JP5365353B2 - 濃度分布マスク - Google Patents

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本発明は、撮像デバイスに利用されるマイクロレンズアレイの製造に用いる濃度分布マスクに関する。
ビデオカメラ、ディジタルカメラ、カメラ付き携帯電話などに用いられる撮像デバイスは高画素化が求められている。画素が微細化すると、画素を構成するCCD、CMOS等からなる受光素子も微細化する。微細な受光素子への集光効率を高めるため、受光素子の光が入射する面側にマイクロレンズを形成する方法が広く利用されている。これは、画素への入射光を効率よくマイクロレンズにて集光して、受光素子に入射させ、受光感度を向上させるためである。
このマイクロレンズは、特許文献1では、隣接するマイクロレンズ同士を互いに重複させた曲面を形成するために、濃度分布マスクのパターンを感光性材料層へ露光し現像する工程によって3次元の表面形状をもつ物品を製造する方法が提案されていた。この濃度分布マスクを用いる方法によれば、隣接するマイクロレンズ同士を接して形成することが可能になるためマイクロレンズで画素領域を覆う割合を大きくでき、集光性を良くできる効果がある。
特開2002−244273号公報
特許文献1の濃度分布マスクにより、単位レンズをX方向及びY方向に等ピッチで配列したマイクロレンズアレイが製造されていた。しかし、このマイクロレンズアレイの単位レンズのピッチが2μm以下で配列される場合に以下のように不具合を生じることがわかった。それは、円形の等濃度線を持つ濃度分布マスクを用いて撮像デバイスの上の感光性材料層に露光すると、光の干渉効果により、撮像デバイス上のポジ型の感光性材料層に露光される光の光量の等高線が円形で無くなり菱形に近い等高線になってしまうことがわかった。そのような光密度で露光してマイクロレンズアレイを製造すると、そのマイクロレンズアレイの単位レンズは球面では無くなる歪みを生じ、その単位レンズの集光能力が低下し性能が悪化する問題があった。
この現象が発生するのは、例えば、凸レンズ状の単位レンズをX方向及びY方向に等ピッチで配列するマイクロレンズアレイを形成する場合に、ポジ型の感光性材料層に濃度分布マスクのパターンを露光する場合に以下の現象が発生する。すなわち、ポジ型の感光性材料層を露光して凸レンズを形成する場合の結像パターンは、凸レンズの単位レンズの底面まで感光性材料層を掘り込むための露光強度を強くするために、単位レンズの四隅の位置に光量の高い部分があり、その部分に集中した光が、光の干渉効果によりその部分の外側に広がることにより、濃度分布マスクが投影する露光の結像パターンが歪む。
そのため、本発明は、撮像デバイスの基板上にレンズのピッチが2μm以下のマイクロレンズアレイを、濃度分布マスクを用いて形成する際に、光の干渉効果による光の結像パターンの歪みを補正した濃度分布マスクを得ることを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、感光性材料層に波長λ(μm)の光でパターンを露光・現像して、単位レンズをXY方向に(λ/0.365)μm以上(2λ/0.365)μm以下のピッチd(μm)で格子状に配列したマイクロレンズアレイを形成するために用いる濃度分布マスクであって、前記単位レンズの中心を原点とするXY座標であらわした前記濃度分布マスクの等濃度線の形が、パラメータkと半径rによるスーパー楕円式X +Y =rであらわされ、前記パラメータkが2.05以上で2.45以下であり、かつ、前記パラメータkが1.16+2.93(0.365d/λ)−2.14(0.365d/λ)+0.448(0.365d/λ)±0.5の範囲内にあることを特徴とするマイクロレンズアレイ形成用濃度分布マスクである。
単位レンズをXY方向に1μm以上2μm以下のピッチdで格子状に配列したマイクロレンズアレイを形成するために、濃度分布マスク2のパターンを波長λが0.365μmの光でポジ型の感光性材料層に露光すると、光の干渉効果により結像パターンに歪みを生じる。本発明の濃度分布マスクは、その等濃度線の形が以下に説明する式3で与えられるパラメータkによるスーパー楕円式X +Y =rであらわされるパターンの濃度分布マスクにすることで、波長λの光の干渉効果による結像パターンの歪みを少なくできる効果がある。
