JP2010001349A - ウレタン形成性組成物、ポリオール組成物、およびウレタン樹脂の製造方法 - Google Patents
ウレタン形成性組成物、ポリオール組成物、およびウレタン樹脂の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 本発明は、常温での長い可使時間を可能とし硬化性に優れたウレタン形成性組成物、ポリオール組成物、およびウレタン樹脂の製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明のウレタン形成性組成物は、脂肪族および脂環族イソシアネート、およびこれらの誘導体および変性体からなる群から選択された少なくとも1種またはそれらの混合物を含むイソシアネート成分と、常温液状のポリオール成分と、反応抑制剤と、当該組成物中に固体形態にて存在する常温固体の有機金属系触媒とが配合されて調製される。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明のウレタン形成性組成物は、脂肪族および脂環族イソシアネート、およびこれらの誘導体および変性体からなる群から選択された少なくとも1種またはそれらの混合物を含むイソシアネート成分と、常温液状のポリオール成分と、反応抑制剤と、当該組成物中に固体形態にて存在する常温固体の有機金属系触媒とが配合されて調製される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ウレタン樹脂に関し、より詳細には、常温での長い可使時間を可能とし硬化性に優れたウレタン形成性組成物、ポリオール組成物、およびウレタン樹脂の製造方法に関する。
ウレタン樹脂は、強靱で耐摩耗性、耐油性、耐溶剤性などの物性に優れており、発泡体、フィルム、弾性体、粉末、溶液、エマルジョンなど種々の形態により、軟質フォーム、硬質フォーム、エラストマー、接着剤、塗料、バインダなど種々の用途に利用されている。このウレタン樹脂は、ポリオールと、ポリイソシアネートとを、触媒および適宜、発泡剤、界面活性剤、架橋剤などの添加剤の共存下で反応させることにより形成される。
ウレタン樹脂を形成させる際、すべての原料が混合された後そのまま放置すると、滞留中に混合組成物の反応が進み、使用することができなくなることがある。特に、重布やエアバッグの製造などにおいて、基布に対して目止め剤や機能性フィラーのバインダとしてウレタン形成性組成物が用いられる場合など、加工の都合上、原料の混合液の滞留が発生する場合に特に問題となっていた。このような背景から、作業性の向上のために、いわゆる可使時間の延長が望まれていた。従来技術では、この可使時間を延長するために、活性の低い触媒を用いたり、高い融点の金属系触媒を固体形態にて添加する方法が知られている。
例えば、特開平2−242875号公報(特許文献1)は、イソシアネート基およびポリエーテルセグメントの両方を含有するプレポリマー、少なくとも1種のポリヒドロキシル化合物および触媒からなる熱硬化性接着組成物において、12個より多い炭素原子を含有するカルボン酸のビスマス、カドミウム、鉛または亜鉛の塩の少なくとも1種からなり、かつ、100℃より高い溶融温度を有する固体形態の触媒を用いることを特徴とする熱硬化性接着組成物を開示している。
また、特開2004−269733号公報(特許文献2)は、主剤としてポリオール成分と硬化剤としてイソシアネート成分の二液に、硬化触媒を配合して成り、該硬化触媒として、融点110〜500℃の金属系感温性硬化触媒を、常温で粉体乃至固体のままで主剤側に配合したことを特徴とする、二液型ウレタン系組成物を開示している。
特開平2−242875号公報
特開2004−269733号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示される技術では、所望のウレタン化反応を達成するためには、固体粉末状のポリヒドロキシル化合物の溶融が前提となり、そのため、イソシアネート成分およびポリオール成分の配合R(NCO基とOH基の比)の局所的な不均一性を招いてしまい、ウレタン樹脂の成形性および得られる特性の観点から、充分なものではなかった。また、上記特許文献2に開示される技術では、硬化条件における硬化時間が数分間程度であるとはいえ、可使時間が延長されるといっても常温乃至40℃付近で20〜30分間以上程度であり、可使時間の延長、および硬化条件下で硬化時間の短縮を両立させるという観点から、充分なものではなかった。
したがって、依然として、混合組成物の均一性に優れ、ポリオールとポリイソシアネートとの混合組成物の少なくとも24時間程度の長い可使時間、かつ硬化条件において数分間から25分間程度の短い硬化時間を実現するウレタン形成性組成物、ポリオール組成物およびウレタン樹脂の製造方法の提供が望まれていた。
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、常温での長い可使時間と、硬化条件下での短い硬化時間との両立を実現するウレタン形成性組成物、ポリオール組成物およびウレタン樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリオール成分およびイソシアネート成分を含み構成されるウレタン形成性組成物において、配合後から流動性が消失するまでの可使時間と、硬化温度条件下で液状の状態からゴム状の状態となるまでの硬化時間とを計測し、種々の組成から得られる可使時間および硬化時間の結果につき鋭意検討した結果、常温液状のポリオール成分と、脂肪族系または脂環族系のポリイソシアネート成分とを用い、常温固体の有機金属系触媒を硬化反応の触媒として固体形態にて分散させ、さらに硬化反応を抑制する反応抑制剤を添加することによって、驚くべきことに、ブロック剤を使用することなしに、ウレタン形成性組成物において、難黄変で、常温での少なくとも24時間の長い可使時間、かつ硬化条件での数分間から25分間程度の短い硬化時間が達成可能であることを見出し、本発明に至ったのである。
すなわち、本発明では、脂肪族および脂環族イソシアネート、およびこれらの誘導体および変性体からなる群から選択された少なくとも1種を含むイソシアネート成分と、常温液状のポリオール成分と、反応抑制剤と、当該組成物中に固体形態にて存在する常温固体の有機金属系触媒とを配合したウレタン形成性組成物を調製する。そして、この組成物は、例えば、硬化条件として温度100〜250℃に加熱することにより、硬化することができる。
イソシアネート成分として、芳香族系のイソシアネートではなく脂肪族系や脂環族系のイソシアネートを用い、ポリオール成分として、常温固体ではなく常温液状のポリオールを用い、硬化反応を抑制する反応抑制剤の存在の下、常温液体ではなく常温固体の有機金属系触媒を配合し、組成中に固体形態にて存在させることで、難黄変で、常温での24時間以上の長い可使時間、かつ、硬化条件での数分間から25分間程度の短い硬化時間を達成するウレタン形成性組成物が得られる。これによって、ウレタン樹脂の製造プロセスにおける作業性および成形性を向上させることが可能となる。また、ブロック剤が不要とされるため、最終成形品へのブロック剤の残留、成形時のブロック剤の飛散による汚染などの、ウレタン樹脂の製造プロセスにおける環境面および安全性面での負荷が軽減される。
すなわち本発明によれば、ウレタン形成性組成物であって、脂肪族および脂環族イソシアネート、およびこれらの誘導体および変性体からなる群から選択された少なくとも1種またはそれらの混合物を含むイソシアネート成分と、常温液状のポリオール成分と、反応抑制剤と、当該組成物中に固体形態にて存在する常温固体の有機金属系触媒とが配合されるウレタン形成性組成物が提供される。また本発明によれば、上記ウレタン形成性組成物を得るためのポリオール組成物、上記ウレタン形成性組成物を用いるウレタン樹脂の製造方法が提供される。
本発明では、上記ポリオール成分は、好ましくは、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールの少なくとも1種またはそれらの混合物を含むことができる。また、本発明では、上記有機金属系触媒は、好ましくは、有機スズ化合物とすることができる。さらに本発明では、上記反応抑制剤は、好ましくは、酸性リン酸エステルとすることができる。本発明では、さらに、上記イソシアネート成分は、好ましくは、平均官能基数が2〜5のヘキサメチレンジイソシアネートおよびこれらの誘導体および変性体からなる群から選択された少なくとも1種またはそれらの混合物を含むことができる。
