JP4844513B2 - 固体撮像素子およびそれを用いた撮像装置 - Google Patents
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Description
ここで、固体撮像素子には有効撮像領域周辺で感度が低下するシェーディングという現象がある。このシェーディングは、図18に示されるように、カメラレンズから入射する光が、有効撮像領域中心ではほぼ垂直に入射するのに対し、有効撮像領域周辺に向うにつれて入射角度が大きくなり、有効撮像領域周辺での受光部51に対する入射光量の低下が起こることにより生じる現象である。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、シェーディングを防止した固体撮像素子と、このような固体撮像素子を使用した撮像装置を提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記中間帯状部における異なる配置ピッチのマイクロレンズの混在比率は1:0〜0:1の範囲内で連続的に変化するような構成とした。
本発明の他の態様として、部分領域内での配置ピッチの異なるマイクロレンズの混在比率は、該部分領域内においてほぼ均一であるような構成とした。
本発明の他の態様として、部分領域内で配置ピッチの異なるマイクロレンズがランダムに配置されているような構成とした。
本発明の他の態様として、有効撮像領域に対応するマイクロレンズアレイの外形形状は撮像領域の中心に向って湾曲あるいは屈曲した形状であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記部分領域はモザイク状であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記部分領域は有効撮像領域中心を中心とする同心の環状領域であるような構成とした。
本発明の撮像装置は、像高が大きいほど像高の増加に対し主光線入射角の増加割合が小さくなる非線形のレンズ特性であるカメラレンズと、上述の固体撮像素子を備えるような構成とした。
本発明の撮像装置は、シェーディングが防止され、有効撮像領域内で、斜め入射に起因するケラレ等のロスが少なく、入射光量に対しての効率分布の少ない高品位のものであり、小型化、薄型化が可能である。
[固体撮像素子]
図1は本発明の固体撮像素子の一例を示す概略構成図である。図1において、固体撮像素子1は、一定の配置ピッチで設けられた複数の受光部3と遮光膜4を備える基板2と、遮光層6を備えたパッシベーション層5を介して基板2と対向するように積層された下平坦化層7、カラーフィルタ8、上平坦化層9、および、マイクロレンズアレイ10を有している。マイクロレンズアレイ10は、個々の受光部3に対応させて複数のマイクロレンズ11が2次元配置されたものである。そして、一定の配置ピッチで設けられた複数の受光部3に対して、マイクロレンズアレイ10を構成するマイクロレンズ11の配置ピッチが有効撮像領域の中心から周辺に向って変化するものである。尚、本発明の固体撮像素子は、図1に示す構成に限定されるものではない。
ここで、本発明における配置ピッチとは、マイクロレンズの中心間距離のことである。
また、中間帯状部での異なる配置ピッチの混在比率を連続的に、すなわち、1:0〜0:1に変化させた場合には、図2に鎖線で示されるように、更にスムースな平均ピッチ変化が可能となる。
尚、中間帯状部の幅は適宜設定することができ、例えば、部分領域の幅の1〜50%の範囲で、あるいは、20〜10,000μmの範囲で設定することができる。
尚、本発明における平均ピッチについては、第3の実施形態を例として後述する。
(第1の実施形態)
図4は、本発明の固体撮像素子の一実施形態におけるマイクロレンズの配置を説明するための図である。本実施形態の固体撮像素子は、有効撮像領域の中心からX軸方向のマイクロレンズの配置ピッチとY軸方向のマイクロレンズの配置ピッチとをそれぞれ2種以上で設定し、かつ、最小ピッチ差を0.2nm以上とし、さらに、有効撮像領域を中心から周辺に向って複数の部分領域に分割し、この複数の部分領域にはX軸方向の配置ピッチとY軸方向の配置ピッチの組み合わせが異なる部分領域を存在させ、また、個々の部分領域内の配置ピッチは一律とし、かつ、配置ピッチが異なる部分領域が隣接する境界部には、隣接する部分領域における各々の配置ピッチのマイクロレンズが混在している中間帯状部を設けたものである。すなわち、図4に示されるように、複数のマイクロレンズから構成されるマイクロレンズアレイにおいて、有効撮像領域が中心(0,0)から周辺に向ってX軸方向に3分割、Y軸方向に3分割され、モザイク状に(1)〜(9)までの9種の部分領域に分割されている。そして、隣接する部分領域には鎖線で示すような中間帯状部が設定されている。
