JP4941221B2 - 固体撮像素子およびそれを用いた撮像装置 - Google Patents
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Description
ここで、固体撮像素子には有効撮像領域周辺で感度が低下するシェーディングという現象がある。このシェーディングは、図13に示されるように、カメラレンズから入射する光が、有効撮像領域中心ではほぼ垂直に入射するのに対し、有効撮像領域周辺に向うにつれて入射角度が大きくなり、有効撮像領域周辺での受光部51に対する入射光量の低下が起こることにより生じる現象である。
例えば、上述のマイクロレンズの傾斜角度を変化させる方法によるシェーディング補正を考える。露光装置の解像限界以下の大きさのドットパターンをマスク上に配置してなる階調表現を有するフォトマスクを用いてフォトリソグラフィ方式で屈折部を有するマイクロレンズを製造する場合において、1画素分の領域上に表現されるドット数が20個×20個とすると、使用するフォトマスクは、マイクロレンズを形成するための20個×20個のドット(図15)と、屈折部に所望の傾斜をもたせるための20個×20個のドット(図16)とを加味したものとなる。そして、屈折部の最も高い部分に対応する部分は、図16の20個×20個のドットの中で、右端のドット列(図に矢印で示した列)となる。しかし、この右端の20個のドットにて傾斜角度の階調表現を行う場合、フォトマスクの光透過率は0/20〜20/20の範囲であり、20階調程度しか表現できない。したがって、例えば、有効撮像領域の中心から周辺へ向って320画素が配列され、屈折部に必要な最大傾斜角度が40°であるとき、平均的に40°を320段階で表現する必要があるが、上記の例では20階調程度しか表現できない。
一方、マイクロレンズの傾斜を段階的に変化させてシェーディング補正を行うこともできる。例えば、図17に示されるようなカメラレンズ特性に起因して生じる図18で示すシェーディングを補正する場合を想定する。この場合、図1の主光線入射角度に対応して、図19に示すように、有効撮像領域を複数に分割して部分領域(図示では6個)を設定し、これらの部分領域間で段階的にマイクロレンズの傾斜角度を変化させることになる。しかし、部分領域間には、傾斜角度の異なるマイクロレンズが存在する境界線(集光効率が段階的に変化する部位)が必ず発生し、このような境界線上には微妙に感度の異なる受光部の隣接する部分が連続し、これが線状の感度ムラとなり製品品質を大きく損なうという問題がある。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、シェーディングを防止した固体撮像素子と、このような固体撮像素子を使用した撮像装置を提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記部分領域は有効撮像領域中心を中心とする同心の環状領域であるような構成とした。
本発明の撮像装置は、上述の固体撮像素子を備えるような構成とした。
本発明の撮像装置は、シェーディングが防止され、有効撮像領域内で、斜め入射に起因するケラレ等のロスが少なく、入射光量に対しての効率分布の少ない高品位のものであり、小型化、薄型化が可能である。
[固体撮像素子]
図1は本発明の固体撮像素子の一例を示す概略構成図である。図1において、固体撮像素子1は、一定の配置ピッチで設けられた複数の受光部3と遮光膜4を備える基板2と、遮光層6を備えたパッシベーション層5を介して基板2と対向するように積層された下平坦化層7、カラーフィルタ8、上平坦化層9、および、マイクロレンズアレイ10を有している。マイクロレンズアレイ10は、個々の受光部3に対応させて複数のマイクロレンズ11が2次元配置されたものである。そして、一定の配置ピッチで設けられた複数の受光部3に対して、マイクロレンズアレイ10を構成するマイクロレンズ11は、受光部3がなす面に平行な面に対するマイクロレンズ底面の傾斜角度が異なる2種以上のマイクロレンズからなるものである。尚、本発明の固体撮像素子は、図1に示す構成に限定されるものではない。
上記の本発明の固体撮像素子を、図17に示されるようなカメラレンズ特性に起因して生じる図18で示すシェーディングを補正する場合を例として説明する。この場合、図3に示すように、有効撮像領域の中心からX軸方向を(1)〜(6)の6個の部分領域に分割し、図3に実線で示されるように、各部分領域内では傾斜角度が同じマイクロレンズが配置されている。そして、部分領域が隣接する境界部には、隣接する部分領域における各々の傾斜角度のマイクロレンズが混在する中間帯状部を設ける。
尚、部分領域の大きさは適宜設定することができ、例えば、幅を100〜10,000μmの範囲、あるいは、幅方向の画素数を50〜2,000個の範囲となるように設定することができる。
