JP2009535415A - シロキサンポリマーを含む口腔組成物 - Google Patents
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Abstract
少なくとも一つの親水性領域をもつシロキサンポリマーを含む活性成分を含む口腔組成物を提供する。本口腔ケア組成物は、リン含有部分をもつシロキサンポリマーを含む。フッ化物イオン及び/または他の口腔ケア活性の供給源を口腔ケア組成物に配合することができる。本口腔組成物の製法及び使用法も提供する。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
関連する出願
[0001] 本出願は、本明細書中、その内容が参照として援用される、2006年5月1日出願の米国仮特許出願第60/796,384号の利益を請求する。
[0001] 本出願は、本明細書中、その内容が参照として援用される、2006年5月1日出願の米国仮特許出願第60/796,384号の利益を請求する。
発明の背景
[0002] 歯垢または歯垢バイオフィルム(plaque biofilm)は歯に形成される柔らかい沈着物であり、そして歯肉炎、歯周炎、虫歯、及び他の歯周病の発症に関与する。歯垢バイオフィルムは、リン酸カルシウムの結晶が歯垢バイオフィルムの外皮(pellicle)及び細胞外マトリックスに沈着し、そして結晶性ヒドロキシアパタイトとなるときに歯に形成される固い石化した固体である結石または歯石のための場所を与える。定期的な歯磨きはこれらの沈着物の急速な集積を防止するのに役立つが、定期的に磨いていても歯に付着する結石沈着物を全て取り除くのには十分ではない。
[0002] 歯垢または歯垢バイオフィルム(plaque biofilm)は歯に形成される柔らかい沈着物であり、そして歯肉炎、歯周炎、虫歯、及び他の歯周病の発症に関与する。歯垢バイオフィルムは、リン酸カルシウムの結晶が歯垢バイオフィルムの外皮(pellicle)及び細胞外マトリックスに沈着し、そして結晶性ヒドロキシアパタイトとなるときに歯に形成される固い石化した固体である結石または歯石のための場所を与える。定期的な歯磨きはこれらの沈着物の急速な集積を防止するのに役立つが、定期的に磨いていても歯に付着する結石沈着物を全て取り除くのには十分ではない。
[0003] 種々の抗菌剤が細菌の成長を遅らせる臨床的能力をもつので、歯垢形成、経口感染及びこれらに関連する疾患を最小化する能力をもつことは知見されていたことであった。しかしながら、多くの抗菌剤は他の口腔ケア活性剤と不適合若しくは不安定であったり、in vivoで送達するのが困難であったり、または他の望ましい追加の口腔ケア成分を不活化させてしまうことがある。抗菌剤には、口腔組成物中に配合するのが困難であったり、高価なものもある。
[0004] 安定な抗歯垢活性剤(antiplaque active agent)及び/または抗歯石活性剤(antitartar active agent)を使用することによって、歯垢形成並びに他の有害な口腔衛生への影響を防いだり、これに対抗したりする非常に有効な口腔組成物を開発することが望ましい。かくして、好ましくは口腔疾患に寄与及び/またはこれを悪化させる多くの病因的因子を予防しまたはこれを減少させることにより口腔疾患の影響を軽減するように機能する活性成分を配合することによって、口腔疾患の発達または進行を効果的に軽減する口腔ケア組成物に対する需要がある。さらに、口腔ケア組成物中で安定な口腔ケア活性剤を使用する必要があり、それによってin vivoで患者に送達される口腔ケア活性剤の機能性及び生物学的利用能が保持されそして安定化される。
発明の詳細な説明
[0005] 以下の記載は単なる例示的なものであって、本発明の開示、出願または使用を限定するものではない。
[0005] 以下の記載は単なる例示的なものであって、本発明の開示、出願または使用を限定するものではない。
[0006] 種々の態様において、口腔ケア組成物は、中でも抗歯垢効果及び歯石管理などの種々の口腔ケアのメリットを提供するシロキサンポリマーを含む活性成分を有する。「シロキサンポリマー」とは、繰り返し構造単位:(-O-SiRR'-)n{式中、R及びR'は、同一または異なる側構成基(side constituent group)であり、nはポリマー骨格中のSRUの繰り返しを表す2を超える任意の値であってもよい}によって一般に記載される、同一または異なっていてもよい側構成基をもつケイ素と酸素の基本骨格をもつポリマーを指す。シロキサンポリマーは、「シリコーン」ポリマーとして当該技術分野でも公知である。シロキサンポリマーとしては、ポリヘテロシロキサンが挙げられ、ここで側基及び/または繰り返し構造単位は(種々の側構成基をもつ)異なった構成要素、たとえば組成SRU式、(-O-SiRR')n-(-O-Si-R''R''')m{式中、R及びR'はR''及びR'''と異なる側基であり、mは整数である}によって記載されるシロキサンコポリマーなどであってもよい。さらにR及びR'は互いに異なっていてもよく、R''及びR'''についても同様であってもよい。そのようなシロキサンポリマーは、たとえばトリメチルシリル((CH3)3Si)で終わるシロキサンまたはエチルビニルで終わるシロキサンなどのように種々の末端基で終わっていてもよい。シロキサンポリマーは、たとえばエチレン性不飽和基がヒドリド基と反応するヒドロシリル化反応などで架橋することが多い。
[0007] 慣用のポリオルガノシロキサンポリマーは疎水性である。しかしながら、本開示の種々の側面に従って、本活性成分は少なくとも一つの親水性領域をもつシロキサンポリマーを含む。種々の態様において、親水性領域は、アルキレンオキシド、アミンまたはリン含有基などの一つ以上の親水性部分を含む。特定の態様では、親水性領域としてはリンを含む部分が挙げられる。代表的なリン含有部分としては、以下詳細に記載するように、ホスフェート、ホスホナート、リン脂質などが一例として挙げられる。
[0008] 特定の態様では、シロキサンポリマーはペンダントアルキル基(pendant alkyl group)を含む。シロキサンポリマーはさらに、たとえばホスフェートなどのリン含有部分を含む。この点において、口腔ケア活性成分として使用するのに好適なシロキサンポリマーは、ホスフェートと一つ以上のアルキル基を含み、そしてアルキルホスフェートシロキサンポリマーと広く称される。特定の態様では、アルキル基はメチル基が選択され、そしてシロキサンポリマーはホスフェート基を有するポリジメチルシロキサンを含む。
[0009] 特定の態様では、シロキサンポリマーは、組成一般式(I):
