JP2009524836A - 光伝送体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】散乱損失がなく伝送特性に優れた光伝送体を提供する。
【解決手段】重合開始剤、第1重合性化合物、第2重合性化合物を第1部材(12)の中空部に入れて、第1及び第2重合性化合物を共重合させ第2部材(16)を形成する。第2部材(16)は、第1層(21)から断面中央に向かって順に層をつくることにより形成される。第1重合性化合物の重量W1と第2重合性化合物の重量W2とが1/99≦W2/(W1+W2)≦2/3を満たすように第1及び第2重合性化合物が第1部材(12)の中空部に入れられる。第1層(21)から第n層に向かうに従い、W2/(W1+W2)の値が大きくなるように第1及び第2重合性化合物を配合する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光伝送体の製造方法に関し、特にプラスチック光ファイバ等に用いられる光伝送体を製造する方法に関する。
プラスチック光ファイバ等の光伝送体は、互いに屈折率の異なる外殻部と光伝送部とを有する。この光伝送体は、光伝送部に入射した光を、外殻部と光伝送部との界面で反射を繰り返しながら伝送させることにより光信号を伝えるものである。
そこで、伝送損失を大幅に低減した光伝送体を製造すべく様々な提案がなされている。例えば、特許文献1は、所定の一般式で示される2種以上の重合性化合物を所定のモル比で共重合させた重合体組成物から光学部材を製造することを提案している。これにより製造される光学部材の伝送損失は非常に低く、湿熱による伝送損失の増加を抑制することができる。また、予め決まっている性質が発現する単独重合体に比べて、共重合体では発現する性質を制御することができるという利点がある。そのような性質としては、屈折率等の光学的性質やガラス転移点Tg等の熱的性質等がある。
さらにまた、重合性を有しない低分子化合物、つまり非重合性化合物を重合体の中に添加して所定の光学的性質の発現を図る場合には、非重合性化合物が光学部材の中で拡散あるいは揮発することにより他の光学的性質に悪影響を及ぼすことがある。しかし、共重合体とすることにより、添加する低分子化合物の量を減らしたりゼロにしてもその所定の光学的性質を発現できるという利点がある。
また、特許文献2は、所定の化合物を主成分とする重合体混合物で構成され、所定の構造単位の比率を断面円形の径方向で連続的に変化させた光ファイバを提案している。この光ファイバは、C−H結合の振動による赤外吸収の影響を低減し、かつ、経時変化により初期性能が損なわれる心配がない、との効果が前記文献には記載される。
特開平2004−99652号公報 特開平6−297596号公報
しかしながら、特許文献1の組成物を光伝送体に用いると、共重合体により伝送すべき光が散乱してしまい損失する。以降、この現象を散乱損失と称する。また、特許文献2の光ファイバは、伝送損失の低減、ならびに湿熱下における伝送損失増加の抑制には寄与するものの、その素材は側鎖にアルキル基をもつためにガラス転移点が低く、高温下での使用において伝送損失の悪化ならびに変形等の物理耐性の悪化があり、実用性の観点からはまだ満足できる性能をもつとはいえない。
本発明の目的は、高温下での使用に耐え、散乱損失が従来よりも低減された共重合体により光伝送体を製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の光伝送体の製造方法は、以下の工程(A)〜(C)を備える:(A)重合開始剤と、化1の一般式で表される第1の重合性化合物と、化2の一般式で表され、第1の重合性化合物の単独重合体よりも高い屈折率を示す単独重合体を生成しうる第2重合性化合物とを管状容器の中空部に入れること、ここで第1の重合性化合物の重量W1と第2の重合性化合物の重量W2とは1/99≦{W2/(W1+W2)}≦2/3を満たす;(B)管状容器の長手方向に垂直に交差する断面中心を回転中心として管状容器を回転させながら、管状容器の中空部で第1及び第2の重合性化合物を共重合させること;(C)工程(A)と工程(B)とを交互に複数回繰り返し、管状容器の断面において外側から中心に向かい同心円状に層を複数重ねて形成すること、I(ただし、Iは自然数)回目と(I+1)回目との工程(A)ではW2/(W1+W2)の値が互いに異なる。
Figure 2009524836
(化1中、R、Rはそれぞれ独立にHまたはDを表し、RはH、D、CH、CDまたはハロゲン原子を表し、Rは少なくとも一部のHがフッ素原子で置換された炭素原子数2〜8のアルキル基を表す)
Figure 2009524836
(化2中、R、Rはそれぞれ独立にHまたはDを表し、RはH、D、CH、CDまたはハロゲン原子を表し、X〜Xはそれぞれ独立にH、D、ハロゲン原子またはCFを表し、X〜Xの少なくともひとつはハロゲン原子またはCFを表す)
また、上記製造方法においては、(I+1)回目の工程(A)はI回目の工程(A)よりもW2/(W1+W2)の値が大きいことが好ましい。本発明は、上記製造方法により得られる光伝送体を延伸することで製造されるプラスチック光ファイバを含む。
