マスク2によりポジ型の感光性レンズ材料層20に露光・現像して形成する各単位レンズの表面の曲率は、単位レンズの対角方向の端部近傍を中央部と同等の球面曲率で形成できる効果がある。
(マイクロレンズアレイの製造方法)
以下、この濃度分布マスク2を用いてカラー撮像デバイス10にマイクロレンズアレイ1を製造する方法について、図5と図1を参照し詳細に説明する。先ず、図5(a)に示すように、複数のCMOSの撮像デバイス10のパターンが形成された半導体基板11を用いる。この撮像デバイス10は受光素子12の配列から成り、個々の受光素子12に対応する各画素のサイズは、長方形もしくは正方形等の四角形状で寸法が略0.5μm〜略100μmの範囲であり、例えば略0.8μm〜略2.7μmの画素の撮像デバイス10が形成された半導体基板11を用いる。
(工程1)
次に、図5(b)に示すように、半導体基板11の表面に熱硬化型のアクリル系樹脂をスピンコートにより塗布した後に加熱して熱硬化させることにより略0.1μmの厚さの平坦化層13を形成する。
(工程2)
次に、図5(c)に示すように、平坦化層13の上に、個々の受光素子12に対応した個々の画素で、厚さが略1μmの緑,青,そして赤の3色の画素14g、14b、14r
から成るカラーフィルター層14を形成する。この3色のカラーフィルター層14の画素14g、14b、14rは、平坦化層13の上の全面に均一に夫々の色のネガ型あるいはポジ型のカラーレジスト層を順次形成し、所望の受光素子12に対応した位置にのみ夫々の色のカラーフィルター層14の画素14g、14b、14rが残るようフォトリソグラフィー法により形成する。こうして、半導体基板11上に平坦化層13とカラーフィルター層14が形成されたマイクロレンズアレイ用基板15が形成される。
(工程3)
次には、図5(d)に示すように、マイクロレンズアレイ用基板15のカラーフィルター層14上に感光性レンズ材料層20を形成する。感光性レンズ材料層20は、カラーフィルター層14上にアクリル系樹脂やフェノール系樹脂やスチレン系樹脂を主体とするポジ型感光性レジスト材料をスピンコーターで1000〜2000rpmでコートし、約100℃で約2秒間プリベークすることで略0.6〜3μmの厚さに形成する。
(工程4)
次に、図5(e)に示すように、感光性レンズ材料層20を、現像後に対応する受光素子12上のカラーフィルター層14のカラーフィルター層14の画素14g、14b、14r上に図1に示すマイクロレンズアレイ1の単位レンズ1g、1b、1rが形成されるように濃度分布マスク2を用いて、ステッパーで露光する。この各濃度分布マスク2は、5倍レチクルであり、感光性レンズ材料層20の表面に露光するパターンの寸法の5倍の大きさの寸法のパターンを用い、半導体基板11の領域(1)の感光性レンズ材料層20の表面に濃度分布マスク2のパターンを1/5に縮小して、紫外線域の365nmの波長の光を200〜300mJ/cm2の露光量で照射する。
(工程5)
次に、その感光性レンズ材料層20を、有機アルカリ現像液(TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液:液濃度0.05重量%)を用いて現像する。
(工程6)
次に、現像後に残った感光性レンズ材料層20に365nmの波長の光を200〜2500mJ/cm2の露光量で照射することで、次の加熱処理によってマイクロレンズを形成する樹脂の熱だれが生じない程度に感光性レンズ材料層20を仮硬化させる。最後に、ホットプレートを使用して、3分間の160℃の加熱処理と、それに続く6分間の200℃の加熱処理とでベークすることで、図1のように単位レンズ1r、1g、1bを硬化させる。
このようにして、階調境界円5で単位レンズの領域を環状領域6に分割し、環状領域6内の格子点4a上に、指定した階調に合わせた大きさの遮光パターン4を格子状に設置した濃度分布マスク2のパターンを感光性レジスト材料20に露光して現像することで、半導体基板11のマイクロレンズアレイ1の領域において、複数の受光素子12上に平坦化層13を介し各々の受光素子12に対応して形成されたカラーフィルター層14の各画素14g、14b、14r上に、頂点の高さが0.6〜3μmの単位レンズ1g、1b、1rを形成する。
ここで、濃度分布マスク2のパターンは、単位レンズの中心から同心円状の環状領域6毎に階調を変化させたパターンを用いるが、その階調の変化は、ポジパターンでは単位レンズの中心から外側に向かって濃度を薄くするように階調を変化させた濃度分布マスク2を用いることで、濃度分布マスク2を介した露光光の強度分布のグラフは、単位レンズの領域にわたる3次元的なお椀形(凹状)の湾曲面の光強度分布で露光し、単位レンズの中心ほど厚く感光性レジスト材料20を残すことで、図1のように単位レンズを凸レンズにしたマイクロレンズアレイ1を形成することができる。あるいは、それとは逆に、ポジパ