{式中、R1はアルキル、アリール、アミド、エステル、ピロリドン、ビニル、アクリレート、シロキサン、ウレタン、カーボネート、ビニルアルコール、アルキレンオキシド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;そしてR2はホスフェート、ホスホナート、リン脂質、ホスフェート含有基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される部分を含む}に従った化合物を含む。特定の態様において、R1アルキル及び/またはアリール基は(C1〜C50)の範囲であり、そして態様によっては、たとえばC2〜C10、場合によりC2〜C6を有する低級アルキル/アリール基を有する。特定の態様では、アルキレンオキシドは、C2〜C4の範囲であってよく、よってエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドなどが挙げられ、その中の複数の基を提供することができる。Xは0〜100を変動し、Yは1〜100の範囲である。
[0010] 特定の態様において、R1は式:-(CH2)v-(Q)zを含み、ここでQはC2H2OまたはC3H6OなどのC2〜C3を有するアルキレンオキシド;CH2CH(OH);CONH、CO2、NH、CONH、
から選択される少なくとも一つの基であり、ここでv及びzはそれぞれ1〜16である。たとえばR2はPO3H2、PO3K2、PO3Na2、PO3Li2及びPO3(NH4)2から、たとえばホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミンなどといったリン脂質から選択することができる。
[0011] 好適なシロキサンポリマーは、米国特許第5,530,084号(Iharaら);同第5,070,171号及び同第6,175,028号(いずれもO'Lenick);同第6,124,490号(Gormleyら);同第6,225,489号、同第5,849,313号及び同第5,688,496号(全てFostら);並びに同第5,859,161号(Imperanteら)に開示されている。上記に掲げるものを含む、詳細な記載に参照した全ての文献は、明示的にその全体が参照として含まれる。
[0012] 態様によっては、ホスフェート含有部分をもつシロキサンポリマーは、米国特許第5,070,171号に開示された種類のジメチコーンコポリオールホスフェートを含む。そのようなシロキサンポリマーは、ペンダントホスフェート官能基(pendant phosphate functional group)を有し、ヒドロキシル基含有シリコーンをホスフェート化試薬(phosphating reagent)と反応させることによって製造する。
[0013] 特定の態様では、ホスフェート部分を含むシロキサンポリマーは、式(II):
{式中、R2は-PO3H2または-(CH3CH2H3O)nPO3H2などのペンダントホスフェート基であり、xは0〜100であり、yは1〜100であり、そしてmは0〜15である}を有する化合物である。他の態様では、シロキサンポリマーは、少なくとも一つのホスフェートと少なくとも一つのアミン基とを含む。リン含有部分としてリン脂質を含むそのようなシロキサンポリマーの好適な化合物の例としては、式(III):
{式中、R3はC1〜C50の範囲のアルキル基であり、xは0〜100であり、yは1〜100である}を有する。態様によってR3はC18アルキル基である。
[0014] 口腔ケア組成物及び/またはパーソナルケア組成物で使用するのに適したリン含有部分を含むシロキサンポリマーの非限定的な例としては、呼称PECOSIL(登録商標)PS-100(ジメチコーンポリエチレングリコール(PEG-7)ホスフェート)、PS-200(ジメチコーンポリエチレングリコール(PEG-10)ホスフェート)、WDS-100(ジメチコーンポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール(PEG/PPG-7/4)ホスフェート)、WDS-200(ジメチコーンポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール(PEG/PPG-12/4)ホスフェート)、及びPECOSIL(登録商標)PSQ-418(ステアルジモニウムヒドロキシプロピルPEG-7ジメチコーン)という呼称のもと、ソマービル、ニュージャージー州、アメリカ合衆国のPhoenix Chemicalより市販のリン酸化シリコーンポリマーが挙げられる。
[0014] 口腔ケア組成物及び/またはパーソナルケア組成物で使用するのに適したリン含有部分を含むシロキサンポリマーの非限定的な例としては、呼称PECOSIL(登録商標)PS-100(ジメチコーンポリエチレングリコール(PEG-7)ホスフェート)、PS-200(ジメチコーンポリエチレングリコール(PEG-10)ホスフェート)、WDS-100(ジメチコーンポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール(PEG/PPG-7/4)ホスフェート)、WDS-200(ジメチコーンポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール(PEG/PPG-12/4)ホスフェート)、及びPECOSIL(登録商標)PSQ-418(ステアルジモニウムヒドロキシプロピルPEG-7ジメチコーン)という呼称のもと、ソマービル、ニュージャージー州、アメリカ合衆国のPhoenix Chemicalより市販のリン酸化シリコーンポリマーが挙げられる。
[0015] これらの市販されているリン酸化シロキサンポリマーは、一般に、以下の構造式(IV):
{式中、R5は(C2H4O)aであり、ここでaは所望のエチレングリコール(PEG)鎖長/所望の分子量に基づいて変化し;そしてPECOSIL(登録商標)WDS-100及びWDS-200は(CH3C2H3O)b(C2H4O)cであり、ここでb及びcは、プロピレングリコール(PPG)及びエチレングリコール(PEG)の選択された鎖長に基づいてそれぞれ変化する}を有する。この一般的な種類のポリマーはxが0〜100であり、yが1〜100である。
[0016] 口腔組成物用の活性成分として有用なリン含有部分を含む親水性領域をもつ別のシロキサンポリマーは、Uniqema Inc.(ウィリミントン、デラウエア州、アメリカ合衆国)製の呼称MONASILTMPLN(ARLASILKTMリン脂質PLNとしても入手可能)のもと、市販されているリノールアミドプロピルPG-ジモニウムクロリドホスフェートジメチコーンである。このポリマーは、上記式IIIで既に示した構造をもち、そしてこの種類のポリマーには、特定の態様においてR3がC18を示す、xが0〜100で、そしてyが1〜100のものが含まれる。
[0017] 態様によっては、シロキサンポリマーの親水性領域は、アルキレンオキシド及び/またはアミンなどの一つ以上の親水性基を含み、ここで前記シロキサンポリマーは、式(V):
