JP2009543544A5 - - Google Patents

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JP2009543544A5
JP2009543544A5 JP2009511045A JP2009511045A JP2009543544A5 JP 2009543544 A5 JP2009543544 A5 JP 2009543544A5 JP 2009511045 A JP2009511045 A JP 2009511045A JP 2009511045 A JP2009511045 A JP 2009511045A JP 2009543544 A5 JP2009543544 A5 JP 2009543544A5
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Description

置換されたテトラサイクリン化合物を用いて、遺伝子または遺伝子産物の発現を調節する方法
(関連出願)
本願は、2006年5月15日に出願された米国仮特許出願第60/800,662号への優先権を主張する。本願はまた、2007年5月15日に出願された米国特許出願第XX/XXX,XXX号に関連する。上述の出願の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
(発明の背景)
遺伝子の発現レベルまたはそれらの合成のタイミングを変化させる能力は、例えば、遺伝子治療に対する遺伝子機能の分析から、多くの適用について大きい有用性を有する。このアプローチのために、外的刺激によって制御される誘導性の発現系が、大いに所望される。このような系によって、遺伝子発現について「オン/オフ(on/off)」状態が得られ、そしてまた所望のレベルでの遺伝子の限定発現が可能になる。
真核生物細胞における原核生物テトラサイクリン(tet)耐性オペロン機能の構成要素が、遺伝子発現を調節するために用いられている。原核生物のTetリプレッサー/オペレーター/インデューサー系の構成要素を利用する調節系は、真核生物細胞における遺伝子発現を調節するために広範に用いられている。このような系は、当該分野で公知であり、そして例えば、特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6;特許文献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10;特許文献11;特許文献12;特許文献13;および特許文献14に記載されている。
米国特許第5,888,981号明細書 米国特許第5,866,755号明細書 米国特許第5,789,156号明細書 米国特許第5,654,168号明細書 米国特許第5,650,298号明細書 米国特許第6,004,941号明細書 米国特許第6,271,348号明細書 米国特許第6,271,341号明細書 米国特許第6,783,756号明細書 米国特許第5,464,758号明細書 米国特許第6,252,136号明細書 米国特許第5,922,927号明細書 米国特許第5,912,411号明細書 米国特許第5,859,310号明細書
近年、耐性の頻度が劇的に増大している多剤耐性が大きな問題になってきている。この問題は、哺乳動物被験体における遺伝子転写を調節するためには望ましくないテトラサイクリンの使用をもたらし得、詳細には所望の結果を達成するために高用量の抗生物質が用いられなければならない。置換されたテトラサイクリン化合物のうちどれが遺伝子調節に影響を及ぼす上で最も有用であるかの決定も有用なものである。なぜならそのような化合物は、微生物感染の処置に最も有用であるものとは同じでないかもしれないからである。さらに、全てのテトラサイクリンが同じ組織分布特性を有するわけではなく、例えば、全てのテトラサイクリンが、血液脳関門をまたぐ能力を有するわけではない。従って、改善された特性(例えば、テトラサイクリン応答性発現系における、変更された用量応答性プロフィールまたは所望の組織分布プロフィール)を有する新規なテトラサイクリン誘導体またはアナログの開発は、インビトロおよびインビボの適用のために大きな利点である。
(発明の要旨)
本発明は、新規な置換されたテトラサイクリン化合物が、テトラサイクリン制御された遺伝子転写の調節における使用においてそれらを優れたものにする改善された特性を有するという発見に、少なくとも一部は基づく。本発明は、細胞において遺伝子または遺伝子産物の発現を調節するための原核生物のTetリプレッサー/オペレーター/インデューサー系の構成要素を利用する調節系で用いられる化合物、およびこのような化合物を用いて遺伝子または遺伝子産物の発現を調節する方法に関する。本発明の系による遺伝子または遺伝子産物の発現の調節は一般には、少なくとも2つの構成要素を包含する。すなわち、テトラサイクリンに応答する調節配列に作動可能に連結される標的核酸配列、およびテトラサイクリンの有無のいずれかにおいて、調節配列に結合し、そしてその遺伝子または遺伝子産物の転写を活性化または阻害する、タンパク質、である。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
(i)テトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)に作動可能に連結された標的ヌクレオチド配列と、(ii)細胞中での転写を調節する第二のポリペプチドに作動可能に連結された置換されたテトラサイクリン化合物の存在下または非存在下で該TREに結合する第一のポリペプチドを含む融合タンパク質とを含む細胞におけるtetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現を調節するための方法であって、該細胞中で該標的ヌクレオチド配列の発現が調節されるように、該細胞における該置換されたテトラサイクリン化合物の濃度を調節する工程を包含し、ここで該置換されたテトラサイクリン化合物は、式(I):
Figure 2009543544

(式中、
pは、単結合または二重結合であり、
Xは、CHC(R 13 Y’Y)、CR 6’ 、C=CR 6’ 、S、NR 、またはOであり、かつR 5’ はpが単結合であるとき水素であり、
XはCR 6’’ であり、かつR 5’ はpが二重結合であるとき存在せず、
、R 2’ 、R 4’ 、およびR 4’’ は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
およびR 12 は各々水素またはプロドラッグ部分であり、
はNR 4’ 4’’ 、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり、
はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり、
およびR 6’ は各々独立して水素、メチレン、非存在、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 7c 0−1 C(=W’)WR 7a であり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 8c 0−1 C(=E’)ER 8a であり、 R は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 9c 0−1 C(=Z’)ZR 9a であり、
10 は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環またはチオニトロソであり、
11 は水素、ヒドロキシルまたはアルコキシルであり、
7a 、R 7b 、R 7c 、R 7d 、R 7e 、R 7f 、R 8a 、R 8b 、R 8c 、R 8d 、R 8e 、R 8f 、R 9a 、R 9b 、R 9c 、R 9d 、R 9e およびR 9f は各々独立して水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
13 は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
EはCR 8d 8e 、S、NR 8b またはOであり、
E’はO、NR 8f 、またはSであり、
WはCR 7d 7e 、S、NR 7b またはOであり、
W’はO、NR 7f 、またはSであり、
ZはCR 9d 9e 、S、NR 9b またはOであり、
Z’はO、S、またはNR 9f であり、
Y’およびYは各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである)
の化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、エステルおよびエナンチオマーである、方法。
(項目2)
前記標的ヌクレオチド配列がタンパク質をコードする、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記第一のポリペプチドが、前記置換されたテトラサイクリン化合物の存在下で前記TREに結合する、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記第一のポリペプチドが、前記置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下で前記TREに結合するが、存在下では結合しない、項目1または2に記載の方法。
(項目5)
前記融合タンパク質の前記第一のポリペプチドが、変異されたTetリプレッサーである、項目1〜4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
前記変異されたTetリプレッサーがBクラスのリプレッサーである、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記変異されたTetリプレッサーが、アミノ酸位置71、位置95、位置101および位置102からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸位置でアミノ酸置換を有するTn10由来のTetリプレッサーである、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記変異されたTetリプレッサーが、アミノ酸位置71、位置95、位置101および位置102からなる群より選択される少なくとも2つのアミノ酸位置でアミノ酸置換を有するTn10由来Tetリプレッサーである、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記融合タンパク質の前記第二のポリペプチドが、単純ヘルペスのビリオンタンパク質16の転写活性化ドメインを含む、項目1〜8のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記融合タンパク質をコードする前記核酸分子が、前記細胞の染色体にランダムに組み込まれる、項目1〜9のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記融合タンパク質をコードする前記核酸分子が、前記細胞の染色体内の予め決定された位置に組み込まれる、項目1〜10のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
前記融合タンパク質をコードする前記核酸分子が、エキソビボで細胞に導入され、被験体に該細胞を投与する工程をさらに包含する、項目1〜11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記tetオペレーター連結核酸が、少なくとも1つのtetオペレーター配列に作動可能に連結されている細胞の内因性の核酸である、項目1〜12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記tetオペレーター連結核酸分子が、前記細胞中に導入されている外因性の核酸分子である、項目1〜13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記細胞がさらに、第二の標的核酸分子を含む、項目1〜14のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
前記テトラサイクリン化合物が、抗生物質活性を有さない、項目1〜15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
、R 2’ 、R およびR 12 が各々水素であり、R がNR 4’ であり、R およびR 4’ が各々アルキルであり、かつR 11 がヒドロキシルである、項目1に記載の方法。
(項目18)
pが単結合であり、XがCR 6’ であり、R がアルキルであり、R 6’ が水素であり、かつR がヒドロキシルである、項目17に記載の方法。
(項目19)
およびR が各々水素である、項目28に記載の方法。
(項目20)
10 がヒドロキシルである、項目19に記載の方法。
(項目21)
がアミノアルキル、アルケニル、アルコキシカルボニルまたは複素環部分である、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記アルコキシカルボニルが、メトキシカルボニルである、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記複素環部分が、モルホリンである、項目21に記載の方法。
(項目24)
前記アミノアルキルが、アミノメチルである、項目21に記載の方法。
(項目25)
前記アルケニルが、アミノカルボニルアルキルである、項目21に記載の方法。
(項目26)
が水素である、項目19に記載の方法。
(項目27)
10 がアルコキシである、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記アルコキシがブトキシである、項目27に記載の方法。
(項目29)
pが単結合であり、XがCR 6’ であり、R 、R およびR 6’ が各々水素である、項目17に記載の方法。
(項目30)
が水素である、項目29に記載の方法。
(項目31)
がアミノである、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記アミノが、ジアルキルアミノである、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記ジアルキルアミノがジメチルアミノである、項目37に記載の方法。
(項目34)
10 がヒドロキシルである、項目31に記載の方法。
(項目35)
がハロゲン、アルキル、アミノアルキル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、アルケニル、アルキニル、アリールまたは複素環部分である、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記ハロゲンがフッ素である、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記アルコキシカルボニルが、メトキシカルボニルである、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記アルキルカルボニルがアシルである、項目36に記載の方法。
(項目39)
前記複素環部分が、モルホリンである、項目36に記載の方法。
(項目40)
前記アリールがヘテロアリールである、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記ヘテロアリールがフラニルである、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記フラニルがアルキル置換フラニルである、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記アルキルがプロピルである、項目35に記載の方法。
(項目44)
前記アミノアルキルがアミノメチルである、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記アミノメチルがアルキルアミノメチルまたはアリールアミノメチルである、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記アルケニルが、アルコキシカルボニルアルケニルまたはアミノアルケニルである、項目35に記載の方法。
(項目47)
前記アミノアルケニルがアルキルアミノアルケニルである、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記アルコキシカルボニルアルケニルがエトキシカルボニルアルケニルである、項目46に記載の方法。
(項目49)
が水素であり、かつR 10 がアルコキシである、項目31に記載の方法。
(項目50)
前記アルコキシがブトキシである、項目49に記載の方法。
(項目51)
10 がヒドロキシルである、項目30に記載の方法。
(項目52)
がハロゲンである、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記ハロゲンがヨウ素である、項目52に記載の方法。
(項目54)
がアルキルである、項目52に記載の方法。
(項目55)
がアリールである、項目51に記載の方法。
(項目56)
前記アリールがヘテロアリールである、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記ヘテロアリールがピリジニルである、項目56に記載の方法。
(項目58)
がアルキルである、項目55に記載の方法。
(項目59)
前記アルキルがメチルである、項目58に記載の方法。
(項目60)
がアルケニルである、項目51に記載の方法。
(項目61)
前記アルケニルが1つ以上のハロゲンで置換される、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記ハロゲンがフッ素である、項目61に記載の方法。
(項目63)
がアミノまたはニトロである、項目60に記載の方法。
(項目64)
がアルキルである、項目51に記載の方法。
(項目65)
前記アルキルがエチルである、項目64に記載の方法。
(項目66)
がアミノアルキルである、項目64に記載の方法。
(項目67)
前記アミノアルキルがアルキルアミノアルキルである、項目66に記載の方法。
(項目68)
が水素であり、かつR 10 がヒドロキシルである項目30に記載の方法。
(項目69)
がアミノ、アリール、アルキル、アルケニル、アミノアルキル、シアノ、複素環部分またはオキシミルである、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記アミノが、アルキルアミノまたはアルキルカルボニルアミノである、項目69に記載の方法。
(項目71)
前記アミノがジアルキルアミノである、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記ジアルキルアミノがジエチルアミノである、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記アリールがフェニルまたはヘテロアリールである、項目69に記載の方法。
(項目74)
前記ヘテロアリールが、ピリジニル、フラニル、イソオキサゾリルまたはピラゾリルである、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記ピリジニルが、1つ以上のハロゲンで置換される、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記ハロゲンが塩素またはフッ素である、項目75に記載の方法。
(項目77)
前記イソオキサゾリルがアルキル置換イソオキサゾリルである、項目74に記載の方法。
(項目78)
前記アルキルが、メチル、イソブチル、イソプロピル、イソプロペニル、またはアルコキシ置換アルキルである、項目69に記載の方法。
(項目79)
前記複素環部分がモルホリンである、項目69に記載の方法。
(項目80)
前記アルケニルが、1つ以上のハロゲン、シアノ、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルで置換される、項目69に記載の方法。
(項目81)
前記ハロゲンがフッ素である、項目80に記載の方法。
(項目82)
前記アルコキシカルボニルがメトキシカルボニルである、項目80に記載の方法。
(項目83)
前記アルキルカルボニルがアシルである、項目80に記載の方法。
(項目84)
前記アミノアルキルがアミノメチルである、項目69に記載の方法。
(項目85)
前記アミノメチルが複素環部分で置換される、項目84に記載の方法。
(項目86)
前記複素環部分がピペリジンである、項目85に記載の方法。
(項目87)
10 がヒドロキシルである、項目29に記載の方法。
(項目88)
が水素であり、かつR がハロゲンまたはアリールである、項目87に記載の方法。
(項目89)
前記ハロゲンが塩素または臭素である、項目88に記載の方法。
(項目90)
前記アリールがフェニルまたはピリジニルである、項目88に記載の方法。
(項目91)
前記ピリジニルがハロゲンで置換される、項目90に記載の方法。
(項目92)
前記ハロゲンがフッ素である、項目91に記載の方法。
(項目93)
が水素またはアミノである、項目88に記載の方法。
(項目94)
前記アミノがアルキルカルボニルで置換される、項目93に記載の方法。
(項目95)
前記アルキルカルボニルがアシルである、項目94に記載の方法。
(項目96)
がアミノであり、R がハロゲンであり、かつR が水素である、項目87に記載の方法。
(項目97)
前記ハロゲンが塩素である、項目96に記載の方法。
(項目98)
が水素であり、かつR 10 がヒドロキシルである、項目29に記載の方法。
(項目99)
が複素環部分またはアミノアルキルである、項目98に記載の方法。
(項目100)
前記複素環部分がピペリジンまたはモルホリンである、項目99に記載の方法。
(項目101)
前記アミノアルキルがアミノメチルである、項目99に記載の方法。
(項目102)
前記アミノメチルがトリフルオロアルキルで置換される、項目101に記載の方法。
(項目103)
およびR が水素であり、かつR 10 がアルコキシである、項目30に記載の方法。
(項目104)
前記アルコキシがプロポキシまたはブトキシである、項目103に記載の方法。
(項目105)
前記アルコキシが、ヒドロキシルで置換される、項目103に記載の方法。
(項目106)
pが二重結合であり、XがCR 6’’ であり、かつR 6’’ が水素である、項目17に記載の方法。
(項目107)
およびR が水素であり、かつR 10 がヒドロキシルである、項目106に記載の方法。
(項目108)
がハロゲンである、項目107に記載の方法。
(項目109)
前記ハロゲンが塩素である、項目108に記載の方法。
(項目110)
(i)テトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)に対して作動可能に連結された標的ヌクレオチド配列と、(ii)細胞中での転写を調節する第二のポリペプチドに作動可能に連結された置換されたテトラサイクリン化合物の有無において該TREに結合する第一のポリペプチドを含む融合タンパク質とを含む細胞におけるtetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現を調節するための方法であって、該細胞中で該標的ヌクレオチド配列の発現が調節されるように、該細胞における置換されたテトラサイクリン化合物の濃度を調節する工程を包含し、ここで該置換されたテトラサイクリン化合物は、式(II):
Figure 2009543544

(式中、
、R 2’ 、R 4’ 、およびR 4’’ は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
およびR 12 、およびR 14 は各々水素またはプロドラッグ部分であり、
はNR 4’ 4’’ 、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり、
はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり、
6a は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 7c 0−1 C(=W’)WR 7a であり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 8c 0−1 C(=E’)ER 8a であり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 9c 0−1 C(=Z’)ZR 9a であり、
10 は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環またはチオニトロソであり、
7a 、R 7b 、R 7c 、R 7d 、R 7e 、R 7f 、R 8a 、R 8b 、R 8c 、R 8d 、R 8e 、R 8f 、R 9a 、R 9b 、R 9c 、R 9d 、R 9e およびR 9f は各々独立して水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
WはCR 7d 7e 、S、NR 7b またはOであり、
W’はO、NR 7f 、またはSであり、
EはCR 8d 8e 、S、NR 8b またはOであり、
E’はO、NR 8f 、またはSであり、
ZはCR 9d 9e 、S、NR 9b またはOであり、
Z’はO、S、またはNR 9f である)
の化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、エステルおよびエナンチオマーである、方法。
(項目111)
、R 2’ 、R 、R 、R 、R 、R 11 、R 12 およびR 14 が各々水素であり、R がNR 4’ であり、R 、R 4’ 、R 6a が各々アルキルであり、かつR 10 がヒドロキシルである、項目110に記載の方法。
(項目112)
各々のR が水素である、項目111に記載の方法。
(項目113)
がハロゲンである、項目111に記載の方法。
(項目114)
前記ハロゲンが塩素である、項目113に記載の方法。
(項目115)
前記置換されたテトラサイクリン化合物が、以下:
Figure 2009543544

Figure 2009543544

およびそれらの薬学的に受容可能な塩、
からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目116)
前記化合物が、以下:
Figure 2009543544

Figure 2009543544

Figure 2009543544

Figure 2009543544

Figure 2009543544

およびそれらの薬学的に受容可能な塩、
からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目117)
前記化合物が、以下:
Figure 2009543544

およびそれらの薬学的に受容可能な塩、
からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目118)
前記アルキルが、アルキルチオ、アルキルスルホニルまたはアルキルスルフィニルで置換される、項目54に記載の方法。
(項目119)
(i)テトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)に対して作動可能に連結された標的ヌクレオチド配列と、(ii)置換されたテトラサイクリン化合物の存在下で該TREに結合するが、非存在下では結合しない、変異されたTetリプレッサーとを含む細胞におけるtetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現を調節するための方法であって、該細胞中で該標的ヌクレオチド配列の発現が調節されるように、該細胞における置換されたテトラサイクリン化合物の濃度を調節する工程を包含し、ここで該変異されたTetリプレッサーは、式(I):
Figure 2009543544

の置換されたテトラサイクリン化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、エステルおよびエナンチオマーの存在下で、該変異されたTetリプレッサーが該TREに選択的に結合するように選択され、
式中、
pは、単結合または二重結合であり、
XはCHC(R 13 Y’Y)、CR 6’ 、C=CR 6’ 、S、NR 、またはOであり、かつR ’はpが単結合であるとき水素であり、
XはCR 6’’ であり、かつR 5’ はpが二重結合であるとき存在せず、
、R 2’ 、R 4’ およびR 4’’ は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
およびR 12 は各々水素またはプロドラッグ部分であり、
はNR 4’ 4’’ 、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり、
はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり、
およびR 6’ は各々独立して水素、メチレン、非存在、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 7c 0−1 C(=W’)WR 7a であり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 8c 0−1 C(=E’)ER 8a であり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 9c 0−1 C(=Z’)ZR 9a であり、
10 は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環またはチオニトロソであり、
11 は水素、ヒドロキシルまたはアルコキシルであり、
7a 、R 7b 、R 7c 、R 7d 、R 7e 、R 7f 、R 8a 、R 8b 、R 8c 、R 8d 、R 8e 、R 8f 、R 9a 、R 9b 、R 9c 、R 9d 、R 9e およびR 9f は各々独立して水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
13 は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
EはCR 8d 8e 、S、NR 8b またはOであり、
E’はO、NR 8f 、またはSであり、
WはCR 7d 7e 、S、NR 7b またはOであり、
W’はO、NR 7f 、またはSであり、
ZはCR 9d 9e 、S、NR 9b またはOであり、
Z’はO、S、またはNR 9f であり、
Y’およびYは各々独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである、方法。
(項目120)
(i)テトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)に対して作動可能に連結された標的ヌクレオチド配列と、(ii)置換されたテトラサイクリン化合物の存在下で該TREに結合するが、非存在下では結合しない、変異されたTetリプレッサーとを含む細胞におけるtetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現を調節するための方法であって、該細胞中で該標的ヌクレオチド配列の発現が調節されるように、該細胞における置換されたテトラサイクリン化合物の濃度を調節する工程を包含し、ここで該変異されたTetリプレッサーは、該変異されたTetリプレッサーが式(II):
Figure 2009543544

の置換されたテトラサイクリン化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、エステルおよびエナンチオマーの存在下でTREに選択的に結合するように選択され、
ここで、
、R 2’ 、R 4’ およびR 4’’ は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり;
、R 12 およびR 14 は各々水素またはプロドラッグ部分であり;
はNR 4’ 4’’ 、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
6a は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 7c 0−1 C(=W’)WR 7a であり;
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 8c 0−1 C(=E’)ER 8a であり;
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 9c 0−1 C(=Z’)ZR 9a であり;
10 は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環またはチオニトロソであり;
7a 、R 7b 、R 7c 、R 7d 、R 7e 、R 7f 、R 8a 、R 8b 、R 8c 、R 8d 、R 8e 、R 8f 、R 9a 、R 9b 、R 9c 、R 9d 、R 9e およびR 9f は各々独立して水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
WはCR 7d 7e 、S、NR 7b またはOであり、
W’はO、NR 7f 、またはSであり、
Eは、CR 8d 8e 、S、NR 8b またはOであり、
E’はO、NR 8f 、またはSであり、
ZはCR 9d 9e 、S、NR 9b またはOであり、
Z’はO、S、またはNR 9f である、方法。
(項目121)
(i)テトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)に対して作動可能に連結された標的ヌクレオチド配列と、(ii)置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下で該TREに結合するが、ただし存在下では結合しない変異されたTetリプレッサーとを含む細胞におけるtetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現を調節するための方法であって、該細胞中で標的ヌクレオチド配列の発現が調節されるように、該細胞における該置換されたテトラサイクリン化合物の濃度を調節する工程を包含し、ここで該変異されたTetリプレッサーは、該変異されたTetリプレッサーが式(I):
Figure 2009543544

の置換されたテトラサイクリン化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、エステルおよびエナンチオマーの非存在下でのみTREに選択的に結合するように選択され、
式中、
pは単結合または二重結合であり、
XはCHC(R 13 Y’Y)、CR 6’ 、C=CR 6’ 、S、NR 、またはOであり、かつR 5’ はpが単結合であるとき水素であり、
XはCR 6’’ であり、かつR 5’ はpが二重結合であるとき存在せず、
、R 2’ 、R 4’ およびR 4’’ は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
およびR 12 は各々水素またはプロドラッグ部分であり、
はNR 4’ 4’’ 、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり、
はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり、
およびR 6’ は各々独立して水素、メチレン、非存在、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 7c 0−1 C(=W’)WR 7a であり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 8c 0−1 C(=E’)ER 8a であり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 9c 0−1 C(=Z’)ZR 9a であり、
10 は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環またはチオニトロソであり、
11 は水素、ヒドロキシルまたはアルコキシルであり、
7a 、R 7b 、R 7c 、R 7d 、R 7e 、R 7f 、R 8a 、R 8b 、R 8c 、R 8d 、R 8e 、R 8f 、R 9a 、R 9b 、R 9c 、R 9d 、R 9e およびR 9f は各々独立して水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
13 は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
Eは、CR 8d 8e 、S、NR 8b またはOであり、
E’はO、NR 8f 、またはSであり、
WはCR 7d 7e 、S、NR 7b またはOであり、
W’はO、NR 7f 、またはSであり、
ZはCR 9d 9e 、S、NR 9b またはOであり、
Z’はO、S、またはNR 9f であり、
Y’およびYは各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである、方法。
(項目122)
(i)テトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)に対して作動可能に連結された標的ヌクレオチド配列と、(ii)置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下で該TREに結合するが、存在下では結合しない変異されたTetリプレッサーとを含む細胞におけるtetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現を調節するための方法であって、該細胞中で標的ヌクレオチド配列の発現が調節されるように、該細胞における該置換されたテトラサイクリン化合物の濃度を調節する工程を包含し、ここで該変異されたTetリプレッサーは、該変異されたTetリプレッサーが式(II):
Figure 2009543544