また本発明では、上記ポリオール成分、反応抑制剤および有機金属系触媒を、温度20〜40℃下で混合して、有機金属系触媒が分散されたポリオール組成物を調製することができる。また、本発明では、さらに、調製されたポリオール組成物とイソシアネート成分とを混合し、ウレタン形成性組成物を調製することができる。さらに本発明では、調製したウレタン形成性組成物を温度100〜250℃に加熱して硬化させることができる。
上述したように、本発明によれば、常温での24時間以上の長い可使時間、かつ、硬化条件での数分間から25分間程度の短い硬化時間が達成されるウレタン形成性組成物が得られ、もって、ウレタン樹脂の製造プロセスにおいて、作業性および成形性を向上させることが可能となる。
以下、本発明を具体的な実施形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。
以下、本発明のウレタン形成性組成物、該ウレタン形成性組成物を得るためのポリオール組成物、該ウレタン形成性組成物を用いるウレタン樹脂の製造方法について述べる。
本発明のウレタン形成性組成物は、主として、イソシアネート成分と、ポリオール成分と、反応抑制剤と、有機金属系触媒とを配合して調製される。
上記イソシアネート成分としては、脂肪族イソシアネートおよび脂環族イソシアネート、およびこれらの誘導体および変性体の少なくとも1種またはそれらの混合物を含むことができる。このようなイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート類を挙げることができる。
長い可使時間および短い硬化時間を両立させるという観点から、より好適には、イソシアネート成分は、平均官能基数が2〜5のHDI、およびこれらの誘導体および変性体を含むことができる。このようなHDIの誘導体または変性体としては、HDIおよび1,3−ブタンジオールから得られるウレタン変性ポリイソシアネート、HDIおよびイソプロパノールから得られるアロファネート変性ポリイソシアネート、HDIおよび3−メチル−1,5−ペンタジオール(MPD)から得られるアロファネート変性ポリイソシアネート、HDIおよび1,3−ブタンジオールからイソシアヌレート化により得られるイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートなどを挙げることができる。上記イソシアネート成分のNCO含有量は、好適には、10〜30質量%の範囲とすることができ、より好適には、15〜25質量%の範囲とすることができる。
上記ポリオール成分としては、常温液状のポリオールの少なくとも1種またはそれらの混合物を含むことができ、より具体的には、常温液状のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリカプロラクトンポリオールを挙げることができる。なお、本発明において、常温とは、日本工業規格(JIS Z 8703)の規定と同じく、20℃を標準状態の温度として許容差15℃の範囲、つまり5℃から35℃の範囲にある温度状態をいう。また本発明において、液状とは、危険物の規制に関する規則第69条の2「液状の定義」に準拠して評価した状態をいい、垂直にした試験管(内径30mm;高さ120mm;平底円筒型のガラス製)に、試験サンプルを試験管の底からの高さが55mmとまで入れ、当該試験管を水平にした場合に、当該試験サンプルの移動面の先端が、試験管の底からの距離が85mmの部分を通過するまでの時間が90秒以内であるものを液状と定義する。
上記ポリオールとしては、長い可使時間および短い硬化時間を両立させるという観点から、好適には、常温液状のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを採用することができる。上記ポリエステルポリオールとしては、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(MPD)およびアジピン酸から得られる常温液状ポリエステルポリオール、トリメチロールプロパン(TMP)、MPDおよびアジピン酸から得られる常温液状ポリエステルポリオールなどを挙げることができる。また、上記ポリカーボネートポリオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、MPDおよびジエチルカーボネート(DEC)から得られる常温液状ポリカーボネートジオールなどを挙げることができる。
他の例では、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、無水マレイン酸、ドデカン二酸、アゼライン酸などの多価カルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどの多価アルコールとから得られるポリエステルポリオールのうち、常温において液状のものを採用することもできる。
上記ポリオールの数平均分子量は、上述と同様な観点から、好適には、1000〜5000の範囲とすることができ、1500〜3500の範囲であることがより好ましい。また、上記ポリオールの平均官能基数は、上述と同様な観点から、好適には2〜4程度とすることができる。
上記イソシアネート成分およびポリオール成分の配合比は、ウレタン樹脂が円滑に形成される配合比であればよく、通常は、水酸基(OH基)に対するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH、R値)が0.2〜1.5の範囲、好適には0.3〜1.3の範囲、より好適には、0.9〜1.1の範囲となるような配合比で混合することができる。
上記反応抑制剤としては、リン酸、亜リン酸、酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステルの少なくとも1種またはそれらの混合物を含むことができ、長い可使時間および短い硬化時間を両立させるという観点からは、好適には、炭素数1〜18の酸性リン酸エステル、およびこれらの混合物を採用することができる。上記酸性リン酸エステルとしては、リン酸エチル、リン酸ジエチル、イソプロピルアシッドホスフェイト、ブチルアシッドホスフェイト、2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト、ビス(2−エチルヘキシル)アシッドホスフェイト、イソデシルアシッドホスフェイト、ラウリルアシッドホスフェイト、トリデシルアシッドホスフェイト、ステアリルアシッドホスフェイト、イソステアリルアシッドホスフェイト、オレイルアシッドホスフェイト、ステアリルアシッドホスフェイトなどを挙げることができる。
反応抑制剤の添加量は、長い可使時間および短い硬化時間を両立させるという観点からは、ポリオール成分に対して、50〜1200質量ppm(以下、単にppmとして参照する)の範囲とすることが好ましく、より好ましくは、80〜700ppmの範囲とすることができ、さらに好ましくは、80〜300ppmの範囲とすることができる。
上記有機金属系触媒は、所定の硬化温度条件において硬化反応の触媒作用を奏する有機金属化合物であり、このような有機金属化合物としては、例えば、Sn、Pb、Cd、Zn、Al、Zr、Bi、Mg、Fe、Ti、Cu、Co、Ni、In、Ca、Y、Ce、Sr,Mo、Laなどの金属を含有するマレート化合物、オキサイド化合物、エステル化合物、メルカプチド化合物およびキレート化合物のうち、常温固体のものまたはそれらの混合物を採用することができる。
上記有機金属系触媒としては、常温固体の有機スズ化合物を用いることが好ましく、このような有機スズ化合物としては、ジブチル錫ジステレアート、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジブチル錫ビス(マレイン酸アルキルエステル)塩、ビス(ジブチル錫マレイン酸アルキルエステル)マレイン酸塩、ジブチル錫s,o−メルカプトカルボン酸塩ポリマー、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジオクチル錫ビス(マレイン酸アルキルエステル)塩、ビス(ジオクチル錫マレイン酸アルキルエステル)マレイン酸塩、ジオクチル錫s,o−メルカプトカルボン酸塩ポリマー、ジオクチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫オキサイドなどを挙げることができ、これらのうち常温固体のものを採用することができる。
長い可使時間および、100℃〜250℃の硬化条件における短い硬化時間を両立させるという観点からは、より好適には、炭素数2〜30を有するジアルキル錫オキサイド化合物およびジアルキル錫マレート化合物などのジアルキル錫化合物を採用することができる。上記常温固体の有機スズ化合物としては、より好適には、ジ−n−オクチル錫マレート化合物、ジオクチル錫オキサイド化合物を用いることができる。