{式中、R4はHまたは-PO3H2から選択され、xは0〜100であり、yは1〜100であり、そしてmは0〜15であり、そしてnは0〜15である}をもつ化合物を含む。たとえば、R4がHと選択されたシロキサンポリマーはDC-190として市販され、そしてDow-Corning Company(ミッドランド、ミシガン州、アメリカ合衆国)より入手可能である。親水性領域をもつ他の好適なシロキサンポリマーは、Dow-Corning Company(ミッドランド、ミシガン州、アメリカ合衆国)から呼称DC-193(ポリエチレンメチルポリシロキサンコポリマーまたはPEG-12ジメチコーン)及びDC-5103(エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドとのシロキシル化(siloxylated)ポリエーテル界面活性剤)のもと市販されている。
[0018] 種々の態様において、少なくとも一つの親水性領域を含むシロキサンポリマーは、付着防止剤(antiattachment agent)または抗接着剤(antiadhesion agent)として機能すると考えられている。本発明を限定するわけではないが、付着防止口腔ケア活性成分は通常、二つの主な付着防止機構のどちらか(または両方)によって作用すると考えられている。バイオフィルム(外皮(pellicle)とも称される)は、口腔表面の典型的には硬組織表面上に形成されるマトリックスであり、細菌(通常、バイオマトリックスの約60〜70%)、細菌の細胞外副生成物、タンパク質、脂質及び糖脂質を含む。「口腔表面」なる用語は、口腔内の硬組織及び軟組織を包含する。硬組織としては、歯、歯周支持体(periodontal support)などが挙げられる。軟組織としては、歯茎、舌、口腔表面を含む。種々の態様の口腔組成物は、ヒト並びに、猫科の動物及びイヌ科の動物などの、他の温血の高等脊椎動物を含む哺乳類被検体で使用することができる。
[0019] 理論的根拠はないが、バイオフィルム形成の初期段階には、口腔表面の受容体と相互作用する細菌細胞壁上のリガンドまたは接着因子によって付着すると通常考えられている、口腔表面に付着する初期細菌層が含まれると考えられる。細菌細胞は、たとえばエナメルなどの口腔表面上にある唾液糖タンパク質に付着すると考えられる。細菌は、細胞外グルカンポリマーを生成して、口腔表面に付着することによって、より強く付着するようである。次いで細菌は成長し、そして分裂して、口腔表面に緻密層を形成する。ある密度に到達した後、細菌は再編成し、そして柱や不規則な表面構造を形成し始めると考えられる。さらにバイオフィルムマトリックスは、最初の層の固着細菌に付着した細胞クラスターを形成する多層になった種及び様々な種からなる複雑な群集をもつと考えられる。
[0020] 特定の理論的根拠はないが、付着防止口腔ケア剤によって作用すると考えられている一つのメカニズムは、付着防止剤が細菌それ自体と相互作用して、通常、口腔表面のレセプターまたは他の部分と連携し易くするであろう細菌表面の付着物、リガンドまたは他の部分との相互作用によっておそらく、口腔表面に細菌が付着しないようにすることと考えられている。
[0021] 別の付着防止メカニズムは、薬剤が口腔表面と相互作用して保護層を形成するというものであり、それにより、細菌とバイオフィルム成分が口腔にも歯の表面にも付着できず、それによって口腔表面に初期固定層(anchoring layer)が形成されないようにする。そのような付着防止剤は実質的に口腔表面を覆うことができ、そして細菌及びバイオフィルムマトリックスの他の成分が付着しないようにすることができる。本発明によって作用する任意の特定のメカニズムに制限するものではないが、本開示の種々の態様のシロキサンポリマー活性剤は、そのようなメカニズムによって機能し、歯の表面をコーティングし、その表面エネルギーを変え、そして細菌が付着しないようにすると考えられている。
[0022] かくして、任意の特定のメカニズムに限定するものではないが、活性成分として、親水性領域、たとえばリン含有部分をもつシロキサンを含む口腔ケア組成物は、歯の表面に細菌が付着するのを実質的に阻害する付着防止メカニズムによって機能すると考えられる。「実質的に阻害する」とは、バイオフィルムの生成または増殖を妨げることを意味する。しかしながら、阻害が起きる程度は、口腔表面にin vivoで送達される活性成分の濃度及び分布、並びに活性成分での処理前に存在するバイオフィルムの量に依存する。親水性領域をもつ特定のシロキサンポリマーは、(表面エネルギーを低下させることによって)エナメルなどの硬組織の表面エネルギーを変え、そして順に歯の表面に歯垢バイオフィルムが形成するかもしれない微生物の接着及び付着を防ぐかまたは軽減するようである。好ましいシロキサンポリマーは、これらのポリマーが歯の表面に微生物の成長及び/または付着を効果的に妨害または軽減するのに十分な時間、付着し続け、それによって、バイオフィルムの形成を阻害または軽減するように、歯の表面における持続性を有する。
[0023] ある態様では、口腔組成物は、歯の表面に細菌がバイオフィルムを形成しないように実質的に阻害する付着防止剤であると考えられる、少なくとも一つの親水性領域を含むシロキサンポリマーである抗歯垢剤及び/または抗歯石活性成分を含む。この親水性領域は、アルキレンオキシド、ホスフェート、ホスホナート、リン脂質、アミン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される部分を含む。そのようなシロキサンポリマーとしては、中でも上記のものが挙げられる。口腔組成物中のものとして送達されたシロキサンポリマーの効能は、追加の抗菌剤が必要ないほどに十分である。たとえば、特定の態様において、口腔組成物は、ハロゲン化ジフェニルエーテル、オイカリプトール、チモール、メントールなどの親油性活性成分を実質的に含まない。この点において、本組成物は、費用がかかり配合が複雑な活性成分は少量しか必要でないのに歯垢付着防止能が高い。「実質的に含まない」とは、検出できなくなる程度か、または(所望の特徴または特性がないことが必要な場合に)所望の目的に関してそのアイテムを使用するのに好適である程度まで成分または化合物が存在しないことを意味する。特定の態様では、実質的に含まないとは、非イオン性または親油性活性成分が約3重量%未満、場合により約2重量%未満、場合により約1重量%未満であること、そして好ましくは活性成分を完全に含まないことを意味する。特定の態様では、口腔組成物は、少なくとも一つの親水性領域を含むシロキサンポリマーである、抗歯垢剤及び/または抗歯石活性成分から本質的になる。
[0024] そのような口腔組成物は場合により、口腔組成物中に配合するために、または以下詳細に記載するように、ポリホスフェート抗結石化合物または抗虫歯剤などの特定の所望の口腔ケアの利益を提供するために、それほど複雑でない他の活性成分を含むことができる。特定の態様において、口腔組成物は、少なくとも一つの親水性領域をもつシロキサンポリマーから本質的になる抗歯垢剤または抗歯石剤を含む。
[0025] 種々の態様において、そのような付着防止効果は、比較的低濃度で得られる。たとえば、口腔組成物は、約0.001〜約3重量%、より好ましくは約0.5〜約2.5重量%で口腔組成物中に存在する一つ以上の親水性領域をもつシロキサンポリマーをもつ活性成分を含む。特定の態様において、口腔組成物は、約1重量%で一つ以上の親水性領域をもつシロキサンポリマーを含む。