の置換されたテトラサイクリン化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、エステルおよびエナンチオマーの非存在下でのみTREに選択的に結合するように選択され、
ここで、
、R 2’ 、R 4’ およびR 4’’ は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
、R 12 およびR 14 は各々水素またはプロドラッグ部分であり、
はNR 4’ 4’’ 、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり、
はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり、
6a は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 7c 0−1 C(=W’)WR 7a であり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 8c 0−1 C(=E’)ER 8a であり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH 0−3 (NR 9c 0−1 C(=Z’)ZR 9a であり、
10 は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環またはチオニトロソであり、
7a 、R 7b 、R 7c 、R 7d 、R 7e 、R 7f 、R 8a 、R 8b 、R 8c 、R 8d 、R 8e 、R 8f 、R 9a 、R 9b 、R 9c 、R 9d 、R 9e およびR 9f は各々独立して水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
WはCR 7d 7e 、S、NR 7b またはOであり、
W’はO、NR 7f 、またはSであり、
Eは、CR 8d 8e 、S、NR 8b またはOであり、
E’はO、NR 8f 、またはSであり、
ZはCR 9d 9e 、S、NR 9b またはOであり、
Z’はO、S、またはNR 9f である、方法。
(項目123)
前記置換されたテトラサイクリン化合物が、表2の化合物である、項目119〜122のいずれか1つに記載の方法。
(項目124)
前記置換されたテトラサイクリン化合物が、少なくとも約13μg/mLの濃度で70を超えるKluxを示す、項目1〜123のいずれか1項に記載の方法。
(項目125)
前記テトラサイクリン化合物が、少なくとも約13μg/mLの濃度で約51と約70との間のKluxを示す、項目124に記載の方法。
このTet/リプレッサー/オペレーター/インデューサー系は、広範な種々の生物体由来の培養細胞(真核生物および原核生物の細胞を含む)において機能的である。さらに、この系は、事実上全ての生物体、例えば、動物植物、単細胞生物、酵母、真菌および寄生生物で機能し、ここで試験されている。
本発明の置換されたテトラサイクリン化合物は、転写の調節に特に有効であることが見出されており、そして当該分野で公知の遺伝子または遺伝子産物の転写の調節のための適用において用いられ得る。詳細には、一態様では、本発明は、被験体の細胞中でテトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)の転写制御下である標的核酸配列の調節発現のために本発明の新規な置換されたテトラサイクリン化合物を用いる方法に関する。一実施形態では、本発明の方法は、置換されたテトラサイクリン化合物の存在下において転写を活性化するかまたは転写を阻害する融合タンパク質をコードする第一の核酸、およびテトラサイクリン応答性プロモーターエレメントの制御下で置換された第二の標的核酸配列を細胞中に導入する工程と、この細胞が曝されるテトラサイクリンのレベルを調節する工程とを包含する。
一実施形態では、トランス活性化ドメイン(例えば、単純ヘルペスウイルス由来のVP16のドメイン)またはタンパク質間相互作用(例えば、非共有結合的相互作用)によって融合タンパク質と相互作用するように転写活性化因子(例えば、内因性の転写活性化因子)を補充するドメイン(例えば、二量体化ドメイン)に融合されたEscherichia coliトランスポゾンTn10のTc耐性オペロン由来のTetリプレッサー(TetR)を含む融合タンパク質が細胞に導入される。この構築物は、tet−制御トランス活性化因子(tTA)と呼ばれ、そしてテトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)の転写制御下である標的核酸配列の発現を制御する。TREは、最少プロモーターに(例えば、最少RNAポリメラーゼIIプロモーターまたはRNAポリメラーゼIおよびIIIの改変プロモーターで、tTAの非存在下で転写的にサイレントであるプロモーターに対して)融合された少なくとも1つのTetオペレーター(tetO)配列(例えば、1つ以上、例えば、コンカテマー化されるかまたは多量体化されたtetO配列を含む)から作成される。最少プロモーター配列の1例は、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)最初期プロモーター由来であった。テトラサイクリンの非存在下では、tTAはTREに結合して、標的核酸配列の転写を活性化する。テトラサイクリンの存在下では、tTAは、TREに結合できず、そして標的核酸配列由来の発現は不活性のままである。
別の実施形態では、融合タンパク質であって、改変型のtetリプレッサー(TetR)およびトランス活性化ドメインまたはタンパク質間相互作用(例えば、非共有結合的相互作用)によって融合タンパク質と相互作用するように転写活性化因子(例えば、内因性の転写活性化因子)を補充するドメイン(例えば、二量体化ドメイン)からなる融合タンパク質を細胞中に導入する。この構築物は、リバース・トランスサイクリン制御トランスアクチベータ(rtTA)と呼ばれる。TetRの改変は一般に、TetRにおけるアミノ酸変化であって、そのDNA結合特徴を変えてその結果テトラサイクリンの存在下で標的の導入遺伝子におけるtetO配列のみを認識し得る、TetRにおけるアミノ酸変化を包含する。従って、TRE調節される標的核酸配列の転写は、テトラサイクリンの存在下においてのみrtTAによって刺激される。
別の実施形態では、本発明のテトラサイクリン化合物は、ネイティブなTetオペレーターの制御下で、かつ細胞中でのネイティブなTetRの存在下で遺伝子または遺伝子産物の転写を調節するために用いられ得る。一実施形態では、本発明は、このような細胞に関与する。例えば、JE305Kは、破壊されたacrBおよびwaaP遺伝子を有し、かつtetAプロモーター/オペレーターの調節下にtetRおよびluxCDABEオペロン(P.luminescens由来)を含むプラスミドを含む株である。
一実施形態では、この第一および第二の核酸分子は、単一の分子内であってもよい(例えば、同じベクター中)。別の実施形態では、この第一および第二の核酸分子は、別の分子上に存在する。
本発明の方法によって、少なくとも1つのTREに対して作動可能に連結されている細胞の内因性遺伝子である遺伝子または遺伝子産物の調節が可能になる。あるいは、TRE連結遺伝子は、細胞に導入されている外因性の遺伝子または遺伝子産物であってもよい。
本発明の方法によれば、遺伝子転写は、インビトロで調節されても、またはインビボで調節されてもよい。
別の実施形態では、この方法は、被験体から細胞を得る工程、この細胞をエキソビボで、1つ以上の上述の核酸分子を含むように改変する工程、この改変された細胞を被験体に投与する工程、およびこの被験体における本発明の置換されたテトラサイクリン化合物の濃度を改変する工程を包含する。
ドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 5−シクロブタノエートドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 5−シクロヘキサノエートドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 5−プロピノイル−7−シクロペンチルアセチルアミノドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 7−アセチルアミノドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 9−1’−メチルシクロペンチルドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 9−1’メチルシクロブチルドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 9−t−ブチル−7−メチルドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 図2Aは、34R変異体に対するドキシサイクリンの効果の描写である。図2Bは、MT2変異体に対するドキシサイクリンの効果の描写である。図2Cは、34R変異体に対する9−t−ブチルドキシサイクリンの効果の描写である。図2Dは、MT2変異体に対する9−t−ブチルドキシサイクリンの効果の描写である。 ドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 5−シクロブタノエートドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 5−シクロヘキサノエートドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 5−プロピノイル−7−シクロペンチルアセチルアミノドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 7−アセチルアミノドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 9−1’−メチルシクロペンチルドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 9−1’−メチルシクロブチルドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 9−t−ブチル−7−メチルチオメチルドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 9−t−ブチル−7−メチルドキシサイクリンについての用量応答曲線を示すグラフである。 マウスでのルシフェラーゼ発現のデジタル画像である。
(発明の詳細な説明)
本発明は、少なくとも一部は、高度に制御された方式で、細胞または生物体における遺伝子または遺伝子産物の発現を調節するために用いられ得る、テトラサイクリン応答性の発現系を調節するための置換されたテトラサイクリン化合物の使用に関する。本発明の化合物が使用され得る例示的な系は当該分野で公知である。一実施形態では、本発明の系による発現の調節は、少なくとも2つの構成要素を包含する。すなわち、調節配列に作動可能に連結されている遺伝子、および誘導性因子の有無のいずれかにおいて、この調節性配列に結合して、この遺伝子の転写を活性化または阻害するタンパク質である。本発明は、真核生物細胞における遺伝子発現を調節するために原核生物のTetリプレッサー/オペレーター/インデューサー系の構成要素を利用する。
本発明の種々の態様は、TREに連結された遺伝子の転写を活性化または阻害し得る、融合タンパク質の活性を調節する置換されたテトラサイクリン化合物に関する。このような融合タンパク質は、置換されたテトラサイクリン化合物の単に存在下において、あるいは非存在下において、テトラサイクリンサイクエレメントに結合する。従って、宿主細胞では、TREに作動可能に結合された遺伝子の転写は、宿主細胞と接触している置換されたテトラサイクリン化合物の濃度を変更すること(例えば、培養培地由来の置換されたテトラサイクリン化合物の濃度を添加もしくは除去もしくは変化すること、または宿主生物体などに対して置換されたテトラサイクリン化合物を投与することもしくは中止することもしくはその投与された濃度を変更することなど)によって本発明の融合タンパク質によって刺激または阻害され得る。
本発明は、テトラサイクリンに応答性である遺伝子調節系において有益な特性を有する(例えば、非抗生物質であるか、および/または活性の増強を有する)置換されたテトラサイクリン化合物に関する。このような調節性の系は、当該分野で公知である(例えば、それらの特許の各々の内容がその全体が参照によって本明細書に援用されている、米国特許第5,888,981号;同第5,866,755号;同第5,789,156号;同第5,654,168号;同第5,650,298号;同第6,004,941号;同第6,271,348号;同第6,271,341号;同第6,783,756号;同第5,464,758号;同第6,252,136号;同第5,922,927号;同第5,912,411号;同第5,859,310号)。
置換されたテトラサイクリン化合物を用いて遺伝子の転写を刺激または阻害するための方法、および本明細書で記載される調節系の構成要素を含むキットがまた、本発明によって包含される。本発明の種々の態様および例示的な調節系が下にさらに詳細に考察される。本発明のテトラサイクリン化合物は、テトラサイクリンが当該分野において遺伝子および遺伝子産物の発現を調節するために用いられている他の適用で用いられてもよいということが当業者によって理解される。
(定義)
「テトラサイクリン」という用語は、非置換および置換のテトラサイクリン化合物を包含する。
「置換されたテトラサイクリン化合物」という用語は、テトラサイクリン化合物またはテトラサイクリンに対して類似の環構造を有する化合物の誘導体またはアナログを包含する。置換されたテトラサイクリン化合物の例としては以下が挙げられる:クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、サンサイクリン(sancycline)、ケロカルジン(chelocardin)、ロリテトラサイクリン(rolitetracycline)、リメサイクリン(lymecycline)、アピサイクリン(apicycline);クロモサイクリン(clomocycline)、グアメサイクリン(guamecycline)、メグルサイクリン(meglucycline)、メピルサイクリン(mepylcycline)、ペニメピサイクリン(penimepicycline)、ピパサイクリン(pipacycline)、エタモサイクリン(etamocycline)、ペニモサイクリン(penimocycline)など。類似の4つの環構造を含む他の誘導体およびアナログも含まれる(その内容全体が参照によって本明細書に援用される、Rogalski,「Chemical Modifications of Tetracyclines」を参照のこと)。表1は、テトラサイクリンおよびいくつかの公知のテトラサイクリン誘導体を示す。
Figure 2009543544
本発明の方法で用いられ得る他の置換されたテトラサイクリン化合物としては、限定はしないが、6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリノ−ピラゾール;7−クロロ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;4−ヒドロキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;12α−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;5−ヒドロキシ−6α−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;4−デジメチルアミノ−12α−デオキシアンヒドロテトラサイクリン;7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリノニトリル;4−オキソ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン4,6−ヘミケタール;4−オキソ−11a C1−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4,6−ヘミケタール;5a,6−アンヒドロ−4−ヒドラゾン−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;4−ヒドロキシイミノ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;4−ヒドロキシイミノ−4−デジメチルアミノ5a,6−アンヒドロテトラサイクリン;4−アミノ−4−デジメチルアミノ−5a,6アンヒドロテトラサイクリン;4−メチルアミノ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;4−ヒドラゾノ−11a−クロロ−6−デオキシ−6−デメチル−6−メチレン−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリン四級アンモニウム化合物;アンヒドロテトラサイクリンベタイン;4−ヒドロキシ−6−メチルプレテトラミド(pretetramides);4−ケトテトラサイクリン;5−ケトテトラサイクリン;5a,11aジヒドロテトラサイクリン;11a C1−6,12ヘミケタールテトラサイクリン;11a C1−6−メチレンテトラサイクリン;6,13ジオールテトラサイクリン;6−ベンジルチオメチレンテトラサイクリン;7,11a−ジクロロ−6−フルオロ−メチル−6−デオキシテトラサイクリン;6−フルオロ(α)−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン;6−フルオロ(β)−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン;6−αアセトキシ−6−デメチルトラサイクリン;6−βアセトキシ−6−デメチルテトラサイクリン;7,13−エピチオテトラサイクリン;オキシテトラサイクリン;ピラゾロテトラサイクリン;テトラサイクリンの11aハロゲン;テトラサイクリンの12aホルミルおよび他のエステル;テトラサイクリンの5,12aエステル;テトラサイクリンの10,12a−ジエステル;イソテトラサイクリン;12−a−デオキシアンヒドロテトラサイクリン;6−デメチル−12a−デオキシ−7−クロロアンヒドロテトラサイクリン;B−ノルテトラサイクリン;7−メトキシ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン;6−デメチル−6−デオキシ−5a−エピテトラサイクリン;8−ヒドロキシ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン;モナルデン(monardene);クロモサイクリン;5aメチル−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン;6−オキサテトラサイクリン、および6チアテトラサイクリンが挙げられる。
「置換されたテトラサイクリン化合物」という用語は、テトラサイクリンに構造的に関連し、そして少なくとも約10−1というKでTetリプレッサーに結合する化合物を包含するものとする。置換されたテトラサイクリン化合物は一般に、式(I)および(II)の化合物である。好ましくは、この置換されたテトラサイクリン化合物は、約10−1以上の親和性で結合する。一実施形態では、「置換されたテトラサイクリン化合物」という用語は、非置換のテトラサイクリン化合物、例えば、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、アンヒドロテトラサイクリン、ドキシサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ならびにHlavkaおよびBootheによって開示される他の化合物を含まない。「The Tetracyclines」 Handbook of Experimental Pharmacology 78,R.K.Blackwoodら(編集),Springer−Verlag, Berlin−New York,1985;L.A.Mitscher,「The Chemistry of the Tetracycline Antibiotics」,Medicinal Research 9,Dekker,New York,1978;Noyee Development Corporation,「Tetracycline Manufacturing Processes」Chemical Process Reviews,ParkRidge,N.J.,2 volumes,1969;R.C.Evans,「The Technology of the Tetracyclines」,Biochemical Reference Series 1,Quadrangle Press,New York,1968;およびH.F.Dowling,「Tetracycline」,Antibiotic Monographs,no.3,Medical Encyclopedia,New York,1955。置換されたテトラサイクリン化合物は、テトラサイクリンに比較して低下した抗生物質活性を有し得る。
「置換されたテトラサイクリン化合物」という用語は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、11a、12、12aもしくは13位置で、または本発明の置換されたテトラサイクリン化合物がその意図された機能を果たす、例えば、遺伝子発現または遺伝子産物を調節することを可能にする任意の他の位置で、1つ以上のさらなる置換基を有するテトラサイクリン化合物を包含する。
置換されたテトラサイクリン化合物の例としては、その各々がその全体が参照によって本明細書に援用される、米国特許第6,165,999号;同第5,834,450号;同第5,886,175号;同第5,567,697号;同第5,567,692号;同第5,530,557号;同第5,512,553号;同第5,430,162号に記載される化合物が挙げられる。置換されたテトラサイクリン化合物の他の例としては、例えば、WO 03/079984、WO 03/075857、WO 03/057169、WO 02/072545、WO 02/072532、WO 99/37307、WO 02/12170、WO 02/04407、WO 02/04406、WO 02/04404、WO 01/98260、WO 01/98259、WO 01/98236、WO 01/87824、WO 01/74761、WO 01/52858、WO 01/19784、WO 84/01895、米国特許出願第60/367,050号、米国特許出願第09/895,797号、米国特許出願第60/305,546号、米国特許出願第60/346,930号、米国特許出願第60/346,929号、米国特許出願第60/347,065号、米国特許出願第60/346,956号、米国特許出願第60/367,049号、米国特許出願第10/097,095号、米国特許出願第10/097,135号、米国特許出願第60/362,654号、米国特許出願第60/367,045号、米国特許出願第60/366,915号、米国特許出願第60/367,048号、米国特許出願第11/258,622号、米国特許出願第11/258,613号、米国特許出願第11/348,608号、米国特許出願第60/701,730号および米国特許第11/490,867号に記載の化合物が挙げられる。置換されたテトラサイクリン化合物の他の例は、欧州特許第0582810号(B1);欧州特許第0536 515号(B1);欧州特許第0582 789号(B1);欧州特許第0582 829号(B1);欧州特許第0582788号(B1);米国特許第5,530,117号;米国特許第5,495,030号;米国特許第5,495,018号;米国特許第5,494,903号;米国特許第5,466,684号;欧州特許第0535 346号(B1);米国特許第5,457,096号;米国特許第5,442,059号;米国特許第5,430,162号;米国特許第5,420,272号;米国特許第5,401,863号;米国特許第5,401,729号;米国特許第5,386,041号;米国特許第5,380,888号;米国特許第5,371,076号;欧州特許第618 190号;米国特許第5,326,759号;欧州特許第582 829号;欧州特許第528 810号;欧州特許第582 790号;欧州特許第582 789号;欧州特許第582 788号;米国特許第5,281,628号;欧州特許第536 515号;欧州特許第535 346号;WO 96/34852;WO 95/22529A1;米国特許第4,066,694号;米国特許第3,862,225号;米国特許第3,622,627号;WO 01/87823A1;WO 00/28983A1;WO 07/014,154;WO 06/084,265;WO 06/047,671;WO 06/047,756;米国特許出願公開第2006−0287283号;WO 06/549,717;および米国特許出願公開第2005−0143352号に記載される。これらの上述の適用および特許の各々は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
「融合タンパク質」という用語は、作動可能に連結される、2つの異なるポリペプチド由来、代表的には異なる供給源(例えば、異なる細胞および/または異なる生物体)由来のアミノ酸配列を含むポリペプチドを包含する。このようなポリペプチドについては、「作動可能に連結された(operatively linked)」という用語は、この2つのポリペプチドが、各々のポリペプチドがその意図される機能を果たし得るような方式で接続されるということを意味するものとする。代表的には、この2つのポリペプチドは、ペプチド結合を通じて共有結合される。この融合タンパク質は一般には、標準的な組み換えDNA技術によって生成される。例えば、第一のポリペプチドをコードするDNA分子は、第二のポリペプチドをコードする別のDNA分子に連結され、そしてこの得られたハイブリッドDNA分子が、宿主細胞で発現されて、融合タンパク質を生成する。このDNA分子は、お互いに対して5’から3’の方向で結合され、その結果、連結後に、コードされたポリペプチドの翻訳フレームは変更されない(すなわち、DNA分子は、お互いにインフレームで連結される)。
「異種」という用語は、この第二のポリペプチドが第一のポリペプチドとは異なるタンパク質に由来するということを意味するものである。トランス活性化因子融合タンパク質と同様に、転写サイレンサー融合タンパク質は、本明細書で上述したような標準的な組み換えDNA技術を用いて調製され得る。
本発明の方法の転写調節因子は、宿主細胞または動物中に導入された外因性のヌクレオチド配列の転写を調節するために用いられ得る。「外因性」ヌクレオチド配列とは、宿主細胞に導入されており、かつ代表的には宿主のゲノムに挿入されるヌクレオチド配列である。外因性ヌクレオチド配列は、宿主のゲノム中のいずこにも存在しなくてもよいし(例えば、外来ヌクレオチド配列)、または宿主のゲノム内に存在するが、そのゲノムの異なる部位に組み込まれる配列のさらなるコピーであってもよい。転写され、かつtetオペレーター配列に作動可能に連結されるべき外因性ヌクレオチド配列は、宿主細胞または動物中に導入される単一のヌクレオチド分子内に含まれてもよい。
あるいは、本発明の方法の転写調節因子は、tetオペレーター配列が連結されている内因性ヌクレオチド配列の転写を調節するために用いられ得る。「内因性」ヌクレオチド配列は、宿主のゲノム内に存在するヌクレオチド配列である。内因性遺伝子は、TREを含む組み換えベクターと外因性遺伝子の配列との間の相同組み換えによってtetオペレーター配列に対して作動可能に連結され得る。例えば、内因性遺伝子の正確なプロモーター領域を排除することによって、少なくとも1つのtetオペレーター配列および内因性遺伝子のコード領域に相当する配列とその3’末端で隣接し、かつ内因性遺伝子の上流領域由来の配列とその5’末端で隣接する最小プロモーター配列を含む、相同組み換えベクターが調製され得る。この隣接する配列は、内因性遺伝子でのベクターDNAの首尾よい相同組み換えのために十分な長さの配列である。好ましくは、数キロベースの隣接するDNAが、この相同組み換えベクターに含まれる。ベクターDNAと宿主細胞における内因性遺伝子との間の相同組み換えの際、内因性プロモーターの領域は、最小プロモーターに作動可能に連結された1つ以上のtetオペレーター配列を含むベクターDNAによって置換される。従って、内因性遺伝子の発現はもはや、その内因性プロモーターの制御下ではなく、tetオペレーター配列および最小プロモーターの制御下にある。
「tetオペレーター配列」という用語は、全てのクラスのtetオペレーター(例えば、A、B、C、DおよびE)を包含するものとする。転写されるべきヌクレオチド配列は、単一のtetオペレーター配列に作動可能に連結されてもよく、または調節の増強された範囲については、それは、tetオペレーター配列の複数のコピーまたは複数のtetオペレーター配列(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれ以上のオペレーター配列)に対して作動可能に連結されてもよい。好ましい実施形態では、転写されるべき配列は、7つのtetオペレーター配列に対して作動可能に連結される。
本明細書において用いる場合、「tetオペレーター」および「tetオペレーター配列」という用語は、全てのクラス、例えばクラスA、B、C、DおよびEのtetオペレーター配列を包含する。tetオペレーターのこれらの5つのクラスのヌクレオチド配列は、米国特許第6,271,348号に提示され、そしてさらに、Waters,S.H.ら、(1983)Nucleic Acid Research 11(17):6089〜6105,Hillen,W.およびSchollenmeier,K.(1983)Nucleic Acid Research 11(2):525〜539,Stuber,D.およびBujard,H.(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:167〜171,Unger,B.ら、(1984)Nucleic AcidResearch 12(20):7693〜7703、ならびにTovar,K.ら、(1988)Mol.Gen.Genet.215:76〜80に記載される。特定の実施形態では、この変異されたTetリプレッサーは、Tn10−コードされたリプレッサー(すなわち、クラスB)であり、そしてこのtetオペレーター配列は、クラスBのtetオペレーター配列である。あるいは、変異されたクラスAのTetリプレッサーは、クラスAのtetオペレーター配列とともに用いられてもよく、他のクラスのTetリプレッサー/オペレーターについても同様である。
本明細書において用いる場合、転写の「抑制、リプレッション(repression)」とは、転写サイレンサータンパク質による調節の前の転写のレベルまたは量比較した、標的核酸配列の転写のレベルまたは量における減少を意味するものとする。転写阻害は、部分的であっても完全であってもよい。
「Tetリプレッサー」という用語は、テトラサイクリンの有無における原核生物細胞でのTetオペレーター配列由来の転写を調節する、天然に存在するタンパク質またはその改変型を包含する。「野性型Tetリプレッサー」という用語は、テトラサイクリンの非存在下で原核生物細胞におけるTetオペレーター配列由来の転写を抑制する、天然に存在するタンパク質について記載するものとする。「変異されたTetリプレッサー」という用語は、野性型Tetリプレッサーと同様であるが、野性型のTetリプレッサーとは少なくとも1つのアミノ酸が異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを包含するものとする。このような変異されたTetリプレッサーは、TRE調節標的核酸配列の転写がテトラサイクリンの存在下でこのリプレッサーによって刺激されるように、機能が変更されてもよい。
「動作(作動)可能に連結された(operably linked)」または「作動(動作)可能に連結された(operatively linked)」という句は、ヌクレオチド配列に対する言及について用いられる場合、目的のヌクレオチド配列(例えば、テトラサイクリン誘導性方式で発現されるべきポリペプチドをコードする配列)が、調節性配列(例えば、「tetオペレーター連結ヌクレオチド配列」であるヌクレオチド配列については、tetオペレーター)に対して、ヌクレオチド配列の発現を可能にする方式で(例えば、この構築物が宿主細胞中に導入されるときは宿主細胞中で、またはインビトロ転写/翻訳系において)連結されるということを意味する。「調節性配列(制御配列)(regulatory sequence)」という用語は、当該分野で認識され、かつプロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むものとする。このような調節性配列は、当業者に公知であり、そしてGoeddel,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)に記載されている。調節性配列としては、多くのタイプの宿主細胞におけるヌクレオチド配列の構成的発現を指向する配列、および特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指向する配列(例えば、組織特異的調節性配列)が挙げられる。特定の発現ベクターの設計に含まれる他のエレメントは、形質転換されるべき宿主細胞の選択、所望されるタンパク質の発現のレベルなどのような要因に依存し得る。本発明の発現構築物は、宿主細胞中に導入されて、それによって、本明細書に記載されるような核酸によりコードされる、融合タンパク質またはペプチドを含むタンパク質またはペプチドを生成し得る。
転写単位内では、「転写されるべきヌクレオチド配列」は代表的には、下流部分のみが転写され、転写のための転写機構に位置するように(少なくとも一部は)機能する最小プロモーター配列を含む。最小プロモーター配列は、ホスホジエステル結合によって5’〜3’方向で目的の転写配列に連結され(すなわち、プロモーターは、目的の転写配列の上流に位置する)、隣接するヌクレオチド配列を形成する。従って、本明細書において用いる場合、「転写されるべきヌクレオチド配列」または「標的ヌクレオチド配列」という用語は、mRNAに転写されるヌクレオチド配列と、作動可能に連結された上流の最小プロモーター配列との両方を包含するものとする。「最小プロモーター」という用語は、転写されるべき連結された配列について転写の開始部位を規定するが、それ自体では、仮にあったとしても、転写を効率的に開始できない部分プロモーター配列を包含する。従って、このような最小プロモーターの活性は、作動可能に連結された調節性配列(1つ以上のtetオペレーター配列など)に対する、転写活性化因子(例えば、本発明のテトラサイクリン誘導性融合タンパク質)の結合に依存する。一実施形態では、最小プロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス由来である(Boshartら、(1985)Cell 41:521〜530に記載のとおり)。好ましくは、約+75〜−53と+75〜−31の間のヌクレオチド位置が用いられる。他の適切な最小プロモーターは、当該分野で公知であるか、または標準的な技術によって特定されてもよい。例えば、隣接して連結されたレポーター遺伝子(例えば、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、βガラクトシダーゼまたはルシフェラーゼ)の転写を活性化する機能的プロモーターは、レポーター遺伝子単独の発現をもはや活性化しなくなるまで徐々に欠失されてもよいが、さらなる調節性配列の存在はむしろ必要とする。