なお、上記有機金属系触媒は、粉末状態にて組成物に添加されることが好ましい。上記有機金属系触媒は、分散性を高める観点から、より好ましくは、可塑剤などとともに3本ロールミルなどにより粉砕および混練し、可塑剤中に微分散したペースト状の触媒マスターとして添加されることが好ましい。その際には、有機金属系触媒の粒径は、70μm以下とすることが好ましく、50μm以下とすることがより好ましい。有機金属系触媒の添加量は、長い可使時間および短い硬化時間を両立させるという観点からは、ポリオール成分に対して、250〜2000ppmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは、400〜1500ppmの範囲とすることができる。なお、所望の反応性を調製するために、上記有機金属系触媒に加えて、第3級アミン系触媒を添加することは妨げられない。
その他、本発明のウレタン形成性組成物は、特定の用途や目的の形態に応じて、界面活性剤、整泡剤、脱泡剤、難燃剤、可塑剤、顔料、染料、安定剤、制菌剤、充填剤など、ウレタン樹脂の物性を向上させるための添加剤を含むこともできる。
本発明のウレタン形成性組成物は、好適には、ポリオール成分、反応抑制剤、有機金属系触媒、およびその他の添加剤を配合してポリオール組成物(以下、プレミックスとして参照する)をまず調製し、調製された該プレミックスとイソシアネート成分とを混合することにより、上記ウレタン形成性組成物を調製することができる。上記プレミックスの調製は、常温固体の有機金属系触媒が溶解せずに組成物中に分散して存在するように、40℃を越えない温度条件下で、原料を混合し均一に撹拌することにより、行われることが好ましく、常温下で行われることがより好ましい。プレミックスとイソシアネート成分とを混合する際の温度条件は、特に限定されるものではないが、ウレタン樹脂の成形性などの観点から、60℃以下の温度とすること好ましい。
また、ウレタン形成性組成物の調製方法は、先に調製された上記プレミックスと、イソシアネート成分とを混合する調製方法以外にも、イソシアネート成分、ポリオール成分、反応抑制剤、有機金属系触媒、およびその他の添加剤を含む全原料を、ワンショットで混合する方法を採用することもできる。
本発明のウレタン形成性組成物では、配合後、液状の状態から流動性が消失するまでの所要時間として定義される可使時間は、常温で少なくとも24時間以上を達成することができ、組成によっては、70時間以上を達成することもできる。したがって、混合後、長期の滞留が発生した場合であっても、適切な流動性が維持され、製造プロセスにおける作業性および成形性を向上させることが可能とされる。
本発明のウレタン形成性組成物は、所定の硬化温度条件に加熱することにより、0.7〜25分間以内、より好適には、3分間以内に硬化させることができる。したがって、混合後、長期の滞留が発生した場合であっても、適切な流動性を維持しつつ、成形時には、硬化条件で迅速に硬化させることができ、製造プロセスにおける作業性および成形性を向上させることが可能とされる。なお、上記硬化条件としては、有機金属系触媒が組成物中に溶解し、所望の硬化反応の触媒作用を奏するような温度条件とすることができる。より具体的には、常圧下100℃〜250℃の温度条件とすることができる。
なお本発明において、硬化時間は、加熱により液状からゴム状の状態となるまでの所要時間として定義される。上記硬化時間の測定は、例えば、走査型振動針式硬化試験機(Scanning Vibrating Needle Curemeter;SVNC)を用いて、振動探針を測定サンプル組成物に入れ、探針に強制的に振動をかけて振幅を連続的に測定し、得られるSVNC(周波数または振幅)曲線から、液状の状態からゴム状の状態となるまでの時間を計測することにより実施することができる。
本発明のウレタン形成性組成物は、硬化条件下、イソシアネート成分とポリオール成分との硬化反応により、ウレタン樹脂を形成する。本発明のウレタン形成性組成物は、イソシアネート成分として、芳香族系のイソシアネートではなく、脂肪族系や脂環族系のイソシアネートを用い、ポリオール成分として、常温固体ではなく常温液状のポリオールを用い、硬化反応を抑制する反応抑制剤の存在の下、常温液体ではなく常温固体の有機金属系触媒を配合し、組成中に固体形態にて存在させるように調製される。これにより、常温での少なくとも24時間以上の可使時間、かつ、硬化条件での数分間から25分間程度の硬化時間を達成する難黄変のウレタン形成性組成物が得られる。また、組成条件によっては、常温での70時間以上の可使時間、かつ、硬化条件での3分間以内の硬化時間を達成するウレタン形成性組成物を得ることもできる。
本発明のウレタン形成性組成物は、調製した後、1日以上の間、流動性を維持させることができ、かつ、成形時には、加熱により迅速に硬化させることができるため、もって、ウレタン樹脂の製造プロセスにおける作業性および成形性を向上させることが可能となる。このウレタン形成性組成物は、擬似的な1液熱硬化型のウレタン形成性材料として用いることができる。
本発明のウレタン形成性組成物により製造されるウレタン樹脂は、ウレタン形成性組成物に加えた添加剤や成形方法などに応じて、発泡体、フィルム、弾性体、粉末、溶液、エマルジョンなど種々の形態により提供することができ、軟質フォーム、硬質フォーム、エラストマー、接着剤、塗料、バインダなど種々の用途に利用することができる。
以下、本発明のウレタン形成性組成物、該ウレタン形成性組成物を得るためのポリオール組成物、該ウレタン形成性組成物を用いるウレタン樹脂の製造方法について、実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明は特定の実施例に限定されるものではない。
(実験例1)
(1)混合組成物調製
3−メチル−1,5−ペンタンジオール(MPD)およびアジピン酸から得られ、数平均分子量2000、公称平均官能基数2である常温液状ポリエステルポリオール(表1および表2中ポリエステルポリオールAとして参照され、以下、単にポリオールAとして参照する。)636質量部と、トリメチロールプロパン(TMP)、3−メチル−1,5−ペンタジオール(MPD)およびアジピン酸から得られ、数平均分子量3000、公称平均官能基数3である常温液状ポリエステルポリオール(表1および表2中ポリエステルポリオールBとして参照され、以下、単にポリオールBとして参照する。)159質量部と、反応抑制剤であるJP−508(酸性リン酸エステル:モノ(2−エチルヘキシルアシッドホスフェート)およびビス(2−エチルヘキシルアシッドホスフェート)の混合物:城北化学工業株式会社製)をポリオール成分に対し100ppmと、NW−96をポリオール成分に対して1000ppmとを混合して、プレミックス混合組成物を得た。ここでNW−96は、有機スズ化合物系触媒であるKS−1010A−1(ジ−n−オクチル錫マレート・ポリマー:共同薬品株式会社製)と、アジピン酸エステル系可塑剤であるPN−250(株式会社ADEKA社製)とを、50:50の質量比で配合し、3本ロールによりKS−1010A−1の粒径が最大30μmとなるまで混練して得られた分散処理品をいう。
(1)混合組成物調製
3−メチル−1,5−ペンタンジオール(MPD)およびアジピン酸から得られ、数平均分子量2000、公称平均官能基数2である常温液状ポリエステルポリオール(表1および表2中ポリエステルポリオールAとして参照され、以下、単にポリオールAとして参照する。)636質量部と、トリメチロールプロパン(TMP)、3−メチル−1,5−ペンタジオール(MPD)およびアジピン酸から得られ、数平均分子量3000、公称平均官能基数3である常温液状ポリエステルポリオール(表1および表2中ポリエステルポリオールBとして参照され、以下、単にポリオールBとして参照する。)159質量部と、反応抑制剤であるJP−508(酸性リン酸エステル:モノ(2−エチルヘキシルアシッドホスフェート)およびビス(2−エチルヘキシルアシッドホスフェート)の混合物:城北化学工業株式会社製)をポリオール成分に対し100ppmと、NW−96をポリオール成分に対して1000ppmとを混合して、プレミックス混合組成物を得た。ここでNW−96は、有機スズ化合物系触媒であるKS−1010A−1(ジ−n−オクチル錫マレート・ポリマー:共同薬品株式会社製)と、アジピン酸エステル系可塑剤であるPN−250(株式会社ADEKA社製)とを、50:50の質量比で配合し、3本ロールによりKS−1010A−1の粒径が最大30μmとなるまで混練して得られた分散処理品をいう。