(a)本発明の第1の実施形態の単位レンズあたりの濃度分布マスクのパターンの等濃度線の平面図である。(b)本発明の第1の実施形態の単位レンズあたりの濃度分布マスクのパターンのX方向に沿った光透過率Pの分布を示すグラフである。 (a)本発明の濃度分布マスクの平面図である。(b)本発明のマイクロレンズアレイを有する撮像デバイスの側断面図である。 本発明の濃度分布マスクにより形成する単位レンズの断面図のシミュレーション結果である。 本発明の第1の実施形態のスーパー楕円のパラメータkの最適値のレンズのピッチの関数を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1(a)は、本発明のマイクロレンズアレイ1の単位レンズの領域における濃度分布マスク2の光透過率P毎の等濃度線をあらわす。ここで、濃度分布マスク2のパターンの寸法は、単位レンズのピッチdのn倍に形成し、その濃度分布マスク2のパターンをn分の1に縮小投影してマイクロレンズアレイ1を形成する。図1(b)は、濃度分布マスク2のX方向の光透過率Pの分布を示す。図2(a)は、濃度分布マスク2の平面図(XY平面)を示し、図2(b)は、その濃度分布マスク2を用いて撮像デバイス上の感光性材料層を露光することで得られるマイクロレンズアレイ1の断面形状を示す。濃度分布マスク2は、図2(a)に示すように、単位レンズの濃度分布パターン2aをX方向とY方向にレンズピッチdに対応するd×nのピッチで配列したパターンを有する。濃度分布マスク2のパターンは、マイクロレンズアレイ1を形成する半導体基板11上の感光性材料層に投影する寸法が露光に用いる光の波長λの解像度以下の微細な寸法の遮光パターン3の集合で形成する。
ここで、本発明の特徴は、マイクロレンズを作成するための濃度分布マスク2の光透過率Pが等しい等濃度線の形状をスーパー楕円式(式1)によって定義する点にある。
(式1) X +Y =r
(X,Y)は、単位レンズの中心を原点にした座標系であらわした単位レンズの部分の位置をあらわし、rは等濃度線の半径をあらわし、kはスーパー楕円のパラメータをあらわす。濃度分布マスク2のパターンは撮像デバイス10の感光性材料層に縮小して投影してマイクロレンズアレイ1を製造するので、マイクロレンズアレイ1と濃度分布マスク2の縮尺は異なる。そのため、以降では、説明を簡単にするため、濃度分布マスク2の寸法は、マイクロレンズ1を形成するために縮小投影する寸法に換算して説明する。
この濃度分布マスク2の半径rの等濃度線の光透過率Pは以下の式2で計算される光透過率Pを設定する。
(式2)
P=P1+(P0−P1){rb−√(rb−r)}/{rb−√(rb−r0)}
ここで、P0は単位レンズの底面の高さを与える光透過率であり、P1は単位レンズの頂点の高さを与える光透過率であり、rbは単位レンズの曲率半径のn倍(nは濃度分布マスク2の拡大率である)、r0は単位レンズの底面のX方向とY方向の半径のn倍であり、それはレンズのピッチdのn倍の半分である。この式2の光透過率Pを設定することで濃度分布マスク2で露光して形成するマイクロレンズアレイ1の単位レンズの表面を球面に形成することができる。
図1(a)は、濃度分布マスク2の光透過率P毎のXY面(基板面)の等濃度線の形状を、マイクロレンズを基板に配置するX方向とY方向の単位レンズの底面の半径r0のn倍の長さを1とする単位であらわす。ここでr0は、レンズのピッチd(例えば0.8μmから2μm)の半分のn倍である。すなわち、図1(a)は、XY面の等濃度線の形状を、以下の式1のスーパー楕円のパラメータkの値が2.5のスーパー楕円式(式1)であらわす。
図1(b)は、式2であらわした濃度分布マスク2の光透過率Pを縦軸にし、等濃度線の半径rを横軸Xであらわしたグラフである。この光透過率Pの分布は、ポジ型の感光性材料層に露光してレンズを形成するため、単位レンズの立体形状の高さを逆さにした形状になる。ここで、単位レンズの球面の曲率半径rbは1.25にした。図1(b)のように、単位レンズの底面の高さを与える光透過率P0の場合には、等濃度線の擬似円形のX方向とY方向の半径rの値は1であり、単位レンズの頂点の高さを与える光透過率P1では0になる。