また、中間帯状部における傾斜角度が異なるマイクロレンズの混在比率を連続的に、すなわち、1:0〜0:1に変化させた場合には、図3に鎖線で示されるように、マイクロレンズの傾斜角度変化を更にスムースなものとすることができる。
尚、中間帯状部の幅は適宜設定することができ、例えば、部分領域の幅の1〜50%の範囲で、あるいは、20〜5,000μmの範囲で設定することができる。
また、本発明の固体撮像素子1は、有効撮像領域は中心から周辺に向って複数の部分領域に分割され、これらの複数の部分領域には、傾斜角度の異なるマイクロレンズが混在しているような部分領域が存在させたものとし、隣接するマイクロレンズの傾斜角度の差を10°以下としたものである。この傾斜角度の差が10°を超えると、画素間の感度差が約5%を超えることとなり、感度バラツキが大きくなって好ましくない。
(第1の実施形態)
図5は、本発明の固体撮像素子の一実施形態におけるマイクロレンズの配置を説明するための図である。本実施形態の固体撮像素子は、有効撮像領域を中心から周辺に向って複数の部分領域に分割し、個々の部分領域内には傾斜角度が同じマイクロレンズを配置し、マイクロレンズ底面の傾斜角度が異なる部分領域が隣接する境界部には、隣接する部分領域における各々の傾斜角度のマイクロレンズが混在している中間帯状部を設け、さらに、隣接するマイクロレンズの傾斜角度の差を10°以下としたものである。
上述の第1の実施形態では、有効撮像領域をX軸方向に複数の部分領域に分割し、X方向に徐々にマイクロレンズ底面の傾斜角度を変化させてシェーディング補正を行っているが、有効撮像領域を360°全方位に亘って複数の部分領域に分割してシェーディング補正を行うこともできる。図6はこのような実施形態を示す図であり、部分領域Aは有効撮像領域の中心を含む円形の領域であり、配置されているマイクロレンズは、底面の傾斜角度が0°のものである。その外側には環状の中間帯状部(斜線を付した領域)を介してB1〜B12の12個の部分領域が設けられており、有効撮像領域の中心から30°毎(15°、45°、75°、105°、135°、165°、195°、225°、255°、285°、315°、345°)に放射状に延びる線(一点鎖線で示す)と平行に有効撮像領域の中心方向に底面が5°傾斜したマイクロレンズが各部分領域毎に配置されている。また、各部分領域B1〜B12の間にも中間帯状部(斜線を付した領域)が設けられている。これらの部分領域B1〜B12の外側には環状の中間帯状部(斜線を付した領域)を介してC1〜C12の12個の部分領域が設けられており、有効撮像領域の中心から30°毎に放射状に延びる線(一点鎖線で示す)と平行に有効撮像領域の中心方向に底面が10°傾斜したマイクロレンズが各部分領域毎に配置されている。また、各部分領域C1〜C12の間にも中間帯状部(斜線を付した領域)が設けられている。これらの部分領域C1〜C12の外側には環状の中間帯状部(斜線を付した領域)を介してD1〜D12の12個の部分領域が設けられており、有効撮像領域の中心から30°毎に放射状に延びる線(一点鎖線で示す)と平行に有効撮像領域の中心方向に底面が15°傾斜したマイクロレンズが各部分領域毎に配置されている。尚、横長(横:縦=16:9)画面の固体撮像素子を想定しているため、D3、D4、D9、D10の4個の部分領域は存在しない。また、各部分領域D1〜D12の間にも中間帯状部(斜線を付した領域)が設けられている。さらに、これらの部分領域D1〜D12の外側には環状の中間帯状部(斜線を付した領域)を介してE1〜E12の12個の部分領域が設けられており、有効撮像領域の中心から30°毎に放射状に延びる線(一点鎖線で示す)と平行に有効撮像領域の中心方向に底面が20°傾斜したマイクロレンズが各部分領域毎に配置されている。ここでも、横長(横:縦=16:9)画面の固体撮像素子を想定しているため、E2〜E5、E8〜E11の8個の部分領域は存在しない。また、各部分領域E1〜E12の間にも中間帯状部(斜線を付した領域)が設けられている。
本実施形態の固体撮像素子は、有効撮像領域は中心から周辺に向って複数の部分領域に分割され、これらの複数の部分領域には、傾斜角度の異なるマイクロレンズが混在しているような部分領域が存在させたものとし、隣接するマイクロレンズの傾斜角度の差を10°以下としたものである。
