JP2010001848A - 流量調整弁及びこの流量調整弁を用いた高圧燃料ポンプ - Google Patents

流量調整弁及びこの流量調整弁を用いた高圧燃料ポンプ Download PDF

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Abstract

【課題】摺動性能を確保し、かつ、燃料の漏れを低減できる流量調整弁及びこの流量調整弁を用いた高圧燃料ポンプを提供すること。
【解決手段】流量調整弁7は、略筒状のシリンダ71と、このシリンダ71の内部に摺動可能に配設された略筒状のスプール弁70と、を備え、シリンダ71には、このシリンダ71の内部と外部とを連通する第2排出孔713が形成され、スプール弁70には、このスプール弁70の内部と外部とを連通する第1排出孔704が形成され、スプール弁70をシリンダ71の内部で軸方向に沿って移動し、第2排出孔713と第1排出孔704との連通量を変化させることで、燃料供給通路を流通する燃料の流量を調整する。また、スプール弁70の第1摺動部705及び第2摺動部706とシリンダ71の内周部とのうち少なくとも一方には、固体潤滑物質のショット処理が施される。
【選択図】図3

Description

本発明は、流量調整弁及びこの流量調整弁を用いた高圧燃料ポンプに関する。詳しくは、燃料供給通路に配設され、この燃料供給通路を流通する燃料の流量を調整する流量調整弁及びこの流量調整弁を用いた高圧燃料ポンプに関する。
多気筒ディーゼルエンジンにおける燃料供給系は、燃料タンクに貯留された燃料を圧送する低圧燃料ポンプと、この低圧燃料ポンプによって圧送された燃料を加圧する高圧燃料ポンプと、この高圧燃料ポンプにより加圧された燃料を、エンジンの気筒毎に設けられたインジェクタに供給するコモンレールとを含んで構成される。
このうち、高圧燃料ポンプは、シリンダ内に形成された加圧室内に燃料を供給するとともに、このシリンダ内でプランジャを往復することにより、加圧室において燃料を加圧する。この高圧燃料ポンプでは、加圧してコモンレールに供給する燃料の流量、すなわち加圧室に供給する燃料の流量は、燃料供給通路に配設された流量調整弁により調整される。
流量調整弁の具体的な構成は、例えば、特許文献1や特許文献2に示されているように、円筒状の弁ボディと、この弁ボディの内部に軸方向に沿って摺動可能に設けられた円筒状のスプール弁と、このスプール弁を弁ボディの内部で移動させる電磁アクチュエータと、を含んで構成される。これら弁ボディ及びスプール弁には、それぞれの外部と内部とを連通する連通孔が形成されており、弁ボディに対してスプール弁を移動して、これら連通孔の連通量を調整することにより、燃料の流量を連続的に変更することが可能となっている。
特開2007−92714号公報 特開2002−106740号公報
ところで、このような流量調整弁において、スプール弁の摺動性能を確保するためには、スプール弁の外周面と弁ボディの内周面との間に生じる摩擦を考慮して間隙を設ける必要がある。ここで間隙とは、より厳密には、これらスプール弁の外径と弁ボディの内径との間の直径隙間のことを指す。しかしながら、このような間隙を設けると、閉弁した状態であっても、この間隙から燃料が漏れてしまう。
本発明は、上述した点を考慮してなされたものであり、摺動性能を確保し、かつ、燃料の漏れを低減できる流量調整弁及びこの流量調整弁を用いた高圧燃料ポンプを提供することを目的とする。
本発明は、燃料供給通路(例えば、後述の燃料供給通路50)の内部に配設された略筒状の外部部材(例えば、後述のシリンダ71)と、当該外部部材の内部に摺動可能に配設された略筒状の内部部材(例えば、後述のスプール弁70)と、を備え、前記外部部材には、当該外部部材の内部と外部とを連通する外部連通孔(例えば、後述の第2排出孔713)が形成され、前記内部部材には、当該内部部材の内部と外部とを連通する内部連通孔(例えば、後述の第1排出孔704)が形成され、前記内部部材を前記外部部材の内部で軸方向に沿って移動し、前記外部連通孔と前記内部連通孔との連通量を変化させることで、前記外部連通孔及び前記内部連通孔を介して前記燃料供給通路を流通する燃料の流量を調整する流量調整弁(例えば、後述の流量調整弁7)であって、前記内部部材外周の摺動部及び前記外部部材内周の摺動部のうち少なくとも一方には、固体潤滑物質のショット処理が施されることを特徴とする。