本実施形態の固体撮像素子は、有効撮像領域の中心からX軸方向のマイクロレンズの配置ピッチとY軸方向のマイクロレンズの配置ピッチとをそれぞれ2種以上で設定し、かつ、最小ピッチ差を0.2nm以上とし、さらに、有効撮像領域を中心から周辺に向って複数の部分領域に分割し、この複数の部分領域には配置ピッチの異なるマイクロレンズが混在している部分領域を存在させたものである。
ここで、マイクロレンズの形成方法としては特に制限はないが、例えば、マイクロレンズ材料としてポジ型フォトレジストを用い、塗布、露光、現像のフォトリソグラフィー工程の後、フォトレジストをポストベークして溶融し凸レンズ状に成形する方法を挙げることができる。この成形方法で使用するマイクロレンズ用フォトマスクの一画素分を例示すると、図7のようになる。図7において、一画素21は、遮光部22と、その周囲の光透過部23からなっている。図示例での寸法B、Cは同じ値としてもよいが、マスク描画時のグリッド等の制約を受ける場合は異なる値としてもよい。
本実施形態の固体撮像素子は、上述の第2の実施形態と同様に、有効撮像領域の中心からX軸方向のマイクロレンズの配置ピッチとY軸方向のマイクロレンズの配置ピッチとをそれぞれ2種以上で設定し、かつ、最小ピッチ差を0.2nm以上とし、さらに、有効撮像領域を中心から周辺に向って複数の部分領域に分割し、この複数の部分領域には配置ピッチの異なるマイクロレンズが混在している部分領域を存在させたものである。
この実施形態では、画素受光部のピッチが2.0μm、画素数が2592個×1944個であり、カメラレンズが図20に示すようなレンズ特性を有する場合を例として説明する。このようなカメラレンズに対して、シェーディング補正としてマイクロレンズの配置ピッチを算出すると、図21に実線で示すようなグラフとなるが、本実施形態では、図21に鎖線で示す近似を行うものである。すなわち、図9に示されるように、有効撮像領域の中心(0,0)からX軸方向に3分割、Y軸方向に2分割して全体を24個の部分領域に分割する(図示例では中心(0,0)から右上の1/4の領域の6個の部分領域を示している)。そして、X軸方向に382画素までは配置ピッチ1.9973μm、382画素から最外周の1296画素までは配置ピッチ1.9973μmから1.9983μmまで直線的にピッチが変化するものと近似した(図21の鎖線参照)。また、有効撮像領域の中心(0,0)からY軸方向に382画素までは配置ピッチ1.9973μm、382画素から最外周の972画素までは配置ピッチ1.9973μmから1.9979μmまで直線的にピッチが変化するものと近似した。そして、マイクロレンズの配置ピッチは1.997μm、1.998μm、1.999μmの3種とし、X軸方向、Y軸方向の両成分を考慮して、下記の表2のように5種の配置ピッチの組み合わせを設定して、マイクロレンズを有効撮像領域全面に配置する。
上述の実施形態は例示であり、本発明の固体撮像素子はこれらに限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、部分領域はモザイク状であるが、図14に示されるように、部分領域を有効撮像領域中心を中心とする同心の環状領域としてもよい。
図15は、本発明の撮像装置の一実施形態を示す概略断面図である。図15において、本発明の撮像装置31は、本発明の固体撮像素子32を備えた基板33と、固体撮像素子32の外側に配した封止用部材34と、この封止用部材34を介して固体撮像素子32と所望の間隙を設けて対向するように配設された保護材35とを備えている。また、固体撮像素子32は配線36、表裏導通ビア37を介して外部端子38に接続されている。このようなセラミックパッケージ型の撮像装置31は、種々のデジタルカメラ、ビデオカメラ等に使用することができ、カメラの高感度化、小型化、薄型化が可能である。
本発明の撮像装置は上述の実施形態に限定されるものではなく、固体撮像素子として本発明の固体撮像素子を備えるものであればよく、従来の種々の撮像装置の構成をそのまま採用することができる。
[実施例]
まず、画素受光部ピッチ2.0μm、画素数2592個×1944個のCMOSイメージセンサーを形成したウェハを用意した。
次に、上記のウェハ上に、以下のようにして、下平坦化層、カラーフィルタ、上平坦化層、および、マイクロレンズを形成した。
(下平坦化層の形成)
ウェハ表面をスピンスクラパーで洗浄した後、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CT−2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って下平坦化層(厚み0.3μm)を形成した。