高温下での使用に耐え、散乱損失が従来よりも低減された光伝送体を製造することができる。
本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1において、プラスチック光ファイバ素線の製造工程10は、第1部材形成工程13と、第2部材形成工程17と、加熱工程18と、延伸工程20とを有する。第1部材形成工程13では、プリフォーム11の外殻部となる管状の第1部材12を形成する。第2部材形成工程17では、光伝送部となる第2部材16を第1部材12の中空部に形成してプリフォーム11とする。加熱工程18では、プリフォーム11を加熱する。延伸工程20では、プリフォーム11を長手方向に延伸して素線19をつくる。
第2部材16は外側から内側へと層を順次重ねて生成させることにより形成される。第2部材は長手方向に垂直に交差する断面において同心円状のn層構造(n:自然数)を有する。第2部材16は、外側から内側に向かって順に第1層21,第2層22,・・・,第(n−1)層23,第n層24を有する。第1層21は第1層形成工程31でつくられる。第2層22は、第2層形成工程32でつくられる。第(n−1)層23は、第(n−1)層形成工程33でつくられる。第n層24は、第n層形成工程34でつくられる。
各層21〜24の厚みは、長手方向において一定である。各層の厚みは互いに同じであっても異なっていてもよい。第n層24の形成条件によって、プリフォーム11の断面円形の中心部には空洞部27が形成されたり、形成されなかったりする。なお、図2では、説明の便宜上、第1部材12と第2部材16との境界、及び第1から第n層21〜24の各境界を図示している。製造条件等により境界の明確さは異なる。また、境界は必ずしも確認されない。光の伝搬を考慮すると光学的な境界は存在しないことが好ましい。
本実施形態では、第2部材16をつくる際の容器として第1部材12を使用することにより、単層構造である第1部材12とn層からなる第2部材16とを一体に形成し、全層数が(n+1)であるプリフォーム11を製造する方法を示すが、プリフォーム11の全層数、第1部材12の作製方法、第1部材12と第2部材16とを一体化する方法はこれに限定されるものではない。例えば、管状容器の中で、素線の外殻部となる第1部材を管状につくった後に、この第1部材12の中空部に光伝送部となる第2部材16を(n−1)層の複層構造として形成することにより、第1部材12と第2部材16との全層数がnであるプリフォーム11を製造することができる。また、第1部材12と同じ内径を有する管状容器の中で第2部材16をつくり、管状容器から第2部材16を取り出して、予め作られた第1部材12と第2部材16とを嵌め合わせることによりプリフォーム11を製造することもできる。そして、第1部材12は、重合性化合物を管状容器の中に入れた状態で回転させて重合することにより作製してもよいし、重合体を溶融押出成型することにより作製してもよい。
第1層形成工程31は、第1層21の原料を第1部材12の中空部に入れる注入工程37と、注入した原料から重合体を生成させる重合工程38とを有する。第2層形成工程以降32の各層形成工程も、第1層形成工程31と基本的に同じであるので、図1においてはそれぞれの層形成のための注入工程及び重合工程の図示は略す。このように、注入工程と重合工程との組み合わせを繰り返すことにより、外側から1層ずつ順に形成することにより第2部材16は作られる。
第1部材12の屈折率は、これと接する第2部材16の第1層21の屈折率よりも5×10−3以上低くし、第2部材16における隣り合うふたつの層のうち内側の層の屈折率よりも外側の層の屈折率を5×10−3以上低くする。このように、第2部材16の屈折率は、断面円形の中心に向かうにしたがい次第に高くされてある。また、第2部材16の最外層である第1層21の屈折率は1.4以上1.5以下とされる。これにより、伝送損失をより低くすることができる。なお、第1層21から第n層24へ至る屈折率の変化は、連続的であってもよいし、段階的であってもよい。
第1部材12は、伸度および強度などの物理的特性を向上させる結晶構造をもつ重合体から構成される。これにより、素線が曲げられた時に変形等が生じないようになる。重合により、第1部材12の重合体を生成する重合性化合物としては、結晶構造をもち、かつフッ素原子を含むものが好ましい。このような重合性化合物は、従来品と比較して、素線の低屈折率を実現し、物理強度を向上させる。第1部材12の重合体としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド三元系コポリマー(THV)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)などが好ましく、低屈折率である点でTHVが特に好ましい。
