JP2009530557A - 歯車 - Google Patents

Abstract

本発明は、歯車（１）であって、歯環（２）及び歯車ボス（３）、並びに少なくとも周方向で互いに離間して配置されかつ半径方向に延びていて歯環（２）と歯車ボス（３）とを結合しているリブ状部分（１１，１２，１３）を備えており、歯車ボスは軸線方向のボス穴（１９）を備えており、該ボス穴は少なくとも１つの開口部（２０，２１）を有している形式のものに関する。

Description

本発明は、歯車であって、歯環及び歯車ボス、並びに周方向で互いに離間して配置されかつ半径方向に延びていて前記歯環と前記歯車ボスとを結合している少なくとも２つのリブ状部分を備えており、前記歯車ボスは軸線方向のボス穴を備えており、該ボス穴は少なくとも１つの開口部を有している形式のものに関する。

欧州特許出願公開第０８７５６９７Ａ２号明細書並びにドイツ連邦共和国特許出願公開第１０２４６７１１Ａ１号明細書に、ウォーム歯車伝動装置のための歯車、殊に自動車の作動装置のための歯車を開示してある。公知の歯車は、半径方向外側の外歯の歯車歯環を有しており、該歯車歯環は、互いに同軸に配置された２つの周壁から成っている。円周方向で互いに等間隔に分配されていて半径方向に延びるリブ状部分（若しくはウエブ）を介して歯車ボスに支持されており、歯車ボスは相対して位置する２つの開口部を備え、つまり両方の端面にそれぞれ開口部を備えている。リブ状部分は円周方向に延びる背壁（ディスク状部分）上に配置されており、背壁は付加的に歯車歯環と歯車ボスとを互いに結合している。公知の歯車の製造に際して、特にプラスチック射出技術においては、ボス穴の真円度は、半径方向に延びるリブ状部分（ウエブ若しくは条片状部分又はアーム状部分）の冷却時の収縮により不都合な影響を受ける。このことは、特にボス穴の開口部にとって不都合であり、それというのは真円度不良により、歯車は、ボス穴内に受容された支承ピン上を不均一に転動して、かつ支承ピンに対して傾倒させられてしまうことになるからである。これによって摩耗並びに騒音発生は増大することになる。

ドイツ連邦共和国特許出願公開第１０２２８７０５Ａ１号明細書にも、歯環（環状歯部又は歯冠）及び歯車ボスを備えた歯車を記載してある。ドイツ連邦共和国特許出願公開第１０２２８７０５Ａ１号明細書に添付の図１に示してあるように、ボス内に、周方向でウエブによって互いに分離されていて軸線方向に延びる半径方向の種々の幅の複数の凹設部を設けてある。この公知の歯車においても、半径方向のウエブの冷却時の収縮によりボス穴の真円度は損なわれている。

本発明の課題は、ボス穴の少なくとも１つの開口部の領域で真円度の高い歯車を提供することである。

前記課題は本発明の請求項１に記載の構成によって解決される。本発明の有利な実施態様を従属項に記載してある。

本発明の技術思想は、ボス穴の少なくとも１つの開口部に隣接してかつ該開口部に対して半径方向の間隔を置いて、軸線方向に延びていてかつ周方向でつながっている殊に狭い１つの環状溝を設けることにある。このような環状溝により、ボス穴の開口部の領域から、半径方向に延びるウエブ（条片状結合部分）を省略してあり、その結果、ボス穴の開口部領域の冷却時の歪み若しくは変形は避けられ、若しくは少なくとも減少させられるようになっている。つまり、ボス穴の真円度若しくは品質は開口部領域で改善され若しくは高められ、これによって歯車は、ボス穴内に差し込まれた支承ピン上を一様に転動し、つまり支承ピンと同軸に回転するようになっている。支承ピンに対する歯車の傾倒も避けられ、若しくは少なくとも減少されている。したがって歯車とウォームとの間の噛み合いも最適に行われるようになっている。歯車を駆動する電動モータの回転振動若しくは回転むらも改善され、その結果、電動モータの騒音発生も同様に避けられ若しくは減少される。本発明により、ボス穴の品質は著しく改善されている。

本発明は、プラスチックから射出成形により成形される歯車にのみ関するのではなく、熱可塑性及び／又は熱硬化性の材料から成るあらゆる歯車、並びに金属から成る歯車にも用いられるものである。１つの環状溝を設けることによって、半径方向に延びるウエブの、ボス穴の少なくとも１つの開口部の領域の真円度への不都合な影響は減少されている。

特に良好な結果を得るために、環状溝は対称的に形成されている。本発明の実施態様では、環状溝は一定の溝幅で円形に形成されていて、ボス穴に対して同軸に配置されている。

歯車の半径方向の剛性を高めるために、本発明の実施態様では、リブ状部分（アーム状部分）に加えて、歯環と歯車ボスとの間に配置されかつ周方向に延びていて歯環と歯車ボスとを結合する背壁（ディスク状部分若しくは円板状部分）を設けてある。リブ状部分は背壁に結合されていて、該背壁から出発して少なくとも軸線方向に延びて、つまり軸線方向の厚さを有している。リブ状部分及び背壁によって画成されて周方向で互いに仕切られ、つまり離間された室は、連行部及び／又は減衰要素の受容のために用いられるものである。