図9は本実施形態の固体撮像素子のマイクロレンズ配置図である。図9において、(0,0)点は有効撮像領域の中心点を示し、図面が煩雑になるのを避けるために、中心点から右上の1/4の領域の30個×20個の画素のみを示している。図9に示される固体撮像素子では、X軸方向に(X1)〜(X6)の6分割とされ、1個の部分領域は5個×20個の画素からなっている。また、マイクロレンズは、マイクロレンズ底面の傾斜角度が0°(図では白で表示している)のもの、マイクロレンズ底辺がX軸の0点方向に5°傾斜したもの(図では斜線を付して表示している)、2種類で構成されている。そして、傾斜角度5°のマイクロレンズの存在確率はX軸の周辺方向に向けて5画素毎に0%から100%まで20%づつ変化し、Y軸方向の20画素でのマイクロレンズの配置は均一となっている。すなわち、部分領域(X1)内では、X軸方向5個のマイクロレンズがすべて傾斜角度0°のもの(傾斜角度5°のマイクロレンズの存在確率0%)、部分領域(X2)内では、X軸方向5個のうち、傾斜角度5°のマイクロレンズが1個(存在確率20%)、部分領域(X3)内では、X軸方向5個のうち、傾斜角度5°のマイクロレンズが2個(存在確率40%)、部分領域(X4)内では、X軸方向5個のうち、傾斜角度5°のマイクロレンズが3個(存在確率60%)、部分領域(X5)内では、X軸方向5個のうち、傾斜角度5°のマイクロレンズが4個(存在確率80%)、部分領域(X6)内では、X軸方向5個全てが傾斜角度5°のマイクロレンズ(存在確率100%)となっている。
上述の実施形態は例示であり、本発明の固体撮像素子はこれらに限定されるものではない。
図10は、本発明の撮像装置の一実施形態を示す概略断面図である。図10において、本発明の撮像装置31は、本発明の固体撮像素子32を備えた基板33と、固体撮像素子32の外側に配した封止用部材34と、この封止用部材34を介して固体撮像素子32と所望の間隙を設けて対向するように配設された保護材35とを備えている。また、固体撮像素子32は配線36、表裏導通ビア37を介して外部端子38に接続されている。このようなセラミックパッケージ型の撮像装置31は、種々のデジタルカメラ、ビデオカメラ等に使用することができ、カメラの高感度化、小型化、薄型化が可能である。
本発明の撮像装置は上述の実施形態に限定されるものではなく、固体撮像素子として本発明の固体撮像素子を備えるものであればよく、従来の種々の撮像装置の構成をそのまま採用することができる。
[実施例]
まず、画素受光部ピッチ2.0μm、画素数1920個×1080個のCMOSイメージセンサーを形成したウェハを用意した。
次に、上記のウェハ上に、以下のようにして、下平坦化層、カラーフィルタ、上平坦化層、および、マイクロレンズを形成した。
(下平坦化層の形成)
ウェハ表面をスピンスクラパーで洗浄した後、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CT−2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って下平坦化層(厚み0.3μm)を形成した。
ネガ型感光性の赤色材料(R用材料)、緑色材料(G用材料)、青色材料(B用材料)として以下の材料を用意した。
R用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SR−4000L
G用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SG−4000L
B用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SB−4000L
G、R、Bの形成順序で、上記材料をスピン塗布し、プリベーク、1/5縮小型のi線ステッパーによる露光、現像、ポストベークを行って、RGBカラーフィルタ(厚み0.8μm)を形成した。尚、現像液として、富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CD−2000の50%希釈液を使用した。また、カラーフィルタの配置ピッチは2μmとした。
(上平坦化層の形成)
RGBカラーフィルタ上に、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CT−2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って上平坦化層(厚み0.3μm)を形成した。
上平坦化層上に、マイクロレンズ材料としてJSR(株)製 MFR401Lをスピン塗布し、プリベーク、1/5縮小型のi線ステッパーによる露光、現像、後露光、ポストベークを行って、マイクロレンズを形成した。尚、現像液として、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)の1.19%液を使用した。
上記露光においては、上記の実施形態で説明した楔形基部とマイクロレンズを同時一括に形成する方法を用い、図15に示すようなマイクロレンズ形成用のマスクパターンと、図16に示すような楔形基部形成用のマスクパターンとを加味したマスクパターンを用いて露光を行った。