第2部材16の重合体は、化1の一般式で表される第1重合性化合物と化2の一般式で表される第2重合性化合物とを重合させることにより製造することができる。そして、本発明では、第1重合性化合物の重量をW1、第2重合性化合物の重量をW2とするとき、1/99 ≦ W2/(W1+W2)≦ 40/60を満たすように第1重合性化合物と第2重合性化合物とを混合して共重合させる。これにより、第2部材16での散乱損失、つまり光の散乱による伝送損失を防止することができる。W1、W2は、5/95≦W2/(W1+W2)≦40/60を満たすことがより好ましく、10/90≦W2/(W1+W2)≦40/60を満たすことがさらに好ましい。W2/(W1+W2)の値が1/99よりも小さいと、単独重合体ではなく共重合体にした意味がほとんどない。つまり、屈折率やガラス転移点の制御性に乏しくなるためである。また、W2/(W1+W2)の値が40/60よりも大きいと、散乱損失が大きくなり、透明性が要求される光学部材として不適なものとなる点で好ましくない。なお、化1及び化2の側鎖においては、アルキル鎖が短い、あるいは、芳香族基が含まれていることにより、ガラス転移点の向上及び物理特性の向上を図ることができる。
化1の一般式中では、R、Rはそれぞれ独立にHまたはDを表し、RはH、D、CH、CDまたはハロゲン原子を表し、Rは少なくとも一部のHがフッ素原子で置換された炭素原子数2〜8のアルキル基を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子が好ましい。なお、本明細書中でHは水素原子、Dは重水素原子を示す。
化1のR、RはDであることが好ましい。Rは、H、D、CH、CD、フッ素原子、塩素原子が好ましい。CD、フッ素原子、塩素原子がより好ましく、CDがさらに好ましい。Rとしては、炭素原子数が2〜6であってHがフッ素置換されたアルキル基が好ましい。炭素原子数が2〜4であってHがフッ素置換されたアルキル基がさらに好ましい。フッ素置換されたアルキル基については分岐構造や環構造をとってもよいが、直鎖のものが好ましい。さらに、上記アルキル基中に存在するC−H結合は、その一部または全部がC−D結合に置換されていることが好ましい。すなわち、化1で表される第1重合性化合物は、重水素化フルオロアルキルメタクリレートを有していることが好ましく、その重水素化置換率が95%以上100%未満であるものが好ましい。
化1で表される化合物の具体的な化合物例を以下の化3及び化4に示す。ただし、化1で表される化合物は化3と化4とで表される化合物に限定されない。
Figure 2009524836
Figure 2009524836
化2の一般式中では、R、Rはそれぞれ独立にHまたはDを表し、RはH、D、CH、CDまたはハロゲン原子を表し、X〜Xはそれぞれ独立にH、D、ハロゲン原子またはCFを表し、X〜Xの少なくともひとつはハロゲン原子またはCFを表す。
化2において、R、RはDであることが好ましい。Rは、H、D、CH、CD、フッ素原子または塩素原子が好ましく、CDがより好ましい。X〜Xはそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子またはCFが好ましく、フッ素原子または塩素原子がより好ましい。化2中の、フェニル基のハロゲン原子(特に好ましくはフッ素原子)置換数は2以上がさらに好ましく、3以上が最も好ましい。すなわち、化2の一般式で表される第2重合性化合物は、重水素化ハロゲン化フェニルメタクリレートを有していることが好ましく、その重水素化置換率が95%以上100%未満であるものが好ましい。
化2の一般式で表される化合物の具体的な例を以下の化5、化6に示す。ただし、化2の一般式で表される化合物はこれらの化合物に限定されない。
Figure 2009524836
Figure 2009524836
化1で表される第1重合性化合物からなる単独重合体の屈折率と化2で表される第2重合性化合物からなる単独重合体の屈折率とは異なるため、両者の組成比を変えることにより種々の屈折率の共重合体を得ることができる。例えば、上記FA−1からなる単独重合体の屈折率は1.42であり、上記FP−1からなる単独重合体の屈折率は1.50である。そこで、I(ただし、Iは自然数)層目と(I+1)層目との各注入工程で互いに異なる組成比で両重合性化合物を混合することにより、I層目と(I+1)層目とでは異なる屈折率を示すようになる。同様に、両重合性化合物の組成比を第1層21から第n層24まで少しずつ変化させることにより断面の外周から中央に向けて屈折率が変化する、つまり屈折率分布をもつプリフォームを製造することができる。なお、この場合の組成比は、W2/(W1+W2)が上記範囲内である条件下で変化させる。