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)および1,3−ブタンジオールから得られ、NCO含有量17.5質量%、平均官能基数2であるウレタン変性ポリイソシアネート(表1および表2中イソシアネートAとして参照され、以下、単にイソシアネートAとして参照する。)を205質量部と、上記プレミックス混合組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。R値は、1.05であった。なお、配合時の温度は、ウレタン変性ポリイソシアネートを45℃とし、プレミックス混合組成物を25℃とした。また、プレミックス組成物は、配合するまで、40℃を越えない温度に維持した。
(2)可使時間の測定
得られたウレタン形成性混合組成物を100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認した。実験例1のウレタン形成性混合組成物の調製から流動性の消失までの時間を計測したところ、48時間であった。なお、流動性は、ガラス瓶を倒して直ちに組成物の流れが起こらなくなる時点をもって、消失したものと判定した。
得られたウレタン形成性混合組成物を100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認した。実験例1のウレタン形成性混合組成物の調製から流動性の消失までの時間を計測したところ、48時間であった。なお、流動性は、ガラス瓶を倒して直ちに組成物の流れが起こらなくなる時点をもって、消失したものと判定した。
(3)硬化時間の測定
走査型振動針式硬化試験機(Scanning Vibrating Needle Curemeter:SVNC:RAPRA TECHNOLOGY LTD.製)の予め150℃に加温したサンプルステージに、得られたウレタン形成性混合組成物を0.3ml注入し、振動針(カーボン製)を60Hzの周波数で励振して、振動針の振幅の経時変化を計測した。得られたSVNC曲線から、振幅値が初期の液状態の9000からゴム状態の2000まで低下するのに要した時間を求めたところ、2分間であった。
走査型振動針式硬化試験機(Scanning Vibrating Needle Curemeter:SVNC:RAPRA TECHNOLOGY LTD.製)の予め150℃に加温したサンプルステージに、得られたウレタン形成性混合組成物を0.3ml注入し、振動針(カーボン製)を60Hzの周波数で励振して、振動針の振幅の経時変化を計測した。得られたSVNC曲線から、振幅値が初期の液状態の9000からゴム状態の2000まで低下するのに要した時間を求めたところ、2分間であった。
(4)総合評価
表1に、実験例1を含む各実験例の混合組成、および得られるウレタン形成性混合組成物の硬化時間、可使時間および総合評価をまとめた結果を示す。なお、総合評価では、硬化時間については150℃の温度条件下、可使時間については25℃の雰囲気下、3分間以内の硬化時間および24時間以上の可使時間が達成された場合を◎とし、12分間以内の硬化時間および24時間以上の可使時間が達成された場合を○とし、25分間以内の硬化時間および24時間以上の可使時間が達成された場合を△とした。また、同条件下、可使時間に関わらず硬化時間が25分間を越えた場合、および硬化時間に関わらず24時間未満の可使時間しか達成できなかった場合は、いずれも×として総合評価した。上記実験例1では、2分間の硬化時間および48時間の可使時間が達成されたため、総合評価は◎と判定した。なお、実験例1は、本発明の実施例である。
表1に、実験例1を含む各実験例の混合組成、および得られるウレタン形成性混合組成物の硬化時間、可使時間および総合評価をまとめた結果を示す。なお、総合評価では、硬化時間については150℃の温度条件下、可使時間については25℃の雰囲気下、3分間以内の硬化時間および24時間以上の可使時間が達成された場合を◎とし、12分間以内の硬化時間および24時間以上の可使時間が達成された場合を○とし、25分間以内の硬化時間および24時間以上の可使時間が達成された場合を△とした。また、同条件下、可使時間に関わらず硬化時間が25分間を越えた場合、および硬化時間に関わらず24時間未満の可使時間しか達成できなかった場合は、いずれも×として総合評価した。上記実験例1では、2分間の硬化時間および48時間の可使時間が達成されたため、総合評価は◎と判定した。なお、実験例1は、本発明の実施例である。
(実験例2)
(1)混合組成物調製
反応抑制剤であるJP−508を200ppmとし、有機スズ化合物系触媒であるNW−96を2000ppmとした他、実験例1と同一の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。実験例1と同様に、イソシアネートAを205質量部と、上記プレミックス組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。
(1)混合組成物調製
反応抑制剤であるJP−508を200ppmとし、有機スズ化合物系触媒であるNW−96を2000ppmとした他、実験例1と同一の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。実験例1と同様に、イソシアネートAを205質量部と、上記プレミックス組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。
(2)可使時間の測定
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、48時間であった。
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、48時間であった。
(3)硬化時間の測定
実験例1と同様の手順で、振幅が液状態の9000からゴム状態の2000まで低下するのに要した時間を求めたところ、1.2分間であった。
実験例1と同様の手順で、振幅が液状態の9000からゴム状態の2000まで低下するのに要した時間を求めたところ、1.2分間であった。
(4)総合評価
実験例2では、1.2分間の硬化時間および48時間の可使時間が達成されたため、総合評価は◎と判定した。同様に、実験例2の結果を表1に示す。なお、実験例2は、本発明の実施例である。
実験例2では、1.2分間の硬化時間および48時間の可使時間が達成されたため、総合評価は◎と判定した。同様に、実験例2の結果を表1に示す。なお、実験例2は、本発明の実施例である。
(実験例3〜5)
(1)混合組成物調製
反応抑制剤であるJP−508を、200ppm(実験例3)、500ppm(実験例4)または1000ppm(実験例5)とした他、実験例1と同様の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。実験例1と同様に、イソシアネートAを205質量部と、上記各プレミックス組成物を全量とを混合し、各実験例につきウレタン形成性混合組成物を得た。
(1)混合組成物調製
反応抑制剤であるJP−508を、200ppm(実験例3)、500ppm(実験例4)または1000ppm(実験例5)とした他、実験例1と同様の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。実験例1と同様に、イソシアネートAを205質量部と、上記各プレミックス組成物を全量とを混合し、各実験例につきウレタン形成性混合組成物を得た。
(2)可使時間の測定
実験例1と同様の手順で、各実験例のウレタン形成性混合組成物を、それぞれ100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、それぞれ、56時間(実験例3)、72時間(実験例4)、48時間(実験例5)であった。
実験例1と同様の手順で、各実験例のウレタン形成性混合組成物を、それぞれ100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、それぞれ、56時間(実験例3)、72時間(実験例4)、48時間(実験例5)であった。
(3)硬化時間の測定
各実験例につき、実験例1と同様の手順で、振幅が液状態の9000からゴム状態の2000まで低下するのに要した時間を求めたところ、それぞれ、5分間(実験例3)、11分間(実験例4)、20分間(実験例5)であった。
各実験例につき、実験例1と同様の手順で、振幅が液状態の9000からゴム状態の2000まで低下するのに要した時間を求めたところ、それぞれ、5分間(実験例3)、11分間(実験例4)、20分間(実験例5)であった。
(4)総合評価
実験例3では、5分間の硬化時間および56時間の可使時間が達成されたため、総合評価は○と判定した。実験例4では、11分間の硬化時間および72時間の可使時間が達成されたため、総合評価は○と判定した。実験例5では、20分間の硬化時間および48時間の可使時間が達成されたため、総合評価は△と判定した。同様に、実験例3〜5の結果を表1に示す。なお、実験例3〜5は、本発明の実施例である。