この発明によれば、内部部材外周の摺動部及び外部部材内周の摺動部のうち少なくとも一方に、固体潤滑物質のショット処理を施し、固体潤滑物質層を形成することにより、外部部材の内部における内部部材の摺動性能を向上することができる。またこれにより、固体潤滑物質層を形成しない場合と比較して、内部部材の摺動性能を確保したまま、内部部材の外径と外部部材の内径との間の直径隙間を小さくし、閉弁時における燃料の漏れを少なくすることができる。
ところで、摺動性能を向上するための技術としては、ショット処理の他、例えばコーティングにより母材の表面に固体潤滑物質層を形成する技術が知られている。しかしながら、単なるコーティングにより固体潤滑物質層を形成した場合、固体潤滑物質層は接着剤や添加剤を介して母材の表面に接合されるため、長期間に亘る使用等により固体潤滑物質層が剥離してしまい、摺動性能が低下したり、内部部材と外部部材との間に大きな隙間ができたりしてしまうおそれがある。また、上述のように内部部材の摺動性能を確保したまま、内部部材の外径と外部部材の内径との間の直径隙間を小さくするためには、両部材の厚みを高い精度で加工する必要がある。しかしながら、コーティングを施すと母材に固体潤滑物質層の厚みが加わることとなるため、このような高い精度の加工が困難になってしまう。
一方、本発明によれば、ショット処理により固体潤滑物質層を形成することで、内部部材外周の摺動部及び外部部材内周の摺動部のうち少なくとも一方の表面に、固体潤滑物質層を母材と一体に形成することができる。この場合、固体潤滑物質層とは、母材の表面から所定の深さまで固体潤滑物質が入り込んだ母材の表層部を指す。したがって、単なるコーティングによるものとは異なり、固体潤滑物質層が剥離する虞もないため、流量調整弁の耐久性を向上できる。また、ショット処理を施すことで母材に固体潤滑物質層の厚みが加わることもないので、内部部材及び外部部材の厚みを高い精度で加工することができる。
この場合、前記固体潤滑物質のショット処理は、前記内部部材外周の摺動部(例えば、後述の第1摺動部705及び第2摺動部706)のみに施されることが好ましい。
この発明によれば、内部部材外周の摺動部及び外部部材内周の摺動部のうち、内部部材の摺動部のみに固体潤滑物質のショット処理を施す。略筒状の外部部材の内周にショット処理を施す場合と、内部部材の外周にショット処理を施す場合とを比較すると、外部部材の内周にショット処理を施す方がより多くの時間と費用がかかる。つまり、筒の内周といった入り組んだ部分に固体潤滑物質が行き渡るようにショット処理を施すのは、筒の外面にショット処理を施すよりも手間がかかってしまう。この発明によれば、内部部材の外周の摺動部のみに固体潤滑物質のショット処理を施すことにより、摺動性能を確保しつつ、処理にかかる時間及び費用を出来るだけ削減することができる。
この場合、前記内部部材外周の摺動部は、前記内部連通孔に対し軸方向一端側に環状に形成された第1摺動部(例えば、後述の第1摺動部705)と、前記内部連通孔に対し軸方向他端側に環状に形成された第2摺動部(例えば、後述の第2摺動部706)とを含み、前記外部連通孔は、閉弁時において前記第1摺動部により閉塞可能であるとともに、当該第1摺動部の軸方向に沿った長さ(例えば、後述の長さL1)は、前記第2摺動部の長さ(例えば、後述の長さL2)よりも長いことが好ましい。
この発明によれば、閉弁時には、第1摺動部により外部連通孔を閉塞する。ここで、第1摺動部の軸方向に沿った長さを、第2摺動部の長さよりも長くすることにより、閉弁時における燃料の漏れをさらに低減できる。
この場合、前記固体潤滑物質は、二硫化モリブデンを含むことが好ましい。