「真核生物細胞における転写を活性化するポリペプチド)」という用語は、本明細書において用いる場合、転写を直接または間接的に活性化するポリペプチドを包含する。
「宿主細胞における融合タンパク質の発現に適切な形態において」という用語は、組み換え発現ベクターが、mRNAへの核酸の転写、およびこのmRNAの融合タンパク質への翻訳を可能にする方式で、融合タンパク質をコードする核酸に作動可能に連結された1つ以上の調節性配列を含むということを意味するものとする。
「宿主細胞」という用語は、真核生物または原核生物の細胞または細胞株を包含する。用いられ得る哺乳動物細胞株の非限定的な例としては、CHO dhfr.sup.−cells(UrlaubおよびChasin(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216〜4220)、293細胞(Grahamら、(1977)J.Gen.Virol.36:第59頁)または骨髄腫細胞、例えば、SP2またはNS0(GalfreおよびMilstein(1981)Meth.Enzymol.73(B):3〜46)が挙げられる。
「被験体」という用語は、ヒトおよび他の非ヒト哺乳動物を包含し、これには、サル、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、ならびにそのトランスジェニックおよび相同な組換え種が挙げられる。さらに、「被験体」という用語は、非哺乳動物動物、例えば、昆虫、両生類、単細胞生物、寄生生物、植物、例えば、トランスジェニック植物などを包含する。
「形質転換、トランスフォーメーション(transformation)」および「トランスフェクション(transfection)」という用語は、宿主細胞に外来核酸(例えば、DNA)を導入するための当該分野で認識された種々の技術をいい、これには、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、リポフェクチンまたはエレクトロポレーションが挙げられる。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするための適切な方法は、Sambrook,ら、(Molecular Cloning:A Laboratory Manual.第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)、および他の実験マニュアルに見出され得る。
「相同組み換え生物体」という用語は、本明細書において用いる場合、ある遺伝子を含む、生物体、例えば、動物、植物または単細胞生物体であって、その遺伝子と、その動物の細胞、例えば、その動物の胚細胞に導入されたDNA分子との間の相同組み換えによって改変されている生物体を述べる。一実施形態では、この非ヒト動物は、マウスであるが、本発明は、それに限定されない。融合タンパク質をコードする核酸がゲノムの特定の部位に導入されている、すなわちこの核酸が、内因性の遺伝子と相同的に組み換えされている、動物が作成され得る。
I.テトラサイクリン化合物
一実施形態では、本発明の方法における使用のための置換されたテトラサイクリン化合物は、式(I):
Figure 2009543544
の化合物であり、
ここで、
pは、単結合または二重結合であり、
Xは、CHC(R13Y’Y)、CR6’、C=CR6’、S、NR、またはOであり、かつR5’はpが単結合であるとき水素であり、
XはCR6’’であり、かつR5’はpが二重結合であるとき存在せず、
、R2’、R4’、およびR4’’は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
およびR12は各々水素またはプロドラッグ部分であり、
はNR4’4’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり、
はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり、
およびR6’は各々独立して水素、メチレン、非存在、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR7c0−1C(=W’)WR7aであり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR8c0−1C(=E’)ER8aであり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR9c0−1C(=Z’)ZR9aであり、
10は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環またはチオニトロソであり、
11は水素、ヒドロキシルまたはアルコキシルであり、
7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R8f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9eおよびR9fは各々独立して水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
13は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
EはCR8d8e、S、NR8bまたはOであり、
E’はO、NR8f、またはSであり、
WはCR7d7e、S、NR7bまたはOであり、
W’はO、NR7f、またはSであり、
ZはCR9d9e、S、NR9bまたはOであり、
Z’はO、S、またはNR9fであり、
Y’およびYは各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである、化合物、
ならびにその薬学的に受容可能な塩、エステルおよびエナンチオマーである。
ある実施形態では、本発明の方法および組成物において用いられる置換されたテトラサイクリン化合物は、例えば2、5、6、7、8、9、10、11、11a、12、12a位置で、そして/またはメタサイクリンの場合には13位置での置換による置換されたサンサイクリン化合物である。本発明の置換されたサンサイクリン化合物では、R4’およびR4’’は各々アルキル(例えば、低級アルキル、例えば、メチル)であり、XはCR6’であり、そしてR、R6’およびRは各々、一般には、水素である。ある実施形態では、この置換されたテトラサイクリン化合物は、置換されたテトラサイクリン(例えば、一般には、RはNR4’4’’、R4’であり、そしてR4’’はメチルであり、Rは水素であり、そしてXはCR6’であり、ここでRはメチルであり、そしてR6’はヒドロキシである)、置換されたドキシサイクリン(例えば、RはNR4’4’’でありR4’およびR4’’はメチルであり、Rはヒドロキシルであり、そしてXはCR6’であり、ここでRはメチルであり、そしてR6’は水素である)、置換されたミノサイクリン(例えば、ここでRはNR4’4’’であり、R4’およびR4’’はメチルであり、Rは水素であり、そしてXはCR6’であり、ここでRおよびR6’は水素原子であり、そしてRはジメチルアミノである)または置換されたサンサイクリン(ここでRはNR4’4’’であり、R4’およびR4’’はメチルであり、Rは水素であり、かつXはCR6’であり、ここでRおよびR6’は水素原子である)である。一実施形態では、この置換されたテトラサイクリン化合物は、非抗生物質である。
一実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、そしてR11はヒドロキシルである。さらなる実施形態では、pは単結合であり、XはCR6’であり、Rはアルキルであり、R6’は水素であり、Rはヒドロキシルであり、RおよびRは各々水素であり、そしてR10はヒドロキシルである。さらに別の実施形態では、Rはアミノアルキル(例えば、アミノメチル)、アルケニル(例えば、アミノカルボニルアルキル)、アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル)または複素環部分(例えば、モルホリン)である。
さらに別の実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルである。さらなる実施形態では、pは単結合であり、XはCR6’であり、Rはアルキルであり、R6’は水素であり、Rはヒドロキシルであり、RおよびRは各々水素であり、Rは水素であり、かつR10はアルコキシ(例えば、ブトキシ)である。
別の実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルであり、pは単結合であり、XはCR6’であり、R、R、R6’およびRは各々水素であり、Rはアルキルアミノ(例えば、ジアルキルアミノ、例えば、ジメチルアミノなど)であり、R10はヒドロキシルであり、かつRはハロゲン(例えば、フッ素)、アルキル(例えば、プロピル)、アミノアルキル(例えば、アルキルアミノメチルまたはアリールアミノメチル)、アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル)、アルキルカルボニル(例えば、アシル)、アルケニル(例えば、アミノアルケニル、例えばアルキルアミノアルケニル、またはアルコキシカルボニルアルケニル、例えば、エトキシカルボニルアルケニル)、アルキニル、アリール(例えば、ヘテロアリール、例えば、置換または非置換のフラニル(例えば、アルキル置換されたフラニル)など)または複素環部分(例えば、モルホリン)である。
さらなる実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルであり、pは単結合であり、XはCR6’であり、R、R、R6’およびRは各々水素であり、Rはアルキルアミノ(例えば、ジアルキルアミノ、例えば、ジメチルアミノなど)であり、Rは水素であり、かつR10はアルコキシ(例えば、ブトキシ)である。
さらに別の実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルであり、pは単結合であり、XはCR6’であり、R、R、R6’およびRは各々水素であり、R10はヒドロキシルであり、Rはハロゲン(例えば、ヨウ素)であり、かつRはチオアルキル、スルホニルアルキルまたはスルフィニルアルキルである。
一実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルであり、pは単結合であり、XはCR6’であり、R、R、R6’およびRは各々水素であり、R10はヒドロキシルであり、Rはアリール(例えば、ヘテロアリール、例えば、ピリジニル)であり、かつRはアルキル(例えば、メチル)である。
別の実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルであり、pは単結合であり、XはCR6’であり、R、R、R6’およびRは各々水素であり、R10はヒドロキシルであり、Rはアルケニル(例えば、フッ素などの1つ以上のハロゲンで置換されたアルケニル)であり、かつRはアミノまたはニトロである。
さらなる実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルであり、pは単結合であり、XはCR6’であり、R、R、R6’およびRは各々水素であり、R10はヒドロキシルであり、Rはアルキル(例えば、エチル)であり、かつRはアミノアルキル(例えば、アルキルアミノアルキル)である。
さらに別の実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルであり、pは単結合であり、XはCR6’であり、R、R、R6’、RおよびRは各々水素であり、R10はヒドロキシルであり、かつRはアミノ(例えば、アルキルアミノまたはアルキルカルボニルアミノ)、アリール(例えば、フェニルまたはヘテロアリール、例えば、ピリジニルなどであり、これは、1つ以上のハロゲン(例えば、塩素またはフッ素)、フラニル、イソオキサゾリル(例えば、アルキル置換されたイソオキサゾリル、例えば、メチル、イソブチル、イソプロピル、イソプロペニルまたはアルコキシ置換アルキル)、ピラゾリルで置換されてもよい)、アルキル、アルケニル(例えば、1つ以上のハロゲン、例えばフッ素で置換されたアルケニル、シアノ、アルコキシカルボニル、例えば、メトキシカルボニル、またはアルキルカルボニル、例えば、アシル)、アミノ(例えば、ジアルキルアミノ、例えば、ジエチルアミノ)、アミノアルキル(例えば、複素環部分、例えば、ピペリジンで置換されたアミノメチル)シアノ、複素環部分(例えば、モルホリン)またはオキシミルである。
別の実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルであり、pは単結合であり、XはCR6’であり、R、R、R6’、RおよびRは各々水素であり、R10はヒドロキシルであり、かつRはハロゲン(例えば、塩素または臭素)またはアリール(例えば、フェニルまたはピリジニル、例えばハロゲン置換されたピリジニル)である。
さらなる実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルであり、pは単結合であり、XはCR6’であり、R、R、R6’およびRは各々水素であり、かつRはハロゲン(例えば、塩素または臭素)またはアリール(例えば、フェニルまたはピリジニル、例えばハロゲン置換されたピリジニル)であり、R10はヒドロキシルであり、かつRは水素またはアミノ(例えば、アシルのような、アルキルカルボニルで置換されたアミノ)である。
一実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルであり、pは単結合であり、XはCR6’であり、R、R、R6’およびRは各々水素であり、かつRはハロゲン(例えば、塩素または臭素)またはアリール(例えば、フェニルまたはピリジニル、例えばハロゲン置換されたピリジニル)であり、R10はヒドロキシルであり、かつRは水素またはアミノ(例えば、アシルのような、アルキルアルキルカルボニルで置換されたアミノ)である。
別の実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルであり、pは単結合であり、XはCR6’であり、R、R、R6’およびRは各々水素であり、R10はヒドロキシルであり、Rはアミノであり、かつRはハロゲン(例えば、ハロゲン)である。
一実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルであり、pは単結合であり、XはCR6’であり、R、R、R6’、RおよびRは各々水素であり、R10はヒドロキシルであり、かつRは複素環部分(例えば、ピペリジンまたはモルホリン)またはアミノアルキル(例えば、トリフルオロメチルで置換されたアミノメチルなどのアミノメチル)である。
別の実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルであり、pは単結合であり、XはCR6’であり、R、R、R6’、R、RおよびRは各々水素であり、かつR10はアルコキシ(例えば、ヒドロキシで置換されてもよい、プロポキシまたはブトキシ)である。
さらに別の実施形態では、R、R2’、RおよびR12は各々水素であり、RはNR4’であり、RおよびR4’は各々アルキルであり、かつR11はヒドロキシルであり、pは二重結合であり、XはCR6’’であり、かつR6’’、RおよびRは各々水素であり、R10はヒドロキシルであり、かつRはハロゲン(例えば、塩素)である。
一実施形態では、本発明の方法における使用のための置換されたテトラサイクリン化合物は、式(II)の化合物:
Figure 2009543544
、ならびにその薬学的に受容可能な塩、エステルおよびエナンチオマーであって、
ここで、R、R2’、R4’およびR4’’は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
、R12およびR14は各々水素またはプロドラッグ部分であり、
はNR4’4’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり、
はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり、
6aは水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR7c0−1C(−W’)WR7aであり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR8c0−1C(=E’)ER8aであり、
は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR9c0−1C(=Z’)ZR9aであり、
10は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環またはチオニトロソであり、
7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R8f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9e、およびR9fは各々独立して水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
Wは、CR7d7e、S、NR7bまたはOであり、
W’はO、NR7f、またはSであり、
Eは、CR8d8e、S、NR8bまたはOであり、
E’はO、NR8fまたはSであり、
ZはCR9d9e、S、NR9bまたはOであり、
Z’はO、S、またはNR9fである。
別の実施形態では、R、R2’、R、R、R、R、R11、R12およびR14は各々水素であり、RはNR4’であり、R、R4’およびR6aは各々アルキルであり、R10はヒドロキシルであり、かつRは水素またはハロゲン(例えば、塩素)である。
さらに別の実施形態では、置換されたテトラサイクリン化合物は、表2の化合物である。
Figure 2009543544
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Figure 2009543544
およびその薬学的に受容可能な塩。
一実施形態では、置換されたテトラサイクリン化合物は、実施例5に例示されるように、この置換されたテトラサイクリンがtetAプロモーター/オペレーターでスクリーニングされるとき、少なくとも約13μg/mLの濃度で70より大きいKluxを示す。別の実施形態では、この置換されたテトラサイクリン化合物は、この置換されたテトラサイクリンが、tetAプロモーター/オペレーターでスクリーニングされるとき、少なくとも約13μg/mLの濃度で約70〜約51というKluxを示す。
本発明の置換されたテトラサイクリン化合物は、以下のスキームに記載される方法を用いて、および/または当該分野で認識される技術を用いることによって合成され得る。本明細書で記載される全ての新規の置換されたテトラサイクリン化合物は、化合物として本発明に包含される。
Figure 2009543544
9−および7−置換のテトラサイクリンは、スキーム1に示される方法によって合成され得る。スキーム1に示されるとおり、9−および7−置換のテトラサイクリン化合物は、テトラサイクリン化合物(例えば、ドキシサイクリン、1A)を、硫酸および硝酸ナトリウムで処理することによって合成してもよい。この得られた生成物は、7−ニトロおよび9−ニトロ異性体(それぞれ、1Bおよび1C)の混合物である。7−ニトロ(1B)および9−ニトロ(1C)誘導体を、水素ガスおよび白金触媒を用いて水素化によって処理して、アミン1Dおよび1Eを生成する。この異性体は、従来の方法によってこの時点で分離する。7−置換または9−置換のアルケニル誘導体を合成するために、7−または9−アミノのテトラサイクリン化合物(それぞれ、1Eおよび1F)を、HONOで処理して、ジアゾニウム塩を得る(1Gおよび1H)。この塩(1Gおよび1H)を、適切な反応試薬で処理して、所望の化合物を得る(例えば、スキーム1では、7−シクロペント−1−エニルドキシサイクリン(1H)および9−シクロペント−1−エニルドキシサイクリン(1I))。
Figure 2009543544
スキーム2に示されるとおり、Rがカルバメートまたは尿素誘導体である本発明のテトラサイクリン化合物は、以下のプロトコールを用いて合成され得る。サンサイクリン(2A)を、酸性条件下でNaNOで処理して、位置異性体の混合物中で7−ニトロサンサイクリン(2B)を形成する。次いで、7−ニトロサンサイクリン(2B)をHガスおよび白金触媒で処理して、7−アミノのサンサイクリン誘導体(2C)を形成する。尿素誘導体(2E)を形成するために、イソシアネート(2D)を、7−アミノのサンサイクリン誘導体(2C)で処理する。カルバメート(2G)を形成するために、適切な酸塩化物エステル(2F)を2Cで処理する。
Figure 2009543544
スキーム3に示されるとおり、Rが複素環式(すなわち、チアゾール)置換アミノ基である本発明のテトラサイクリン化合物は、上記のプロトコールを用いて合成してもよい。7−アミノのサンサイクリン(3A)を、Fmoc−イソチオシアネート(3B)と反応させて、保護されたチオ尿素(3C)を生成する。次いで、この保護されたチオ尿素(3C)を、脱保護して、活性なサンサイクリンチオ尿素(3D)化合物を得る。このサンサイクリンチオ尿素(3D)を、α−ハロケトン(3E)で処理して、チアゾール置換された7−アミノのサンサイクリン(3F)を生成する。
Figure 2009543544
7−アルケニルテトラサイクリン化合物、例えば7−アルキニルサンサイクリン(4A)および7−アルケニルサンサイクリン(4B)を水素化して7−アルキル置換のテトラサイクリン化合物(例えば、7−アルキルサンサイクリン、4C)を形成してもよい。スキーム4は、この生成物を得るための、圧力下におけるパラジウム/炭素触媒での飽和メタノールおよび塩酸溶液中における、7位置の二重または三重の結合の選択的水素化を示している。
Figure 2009543544
スキーム5では、7位置のアリール誘導体を合成するための一般的合成スキームが示される。ヨードサンサイクリン(iodosancycline)化合物とのアリールボロン酸の鈴木カップリングを示す。ヨードサンサイクリン化合物(5B)は、酸性条件下で少なくとも1当量のN−ヨードスクシンイミド(NIS)を用いてサンサイクリン(5A)を処理することによりサンサイクリンから合成してもよい。この反応をクエンチし、次いで得られた7−ヨードサンサイクリン(5B)を、当該分野で公知の標準的な技術を用いて精製してもよい。アリール誘導体を形成するために、次いで、7−ヨードのサンサイクリン(5B)を塩基水溶液(例えば、NaCO)および適切なボロン酸(5C)を用い、そして不活性雰囲気下で処理する。この反応物を、パラジウム触媒(例えば、Pd(OAc))で触媒する。この生成物(5D)は、当該分野で公知の方法(例えば、HPLC)によって精製してもよい。他の7−アリール、アルケニル、およびアルキニルのテトラサイクリン化合物は、同様のプロトコールを用いて合成され得る。
本発明の7−置換されたテトラサイクリン化合物はまた、Stilleのクロス(cross)カップリングを用いて合成され得る。Stilleクロスカップリングは、適切なスズ試薬(例えば、R−SnBu)およびハロゲン化されたテトラサイクリン化合物(例えば、7−ヨードサンサイクリン)を用いて行ってもよい。このスズ試薬およびヨードサンサイクリン化合物は、パラジウム触媒(例えば、Pd(PPhClまたはPd(AsPhCl)を用いて、必要に応じてさらなる銅塩、例えば、CuIを用いて処理されてもよい。次いでこの得られた化合物を、当該分野で公知の技術を用いて精製してもよい。
Figure 2009543544
本発明の化合物はまた、Heck−クロスカップリング反応を用いて合成されてもよい。スキーム6に示されるとおり、Heck−型クロスカップリングは、ハロゲン化されたテトラサイクリン化合物(例えば、7−ヨードサンサイクリン、6A)および適切なパラジウムまたは他の遷移金属触媒(例えば、Pd(OAc)およびCuI)を適切な溶媒(例えば、脱気したアセトニトリル)中に懸濁することによって行ってもよい。次いで、基質、反応アルケン(6B)またはアルキン(6D)、およびトリエチルアミンを添加し、そしてその混合物を数時間加熱して、その後に室温まで冷却する。次いで、得られた7−置換のアルケニル(6C)または7−置換のアルキニル(6E)テトラサイクリン化合物を当該分野で公知の技術を用いて精製してもよい。
Figure 2009543544
7−(2’−クロロ−アルケニル)−テトラサイクリン化合物を調製するために、適切な7−(アルキニル)−サンサイクリン(7A)を、飽和メタノールおよび塩酸中に溶解して、攪拌する。次いで、その溶媒を除去して、生成物(7B)を得る。
Figure 2009543544
スキーム8に示されるとおり、9−置換のテトラサイクリン化合物の5−エステルを、強力な酸(例えば、HF、メタンスルホン酸およびトリフルオロメタンスルホン酸)中に9置換化合物(8A)を溶解すること、および適切なカルボン酸を添加することによって形成して、対応するエステルを得てもよい(8B)。
Figure 2009543544
スキーム9に示されるとおり、メタサイクリン(9A)を、Pd(OAc)のようなパラジウム触媒の存在下でフェニルボロン酸と反応させて、13アリール置換されたメタサイクリン化合物を形成したもよい。次いで、得られた化合物を、分取HPLCのような当該分野で公知の技術を用いて精製して、特徴付けてもよい。
下のスキーム10に示されるとおり、7および9アミノメチルテトラサイクリンは、試薬、例えば、ヒドロキシメチル−カルバミン酸ベンジルエステルを用いて合成し得る。
Figure 2009543544
3、10または12aの位置で置換された置換されたテトラサイクリン化合物は、テトラサイクリン化合物と塩基とを接触させて、ヒドロキシル基を脱プロトン化することによって合成してもよい。用いられ得る塩基の例としては、水素化カリウムおよび水素化ナトリウムが挙げられる。次いで、テトラサイクリンをハロゲン化物および当該分野で公知の他の反応種を用いることによってさらに誘導体化してもよい。
化学合成の他の例は、WO 03/079984、WO 03/075857、WO 03/057169、および米国特許出願第10/619,653号(各々の内容全体が、参照によって本明細書に援用される)に記載される。
「アルキル(alkyl)」という用語には飽和脂肪族基であって、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、分枝鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチルなど)、シクロアルキル(脂環式)基(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基が包含される。アルキルという用語にはさらに、炭化水素骨格の1つ以上の炭素の代わりに酸素、窒素、イオウ、またはリン原子をさらに含み得るアルキル基を包含する。特定の実施形態において、直鎖または分枝鎖アルキルはその骨格に20個以下の、そしてより好ましくは4個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖についてはC−C20、分枝鎖についてはC−C20)、。シクロアルキルは、その環構造に3〜8個の炭素原子を有し、より好ましくはその環構造に炭素5または6個を有し得る。C−Cという用語は、炭素原子1〜6個を含むアルキル基を包含する。
さらに、アルキルという用語は、「非置換アルキル(unsubstituted alkyls)」と「置換アルキル(substituted alkyls)」の両方を包含し、この後者は炭化水素骨格の1つ以上の炭素上の水素の代わりに置換基を有するアルキル部分を意味する。そのような置換基としては、例えばアルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を挙げることができる。シクロアルキルはさらに、例えば上記の置換基によって置換されてもよい。「アルキルアリール(alkylaryl)」または「アリールアルキル(arylalkyl)」部分は、アリールによって置換したアルキルである(例えば、フェニルメチル(ベンジル))。「アルキル」という用語にはまた、天然および非天然のアミノ酸の側鎖を包含する。
「アリール」という用語には、0〜4個のヘテロ原子を含み得る5−および6−員環の単環式芳香族基を包含する基、例えばベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが包含される。さらに、「アリール」という用語には、多環式アリール基、例えば、三環式、二環式、例えばナフタレン、ベンズオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキソフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフスリジン(naphthridine)、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、またはインドリジンが包含される。環構造にヘテロ原子を有するそれらのアリール基はまた、「アリール複素環(aryl heterocycles)」「複素環(heterocycles)」、「ヘテロアリール(heteroaryls)」、または「ヘテロ芳香族(heteroaromatics)」とも呼ばれてもよい。芳香環は、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分によって1つ以上の環の位置で置換されてもよい。アリール基は、多環(例えばテトラリン)を形成するために、芳香族でない脂環式または複素環と縮合または架橋されてもよい。
「アルケニル(alkenyl)」という用語には、上記のアルキルと長さおよび可能性がある置換が類似しているが、少なくとも1つの二重結合を含む不飽和脂環式基が包含される。
例えば、「アルケニル」という用語は、直鎖アルケニル基(例えば、エチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニルなど)、分枝鎖アルケニル基、シクロアルケニル(脂環式)基(シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキル、またはアルケニル置換シクロアルケニル基およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルケニル基を包含する。アルケニルという用語は、さらに、炭化水素骨格の1つ以上の炭素の代わりに酸素、窒素、イオウ、またはリン原子を含むアルケニル基を包含する。特定の実施形態において、直鎖または分枝鎖のアルケニル基は、その骨格に20個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖についてC−C20、分枝鎖についてC−C20)。同様に、シクロアルケニル基は、その環構造に3〜8個の炭素原子を有してもよく、より好ましくは環構造に5または6個の炭素を有する。C−C20という用語は、2〜20個の炭素原子を含むアルケニル基を包含する。
さらに、アルケニルという用語は、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の両方を包含し、この後者は炭化水素骨格の1つ以上の炭素上の水素の代わりに置換基を有するアルケニル部分を意味する。このような置換基としては例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルフィニル、スルホニル、チオ、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を挙げることができる。
「アルキニル(alkynyl)」という用語には、長さおよび可能性のある置換が上記のアルキルと類似しているが、少なくとも1つの三重結合を含む不飽和脂肪族基が包含される。
例えば、「アルキニル」という用語には、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、へプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニルなど)、分枝鎖アルキニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルキニル基が包含される。アルキニルという用語にはさらに、炭化水素骨格の1つ以上の炭素の代わりに酸素、窒素、イオウ、またはリン原子を含むアルキニル基が包含される。特定の実施形態において、直鎖または分枝鎖アルキニル基は、その骨格に20個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖についてはC−C20、分枝鎖についてはC−C20)。C−Cという用語は、炭素原子2〜6個を含むアルキニル基を包含する。
さらに、アルキニルという用語には、「非置換アルキニル」および「置換アルキニル」の両方が包含され、この後者は炭化水素骨格の1つ以上の炭素上の水素の代わりに置換基を有するアルキニル基を意味する。このような置換基としては、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を挙げることができる。
炭素数が他に特定されていなければ、本明細書において用いる「低級アルキル」とは、上記で定義したアルキル基であるが、その骨格構造に1〜5個の炭素原子を有する基を意味する。「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、例えば炭素原子2〜5個の鎖長を有する。
「アシル」という用語には、アシル基(CHCO−)またはカルボニル基を含む化合物および部分が包含され、そして「非置換アシル」基および「置換アシル」基の両方が包含される。「置換アシル基(substituted acyl group)」という用語は、1つ以上の水素原子が、例えば、アルキル基、アルケニル、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分によって置換されているアシル基を指す。
「アシルアミノ」という用語には、アシル部分がアミノ基に結合している部分が包含される。例えば、この用語には、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイド基が包含される。
「アルコキシ」という用語には、酸素原子に共有結合した置換および非置換のアルキル、アルケニル、およびアルキニル基が包含される。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、およびペントキシ基が挙げられる。置換アルコキシ基の例としては、ハロゲン化アルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分などの基によって置換されてもよい。ハロゲン置換アルコキシ基の例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシなどが挙げられる。
「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」および「チオアルコキシアルキル」という用語には、炭化水素骨格の1つ以上の炭素の代わりに酸素、窒素、またはイオウ原子、例えば、酸素、窒素またはイオウ原子をさらに含む、上記のアルキル基が包含される。
「アミド」または「アミノカルボキシ」という用語には、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合される窒素原子を含む化合物または部分が包含される。この用語には、カルボキシ基に結合したアミノ基に結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を含む「アルカミノカルボキシ」基が包含される。これには、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合されるアミノ基に結合したアリールまたはヘテロアリール部分を含むアリールアミノカルボキシ基が包含される。「アルキルアミノカルボキシ」、「アルケニルアミノカルボキシ」、「アルキニルアミノカルボキシ」、および「アリールアミノカルボキシ」という用語には、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分がそれぞれ窒素原子に結合することでカルボニル基の炭素と結合している部分が包含される。