[0026] 種々の態様に従って、本発明の開示の種々の態様で提供されるように、親水性領域をもつシロキサンポリマーを含む活性成分を有する口腔組成物を適用することによって、水性の口腔中で洗い流される他の多くの抗菌成分と比較して、低い濃度でより長期に、より有効な抗歯垢効果を増進する。そのように歯垢を減らして、同様に結石や歯石も制御する。
[0027] 種々の態様において、非常に有効な抗歯垢及び抗結石口腔ケア組成物は、単一の抗歯垢/抗菌成分として親水性領域をもつシロキサンポリマーを含む。しかしながら、特定の態様において、一種以上の追加の活性成分を口腔ケア組成物に含めることができる。シロキサンポリマーと共に使用するための任意の追加の活性成分は注意深く選択すべきである。添加する場合には、追加の活性成分はシロキサンポリマー剤の効能及び生物学的利用能と反応することもこれを損なうこともあってはならない。
[0028] 口腔ケア組成物用の口腔ケア活性成分の非限定的な例としては、たとえば、歯のホワイトニング剤、抗菌剤、抗虫歯剤、抗歯石剤、抗歯垢剤、抗接着剤、脱感作剤、抗炎症薬、口臭防除剤、フレーバー剤、着色剤、抗加齢剤、唾液腺刺激剤、歯周賦活剤、調整剤、湿潤剤(moisturizing agent)(皮膚軟化剤、閉塞剤(occlusive reagent)及び保湿剤(humectant)を含む))、天然抽出物及び精油、栄養素、酵素、タンパク質、アミノ酸、ビタミン、鎮痛剤、抗生物質並びにそれらの混合物が挙げられる。本明細書中のこれらの有用なものの中の具体的な口腔ケア活性剤は、米国特許第4,894,220号(Nabiら)、同第5,288,480号及び同第5,776,435号(いずれもGaffarら)、同第5,681,548号(Espositoら)、同第5,912,274号及び同第5,723,500号(いずれもStringerら)、同第6,290,933号(Durgaら)及び同第6,685,921号(Lawlorら)、並びに米国特許出願公開第2003/0206874号(Doyleら)に開示されている。さらに、口腔ケア組成物及びパーソナルケア組成物の両方に対する広範な種類の好適な活性成分は、Gottschalkら編集のInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第10版、第3巻(2004年)に列記されている。そのような活性成分は当業者に公知である。
[0029] 同一種類のなかでさえも、追加の口腔ケア活性成分の混合物は本発明の開示で考慮される。種々の態様において、追加の活性成分は、活性化合物の濃度及び口腔組成物の形状に依存して、口腔組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.001重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約3重量%を構成する。
[0030] 種々の態様において、追加の活性成分は非親油性または非イオン性であるのが好ましい。しかしながら、特定の態様に関しては、非イオン性抗菌剤は場合により口腔組成物に含まれ、そしてフェノール性及び/またはビスフェノール性化合物、たとえばハロゲン化ジフェニルエーテル、たとえばトリクロサン(2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシ-ジフェニルエーテル、トリクロカルバン(3,4,4-トリクロロカルバニトリド)、2-フェノキシエタノール、ベンゾエートエステル、カルバニリド、フェノール、チモール、オイゲノール、ヘキシルレゾルシノール及び2,2'-メチレンビス(4-クロロ-6-ブロモフェノール)などを含むことができる。
[0031] 活性成分は、場合によりカチオン性活性成分も含むことができる。特定の態様では、シロキサンポリマーはアニオン基またはアニオン部分を含み、そして強カチオン活性剤を避けるのが好ましい。というのもそのようなアニオン化合物はカチオン活性成分と結合して、潜在的にその生物学的利用能を減少させることがあるからである。そのような態様では、ペンダントリン含有部分をもつアニオンシロキサンポリマーなどのアニオンシロキサンポリマーを含む口腔組成物は、実質的にカチオン活性成分を含まない。
[0032] しかしながら、他の態様では、特にシロキサンポリマーが僅かに穏やかなアニオン性であるか、または活性成分が僅かに弱いカチオン性であるとき、カチオン活性成分は口腔組成物で使用するのに好適なこともあり得る。種々の態様において、そのような好適なカチオン活性剤としては、たとえば四級アンモニウム化合物、たとえば塩化ベンサルコニウム及び塩化ベンゼトニウム;ピリジニウム化合物及びイソキノリニウム化合物、たとえば塩化ヘキサデシルピリジニウム;ピリミジン誘導体、たとえばヘキセチジン;アミジン誘導体、たとえばヘキサミジンイセチオネート;ビスピリジン誘導体、たとえばオクテニジンが挙げられる。他のカチオン性活性剤としては、グアニドが挙げられ、たとえばビス-ビグアニドとしては、クロルヘキシジン及びアレキシジンが挙げられる。カチオン化合物である他の任意選択の活性成分としては、Nα-アシルアミノ酸アルキルエステル及び塩、たとえばエチルラウロイルアルギニンエステル塩酸塩(ELAH)が挙げられる。
[0033] 態様によっては、追加の活性成分はバイオフィルム崩壊剤である口腔ケア活性剤を含む。バイオフィルム崩壊剤は通常、口腔表面に既に形成されたバイオフィルム(または外皮)の形成を防止し及び/またはこれを攻撃し、そしてバイオフィルムマトリックスの一部を形成するタンパク質、スターチ及び脂質を加水分解し得る酵素を含む化合物である。特定の態様では、そのような活性成分には酵素があり、たとえば、プロテアーゼ酵素、たとえばシステインプロテアーゼまたはセリンプロテアーゼが挙げられる。例としては、以下の群:パパイン(たとえば、Carica papayaの熟していない果実及び葉のラテックスから単離)、フィシン(たとえば、熱帯イチジクの木、Ficus glabrataのラテックスから単離)、クリラーゼ(krillase)(たとえば南極オキアミから単離)、他のシステインプロテアーゼ及びセリンプロテアーゼ、グルコアミラーゼ、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、植物リパーゼ、胃リパーゼ、膵臓リパーゼ、タンナーゼ、ブロメライン、キモトリプシン、アルカラーゼ、アマライセック(amalysecs)、ラクトフェリン、ジンジパイン、グルコースオキシダーゼ、エラスターゼ及び/またはセルラーゼペクチナーゼ並びにそれらの混合物から選択されるのが最も好ましい。口腔用の他の代表的なバイオフィルム崩壊剤としては、合成ヒスタチン、フラノン、フラノン誘導体及び上記の任意のものの混合物が挙げられる。