この発明によれば、二硫化モリブデンを含む固体潤滑物質のショット処理を施すことにより、外部部材の内部における内部部材の摺動性能を確実に確保することができる。
この場合、前記外部部材の内径と前記内部部材の外径との間の直径隙間は、4μm以下であることが好ましい。
この発明によれば、外部部材の内径と内部部材の外径との間の直径隙間を4μm以下とすることにより、摺動性能を確保しつつ、閉弁時における燃料の漏れを確実に低減できる。
本発明は、内燃機関の燃料噴射弁に燃料を高圧で供給する高圧燃料ポンプ(例えば、後述の高圧燃料ポンプ1)であって、ハウジング(例えば、後述のハウジング3)と、前記内燃機関の駆動源により回転駆動されるポンプシャフト(例えば、後述のポンプシャフト2)と、前記ハウジング内部に形成され前記ポンプシャフトを回転可能に支持する軸受部(例えば、後述の第1軸受部33及び第2軸受部34)と、前記ポンプシャフトの回転軸周りに放射状に延在するシリンダ(例えば、後述のシリンダ42)と、当該シリンダ内部に往復動可能に収容されたプランジャ(例えば、後述のプランジャ41)と、前記プランジャの前記ポンプシャフト側の端部を、前記ポンプシャフトに向かって付勢する付勢機構(例えば、後述のスプリング44)と、を備え、前記ハウジング内部には、前記シリンダ内部の加圧室(例えば、後述の加圧室43)に燃料を供給する燃料供給通路(例えば、後述の燃料供給通路50)が形成され、前記燃料供給通路には、上記流量調整弁(例えば、後述の流量調整弁7)が配設されることを特徴とする。
この発明によれば、加圧室に燃料を供給する燃料供給通路に上記流量調整弁を配設することにより、流量調整弁の閉弁時において、加圧室に漏れる燃料の量を低減できる。したがって、高圧燃料ポンプで制御可能な燃料の最小流量を低減できる。
例えば、高圧燃料ポンプをディーゼルエンジンの燃料供給系に設けた場合、エンジンの運転条件によって、高圧燃料ポンプにより制御可能な燃料の最小流量が、インジェクタで必要とされる燃料噴射量を超えてしまう場合がある。このような場合、例えば、コモンレールに設けられた圧力制御弁でレール内圧力を制御することにより、インジェクタに供給する燃料を制限する。すなわち、コモンレール及び高圧燃料ポンプでは、余分なエネルギーが消費されることとなる。本発明によれば、高圧燃料ポンプで制御可能な燃料の最小流量を低減することにより、このようなコモンレール及び高圧燃料ポンプにおける余分なエネルギーの消費を抑制することができる。
この発明によれば、内部部材外周の摺動部及び外部部材内周の摺動部のうち少なくとも一方に、固体潤滑物質のショット処理を施し、固体潤滑物質層を形成することにより、外部部材の内部における内部部材の摺動性能を向上することができる。またこれにより、固体潤滑物質層を形成しない場合と比較して、内部部材の摺動性能を確保したまま、内部部材の外径と外部部材の内径との間の直径隙間を小さくし、閉弁時における燃料の漏れを少なくすることができる。また、ショット処理により固体潤滑物質層を形成することにより、内部部材外周の摺動部及び外部部材内周の摺動部のうち少なくとも一方の表面に、固体潤滑物質層を母材と一体に形成することができる。したがって、コーティングにより固体潤滑物質層を形成した場合と比較して、流量調整弁の耐久性を向上することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る流量調整弁7を用いた高圧燃料ポンプ1の構成を示す断面図である。
図2は、図1の線II−IIに沿った断面を示す図である。
高圧燃料ポンプ1は、駆動源からの駆動力により、導入された低圧燃料を加圧して、この加圧した燃料を高圧燃料として排出するものである。
具体的には、この高圧燃料ポンプ1は、例えば、ディーゼルエンジンの燃料供給系に設けられる。すなわち、この高圧燃料ポンプ1は、例えば、エンジンのカムシャフトを駆動源として回転駆動され、低圧燃料ポンプにより燃料タンクに貯留された燃料が導入されると、この燃料を加圧して、コモンレールを介して、エンジンの各気筒に設けられたインジェクタに高圧燃料を供給する。