「アミン」または「アミノ」という用語には、窒素原子が少なくとも1つの炭素またはヘテロ原子に共有結合されている化合物が包含される。「アルキルアミノ」という用語には、窒素原子が少なくとも1つのさらなるアルキル基に結合している基および化合物が包含される。「ジアルキルアミノ」という用語には、窒素原子が少なくとも二つのさらなるアルキル基に結合されている基が包含される。「アリールアミノ」および「ジアリールアミノ」という用語には、窒素原子がそれぞれ、少なくとも1つまたは二つのアリール基に結合されている基が包含される。「アルキルアリールアミノ」「アルキルアミノアリール」、または「アリールアミノアルキル」という用語は、少なくとも1つのアルキル基および少なくとも1つのアリール基に結合されているアミノ基を指す。「アルカミノアルキル」という用語は、アルキル基にも結合されている窒素原子に結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を意味する。
「アロイル」という用語には、カルボニル基に結合したアリールまたはヘテロ芳香族部分を有する化合物および部分が包含される。アロイル基の例としては、フェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシなどが挙げられる。
「カルボニル」または「カルボキシ」という用語には、二重結合によって酸素原子に結合された炭素を含む化合物および部分が包含される。カルボニルを含む部分の例としては、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物などが包含される。カルボニル基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート(phosphinato)、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族の部分などの基で置換されてもよい。
「エステル」という用語には、カルボニル基の炭素に結合されている酸素原子に結合した炭素またはヘテロ原子を含む化合物および部分が包含される。「エステル」という用語には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルなどのようなアルコキシカルボニル基が包含される。アルキル、アルケニル、またはアルキニル基は上記の定義のとおりである。
「エーテル」という用語は、2つの異なる炭素原子またはヘテロ原子に結合した酸素を含有する化合物または部分を包含する。例えばこの用語は、「アルコキシアルキル」を包含し、このアルコキシアルキルとは、酸素原子に共有結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基であって、その酸素原子が別のアルキル基に共有結合されているものを指す。
「ハロゲン」という用語には、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などが包含される。「過ハロゲン化(perhalogenated)」という用語は一般的に、全ての水素がハロゲン原子に置換されている部分を指す。
「ヘテロ原子」という用語には、炭素または水素以外の任意の元素の原子が包含される。好ましいヘテロ原子は窒素、酸素、イオウ、およびリンである。
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」という用語には、−OHまたは−Oを有しており、ここでXが対イオンである基が包含される。
「ポリシクリル」または「多環式基(polycyclic radical)」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環と共通している、例えば環が「縮合環(fused rings)」である2つ以上の環状環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/またはヘテロシクリル)を指す。非隣接原子に結合している環は「架橋した(bridged)」環と呼ばれる。多環の環の各々は、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分によって置換されてもよい。
「チオカルボニル」または「チオカルボキシ」という用語には、二重結合によってイオウ原子に結合した炭素を含む化合物および部分が包含される。
「チオエーテル」という用語には、異なる2つの炭素またはヘテロ原子に結合されたイオウ原子を含む化合物および部分が包含される。チオエーテルの例として限定はしないが、アルクチオアルキル、アルクチオアルケニル、およびアルクチオアルキニルが挙げられる。「アルクチオアルキル」という用語には、アルキル基に結合されているイオウ原子に結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を有する化合物が包含される。同様に、「アルクチオアルケニル」および「アルクチオアルキニル」という用語は、アルキル、アルケニル、またはアルキニル基がイオウ原子に結合されており、このイオウ原子がアルキニル基に共有結合されている化合物または部分を指す。
「オキシミル」という用語は、オキシム基を含有する部分を包含する。
「二量体部分(dimeric moiety)」という用語は、二級テトラサイクリンの4環構造を含有する部分を包含する。二量体部分は、原子1〜30個の鎖を通じて置換テトラサイクリンに結合されてもよい。この鎖は、単結合、二重結合、および三重結合を通じて一緒に共有結合された原子から構成されてもよい。二量体部分のテトラサイクリン環構造は、さらに置換されても、または置換されなくてもよい。これは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、11a、12、12a、および/または13位で結合されてもよい。
「プロドラッグ部分」という用語には、インビボで代謝され得る部分が包含される。一般に、プロドラッグ部分は、インビボでエステラーゼによって、または他の機構によって、ヒドロキシル基または他の有益な基に代謝される。プロドラッグおよびその使用の例は当該分野で周知である(例えば、Bergeら、(1977)、「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.66:1〜19を参照のこと)。プロドラッグは、化合物の最終的な単離および精製の間にインサイチュで、またはその遊離の酸型の精製化合物もしくはヒドロキシルと、適切なエステル化剤とを個々に反応させることによって調製することができる。ヒドロキシル基は、カルボン酸による処理を介してエステルに変換されてもよい。プロドラッグ部分の例としては、置換および非置換の、分枝または非分枝の低級アルキルエステル部分(例えば、プロピオン酸エステル)、低級アルケニルエステル、ジ−低級アルキル−アミノ低級アルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルエステル)、アシルアミノ低級アルキルエステル(例えば、アセチルオキシメチルエステル)、アシルオキシ低級アルキルエステル(例えば、ピバロイルオキシメチルエステル)、アリールエステル(フェニルエステル)、アリール低級アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル)、置換(例えば、メチル、ハロ、またはメトキシ置換基による)アリールおよびアリール−低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、ジ−低級アルキルアミド、およびヒドロキシアミドが挙げられる。好ましいプロドラッグ部分は、プロピオン酸エステルおよびアシルエステルである。インビボで他の機構によって活性型に変換されるプロドラッグも含まれる。
本発明の方法および組成物において用いられる置換されたテトラサイクリン化合物のいくつかの構造は、不斉炭素原子を含む。キラル原子から生じる異性体(例えば、全てのエナンチオマーおよびジアステレオマー)は、他に示さない限り、本発明の範囲に包含される。そのような異性体は、古典的な分離技術および立体化学的に制御された合成によって実質的に純粋な形態で得ることができる。さらに、本出願において考察される構造および他の化合物および部分も、その全ての互変異性体を包含する。
(II.テトラサイクリン誘導性の転写調節因子)
テトラサイクリン調節性の遺伝子発現系では、遺伝子の転写は、転写調節因子によって調節される、例えば、活性化因子タンパク質(または逆トランス活性化因子タンパク質)によって活性化されるか、または転写サイレンサータンパク質によって阻害される。本発明のトランス活性化因子およびサイレンサーは、融合タンパク質または非共有結合的に会合したタンパク質である。従って、本発明の特定の方法は、融合タンパク質、および融合タンパク質または非共有結合的に会合されたタンパク質をコードする核酸(例えば、DNA)を特徴とする。
一実施形態では、遺伝子または遺伝子産物の転写は、両方とも本明細書においては単にトランス活性化因子と呼ばれる、テトラサイクリン制御の転写活性化因子タンパク質(transcriptional activator protein)(tTA)またはリバーステトラサイクリン制御転写活性化因子タンパク質(reverse tetracycline controlled transcriptional activator protein)(rtTA)によって活性化される。テトラサイクリンの非存在下で、tTAは、TREに結合して、標的核酸配列からの発現を活性化する。逆に、rtTAは、テトラサイクリンの存在下でのみTREを認識し、従って、標的核酸配列の転写は、テトラサイクリンの存在下でのみrtTAによって刺激される。
本発明の方法はまた、転写サイレンサー融合タンパク質を特徴とし得る。本発明の方法のインヒビター融合タンパク質は、本発明の転写調節因子融合タンパク質と同様に構築されるが、細胞中で転写を刺激するポリペプチドドメインを含む代わりに、このインヒビター融合タンパク質は、真核生物細胞中で転写を阻害するポリペプチドドメインを含む。このインヒビター融合タンパク質は、tetO配列に対して作動可能に連結された遺伝子または遺伝子産物の発現を下方制御するために用いられる。例えば、tetO連結遺伝子が宿主細胞または動物に導入されるとき、この遺伝子の基礎レベルの構成的発現は、この遺伝子が導入される細胞または組織のタイプ、およびこの遺伝子の組み込みの部位に依存して変化し得る。あるいは、tetO配列が導入されている内因性遺伝子の構成的発現は、近傍のさらなる内因性の調節性配列の強度に依存して変化し得る。本明細書に記載されるインヒビター融合タンパク質によって、制御された方式でこのようなtetO連結遺伝子の発現を阻害するために用いられ得る組成物が得られる。
例えば、本発明の方法のインヒビター融合タンパク質は、真核生物細胞で転写を阻害する異種の第二のポリペプチドに作動可能に連結された置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下でtetオペレーター配列に結合するが、存在下では結合しない第一のポリペプチドを含んでもよい。あるいは、このインヒビター融合タンパク質は、真核生物細胞で転写を阻害する異種の第二のポリペプチドに作動可能に連結された置換されたテトラサイクリン化合物の存在下でtetオペレーター配列に結合するが、非存在下では結合しない第一のポリペプチドを含んでもよい。
(A.トランス活性化因子またはインヒビター融合タンパク質の第一のポリペプチド)
一実施形態では、本発明の特定の方法で特徴付けられたトランス活性化因子融合タンパク質は、その一部が本発明の置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下においてtetオペレーター配列に結合する第一のポリペプチドから構成される。
一実施形態では、例えば、tTA融合タンパク質を作製する場合、この第一のポリペプチドは、野性型Tetリプレッサーである(これは、テトラサイクリンの非存在下ではtetオペレーター配列に結合するが、テトラサイクリンの存在下では結合しない)。任意のクラスの野性型Tetリプレッサー(例えば、A、B、C、DまたはE)が、第一のポリペプチドとして用いられ得る。Tetリプレッサーの各々のクラスのメンバーの間での高い程度の配列保存(少なくとも80%)に照らして、本明細書ではTetリプレッサーの各々のクラスの単一のメンバーを、クラス全体の代表として用いる。従って、Tetリプレッサークラスの特定のメンバーに関する本発明の教示は、そのクラスの全てのメンバーに対して直接適用可能である。
本明細書において用いる場合、TetR(A)クラスは、Tn1721トランスポゾンに担持されるTetリプレッサーに代表される(Allmeirら、(1992)Gene 111(1):11〜20;NCBI(National Library of Medicine,National Center for Biotechnology Information)アクセッション番号X61367およびコードされるタンパク質配列GI:48198についてのデータベース相互参照番号(GI:))。
TetR(B)クラスは、Tn10テトラサイクリン耐性決定因子によってコードされるTetリプレッサーに代表される(Postleら、(1984)Nucleic Acids Research 12(12):4849〜63,アクセッション番号X00694,GI:43052)。
etR(C)クラスは、プラスミドpSC101のテトラサイクリンリプレッサーに代表される(Browら、(1985)Mol.Biol.Evol.2(1):1〜12,アクセッション番号M36272,GI:150496)。
TetR(D)クラスは、Salmonella ordonezにおいて特定されたTetリプレッサーに代表される(Allardら、(1993)Mol.Gen.Genet.237(1−2):301〜5,アクセッション番号X65876,GI:49075)。
TetR(E)クラスは、Enterobacteriaceaeのメンバーから単離されたTetリプレッサーに代表される(Tovarら、(1988)Mol.Gen.Genet.215(1):76〜80,アクセッション番号M34933,GI:155020)。
TetR(G)クラスは、Vibrio anguillarumにおいて特定されたTetリプレッサーに代表される(Zhaoら、(1992)Microbiol Immunol 36(10):1051〜60,アクセッション番号S52438,GI:262929)。
TetR(H)クラスは、Pasteurella multocidaから単離されたプラスミドpMV111によってコードされるTetリプレッサーに代表される(Hansenら、(1993)Antimicrob.Agents.Chemother.37(12):2699〜705,アクセッション番号U00792,GI:392872)。
TetR(J)クラスは、Proteus mirabilisからクローニングされたTetリプレッサーに代表される(Magalhaesら、(1998)Biochim.Biophys.Acta.1443(1−2):262〜66,アクセッション番号AF038993,GI:4104706)。
TetR(Z)クラスは、グラム陽性の細菌であるCorynebacterium glutamicumから単離されたpAG1プラスミドによってコードされるTetリプレッサーに代表される(Tauchら、(2000)Plasmid 44(3):285〜91,アクセッション番号AAD25064,GI:4583400)。
好ましくは、野性型Tetリプレッサーは、クラスBのtetリプレッサー、例えば、Tn10由来Tetリプレッサーである。
別の実施形態では、本発明の特定の方法で特徴づけられたトランス活性化因子融合タンパク質は、その一部が本発明の置換されたテトラサイクリン化合物の存在下においてtetオペレーター配列に結合する第一のポリペプチドから構成される。従って、一実施形態では、例えば、rtTA融合タンパク質を作製する場合、この融合タンパク質の第一のポリペプチドは、変異されたTetリプレッサーである。変異されたTetリプレッサーと野性型Tetリプレッサーとの間のアミノ酸の相違は、1つ以上のアミノ酸の置換、1つ以上のアミノ酸の欠失、または1つ以上のアミノ酸の付加であってもよい。好ましくは、本発明の変異されたTetリプレッサーは、以下の機能的な特性を有する。すなわち、1)このポリペプチドは、tetオペレーター配列に結合し得る、すなわち、これは野性型TetリプレッサーのDNA結合特異性を保持している、2)これは、野性型のTetリプレッサーに比較して置換されたテトラサイクリン化合物によって逆方式(reverse manner)で調節される、すなわち、変異されたTetリプレッサーは、置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下ではなく、置換されたテトラサイクリン化合物の存在下でのみtetオペレーター配列に結合する。
一実施形態では、上記の機能的特性を有する変異されたTetリプレッサーは、野性型Tetリプレッサーの配列中のアミノ酸残基の置換によって作成される。例えば、米国特許第5,789,156号に記載のとおり、アミノ酸位置71、95、101および102にアミノ酸置換を有するTn10由来のTetリプレッサーは、所望の機能的特性を有し、従って、本発明の転写調節因子融合タンパク質における第一のポリペプチドとして用いられ得る。これらのアミノ酸位置4つの全てよりも少ない変異が、所望の機能的特性を有するTetリプレッサーを達成するのに十分であり得る。従って、この実施形態では、Tetリプレッサーは好ましくは、これらの位置のうち少なくとも1つで変異される。変異されたTetリプレッサーの所望の機能的特性を保持する、これらまたは他のアミノ酸位置での他のアミノ酸置換、欠失または付加は、本発明の方法の範囲内である。Hinrichs,W.ら、(1994)Science 264:418〜420に記載のようなTetリプレッサー−テトラサイクリン複合体の結晶構造が、変異されたTetリプレッサーの合理的設計について用いられ得る。この構造に基づけば、アミノ酸位置71は、テトラサイクリン結合ポケットの外側に位置し、このことは、この部位での変異が、本発明の変異されたTetリプレッサーの所望の機能的特性を達成するのに必要ではないかもしれないことを示唆している。対照的に、アミノ酸位置95、101および102は、保存されたテトラサイクリン結合ポケット内に位置する。従って、Tetリプレッサーのテトラサイクリン結合ポケットは、本発明の変異されたTetリプレッサーを作製するための変異の標的とされ得る。
本発明の方法の融合タンパク質への組み込みのためのさらなる変異されたTetリプレッサーは、本発明の教示に従って作成され得る。例えば、A、B、C、DおよびE(そのうちTn10コードリプレッサーは、クラスBのリプレッサーである)などの異なるクラスのTetリプレッサーが多数記載されている。種々のクラスのTetリプレッサーのアミノ酸配列は、上記の変異体を包含する領域を包含する、高い程度の相同性(すなわち、タンパク質の長さにわたり40〜60%)を共有している。米国特許第5,789,156(図4)において種々のクラスのTetリプレッサーのアミノ酸配列が示され、比較されており、そしてまたTovar,K.ら、(1988)Mol.Gen.Genet.215:76〜80に記載される。従って、Tn−10由来のTetリプレッサーについて上述した変異体に等価な変異体が、本発明の融合タンパク質に含まれるために他のクラスのTetリプレッサーにおいて作成されてもよい。例えば、5つ全てのリプレッサークラスにおいてアスパラギン酸であるアミノ酸位置95は、任意のクラスのリプレッサーでは、アスパラギンに変異されてもよい。同様に、5つのリプレッサークラスの全てでグリシンである、位置102は、任意のクラスのリプレッサーではアスパラギン酸に変異されてもよい。さらなる適切な等価な変異体は、当業者には明らかであって、本明細書に記載される手順によって作成され、機能について試験され得る。A,C、DおよびEクラスのTetリプレッサーのヌクレオチドおよびアミノ酸の配列は、それぞれ、Waters,S.H.ら、(1983)Nucl.Acids Res 11:6089〜6105,Unger,B.ら、(1984)Gene 3:103〜108,Unger,B.ら、(1984)Nucl Acids Res.12:7693〜7703およびTovar,K.ら、(1988)Mol.Gen.Genet.215:76〜80に開示される。これらの野性型配列は、本明細書に記載される誘導性の調節性システムにおける使用について、本発明の教示に従って変異されてもよい。
上記の変異体とは別に、さらなる適切な変異されたTetリプレッサー(例えば、上記の所望の機能的特性を有する)を、米国特許第5,789,156号(実施例1)に記載のように、野生型Tetリプレッサーの変異誘発および選択によって作成してもよい。野性型のクラスBのTetリプレッサーのヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、Hillen,W.およびSchollmeier,K.(1983)Nucl.Acids Res.11:525〜539、ならびにPostle,K.ら、(1984)Nucl.Acids Res.12:4849〜4863に開示される。野性型のクラスA、C、DおよびE型のリプレッサーのヌクレオチドおよびアミノ酸配列についての参考文献は上記に引用される。変異されたTetリプレッサーは、例えば、以下のように作成および選択され得る:野性型Tetリプレッサーをコードする核酸(例えば、DNA)を、ランダム変異導入法に供し、そしてその得られた変異された核酸を発現ベクターに組み込み、そしてスクリーニングのために宿主細胞に導入する。例えば置換されたテトラサイクリン化合物の存在下でのみTetオペレーター配列に結合するTetリプレッサーの選択を可能にするスクリーニングアッセイを用いてもよい。例えば、発現ベクター中の変異された核酸のライブラリーを、E.coli株であって、Tetオペレーター配列がLacリプレッサーをコードする遺伝子の発現を制御し、かつLacリプレッサーが選択可能なマーカー(例えば、薬物耐性)をコードする遺伝子の発現を制御するE.coli株中に導入してもよい。細菌中でのTetオペレーター配列に対するTetリプレッサーの結合は、Lacリプレッサーの発現を阻害し、それによって選択可能なマーカー遺伝子の発現を誘導する。マーカー遺伝子を発現する細胞は、選択可能な表現型(例えば、薬物耐性)に基づいて選択される。野性型Tetリプレッサーについては、選択可能なマーカー遺伝子の発現は、テトラサイクリンの非存在下で生じる。変異Tetリプレッサーをコードする核酸は、置換されたテトラサイクリン化合物の存在下でのみ細菌中で選択可能なマーカー遺伝子の発現を誘導するこの核酸の能力に基づいて、この系を用いて選択され得る。
クラスAのtetオペレーターに結合する変異されたTetリプレッサーを作成するための別のアプローチは、本明細書に記載される既に変異されたTn10由来Tetリプレッサー(クラスBのリプレッサー)をさらに変異させ、これがもはやクラスB型のオペレーターには効率的に結合しないが、代わりにクラスA型のオペレーターには効率的に結合するように変異させることである。クラスAまたはB型のオペレーターのヌクレオチド位置6は、その相補性リプレッサーによってオペレーターの認識について重要なヌクレオチドであることが見出されている(位置6は、クラスBのオペレーターではG/C対であり、そしてクラスAのオペレーターではA/T対である)(Wissmanら、(1988)J.Mol.Biol.202:397〜406を参照のこと)。クラスAまたはクラスBのTetリプレッサーのアミノ酸位置40は、オペレーターの6位置の認識のための重要なアミノ酸残基であることも見出されている(アミノ酸位置40は、クラスBのリプレッサーではトレオニンであるが、クラスAのリプレッサーではアラニンである)。AlaによるクラスBのリプレッサーのThr40の置換は、その結合特異性を変化させ、その結果このリプレッサーはいまや、クラスAのオペレーターに結合できる(同様に、ThrによるクラスAのリプレッサーのAla40の置換は、その結合特異性を変化させ、その結果このリプレッサーはいまや、クラスBのオペレーターに結合できる)ということがやはり見出されている(Altschmiedら、(1988)EMBO J.7:4011〜4017を参照のこと)。従って、当業者は、標準的な分子生物学の技術(例えば、部位特異的突然変異誘発)により、ThrからAlaにアミノ酸残基40をさらに変化させることによって、本明細書に開示される変異されたTn10由来Tetリプレッサーの結合特異性を変更し得る。
例えば、特異的な変異(例えば、上述のように、位置、71、95、101および/または102に)を有する、変異されたTetリプレッサーは、ヌクレオチド変異を組み込んでいるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、標準的な分子生物学技術、例えば、部位特異的突然変異誘発またはPCR媒介性突然変異誘発により、野性型リプレッサーをコードする核酸中にヌクレオチドの変化を導入することによって、作成され得る。あるいは、変異されたTetリプレッサーが、ライブラリーからの選択によって特定されるとき、この変異された核酸は、ライブラリーベクターから回収され得る。本発明の転写調節因子融合タンパク質を作成するために、次いで、変異されたTetリプレッサーをコードする核酸を、転写活性化ドメインをコードする別の核酸にインフレームで連結して、その融合構築物を、組み換え発現ベクター中に組み込む。この転写調節因子融合タンパク質は、宿主細胞または動物中に組み換え発現ベクターを導入することによって発現され得る。
(B.トランス活性化因子融合タンパク質の第二のポリペプチド)
トランス活性化融合タンパク質の第一のポリペプチドを、真核生物細胞において転写を直接または間接的に活性化する第二のポリペプチドに対して作動可能に連結する。この第一および第二のポリペプチドを作動可能に連結するために、代表的には、この第一および第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、お互いにインフレームで連結して、融合タンパク質をコードするキメラ遺伝子を作成する。しかし、この第一および第二のポリペプチドは、お互いのポリペプチドの機能を保存する他の方法で作動可能に連結されてもよい(例えば、化学的に架橋される)。このトランス活性化因子の第二のポリペプチドはそれ自体、転写活性化活性を保有し得る(すなわち、第二のポリペプチドが転写を直接活性化する)。この第二のポリペプチドはまた、融合タンパク質と相互作用する転写活性化タンパク質の補充を通して、間接的な機構によって転写を活性化し得る。
真核生物細胞において転写を活性化するように機能し得るポリペプチドは、当該分野で周知である。詳細には、多くのDNA結合タンパク質の転写活性化ドメインが記載されており、そしてこのドメインは異種タンパク質に移入されるとき、それらの活性化機能を保持することが示されている。本発明の方法の融合タンパク質における使用のための好ましいポリペプチドは、単純ヘルペスウイルスのビリオンタンパク質16である(本明細書においては、VP16と呼ばれ、そのアミノ酸配列は、Triezenberg,S.J.ら、(1988)Genes Dev.2:718〜729に開示される)。
真核生物細胞で転写活性化能力を有する他のポリペプチドは、本発明の方法の融合タンパク質で用いられ得る。種々のタンパク質内で見出される転写活性化ドメインは、類似した構造的特徴に基づいてカテゴリーに分類されている。転写活性化ドメインのタイプは、酸性の転写活性化ドメイン、プロリンリッチな転写活性化ドメイン、セリン/トレオニンリッチな転写活性化ドメインおよびグルタミンリッチな転写活性化ドメインを包含する。酸性の転写活性化ドメインの例としては、既に記載されたVP16領域およびGAL4のアミノ酸残基753〜881が挙げられる。プロリンリッチな活性化ドメインの例としては、CTF/NF1のアミノ酸残基399〜499、およびAP2のアミノ酸残基31〜76が挙げられる。セリン/トレオニンリッチな転写活性化ドメインの例としては、ITF1のアミノ酸残基1〜427、およびITF2のアミノ酸残基2〜451が挙げられる。グルタミンリッチな活性化ドメインの例としては、OctIのアミノ酸残基175〜269、およびSp1のアミノ酸残基132〜243が挙げられる。上記の領域の各々のアミノ酸配列および他の有用な転写活性化ドメインのアミノ酸配列は、Seipel,K.ら、(EMBO J.(1992)13:4961〜4968)に開示されている。
前に記載された転写活性化ドメインに加えて、標準的な技術で特定され得る新規な転写活性化ドメインが本発明の方法の範囲内である。ポリペプチドの転写活性化能力は、DNA結合活性を有する別のポリペプチドに対してポリペプチドを結合すること、およびこの融合タンパク質によって刺激される標的配列の転写の量を決定することによってアッセイされ得る。例えば、当該分野で用いられる標準的なアッセイは、推定の転写活性化ドメインおよびGAL4 DNA結合ドメイン(例えば、アミノ酸残基1〜93)の融合タンパク質を利用する。次いで、この融合タンパク質を用いて、GAL4結合部位に結合されたレポーター遺伝子の発現を刺激する(例えば、Seipel,K.ら、(1992)EMBO J.11:4961〜4968およびそこに引用された参考文献を参照のこと)。
融合タンパク質の第二のポリペプチドは、この融合タンパク質と相互作用する転写活性化因子を補充することによって間接的に転写を活性化し得る。例えば、本発明のTetRまたは変異TetRは、宿主細胞に存在する内因性の活性化因子のような、転写活性化タンパク質とのタンパク質間相互作用を媒介し得るポリペプチドドメイン(例えば、二量体化ドメイン)に対して融合され得る。DNA結合ドメインと、トランス活性化ドメインとの間の機能的な会合は、共有結合である必要はないことが実証されている(例えば、Fields and Song(1989)Nature 340:245〜247;Chienら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 31:9578〜9582;Gyurisら、(1993)Cell 75:791〜803;およびZervos,A.S.(1993)Cell 72:223〜232を参照のこと)。従って、この融合タンパク質の第二のポリペプチドは、転写を直接活性化しなくてもよく、むしろ、適合性のタンパク質間相互作用ドメインとトランス活性化ドメインとを保有する内因性のポリペプチドとの安定した相互作用を形成してもよい。適切な相互作用(または二量体化)ドメインの例としては、ロイシンジッパー(Landschulzら、(1989)Science 243:1681〜1688)、らせん−ループ−らせん(helix−loop−helix)ドメイン(Murre,C.ら、(1989)Cell 58:537〜544)および亜鉛フィンガードメイン(Frankel,A.D.ら、(1988)Science 24:70〜73)が挙げられる。融合タンパク質に存在する二量体化ドメインの、内因性の核因子との相互作用によって、この核因子のトランス活性化ドメインが融合タンパク質に対して補充され、そしてそれによって、融合タンパク質が結合されるtetオペレーター配列に対しても補充される。
(C.転写サイレンサー融合タンパク質の第二のポリペプチド)
一実施形態では、転写サイレンサー融合タンパク質の第一のポリペプチドを、真核生物細胞における転写を直接または間接的に阻害する第二のポリペプチドに対して作動可能に連結する。すなわち、本明細書に記載されるとおり、そして当該分野で公知のとおり、融合タンパク質の第一および第二のポリペプチドを作動可能に連結するためには、代表的には、第一および第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をお互いとインフレームで連結して、融合タンパク質をコードするキメラ遺伝子を作成する。しかし、この第一および第二のポリペプチドは、各々のポリペプチドの機能を保存する他の方法で作動可能に連結されてもよい(例えば、化学的に架橋される)。代表的には、融合タンパク質であって、その融合タンパク質のアミノ末端に第一のポリペプチドを、そしてその融合タンパク質のカルボキシ末端に第二のポリペプチドを有する融合タンパク質が本明細書で記載されるが、反対方向(すなわち、アミノ末端に第二のポリペプチド、およびカルボキシ末端に第一のポリペプチド)も本発明によって考慮されることが当業者には理解されるであろう。
真核生物細胞において転写を阻害するように機能し得るタンパク質およびタンパク質内のポリペプチドドメインは、当該分野で記載されている(概説については、例えば、Renkawitz,R.(1990)Trends in Genetics 6:192〜197;ならびにHerschbach,B.M.およびJohnson,A.D.(1993)Annu.Rev.Cell.Biol.9:479〜509を参照のこと)。このような転写サイレンサードメインは、当該分野では「サイレンシングドメイン(silencing domains)」または「リプレッサードメイン(repressor domains)」と呼ばれている。これらのポリペプチドドメインの多くが転写を阻害する正確な機構は未知である(そして本発明は、機構によって限定されることはないものとする)が、リプレッサードメインが転写を阻害し得るいくつかの可能性のある方法が存在し、これには以下が挙げられる。すなわち、1)いずれかの活性化因子タンパク質の結合または一般的転写機構の競合的阻害、2)DNAに結合した活性化因子の活性の防止、および3)一般的転写機構の機能的な前開始複合体のアセンブリとの負の干渉、である。従って、リプレッサードメインは、転写機構に対して直接の阻害効果を有してもよいし、または活性化因子タンパク質の活性を阻害することによって間接的に転写を阻害してもよい。従って、「真核生物細胞において転写を阻害するポリペプチド(a polypeptide that inhibits transcription in eukaryotic cells)」という用語は、本明細書において用いる場合、転写を直接または間接的に阻害するように作用するポリペプチドを包含するものとする。本明細書において用いる場合、転写の「阻害(inhibition)」とは、転写サイレンサータンパク質による調節の前の転写のレベルまたは量に比較した、標的核酸配列の転写のレベルまたは量における減少を意味するものとする。転写阻害は、部分的であっても完全であってもよい。「サイレンサー(silencer)」、「リプレッサー(repressor)」および「インヒビター(inhibitor)」という用語は、本明細書において交換可能に用いられ、転写を阻害し得る調節性タンパク質またはそのドメインについて述べている。