ターンでは単位レンズの中心から外側に向かって遮光の濃度を薄くするように階調を変化させたパターンを用いることで、単位レンズを凹レンズにしたマイクロレンズアレイ1を形成することもできる。
また、本実施形態は、撮像デバイス10にマイクロレンズアレイ1を直接形成する製造方法に適用するのみならず、半導体基板11以外の母型のマイクロレンズアレイ用基板15上に塗布した感光性レンズ材料層20に濃度分布マスク2のパターンを露光し、それを現像してマイクロアレイレンズアレイ用母型を形成し、その母型に電鋳技術で金属めっきすることで金型を形成することもできる。その金型をスタンパにして熱可塑性樹脂に金型の形状を転写することで、撮像デバイス10用、又はその他のシステム用の樹脂のマイクロレンズアレイを形成することが可能である。
本発明の製造方法で形成されるマイクロレンズアレイの概略的な断面図である。 (a)本発明のマイクロレンズアレイ形成用の濃度分布マスクを示す平面図である。(b)本発明の濃度分布マスクのネガパターンにおける単位レンズの濃度分布パターンを示す平面図である。 本発明の単位レンズの濃度分布パターンの、階調境界円の位置を示す平面図である。(a)撮像デバイスの領域の中心の単位レンズの階調境界円の位置を示す平面図である。(b)撮像デバイスの領域の中心から外れた端部の単位レンズの階調境界円の位置を示す平面図である。 (a)図4(b)の横方向と斜め方向の露光強度を示すグラフである。(b)本発明の濃度分布マスクによる露光光の光強度分布を示す平面図である。 本発明のマイクロレンズアレイの製造工程を示す半導体基板の概略的な縦断面図である。 (a)従来のマイクロレンズアレイ形成用の濃度分布マスクを示す平面図である。(b)従来の濃度分布マスクのネガパターンにおける単位レンズの濃度分布パターンを示す平面図である。
符号の説明
1・・・マイクロレンズアレイ
1g、1b、1r・・・(マイクロレンズ)単位レンズ
2・・・濃度分布マスク
3・・・単位レンズの濃度分布パターン
4・・・遮光パターン
4a・・・格子点
5、5a、5b、5c、5d・・・階調境界円
6、6a、6b、6c、6d・・・環状領域
10・・・撮像デバイス
11・・・半導体基板
12・・・受光素子
13・・・平坦化層
14・・・カラーフィルター層
14g、14b、14r・・・カラーフィルター層の画素
15・・・マイクロレンズアレイ用基板
20・・・感光性レンズ材料層

Claims (4)

  1. 単位レンズを複数配列したマイクロレンズアレイの製造に用いる濃度分布マスクにおいて、前記濃度分布マスクの個々の単位レンズのパターンの中心から同心円状に形成した仮想的な階調境界円により分割された単位レンズの環状領域毎に、階調に応じた寸法の菱形の遮光パターンを、仮想的な縦横の格子の交点の格子点の位置に設置したことを特徴とする濃度分布マスク。
  2. 請求項1に記載の濃度分布マスクの製造方法において、前記濃度分布マスクの前記環状領域内の前記格子点の位置に前記環状領域の階調に応じた寸法の菱形の遮光パターンを描画する描画位置と遮光パターンの寸法から成る描画データを作成する工程と、次に、電子銃から放射された電子ビームを、第1の電子ビームアパーチャと、45度の開口辺を有する第2の電子ビームアパーチャを通すことで菱形ビームに成形する構成を有する電子ビーム描画装置により、前記菱形ビームを、縮小倍率レンズ系で縮小し、前記濃度分布マスク用の透明基板の遮光膜上に形成したマスク用感光性レジストに、前記描画データにより指定された寸法の菱形の遮光パターンを指定された描画位置に投影する工程と、前記マスク用感光性レジストを現像することで得たレジストパターンで前記遮光膜を被覆して前記遮光膜をエッチングすることで遮光パターンを形成する工程を有することを特徴とする濃度分布マスクの製造方法。
  3. 請求項1に記載の濃度分布マスクを用いて、マイクロレンズアレイ用基板上に塗布した感光性レンズ材料層に、前記濃度分布マスクのパターンを露光し、前記感光性レンズ材料層を現像することで単位レンズの配列を製造する工程を有することを特徴とするマイクロレンズアレイの製造方法。
  4. 請求項3に記載のマイクロレンズアレイの製造方法において、前記マイクロレンズアレイ用基板が、撮像デバイスの半導体基板上にカラーフィルター層を形成したマイクロレンズアレイ用基板であることを特徴とするマイクロレンズアレイの製造方法。
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