JP2010001219A - α−ヒドロキシ酸エステルの製造方法 - Google Patents
α−ヒドロキシ酸エステルの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】反応溶媒として原料と同じアルコールを用いて、酸触媒存在下、α−ヒドロキシ酸をエステル化した後、揮発性の塩基を加えて酸触媒を中和し、その後、反応溶媒を蒸留除去するという簡便な操作で、α−ヒドロキシ酸エステルを高純度かつ高収率で製造することができる。
【選択図】なし
Description
α−ヒドロキシ酸エステルなどのエステル化合物の回収方法としては、エステル化反応後、有機塩基により酸触媒を中和して水溶性の有機塩基塩を形成させ、水を加えて生成した有機塩基塩を水相に移行させることにより、エステル化合物と酸触媒とを分離し、その後、目的のエステル化合物を含む非水溶媒相を蒸留する方法が知られている(特許文献1:特開2002−302491号公報参照)。しかし、この方法では、有機塩基が酸触媒に対して不足すると、酸触媒を完全に中和できないために平衡がエステルの加水分解方向にずれてしまう。他方、塩基が酸触媒に対して過剰であると、未反応の塩基と反応で生成した水により、やはり平衡がエステルの加水分解方向にずれてしまう。このため、過剰の酸触媒または塩基の存在により、エステル化合物の収率を低下させるだけでなく、エステル化合物の純度が低下してしまう。
また、エステル化反応させた後、水で抽出処理して、酸およびアルコールを抽出水相に移行させた後、該水相をアルコール回収蒸留塔に送って、過剰のアルコール類を塔頂から回収し、塔下部水溶液の一部を抽出工程に循環使用することにより、生成したエステル化合物を回収する方法も知られている(特許文献2:特開昭62−99345号公報参照)。しかし、この方法では、精製工程が煩雑になるという問題がある。
[1]下記一般式(I):
で表されるα−ヒドロキシ酸エステルの製造方法であって、
下記一般式(II):
で表されるα−ヒドロキシ酸を、一般式(III):
で表されるアルコールに溶解し、酸触媒の存在下、前記アルコールと反応させた後、理論当量または過剰量の揮発性の塩基により前記酸触媒を中和し、残存するアルコール、塩基および前記反応で生成した水を蒸留除去することを特徴とする、α−ヒドロキシ酸エステルの製造方法。
[2]前記揮発性の塩基がトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリンまたはアンモニアであることを特徴とする[1]記載のα−ヒドロキシ酸エステルの製造方法。
[3]前記R1が、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基または置換基を有していてもよいフェニル基であり、前記R2が、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基である、[1]または[2]に記載のα−ヒドロキシ酸エステルの製造方法。
[4]前記α−ヒドロキシ酸および前記α−ヒドロキシ酸エステルが光学活性体である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のα−ヒドロキシ酸エステルの製造方法。
本発明は、下記一般式(I):
で表されるα−ヒドロキシ酸エステルの製造方法であって、
下記一般式(II):
で表されるα−ヒドロキシ酸を、一般式(III):
で表されるアルコールに溶解し、酸触媒の存在下、前記アルコールと反応させた後、理論当量または過剰量の揮発性の塩基により前記酸触媒を中和し、残存するアルコール、塩基および前記反応で生成した水を蒸留除去することにより、目的のα−ヒドロキシ酸エステルを製造することを特徴とする。
で表される。
「置換基を有していてもよいアリール基」のアリール基は、特に制限されるものではないが、C6〜C12アリール基であることが好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリルが挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、置換を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノなど)、ニトロ基およびトリフルオロメチル基などが挙げられる。あるいは、隣接する炭素原子が有する置換基が一緒になってメチレンジオキシ基を形成してもよい。
で表される。
一般式(III)において、R2は、置換基を有していてもよいアルキル基である。「置換基を有していてもよいアルキル基」の説明および例示は、上記R1におけるものと同じである。