高圧燃料ポンプ1は、長尺状のポンプシャフト2と、このポンプシャフト2を回転可能に収容するハウジング3と、シリンダ42及びプランジャ41が設けられたシリンダホルダ4と、燃料の流量を調整する流量調整弁7と、を含んで構成される。高圧燃料ポンプ1は、シリンダ42内でプランジャ41を往復動させることで、シリンダ42内部に形成された加圧室43において燃料を加圧するプランジャポンプである。また、この高圧燃料ポンプ1は、3組のシリンダ42及びプランジャ41を備えるものであり、図1は、このような3組のシリンダ42及びプランジャ41のうちの1つに沿った断面を示す。
ポンプシャフト2は、線Oを中心軸とする長尺状のポンプシャフト本体21と、このポンプシャフト本体21に一体に形成された円柱状のカム部22と、を備える。このポンプシャフト本体21のうち先端側は、エンジンのカムシャフト等の駆動源に連結され、基端側はハウジング3内に収容される。
図2に示すように、カム部22の中心軸O´は、ポンプシャフト本体21の中心軸Oに対して偏心している。
カム部22の外周には、ポンプシャフト本体21の中心軸Oに対し垂直な面に沿った断面が略正方形状であるポリゴンリング23が設けられている。このポリゴンリング23の中心は、カム部22の中心軸O´と一致している。また、このポリゴンリング23は、円環状のブッシュ24を介してカム部22に接続されており、カム部22に対し回動自在となっている。
以上のようなポンプシャフト2では、駆動源によりポンプシャフト本体21を中心軸Oで回転駆動すると、このポンプシャフト本体21の回転に従動して、カム部22が回転するとともに、ポリゴンリング23が所定の範囲内で揺動する。これにより、ポンプシャフト本体21の駆動力がポリゴンリング23の一側面に接するプランジャ41に伝達し、このプランジャ41を往復動する。
すなわち、本実施形態における駆動力伝達部材は、カム部22、ブッシュ24、及びポリゴンリング23により構成される。また、以下では、ポンプシャフト本体21の中心軸Oとポンプシャフト2の回転軸とは等しいものとする。
図1に戻って、ハウジング3は、ポンプシャフト本体21のカム部22から先端側を収容するメインハウジング31と、ポンプシャフト本体21を基端側から覆うハウジングカバー32との2つの部材を組み合わせて構成される。
メインハウジング31の内部には、ポンプシャフト2の回転軸に沿って延出し、ポンプシャフト本体21のうちカム部22よりも先端側を回転可能に支持する筒状の第1軸受部33と、ポンプシャフト2の回転軸の半径方向に沿って延出し、カム部22及びシリンダホルダ4を収容する筒状のシリンダ収容部36とが形成される。
この他、メインハウジング31の内部には、図示しない低圧燃料ポンプから燃料導入部11に供給された燃料を、加圧室43に供給する燃料供給通路50が形成されている。この燃料供給通路50は、上流側から下流側へ向かって順に、第1低圧通路51と第2低圧通路52とを含んで構成される。
第1低圧通路51の上流側は、燃料導入部11内の燃料通路に連通しており、下流側は、流量調整弁7の後述の燃料導入口711に連通する。第2低圧通路52の上流側は、流量調整弁7の後述の第2排出孔713に連通しており、下流側は、シリンダホルダ4の加圧室43に連通する。
ハウジングカバー32は、フランジ状に形成されており、ポンプシャフト本体21を基端側から覆った状態で、メインハウジング31に図示しない締結部材により固定される。このハウジングカバー32の内部には、ポンプシャフト本体21のうちカム部22よりも基端側を回転可能に支持する第2軸受部34が形成される。
シリンダホルダ4は、ポンプシャフト2の回転軸周りに放射状に延在する筒状のシリンダ42と、このシリンダ42の内部に往復動可能に収容された棒状のプランジャ41と、を備える。このシリンダホルダ4は、プランジャ41及びシリンダ42をメインハウジング31のシリンダ収容部36に挿入した状態で、複数の締結部材49によりメインハウジング31に締結される。