[0034] 他の有用な口腔活性成分は、好ましくはフッ化物イオン約25ppm〜約5,000ppmを供給するのに十分な量で存在するフッ化物イオン供給源を含み、たとえばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、モンフルオロリン酸ナトリウム(sodium monfluorophostate:MFP)及びフッ化アミン、たとえばオラフルル(N'-オクタデシルトリメチレンジアミン-N,N,N'-トリス(2-エタノール)-ジヒドロフルオリド)が挙げられる。活性剤としては、スズイオン及び/または亜鉛イオン供給源も挙げられる。好適なスズイオン供給源としては、フッ化スズ、他のハロゲン化スズ、たとえば塩化スズ二水和物、ピロリン酸スズ、有機スズカルボン酸塩、たとえば蟻酸スズ、酢酸スズ、グルコン酸スズ、乳酸スズ、酒石酸スズ、シュウ酸スズ、マロン酸スズ及びクエン酸スズ、スズエチレングリオキシド(stannous ethylene glyoxide)などが挙げられるが、これらに限定されない。亜鉛イオン供給源、たとえば酢酸亜鉛、亜塩素酸亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸ナトリウム亜鉛なども口腔組成物で使用するのに好適である。
[0035] 特定の種類の有用な抗結石活性成分は、直鎖状分子の無水ポリリン酸塩(linear molecularly dehydrated polyphosphate salts)である。ポリリン酸塩は通常、完全または部分的に水溶性アルカリ金属(たとえばカリウム、ナトリウムまたはアンモニウム塩、及びそれらの任意の混合物)で中和された形態で使用される。かくして、抗結石剤として有用な直鎖状分子の無水ポリリン酸化合物としては、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムピロリン酸、二アルカリ金属若しくは四アルカリ金属のピロリン酸塩、たとえばNa4P2O7、K4P2O7、Na2K2P2O7、Na2H2P2O7及びK2H2P2O7、並びに環式リン酸塩、たとえばトリポリリン酸ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム、またはこれらの混合物が挙げられる。種々の態様において、そのような活性成分は、組成物の約0.001〜約10%、より好ましくは約1%〜約5%の間の濃度で存在する。以下でより詳細に記載するように、ホームケア組成物及びクレンジング組成物中の活性成分として、ポリリン酸塩も使用することができる。
[0036] 合成アニオン性直鎖状ポリカルボキシレートも、特に組成物中の抗菌剤、抗歯石剤または他の活性剤などの口腔ケア成分の有効性を高めるための、特定の活性成分用の有効性促進剤として公知である。さらにそのような化合物は、以下に記載のようにフィルムを形成するのにも使用することができる。そのようなアニオン性ポリカルボキシレートは通常、その遊離酸、または好ましくは部分的に中和した、またはより好ましくは完全に中和した水溶性アルカリ金属塩(たとえばカリウム、そして好ましくはナトリウム)若しくはアンモニウム塩の形態で使用する。好ましいコポリマーは、無水マレイン酸またはマレイン酸と、別の重合可能なエチレン性不飽和モノマー、好ましくは、約30,000〜約5,000,000の分子量(M.W.)をもつメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)との1:4〜4:1のコポリマーである。一つの好ましいコポリマーはメチルビニルエーテル/無水マレイン酸である。これらのコポリマーの例としては、ISP Corporation(ウェイン、ニュージャージー州、アメリカ合衆国)より、呼称GANTREZ(登録商標)のもと市販されており、たとえばAN139(M.W.1,100,000)、AN119(M.W.200,000);S-97医薬品グレード(M.W.1,500,000)、AN169(M.W.2,000,000)及びAN179(M.W.2,400,000)があり、好ましいコポリマーは、S-97医薬品グレード(M.W.1,500,000)である。合成アニオン性ポリカルボキシレートが組成物中に配合される種々の態様では、約0.001重量%〜約5重量%で存在するのが好ましい。
[0037] 唾液腺刺激剤としては、他の慣用の活性成分があり、並びにクエン酸、乳酸、マレイン酸、コハク酸、アスコルビン酸、アジピン酸、フマル酸及び酒石酸並びにそれらの混合物などの食品用の酸(food acid)が挙げられる。H2ヒスタミン受容体アンタゴニストは他の有用な活性成分である。本明細書中で有用なH2アンタゴニストとしては、シメチジン、エチンチジン、ラニチジン、ICIA-5165、チオチジン、ORF-17578、ルピチチジン(lupititidine)、ドネチジン、ファモチジン、ロキサチジン、ピファチジン(pifatidine)、ラミチジン(lamtidine)、BL-6548、BMY-25271、ザルチジン、ニザチジン、ミフェンチジン、BMY-52368、SKF-94482、BL-6341A、ICI-162846、ラミキソチジン(ramixotidine)、Wy-45727、SR-58042、BMY-25405、ロキシチジン(loxtidine)、DA-4634、ビスフェンチジン、スホチジン、エブロチジン、HE-30-256、D-16637、FRG-8813、FRG-8701、イムプロミジン、L-643728、HB-408.4及びそれらの混合物が挙げられる。本明細書中で有用な脱感作剤としては、クエン酸カリウム、塩化カリウム、酒石酸カリウム、重炭酸カリウム、シュウ酸カリウム、硝酸カリウム、ストロンチウム塩及びこれらの混合物が挙げられる。
[0038] 本発明の口腔組成物は、上記のものに加えて場合により他の抗歯垢剤/歯垢破壊剤、たとえばこれらに限定されないが、通常、塩の形態で提供されるもの、銅、マグネシウム及びストロンチウムイオン供給源;ジメチコーンコポリオール、たとえばセチルジメチコーンポリオール;尿素;乳酸カルシウム;カルシウムグリセロホスフェート;ストロンチウムポリアクリレート;及びそれらの混合物が挙げられる。
[0039] 特定の態様では、活性成分は抗炎症薬である。特定の有用な抗炎症性化合物としては、フラボノイド、フラバン、パルテノライド(parthenolide)、たとえばセスキテルペンラクトンパルテノライド、アンドロステンジオール(AED)及びデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)などが挙げられる。他の有用な抗炎症薬は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)である。有用なNSAIDの例としては、インドメチシン(indomethicin)、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、メクロフェナム酸及びそれらの混合物が挙げられる。口腔ケア活性剤に有用な他の好適な抗炎症薬としては、2005年、10月24日出願の米国特許出願第11/256,788号(Worrelら)に開示のオレガノ抽出物(たとえば、Origanum vulgare(通常、オレガノ、野生オレガノまたは野生マジョラムとして公知)または、2005年11月23日出願の米国特許出願第11/285,809号に開示のMagnolia Officinalisなどのモクレン科の植物に由来するモクレン抽出物が挙げられる。あるいは、それに加えて、アスピリン、コデイン、アセトアミノフェン、サリチル酸ナトリウムまたはサリチル酸トリエタノールアミンなどの局所または全身鎮痛剤を使用することができる。