本明細書に記載されるような転写の「リプレッサー」または「サイレンサー」ドメインとは、そのドメインが異種タンパク質に移入される場合その転写リプレッサー機能を保持するポリペプチドドメインである。異種タンパク質に移入された場合機能し得るリプレッサードメインを有することが実証されているタンパク質としては、v−erbA癌遺伝子産物(Baniahmad,A.ら、(1992)EMBO J.11:1015〜1023)、甲状腺ホルモン受容体(Baniahmad、前出)、レチノイン酸受容体(Baniahmad,前出)、およびDrosophilaのKrueppel(Kr)タンパク質(Licht,J.D.ら、(1990)Nature 346:76〜79;Sauer,F.およびJackle,H.(1991)Nature 2:563〜566;Licht,J.D.ら、(1994)Mol.Cell.Biol.14:4057〜4066)が挙げられる。真核生物細胞において転写リプレッサー活性を有する他のタンパク質の非限定的な例としては、Drosophilaのホメオドメインタンパク質イーブン・スキップド(even−skipped)(eve)、S.cerevisiae Ssn6/Tup1タンパク質複合体(HerschbachおよびJohnson,前出を参照のこと)、酵母SIR1タンパク質(Chien,ら、(1993)Cell 75:531〜541を参照のこと)、NeP1(Kohne,ら、(1993)J.Mol.Biol.232:747〜755を参照のこと)、Drosophila dorsalのタンパク質(Kirov,ら、(1994)Mol.Cell.Biol.14:713〜722;Jiang,ら、(1993)EMBO J.12:3201〜3209を参照のこと)、TSF3(Chen,ら、(1993)Mol.Cell.Biol.13:831〜840を参照のこと)、SF1(Targa,ら、(1992)Biochem.Biophys.Res.Comm.188:416〜423を参照のこと)、Drosophila hunchbackのタンパク質(Zhang,ら、(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7511〜7515を参照のこと)、Drosophila knirpsのタンパク質(Gerwin,ら、(1994)Mol.Cell.Biol.14:7899〜7908を参照のこと)、WT1タンパク質(ウィルムス腫瘍遺伝子産物)(Anant,ら、(1994)Oncogene 9:3113〜3126;Maddenら、(1993)Oncogene 8:1713〜1720を参照のこと)、Oct−2.1(Lillycrop,ら、(1994)Mol.Cell.Biol.14:7633〜7642を参照のこと)、Drosophilaのエングレイルド(engrailed)タンパク質(Badiani,ら、(1994)Genes Dev.8:770〜782;HanおよびManley,(1993)EMBO J.12:2723〜2733を参照のこと)、E4BP4(CowellおよびHurst,(1994)Nucleic Acids Res.2:59〜65を参照のこと)およびZF5(Numoto,ら、(1993)Nucleic Acids Res.21:3767〜3775を参照のこと)が挙げられる。
本発明の方法の転写のサイレンサー融合タンパク質の第二のポリペプチドは、DrosophilaのKrueppelタンパク質の転写サイレンサードメインであってもよい。リプレッサー活性を有するC末端領域、例えば、天然タンパク質のアミノ酸403〜466が用いられ得る(Sauer,F.およびJackle,H.,前出を参照のこと)。この領域は、C64KRと呼ばれる。TetR−C64KR融合タンパク質をコードする発現ベクターの構築は、米国特許第5,789,156号に記載される。あるいは、やはりリプレッサー活性を有しているKrのアラニンリッチなアミノ末端領域も、融合タンパク質の第二のポリペプチドとして用いられ得る。例えば、Krのアミノ酸26〜110(Licht,J.D.ら、(1990)前出を参照のこと)を第二のポリペプチドとして用いてもよい。あるいは、完全なまたは部分的なインヒビター活性を依然として保持するいずれかのKrサイレンサードメインを包含する、より長いかまたはより短いポリペプチドフラグメントも考えられる(例えば、N末端サイレンサードメインのアミノ酸62〜92;Licht,ら、(1994)前出)。
本発明の方法の転写サイレンサー融合タンパク質の第二のポリペプチドは、v−erbA癌遺伝子産物の転写サイレンサードメインであってもよい。v−erbAのサイレンサードメインは、天然のv−erbA癌遺伝子産物のアミノ酸残基362〜632におおよそマップしている(Baniahmad,ら、前出を参照のこと)。従って、この領域を包含するフラグメントを、サイレンサードメインの第二のポリペプチドとして用いる。天然のv−erbAタンパク質のアミノ酸残基364〜635を用いてもよい。あるいは、完全または部分的なインヒビター活性を依然として保持するv−erbAサイレンサー領域を包含する、より短いまたはより長いポリペプチドフラグメントも考えられる。例えば、v−erbAのアミノ酸残基346〜639、362〜639、346〜632、346〜616および362〜616を用いてもよい。さらに、やはり依然として完全にまたは部分的にインヒビター活性を保持する、内部欠失を有するこれらの領域を包含するポリペプチドフラグメント、例えば、v−erbAのアミノ酸残基362〜468/508〜639が、本発明によって包含される。さらに、サイレンサードメインの2つ以上のコピー、例えば、v−erbAのアミノ酸残基362〜616の2つのコピーがこの融合タンパク質に含まれてもよい。v−erbAの適切なサイレンサーポリペプチドドメインは、さらに、Baniahmad,A.ら、(前出)に記載される。
他のサイレンサードメインも用いてもよい。用いられ得るポリペプチドドメインの非限定的な例としては、以下が挙げられる:甲状腺ホルモン受容体α(THRα)のアミノ酸残基120〜410、レチノイン酸受容体α(RARα)のアミノ酸残基143〜403、クニルプス(knirps)のアミノ酸残基186〜232、WT1のN末端領域(Anant,前出を参照のこと)、Oct−2.1のN末端領域(Lillycrop,前出を参照のこと)E4BP4の65アミノ酸ドメイン(CowellおよびHurst,前出を参照のこと)およびZF5のN末端ジンクフィンガードメイン(Numoto,前出を参照のこと)。さらに、完全または部分的なインヒビター活性を依然として保持するこれらの領域を包含する、より短いまたはより長いポリペプチドフラグメントも考慮される。
前に記載された転写サイレンサードメインに加えて、標準的な技術によって特定され得る、新規な転写サイレンサードメインも本発明の方法の範囲内である。ポリペプチドの転写サイレンサー能力は、以下によってアッセイされ得る。すなわち、1)DNA結合活性を有する別のポリペプチドに連結された試験サイレンサーポリペプチドをコードする発現ベクターを構築する工程(すなわち、DNA結合ドメイン−サイレンサードメイン融合タンパク質を構築する)、2)この発現ベクターを、宿主細胞で正常に構成的に発現され、かつまたDNA結合ドメインの結合部位を含むレポーター遺伝子構築物と一緒に宿主細胞中に同時トランスフェクトする工程、および3)宿主細胞におけるこの融合タンパク質の発現によって阻害されるレポーター遺伝子構築物の転写の量を決定する工程、である。例えば、当該分野で用いられる標準的なアッセイは、GAL4 DNA結合ドメイン(例えば、アミノ酸残基1〜147)および試験サイレンサードメインの融合タンパク質を利用する。次いで、この融合タンパク質を用いて、正の調節性配列(構成的な転写を正常に刺激する)、およびGAL4結合部位(例えば、Baniahmad,前出を参照のこと)を含む、レポーター遺伝子構築物の発現を阻害する。
(D.トランス活性化因子またはインヒビター融合タンパク質の任意の第三のポリペプチド)
TetRまたは変異されたTetRおよび転写活性化またはインヒビタードメインに加えて、本発明の方法の融合タンパク質は、細胞の核に対する融合タンパク質の輸送を促進する作動可能に連結された第三のポリペプチドを含み得る。タンパク質に含まれる場合、核に対するこのタンパク質の輸送を促進するように機能するアミノ酸配列は、当該分野で公知であり、そして核局在化シグナル(nuclear localization signals)(NLS)と呼ばれる。核局在化シグナルは代表的には、塩基性アミノ酸のストレッチから構成される。異種タンパク質(例えば、本発明の融合タンパク質)に結合される場合、この核局在化シグナルは、細胞核に対するタンパク質の輸送を促進する。この核局在化シグナルは、異種タンパク質の表面上に曝されてそのタンパク質の機能を妨害しないように、その異種タンパク質に結合される。好ましくは、NLSは、そのタンパク質の一端、例えば、N末端に結合される。本発明の方法の融合タンパク質に含まれ得るNLSの非限定的な例のアミノ酸配列は、米国特許第5,789,156号に見出され得る。好ましくは、核局在化シグナルをコードする核酸は、融合タンパク質をコードする核酸に対してインフレームで標準的な組換えDNA技術によってスプライシングされる(例えば、5’末端で)。
(III.トランスサイクリン調節可能系によって制御される標的転写単位)
一実施形態では、本発明の方法は、標的ヌクレオチド配列の転写を調節するための融合タンパク質の調節を特徴づける。この標的ヌクレオチド配列は、TREに作動可能に連結され得る。従って、本発明の別の態様は、TREに作動可能に連結された転写されるべきヌクレオチド配列を含む標的核酸(例えば、DNA分子)に関する。このような核酸分子はまた、本明細書においてtet調節された転写単位(または単に転写単位)と呼ばれる。
転写単位内では、「転写されるべきヌクレオチド配列(nucleotide sequence to be transcribed)」とは代表的に、それ自体転写されないが、転写のための転写機構を位置付けるように(少なくとも一部において)機能する最少プロモーター配列を包含する。この最少プロモーター配列は、ホスホジエステル結合によって5’〜3’方向で転写配列に連結され(すなわち、プロモーターは、転写された配列の上流に位置する)、連続したヌクレオチド配列を形成する。従って、「転写されるべきヌクレオチド配列」または「標的ヌクレオチド配列」という用語は、mRNAに転写されるヌクレオチド配列、および作動可能に連結された上流の最少プロモーター配列の両方を含む。「最少プロモーター」という用語は、転写されるべき連結された配列の転写の開始部位を規定するが、それ自体は、仮にあったとしても、転写を効率的に開始できない部分的プロモーター配列を包含する。従って、このような最少プロモーターの活性は、作動可能に連結された調節性配列(例えば、1つ以上のtetオペレーター配列)に対する転写活性化因子(例えば、本発明のテトラサイクリン誘導性融合タンパク質)の結合に依存する。一実施形態では、この最少プロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス由来である(Boshartら、(1985)Cell 41:521〜530に記載されるとおり)。好ましくは、ほぼ+75〜−53と+75〜−31との間のヌクレオチド位置を用いる。他の適切な最少プロモーターは、当該分野で公知であるか、または標準的な技術によって特定され得る。例えば、連続的に連結されたレポーター遺伝子(例えば、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼまたはルシフェラーゼ)の転写を活性化する機能的プロモーターは、レポーター遺伝子単独の発現をもはや活性化しなくなるまで徐々に欠失されてもよいが、さらなる調節性配列の存在はむしろ必要とする。
転写単位内では、標的ヌクレオチド配列(転写されたヌクレオチド配列およびその上流の最少プロモーター配列を含む)が、少なくとも1つのTRE、例えば、少なくとも1つのtetオペレーター配列に作動可能に連結される。一実施形態では、TREは、1つ以上のtetオペレーター配列の複数のコピー(例えば、多量体化またはコンカテマー化されたコピー)を含んでもよい。代表的な立体配置では、tetオペレーター配列は、適切な距離のホスホジエステル結合を通じて最少プロモーター配列の上流(すなわち、5’側)に作動可能に連結されて、tetオペレーター配列に対する調節性タンパク質(例えば、転写調節性融合タンパク質)の結合の際の標的ヌクレオチド配列の転写が可能になる。すなわち、この転写単位は、5’から3’方向で以下から構成される。すなわち、tetオペレーター配列−最少プロモーター−転写されたヌクレオチド配列である。tetオペレーター配列とこの最少プロモーターとの間の許容できる距離に、ある程度の可塑性が存在することが当業者には理解されるが、代表的には、このtetオペレーター配列は、最少プロモーターの約200〜400塩基対上流内に位置する。
本発明で用いられ得る、最少プロモーターに連結されたtetオペレーター配列を含むtet−調節性プロモーターの例示的なヌクレオチド配列の例は、当該分野で公知である。例えば、10個のtetオペレーター配列に連結されたサイトメガロウイルス最少プロモーターが用いられ得る。あるいは、10個のtetオペレーター配列に連結された単純ヘルペスウイルス最少tkプロモーターが用いられ得る。例示的なプロモーターは、例えば、Gossen,M.およびBujard,H.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547〜5551に記載される。
あるいは、調節性エレメントは、転写されるべき配列の下流で機能することが当該分野で観察されているので、tetオペレーター配列は、転写されたヌクレオチド配列の下流(すなわち、3’)側に作動可能に連結されてもよいと思われる。従って、この構造では、転写単位は、5’〜3’方向に、以下から構成される。すなわち、最少プロモーター−転写されたヌクレオチド配列−tetオペレーター配列である。ここでも、tetオペレーター配列が連結され得る下流の許容できる距離ではある程度の可塑性が存在する可能性が高いということが理解される。
tet−調節性転写単位はさらに、標準的な組換えDNA技術によって組み換えベクター(例えば、プラスミドまたはウイルスベクター)に組み込まれ得る。この転写単位、またはそれが含まれる組み換えベクターは、上述した技術などの標準的なトランスフェクション技術によって宿主細胞に導入され得る。宿主細胞の集団への転写単位の導入後、tetオペレーター連結ヌクレオチド配列の低い基礎発現を示す宿主細胞クローンを選択(すなわち、tetオペレーター連結ヌクレオチド配列の低い基礎的発現を生じる部位に転写単位を組み込んでいる宿主細胞についての選択)する必要があるかもしれないことが理解されるべきである。さらに、tet調節性転写単位を、本明細書に記載される手順によって、胚形成期に非ヒト動物のゲノムに、または植物細胞に導入して、その細胞のいくつかまたは全てにおいて転写単位を担持するトランスジェニックまたは相同組み換えの生物体を作成してもよい。ここでも、目的の細胞においてtetオペレーター連結ヌクレオチド配列の低い基礎的発現が存在する、トランスジェニックまたは相同な生物を選択する必要性があり得ることが理解されるべきである。
tet−調節性転写単位の標的ヌクレオチド配列は、目的のタンパク質をコードし得る。従って、本発明のトランス活性化因子によるヌクレオチド配列の転写の誘導、および得られたmRNAの翻訳の際、目的のタンパク質を、宿主細胞または動物中で生成する。あるいは、転写されるべきヌクレオチド配列は、活性なRNA分子、例えば、アンチセンスRNA分子またはリボザイムをコードし得る。宿主細胞および動物における活性なRNA分子の発現を用いて、宿主内の機能を調節し(例えば、タンパク質をコードするmRNAの翻訳を阻害することにより目的のタンパク質の産生を妨げ)てもよい。
本発明の方法の転写調節因子は、宿主細胞または動物中に導入された外因性ヌクレオチド配列の転写を調節するために用いられ得る。「外因性(exogenous)」ヌクレオチド配列とは、宿主細胞に導入されかつ代表的には、宿主のゲノム中に挿入されるヌクレオチド配列である。この外因性のヌクレオチド配列とは、宿主のゲノムのほかの場所に存在しなくてもよい(例えば、外来のヌクレオチド配列)し、または宿主のゲノム内に存在するが、そのゲノムの異なる部位に組み込まれている配列のさらなるコピーであってもよい。転写されるべき外因性のヌクレオチド配列および作動可能に連結されたtetオペレーター配列は、宿主細胞または動物中に導入される単一の核酸分子内に含まれてもよい。
あるいは、本発明の方法の転写調節性因子は、tetオペレーター配列が連結されている内因性のヌクレオチド配列の転写を調節するために用いられ得る。「内因性(endogenous)」ヌクレオチド配列とは、宿主のゲノム内に存在するヌクレオチド配列である。内因性遺伝子は、tetO含有組み換えベクターと内因性の遺伝子の配列との間の相同組み換えによってtetオペレーター配列に作動可能に連結され得る。例えば、内因性遺伝子の実際のプロモーター領域を排除することによって、少なくとも1つのtetオペレーター配列、および内因性遺伝子のコード領域に相当する配列によってその3’末端で隣接されかつ内因性遺伝子の上流領域由来の配列によって5’末端で隣接される最少プロモーター配列を含む、相同組み換えベクターが調製され得る。この隣接する配列は、内因性遺伝子を有するベクターDNAの首尾よい相同組み換えのために十分な長さの配列である。好ましくは、数キロベースの隣接DNAが、相同組み換えベクターに含まれる。宿主細胞におけるベクターDNAと内因性遺伝子との間の相同組み換えの際、内因性プロモーターの領域は、最少プロモーターに作動可能に連結された1つ以上のtetオペレーター配列を含むベクターDNAによって置換される。従って、内因性遺伝子の発現は、もはやその内因性プロモーターの制御下ではなく、むしろtetオペレーター配列および最少プロモーターの制御下に置かれる。
別の実施形態では、tetオペレーター配列は、内因性遺伝子内のいずれかに、好ましくは、5’または3’の調節性領域内に、相同組み換えを介して挿入されて、内因性遺伝子であってその発現が本明細書に記載されるような置換されたテトラサイクリン化合物調節性融合タンパク質によって調節され得る内因性遺伝子が作成され得る。例えば、プロモーターまたはエンハンサーの機能が維持されるように、1つ以上のtetO配列を内因性遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー領域内に挿入してもよい(すなわち、tetO配列が、プロモーター/エンハンサー機能に重要ではないプロモーター/エンハンサー領域の部位に導入される)。プロモーター/エンハンサー機能の欠失なしで変更され得るプロモーターまたはエンハンサー内の領域は、多くの遺伝子について当該分野で公知であるか、または重要な調節性領域を分析するための標準的な技術によって決定され得る。重要でない調節性領域中に挿入されるtetO配列を有する内因性遺伝子は、その正常な構成的および/または組織特異的方式で発現される能力を保持するが、さらに、制御された方式で置換されたテトラサイクリン化合物制御の転写サイレンサータンパク質によって下方制御され得る。例えば、このような改変された内因性遺伝子の構成的発現は、置換されたテトラサイクリン化合物の存在下でtetO配列に結合するインヒビター融合タンパク質を用いて、置換されたテトラサイクリン化合物の存在下において阻害され得る。
(IV.転写調節性分子の感度の変更)
一実施形態では、本発明の転写調節性因子は、テトラサイクリンの非存在下における基礎的転写活性の減少、テトラサイクリンの存在下での誘導された転写活性の増大、またはテトラサイクリンおよびテトラサイクリンのアナログによる種々の誘導のような、新規な表現型を有する。
本発明の一態様では、特定の変異または変更が、転写調節性タンパク質に導入される。別の態様では、選択またはスクリーニングの系とカップリングしたランダム突然変異誘発技術を用いて、多数の変異を転写調節性タンパク質に導入する。次いで、無作為に変異されたタンパク質の得られたコレクションを、所望の表現型の選択またはスクリーニングに供するが、ここでは所望の表現型が、所望されない表現型のバックグラウンドに対して観察され得る。
ランダム突然変異誘発法によれば、本発明の一態様では当業者は、分子全体を変異誘発させてもよいし、または、カセット突然変異誘発によって処理してもよい。前者の場合、分子の全コード領域は、いくつかの方法(化学的、PCR、ドープオリゴヌクレオチド合成)のうちの1つによって突然変異誘発し、そしてランダムに変異された分子の得られたコレクションを選択またはスクリーニング手順に供する。ランダム突然変異は、この方式で適用され得、この場合研究される分子は比較的小さく、そして、必然的に生じる変異体表現型の種々のクラスを識別するのに利用可能な強力でありかつストリンジェントな選択またはスクリーニングが存在する。
ランダム突然変異誘発は、以下を含む多くの方法によって達成され得る。
1.PCR突然変異誘発。ここでは、カップリングする能力について酵母中で直接アッセイされる、転写調節タンパク質の変異体対立遺伝子を生成するために誤りがちな(error prone)Taqポリメラーゼが開発されている。
2.化学的突然変異誘発。ここでは、転写調節性タンパク質をコードする発現カセットが、変異誘発物質に曝されて、変異体配列のタンパク質産物が、カップリングする能力について酵母中で直接アッセイされる。
3.転写調節性タンパク質遺伝子のオリゴヌクレオチドコード部分のドープ合成。
4.インビボの突然変異誘発。ここでは、ランダム突然変異を、E.coliの突然変異誘発株XL1−Red(mutD5 mutS mutT)(Stratagene,Menasa,Wis.)を通じた継代によって転写調節性タンパク質のコード領域中に導入する。転写調節性タンパク質中の機能的ドメインの変異体ペプチド配列の置換によって、機能の達成のための特定の配列要件の決定が可能になる。
本発明の特定の突然変異誘発態様によれば、既定の構造的な決定因子(すなわち、α−らせん、β−シート、ターン、表面ループ)または機能的な決定因子(例えば、DNA結合決定因子、転写調節性ドメイン)のいずれかに対応する、タンパク質の別個の領域を飽和またはセミランダム突然変異誘発に供する。得られた突然変異誘発されたカセットを、他の野生型対立遺伝子の環境に再導入する。カセット突然変異誘発は、分子のある領域について特定の機能を示唆するために利用可能な実験的証拠が存在し、かつ目的の変異体と目的でない変異体とを識別するために利用可能な選択および/またはスクリーニングのアプローチが存在する場合有用である。カセット突然変異誘発はまた、親分子が比較的大きく、かつ、段階的方式で分子を突然変異誘発すること、すなわち、ある時点で残基の1つの直線的カセットを変異させ、次いで機能についてアッセイすることによって分子の機能的ドメインをマッピングすることが所望される場合にも有用である。
rTAまたはrtTAコード配列の突然変異誘発によって、種々のエフェクター分子と示差的に相互作用する転写調節因子の特定が容易になる。例えば、突然変異誘発は、エフェクター結合ポケットを形成することを担う配列の一部に制限され得る。このような特性は、転写調節因子およびエフェクターの特定のセットを介して異なる遺伝子を制御するために開発され得る(Baronら、1999を参照のこと)。エフェクター結合ポケットの改変は骨組織に沈着されないテトラサイクリンの検出のための必要条件である可能性が最も高い。遺伝子治療に関しては、ヒトの医薬で用いられるテトラサイクリンに感受性のない転写調節因子を用いることが有利である。
一実施形態では、変異されたrtTAタンパク質は、テトラサイクリンまたはそのアナログの非存在下で変更された基礎的転写活性を有する。好ましい実施形態では、rtTAタンパク質は、DNA結合ドメイン内に少なくとも1つの変化されたアミノ酸を有する。好ましい実施形態では、この変異は、以下からなる群より選択される。すなわち、S12G、E19G、およびT26Aである。別の実施形態では、DNA結合ドメイン内の変異によって、テトラサイクリンまたはそのアナログの非存在下でtetオペレーターについて増大または減少された基礎的親和性が付与される。
別の実施形態では、変異されたrtTAタンパク質は、テトラサイクリンまたはそのアナログの存在下で増大または減少された誘導された転写活性を有する。好ましい実施形態では、本発明のrtTAタンパク質は、テトラサイクリン結合ドメイン内に少なくとも1つのアミノ酸変異を有する。好ましい実施形態では、この変異は、以下からなる群より選択される。すなわち、A56P、R87S、欠失C88、D95G、G96R、V99E、D148E、H179R、およびE204Kである。別の実施形態では、テトラサイクリン結合ドメイン内の変異によって、ドキシサイクリンまたはそのアナログに対する増大または減少された感度が付与される。
本発明の別の局面では、本発明のトランス活性化因子融合タンパク質は、TAタンパク質の配列改変体である。tTAタンパク質の配列改変体は、タンパク質に対して新規な表現型を付与する少なくとも1つの変異を含む。
一実施形態では、この変異されたtTAタンパク質は、テトラサイクリンまたはそのアナログによる示差的誘導を示す。好ましい実施形態では、本発明のTAタンパク質は、テトラサイクリン結合ドメイン内に少なくとも1つのアミノ酸変異を有する。好ましい実施形態では、この変異は、以下からなる群より選択される。すなわち、A56V、F78S、S85G、S85R、Y110C、L113H、Y132C、I164L、P167S、L170V、I174V、I174T、またはE183Kである。別の実施形態では、テトラサイクリン結合ドメイン内の変異によって、テトラサイクリンまたはそのアナログに対する増大または減少された感度が付与される。
例示的な変異は、例えば、米国特許出願公開第20030208783号のような公開特許出願において教示される。変異されたtTAまたはrtTAタンパク質の所望の機能的特性を保持する、これらまたは他のアミノ酸位置での他のアミノ酸の置換、欠失または付加は本発明の範囲内である。
(V.核酸分子の発現)
A.発現ベクター
本発明の核酸分子は、上述のように、転写調節因子融合タンパク質および/またはTREに作動可能に連結された標的核酸配列をコードしてもよく、そして当該分野で公知の方法を用いて宿主細胞における融合タンパク質の発現のために適切な形態で1つ以上の組み換え発現ベクター中に組み込まれてもよい。
哺乳動物細胞で用いられる場合、組み換え発現ベクターの制御機能はしばしば、ウイルスの遺伝物質によって提供される。例えば、通常用いられるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびSimian Vius40由来である。融合タンパク質の発現を指向するウイルスの調節性エレメントの使用によって、種々の宿主細胞における融合タンパク質の高レベルの構成的な発現が可能になり得る。好ましい組み換え発現ベクターでは、融合タンパク質をコードする配列には、上流(すなわち5’)ではヒトサイトメガロウイルスIEプロモーターが、そして下流(すなわち3’)ではSV40ポリ(A)シグナルが隣接する。ヒトサイトメガロウイルスIEプロモーターは、Boshartら、(1985)Cell 41:521〜530に記載される。用いられ得る他の偏在性発現プロモーターとしては、HSV−Tkプロモーター(McKnightら、(1984)Cell 37:253〜262に開示される)およびβ−アクチンプロモーター(例えば、Ngら、(1985)Mol.Cell.Biol.5:2720〜2732に記載されるようなヒトβ−アクチンプロモーター)が挙げられる。
あるいは、組み換え発現ベクターの調節性配列は、特定の細胞タイプにおいて優先的に融合タンパク質の発現を指向し得、すなわち、組織特異的な調節性エレメントが用いられ得る。用いられ得る組織特異的なプロモーターの非限定的な例としては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkertら、(1987)Genes Dev.1:268〜277)、リンパ球特異的プロモーター(Calame and Eaton(1988)Adv.Immunol.43:235〜275)、詳細には、T細胞レセプターのプロモーター(WinotoおよびBaltimore(1989)EMBO J.8:729〜733)および免疫グロブリン(Baneijiら、(1983)Cell 33:729〜740;QueenおよびBaltimore(1983)Cell 33:741〜748)、ニューロン特異的プロモーター(例えば、神経フィラメントプロモーター;ByrneおよびRuddle(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8:5473〜5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlundら、(1985)Science 230:912〜916)、および乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター;米国特許第4,873,316号および欧州特許出願公開第264,166号)が挙げられる。発生上調節されるプロモーター、例えば、マウスのホックス(hox)プロモーター(KesselおよびGruss(1990)Science 249:374〜379)およびα−フェトプロテインプロモーター(CampesおよびTilghman(1989)Genes Dev.3:537〜546)も包含される。
あるいは、転写調節因子融合タンパク質をコードする自己調節性構築物が作成され得る。これを達成するために、この融合タンパク質をコードする核酸を、最少プロモーター配列および少なくとも1つのtetオペレーター配列に対して作動可能に連結する。このような核酸を細胞中に導入するとき(例えば、組み換え発現ベクターにおいて)、転写調節因子遺伝子の少量の基礎的な転写が、「漏出(leakiness)」に起因して生じる可能性が高い。置換されたテトラサイクリン化合物の存在下では、この少量の転写調節因子融合タンパク質は、この転写調節因子をコードするヌクレオチド配列の上流のtetオペレーター配列に結合して、転写調節因子をコードするヌクレオチド配列のさらなる転写を刺激し、それによって、細胞中でこの転写調節因子融合タンパク質のさらなる産生をもたらす。このような自己調節性のプロモーターはまた、他のテトラサイクリン調節性転写調節因子、例えば、テトラサイクリンの非存在下でtetオペレーターに結合する、Gossen,M.およびBujard,H.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547〜5551に記載の野生型Tetリプレッサー融合タンパク質(tTA)と組み合わせて用いられ得るということが当業者に理解されるであろう。このトランス活性化因子と組み合わせて用いる場合、このトランス活性化因子をコードするヌクレオチド配列の自己調節性の転写は、本発明の置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下で刺激される。
本発明の組み換え発現ベクターは、米国特許第5,789,156号に記載されるようなプラスミドであってもよい。あるいは、本発明の組み換え発現ベクターは、ウイルスまたはその一部であって、そのウイルス核酸に導入された核酸の発現を可能にするものであってもよい。例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスが用いられてもよい。組み換えレトロウイルスを生成するため、およびこのようなウイルスを用いてインビトロまたはインビボで細胞を感染させるためのプロトコールは、Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel,F.M.ら、(編)Greene Publishing Associates,(1989),Sections 9.10−9.14および他の標準的な実験マニュアルに見出され得る。適切なレトロウイルスの例としては、当業者に周知である、pLJ、pZIP、pWEおよびpEMが挙げられる。適切なパッケージングウイルス株の例としては、ΨCrip、ΨCre、Ψ2およびΨAmが挙げられる。アデノウイルスのゲノムは、転写調節因子融合タンパク質をコードし、かつ発現するが、正常な溶解性のウイルスのライフサイクルで複製する能力に関しては不活性であるように操作されてもよい。例えば、Berknerら、(1988)BioTechniques 6:616;Rosenfeldら、(1991)Science 252:431〜434;およびRosenfeldら、(1992)Cell 68:143〜155を参照のこと。アデノウイルスの株Adの5型dl324または他の株のアデノウイルス(例えば、Ad2、Ad3、Ad7など)由来の適切なアデノウイルスベクターは、当業者に周知である。あるいは、Tratschinら、(1985)Mol.Cell.Biol.5:3251〜3260に記載されるベクターのようなアデノ随伴ウイルスベクターを用いて、転写調節因子融合タンパク質を発現してもよい。
B.宿主細胞
テトラサイクリン化合物を用いて、細胞または生物体中で転写を調節してもよい。一実施形態では、細胞は真核生物細胞である。別の実施形態では、細胞は哺乳動物細胞である。本発明の方法は広範に適用可能であり、そして非哺乳動物真核生物細胞および非真核生物細胞を同様に包含する。いくつかの例としては、以下が挙げられる。すなわち、細菌、昆虫(例えば、Sp.frugiperda)、酵母(例えば、S.cerevisiae、S.pombe、P.pastoris、K.lactis、H.polymorpha;Fleer,R.(1992)Current Opinion in Biotechnology 3(5):486〜496)に一般的に概説されるとおり)、真菌および植物細胞、である。酵母のS.cerivisaeでの発現のためのベクターの例としては、pYepSec1(Baldari.ら,(1987)Embo J.6:229−234)、pMFa(KujanおよびHerskowitz,(1982)Cell 30:933〜943)、pJRY88(Schultzら、(1987)Gene 54:113〜123)、およびpYES2(Invitrogen Corporation,San Diego,Calif.)が挙げられる。この融合タンパク質は、バキュロウイルス発現ベクターを用いて昆虫細胞で発現されてもよい(例えば、O’Reillyら、(1992)Baculovirus Expression Vectors:A Laboratory Manual,Stockton Pressに記載されるとおり)。培養された昆虫細胞(例えば、SF9細胞)におけるタンパク質の発現に利用可能なバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smithら、(1983)Mol.Cell.Biol.3:2156〜2165)およびpVLシリーズ(Lucklow,V.A.,およびSummers,M.D.,(1989)Virology 170:31〜39)が挙げられる。
一実施形態では、本発明の方法の融合タンパク質は、融合タンパク質をコードする核酸を宿主細胞に導入することによって細胞中で発現され、ここでこの核酸は、宿主細胞における融合タンパク質の発現に適切な形態である。例えば、融合タンパク質をコードする本発明の方法の組み換え発現ベクターを、宿主細胞に導入する。あるいは、調節性配列(例えば、プロモーター配列)に作動可能に連結されているがさらなるベクター配列のない融合タンパク質をコードする核酸を宿主細胞に導入してもよい。
細胞株に加えて、本発明の方法は、正常な細胞、例えば、遺伝子治療目的で改変されるべき細胞、またはトランスジェニックもしくは相同組み換え動物を作成するように改変された真核生物細胞に適用可能である。遺伝子治療目的のための特定の目的の細胞タイプの例としては、造血幹細胞、筋芽細胞、肝細胞、リンパ球、神経細胞および皮膚上皮および気道上皮が挙げられる。さらに、トランスジェニック動物または相同組み換え動物については、胚性幹細胞および受精卵母細胞が、転写調節因子融合タンパク質をコードする核酸を含むように改変されてもよい。さらに、トランスジェニック植物を作成するように植物細胞を改変してもよい。
(C.宿主細胞への核酸分子の導入)
融合タンパク質をコードする核酸分子は、従来の形質転換またはトランスフェクションの技術を介して細胞または真核生物細胞中に導入してもよい。「形質転換(transformation)」および「トランスフェクション(transfection)という用語は、宿主細胞中に外来の核酸(例えば、DNA)を導入するための当該分野で認識される種々の技術を包含し、これには、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、リポフェクションまたはエレクトロポレーションが挙げられる。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクションするための適切な方法は、Sambrook,ら、(Molecular Cloning:A Laboratory Manual.第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)、および他の実験マニュアルに見出され得る。