実験例3では、5分間の硬化時間および56時間の可使時間が達成されたため、総合評価は○と判定した。実験例4では、11分間の硬化時間および72時間の可使時間が達成されたため、総合評価は○と判定した。実験例5では、20分間の硬化時間および48時間の可使時間が達成されたため、総合評価は△と判定した。同様に、実験例3〜5の結果を表1に示す。なお、実験例3〜5は、本発明の実施例である。
実験例1および実験例3〜5を考察すると、硬化時間は、反応抑制剤の添加量の増加とともに長くなる傾向が見られた。一方、可使時間は、反応抑制剤の添加量が500ppmまで延長されるが、1000ppmでは、逆に可使時間が短くなる傾向が見られた。また、実験例2と実験例3とを比較すると、反応抑制剤の条件を同一とした場合、有機金属系触媒の添加量が増加すると、可使時間は、若干短くなる傾向があるものの、硬化時間が好適に短縮され、より好ましい結果が得られる傾向が見られた。
(実験例6)
(1)混合組成物調製
ポリオール成分として、ポリオールAおよびポリオールBに代えて、1,6−ヘキサンジオールと3−メチル−1,5−ペンタジオール(MPD)との質量比が1:9の混合物およびジエチルカーボネート(DEC)から脱エタノール反応にて得られ、数平均分子量2000、公称平均官能基数2である常温液状ポリカーボネートジオール(表1および表2中ポリカーボネートポリオールCとして参照され、以下、単にポリオールCとして参照する。)を用いた他、実験例2と同一の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。実験例2と同様に、イソシアネートAを205質量部と、上記プレミックス組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。
(1)混合組成物調製
ポリオール成分として、ポリオールAおよびポリオールBに代えて、1,6−ヘキサンジオールと3−メチル−1,5−ペンタジオール(MPD)との質量比が1:9の混合物およびジエチルカーボネート(DEC)から脱エタノール反応にて得られ、数平均分子量2000、公称平均官能基数2である常温液状ポリカーボネートジオール(表1および表2中ポリカーボネートポリオールCとして参照され、以下、単にポリオールCとして参照する。)を用いた他、実験例2と同一の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。実験例2と同様に、イソシアネートAを205質量部と、上記プレミックス組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。
(2)結果
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、36時間であった。実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、0.9分間であった。
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、36時間であった。実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、0.9分間であった。
(3)総合評価
実験例6では、0.9分間の硬化時間および36時間の可使時間が達成されたため、総合評価は◎と判定した。実験例6の結果を表1に示す。なお、実験例6は、本発明の実施例である。実験例2と実験例6とを比較すると、ポリカーボネートポリオールを用いた場合、ポリエステルポリオールを用いた場合に比べ、若干可使時間が短くなるものの、硬化時間がより短縮される傾向が見られた。
(実験例7)
(1)混合組成物調製
ポリオール成分として、ポリオールAを649質量部、ポリオールBを162質量部とした他、実験例2と同様の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。イソシアネート成分として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびイソプロパノールから得られ、NCO含有量19.3質量%、平均官能基数2であるアロファネート変性ポリイソシアネート(表1および表2中イソシアネートBとして参照され、以下、単にイソシアネートBとして参照する。)を189質量部と、上記プレミックス混合組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。R値は、1.05であった。なお、配合時の温度は、アロファネート変性ポリイソシアネートおよびプレミックス混合組成物をともに25℃とした。
実験例6では、0.9分間の硬化時間および36時間の可使時間が達成されたため、総合評価は◎と判定した。実験例6の結果を表1に示す。なお、実験例6は、本発明の実施例である。実験例2と実験例6とを比較すると、ポリカーボネートポリオールを用いた場合、ポリエステルポリオールを用いた場合に比べ、若干可使時間が短くなるものの、硬化時間がより短縮される傾向が見られた。
(実験例7)
(1)混合組成物調製
ポリオール成分として、ポリオールAを649質量部、ポリオールBを162質量部とした他、実験例2と同様の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。イソシアネート成分として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびイソプロパノールから得られ、NCO含有量19.3質量%、平均官能基数2であるアロファネート変性ポリイソシアネート(表1および表2中イソシアネートBとして参照され、以下、単にイソシアネートBとして参照する。)を189質量部と、上記プレミックス混合組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。R値は、1.05であった。なお、配合時の温度は、アロファネート変性ポリイソシアネートおよびプレミックス混合組成物をともに25℃とした。
(2)結果
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、36時間であった。実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、1.3分間であった。
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、36時間であった。実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、1.3分間であった。
(3)総合評価
実験例7では、1.3分間の硬化時間および36時間の可使時間が達成されたため、総合評価は◎と判定した。実験例7の結果を表1に示す。なお、実験例7は、本発明の実施例である。実験例2と実験例7とを比較すると、イソシアネートBを用いた場合、イソシアネートAを用いた場合に比べ、若干、可使時間が短くなるものの、同等の硬化時間が達成されることが確認できる。
実験例7では、1.3分間の硬化時間および36時間の可使時間が達成されたため、総合評価は◎と判定した。実験例7の結果を表1に示す。なお、実験例7は、本発明の実施例である。実験例2と実験例7とを比較すると、イソシアネートBを用いた場合、イソシアネートAを用いた場合に比べ、若干、可使時間が短くなるものの、同等の硬化時間が達成されることが確認できる。
(実験例8)
(1)混合組成物調製
ポリオール成分として、ポリオールAを809質量部とし、ポリオールBを用いなかった他、実験例2と同様の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。イソシアネート成分として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)および3−メチル−1,5−ペンタンジオール(MPD)から得られ、NCO含有量19.2質量%、平均官能基数4.8であるアロファネート変性ポリイソシアネート(表1および表2中イソシアネートCとして参照され、以下、単にイソシアネートCとして参照する。)を191質量部と、上記プレミックス混合組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。R値は、1.05であった。なお、配合時の温度は、アロファネート変性ポリイソシアネートおよびプレミックス混合組成物を25℃とした。
(1)混合組成物調製