[0040] さらに、口腔ケア組成物用の安全な好適な抗炎症性活性剤は、少なくとも一種のフラボノイドと少なくとも一種のフラバンとの組み合わせを含み、たとえばUnigen Pharmaceuticals, Inc.(スペリオル,コロラド州,アメリカ合衆国)により製造及び販売されている、UNIVERSTIN(登録商標)がある。UNIVESTIN(登録商標)の完全な記載は、米国特許出願公開第2003/0216481号(Jia)に知見することができる。
[0041] 活性成分として有用な代表的な酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ビタミンA、カロテノイド、トコフェノール(ビタミンE)、フラボノイド、ポリフェノール、アスコルビン酸(ビタミンC)、薬草酸化防止剤(herbal antioxidant)、クロロフィル、メラトニン、クロライド、カルシウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、ユビキノンジナトリウム(コエンザイムQ10)、エチルヘキシルガラート、過酸化水素(ホワイトニング剤としても有用)、ヨウ素、リコピン、アスコルビン酸マグネシウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、チオ乳酸、及びそれらの混合物が挙げられる。これらの活性成分はパーソナルケア組成物及びクレンジング組成物でも使用される。
[0042] 特定の態様では、組成物は、抗生物質、たとえばオーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、ネオマイシン、カナマイシン及びクリンダマイシン;並びにそれらの混合物である活性成分を含む。
[0043] 好適な栄養素としては、ビタミン、ミネラル、アミノ酸及びそれらの混合物が挙げられる。ビタミンとしては、ビタミンC及びD、チオアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、パラアミノ安息香酸、バイオフラボノイド及びそれらの混合物が挙げられる。栄養補給剤としてはアミノ酸(たとえばL-トリプトファン、L-リジン、メチオニン、スレオニン、レボカルニチン及びL-カルニチン、脂肪親和性物質(lipotropics)(たとえばコリン、イノシトール、ベタイン及びリノール酸)、魚油(オメガ-3(N-3)ポリ不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸などのその成分を含む)、並びにそれらの混合物が挙げられる。
[0044] 口腔組成物は、好ましくは経口的に許容可能な担体またはビヒクル中で提供する。担体は、口内洗浄剤、歯磨き剤(練り歯磨き、歯磨き粉及び予防ペーストなど)、菓子(ロゼンジ及びガムを含む)、薬剤、フィルムまたは当業者に公知の他の任意の形態の液体、半固体、または固体であってもよい。具体的な担体成分の選択は、所望の製品形態に依存する。
[0045] たとえば、シロキサン活性材料を含む組成物は、口腔ケア組成物中で提供することができ、これは、たとえば練り歯磨き、歯磨き粉及び予防ペーストなどの歯磨き剤、ガム、ビーズ及びチューズなどの菓子、フィルム、塗布製品(paint-on product)、専門用研磨製剤の形態または当業者に公知の他の任意の形態であってもよい。
[0046] 種々の態様において、口腔組成物を製造するのに使用される経口的に許容可能な歯磨き剤担体は水相を含む。上記列記の担体を形成するのに使用し得る慣用の成分は、当業者に公知である。当業者に明らかなように、口腔組成物は場合により、既に記載の成分に加えて他の材料、たとえば界面活性剤(surface active agent)、たとえば界面活性剤(surfactant)、乳化剤及び発泡調整剤(foam modulator)、粘度調整剤及び増粘剤、保湿剤(humectant)、希釈剤、pH調整剤、皮膚軟化剤、湿潤剤(moisturizer)、口当たりをよくする薬剤(mouth feel agent)、甘味剤、フレーバー剤、着色剤、防腐剤、水などの溶媒及びそれらの組み合わせを含む。上記カテゴリの材料それぞれの一般属性は異なる場合があるが、幾らか共通する属性があるかもしれず、任意の所与の材料は、二つ以上のそのようなカテゴリの材料の中で複数の目的に役立つかもしれないと理解されよう。好ましくはそのような担体材料は、シロキサンポリマー及び、口腔組成物用に選択された任意の追加の活性化合物などの活性成分の構成成分全てと適合し及び安定であるように選択される。
[0047] 通常の有用な界面活性剤は、米国特許第4,894,220号及び米国特許出願第11/256,788号(Worrel)などの上記参照及び記載の特許文献に開示されている。界面活性剤は通常、口腔組成物の重要な側面である。というのもこれらは界面活性剤、乳化剤、発泡調整剤及び/または活性成分分散剤として機能し得るからである。たとえば口腔組成物がアニオン活性成分を含む活性成分を有する場合、担体は、強力なカチオンではない界面活性剤を含むのが好ましい。というのも、そのようなアニオン化合物はカチオン活性成分と結合して、潜在的にその生物学的利用能を低減させてしまう可能性があるからである。シロキサンポリマーの化学組成(たとえば、上記式Iで特定したR1及びR2基の独自性)に依存して、シロキサンポリマーはアニオン部分またはアニオン特性をもっていてもよい。かくして、シロキサンポリマーが特定の態様でアニオン性をもつ場合、担体は実質的に非適合性界面活性剤、たとえば強カチオン界面活性剤を含まないのが好ましい。
[0048] 通常、経口担体に好適な界面活性剤は、広範なpH範囲で適度に安定で且つ発泡するようなものである。これらの化合物は当該技術分野で公知であり、これらの例としては、非石鹸アニオン性(たとえばラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、N-ミリストイル及びN-パルミトイルサルコシン)、非イオン性(たとえばポリソルベート(Polysorbate)20(ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート、TWEEN(登録商標)20)、及びポリソルベート80(ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート、TWEEN(登録商標)80)、ポロキサマー(Poloxamer)407(BASF Corporation(フローハムパーク、ニュージャージー州、アメリカ合衆国)より商標名PLURONIC(登録商標)F127のもと市販されている)、カチオン性、両性イオン性(たとえばココアミドプロピルベタイン及びラウラミドプロピルベタイン)、並びに両性の有機合成洗剤が挙げられる。活性成分がアニオン性化合物を含む態様では、界面活性剤は好ましくは、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤及びそれらの混合物からなる群から選択される。特定の態様において、一種以上の界面活性剤が、約0.001%〜約5%、好ましくは約0.5%〜約2.5%の範囲で口腔組成物中に存在する。