図1(a)の等濃度線は、式1のスーパー楕円のパラメータkが2.5の場合の等濃度線をあらわす。スーパー楕円のパラメータkが2よりも大きいため、この等濃度線の形状は、円形と正方形の中間の形であり円形の4箇所が正方形の四隅に近づくように突出した形状である。濃度分布マスク2の設計装置が、このスーパー楕円式(式1)に基づき、(Xm,Yn)座標毎に単位レンズのスーパー楕円の半径rを求めて、式2により、その半径rが得られる濃度分布マスク2の光透過率値Pmnを計算する。また、濃度分布マスク2の設計装置が、その光透過率値Pmnを得る露光用濃度分布マスク2の遮光パターン3の直径Dmnを計算し、それにより、その寸法の遮光パターン3を有する濃度分布マスク2の設計データを計算する。それにより設計された図2(a)のような濃度分布マスク2を製作して、それを用いて以下の製造方法により感光性材料層に露光して現像することで、図2(b)のような撮像デバイス10のマイクロレンズアレイ1を製造する。すなわち、半導体基板11の受光素子12の上の平坦化層13の上のカラーフィルタ層14の上に、受光素子12毎に単位レンズを形成したマイクロレンズアレイ1を形成する。
(マイクロレンズアレイの製造方法)
この濃度分布マスク2を用いて、図2(b)のような、カラー撮像デバイス10にマイクロレンズアレイ1を製造する。例えば、受光素子12の配列から成り、個々の受光素子12に対応する各画素のサイズは、正方形で寸法が略0.5μm〜略100μmの範囲であり、ほぼ0.8μm〜略2μmの画素の複数のCMOSの撮像デバイス10が形成された半導体基板11を用いる。その半導体基板11の表面に熱硬化型のアクリル系樹脂により略0.1μmの厚さの平坦化層13を形成する。次に、平坦化層13の上に、個々の受光素子12に対応した個々の画素で、厚さが略1μmの緑,青,そして赤の3色の画素から成るカラーフィルタ層14を形成する。次に、カラーフィルタ層14上にアクリル系樹脂やフェノール系樹脂やスチレン系樹脂を主体とするポジ型の感光性材料層を略0.7〜1μmの厚さに形成する。次に、その感光性材料層に、紫外線域の365nmの波長の光を用いて、5倍レチクル(n=5)の濃度分布マスク2のパターンをステッパーで縮小投影する。そのように露光した感光性材料層を現像することでマイクロレンズアレイ1を形成する。最後に、200℃程度の加熱処理でベークすることで、図2(b)に示すマイクロレンズアレイ1を硬化させる。このようにして、半導体基板11において、複数の受光素子12上に平坦化層13を介し各々の受光素子12に対応して形成されたカラーフィルタ層14の各画素上に、頂点の高さが0.6〜1μmのマイクロレンズアレイ1を形成する。
ここで、撮像デバイスの基板上でレンズのピッチdが2μm以下で配列されるマイクロレンズアレイのパターンを有する濃度分布マスク2を、波長λが365nmの光で感光性材料層に縮小投影する際の光の干渉による投影する光量分布に不具合が生じる。その不具合を、スーパー楕円式(式1)であらわされる等濃度線を有する濃度分布マスクによりどの程度補正できるかをシミュレーションで調べた。その結果、以下のように、等濃度線をあらわす式1のスーパー楕円のパラメータkを、レンズのピッチdに応じた最適値に設定することで良好に光の干渉効果を補正して良好な光量分布の露光パターンが得られることがわかった。
(シミュレーションで導出したパラメータkの最適値)
図3は、シミュレーション結果の単位レンズの形を実線であらわし、理想的な球面形状の単位レンズの断面形状を破線で示す。このシミュレーションの条件は、レンズのピッチd(単位レンズの底面の直径)が1.6μmの場合に、濃度分布マスク2の等濃度線を式1のスーパー楕円であらわし、そのパラメータkの値を2から2.3まで変えた。その濃度分布マスク2のパターンを感光性材料層に波長λが0.365μmの光で露光・現像してマイクロレンズアレイ1を形成する場合の単位レンズの形をシミュレーションで求めた。図3(a)は、パラメータkの値が2の場合の単位レンズの断面を示し、左側の図は、XY座標で斜め45度方向に沿った単位レンズの断面の形状を示し、右側の図は、X方向に沿った単位レンズの断面の形状を示す。