ポリオール成分として、ポリオールAを809質量部とし、ポリオールBを用いなかった他、実験例2と同様の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。イソシアネート成分として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)および3−メチル−1,5−ペンタンジオール(MPD)から得られ、NCO含有量19.2質量%、平均官能基数4.8であるアロファネート変性ポリイソシアネート(表1および表2中イソシアネートCとして参照され、以下、単にイソシアネートCとして参照する。)を191質量部と、上記プレミックス混合組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。R値は、1.05であった。なお、配合時の温度は、アロファネート変性ポリイソシアネートおよびプレミックス混合組成物を25℃とした。
(2)結果
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を、それぞれ100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、40時間であった。実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、0.8分間であった。
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を、それぞれ100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、40時間であった。実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、0.8分間であった。
(3)総合評価
実験例8では、0.8分間の硬化時間および40時間の可使時間が達成されたため、総合評価は◎と判定した。実験例8の結果を表1に示す。なお、実験例8は、本発明の実施例である。実験例2と実験例8とを比較すると、イソシアネートCを用いた場合、イソシアネートAを用いた場合に比べ、若干、可使時間が短くなるものの、硬化時間は、より短縮されることが確認された。実験例7と実験例8とを比較すると、イソシアネートCを用いた場合、イソシアネートBを用いた場合に比べ、若干、可使時間が延長され、硬化時間もより短縮されることが確認された。
実験例8では、0.8分間の硬化時間および40時間の可使時間が達成されたため、総合評価は◎と判定した。実験例8の結果を表1に示す。なお、実験例8は、本発明の実施例である。実験例2と実験例8とを比較すると、イソシアネートCを用いた場合、イソシアネートAを用いた場合に比べ、若干、可使時間が短くなるものの、硬化時間は、より短縮されることが確認された。実験例7と実験例8とを比較すると、イソシアネートCを用いた場合、イソシアネートBを用いた場合に比べ、若干、可使時間が延長され、硬化時間もより短縮されることが確認された。
(実験例9)
(1)混合組成物調製
ポリオール成分として、ポリオールAを829質量部とし、ポリオールBを用いなかった他、実験例2と同様の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。イソシアネート成分として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の一部を1,3−ブタンジオールにてウレタン化させ、その後イソシアヌレート化させることによって得られ、NCO含有量21.8質量%、平均官能基数3.5であるポリイソシアネート(表1および表2中イソシアネートDとして参照され、以下、単にイソシアネートDとして参照する。)を171質量部と、上記プレミックス混合組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。R値は、1.05であった。なお、配合時の温度は、ポリイソシアネートおよびプレミックス混合組成物を25℃とした。
(1)混合組成物調製
ポリオール成分として、ポリオールAを829質量部とし、ポリオールBを用いなかった他、実験例2と同様の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。イソシアネート成分として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の一部を1,3−ブタンジオールにてウレタン化させ、その後イソシアヌレート化させることによって得られ、NCO含有量21.8質量%、平均官能基数3.5であるポリイソシアネート(表1および表2中イソシアネートDとして参照され、以下、単にイソシアネートDとして参照する。)を171質量部と、上記プレミックス混合組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。R値は、1.05であった。なお、配合時の温度は、ポリイソシアネートおよびプレミックス混合組成物を25℃とした。
(2)結果
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を、それぞれ100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、40時間であった。実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、0.7分間であった。
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を、それぞれ100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、40時間であった。実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、0.7分間であった。
(3)総合評価
実験例9では、0.7分間の硬化時間および40時間の可使時間が達成されたため、総合評価は◎と判定した。実験例9の結果を表1に示す。なお、実験例9は、本発明の実施例である。実験例2と実験例9とを比較すると、イソシアネートDを用いた場合、イソシアネートAを用いた場合に比べ、若干可使時間が短くなるものの、硬化時間がより短縮されることが確認された。実験例7と実験例9を比較すると、イソシアネートDを用いた場合、イソシアネートBを用いた場合に比べ、若干可使時間が延長され、かつ硬化時間もより短縮されることが確認された。実験例8と実験例9を比較すると、イソシアネートDを用いた場合、イソシアネートCを用いた場合に比べ、若干、硬化時間が短縮されることが確認された。
実験例9では、0.7分間の硬化時間および40時間の可使時間が達成されたため、総合評価は◎と判定した。実験例9の結果を表1に示す。なお、実験例9は、本発明の実施例である。実験例2と実験例9とを比較すると、イソシアネートDを用いた場合、イソシアネートAを用いた場合に比べ、若干可使時間が短くなるものの、硬化時間がより短縮されることが確認された。実験例7と実験例9を比較すると、イソシアネートDを用いた場合、イソシアネートBを用いた場合に比べ、若干可使時間が延長され、かつ硬化時間もより短縮されることが確認された。実験例8と実験例9を比較すると、イソシアネートDを用いた場合、イソシアネートCを用いた場合に比べ、若干、硬化時間が短縮されることが確認された。
(実験例10)
(1)混合組成物調製
反応抑制剤として、JP−508に代えてリン酸(85%)を50ppmとした他、実験例1と同一の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。実験例1と同様に、イソシアネートAを205質量部と、上記プレミックス組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。
(1)混合組成物調製
反応抑制剤として、JP−508に代えてリン酸(85%)を50ppmとした他、実験例1と同一の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。実験例1と同様に、イソシアネートAを205質量部と、上記プレミックス組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。
(2)結果
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、48時間であった。実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、18分間であった。