[0049] 任意の好適なフレーバー材料または甘味材料も使用することができる。好適なフレーバー構成成分例としては、フレーバー油、たとえばスペアミント、ペパーミント、ウインターグリーン、ササフラス、クローブ、セージ、ユーカリ、マジョラム、シナモン、レモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツの油、及びサリチル酸メチルがある。メントール、カルボン、及びアネトールなどの化学薬品も有用である。好適な甘味剤としては、蔗糖、乳糖、麦芽糖、ソルビトール、キシリトール、サイクラミン酸ナトリウム、ペリラルチン、AMP(アスパルチルフェニルアラニン、メチルエステル)、サッカリンなどが挙げられる。上記のごとく、特定の態様では、口腔組成物は実質的に親油性薬剤、たとえば親油性フレーバー剤(flavorant)を含まない。しかしながら特定の態様では、フレーバー剤及び甘味剤は、それぞれまたは一緒に約0.05%〜約5%、好ましくは約0.5〜約1.5%の濃度で口腔組成物中に配合することができる。
[0050] 口腔組成物が口内洗浄剤の形態である態様では、代表的な担体は実質的に液体である。「口内洗浄剤(mouth rinse)」なる用語としては、マウスウオッシュ、スプレー、リンスなどが含まれる。そのような製剤では、経口的に許容可能な担体は通常、水または水とアルコールとの混合物のいずれかを含む水相を有する。さらに、種々の態様では、経口担体は通常、保湿剤、界面活性剤及びpH緩衝剤を有する。
[0051] 口腔組成物が菓子の形態である態様では、典型的担体は実質的に固体または半固体である。菓子用担体は当該技術分野で公知である。ロゼンジに関しては、担体は通常、ロゼンジベース材料(たとえば非齲蝕原性(non-cariogenic)ポリオール及び/またはスターチ/糖誘導体を含む)、乳化剤、潤滑剤、フレーバー剤、増粘剤及び場合により、コーティング材料を含む。チューインガム担体は通常、チューインガムベース、一種以上の可塑剤、甘味剤及びフレーバー剤を有する。
[0052] 口腔組成物がフィルムの形態である態様では、典型的な担体は実質的に固体または半固体である。通常、そのようなフィルム担体は、親水性ポリマーなどの水溶性または分散可能なフィルム形成剤を含む。場合により、フィルム担体は、除去可能な裏打ち相としての疎水性フィルム形成性ポリマー、または親水性フィルム形成性ポリマーと混合した疎水性フィルム形成性ポリマーも含んでいてもよい。フィルム担体は場合により、可塑剤、界面活性剤、充填剤、増量剤(bulking agent)及び粘度調整剤を含む。
[0053] 口腔組成物が歯磨き剤の形態である態様では、代表的な担体は実質的に半固体または固体である。歯磨き剤は通常、界面活性剤、保湿剤、粘度調整剤及び/または増粘剤、研磨剤、溶媒、たとえば水、フレーバー剤、及び甘味剤を含む。
[0054] 種々の態様において、口腔組成物は、単一成分内または単一相内に提供することができる。他の態様では、口腔組成物は、別々に保持された第一の成分と第二の成分の両方を含む。成分を別々に保持するには、口腔組成物の一つの成分と口腔組成物のもう一つの成分との相互作用が実質的に起きないように、その成分を保持することだけが必要である。通常、二成分口腔組成物は、口腔組成物中に一種以上の不適合成分が含まれる場合に使用される。たとえば、活性成分がアニオン性を有するシロキサンポリマー成分を含む場合、強アニオン成分からカチオン化合物を別個に保持すると都合がよい。成分の分離は、当該技術分野で公知のまたは発見されるであろう任意の手段によって実施することができ、化学的、物理的及び機械的分離手段、これらの任意の組み合わせが挙げられる。たとえば、第一の成分と第二の成分を混合することができるが、特定の成分は、フィルム、コーティング、カプセル、ミセルなどで一方または両方を包み、または封入することによって個別に保持する。
[0055] よって、上記口腔ケア組成物の種々の態様のいずれも、口腔表面と定期的に、好ましくは少なくとも一日に1回、より好ましくは1週間に複数日に、最も好ましくは日常的に長期に接触または適用される。
[0056] 口腔組成物は、好適に種々の成分を混合することによって調製することができる。たとえば、口内洗浄剤の製造では、シロキサンポリマーを水性溶媒及び/またはアルコール中に分散し、次いで保湿剤、界面活性剤及び水の混合物に添加する。次いで、得られたリンス製品を包装する。
[0057] 歯磨き剤は通常、種々の塩(組成物中に配合されるときは、フッ化物塩が含まれる)、及び甘味料(たとえばサッカリン)並びに任意の水溶性口腔ケア活性成分の化合物を水に添加し、混合することによって製造する。別の容器の中へ、全ての保湿剤、ガム及びシロキサンポリマー成分を含むポリマーを一緒に添加する。上記の水ベースの混合物を、保湿剤、ガム及びポリマーと一緒に容器に添加する。混合した成分は場合により、約40℃を超える温度、たとえば約60℃〜約70℃の温度に加熱して、ガムとポリマーとを分散させる。次いで加熱処理した混合物を約38℃(約100°F)未満に冷却する。次いでこの混合物を研磨剤と混合し、これを約15〜約20分間、真空下、高速で混合する。任意のフレーバー油及び任意の親油性口腔ケア活性剤を混合する。この混合物を上記の水ベースの混合物と混合し、十分に分散するまで真空下、高速で混合する。(単数または複数種類の)界面活性剤を添加し、そして混合物を再び混合して分散させる。シロキサンポリマーは場合により、ポリマー相にではなく、界面活性剤と一緒に添加することができる。
[0058] 口腔組成物は、菓子またはトローペ(trope)に配合することができる。菓子(たとえばガム)またはトローペ(たとえばロゼンジ)の形成方法は当業者に公知であり、(単数または複数種類の)他の口腔ケア活性化合物を温かいガムベースの中へかき混ぜる、またはガムベース(たとえば、中でもジェルトン、ゴム乳液、ビニライト樹脂)の外部表面を、望ましくは慣用の可塑剤若しくは柔軟剤、糖または他の甘味料若しくは糖質(たとえばグルコース、ソルビトールなど)でコーティングすることによって製造することができる。好ましくは、シロキサンポリマーをガムベースに添加する。
[0059] 口腔組成物がフィルムの形態である場合、任意の数の慣用のフィルム形成プロセス、たとえば慣用の押出しプロセスまたは溶媒キャストプロセスによって形成することができる。たとえば、溶媒キャスト法によってフィルムを製造するためには、フィルム形成ポリマーを、このポリマーと適合性である十分量の溶媒中に溶解する。溶液を形成したら、可塑剤を攪拌しながら添加し、透明且つ均質な溶液が形成されるまで必要により熱を適用して溶解し易くし、続いてシロキサンポリマー、界面活性剤、増量剤及びその他の成分、たとえばフレーバー及び甘味料などの活性成分を添加する。使用し易くするために、乾燥フィルムは好適なサイズ及び形状のピースに切り出すことができ、そして好適な容器に包装することができる。