本発明の有利な実施態様では、環状溝は背壁内に設けられおり、それも殊に有利には、環状溝は半径方向で、ボス穴とリブ状部分の、歯車ボスへの支持領域（接続領域、つまりリブ状部分と歯車ボスとの接続部又は結合部）との間に配置されている。別の実施態様では、環状溝は半径方向で見て歯車ボスに直接に隣接して配置され、若しくは半径方向で歯車ボスの領域内へ広がっている。

歯車のできるだけ平らな背面を得るために、有利な実施態様では、半径方向に延びて歯車ボスと歯環とを互いに結合するリブ状部分は、背壁の一方の側にのみ配置され、つまり背壁から１つの軸線方向にのみ延びて、つまり隆起している、つまり、１つの軸線方向にのみしか厚さを有していない。このために特に有利な実施態様では、背壁は、軸線方向で見て歯車ボスの中間位置に配置されているのではなく、一方の側にずらして、特に歯車背面側にずらして配置されている。

本発明の実施態様では、環状溝は背壁の、リブ状部分とは逆の側に配置されている。歯車は該歯車の背面で、該歯車に相対する１つの構成部分、特にウォーム歯車伝動装置の伝動装置ケーシングと接触するようになっており、したがって特に背面の側でボス穴の開口部の領域の真円度を高くするようになっている。

歯車と、該歯車に相対する構成部分との間の摩擦の少ない接触のために、背壁に対して軸線方向に高くされた環状の支持面、つまり背壁に対して軸線方向にわずかに離間して形成された支持面を設けてあり、該支持面（接触面）でもって歯車は軸線方向で、相対する構成部分に支持されて、周方向で該構成部分に沿って滑動（摺動）するようになっている。本発明の実施態様では、支持面は半径方向で環状溝の外側に、有利には環状溝に直接に隣接して配置されている。有利には支持面は、環状溝の半径方向内側の領域へも、つまり環状溝とボス穴の開口部との間の領域へも延びている。

環状溝を設けることによって安定性が損なわれることをできるだけ小さくするために、環状溝は、歯車ボスの軸線方向の寸法に比べて小さい値の深さしか有していない。環状溝の軸線方向の深さは、背壁の軸線方向の厚さより小さくなっている。

本発明のさらなる利点及び有利な構成は従属項に記載してある。本発明を実施例に即して説明する。図面において、
図１は、歯車の一部分（半部）の歯車背面側から見た斜視図であり、
図２は、歯車の歯車前面側から見た斜視図である。

図面において同一の構成部分及び同一機能の構成部分には同一の符号を付けてある。

図１及び図２に示してある歯車１は、歯環２、中央の歯車ボス３、並びに歯環２と歯車ボス３との間で周方向（円周方向）に延びていて歯環２と歯車ボス３とを結合している背壁４を有している。歯車１は回転軸線５を中心として回転するようになっている。

図２に示してあるように、歯環２は、互いに同軸に配置されかつ軸線方向に延びていて、つまり背壁４に対して垂直に延びていて周方向で閉じられている、つまり環状の２つの環状部分６，７によって形成されている。両方の環状部分（周壁）６，７は、周方向で互いに離間してかつ半径線に対して傾斜して配置された小さな複数のウエブ（条片状部分）８によって互いに結合されており、両方の環状部分６，７間に蜂の巣状の凹設部若しくは切欠き部９を形成してある。外歯１０を備えた歯環２と噛み合う別の構成部分、殊にウォームによって実質的に半径方向外側から半径方向内側へ生ぜしめられる負荷若しくは荷重に対する歯車１、殊に歯環２の形状安定性は、歯環２の上述の構成により高められている。外歯１０の代わりに内歯を設けることも可能である。

図２に示してあるように、歯環２若しくは半径方向内側の環状部分（周壁）７は、１２０°の角度間隔で周方向に分配されていて半径方向に延びる３つのリブ状部分１１，１２，１３を介して歯車ボス３に結合されている。これにより、歯環２は半径方向で歯車ボス３に支持されている。３つのリブ状部分１１，１２，１３は、軸線方向で中心からずらして（外して）配置された背壁（ディスク状部分）４と結合されていて、背壁４、並びに歯環２の半径方向内側の環状部分７及び歯車ボス３の外周と一緒に、周方向で互いに離間され若しくは仕切られた同一大きさの３つの室１４，１５，１６を画成しており、該室（空間部）は、図示省略の連行要素の受容のために、殊に電動モータの出力軸の受容のために用いられるようになっている。一般的には室１４，１５，１６内には、急激に変化する入力モーメント（駆動モーメント）若しくは出力モーメントの減衰のための減衰部材を設けてある。