このシリンダホルダ4において、燃料を加圧する加圧室43は、シリンダ42の内壁面とプランジャ41の先端面とにより区画形成される。プランジャ41の基端部41aは、皿状に形成されており、この基端部41aとシリンダ42との間には、プランジャ41の基端部41aをポンプシャフト2のカム部22の外周に向かって付勢する付勢機構としてのスプリング44が介装される。
シリンダホルダ4には、さらに、加圧室43に燃料を流入させる低圧通路45a,45b,45cと、加圧室43から燃料を排出する高圧通路46と、が形成されている。このうち、低圧通路45aは、メインハウジング31に形成された上述の第2低圧通路52に連通し、高圧通路46は、コモンレールに接続される燃料排出部12の排出通路12aに連通する。
また、低圧通路45cには、加圧室43側からこの低圧通路45c側へ燃料が逆流するのを防止する低圧側逆止弁47が設けられ、高圧通路46には、高圧通路46側から加圧室43側へ燃料が逆流するのを防止する高圧側逆止弁48が設けられる。
以上のように構成されたシリンダホルダ4では、駆動源によりポンプシャフト本体21を回転駆動すると、ポリゴンリング23が所定の可動範囲内で揺動し、これによりプランジャ41がシリンダ42内部で往復動する。ここで、低圧通路45a,45b,45cから加圧室43内に燃料を供給すると、加圧室43内の燃料はプランジャ41により高圧に加圧されるとともに、高圧側逆止弁48が開いた状態となり、加圧室43内の高圧燃料が燃料排出部12から排出される。
流量調整弁7は、燃料供給通路50に配設され、第1低圧通路51から第2低圧通路52へ流通する燃料の流量を調整する。この流量調整弁7は、燃料供給通路50の内部に配設された外部部材としてのシリンダ71と、このシリンダ71の内部に摺動可能に配設された内部部材としてのスプール弁70と、このスプール弁70を軸方向に沿って移動する電磁アクチュエータ75と、を備える比例電磁弁である。
この流量調整弁7は、シリンダ71をメインハウジング31に凹状に形成された流量調整弁収容部37に挿入した状態で、図示しない締結部材により固定される。また、流量調整弁7をメインハウジング31に固定した状態では、シリンダ71の先端面と流量調整弁収容部37の内壁面とにより、第1低圧通路51から供給された燃料が溜まる燃料溜まり室38が形成される。
図3及び図4は、流量調整弁7の構成を示す断面図である。より具体的には、図3は全閉時における流量調整弁7の構成を示し、図4は全開時における流量調整弁7の構成を示す。
シリンダ71は略円筒状であり、その内部には、先端側の燃料導入口711から燃料が供給される。また、シリンダ71には、このシリンダ71の内部と外部とを連通し、シリンダ71内部の燃料を外部に排出する外部連通孔としての第2排出孔713が複数形成されている。また、シリンダ71の燃料導入口711には、スプール弁70の移動を規制する略筒状のストッパ72が圧入されている。
スプール弁70は、略円筒状であり、その内部には、シリンダ71の燃料導入口711から供給された燃料が流通する内部通路701が形成されている。また、ストッパ72側をスプール弁70の先端側として、このスプール弁70の基端側には、アーマチャ74が圧入固定されている。
図5は、スプール弁70の先端側の構成を示す斜視図である。
スプール弁70の外周面には、環状の燃料通路溝702が全周に亘って刻設されている。さらにこの燃料通路溝702には、スプール弁70の内部と外部とを連通する内部連通孔としての第1排出孔704が複数形成されている。
また、スプール弁の外周面のうち、第1排出孔704よりも軸方向基端側及び先端側には、それぞれ、シリンダ71の内周面と摺接する環状の第1摺動部705及び第2摺動部706が全周に亘って形成されている。これら第1摺動部705及び第2摺動部706は、それぞれの外径がスプール弁70のうち最も大きくなるように形成されている。
図3に戻って、電磁アクチュエータ75は、シリンダ71の基端側に設けられた略筒状のステータ76と、このステータ76の外側に設けられたコイル77と、これらステータ76、コイル77を収容するハウジング79と、を含んで構成され、上述のシリンダ71の基端側に固定される。また、ステータ76には、スプール弁70をストッパ72側へ付勢するスプリング73が設けられている。