本発明の方法の核酸で形質転換された宿主細胞の数は、少なくとも一部は、用いられる組み換え発現ベクターのタイプ、および用いられるトランスフェクション技術のタイプに依存する。核酸分子は、一時的に宿主細胞に導入されてもよく、またはさらに代表的には、遺伝子発現の長期調節にわたって、核酸は、宿主細胞のゲノムに安定に組み込まれるか、または宿主細胞中の安定なエピソームとして残る。哺乳動物細胞に導入されたプラスミドベクターは代表的には、低頻度でのみ宿主細胞DNAに組み込まれる。これらの組み込み体を特定するために、選択可能なマーカー(例えば、薬物耐性)を含む遺伝子を、一般には目的の核酸とともに宿主細胞に導入する。好ましい選択可能マーカーとしては、G418およびハイグロマイシンのような特定の薬物に対する耐性を付与するマーカーが挙げられる。選択可能マーカーは、目的の核酸から別のプラスミドに導入するか、または同じプラスミドに導入する。本発明の核酸(例えば、組み換え発現ベクター)および選択可能マーカーのための遺伝子でトランスフェクトされた宿主細胞を、選択可能マーカーを用いて細胞について選択することによって特定してもよい。例えば、選択可能マーカーが、ネオマイシン耐性を付与する遺伝子をコードする場合、核酸を取り込んでいる宿主細胞は、G418で選択され得る。選択マーカー遺伝子を組み込んでいる細胞は生存するが、他の細胞は死滅する。
本発明の融合タンパク質をコードする核酸でトランスフェクトされた宿主細胞は、融合タンパク質の標的として機能する1つ以上の核酸でさらにトランスフェクトされてもよい。この標的核酸は、少なくとも1つのtetオペレーター配列に作動可能に連結される転写されるべきヌクレオチド配列を含む。
核酸分子は、従来のトランスフェクション技術(例えば、リン酸カルシウム沈殿、DEAEデキストラントランスフェクション、エレクトロポレーションなど)によって、インビトロにおいて培養中で増殖している真核生物細胞に導入されてもよい。核酸分子はまた、例えば、レトロウイルスベクター(例えば、Ferry,Nら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8377〜8381;およびKay,M.A.ら、(1992)Human Gene Therapy 3:641〜647を参照のこと)、アデノウイルスベクター(例えば、Rosenfeld,M.A.(1992)Cell 68:143〜155;ならびにHerz,J.およびGerard,R.D.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2812〜2816)、レセプター媒介性DNA取り込み(例えば、Wu,G.およびWu,C.H.(1988)J.Biol.Chem.263:14621;Wilsonら、(1992)J.Biol.Chem.26.963〜967;および米国特許第5,166,320号を参照のこと)、DNAの直接注入(例えば、Acsadiら、(1991)Nature 332:815〜818;およびWolffら、(1990)Science 247:1465〜1468を参照のこと)、または微粒子銃(particle
bombardment)(例えば、Cheng,L.ら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:4455〜4459;およびZelenin,A.V.ら、(1993)FEBS Letters 315:29〜32を参照のこと)などのインビボにおける細胞への核酸の導入に適切な送達機構の適用によって、インビボで細胞に移されてもよい。従って、遺伝子治療目的のためには、細胞をインビトロで改変して被験体に投与してもよく、あるいは細胞をインビボで直接改変してもよい。
(D.トランスジェニック生物体)
本発明の1つ以上の融合タンパク質をコードする核酸分子を、非ヒト動物の受精卵母細胞に移して、1つ以上の細胞タイプにおいて本発明の融合タンパク質を発現するトランスジェニック動物を作成してもよい。トランスジェニック動物とは、導入遺伝子を含む細胞を有する動物であり、この導入遺伝子は、出生前、例えば胚形成期に動物または動物の祖先に導入されたものである。導入遺伝子とは、トランスジェニック動物が発達する細胞のゲノムに組み込まれており、成熟動物のゲノムに残っており、それによってこのトランスジェニック動物の1つ以上の細胞タイプまたは組織においてコードされた遺伝子産物の発現を指向するDNAである。一実施形態では、この非ヒト動物はマウスであるが、本発明はそれに限定されない。他の実施形態では、トランスジェニック動物はヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシまたは他の家畜である。このようなトランスジェニック動物はタンパク質の大規模な生成に有用である(いわゆる、「ジーン・ファーミング(gene pharming)」。
トランスジェニック動物は、例えば、受精した卵母細胞の雄性前核中に融合タンパク質をコードする核酸(代表的には、構成的エンハンサーまたは組織特異的エンハンサーのような、適切な調節性エレメントに連結された)を、例えば、マイクロインジェクションによって導入すること、およびこの卵母細胞を偽妊娠の雌性の仮親動物で発育させることによって、作成され得る。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルも、導入遺伝子に含ませて、その導入遺伝子の発現の効率を増大してもよい。トランスジェニック動物、特にマウスなどの動物を生成するための方法は、当該分野では慣例になってきており、そして例えば、米国特許第4,736,866号および同第4,870,009号、ならびにHogan,B.ら、(1986)A Laboratory Manual,Cold
Spring Harbor,N.Y.,Cold Spring Harbor Laboratoryに記載されている。トランスジェニックの創始動物を用いて、導入遺伝子を担持するさらなる動物を育種してもよい。本発明の融合タンパク質をコードする導入遺伝子を担持するトランスジェニック動物を、他の導入遺伝子を担持する他のトランスジェニック動物に対して、例えば、tetオペレーター配列に作動可能に連結された遺伝子を含むトランスジェニック動物に対してさらに交配してもよい。
トランスジェニック動物に加えて、本明細書に記載される調節性の系は、他のトランスジェニック生物体、例えば、トランスジェニック植物に適用可能であることが理解される。トランスジェニック植物は、当該分野で公知の従来の技術によって作成され得る。従って、本発明は、非ヒトトランスジェニック生物体を包含し、この生物体としては、本発明の転写調節性融合タンパク質を発現する細胞を含む(すなわち、転写調節因子をコードする核酸を、トランスジェニック生物体の細胞において1つ以上の染色体に組み込む)、動物および植物が挙げられる。
(E.相同組み換え生物体)
本発明の方法はまた、本発明の融合タンパク質を発現する相同組み換え非ヒト生物体であって、これに対して置換されたテトラサイクリン化合物が投与され得る相同組み換え生物体を特徴とする。「相同組み換え生物体(homologous recombinant organism)」という用語には、遺伝子と動物の細胞、例えば、動物の胚細胞に導入されたDNA分子との間の相同組み換えによって改変されている遺伝子を含む生物体、例えば、動物または植物が包含される。一実施形態では、この非ヒト動物はマウスであるが、本発明はそれに限定されない。融合タンパク質をコードする核酸がゲノムの特定の部位に導入されている、すなわち、核酸が内因性遺伝子と相同的に組み換えられている動物が作成されてもよい。
このような相同組み換え動物を作成するには、相同組み換えが生じる真核生物遺伝子のさらなる核酸によってその5’および3’末端隣接される融合タンパク質をコードするDNAを含むベクターが調製される。その融合タンパク質をコードするさらなる核酸隣接物は、真核生物遺伝子との首尾よい相同組み換えに十分な長さの核酸である。代表的には、数キロベースの隣接するDNA(5’端および3’の両方)が、ベクターに含まれる(例えば、相同組み換えベクターの説明については、Thomas,K.R.およびCapecchi,M.R.(1987)Cell 51:503を参照のこと)。このベクターを、胚性幹細胞株に(例えば、エレクトロポレーションによって)導入して、この導入されたDNAが内因性DNAと相同組み換えされている細胞を選択する(例えば、Li,E.ら、(1992)Cell 6:915を参照のこと)。次いで、選択された細胞を動物(例えば、マウス)の胚盤胞に注射して、凝集キメラを形成する(例えば、Bradley,A.in Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach,E.J.Robertson,編(IRL,Oxford,1987)pp.113〜152を参照のこと)。次いで、キメラ胚を適切な偽妊娠の雌性仮親動物に移植して、その胚に満期をもたらす。相同組み換えされたDNAをその生殖細胞に保有する子孫を用いて、動物の全細胞が相同組み換えDNAを含む動物を育種してもよい。これらの「生殖細胞系伝達(germline transmission)」動物をさらに、少なくとも1つのtetオペレーター配列に作動可能に連結された遺伝子を担持する動物に対して交配させてもよい。
上記の相同組み換えアプローチに加えて、酵素補助された部位特異的組み込み系は、当該分野で公知であって、本発明の方法の調節系の成分に適用して、第二の標的DNA分子中における所定の位置でDNA分子を組み込むことが可能である。このような酵素補助組み込み系の例としては、Creリコンビナーゼ−lox標的系(例えば、Baubonis,W.およびSauer,B.(1993)Nucl.Acids Res.21:2025〜2029;ならびにFukushige,S,およびSauer,B.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7905〜7909に記載される)およびFLPリコンビナーゼ−FRT標的系(例えば、Dang,D.T.およびPerrimon,N.(1992)Dev.Genet.13:367〜375;ならびにFiering,S.ら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 9:8469〜8473に記載される)が挙げられる。
(VI.標的ヌクレオチド配列の発現の調節)
標的ヌクレオチド配列の発現は、上記のような転写調節性タンパク質によって調節される。従って、融合タンパク質および標的核酸分子が両方とも宿主細胞または生物体に存在する。同じ宿主細胞または生物体における転写調節因子融合タンパク質および標的転写単位の両方の存在は、多数の異なる方法で達成され得る。例えば、発現系の1つの核酸(例えば、転写調節因子融合タンパク質をコードする)を、宿主細胞中に導入し、次いで他の核酸分子を、同じ宿主細胞に導入してもよい。2つの別個の選択可能マーカーを選択のために用いてもよい。例えば、第一の核酸の取り込みは、G418で選択され得、そして第二の核酸の取り込みは、ハイグロマイシンで選択され得る。あるいは、細胞の単一の集団を、この系の両方の成分に相当する核酸でトランスフェクトしてもよい。
従って、本発明の方法で、以下を含む核酸組成物が得られる。
−転写を調節する融合タンパク質をコードする第一の核酸であって、この融合タンパク質が、真核生物細胞における転写を活性化する第二のポリペプチドに対して作動可能に連結された置換されたテトラサイクリン化合物の有無においてtetオペレーター配列に結合する第一のポリペプチドを含む、第一の核酸、および
−少なくとも1つのtetオペレーター配列に対して作動可能に連結された、転写されるべきヌクレオチド配列を含む第二の核酸。
この2つの核酸は、2つの別の分子(例えば、2つの異なるベクター)上に存在してもよい。この場合、宿主細胞を、2つの核酸分子で同時トランスフェクトするか、または最初に1つの核酸分子で次いで他の核酸分子で、連続してトランスフェクトする。別の実施形態では、2つの核酸分子を同じ分子(例えば、単一のベクター)中で連結(すなわち、同一直線上)させる。この場合、宿主細胞は、単一の核酸分子でトランスフェクトされる。
宿主細胞は、インビトロで培養された細胞であっても、インビボで存在する細胞であってもよい(例えば、遺伝子治療について標的化された細胞)。宿主細胞は、さらに、受精された卵母細胞、胚性幹細胞または非ヒトのトランスジェニック動物もしくは相同組み換え動物の作成に用いられる任意の他の胚性細胞であってもよい。発現系の両方の核酸成分を含むトランスジェニック動物または相同組み換えの動物を、胚形成期に同じ細胞に両方の核酸を導入することによって作成してもよいし、またはより好ましくは、ゲノム中にこの系の1つの核酸成分を担持する動物を、ゲノム中にこの系の他の核酸成分を含む動物に対して交配させる。次いで、両方の核酸成分が遺伝されている子孫を標準的な技術によって特定してもよい。
(A.2つのヌクレオチド配列の発現の協調的な調節)
単一の転写されたヌクレオチド配列の発現を調節するための系を提供することに加えて、本発明の方法はさらに、同じtetオペレーター配列に対して作動可能に連結された2つのヌクレオチド配列の発現の協調的な調節を可能にする。従って、本発明の方法はまた、2つの遺伝子の協調的調節のための新規なtet−調節性転写単位に関与し得る。この転写単位では、同じtetオペレーター配列が、2つの作動可能に連結されたヌクレオチド配列の発現を調節し、この配列は、この共通のtetオペレーター配列から反対方向に転写される。従って、1つのヌクレオチド配列は、tetオペレーター配列の一方の側(例えば、DNAのトップ鎖上の5’末端)に作動可能に連結され、そして他のヌクレオチド配列が、このtetオペレーター配列の反対側(例えば、DNAのトップ鎖上の3’末端)に作動可能に連結される。さらに、転写されるべき各々のヌクレオチド配列は、転写されるべきヌクレオチド配列とtetオペレーター配列との間に位置する、作動可能に連結された最小プロモーター配列を含むことが理解されるべきである。
このような転写単位の代表的な例は、米国特許第5,789,176号の図6に模式的に示されている。このベクターでは、同じtetオペレーター配列に作動可能に連結された2つのヌクレオチド配列は、tetオペレーター配列に対して反対方向に転写される(すなわち、この配列は、本発明の転写活性化因子融合タンパク質による活性化の際に多様な方式で転写される)。「tetオペレーター配列に対して反対方向で転写される(transcribed in opposite directions relative to the tet operator sequence(s))」とは、第一のヌクレオチド配列が、DNAの1つの鎖(例えば、ボトム鎖)から5’から3’に転写され、そして第二のヌクレオチド配列が、DNAのもう1方の鎖(例えば、トップ鎖)から5’から3’に転写され、tetオペレーター配列と離れた双方向性転写を生じるということを意味する。
従って、本発明の方法は、協調的に調節された、2つのヌクレオチド配列の双方向性の転写のための組み換えベクターを特徴とし得る。このベクターは、ホスホジエステル結合によって結合されるヌクレオチド配列を含んでもよく、この配列は、5’から3’方向に以下を含む。すなわち、転写されるべき第二のヌクレオチド配列に対して作動可能に連結された、少なくとも1つのtetオペレーター配列に対して作動可能に連結された、転写されるべき第一のヌクレオチド配列であって、ここでは、この第一および第二のヌクレオチド配列の転写が、少なくとも1つのtetオペレーター配列から反対方向に進行する(すなわち、この第一および第二のヌクレオチド配列は、多様な方式で転写される)ヌクレオチド配列。
このベクターはまた、転写されるべき第一および第二のヌクレオチド配列を含まなくてもよいが、代わりに、目的のヌクレオチド配列のベクター中への導入を可能にするクローニング部位を含み得る。従って、このベクターは、5’から3’方向に以下を含むヌクレオチド配列を含んでもよい。すなわち、転写されるべき第二のヌクレオチド配列の導入のための第二のクローニング部位に対して作動可能に連結された、少なくとも1つのtetオペレーター配列に対して作動可能に連結された、転写されるべき第一のヌクレオチド配列の導入のための第一のクローニング部位であって、ここで、このベクターに導入された第一および第二のヌクレオチド配列の転写は、少なくとも1つのtetオペレーター配列から反対方向に進行するクローニング部位。このタイプの「クローニングベクター」は、最小プロモーター配列をやはり含む形態であってもよく、その結果、この第一のクローニング部位に導入された第一のヌクレオチド配列は、第一の最小プロモーターに対して作動可能に連結され、そしてこの第二のクローニング部位に導入された第二のヌクレオチド配列は、第二の最小プロモーターに対して作動可能に連結されることが当業者には理解されるであろう。あるいは、この「クローニングベクター」は、最小プロモーター配列を含まない形態であってもよく、その代わり、連結された最小プロモーター配列を含むヌクレオチド配列は、そのベクターのクローニング部位に導入される。
「クローニング部位(cloning site)」という用語は、少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ部位を包含する。代表的には、複数の異なる制限エンドヌクレアーゼ部位(例えば、ポリリンカー)が核酸内に含まれる。
2つのヌクレオチド配列の協調的、双方向性の転写のためのベクターはまた、検出可能マーカー(例えば、ルシフェラーゼまたはβガラクトシダーゼ)をコードするヌクレオチドのような、転写されるべき第一のヌクレオチド、および目的の第二のヌクレオチド配列の導入のためのクローニング部位を含んでもよい。
転写されるべき2つのヌクレオチド配列の協調的調節のためのベクターにおける使用のための双方向性のプロモーター領域の適切な例は、米国特許第5,789,156号に記載される。
(B.複数のヌクレオチド配列の発現の独立した調節)
本発明の方法によってさらに、転写されるべき2つ以上のヌクレオチド配列の独立したかつ反対の調節が可能になる。従って、2つ以上の遺伝子の独立した調節のためのtet−調節性転写単位が用いられ得る。転写されるべき2つのヌクレオチド配列の発現を独立して調節するために、1つのヌクレオチド配列を1つのクラスタイプのtetオペレーター配列に対して作動可能に連結したままで、他のヌクレオチド配列を、他のクラスタイプのtetオペレーター配列に対して作動可能に連結してもよい。
従って、2つのヌクレオチド配列の転写の独立した調節のためのベクターを用いてもよい。このようなベクターは以下を含み得る。すなわち、第一のクラスタイプの少なくとも1つのtetオペレーター配列に対して作動可能に連結された転写されるべき第一のヌクレオチド配列、および第二のクラスタイプの少なくとも1つのtetオペレーター配列に対して作動可能に連結された転写されるべき第二のヌクレオチド配列である。この2つの、独立して調節される転写単位は、単一のベクターに含まれてもよく、あるいは、2つの別のベクターに含まれてもよい。転写されるべきヌクレオチド配列を含む組み換えベクターは、前に記載のとおり宿主細胞または動物に導入され得る。
このベクターはまた、転写されるべき第一および第二のヌクレオチド配列を含まなくてもよいが、代わりに、目的のヌクレオチド配列のベクター中への導入を可能にするクローニング部位を含み得る。従って、このベクターは、以下を含み得る。
−第一のクラスタイプの少なくとも1つのtetオペレーター配列に対して作動可能に連結された転写されるべき第一のヌクレオチド配列の導入のための第一のクローニング部位、および
−第二のクラスタイプの少なくとも1つのtetオペレーター配列に対して作動可能に連結された転写されるべき第二のヌクレオチド配列の導入のための第二のクローニング部位。
このクローニングベクターは、それぞれ第一および第二のクローニング部位に対して作動可能に連結された第一および第二の最小プロモーターを既に含む形態であってもよい。あるいは、作動可能に連結された最小プロモーターを含む転写されるべきヌクレオチド配列が、クローニングベクターに導入されてもよい。
2つのヌクレオチド配列の独立した調節のためのベクターはまた、第一のクラスタイプの少なくとも1つのtetオペレーター配列に作動可能に連結された、検出可能なマーカーまたは自殺遺伝子をコードするヌクレオチドのような、転写されるべき第一のヌクレオチド、および第二のクラスタイプの少なくとも1つのtetオペレーター配列に対して作動可能に連結されるような、目的の第二のヌクレオチドの導入のためのクローニング部位を含んでもよい。
tetオペレーター配列のクラスの多様な組み合わせが、2つのヌクレオチド配列の独立した調節のために用いられ得ることが当業者には理解されるであろう。例えば、第一のtetオペレーター配列がクラスA型の配列であって、第二は、クラスB型の配列であってもよく、または第一のtetオペレーター配列がクラスB型の配列で、第二がクラスC型の配列であってもよい、などである。好ましくは、用いられる2つのtetオペレーターに対する1つは、クラスB型のオペレーターである。
第一および第二のヌクレオチド配列の独立した転写は、異なるクラスタイプのtetオペレーター配列に対して独立して結合する2つの異なる転写調節因子融合タンパク質をコードする1つ以上の核酸を宿主細胞中にさらに導入することによって、宿主細胞中で調節される。この第一の融合タンパク質は、真核生物細胞中で転写を活性化するポリペプチドに作動可能に連結された、テトラサイクリンまたはテトラサイクリンアナログの存在下でtetオペレーター配列に結合するポリペプチドを含む(例えば、VP16活性化領域に連結された変異されたTn10由来Tetリプレッサーのような、本発明のトランス活性化因子融合タンパク質)。この第二の融合タンパク質は、真核生物細胞中で転写を活性化するポリペプチドに作動可能に連結された、テトラサイクリンまたはテトラサイクリンアナログの非存在下でtetオペレーター配列に結合するポリペプチドを含む(例えば、VP16活性化領域に連結された野性型Tn10由来Tetリプレッサー、例えば、Gossen,M.およびBujard,H.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8:5547〜5551に記載されるtTA)。この第一の融合タンパク質は、転写単位で用いられる第一のクラスタイプのtetオペレーター配列に結合し得、そしてこの第二の融合タンパク質は、この転写単位において用いられる第二のクラスタイプのtetオペレーター配列に結合し得る。あるいは、別の実施形態では、この第一の融合タンパク質は、第二のクラスタイプのtetオペレーターに結合し、そしてこの第二の融合タンパク質は、第一のクラスタイプのtetオペレーターに結合する。
例えば、転写されるべき第一のヌクレオチド配列は、クラスAのtetオペレーターに連結され得、そして第一の融合タンパク質は、クラスAのオペレーターに結合し得るが、転写されるべき第二のヌクレオチド配列は、クラスBのtetオペレーターに連結され得、そして第二の融合タンパク質は、クラスBのオペレーターに結合し得る。従って、この実施形態では、この第一のヌクレオチド配列の転写は、テトラサイクリン(またはそのアナログ)の存在下で活性化されるが、第二のヌクレオチド配列の転写は、テトラサイクリン(またはそのアナログ)の非存在下で活性化される。あるいは、別の実施形態では、この第一の融合タンパク質は、クラスBのオペレーターに結合し、そして第二の融合タンパク質が、クラスAのオペレーターに結合する。この場合、この第二のヌクレオチド配列の転写は、テトラサイクリン(またはそのアナログ)の存在下で活性化されるが、第一のヌクレオチド配列の転写は、テトラサイクリン(またはそのアナログ)の非存在下で活性化される。この系での使用に適切なトランス活性化タンパク質は、当該分野で公知であるとおり、例えば、本明細書に引用されるGossenおよびBujard(1992)にあるように設計され得る。同じ細胞に存在する2つの異なるタイプのTetリプレッサー融合タンパク質の間のヘテロ二量体化を阻害するために、転写調節性融合タンパク質の一方または両方の二量体化領域を変異させることが必要となり得る。変異は、二量体化に関与することが公知であるTetRのC末端領域に標的化され得る。この二量体化領域は、TetRの結晶構造に基づいて詳細に記載されている(Hinrichs,W.ら、(1994)Science 264:418〜420を参照のこと)。
この系は、置換されたテトラサイクリン化合物により2つの遺伝子の発現の独立したかつ反対の調節を可能にする。誘導剤としての種々の置換されたテトラサイクリン化合物の使用によって、種々の配列の高レベル、低レベルまたは中間的なレベルの発現がさらに可能になり得る。2つの遺伝子の発現を独立して調節するための本発明の方法の転写単位は、上述のように2つの遺伝子産物が同じ細胞で発現されるべきであるが、1つの遺伝子産物を発現する一方で他の遺伝子産物の発現は「オフ(off)」にすること(逆もまた同様)が、所望される状況で用いられ得る。例えば、この系は同じ宿主細胞において、治療遺伝子または自殺遺伝子のいずれかを発現するために特に有用である(すなわち、細胞を破壊するために用いられ得る産物、例えば、リシンまたは単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼをコードする遺伝子)。多くの遺伝子治療状況では、宿主細胞で治療目的のための遺伝子を発現できるが、また一旦その治療が終了すれば宿主細胞を破壊する能力を有することが所望される。これは、1クラスのtetオペレーターに対して治療遺伝子を、そして自殺遺伝子を別のクラスのtetオペレーターに対して結合することによって、上記の系を用いて達成され得る。従って、宿主細胞における治療遺伝子の発現は、置換されたテトラサイクリン化合物によって刺激され得る(自殺遺伝子の発現が存在しない場合)。次いで、治療が終了すれば、この置換されたテトラサイクリン化合物は除去され、これが細胞において治療遺伝子の発現をオフにして自殺遺伝子の発現をオンにする。
(C.複数のヌクレオチド配列の複合的な協調および独立した調節)
2対の配列が協調的に調節されるが、1対は他の対から独立して調節されるように上記の2つの系に記載された系を組み合わせることによって、4つのヌクレオチド配列の発現を調節することがさらに可能である。従って、以下を含む2つの標的転写単位を設計してもよい。
−第一の核酸であって、5’〜3’方向に転写されるべき第一のヌクレオチド配列、第一のクラスタイプのtetオペレーター配列、および転写されるべき第二のヌクレオチド配列、を含む第一の核酸、および
−第二の核酸配列であって、5’〜3’方向に転写されるべき第三のヌクレオチド配列、第二のクラスタイプのtetオペレーター配列、および転写されるべき第四のヌクレオチド配列を含む第二の核酸。
第一の核酸における第一および第二のヌクレオチド配列の転写は、第一のクラスのtetオペレーター配列から多様な方式で進行する。同様に、第二の核酸における第三および第四のヌクレオチド配列の転写は、第二のクラスのtetオペレーター配列から多様な方式で進行する。従って、第一および第二のヌクレオチド配列の発現が協調的に調節され、そして第三および第四のヌクレオチド配列の発現が協調的に調節される。しかし、第一および第二の配列の発現は、上述のように、2つの異なるトランス活性化融合タンパク質の使用を通じて、第三および第四の配列に比較して独立して(かつ反対に)調節され、一方は、置換されたテトラサイクリン化合物の存在下で転写を活性化し、もう一方は、置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下で転写を活性化する。1つのトランス活性化因子は、第一のクラスタイプのtetオペレーターに結合するように設計され、そしてもう一方は、第二のクラスタイプのtetオペレーターに結合するように設計される。他の実施形態では、転写されるべき第一、第二、第三および/または第四のヌクレオチド配列を既に含むのではなく、これらの転写単位は、転写されるべき第一、第二、第三および/または第四のヌクレオチド配列の導入を可能にするクローニング部位を含み得る。
(VII.本発明のキット)
本発明の別の態様は、本発明の誘導性の調節系の構成要素を備えるキットに関連する。このようなキットは、標的転写単位にクローニングされ得る目的の遺伝子(すなわち、転写されるべき目的のヌクレオチド配列)の発現を調節するために用いられ得る。このキットは、転写活性化因子融合タンパク質または転写サイレンサー融合タンパク質または両方をコードする核酸を備えてもよい。あるいは、真核生物細胞中でトランス活性化因子および/またはインヒビター融合タンパク質が発現されるように、そこに安定に組み込まれたトランス活性化因子および/またはインヒビター融合タンパク質をコードする核酸を有する真核生物細胞が、このキットで提供され得る。
一実施形態では、このキットは、その中に少なくとも2つの容器を閉じた拘束状態で有する担持方法を備える。すなわち、第一の容器であって、本発明の転写調節因子融合タンパク質をコードする第一の核酸(例えば、DNA)(例えば、真核生物細胞における転写を活性化する第二のポリペプチドに作動可能に連結されたテトラサイクリンの存在下でtetオペレーター配列に結合する第一のポリペプチドをコードする組み換え発現ベクター)を含む第一の容器と、第二の容器であって、目的のヌクレオチド配列がクローニングされ得る転写調節因子についての第二の標的核酸(例えば、DNA)を含む第二の容器とである。この第二の核酸は代表的には、転写されるべきヌクレオチド配列の導入のためのクローニング部位(必要に応じて、作動可能に連結された最小プロモーター配列を含む)と、少なくとも1つの作動可能に連結されたtetオペレーター配列とを含む。「クローニング部位(cloning site)」という用語は、少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ部位を包含するものとする。代表的には、複数の異なる制限エンドヌクレアーゼ部位(例えば、ポリリンカー)が、この核酸に含まれる。
このキットの成分を用いて目的のヌクレオチド配列の発現を調節するために、従来の組み換えDNA技術によってこのキットの標的ベクターのクローニング部位にヌクレオチド配列をクローニングし、次いで第一および第二の核酸を宿主細胞または動物中に導入する。次いで、この宿主細胞または動物中で発現された転写調節因子融合タンパク質は、置換されたテトラサイクリン化合物の存在下で目的のヌクレオチド配列の転写を調節する。
あるいは、別の実施形態では、このキットは、本発明の転写調節因子融合タンパク質をコードする核酸で安定にトランスフェクトされており、その結果この転写調節因子がこの細胞中で発現される真核生物細胞を備える。従って、核酸を単独で含むのではなく、上記の第一の容器は、転写調節因子をコードする第一の核酸が安定に導入されている(例えば、リン酸カルシウム沈殿またはエレクトロポレーションなどのような従来の方法を用いた安定なトランスフェクションによる)真核生物細胞株を含み得る。この実施形態では、目的のヌクレオチド配列が、このキットの標的ベクターのクローニング部位にクローニングされ、次いでこの標的ベクターが、転写調節因子融合タンパク質を発現する真核生物細胞中に導入される。
あるいは、またはさらに、2つのヌクレオチド配列の発現の協調的調節のための本発明の組み換えベクターも、本発明のキット中に組み込まれてもよい。このベクターは、目的の2つのヌクレオチド配列のベクター中への導入を可能にする形態でキット中に含まれてもよい。従って、別の実施形態では、本発明のキットは、1)本発明の転写調節因子融合タンパク質をコードする第一の核酸(または核酸が安定に導入されている真核生物細胞)と、2)5’から3’方向に以下のヌクレオチド配列、すなわち目的の第二のヌクレオチド配列の導入のための第二のクローニング部位に作動可能に連結された少なくとも1つのtetオペレーター配列に作動可能に連結された目的の第一のヌクレオチド配列の導入のための第一のクローニング部位を含む第二の核酸とを含み、この第一および第二のヌクレオチド配列の転写は、少なくとも1つのtetオペレーター配列から反対方向に進行する。必要に応じて、このベクターは、作動可能に連結された最小プロモーター配列を含んでもよい。別の実施形態では、このベクターは、転写されるべき1つのヌクレオチド配列(例えば、ルフェラーゼ、βガラクトシダーゼまたはCATのような検出可能マーカーをコードする)、および転写されるべき目的の第二のヌクレオチド配列の導入のためのクローニング部位を既に含む形態であってもよい。
転写されるべき2つのヌクレオチド配列の発現の独立した調節のための本発明の転写単位および転写調節因子も、本発明のキット中に組み込まれてもよい。標的転写単位は、転写されるべき目的のヌクレオチド配列の転写単位への導入を可能にする形態であってもよい。従って、別の実施形態では、本発明のキットは、1)置換されたテトラサイクリン化合物の存在下で、第一のクラスタイプのtetオペレーターに結合する転写調節因子をコードする第一の核酸と、2)第一のクラスタイプの少なくとも1つのtetオペレーターに対して作動可能に連結された転写されるべき第一のヌクレオチド配列の導入のための第一のクローニング部位を含む第二の核酸と、3)置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下で第二のクラスタイプのtetオペレーターに結合する転写調節因子をコードする第三の核酸と、4)第二のクラスタイプの少なくとも1つのtetオペレーターに対して作動可能に連結された転写されるべき第二のヌクレオチド配列の導入のための第二のクローニング部位を含む第四の核酸と、を備える。(必要に応じて、最小プロモーター配列が、この第二および第四の核酸に含まれる)。別の実施形態では、転写されるべき1ヌクレオチド配列(例えば、自殺遺伝子をコードする)は既に、この第二または第四の核酸のいずれかに含まれる。さらに別の実施形態では、この転写調節因子をコードする核酸(例えば、上記の第一および第三の核酸)は、キットに提供される真核生物細胞株に安定に導入され得る。
なお別の実施形態では、本発明のキットは、本発明の転写サイレンサー融合タンパク質(例えば、この融合タンパク質は、テトラサイクリンの存在下でのみ、またはテトラサイクリンの非存在下でのみ真核生物細胞における転写を阻害する)をコードする第一の核酸を含む第一の容器と、少なくとも1つのtetオペレーター配列に作動可能に連結された転写されるべきヌクレオチド配列の導入のためのクローニング部位を含む第二の核酸を含む第二の容器とを備える。このキットはさらに、テトラサイクリンの存在下でのみ、またはテトラサイクリンの非存在下でのみtetO配列に結合するトランス活性化融合タンパク質をコードする第三の核酸を備えてもよい。あるいは、この第一および/または第三の核酸(すなわち、インヒビターまたはトランス活性化融合タンパク質をコードする)は、このキットに提供される真核生物宿主細胞中に安定に組み込まれ得る。
さらに別の実施形態では、本発明のキットは、少なくとも1つの置換されたテトラサイクリン化合物を備えてもよい。例えば、このキットは、本明細書に記載される置換されたテトラサイクリン化合物を含む容器を備えてもよい。
(VIII.置換されたテトラサイクリン化合物による遺伝子発現の調節)
(A.トランス活性化因子融合タンパク質による遺伝子発現の刺激)