図3(b)は、パラメータkの値が2.2の場合、図3(c)は、パラメータkの値が2.3の場合を示す。図3から、パラメータkの値が2.2及び2.3のスーパー楕円の等濃度線を有する濃度分布マスク2で形成する単位レンズの形状は球面に近く歪みが小さい。特に、パラメータkの値が2.2の場合に、単位レンズの形状が最も球面に近く歪みが小さい。すなわち、レンズのピッチdが1.6μmの場合にスーパー楕円のパラメータkの最適値が2.2であることがわかった。このパラメータkの濃度分布マスク2のパターンを投影してマイクロレンズアレイ1を製造することで、単位レンズが球面に近く集光性能が良い理想的なマイクロレンズアレイ1を製造することができる効果がある。なお、スーパー楕円のパラメータkのこの最適値はプラスマイナス0.5程度の幅がある。
更に、レンズのピッチdを2μmから1μmまでの範囲内で変えてシミュレーションし、単位レンズが球面に最も近づき歪みを最も小さくするスーパー楕円のパラメータkの最適な値をレンズのピッチd毎に求めた。それにより得られたスーパー楕円のパラメータkの最適値を図4に黒丸印で示す。図4から、スーパー楕円のパラメータkは、レンズのピッチdが2μmから1μmまで小さくなるにつれて2.05から2.4まで大きくなることがわかった。このパラメータkの最適値はプラスマイナス0.5程度の幅がある。
図4のグラフは、波長λが365nmの場合に限定されず、任意の波長λの光で感光性材料層に露光する場合に、レンズのピッチdが(λ/0.365)λから(2λ/0.365)までの範囲での、スーパー楕円のパラメータkの最適値(2.4から2.05まで)をあらわすグラフでもある。パラメータkの値にはプラスマイナス0.5程度の幅があることも加味し、露光する光の波長をλとし、レンズのピッチをdとするとき、レンズのピッチdが(λ/0.365)λから(2λ/0.365)までの範囲での最適なk値は、2.05以上で2.45以下の値であって、レンズのピッチdの関数として以下の近似式3であらわされる。
(式3)
k=1.16+2.93(0.365d/λ)−2.14(0.365d/λ)+0.448(0.365d/λ)±0.5
この近似式3のグラフを図4に実線で示す。
以上で説明したように、単位レンズをXY方向に1μm以上2μm以下のピッチdで格子状に配列したマイクロレンズアレイを形成するために、濃度分布マスク2のパターンを波長λが0.365μmの光でポジ型の感光性材料層に露光すると、光の干渉効果により結像パターンに歪みを生じる。それに対して、本実施形態の濃度分布マスクは、その等濃度線の形が以下に説明する式3で与えられるパラメータkによるスーパー楕円式X +Y =rであらわされるパターンの濃度分布マスクにすることで、波長λの光の干渉効果による結像パターンの歪みを少なくできる効果がある。
1・・・マイクロレンズアレイ
2・・・濃度分布マスク
2a・・・単位レンズの濃度分布パターン
3・・・遮光パターン
10・・・撮像デバイス
11・・・半導体基板
12・・・受光素子
13・・・平坦化層
14・・・カラーフィルタ層
P・・・濃度分布マスクの光透過率
P0・・・単位レンズの底面の高さを与える光透過率
P1・・・単位レンズの頂点の高さを与える光透過率
d・・・レンズのピッチ

Claims (1)

  1. 感光性材料層に波長λ(μm)の光でパターンを露光・現像して、単位レンズをXY方向に(λ/0.365)μm以上(2λ/0.365)μm以下のピッチd(μm)で格子状に配列したマイクロレンズアレイを形成するために用いる濃度分布マスクであって、前記単位レンズの中心を原点とするXY座標であらわした前記濃度分布マスクの等濃度線の形が、パラメータkと半径rによるスーパー楕円式X +Y =rであらわされ、前記パラメータkが2.05以上で2.45以下であり、かつ、前記パラメータkが1.16+2.93(0.365d/λ)−2.14(0.365d/λ)+0.448(0.365d/λ)±0.5の範囲内にあることを特徴とするマイクロレンズアレイ形成用濃度分布マスク。
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