コイル77に通電すると、コイル77、ステータ76、及びアーマチャ74を通る磁気回路が形成される。これにより、アーマチャ74とステータ76との間には吸引力が発生し、アーマチャ74とともにスプール弁70がステータ76側へ移動する。
次に、図3及び図4を参照して、スプール弁70の動作について説明する。
上述のように、スプール弁70は、スプリング73によりストッパ72側へ付勢されている。このため、コイル77に通電していない状態では、スプール弁70はストッパ72に接した状態となる。この状態では、シリンダ71に形成された第2排出孔713は、図3に示すように、スプール弁70の第1摺動部705により閉塞された状態となる。したがって、コイル77に通電していない状態では、流量調整弁7は閉弁し、第1低圧通路51と第2低圧通路52とは遮断される。
また、コイル77に通電すると、アーマチャ74とステータ76との間に吸引力が発生し、スプール弁70がシリンダ71の内部で軸方向に沿ってステータ76側へ移動する。ここで、所定量の電流をコイル77に通電すると、スプリング73の弾性力に抗して第1摺動部705が第2排出孔713よりも軸方向基端側に位置するまでスプール弁70が移動し、図4に示すように、第1排出孔704と第2排出孔713とが連通した状態となる。したがって、流量調整弁7は開弁し、第1低圧通路51と第2低圧通路52とは連通する。
またここで、第1排出孔704と第2排出孔713との連通量、すなわち第1排出孔704及び第2排出孔713を通過して第1低圧通路51から第2低圧通路52へ流通する燃料の流量は、第1摺動部705により第2排出孔713を塞ぐ面積を変えることにより調整することができる。したがって、この第1排出孔704と第2排出孔713との連通量は、スプール弁70の軸方向に沿った移動量、すなわち、コイル77に通電する電流量に応じて連続的に変化させることができる。
以上のように、スプール弁70の第1摺動部705及び第2摺動部706は、スプール弁70がシリンダ71内を軸方向に沿って移動する際に、ガイド部として機能する。このため、第1摺動部705及び第2摺動部706の外径と、シリンダ71の内径との間には、スプール弁70の摺動性能を確保できる程度の直径隙間を設ける必要がある。
一方、このような直径隙間を設けると、図3中矢印に示すように、閉弁時であっても第1摺動部705及び第2摺動部706の外周面とシリンダ71の内周面との隙間を介して、第1低圧通路51から第2低圧通路52へ燃料が漏れてしまう。
この点に鑑みて、シリンダ71の内周の摺動部及びスプール弁70の外周の摺動部のうち、少なくとも一方には、固体潤滑物質のショット処理を施すことにより固体潤滑物質層を母材と一体に形成する。ここで固体潤滑物質層とは、ショット処理を施すことにより表面から所定の深さまで固体潤滑物質が入り込んだ母材の表層部を指す。本実施形態では、これらシリンダ71の内周の摺動部及びスプール弁70の外周の摺動部のうち、特にスプール弁70の第1摺動部705及び第2摺動部706にのみ、固体潤滑物質のショット処理を施すが、ショット処理を施す部分はこれに限るものではない。また、固体潤滑物質としては、例えば二硫化モリブデンを用いることが好ましい。また、この固体潤滑物質層の厚みは、例えば4.3μm程度であることが好ましい。
以上のようなショット処理を施した上で、第1摺動部705及び第2摺動部706の外径とシリンダ71の内径との間の直径隙間は、ガイド部としての機能を損なわないように、かつ、閉弁時における燃料の漏れを少なくできるように、出来るだけ小さくなるように形成する。具体的には、第1摺動部705及び第2摺動部706の外径とシリンダ71の内径との間の直径隙間は、例えば4±1μm以下になるように形成することが好ましい。
また、閉弁時における燃料の漏れをさらに低減するために、第1摺動部705の軸方向に沿った長さL1を、第2摺動部706の軸方向に沿った長さL2よりも長くすることが好ましい。