リブ状部分１１，１２，１３は、背壁４の前側（前面）１７にのみ配置されている。歯車１の、前側１７と相対する後側（背面）１８は、前側１７とは逆にほぼ平らに形成されている。

半径方向の延びていて歯車ボス３に支えられたリブ状部分１１，１２，１３の収縮に基づき、歯車ボス３内の中心に設けられていて相対する両方の開口部２０，２１を有するボス穴１９の真円度は、不都合な影響を受ける、つまり損なわれることになる。

ボス穴１９の、歯車１の後側１８に設けられた開口部２１の真円度を改善するために、開口部２１に対してわずかな半径方向間隔を置いて、歯車ボス３若しくは背壁４内に、全周にわたる環状溝２２を設けてある。環状溝（リング溝）２２は、回転軸線５に対して同軸に配置され、かつ円形に形成されていて、半径方向の一定の幅並びに軸線方向の一定の深さを有している。環状溝２２は支持面２３内に位置しており、該支持面は、半径方向で環状溝２２の両側を周方向に全周にわたって、つまり環状に延びている。支持面２３は、軸線方向で背壁４に対してわずかに高く形成され、つまり背壁４に対して軸線方向にわずかに離間して形成されていて、平滑な表面を成している。

必要に応じて、ボス穴１９の、開口部２１と相対する側の開口部２０の周囲にも環状溝を設けることができ、該環状溝は歯車ボス３に成形される。

図示の実施例では、環状溝２２は、半径方向で見て開口部２１若しくはボス穴１９と歯車ボス３の外側の周面２４との間の領域に、すなわち、半径方向でリブ状部分１１，１２，１３と歯車ボス３との接触領域（接続領域）の内側に配置されている。図示の歯車１は、プラスチック、殊にＰＯＭから射出成形により一体成形されている。本発明に基づく、開口部２１に対してわずかな間隔を置いて環状溝を設けてあることにより、ボス穴１９の品質を開口部２１の領域で改善している。

歯車の一部分の歯車背面側から見た斜視図 歯車の歯車前面側から見た斜視図

符号の説明

１ 歯車、 ２ 歯環、 ３ 歯車ボス、 ４ 背壁、 ５ 回転軸線、 ６，７ 環状部分、 ８ ウエブ、 ９ 切欠き部、１０ 外歯、 １１，１２，１３ リブ状部分、 １４，１５，１６ 室、 １９ ボス穴、 ２０，２１ 開口部、 ２２ 環状溝、 ２３ 支持面、 ２４ 周面

Claims (11)

1. 歯車（１）であって、歯環（２）及び歯車ボス（３）、並びに周方向で互いに離間して配置されかつ半径方向に延びていて前記歯環（２）と前記歯車ボス（３）とを結合している少なくとも２つのリブ状部分（１１，１２，１３）を備えており、前記歯車ボスは軸線方向のボス穴（１９）を備えており、該ボス穴は少なくとも１つの開口部（２０，２１）を有している形式のものにおいて、
   歯車ボスの開口部（２０，２１）の周囲に該開口部に対して半径方向の距離を置いて環状溝（２２）を設けてあることを特徴とする、歯車。
2. 環状溝（２２）は一定の溝幅で円形に形成されていて、ボス穴（１９）に対して同軸に配置されている請求項１に記載の歯車。
3. 歯環（２）と歯車ボス（３）とは、軸線方向で中心を外して前記歯環（２）と前記歯車ボス（３）との間に配置されかつ周方向に延びていて前記歯環（２）及び前記歯車ボス（３）に一体成形された背壁（４）によって互いに結合されている請求項１又は２に記載の歯車。
4. 環状溝（２２）は背壁（４）内に成形されている請求項３に記載の歯車。
5. 環状溝（２２）は半径方向で、ボス穴（１９）とリブ状部分（１１，１２，１３）の、歯車ボス（３）への支持領域との間に配置されている請求項１から４のいずれか１項に記載の歯車。
6. リブ状部分（１１，１２，１３）は背壁（４）の一方の側（１７）にのみ配置されている請求項３から５のいずれか１項に記載の歯車。
7. 環状溝（２２）は、背壁（４）の、リブ状部分（１１，１２，１３）とは逆の側（１８）に配置されている請求６項に記載の歯車
8. 半径方向で環状溝（２２）の外側に、有利には環状溝（２２）に直接に隣接して、背壁（４）に対して軸線方向に高くされた環状の支持面（２３）を設けてある請求項１から７のいずれか１項に記載の歯車。
9. 環状溝（２２）は支持面（２３）の内側に配置されている請求項８に記載の歯車。
10. 環状溝（２２）の軸線方向の深さは、背壁（４）の軸線方向の厚さよりも小さくなっている請求項５から９のいずれか１項に記載の歯車。
11. ウォーム歯車伝動装置において、ウォーム歯車は請求項１から１０のいずれか１項に記載の歯車（１）によって形成されていることを特徴とするウォーム歯車伝動装置。

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