また、第1および第2の重合性化合物に、以下のものを加えてもよい。例えば、トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)やヘキサフルオロイソプロピルメタクリレートなどのフッ化(メタ)アクリレートと、メチルメタクリレート(MMA)との共重合体がある。また、tert−ブチルメタクリレートなどの分岐を有する(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート、ノルボルニルメタクリレート、トリシクロデカニルメタクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレートなどと、MMAとの共重合体がある。さらには、ポリカーボネート(PC)、ノルボルネン系樹脂(例えば、ZEONEX(登録商標:日本ゼオン(株)製))、ファンクショナルノルボルネン系樹脂(例えば、ARTON(登録商標:JSR製)など)、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PVDFなど)を用いることもできる。また、フッ素樹脂の共重合体(例えば、PVDF系共重合体)やテトラフルオロエチレンパーフルオロ アルキルビニルエーテル(PFA)ランダム共重合体、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体などを用いることもできる。
また、POF15を近赤外光用途に用いるためには、ポリマーを構成するC−H結合に起因した吸収損失が起こるために、特許3332922号公報や特開2003−192708号公報などに記載されているポリマーが用いられる。これらのポリマーは、C−H結合の水素原子が重水素原子やフッ素などで置換されている。このようなポリマーを用いることで、伝送損失を生じる波長域を長波長化することができ、伝送信号光の損失を軽減することができる。このようなポリマーとしては、例えば、重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d8)、ポリトリフルオロエチルメタクリレート(P3FMA)、ポリヘキサフルオロイソプロピル2−フルオロアクリレート(HFIP 2−FA)などを例示することができる。ただし、これらのポリマーが所定量を超えると伝送性能や製造適性が変わってしまう。このため、添加による効果を享受できる最低限に抑えることが好ましく、上記ポリマーを加えないことが特に好ましい。なお、原料となる化合物は、重合後にPOFの透明性を損なわないためにも、不純物や散乱源となる異物は重合前に十分に除去されることが望ましい。
第2部材16に径方向において屈折率をさらに効果的に変化させるために、上記の重合性化合物に屈折率調整剤を添加する。屈折率調整剤の割合は層毎に変えてよい。この場合には、内側の層ほど屈折率調整剤の添加率を高くすることで、上記の屈折率分布をもつプリフォームを製造することができる。なお、屈折率調整剤の詳細に関しては後述する。
重合性化合物の重合においては重合開始剤を使用することが好ましい。重合開始剤としては、第1重合性化合物及び第2重合性化合物の種類及び配合比に応じて選択する。
好ましい重合開始剤としては、例えば、国際公開WO93/08488号公報に記載されているような、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(PBD)、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物が挙げられる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は、上記物質に限定されない。また、2種以上の重合開始剤を併用してもよい。
中でも、重合開始剤としては、ニトリル基を含まない、即ちニトリル基不含のアゾ化合物が好ましい。アゾ系化合物は、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの重合開始剤として好ましいが、ニトリル基を有するアゾ化合物は、加熱による着色が著しく、光ファイバ等の光学部材に要求される光伝送能を低下させる。特に連鎖移動剤としてメルカプタン類を使用する際にはこの現象が顕著である。そこで、ニトリル基不含のアゾ化合物を用いることにより、着色による光伝送能の低下がなく、高い光伝送能を有する光学部材を作製することができる。具体例としては、特開2003−246813号公報、特開2003−192714公報記載の物質を挙げることができ、特に、MAIB(dimethyl 2,2’−azobis(isobutyrate))が好ましい。
重合度を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤については、重合性化合物の種類に応じて、適宜、種類および添加量を決めるとよい。各重合性化合物に対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(例えば、n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンなど)、チオフェノール類(チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオールなど)などを用いることが好ましい。特に、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、連鎖移動剤は、C−H結合の水素原子が重水素原子やフッ素原子で置換されていてもよい。なお、連鎖移動剤は、これらに限定されるものではない。例えば特願2004−322568号記載の連鎖移動剤も用いることができる。また、2種類以上の連鎖移動剤を併用してもよい。