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、48時間であった。実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、18分間であった。
(3)総合評価
実験例10では、18分間の硬化時間および48時間の可使時間であったため、総合評価は△と判定した。実験例10の結果を表1に示す。なお、実験例10は、本発明の実施例である。実験例1と実験例10とを比較すると、反応抑制剤として酸性リン酸エステルに代えてリン酸を用いると、硬化時間が長くなる傾向が見られた。
実験例10では、18分間の硬化時間および48時間の可使時間であったため、総合評価は△と判定した。実験例10の結果を表1に示す。なお、実験例10は、本発明の実施例である。実験例1と実験例10とを比較すると、反応抑制剤として酸性リン酸エステルに代えてリン酸を用いると、硬化時間が長くなる傾向が見られた。
(実験例11)
(1)混合組成物調製
有機金属系触媒として、DBTO(ジブチル錫オキサイド)500ppmを用いた他、実験例1と同一の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。実験例1と同様に、イソシアネートAを205質量部と、上記プレミックス組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。
(1)混合組成物調製
有機金属系触媒として、DBTO(ジブチル錫オキサイド)500ppmを用いた他、実験例1と同一の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。実験例1と同様に、イソシアネートAを205質量部と、上記プレミックス組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。
(2)結果
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、48時間であった。実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、6分間であった。
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、48時間であった。実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、6分間であった。
(3)総合評価
実験例11では、6分間の硬化時間および48時間の可使時間であったため、総合評価は○と判定した。実験例11の結果を表2に示す。なお、実験例11は、本発明の実施例である。実験例1と実験例11とを比較すると、同じく常温固体の有機スズ化合物を用いた場合であっても、ジ−n−オクチル錫マレート・ポリマーを用いた方が、硬化時間が短縮される傾向が見られた。
実験例11では、6分間の硬化時間および48時間の可使時間であったため、総合評価は○と判定した。実験例11の結果を表2に示す。なお、実験例11は、本発明の実施例である。実験例1と実験例11とを比較すると、同じく常温固体の有機スズ化合物を用いた場合であっても、ジ−n−オクチル錫マレート・ポリマーを用いた方が、硬化時間が短縮される傾向が見られた。
(実験例12)
(1)混合組成物調製
反応抑制剤として、リン酸(85%)を100ppmとした他、実験例10と同一の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。実験例10と同様に、イソシアネートAを205質量部と、上記プレミックス組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。
(1)混合組成物調製
反応抑制剤として、リン酸(85%)を100ppmとした他、実験例10と同一の組成を有するプレミックス混合組成物を得た。実験例10と同様に、イソシアネートAを205質量部と、上記プレミックス組成物を全量とを混合し、ウレタン形成性混合組成物を得た。
(2)結果
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、48時間であった。実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、23分間であった。
実験例1と同様の手順で、得られたウレタン形成性混合組成物を100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、48時間であった。実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、23分間であった。
(3)総合評価
実験例12では、23分間の硬化時間および48時間の可使時間であったため、総合評価は△と判定した。実験例12の結果を表2に示す。なお、実験例12は、本発明の実施例である。実験例10と実験例12とを比較すると、リン酸の添加量が多くなると、硬化時間がより長くなる傾向が見られた。
実験例12では、23分間の硬化時間および48時間の可使時間であったため、総合評価は△と判定した。実験例12の結果を表2に示す。なお、実験例12は、本発明の実施例である。実験例10と実験例12とを比較すると、リン酸の添加量が多くなると、硬化時間がより長くなる傾向が見られた。
(実験例13〜20)
(1)混合組成物調製
実験例13〜20の各実験例につき、表2に示す組成条件にて、ポリオール成分、反応抑制剤および触媒が混合された上記プレミックス組成物を得た。各実験例につき、表2に示す組成条件のイソシアネート成分と、各プレミックス組成物の全量とを混合し、各実験例につきウレタン形成性混合組成物を得た。なお、表中、イソシアネートEは、ジフェニルメタンジイソシアネートの一部をカルボジイミド化させて得られ、NCO含有量28.8質量%、平均官能基数2.1である変性ポリイソシアネート(以下、単にイソシアネートEとして参照する。)を表す。また表中DB60は、アミン系触媒であるTOYOCAT−DB60(東ソー株式会社製)を表す。表中、DOTDLは、常温液体の有機スズ化合物であるジオクチル錫ジラウレートを表す。また、表中(A)は、触媒添加後、プレミックス組成物を80℃に一旦加熱し、固体触媒を溶解させ、その後、25℃に冷却したことを表す。
(1)混合組成物調製
実験例13〜20の各実験例につき、表2に示す組成条件にて、ポリオール成分、反応抑制剤および触媒が混合された上記プレミックス組成物を得た。各実験例につき、表2に示す組成条件のイソシアネート成分と、各プレミックス組成物の全量とを混合し、各実験例につきウレタン形成性混合組成物を得た。なお、表中、イソシアネートEは、ジフェニルメタンジイソシアネートの一部をカルボジイミド化させて得られ、NCO含有量28.8質量%、平均官能基数2.1である変性ポリイソシアネート(以下、単にイソシアネートEとして参照する。)を表す。また表中DB60は、アミン系触媒であるTOYOCAT−DB60(東ソー株式会社製)を表す。表中、DOTDLは、常温液体の有機スズ化合物であるジオクチル錫ジラウレートを表す。また、表中(A)は、触媒添加後、プレミックス組成物を80℃に一旦加熱し、固体触媒を溶解させ、その後、25℃に冷却したことを表す。
(2)結果
実験例1と同様の手順で、各実験例のウレタン形成性混合組成物を、それぞれ100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、表2に示す可使時間が求められた。また、各実験例につき、実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、表2に示す硬化時間が求められた。
実験例1と同様の手順で、各実験例のウレタン形成性混合組成物を、それぞれ100mlのガラス瓶に50gとり、温度25℃下、目視にて流動性の消失を確認するまで計時したところ、表2に示す可使時間が求められた。また、各実験例につき、実験例1と同様の手順で、振幅が液状態からゴム状態となるまでに要した時間を求めたところ、表2に示す硬化時間が求められた。
(3)総合評価
実験例13〜20で得られた硬化時間および可使時間から、すべての実験例につき、総合評価は×と判定した。なお、実験例13〜20は比較例である。
実験例13〜20で得られた硬化時間および可使時間から、すべての実験例につき、総合評価は×と判定した。なお、実験例13〜20は比較例である。
実験例13は、反応抑制剤および触媒を共に用いなかった他、実験例1と同一条件としたものであるが、反応抑制剤および有機金属系触媒が添加されない場合、72時間という長い可使時間が得られたが、硬化時間が60分間かかり、充分に長い可使時間および充分に短い硬化時間を両立するものではなかった。