本発明のトランス活性化因子融合タンパク質をコードする核酸およびtetオペレーター配列に対して作動可能に連結されたヌクレオチド配列(すなわち、転写されるべき目的の遺伝子)を担持する宿主細胞では、tetオペレーター配列に対して作動可能に連結されたヌクレオチド配列の高レベルの転写は、本発明の置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下では生じない。ヌクレオチド配列の基礎的転写のレベルは、宿主細胞および配列の組み込み部位に依存して変化し得るが、一般に本発明の置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下ではかなり低いか、検出可能でさえない。宿主細胞での転写を誘導するには、宿主細胞を、本発明の置換されたテトラサイクリン化合物と接触させる。この置換されたテトラサイクリン化合物を、細胞を含む被験体に投与してもよい。
インビトロにおいて細胞中で遺伝子発現を誘導するために、置換されたテトラサイクリン化合物を含有する培地中でこの細胞を培養することによって、この細胞を置換されたテトラサイクリン化合物と接触させる。置換されたテトラサイクリン化合物の存在下においてインビトロで細胞を培養する場合、誘導剤のために好ましい濃度範囲は、約10〜約1000ng/mlである。この置換されたテトラサイクリン化合物は、細胞が既に培養されている培地中に直接添加されてもよいし、またはより好ましくは、高レベルの遺伝子誘導のためには、細胞を、置換されたテトラサイクリン化合物を含まない培地から回収して、所望の置換されたテトラサイクリン化合物を含む新鮮な培地中で培養する。
インビボで遺伝子発現を誘導するために、被験体内の細胞と、本発明の置換されたテトラサイクリン化合物とを、被験体に対してこの化合物を投与することによって接触させる。例示的な実施形態では、誘導剤をヒトまたは動物被験体に投与する場合、この投薬量は、好ましくは、約0.0005〜1.0μg/mlの血清濃度を得るように調整する。この置換されたテトラサイクリン化合物は、遺伝子導入に十分なインビボ濃度を達成するために有効な任意の方法で被験体に投与され得る。適切な投与方式の例としては、経口投与(例えば、飲料水に誘導剤を溶解する)、徐放性ペレットおよび拡散ポンプの移植が挙げられる。トランスジェニック植物に対して本発明の置換されたテトラサイクリン化合物を投与するには、誘導剤を植物に投与される水に溶解してもよい。
本発明の方法で特徴付けられるのは、このような発現系が実現され得る正確性をさらに増強する置換されたテトラサイクリン化合物である。この系での誘導剤として種々のテトラサイクリンアナログを用いる能力によって、tetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現のレベルの調節が可能になる。米国特許第5,789,156号に実証されるとおり、無水テトラサイクリンおよびドキシサイクリンは、強力な誘導剤であることが見出されている。標的配列の転写における増大は代表的には、1000〜2000倍程度高く、そして20,000倍程度の高さのインダクション係数が達成され得る。テトラサイクリン、クロロテトラサイクリンおよびオキシテトラサイクリンは、より弱い誘導剤であることが見出されており、すなわちこの場合、標的配列の転写における増大は、約10倍の範囲である。従って、適切な置換されたテトラサイクリン化合物は、遺伝子発現の誘導の所望のレベルに基づいて誘導剤として選択される。誘導剤として用いられる置換されたテトラサイクリン化合物を変化させることによって経時的に宿主細胞または動物における遺伝子発現のレベルを変化させることも可能である。例えば、最初に遺伝子発現の強力なバーストを有し、次いでより低いレベルの遺伝子発現を維持することが所望される状況があり得る。その状況に応じて、高レベルの転写を刺激する置換されたテトラサイクリン化合物が、誘導剤として最初に用いられ、次いで誘導剤が、より低いレベルの転写を刺激するアナログに切り替えられてもよい。さらに、複数のヌクレオチド配列の発現を調節する場合(例えば、1つの配列が1クラスのtetオペレーター配列によって調節され、そして他方が別のクラスのtetオペレーター配列によって調節される場合)、本明細書に記載されるように、転写を調節するためにどのトランス活性化融合タンパク質が用いられるか、そして誘導剤としてどの置換されたテトラサイクリン化合物が用いられるか次第で、各々の配列の発現のレベルを独立して変化させることが可能であり得る。種々のトランス活性化融合タンパク質は、置換されたテトラサイクリン化合物に対して種々のレベルの応答性示す可能性が高い。トランス活性化因子融合タンパク質および誘導剤(テトラサイクリンまたはテトラサイクリンアナログ)の特定の組み合わせによる遺伝子発現の誘導のレベルは、本明細書に記載される技術によって決定され得る(例えば、実施例2を参照のこと)。さらに、遺伝子発現のレベルは、誘導剤の濃度を変化させることによって調節され得る。従って、本発明の方法の発現系で、用いられる置換されたテトラサイクリン化合物のタイプおよび濃度に依存して、遺伝子発現のオンまたはオフの切り替えのみならず、中間レベルで遺伝子発現のレベルを「微調整(fine tuning)」する機構も得られる。
(B.転写サイレンサー融合タンパク質による遺伝子発現の阻害)
本発明の方法はまた、転写サイレンサー融合タンパク質を用いる遺伝子発現の阻害を特徴とする。これらの方法は、目的のtetO連結遺伝子の基礎的、構成的または組織特異的な転写を下方制御するために用いられ得る。例えば、tetO配列およびさらなる正の調節性エレメント(例えば、構成的または組織特異的なエンハンサー配列)に作動可能に連結される目的の遺伝子は、主に宿主細胞における正の調節性エレメントの強度によって決定されるレベルで、宿主細胞中で転写される。さらに、tetO配列に対して作動可能に連結される目的の遺伝子および唯一最小プロモーター配列が、宿主細胞もしくは組織、および/または配列の組み込みの部位に依存して基礎的なレベルの転写の種々の程度を示し得る。このような標的配列を含み、かつ本発明のインヒビター融合タンパク質を発現する宿主細胞では、標的配列の転写は、宿主細胞と接触している置換されたテトラサイクリン化合物の濃度を変更することによって制御される方式で下方制御され得る。例えば、インヒビター融合タンパク質が、置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下でtetOに結合する場合、宿主細胞と接触している置換されたテトラサイクリン化合物の濃度を、標的核酸配列の発現を阻害するために減少させる。好ましくは、宿主細胞は、標的核酸配列発現の抑制を維持したままにするために置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下で培養される。同様に、置換されたテトラサイクリン化合物は、標的核酸配列発現の抑制を維持するために宿主生物体に投与されない。あるいは、インヒビター融合タンパク質が置換されたテトラサイクリン化合物の存在下でtetOに結合する場合、この宿主細胞と接触している置換されたテトラサイクリン化合物の濃度を増大させて、標的核酸配列の発現を阻害させる。例えば、この置換されたテトラサイクリン化合物を宿主細胞の培養培地に添加するか、または置換されたテトラサイクリン化合物を、宿主生物体に投与して、標的核酸配列発現を抑制する。
インヒビター融合タンパク質は、tetO配列が、最小プロモーター配列の5’に位置する目的のtetO連結遺伝子を阻害し得る(例えば、上記のような置換されたテトラサイクリン化合物調節性転写単位)。さらに、インヒビター融合タンパク質は、tet−O結合配列が、プロモーター配列の5’ではなく転写開始部位の3’に位置する目的の遺伝子の発現を阻害するために用いられ得る。なおさらに、このインヒビター融合タンパク質は、tetO結合配列が転写開始部位の3’に位置する目的の遺伝子の発現を阻害するために用いられ得る。
(C.遺伝子発現の正および負の複合調節)
転写活性化因子またはインヒビター融合タンパク質のいずれかを単独で用いる遺伝子発現の調節に加えて、宿主細胞における1つ以上の標的核酸配列の発現の正および負の調節の両方を可能にするために2タイプの融合タンパク質を組み合わせて用いてもよい。従って、tetOに対して、(i)置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下では結合するが存在下では結合しない、または(ii)置換されたテトラサイクリン化合物の存在下では結合するが、非存在下では結合しない、いずれかの転写サイレンサータンパク質を、tetOに対して、(i)置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下では結合するが存在下では結合しない、または(ii)置換されたテトラサイクリン化合物の存在下では結合するが、非存在下では結合しない、いずれかのトランス活性化タンパク質と組み合わせて用いてもよい。tetOに対して、置換されていないテトラサイクリン化合物の非存在下では結合するが存在下では結合しないトランス活性化タンパク質(例えば、野性型TetR活性化因子融合タンパク質)は、米国特許出願第08/076,726号、米国特許出願第08/076,327号および米国特許出願第08/260,452号にさらに詳細に記載される。tetOに対して、置換されたテトラサイクリン化合物の存在下では結合するが非存在下では結合しないトランス活性化融合タンパク質(例えば、変異されたTetR活性化因子融合タンパク質)は、当該分野で公知である。
本明細書に記載されるとおり、2つ以上のTetR融合タンパク質が宿主細胞または生物体で発現される場合、異なるTetR融合タンパク質の間でのヘテロ二量体化を阻害するためにはさらなる工程がとられるかもしれない。例えば、1クラスのTetRからなるトランス活性化因子を、第一のクラスのTetRとヘテロ二量体化しない第二の異なるクラスのTetRからなる転写サイレンサーと組み合わせて用いてもよい。あるいは、二量体化に関与するTetRのアミノ酸残基を変異させて、ヘテロ二量体化を阻害してもよい。しかし、トランス活性化因子とインヒビター融合タンパク質との間のある程度のヘテロ二量体化が宿主細胞で生じる場合でさえ、本明細書に記載されるように効率的な正および負の調節を可能にするために十分な量のホモ二量体を生成しなければならない。
本明細書に記載の技術を用いて、正および負の両方の方式で目的の単一のtetO結合遺伝子を調節するか、または協調方式もしくは独立した方式で目的の複数のtetO連結遺伝子を調節するために、種々の組み合わせの活性化因子およびインヒビタータンパク質を用い得ることが当業者には理解されるであろう。利用される正確な調節性成分は、調節されるべき遺伝子および所望の調節のタイプに依存する。トランス活性化因子およびインヒビター融合タンパク質を組み合わせてどのように用い得るかといういくつかの非限定的な例は、下にさらに記載される。しかし、多くの他の可能な組み合わせが、本明細書の教示を参照することにより当業者には明らかであり、そして本発明によって包含されるものとする。
(IX.本発明の例示的な適用)
本発明は、遺伝子発現をオンおよびオフにできること、または遺伝子発現のレベルを急速、効率的かつ制御された方式で、多面発現効果(pleiotropic effect)も細胞毒性も生じることなく調節することが所望される種々の当該分野で認識される状況に対して広範に適用可能である。従って、本発明の方法の系は、真核生物細胞、植物および動物における細胞の発達および分化の研究のために、広範な適用性を有する。例えば、癌遺伝子の発現は、その機能を研究するために細胞中で制御された方式で調節され得る。さらに、この系は、CREまたはFLPのような部位特異的なリコンビナーゼの発現を調節するために、それによって、発生の特定の段階で制御された条件でトランスジェニック生物体の遺伝子型の不可逆的な改変を可能にするために用いられ得る。例えば、特定のトランスジェニック植物の選択を可能にするトランスジェニック植物のゲノムに挿入された薬物耐性マーカーは、置換されたテトラサイクリン化合物調節性の部位特異的リコンビナーゼを介して不可逆的に除去され得る。本発明の方法の調節系の他の適用としては以下が挙げられる。
(A.遺伝子治療)
本発明の方法は、遺伝疾患または後天的疾患のいずれかについての処置における、遺伝子治療アプローチで用いられ得る。遺伝子治療の一般的アプローチは、機能的な活性を修復または増強するために、導入された遺伝物質によってコードされるつ以上の遺伝子産物が細胞中で生成されるような、細胞への核酸の導入を包含する。遺伝子治療アプローチに対する概説については、Anderson,W.F.(1992)Science 256:808〜813;Miller,A.D.(1992)Nature 357:455〜460;Friedmann,T.(1989)Science 244:1275〜1281;およびCournoyer,D.,ら、(1990)Curr.Opin.Biotech.1:196〜208を参照のこと。しかし、現在の遺伝子治療ベクターは代表的には、内因性の転写因子に応答性である構成的な調節性エレメントを利用する。これらのベクター系では、被験体における遺伝子発現のレベルを調整する能力は可能にならない。対照的に、本発明の方法の誘導性の調節系では、この能力が得られる。
本発明の置換されたテトラサイクリン化合物制御の調節系は、遺伝子治療に適用するのに特に適するようにする多数の有利な特性を有する。例えば、この系では、被験体における遺伝子産物の調節された投薬を可能にする遺伝子発現のための「オン」/「オフ」スイッチが得られる。単に設定されたレベルで遺伝子産物を構成的に発現するのではなく、特定のレベルおよび/または時間で、調節された方式で、遺伝子産物を得ることができることが所望されるいくつかの状況がある。例えば、目的の遺伝子は、有効時間の大部分で目的の遺伝子産物の最も有効なレベルを提供するように、固定間隔(例えば、毎日、隔日、毎週など)で「オン」に切り替えられ得る。被験体中で生成される遺伝子産物のレベルは、標準的な方法によってモニターされ得る(例えば、ELISAまたはRIAのような免疫学的アッセイを用いる直接モニタリング、または目的の遺伝子産物の機能に依存する臨床検査値、例えば、血糖値などのモニタリングによって間接的に)。被験体中において離れた時間間隔で遺伝子の発現を「オン」にするが、また他の時間では遺伝子を「オフ」に維持できるこの能力によって、間欠的な間隔での目的の遺伝子産物の連続投与の必要性が回避される。このアプローチで、疼痛があり得るか、および/または副作用を生じ得、そして連続的に医師の診察を受ける必要が生じる可能性が高い、遺伝子産物の反復注射の必要性が回避される。対照的に、本発明のシステムによって、これらの欠点は回避される。さらに、被験体で離れた時間間隔で遺伝子の発現を「オン」にする能力によって、疼痛および症状が明らかな急性期の間に処置が必要な時だけ活性の「激発(フレア・アップ)(flare up)」を伴う疾患(例えば、多くの自己免疫疾患)の集中的な処置が可能になる。このような疾患が寛解される時点で、発現系は、「オフ」状態に保持され得る。
離れた時間間隔の間に遺伝子発現を調節するこの能力から特に恩恵を受ける可能性がある遺伝子治療の適用としては、以下の非限定的な例が挙げられる。
関節リウマチ−炎症性サイトカイン(例えば、TNF、IL−1およびIL−2)の産生を阻害する遺伝子産物をコードする遺伝子が、被験体で発現され得る。このようなインヒビターの例としては、サイトカインの可溶型のレセプターが挙げられる。さらに、あるいは、サイトカインIL−10および/またはIL−4(防御的なTh2型の応答を刺激する)が発現され得る。さらに、グルココルチコ模倣薬レセプター(glucocorticomimetic receptor)(GCMR)が発現され得る。
下垂体機能不全(hypopituitarism)−ヒト成長ホルモンの遺伝子は、このような被験体では小児期早期においてのみ発現され得、小児期早期においては、ある正常な身長が得られるまで、遺伝子発現が必須であり、その時点で遺伝子発現が下方制御され得る。
創傷治癒/組織再生−治癒過程に必須である因子(例えば、成長因子、血管新生因子など)は、必要である場合のみ発現され、次いで下方制御され得る。
抗癌療法−抗癌療法に有用な遺伝子産物の発現は、腫瘍増殖の遅延が得られる(この時点で遺伝子産物の発現が下方制御され得る)まで治療期に限定され得る。可能な全身的な抗癌治療としては、免疫刺激分子(例えば、IL−2、IL−12など)、血管形成阻害薬(PF4、IL−12など)、ヘレグリン(Herregulin)、ロイコレグリン(Leukoregulin)(PCT公開番号WO 85/04662)、および骨髄支持(補助)療法(bone marrow support therapy)の成長因子、例えばG−CSF、GM−CSFおよびM−CSFを発現する腫瘍浸潤性リンパ球の使用が挙げられる。後者に関して、骨髄支持(補助)療法のための因子を発現するための本発明の調節系の使用によって、化学療法から骨髄支持療法への一定間隔の単純な治療的な切り替えが可能になる(同様に、このようなアプローチはまた、AIDS治療に適用されてもよい、例えば、抗ウイルス療法から骨髄支持療法への単純な切り替え)。さらに、抗癌治療の制御された局所標的化も可能である。例えば、本発明の調節因子による自殺遺伝子の発現であり、ここで調節因子自体は、例えば、腫瘍特異的プロモーターまたは放射線誘発性プロモーターによって制御される。
本発明の方法の調節系を用いて制御された方式で自殺遺伝子(例えば、アポトーシス遺伝子、TK遺伝子など)を発現する能力によって、この系の一般的な安全性および有用性が加えられる。例えば、所望の治療の終わりに、自殺遺伝子の発現を誘発して、遺伝子治療ベクターを担持する細胞、例えば、生体で不活性なインプラントにおける細胞、意図されるもとの位置を超えて広められている細胞などを排除してもよい。さらに、移植片が腫瘍になるか、または副作用を有する場合、この細胞は、自殺遺伝子の誘導によって急速に排除され得る。2つ以上の置換されたテトラサイクリン化合物(1つの細胞における制御された「オン」/「オフ」切り替え)の使用によって、治療目的の遺伝子の調節に比較して自殺遺伝子の完全に独立した調節が可能になる(本明細書に詳細に記載されるとおり)。
(B.インビトロにおけるタンパク質の産生)
目的のタンパク質の大規模産生は、以下を含むように改変されている培養細胞をインビトロで用いて達成され得る。すなわち、1)細胞における転写調節因子の発現に適切な形態で本発明の転写調節因子融合タンパク質をコードする核酸と、2)tetオペレーター配列に作動可能に連結された目的のタンパク質をコードする遺伝子、である。例えば、哺乳動物、酵母または真菌細胞は、本明細書に記載されるようなこれらの核酸成分を含むように改変されてもよい。次いでこの改変された細胞を、置換されたテトラサイクリン化合物の存在下で標準的なファーメンテーション技術によって培養して、遺伝子の発現を誘導しかつ目的のタンパク質を生成してもよい。従って、本発明の方法は、目的のタンパク質を単離するための産生過程を操作するために用いられ得る。この過程では、本発明の方法の転写調節因子融合タンパク質をコードする核酸と、少なくとも1つのtetオペレーター配列に対して作動可能に連結された目的のタンパク質をコードする核酸の両方が導入されている宿主細胞(例えば、酵母または真菌)を、目的のタンパク質をコードするヌクレオチド配列(すなわち、tetオペレーター配列に対して作動可能に連結されたヌクレオチド配列)の転写を刺激するために、置換されたテトラサイクリン化合物の存在下において培養培地中において生産規模で増殖させ、そして目的のタンパク質を、回収された宿主細胞から、または培養培地から単離する。標準的なタンパク質精製技術は、この培地から、または回収された細胞から目的のタンパク質を単離するために用いられ得る。
(C.インビボにおけるタンパク質の産生)
本発明の方法はまた、動物における、例えば、トランスジェニックの家畜における目的のタンパク質の大規模産生を増強し得る。トランスジェニック技術における利点によって、トランスジェニックの家畜、例えば、ウシ、ヤギ、ブタおよびヒツジを産生できるようになった(Wall,R.J.ら、(1992)J.Cell.Biochem.49:113〜120;およびClark,A.J.ら、(1987)Trends in Biotechnology 5:20〜24に概説される)。従って、トランスジェニック家畜のゲノム中に本発明の方法の誘導性調節系の成分を担持するトランスジェニックの家畜であって、目的のタンパク質をコードする遺伝子が少なくとも1つのtetオペレーター配列に作動可能に連結されているトランスジェニック家畜が構築されてもよい。遺伝子発現は、従ってタンパク質産生は、トランスジェニック動物に対して置換されたテトラサイクリン化合物を投与することによって誘発される。タンパク質産生は、特定の細胞に対して転写調節因子の発現を制限する適切な組織特異的調節性エレメントに対して転写調節因子融合タンパク質をコードする核酸を連結することによって特定の組織に対して標的化され得る。例えば、乳腺特異的調節性エレメント、例えば、乳清プロモーター(米国特許第4,873,316号および欧州特許出願公開第264,166号)を、転写調節因子導入遺伝子に連結し、乳房組織に対して転写調節因子の発現を限定し得る。従って、置換されたテトラサイクリン化合物の存在下では、目的のタンパク質は、トランスジェニック動物の哺乳動物組織で生成される。このタンパク質は、トランスジェニック動物の乳汁に分泌されるように設計されてもよく、そして所望の場合、次いで、このタンパク質は、乳汁から単離され得る。
(D.インビボにおける調節性遺伝子発現の画像化)
本発明の方法は、細胞、細胞株および/または生きている被験体における調節された遺伝子発現をモニターするために、侵襲性またはより好ましくは、非侵襲性の画像化技術と組み合わせて使用され得る。例えば、レポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ、GFP、CATなど)と目的のヌクレオチド配列の両方が、双方向性のtetオペレーター(例えば、Ptetbi−1)の制御下に置かれてもよく、それによって、レポーター遺伝子および置換されたテトラサイクリン化合物制御のトランス活性化因子(tTAまたはrtTA)に応答性の目的のヌクレオチド配列の発現が得られる。このような遺伝子構築物の使用を通じて、トランスジェニック動物および細胞株が誘導され得、その中でルシフェラーゼのようなレポーター遺伝子の発現および/または活性が、tetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現の間接的な非侵襲性のマーカーとして働く。生きている被験体における非侵襲性の画像化の実現のためのこのような方法の使用は、Hasan,M Tら、Genesis 29(3):116〜22に記載される。
(E.ヒト疾患の動物モデル)
本発明の方法の転写活性化因子およびインヒビタータンパク質を単独でまたは組み合わせて用いて、動物における特定の遺伝子の発現を刺激または阻害して、ヒト疾患の病態生理学を模倣し、それによってヒト疾患の動物モデルを作成してもよい。例えば、宿主動物では、疾患に関与すると考えられる目的の遺伝子を、1つ以上のtetオペレーター配列の転写制御下においてもよい(例えば、本明細書において記載されるような相同組み換えによる)。このような動物を、トランス活性化因子融合タンパク質および/またはインヒビター融合タンパク質の1つ以上の導入遺伝子を担持する第二の動物と交配させて、置換されたテトラサイクリン化合物調節性の融合タンパク質遺伝子と、tet調節性標的配列の両方を担持する子孫を作成してもよい。これらの子孫における目的の遺伝子の発現は、置換されたテトラサイクリン化合物を用いて調節され得る。例えば、目的の遺伝子の発現を、転写サイレンサー融合タンパク質を用いて下方調節して、遺伝子発現と疾患との間の関係を検査してもよい。このようなアプローチは、疾患の動物モデルを作成する上で相同組み換えによる遺伝子「ノックアウト(knock out)」を上回る利点を有し得る。なぜなら、本明細書に記載されるtet調節性の系によって、目的の遺伝子の発現のレベルおよび遺伝子発現が下方制御または上方制御されるときのタイミングの両方に対する制御が可能になるからである。
(F.遺伝子クローニングおよび他の用途のための安定な細胞株の産生)
本発明の方法で用いられる転写サイレンサー系は、遺伝子発現を「オフ」(すなわち、発現される)に維持し得、これによって、そうでなければ生成できない安定な細胞株の生成を可能にする。例えば、細胞に対して細胞毒性である遺伝子を担持する安定な細胞株は、毒性遺伝子の発現における「漏出性(leakiness)」に起因して、作成することが困難であるか、または不可能であり得る。本発明の転写サイレンサー融合タンパク質を用いてこのような毒性遺伝子の遺伝子発現を抑制することによって、毒性遺伝子を担持する安定な細胞株を作成してもよい。次いで、このような安定な細胞株を用いて、このような毒性遺伝子をクローニングし得る(例えば、置換されたテトラサイクリン化合物を用いて制御条件下で毒性遺伝子の発現を誘導する)。本発明の転写サイレンサー系が適用できる遺伝子の発現クローニングのための一般的な方法は、当該分野で公知である(例えば、Edwards,C.P.およびAruffo,A.(1993)Curr.Opin.Biotech.4:558〜563)。さらに、転写サイレンサー系を適用して他の細胞、例えば胚性幹(ES)細胞における遺伝子の基礎的発現を阻害して、安定な細胞株を作成してもよい。ES幹に導入される特定の遺伝子の残留発現は、安定にトランスフェクトされたクローンを単離することを不可能にするかもしれない。本明細書に記載される転写サイレンサー系を用いるこのような遺伝子の転写の阻害は、この問題を克服するのに有用であり得る。
(G.脳における置換されたテトラサイクリン化合物調節性遺伝子の誘導)
本発明の方法の特定の置換されたテトラサイクリン化合物は、発明の方法において特徴付けられる誘導性の調節系を調節するために好ましい薬剤として例えば、ドキシサイクリンを使用する際に改善される。ドキシサイクリンが示す血液脳関門の浸透は限られており、これによって、脳の誘導性の調節系の調節を惹起するためには処置された被験体の末梢血でドキシサイクリンをかなり高レベルまで上昇させることが必要であることが記載されている(参照によって本明細書に援用される、MansuyおよびBujard Curr.Op.Neurobiol.10:593〜96を参照のこと)。本明細書に記載される特定の置換されたテトラサイクリン化合物を用いる本発明の方法の実行を通じて、特徴づけられた誘導性の調節系の機能の改善が、生きている被験体の脳および脊髄で達成され得る。
(H.阻害性RNAの発現)
別の実施形態では、本発明は、当該分野で公知の方法を用いて標的遺伝子の発現を妨げる、核酸分子、例えば二本鎖RNA分子の誘導性発現および/または特異的な発現のための組み換えベクターに関する。特定の実施形態では、本発明は、組み込まれた遺伝子または内因性の遺伝子の特定の細胞における誘導性のノックダウンを指向するためのTet(テトラサイクリン)応答性のRNAポリメラーゼII(PolII)プロモーター(例えば、TetONまたはTetOFF)の使用に関する。本発明はまた、テトラサイクリン調節性の可逆性および/または組織特異的な核酸分子、例えば標的遺伝子の発現を妨げる二本鎖RNA分子を発現するトランスジェニック動物(例えば、マウス)を生成するための方法に関する。
(X.利点)
本明細書に記載される方法によって、特徴づけられた誘導性の調節系の増強された使用が可能になる。本発明の方法の置換されたテトラサイクリン化合物によって、ドキシサイクリンで用いられた濃度よりも10倍程度低い濃度での置換されたテトラサイクリン化合物誘発性の応答の誘導が可能になる。特定の実施形態では、本発明の方法はまた、ドキシサイクリンよりも100倍低いエフェクター濃度で遺伝子のインビボ誘導を可能にし得る。
本発明の方法で特徴づけられる特定の化合物はまた、低濃度での化合物投与被験体における誘導応答の実現を可能にする、血液脳関門を横切る分配の改善を示す。この利点は、経済的かつ治療的である。なぜなら、本発明の特徴づけられた化合物の循環濃度が低いほど、投与後に所望されない副作用が誘発される可能性が少ないからである。本発明の特定の特徴づけられた化合物はまた、例えば、ドキシサイクリンの抗生物質効果に比較して、実際には非抗生物質的であり、従って、ヒトにおける本発明の方法を実施する上でのさらなる利点を呈する。
本発明はさらに、以下の実施例によって例示されるが、この実施例は限定と解釈されるべきではない。本出願全体にわたって引用される全ての引用文献、特許および公開特許出願の内容は、参照によって本明細書に援用される。
実施例1:置換されたテトラサイクリン化合物によるルシフェラーゼ活性の誘導
置換されたテトラサイクリン化合物がHR5−C11細胞においてルシフェラーゼ発現を誘導する能力を試験した。細胞株HR5−CL11細胞は、ルシフェラーゼ遺伝子およびrtTA遺伝子を保有するが、tTA遺伝子は保有しない。HR5−C11細胞を約3×10個の細胞/35mmディッシュという密度でプレートした(約80%のコンフルエンシー)。細胞の完全な付着後、テトラサイクリン誘導体をこの細胞に対して0、30〜3000ng/mLの濃度で投与した。このルシフェラーゼ活性を3日のインキュベーション後に測定した。
すべてのテトラサイクリン化合物がluc(ルシフェラーゼ)活性を増大したことが見出された。9−t−ブチルドキシサイクリンが、luc発現の最高の増大を生じ、その後にペンタサイクリン、9−1’メチルシクロペンチルドキシサイクリン、ドキシサイクリンの5−エステル、7,9−二置換ドキシサイクリンおよび9−アミノ置換ドキシサイクリンが続いたことが見出された。用量応答曲線を図1A−1Hに示す(ドキシサイクリン(図1A);5−シクロブタノエートドキシサイクリン(図1B);5−シクロヘキサノエートドキシサイクリン(図1C);5−プロピオニル−7−シクロペンチルアセチルアミノドキシサイクリン(図1D);7−アセチルアミノドキシサイクリン(図1E);9−1’−メチルシクロペンチルドキシサイクリン(図1F);9−1’−メチルシクロブチルドキシサイクリン(図1G);9−t−ブチル−7−メチルドキシサイクリン(図1H))。
実施例2:置換されたテトラサイクリン化合物を用いるrtTA媒介性の遺伝子活性化
2つのルシフェラーゼ陽性細胞株34RおよびMT2は、それぞれ新規なトランス活性化因子rtTA2−34RおよびrtTA2−MT2を産生した。これらの変異体は、テトラサイクリン化合物の存在下における極めて低レベルの残留DNA結合によって特徴づけられる。rtTA2−MT2系では、9−t−ブチルドキシサイクリンは、RtTA−媒介性の遺伝子活性化を100倍まで増大した。9−t−ブチルドキシサイクリンは、30〜100ng/mLの間の濃度でこの系を活性化した。9−t−ブチルドキシサイクリンは、インビトロで全てのrtTAをドキシサイクリンよりも10倍低い濃度で誘導したことが見出された。この系の完全な誘導は、10ng/mLの濃度の9−t−ブチルドキシサイクリンで生じた。5−フェニルカルバメートドキシサイクリンもまた、rtTA2s−M2のドキシサイクリンよりも2倍強い活性化因子であることも見出された。
図2A〜2Dは、34RおよびMT2 rtTA変異体におけるドキシサイクリンおよび9−t−ブチルドキシサイクリンの比較を示す。図2Aおよび図2Bは、それぞれ34RおよびMT2変異体に対するドキシサイクリンの影響を示す。図2Cおよび図2Dは、それぞれ、34RおよびMT2変異体に対する9−t−ブチルドキシサイクリンの影響を示す。ドキシサイクリンは、MT2でより大きい特異性およびルシフェラーゼ活性を示したが、9−t−ブチルドキシサイクリンは、両方の系で10倍以上活性であった。
(実施例3:X1/5細胞および置換されたテトラサイクリン化合物を用いる用量応答の研究)
tTAおよびrtTAに対する置換されたテトラサイクリン化合物の能力。X1/5細胞での用量応答分析を用いるトランス活性化を研究した。細胞株X1/5細胞は、テトラサイクリン誘導性のプロモーターによって制御される、染色体に組み込まれたコピーのtTA遺伝子およびルシフェラーゼ遺伝子を保有する。細胞の完全な接着後、テトラサイクリン誘導体を、この細胞に対して0、30〜3000ng/mLの濃度で投与した。このルシフェラーゼ活性を3日のインキュベーション後に測定した。
ドキシサイクリンの濃度が増大するにつれて、luc遺伝子がオフに切り替わったことが見出された。全ての試験されたテトラサイクリン化合物がルシフェラーゼ活性を低下させた。9−t−ブチルドキシサイクリンは、luc発現によって測定した場合、最低濃度で有効性を示し、その後にペンタサイクリン、9−1’メチルシクロペンチルドキシサイクリン、ドキシサイクリン、5−ブタノエートドキシサイクリン、5−シクロヘキサノエートドキシサイクリン、5,9−二置換ドキシサイクリン、7,9−二置換ドキシサイクリンおよび9−アミノ置換ドキシサイクリンが続いた。用量応答曲線を図3A−3Iに示す(ドキシサイクリン(図3A);5−シクロブタノエートドキシサイクリン(図3B);5−シクロヘキサノエートドキシサイクリン(図3C);5−プロピオニル−7−シクロペンチルアセチルアミノドキシサイクリン(図3D);7−アセチルアミノドキシサイクリン(図3E);9−1’−メチルシクロペンチルドキシサイクリン(図3F);9−1’−メチルシクロブチルドキシサイクリン(図3G);9−t−ブチル−7−メチルチオメトルドキシサイクリン(図3H));および9−t−ブチル−7−メチルドキシサイクリン(図3I))。
(実施例4:置換されたテトラサイクリン化合物によるインビボでのrtTA2s−M2遺伝子の活性化)
9−t−ブチルドキシサイクリンを、rTA M2CaMK−1/LC1を有するバイトランスジェニック(bitransgenic)マウスで試験した。このマウスは、前脳特異的なα−CamKIIプロモーターの制御下でrtTA2s−M2遺伝子を発現した。さらに、LC1マウスは、双方向性(bi−directional)プロモーターの制御下にルシフェラーゼおよびcre遺伝子を有した。マウスには、5%スクロースまたは9−t−ブチルドキシサイクリン(0.2および2mg/mL)を含む飲用水中で7日間にわたってドキシサイクリン(2mg/mL)を投与した。このマウスをアバーティン(avertin)で麻酔して、ルシフェラーゼ(IP)を注射し、そして生物発光チャンバに入れて、5分後に測定した。この結果によって、9−t−ブチルドキシサイクリンは、0.2mg/mLで、ドキシサイクリン2mg/mLよりも優れた活性応答を有したことが示された。図4は、マウスでのルシフェラーゼ発現の画像を示す。
実施例5:JE305K+pTetLux1 tet検出系でのテトラサイクリン化合物の用量応答分析
置換されたテトラサイクリン化合物は、JE305K+pTetLux1 tet検出系を用いる用量応答分析で検査した。JE305Kは、破壊されたacrBおよびwaaP遺伝子を有する株である。pTetLux1は、tetRを有するプラスミドであり、tetAプロモーター/オペレーターの調節のもとにluxCDABEオペロン(P.luminescens由来)を有する。このプラスミドは、University of
Turku,Finlandから入手した。
9位置にフェニル、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基を有する以下のミノサイクリン誘導体は、強力かつ非抗菌性であることが見出された。
Figure 2009543544
10位置でのアルキル、ベンジルまたは類似の置換基による置換は、活性化の増大および抗菌活性の喪失を生じた。
Figure 2009543544
7−アルキニル、アルケニル、アルキルおよびフェニル置換されたサンサイクリン化合物は、このアッセイで活性であったことが見出された。これらの誘導体は、種々の程度の抗菌活性を保有する。活性な7−アルキニルサンサイクリン化合物の例を下に示す。
Figure 2009543544
さらに、化合物A〜Qは、すぐれた活性を示す(例えば、約13μg/mLの濃度で約70を超えるKlux):化合物R−BWは、良好な活性を示し(例えば、約13μg/mLの濃度で約51〜70のKlux)、そして化合物BX−LEは、小さい活性を示した(例えば、51未満というKlux)
(等価物)
当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を、慣用的な実験用いるだけで実現もしくは確認できる。このような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されるものとする。