ネガ型感光性の赤色材料(R用材料)、緑色材料(G用材料)、青色材料(B用材料)として以下の材料を用意した。
R用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SR−4000L
G用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SG−4000L
B用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SB−4000L
G、R、Bの形成順序で、上記材料をスピン塗布し、プリベーク、1/5縮小型のi線ステッパーによる露光、現像、ポストベークを行って、RGBカラーフィルタ(厚み0.8μm)を形成した。尚、現像液として、富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CD−2000の50%希釈液を使用した。
RGBカラーフィルタ上に、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CT−2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って上平坦化層(厚み0.3μm)を形成した。
上平坦化層上に、マイクロレンズ材料としてJSR(株)製 MFR401Lをスピン塗布し、プリベーク、1/5縮小型のi線ステッパーによる露光、現像、後露光、ポストベークによるメルトフローを行って、マイクロレンズを形成した。尚、現像液として、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)の1.19%液を使用した。
上記の露光においては、図7にてB=C=0.1μmを基準とし、上述の第3の実施形態(図21に鎖線で示す近似を行う)に基く所定の配置ピッチ(1.997μm、1.998μm、1.999μmの3種のいずれか)で配列したマイクロレンズ用フォトマスクを使用した(表2、図9を参照)。このマイクロレンズ用フォトマスクの寸法Eは、基準ピッチA=1.999μmからE=1.799μmと決定され、配置ピッチ=1.998μmではD=0.001μm(1nm)となり(尚、B−D/2、C−D/2の値が1nm以下の端数を含むため、5倍体マスク上で5nmグリッドを維持するためには、それぞれ1.799μm、1.798μmに丸める必要がある)、また、配置ピッチ=1.997μmではD=0.002μm(2nm)となる。
次いで、ウェハのダイシングを行い、パッケージ組立を行って、本発明の固体撮像素子を作製した。
カラーフィルタ用のフォトマスクの配置ピッチを1.998μm(スケーリング率=99.900%)とし、マイクロレンズ用のフォトマスクの配置ピッチを1.9973μm(スケーリング率=99.865%)とした他は、実施例と同様にして固体撮像素子を作製した。
上述のように作製した固体撮像素子に関して、下記の条件で感度を測定し、結果を図17に示した。図17に示されるように、本発明の固体撮像素子は、シェーディング補正が有効になされ、その感度分布(図17に実線で示す)は比較例の固体撮像素子の感度分布(図17に鎖線で示す)に比べて約20%改善されていることが確認された。
これは、比較例でのマイクロレンズ配置ピッチが1.9973μm(一定)であり、図20のカメラレンズの像高、主光線入射角度の関係を示すプロットにおいて、像高(有効撮像領域中心からの距離の相当する)0.8mm未満の領域の、そのプロットの直線性が比較的良い領域に対応しているが、図20の像高0.8mm以上の領域では、像高の増加に対して主光線入射角度の増加割合が小さくなる非線形の特性であり、この領域で1.9973μmのマイクロレンズ配置ピッチを維持すると、周辺部に向うにつれて、主光線入射角度の増大に対して受光部(ピッチ2.0μm)とマイクロレンズのずれ量(受光部とマイクロレンズの配置ピッチを、有効撮像領域中心からその画素まで累積した値の差)が大きくなり過ぎる傾向となるため、周辺部で感度低下が生じていると考えられる。
(感度の測定条件)
作製した固体撮像素子に、カメラレンズとして図20に示す特性のものを用い、
白色光源に対するX軸方向の感度分布を測定した。
2…基板
3…受光部
4…遮光膜
5…パッシベーション層
6…遮光層
7…下平坦化層
8…カラーフィルタ
9…上平坦化層
10…マイクロレンズアレイ
11…マイクロレンズ
31,41…撮像装置
32,42…固体撮像素子
Claims (11)