本実施形態の高圧燃料ポンプによれば、以下の効果がある。
(1)スプール弁70の外周の摺動部及びシリンダ71の内周の摺動部のうち少なくとも一方に、固体潤滑物質のショット処理を施し、固体潤滑物質層を形成することにより、シリンダ71の内部におけるスプール弁70の摺動性能を向上することができる。またこれにより、固体潤滑物質層を形成しない場合と比較して、スプール弁70の摺動性能を確保したまま、シリンダ71の外径と外部部材の内径との間の直径隙間を小さくし、閉弁時における燃料の漏れを少なくすることができる。
また、ショット処理により固体潤滑物質層を形成することにより、スプール弁70の外周の摺動部及びシリンダ71の内周の摺動部のうち少なくとも一方の表面に、固体潤滑物質層を母材と一体に形成することができる。したがって、コーティングにより固体潤滑物質層を形成した場合と比較して、流量調整弁7の耐久性を向上することができる。
(2)略筒状のシリンダ71の内周にショット処理を施す場合と、スプール弁70の外周にショット処理を施す場合とを比較すると、シリンダ71の内周にショット処理を施す方がより多くの時間と費用がかかる。つまり、筒の内周といった入り組んだ部分に固体潤滑物質が行き渡るようにショット処理を施すのは、筒の外面にショット処理を施すよりも手間がかかってしまう。本実施形態では、スプール弁70の外周の摺動部のみに固体潤滑物質のショット処理を施すことにより、摺動性能を確保しつつ、処理にかかる時間及び費用を出来るだけ削減することができる。
(3)第1摺動部705の軸方向に沿った長さL1を、第2摺動部706の長さL2よりも長くすることにより、閉弁時における燃料の漏れをさらに低減できる。
(4)二硫化モリブデンを含む固体潤滑物質のショット処理を施すことにより、シリンダ71の内部におけるスプール弁70の摺動性能を確実に確保することができる。
(5)シリンダ71の内径とスプール弁70の外径との間の直径隙間を4μm以下とすることにより、摺動性能を確保しつつ、閉弁時における燃料の漏れを確実に低減できる。
(6)加圧室43に燃料を供給する燃料供給通路50に以上のような流量調整弁7を配設することにより、流量調整弁7の閉弁時において、加圧室43に漏れる燃料の量を低減できる。したがって、高圧燃料ポンプ1で制御可能な燃料の最小流量を低減できる。
例えば、高圧燃料ポンプ1をディーゼルエンジンの燃料供給系に設けた場合、エンジンの運転条件によって、高圧燃料ポンプ1により制御可能な燃料の最小流量が、インジェクタで必要とされる燃料噴射量を超えてしまう場合がある。このような場合、例えば、コモンレールに設けられた圧力制御弁でレール内圧力を制御することにより、インジェクタに供給する燃料を制限する。すなわち、コモンレール及び高圧燃料ポンプ1では、余分なエネルギーが消費されることとなる。本実施形態では、高圧燃料ポンプ1で制御可能な燃料の最小流量を低減することにより、このようなコモンレール及び高圧燃料ポンプ1における余分なエネルギーの消費を抑制することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記実施形態では、スプール弁70の第1摺動部705及び第2摺動部706にのみ、固体潤滑物質のショット処理を施したが、これに限るものではない。例えば、これら第1摺動部及び第2摺動部が摺接するシリンダの内周面にのみ同様のショット処理を施してもよい。また、第1摺動部及び第2摺動部に加えて、シリンダの内周面にも同様のショット処理を施してもよい。これにより、シリンダの内径とスプール弁の外径との間の直径隙間をさらに小さくできる場合がある。
上記実施形態では、スプール弁70の内部側からシリンダ71の外部側へ燃料が流れるように、流量調整弁7を燃料供給通路50に配設したが、これに限るものではない。例えば、シリンダの外部側からスプール弁の内部側へ燃料が流れるように、流量調整弁を燃料供給通路に配設してもよい。