実験例14は、触媒を用いなかった他、実験例1と同一条件としたものであるが、有機金属系触媒が添加されない場合、72時間という長い可使時間が得られたが、反応抑制剤の効果により、硬化時間は60分間以上かかり、充分に長い可使時間および充分に短い硬化時間を両立するものではなかった。
実験例15は、反応抑制剤を用いず、常温固体の有機スズ化合物に代えて、常温液体のジオクチル錫ジラウレートを用いた他、実験例1と同一条件としたものであるが、常温液体の有機スズ化合物の触媒を用いる場合、1.8分間という短い硬化時間が得られたが、加熱前に触媒がプレミックス組成部にとけ込んで均一化されてしまい、0.5時間という極めて短い可使時間となり、充分に長い可使時間および充分に短い硬化時間を両立するものではなかった。
実験例16は、常温固体の有機スズ化合物に代えて、常温液体のジオクチル錫ジラウレートを用いた他、実験例1と同一条件としたものであるが、常温液体の有機スズ化合物の触媒を用いる場合、2.4分間という短い硬化時間が得られたが、加熱前に触媒がプレミックス組成部にとけ込んで均一化されてしまい、1時間という極めて短い可使時間となり、充分に長い可使時間および充分に短い硬化時間を両立するものではなかった。また実験例15と実験例16とを比較すると、反応抑制剤を用いていたため、実験例16の場合、可使時間および硬化時間の両方が長くなっている。
実験例17は、反応抑制剤を用いなかった他、実験例1と同一条件としたものであるが、反応抑制剤が添加されない場合、1.5分間という短い硬化時間が得られたが、2時間という短い可使時間となり、充分に長い可使時間および充分に短い硬化時間を両立するものではなかった。
実験例18は、触媒添加後、プレミックス組成物を80℃に一旦加熱し、その後、25℃に冷却した他、実験例1と同一条件としたものであるが、一度プレミックス組成物が40℃以上に加温されてしまうと、固体触媒が溶解してしまい、冷却しても、析出しないため、充分に長い可使時間が達成できなくなることを示している。実験例18は、1.4分間という短い硬化時間が得られたが、可使時間が0.5時間と極めて短く、充分に長い可使時間および充分に短い硬化時間を両立するものではなかった。
実験例19は、イソシアネートAに代えて、芳香族系のイソシアネートであるイソシアネートEを用い、ポリオール成分の組成および配合条件を若干変更した他、実験例1と同一条件としたものであるが、脂肪族系および脂環族系に比べ反応性の高い芳香族系のイソシアネートを用いる場合、1分間という実験例1より短い硬化時間となる一方、4時間と短い可使時間となり、充分に長い可使時間および充分に短い硬化時間を両立するものではなかった。
実験例20は、常温固体の有機スズ化合物に代えて、常温液体のアミン系触媒であるTOYOCAT−DB60を用いた他、実験例1と同一条件としたものであるが、有機スズ化合物ではなくアミン系触媒を用いる場合、36時間と比較的長い可使時間が得られるが、触媒活性が低いためか、60分間以上の硬化時間が必要となり、充分に長い可使時間および充分に短い硬化時間を両立するものではなかった。
以上、説明したように、本発明によれば、常温での長い可使時間と、硬化条件下での短い硬化時間との両立を実現するウレタン形成性組成物、ポリオール組成物およびウレタン樹脂の製造方法が提供される。本発明のウレタン形成性組成物は、調製した後、1日以上の間、流動性を維持させることができ、かつ、成形時には、加熱により迅速に硬化させることができるため、もって、ウレタン樹脂の製造プロセスにおける作業性および成形性を向上させることが可能となる。
上記ウレタン形成性組成物は、擬似的な1液熱硬化型のウレタン形成性材料として用いることができ、該ウレタン形成性組成物により製造されるウレタン樹脂は、ウレタン形成性組成物に加えた添加剤や成形方法などに応じて、発泡体、フィルム、弾性体、粉末、溶液、エマルジョンなど種々の形態により提供することができ、軟質フォーム、硬質フォーム、エラストマー、接着剤、塗料、バインダなど種々の用途に利用することができ、種々の産業上の用途に用いるウレタン樹脂の製造工程における成形性および作業性を向上させることが期待される。
これまで本発明の実施形態および実施例について説明してきたが、本発明の実施形態および実施例は上述した実施形態および実施例に限定されるものではなく、他の実施形態および実施例、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
Claims (13)
- ウレタン形成性組成物であって、
脂肪族および脂環族イソシアネート、およびこれらの誘導体および変性体からなる群から選択された少なくとも1種またはそれらの混合物を含むイソシアネート成分と、
常温液状のポリオール成分と、
反応抑制剤と、
当該組成物中に固体形態にて存在する常温固体の有機金属系触媒と
が配合されるウレタン形成性組成物。 - 前記ポリオール成分は、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールの少なくとも1種またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載のウレタン形成性組成物。
- 前記有機金属系触媒は、有機スズ化合物である、請求項1または2に記載のウレタン形成性組成物。
- 前記反応抑制剤は、酸性リン酸エステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のウレタン形成性組成物。
- 前記イソシアネート成分は、平均官能基数が2〜5のヘキサメチレンジイソシアネートおよびこれらの誘導体および変性体からなる群から選択された少なくとも1種またはそれらの混合物を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のウレタン形成性組成物。
- イソシアネート成分と反応してウレタン樹脂を形成するポリオール組成物であって、
常温液状のポリオール成分と、
反応抑制剤と、
当該組成物中に固体形態にて存在する常温固体の有機金属系触媒と
を含み配合され、
前記イソシアネート成分は、脂肪族および脂環族イソシアネート、およびこれらの誘導体および変性体からなる群から選択された少なくとも1種またはそれらの混合物を含む、ポリオール組成物。 - 前記ポリオール成分は、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールの少なくとも1種またはそれらの混合物を含み、
前記有機金属系触媒は、有機スズ化合物であり、
前記反応抑制剤は、酸性リン酸エステルであり、
前記イソシアネート成分は、平均官能基数が2〜5のヘキサメチレンジイソシアネートおよびこれらの誘導体および変性体からなる群から選択された少なくとも1種またはそれらの混合物を含む、請求項6に記載のポリオール組成物。 - ウレタン樹脂の製造方法であって、
脂肪族および脂環族イソシアネート、およびこれらの誘導体および変性体からなる群から選択された少なくとも1種またはそれらの混合物を含むイソシアネート成分、常温液状のポリオール成分、反応抑制剤、および当該組成物中に固体形態で存在する常温固体の有機金属系触媒が配合されるウレタン形成性組成物を調製する工程と、
前記ウレタン形成性組成物を加熱して硬化させる工程と
を含む、製造方法。 - 前記調製する工程は、前記ポリオール成分、前記反応抑制剤および前記有機金属系触媒を温度20〜40℃下で混合し、前記有機金属系触媒が組成物中に分散されたポリオール組成物を調製する工程と、調製された前記ポリオール組成物と前記イソシアネート成分とを混合して前記ウレタン形成性組成物を調製する工程とを含み、
前記硬化させる工程は、温度100〜250℃に加熱する工程を含む、請求項8に記載の製造方法。 - 前記ポリオール成分は、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールの少なくとも1種またはそれらの混合物を含む、請求項8または9に記載の製造方法。
- 前記有機金属系触媒は、有機スズ化合物である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記反応抑制剤は、酸性リン酸エステルである、請求項8〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記イソシアネート成分は、平均官能基数が2〜5のヘキサメチレンジイソシアネートおよびこれらの誘導体および変性体からなる群から選択された少なくとも1種またはそれらの混合物を含む、請求項8〜12のいずれか1項に記載のウレタン形成性組成物。
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