次いで、ウェハのダイシングを行い、パッケージ組立を行って、本発明の固体撮像素子を作製した。
マイクロレンズの形成を以下のように行った他は、実施例と同様にして固体撮像素子を作製した。
(マイクロレンズの形成)
上平坦化層上に、マイクロレンズ材料としてJSR(株)製 MFR401Lをスピン塗布し、プリベーク、1/5縮小型のi線ステッパーによる露光、現像、後露光、ポストベークを行って、マイクロレンズを形成した。尚、現像液として、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)の1.19%液を使用した。
上記露光においては、図15に示すようなマイクロレンズ形成用のマスクパターンを用いて露光を行った。
上述のように作製した固体撮像素子に関して、下記の条件で感度を測定し、結果を図12に示した。図12に示されるように、本発明の固体撮像素子は、シェーディング補正が有効になされ、その感度分布(図12に実線で示す)は比較例の固体撮像素子の感度分布(図12に鎖線で示す)に比べて約20%改善されていることが確認された。
(感度の測定条件)
作製した固体撮像素子に、カメラレンズとして図17に示す特性のものを用い、
白色光源に対するX軸方向の感度分布を測定した。
2…基板
3…受光部
4…遮光膜
5…パッシベーション層
6…遮光層
7…下平坦化層
8…カラーフィルタ
9…上平坦化層
10…マイクロレンズアレイ
11…マイクロレンズ
11a マイクロレンズ底面
12…楔形基部
31,41…撮像装置
32,42…固体撮像素子
Claims (5)
- 所定のピッチで2次元配置された複数の受光部と、個々の前記受光部に対応させて複数のマイクロレンズが2次元配置されてなるマイクロレンズアレイとを少なくとも備えている固体撮像素子において、
マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズは、受光部面に平行な面に対するマイクロレンズ底面の傾斜角度が異なる2種以上のマイクロレンズからなり、有効撮像領域は中心から周辺に向って複数の部分領域に分割され、個々の部分領域内には傾斜角度が同じマイクロレンズが配置され、マイクロレンズ底面の傾斜角度が異なる部分領域が隣接する境界部には、隣接する部分領域における各々の傾斜角度のマイクロレンズが混在している中間帯状部が存在し、隣接するマイクロレンズの傾斜角度の差が10°以下であり、
マイクロレンズの平均的傾斜角度が、有効撮像領域の中心から周辺に向って大きくなる傾向であり、
前記中間帯状部での傾斜角度が異なるマイクロレンズの配置は、混在比率が1:1で均一な配置、あるいは、混在比率が1:0〜0:1の範囲内で連続的に変化するような配置、あるいは、ランダムな配置であることを特徴とする固体撮像素子。 - 所定のピッチで2次元配置された複数の受光部と、個々の前記受光部に対応させて複数のマイクロレンズが2次元配置されてなるマイクロレンズアレイとを少なくとも備えている固体撮像素子において、
マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズは、受光部面に平行な面に対するマイクロレンズ底面の傾斜角度が異なる2種以上のマイクロレンズからなり、有効撮像領域は中心から周辺に向って複数の部分領域に分割され、該複数の部分領域には、傾斜角度の異なるマイクロレンズが混在しているような部分領域が存在し、隣接するマイクロレンズの傾斜角度の差が10°以下であり、
マイクロレンズの平均的傾斜角度が、有効撮像領域の中心から周辺に向って大きくなる傾向であり、
傾斜角度の異なるマイクロレンズが混在している前記部分領域内での傾斜角度の異なるマイクロレンズの配置は、傾斜角度の異なるマイクロレンズの混在比率が該部分領域内において有効撮像領域の中心から周辺に向う方向に沿って変化し、かつ、傾斜角度の小さいマイクロレンズが傾斜角度の大きいマイクロレンズよりも有効撮像領域の周辺寄りに少なくとも1個存在する配置、あるいは、混在比率が該部分領域内において均一である配置、あるいは、ランダムな配置であることを特徴とする固体撮像素子。 - 前記部分領域はモザイク状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体撮像素子。
- 前記部分領域は有効撮像領域中心を中心とする同心の環状領域であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体撮像素子。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の固体撮像素子を備えることを特徴とする撮像装置。
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