攪拌機および温度計を備えた1000mL三口フラスコに、R−3−クロロマンデル酸50.0g(0.27mol)を量り取り、メタノール173gを加えてこれに溶解させた。この溶液に酸触媒として98%硫酸0.3g(0.002mol)を加えた後、75℃まで昇温し、75℃で5時間煮沸還流した。その後、反応液を30℃まで冷却し、トリエチルアミン0.30g(0.003mol)を加え、酸触媒を中和した。その後、50℃、200mmHgの減圧下で溶媒を蒸留除去し、R−3−クロロマンデル酸メチルエステル52.0g(0.26mol)を収率96.0%で得た。得られたR−3−クロロマンデル酸メチルエステルについて、高速液体クロマトグラフィーにより純度分析を行ったところ、R−3−クロロマンデル酸メチルエステルの化学純度は98.5%であった。また、光学純度は99.9%ee以上であった。分析条件は下記のとおりである。
α−ヒドロキシ酸エステルの高速液体クロマトグラフィーによる化学純度分析
試料調製方法:試料25mgを溶離液25mLに溶解
装置:カラムオーブン 日本分光社製 865−CO
UV 日本分光社製 870−UV
ポンプ 日本分光社製 880−PU
インテグレーター 島津製作所社製 C−R3A
カラム:ODS−2(GLサイエンス社製)
キャリヤー:アセトニトリル:10mMリン酸水溶液=30/70
カラム温度:40℃
流速:1mL/min
波長:230nm
α−ヒドロキシ酸エステルの高速液体クロマトグラフィーによる光学純度分析
試料調製方法:試料25mgを溶離液25mLに溶解
装置:カラムオーブン 日本分光社製 865−CO
UV 日本分光社製 870−UV
ポンプ 日本分光社製 880−PU
インテグレーター 島津製作所社製 C−R3A
カラム:CHIRALCEL OD(ダイセル化学工業社製)
キャリヤー:n−ヘキサン/2−プロパノール=95/5
カラム温度:35℃
流速:0.5mL/min
波長:254nm
攪拌機および温度計を備えた1000mL三口フラスコに、R−3−クロロマンデル酸50.0g(0.27mol)を量り取り、メタノール173gを加えてこれに溶解させた。この溶液に酸触媒として98%硫酸0.3g(0.002mol)を加えた後、75℃まで昇温し、75℃で5時間煮沸還流した。その後、50℃、200mmHgの減圧下で溶媒を蒸留除去し、R−3−クロロマンデル酸メチルエステル47.9g(0.24mol)を収率88.5%で得た。得られたR−3−クロロマンデル酸メチルエステルについて、前述の分析条件を用いて高速液体クロマトグラフィーにより純度分析を行ったところ、R−3−クロロマンデル酸メチルエステルの化学純度は95.1%であった。また、光学純度は99.9%ee以上であった。
Claims (4)
- 下記一般式(I):
で表されるα−ヒドロキシ酸エステルの製造方法であって、
下記一般式(II):
で表されるα−ヒドロキシ酸を、一般式(III):
で表されるアルコールに溶解し、酸触媒の存在下、前記アルコールと反応させた後、理論当量または過剰量の揮発性の塩基により前記酸触媒を中和し、残存するアルコール、塩基および前記反応で生成した水を蒸留除去することを特徴とする、α−ヒドロキシ酸エステルの製造方法。 - 前記揮発性の塩基がトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリンまたはアンモニアであることを特徴とする請求項1記載のα−ヒドロキシ酸エステルの製造方法。
- 前記R1が、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基または置換基を有していてもよいフェニル基であり、前記R2が、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基である、請求項1または2に記載のα−ヒドロキシ酸エステルの製造方法。
- 前記α−ヒドロキシ酸および前記α−ヒドロキシ酸エステルが光学活性体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のα−ヒドロキシ酸エステルの製造方法。
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JP2004346022A (ja) * | 2003-05-23 | 2004-12-09 | Kuraray Co Ltd | 2−ヒドロキシブタン酸メチルの製造方法 |
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