Claims (18)

  1. 細胞内でtetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現を調節するための置換されたテトラサイクリン化合物を含む組成物であって、該置換されたテトラサイクリン化合物は、(i)テトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)に作動可能に連結された標的ヌクレオチド配列と、(ii)細胞中での転写を調節する第二のポリペプチドに作動可能に連結された置換されたテトラサイクリン化合物の存在下または非存在下で該TREに結合する、第一のポリペプチドを含む融合タンパク質とを含み、ここで該置換されたテトラサイクリン化合物は、式(I):
    Figure 2009543544
    (式中、
    pは、単結合または二重結合であり、
    Xは、CHC(R13Y’Y)、CR6’、C=CR6’、S、NR、またはOであり、かつR5’はpが単結合であるとき水素であり、
    XはCR6’’であり、かつR5’はpが二重結合であるとき存在せず、
    、R2’、R4’、およびR4’’は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
    およびR12は各々水素またはプロドラッグ部分であり、
    はNR4’4’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり、
    はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり、
    およびR6’は各々独立して水素、メチレン、非存在、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR7c0−1C(=W’)WR7aであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR8c0−1C(=E’)ER8aであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR9c0−1C(=Z’)ZR9aであり、
    10は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環またはチオニトロソであり、
    11は水素、ヒドロキシルまたはアルコキシルであり、
    7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R8f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9eおよびR9fは各々独立して水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
    13は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
    EはCR8d8e、S、NR8bまたはOであり、
    E’はO、NR8f、またはSであり、
    WはCR7d7e、S、NR7bまたはOであり、
    W’はO、NR7f、またはSであり、
    ZはCR9d9e、S、NR9bまたはOであり、
    Z’はO、S、またはNR9fであり、
    Y’およびYは各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである)
    の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、エステルまたはエナンチオマーであり、但し、該置換されたテトラサイクリン化合物は、式(I):
    Figure 2009543544
    (式中、
    pは単結合であり;
    XはCR 6’ であり;
    5’ は水素であり;
    、R 2’ 、R 、R 、R 、R 6’ 、R およびR 12 は、各々水素であり;
    4’ およびR 4” は、各々アルキルであり;
    は、NR 4’ 4’’ であり;
    は、水素またはアミノであり;
    は、非置換アルキルアミノメチル、非置換アルキル(アルコキシカルボニル)アミノメチル、ハロゲン置換アルキルアミノメチル、またはピペリジン置換メチルであり;そして
    10 およびR 11 は、各々ヒドロキシルである
    の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、エステルまたはエナンチオマーではない、組成物
  2. 前記標的ヌクレオチド配列がタンパク質をコードする、請求項1に記載の組成物
  3. 前記tetオペレーター連結核酸分子が、前記細胞中に導入されている外因性の核酸分子である、請求項1または2に記載の組成物
  4. 前記細胞がさらに、第二の標的核酸分子を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物
  5. 前記テトラサイクリン化合物が、抗生物質活性を有さない、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物
  6. XがCR 6’ であり;R 、R 2’ 、R 、R 、R 、R 6’ 、R およびR 12 が各々水素であり;R がNR 4’ であり;R およびR 4’ が各々アルキルであり;R がハロゲンであり;R がアルキルであり;そしてR 10 およびR 11 が各々ヒドロキシルである、請求項1に記載の組成物。
  7. pが単結合でありXがCR6’であり;R 、R 2’ 、R 、R 、R 、R 6’ 、R およびR 12 が各々水素であり;R がNR 4’ であり;R およびR 4’ が各々アルキルであり;R がアルキルであり;そしてR 10 およびR 11 が各々ヒドロキシルである、請求項1に記載の組成物。
  8. pが二重結合であり;XがCR 6” であり;R 6” が水素であり;R 、R 2’ 、R およびR 12 が各々水素であり;R がNR 4’ であり;R およびR 4’ が各々アルキルであり;そしてR 11 がヒドロキシルである、請求項1に記載の組成物。
  9. およびR が水素であり、R 10 がヒドロキシルである、請求項8に記載の組成物。
  10. がハロゲンである、請求項9に記載の組成物。
  11. 細胞内でtetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現を調節するための置換されたテトラサイクリン化合物を含む組成物であって、該置換されたテトラサイクリン化合物は、(i)テトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)に対して作動可能に連結された標的ヌクレオチド配列と、(ii)細胞中での転写を調節する第二のポリペプチドに作動可能に連結された置換されたテトラサイクリン化合物の存在下または非存在下において該TREに結合する、第一のポリペプチドを含む融合タンパク質とを含み、該置換されたテトラサイクリン化合物は:
    Figure 2009543544
    Figure 2009543544
    Figure 2009543544
    Figure 2009543544
    Figure 2009543544
    Figure 2009543544
    Figure 2009543544
    Figure 2009543544
    Figure 2009543544
    Figure 2009543544
    Figure 2009543544
    Figure 2009543544
    Figure 2009543544
    Figure 2009543544
    Figure 2009543544
    からなる群から選択される化合物またはその薬学的に受容可能な塩である、組成物。
  12. 細胞内でtetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現を調節するための置換されたテトラサイクリン化合物を含む組成物であって、該置換されたテトラサイクリン化合物は、(i)テトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)に作動可能に連結された標的ヌクレオチド配列と、(ii)細胞中での転写を調節する第二のポリペプチドに作動可能に連結された置換されたテトラサイクリン化合物の存在下または非存在下で該TREに結合する、第一のポリペプチドを含む融合タンパク質とを含み、ここで該置換されたテトラサイクリン化合物は、式(II):
    Figure 2009543544
    式中:
    、R2’、R4’およびR4’’は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり;
    、R12およびR14は各々水素またはプロドラッグ部分であり;
    はNR4’4’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
    はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
    6aは水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR7c0−1C(=W’)WR7aであり;
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR8c0−1C(=E’)ER8aであり;
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR9c0−1C(=Z’)ZR9aであり;
    10は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環またはチオニトロソであり;
    7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R8f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9eおよびR9fは各々独立して水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
    WはCR7d7e、S、NR7bまたはOであり、
    W’はO、NR7f、またはSであり、
    Eは、CR8d8e、S、NR8bまたはOであり、
    E’はO、NR8f、またはSであり、
    ZはCR9d9e、S、NR9bまたはOであり、
    Z’はO、S、またはNR9fである)
    の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、エステルまたはエナンチオマーである、組成物。
  13. 細胞内でtetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現を調節するための置換されたテトラサイクリン化合物を含む組成物であって、該置換されたテトラサイクリン化合物は、(i)テトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)に対して作動可能に連結された標的ヌクレオチド配列と、(ii)置換されたテトラサイクリン化合物の存在下で該TREに結合するが、非存在下では結合しない、変異されたTetリプレッサーとを含み、ここで該変異されたTetリプレッサーは、式(I):
    Figure 2009543544
    (式中、
    pは、単結合または二重結合であり、
    XはCHC(R13Y’Y)、CR6’、C=CR6’、S、NR、またはOであり、かつR’はpが単結合であるとき水素であり、
    XはCR6’’であり、かつR5’はpが二重結合であるとき存在せず、
    、R2’、R4’およびR4’’は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
    およびR12は各々水素またはプロドラッグ部分であり、
    はNR4’4’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり、
    はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり、
    およびR6’は各々独立して水素、メチレン、非存在、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR7c0−1C(=W’)WR7aであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR8c0−1C(=E’)ER8aであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR9c0−1C(=Z’)ZR9aであり、
    10は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環またはチオニトロソであり、
    11は水素、ヒドロキシルまたはアルコキシルであり、
    7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R8f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9eおよびR9fは各々独立して水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
    13は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
    EはCR8d8e、S、NR8bまたはOであり、
    E’はO、NR8f、またはSであり、
    WはCR7d7e、S、NR7bまたはOであり、
    W’はO、NR7f、またはSであり、
    ZはCR9d9e、S、NR9bまたはOであり、
    Z’はO、S、またはNR9fであり、
    Y’およびYは各々独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである)
    の置換されたテトラサイクリン化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、エステルおよびエナンチオマーの存在下で、該変異されたTetリプレッサーが該TREに選択的に結合するように選択され、但し、該置換されたテトラサイクリン化合物は、式(I):
    Figure 2009543544
    (式中、
    pは単結合であり;
    XはCR 6’ であり;
    5’ は水素であり;
    、R 2’ 、R 、R 、R 、R 6’ 、R およびR 12 は、各々水素であり;
    4’ およびR 4” は、各々アルキルであり;
    は、NR 4’ 4’’ であり;
    は、水素またはアミノであり;
    は、非置換アルキルアミノメチル、非置換アルキル(アルコキシカルボニル)アミノメチル、ハロゲン置換アルキルアミノメチル、またはピペリジン置換メチルであり;そして
    10 およびR 11 は、各々ヒドロキシルである
    の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、エステルまたはエナンチオマーではない、組成物
  14. 細胞内でtetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現を調節するための置換されたテトラサイクリン化合物を含む組成物であって、該置換されたテトラサイクリン化合物は、(i)テトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)に対して作動可能に連結された標的ヌクレオチド配列と、(ii)置換されたテトラサイクリン化合物の存在下で該TREに結合するが、非存在下では結合しない変異されたTetリプレッサーとを含み、ここで該変異されたTetリプレッサーは、該変異されたTetリプレッサーが式(II):
    Figure 2009543544
    (式中、
    、R2’、R4’およびR4’’は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
    、R12およびR14は各々水素またはプロドラッグ部分であり、
    はNR4’4’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり、
    はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり、
    6aは水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR7c0−1C(=W’)WR7aであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR8c0−1C(=E’)ER8aであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR9c0−1C(=Z’)ZR9aであり、
    10は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環またはチオニトロソであり、
    7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R8f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9eおよびR9fは各々独立して水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
    WはCR7d7e、S、NR7bまたはOであり、
    W’はO、NR7f、またはSであり、
    Eは、CR8d8e、S、NR8bまたはOであり、
    E’はO、NR8f、またはSであり、
    ZはCR9d9e、S、NR9bまたはOであり、
    Z’はO、S、またはNR9fである)
    の置換されたテトラサイクリン化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、エステルおよびエナンチオマーの存在下でTREに選択的に結合するように選択される、組成物
  15. 細胞内でtetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現を調節するための置換されたテトラサイクリン化合物を含む組成物であって、該置換されたテトラサイクリン化合物は、(i)テトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)に対して作動可能に連結された標的ヌクレオチド配列と、(ii)置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下で該TREに結合するが、ただし存在下では結合しない変異されたTetリプレッサーとを含、ここで該変異されたTetリプレッサーは、該変異されたTetリプレッサーが式(I):
    Figure 2009543544
    (式中、
    pは単結合または二重結合であり、
    XはCHC(R13Y’Y)、CR6’、C=CR6’、S、NR、またはOであり、かつR5’はpが単結合であるとき水素であり、
    XはCR6’’であり、かつR5’はpが二重結合であるとき存在せず、
    、R2’、R4’およびR4’’は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
    およびR12は各々水素またはプロドラッグ部分であり、
    はNR4’4’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり、
    はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり、
    およびR6’は各々独立して水素、メチレン、非存在、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR7c0−1C(=W’)WR7aであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR8c0−1C(=E’)ER8aであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、オキシミル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR9c0−1C(=Z’)ZR9aであり、
    10は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環またはチオニトロソであり、
    11は水素、ヒドロキシルまたはアルコキシルであり、
    7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R8f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9eおよびR9fは各々独立して水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
    13は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
    Eは、CR8d8e、S、NR8bまたはOであり、
    E’はO、NR8f、またはSであり、
    WはCR7d7e、S、NR7bまたはOであり、
    W’はO、NR7f、またはSであり、
    ZはCR9d9e、S、NR9bまたはOであり、
    Z’はO、S、またはNR9fであり、
    Y’およびYは各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである)
    の置換されたテトラサイクリン化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、エステルおよびエナンチオマーの非存在下でのみTREに選択的に結合するように選択され、ここで、該置換されたテトラサイクリン化合物は、式(I):
    Figure 2009543544
    (式中、
    pは単結合であり;
    XはCR 6’ であり;
    5’ は水素であり;
    、R 2’ 、R 、R 、R 、R 6’ 、R およびR 12 は、各々水素であり;
    4’ およびR 4” は、各々アルキルであり;
    は、NR 4’ 4’’ であり;
    は、水素またはアミノであり;
    は、非置換アルキルアミノメチル、非置換アルキル(アルコキシカルボニル)アミノメチル、ハロゲン置換アルキルアミノメチル、またはピペリジン置換メチルであり;そして
    10 およびR 11 は、各々ヒドロキシルである
    の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、エステルまたはエナンチオマーではない、組成物
  16. 細胞内でtetオペレーター連結ヌクレオチド配列の発現を調節するための置換されたテトラサイクリン化合物を含む組成物であって、該置換されたテトラサイクリン化合物は、(i)テトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)に対して作動可能に連結された標的ヌクレオチド配列と、(ii)置換されたテトラサイクリン化合物の非存在下で該TREに結合するが、存在下では結合しない変異されたTetリプレッサーとを含み、ここで該変異されたTetリプレッサーは、該変異されたTetリプレッサーが式(II):
    Figure 2009543544
    (式中、
    、R2’、R4’およびR4’’は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
    、R12およびR14は各々水素またはプロドラッグ部分であり、
    はNR4’4’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり、
    はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり、
    6aは水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR7c0−1C(=W’)WR7aであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR8c0−1C(=E’)ER8aであり、
    は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または−(CH0−3(NR9c0−1C(=Z’)ZR9aであり、
    10は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環またはチオニトロソであり、
    7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R8f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9eおよびR9fは各々独立して水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族またはプロドラッグ部分であり、
    WはCR7d7e、S、NR7bまたはOであり、
    W’はO、NR7f、またはSであり、
    Eは、CR8d8e、S、NR8bまたはOであり、
    E’はO、NR8f、またはSであり、
    ZはCR9d9e、S、NR9bまたはOであり、
    Z’はO、S、またはNR9fである)
    の置換されたテトラサイクリン化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、エステルおよびエナンチオマーの非存在下でのみTREに選択的に結合するように選択される、組成物
  17. 前記置換されたテトラサイクリン化合物が、表2の化合物である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物
  18. 前記置換されたテトラサイクリン化合物が、少なくとも約13μg/mLの濃度で51を超えるKluxを示す、請求項1〜1のいずれか1項に記載の組成物
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