- 所定のピッチで2次元配置された複数の受光部と、個々の前記受光部に対応させて複数のマイクロレンズが2次元配置されてなるマイクロレンズアレイとを少なくとも備え、該マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズの配置ピッチが、像高が大きいほど像高の増加に対し主光線入射角の増加割合が小さくなる非線形のレンズ特性であるカメラレンズに適合するように、有効撮像領域の中心から周辺に向って変化している固体撮像素子において、
有効撮像領域の中心からX軸方向のマイクロレンズの配置ピッチとY軸方向のマイクロレンズの配置ピッチとはそれぞれ2種以上で設定され、かつ、X軸方向のマイクロレンズの異なる配置ピッチ間におけるピッチ差の中の最小ピッチ差、および、Y軸方向のマイクロレンズの異なる配置ピッチ間におけるピッチ差の中の最小ピッチ差は0.2nm以上であり、前記有効撮像領域は中心から周辺に向って複数の部分領域に分割され、該複数の部分領域にはX軸方向の配置ピッチとY軸方向の配置ピッチの組み合わせが異なる部分領域が存在し、個々の部分領域内の配置ピッチは一律であり、配置ピッチが異なる部分領域が隣接する境界部には、隣接する部分領域における各々の配置ピッチのマイクロレンズが混在している中間帯状部が存在し、部分領域毎のマイクロレンズの配置ピッチの平均が、有効撮像領域の中心から周辺に向って大きくなる傾向であることを特徴とする固体撮像素子。 - 前記中間帯状部における異なる配置ピッチのマイクロレンズの混在比率は1:0〜0:1の範囲内で連続的に変化することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
- 所定のピッチで2次元配置された複数の受光部と、個々の前記受光部に対応させて複数のマイクロレンズが2次元配置されてなるマイクロレンズアレイとを少なくとも備え、該マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズの配置ピッチが、像高が大きいほど像高の増加に対し主光線入射角の増加割合が小さくなる非線形のレンズ特性であるカメラレンズに適合するように、有効撮像領域の中心から周辺に向って変化している固体撮像素子において、
有効撮像領域の中心からX軸方向のマイクロレンズの配置ピッチとY軸方向のマイクロレンズの配置ピッチとはそれぞれ2種以上で設定され、かつ、X軸方向のマイクロレンズの異なる配置ピッチ間におけるピッチ差の中の最小ピッチ差、および、Y軸方向のマイクロレンズの異なる配置ピッチ間におけるピッチ差の中の最小ピッチ差は0.2nm以上であり、前記有効撮像領域は中心から周辺に向って複数の部分領域に分割され、該複数の部分領域には配置ピッチの異なるマイクロレンズが混在している部分領域が存在し、部分領域毎のマイクロレンズの配置ピッチの平均が、有効撮像領域の中心から周辺に向って大きくなる傾向であることを特徴とする固体撮像素子。 - 部分領域内での配置ピッチの異なるマイクロレンズの混在比率は、該部分領域内において有効撮像領域の中心から周辺に向う方向に沿って変化していることを特徴とする請求項3に記載の固体撮像素子。
- 部分領域内での配置ピッチの異なるマイクロレンズの混在比率は、該部分領域内においてほぼ均一であることを特徴とする請求項3に記載の固体撮像素子。
- 部分領域内で配置ピッチの異なるマイクロレンズがランダムに配置されていることを特徴とする請求項3に記載の固体撮像素子。
- 有効撮像領域に対応するマイクロレンズアレイの外形形状は方形であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の固体撮像素子。
- 有効撮像領域に対応するマイクロレンズアレイの外形形状は撮像領域の中心に向って湾曲あるいは屈曲した形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の固体撮像素子。
- 前記部分領域はモザイク状であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の固体撮像素子。
- 前記部分領域は有効撮像領域中心を中心とする同心の環状領域であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の固体撮像素子。
- 像高が大きいほど像高の増加に対し主光線入射角の増加割合が小さくなる非線形のレンズ特性であるカメラレンズと、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の固体撮像素子を備えることを特徴とする撮像装置。
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