[0060] 以下の実施例は、本発明の開示に含まれる種々の態様をさらに記載及び説明するものである。
実施例I
[0061] 三種類の口腔組成物を、本開示の種々の態様に従って製造する。それぞれの口腔組成物は、親水性部分をもった異なるシロキサンポリマーを含んでいる。「組成物A」と「組成物B」と名付けた二種類の組成物は、リン含有部分を含むシロキサンポリマー、即ちそれぞれPECOSIL(登録商標)WDS-200とPECOSIL(登録商標)PS-100を含む。「組成物C」は、ポリエチレンとポリプロピレンオキシドをもつ親水性部分を含むシロキサンポリマー、即ちDC-190を含む。これらのポリマーはそれぞれ、上記に十分に記載された。組成物A、B及びCは、表1に列記した成分を使用して製造する。組成物中に含まれる追加の活性成分はピロリン酸四ナトリウム(抗結石活性成分)及びフッ化ナトリウム(抗虫歯活性成分)である。
実施例I
[0061] 三種類の口腔組成物を、本開示の種々の態様に従って製造する。それぞれの口腔組成物は、親水性部分をもった異なるシロキサンポリマーを含んでいる。「組成物A」と「組成物B」と名付けた二種類の組成物は、リン含有部分を含むシロキサンポリマー、即ちそれぞれPECOSIL(登録商標)WDS-200とPECOSIL(登録商標)PS-100を含む。「組成物C」は、ポリエチレンとポリプロピレンオキシドをもつ親水性部分を含むシロキサンポリマー、即ちDC-190を含む。これらのポリマーはそれぞれ、上記に十分に記載された。組成物A、B及びCは、表1に列記した成分を使用して製造する。組成物中に含まれる追加の活性成分はピロリン酸四ナトリウム(抗結石活性成分)及びフッ化ナトリウム(抗虫歯活性成分)である。
[0062] 少なくとも一つの親水性領域をもつシロキサンポリマーを含む歯磨き剤組成物はすぐれた歯垢付着防止活性を有する。口腔組成物を口腔内の一カ所以上の口腔表面に適用し、そして歯垢形成、歯肉炎、歯周炎、虫歯などを阻止することを含む、口腔の健康全体を増進する。たとえば、口腔ケア組成物が少なくとも一つの親水性領域を有するシロキサンポリマーを含む場合、口腔組成物は、歯垢形成及び口腔表面の種々の口腔細菌の増殖を効果的に阻害する。特定の態様では、口腔組成物はさらに、抗歯石活性、抗虫歯活性、バイオフィルム崩壊活性及び/または抗炎症活性の少なくとも一つを提供する。かくして特定の口腔組成物は、同時に複数の口腔ケアの利益をもたらす。
Claims (28)
- リン含有部分をもつシロキサンポリマーを含む口腔ケア組成物。
- リンを含む前記部分の少なくとも一つが、ホスフェート、ホスホナート、リン脂質、ホスフェート含有基及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
- 前記シロキサンポリマー約0.001〜約3重量%を含む、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
- 前記組成物が、界面活性剤、粘度調整剤、増粘剤、保湿剤、希釈剤、充填剤、pH調整剤、可塑剤、充填剤、ワックス、質感調整剤、フレーバー剤、甘味剤、着色剤、防腐剤、溶媒及びそれらの混合物からなる群から選択される成分を含む、請求項1に記載の組成物。
- 抗菌剤、抗歯石剤、抗歯垢剤、抗虫歯剤、バイオフィルム崩壊剤、酸化防止剤、抗炎症剤、歯のホワイトニング剤、抗接着剤、脱感作剤、口臭防除剤、フレーバー剤、着色剤、抗加齢剤、唾液腺刺激剤、歯周賦活剤、調整剤、天然抽出物、精油、栄養素、酵素、タンパク質、アミノ酸、ビタミン、鎮痛剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
- リン含有部分をもつシロキサンポリマーを含む口腔ケア組成物であって、前記シロキサンポリマーが、歯の表面に細菌がバイオフィルムを実質的に形成しないようにする付着防止剤である、前記口腔ケア組成物。
- リンを含む前記部分が、ホスフェート、ホスホナート、リン脂質、ホスフェート含有基及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の口腔ケア組成物。
- 前記シロキサンポリマーが、アルキルホスフェートシロキサンを含む、請求項9に記載の口腔ケア組成物。
- 前記シロキサンポリマーがポリジメチルシロキサンホスフェートを含む、請求項9に記載の口腔ケア組成物。
- R3がC18アルキル基である、請求項15に記載の口腔ケア組成物。
- 前記シロキサンポリマー約0.001〜約3重量%を含む、請求項8に記載の口腔ケア組成物。
- 抗菌剤、抗歯石剤、抗歯垢剤、抗虫歯剤、バイオフィルム崩壊剤、酸化防止剤、抗炎症剤、歯のホワイトニング剤、抗接着剤、脱感作剤、口臭防除剤、フレーバー剤、着色剤、抗加齢剤、唾液腺刺激剤、歯周賦活剤、調整剤、天然抽出物、精油、栄養素、酵素、タンパク質、アミノ酸、ビタミン、鎮痛剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される活性成分をさらに含む、請求項8に記載の口腔ケア組成物。
- 前記組成物が、界面活性剤、粘度調整剤、増粘剤、保湿剤、希釈剤、pH調整剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、口当たりをよくする薬剤、甘味剤、フレーバー剤、溶媒、水、着色剤、防腐剤及びそれらの混合物からなる群から選択される担体成分をさらに含む、請求項8に記載の口腔ケア組成物。
- 少なくとも一つの親水性領域をもつシロキサンポリマーを含む抗歯垢及び/または抗歯石活性成分を含む口腔組成物であって、前記シロキサンポリマーが、歯の表面に細菌がバイオフィルムを実質的に形成しないようにする付着防止剤であり、そして前記組成物は実質的に親油性活性成分を含まない、前記口腔組成物。
- 前記親水性領域が、アルキレンオキシド、ホスフェート、ホスホナート、リン脂質、アミン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される部分を含む、請求項20に記載の口腔組成物。
- 前記シロキサンポリマー約0.001〜約3重量%を含む、請求項20に記載の口腔組成物。
- 抗虫歯剤、バイオフィルム崩壊剤、酸化防止剤、抗炎症剤、歯のホワイトニング剤、抗接着剤、脱感作剤、口臭防除剤、フレーバー剤、着色剤、抗加齢剤、唾液腺刺激剤、歯周賦活剤、調整剤、天然抽出物、精油、栄養素、酵素、タンパク質、アミノ酸、ビタミン、鎮痛剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される非親油性活性成分をさらに含む、請求項20に記載の口腔組成物。
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