本発明の一実施形態に係る高圧燃料ポンプの構成を示す断面図である。 図1の線II−IIに沿った断面を示す図である。 上記実施形態に係る流量調整弁の閉弁時における構成を示す断面図である。 上記実施形態に係る流量調整弁の開弁時における構成を示す断面図である。 上記実施形態に係るスプール弁の斜視図である。
符号の説明
1…高圧燃料ポンプ
2…ポンプシャフト
3…ハウジング
33…第1軸受部
34…第2軸受部
41…プランジャ
42…シリンダ
50…燃料供給通路
51…第1低圧通路
52…第2低圧通路
7…流量調整弁
70…スプール弁(内部部材)
704…第1排出孔(内部連通孔)
705…第1摺動部(第1摺動部)
706…第2摺動部(第2摺動部)
71…シリンダ(外部部材)
713…第2排出孔(外部連通孔)

Claims (6)

  1. 燃料供給通路の内部に配設された略筒状の外部部材と、
    当該外部部材の内部に摺動可能に配設された略筒状の内部部材と、を備え、
    前記外部部材には、当該外部部材の内部と外部とを連通する外部連通孔が形成され、
    前記内部部材には、当該内部部材の内部と外部とを連通する内部連通孔が形成され、
    前記内部部材を前記外部部材の内部で軸方向に沿って移動し、前記外部連通孔と前記内部連通孔との連通量を変化させることで、前記外部連通孔及び前記内部連通孔を介して前記燃料供給通路を流通する燃料の流量を調整する流量調整弁であって、
    前記内部部材外周の摺動部及び前記外部部材内周の摺動部のうち少なくとも一方には、固体潤滑物質のショット処理が施されることを特徴とする流量調整弁。
  2. 前記固体潤滑物質のショット処理は、前記内部部材外周の摺動部のみに施されることを特徴とする請求項1に記載の流量調整弁。
  3. 前記内部部材外周の摺動部は、前記内部連通孔に対し軸方向一端側に環状に形成された第1摺動部と、前記内部連通孔に対し軸方向他端側に環状に形成された第2摺動部とを含み、
    前記外部連通孔は、閉弁時において前記第1摺動部により閉塞可能であるとともに、当該第1摺動部の軸方向に沿った長さは、前記第2摺動部の長さよりも長いことを特徴とする請求項1又は2に記載の流量調整弁。
  4. 前記固体潤滑物質は、二硫化モリブデンを含むことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の流量調整弁。
  5. 前記外部部材の内径と前記内部部材の外径との間の直径隙間は、4μm以下であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の流量調整弁。
  6. 内燃機関の燃料噴射弁に燃料を高圧で供給する高圧燃料ポンプであって、
    ハウジングと、
    前記内燃機関の駆動源により回転駆動されるポンプシャフトと、
    前記ハウジング内部に形成され前記ポンプシャフトを回転可能に支持する軸受部と、
    前記ポンプシャフトの回転軸周りに放射状に延在するシリンダと、
    当該シリンダ内部に往復動可能に収容されたプランジャと、
    前記プランジャの前記ポンプシャフト側の端部を、前記ポンプシャフトに向かって付勢する付勢機構と、を備え、
    前記ハウジング内部には、前記シリンダ内部の加圧室に燃料を供給する燃料供給通路が形成され、
    前記燃料供給通路には、請求項1から5の何れかに記載の流量調整弁が配設されることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108506130A (zh) * 2018-04-18 2018-09-07 莆田市宏业精密机械有限公司 减少高压共轨燃油动态泄漏的喷油器
JP2019002436A (ja) * 2017-06-13 2019-01-10 株式会社Soken リニアソレノイドバルブ
CN110953394A (zh) * 2019-10-14 2020-04-03 中国北方发动机研究所(天津) 一种燃烧室喷嘴电磁阀

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