屈折率調整剤を用いる場合には、屈折率調整剤は非重合性の化合物が好ましい。屈折率調整剤の割合は、第2部材16を構成する主成分に対して0.01〜25重量%とすることが好ましく、1〜20重量%とすることがより好ましい。これにより、既に述べたような屈折率分布をより発現させやすくなる。
屈折率調整剤としては、屈折率が高いこと、分子体積が大きいこと、重合性化合物の重合反応に関与しないこと、溶融状態のポリマー中で所定の拡散速度を有する低分子化合物であること、の各性質のうち、少なくともひとつを満たすものが好ましい。なお、屈折率調整剤は、モノマーに限定されず、オリゴマー(ダイマー,トリマーなどを含む)であってもよい。
屈折率調整剤としては、例えば、安息香酸ベンジル(BEN),硫化ジフェニル(DPS),リン酸トリフェニル(TPP),フタル酸ベンジル−n−ブチル(BBP),フタル酸ジフェニル(DPP),ジフェニル(DP),ジフェニルメタン(DPM),リン酸トリクレジル(TCP),ジフェニルスルホキシド(DPSO)などの非重合性低分子化合物を用いることができる。中でも、BEN,DPS,TPP,DPSOを使用することが好ましい。このような屈折率調整剤を、第2部材16を形成する原料のひとつとして用い、さらに、屈折率調整剤の濃度を層毎に調整することにより、第1〜第n層20〜24の各屈折率を所望の値に制御することがより容易となる。
以上の重合開始剤、連鎖移動剤、屈折率調整剤の各添加量は、使用する重合性化合物の種類等に応じて、好ましい範囲を適宜決定する。各層21〜24における重合開始剤の割合は、重合性化合物に対して0.005〜0.5モル%とすることが好ましく、0.010〜0.1モル%とすることがより好ましい。また、各層21〜24における連鎖移動剤の割合は、各層の重合性化合物に対して0.005〜0.5モル%とすることが好ましく、0.01〜0.1モル%とすることがより好ましい。
その他にも、各層21〜24の一部に、光伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加することができる。例えば、各層21〜24もしくはその一部に耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加することができる。
また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を第1及び第2重合性化合物に添加することもできる。このような化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することができ、伝送距離が向上するので、例えば、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として用いることができる。
第2部材16の製造方法について説明する。ただし、ここに示す実施形態は本発明の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。図3において、重合容器60は、円管状の容器本体60aとこの容器本体60aの両端をそれぞれ塞ぐ蓋部材60bとを有し、SUS製である。また、重合容器60は、その内径が第1部材12の外径よりもわずかに大きいものであり、重合容器60の回転に伴って第1部材12が回転することができるようにされている。
市販の溶融押出成型装置により成型した第1部材12をこの重合容器60に収容する。次に、栓61で第1部材12の片端部を塞ぐ。この栓61は第1層〜第n層21〜24の原料に溶解しない素材からなる。このような素材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
第1層用原料21aである第1及び第2重合性化合物を第1部材12の中空部に注入する。そして、第1部材12の他端部を栓61で塞ぎ、容器本体60aに蓋部材60bを嵌める。なお、重合容器60に代えて第1部材と栓61とを用いることもできる。重合容器60を回転させながら第1及び第2重合性化合物を共重合させて第1層をつくる。なお、第1部材12が重合容器60の回転に応じることができるように、重合容器60の内面等に第1部材12を支持する支持部材を設けてもよい。
重合容器60を回転させる際には、回転重合装置を利用する。図4において、回転重合装置71は、装置本体72の中に設けられた複数の回転部材73と、回転部材を回転させる駆動部76と、装置本体72内の温度を検知してその検知結果に応じて内部温度を制御するための温度コントローラ77とを有している。
回転部材73は、円柱形状であり、2本の周面で少なくともひとつの重合容器60を支持することができるように、長手方向が互いに略平行かつ略水平となっている。各回転部材73は、その一端が装置本体72の側面に回動自在に取り付けられており、駆動部76によりそれぞれ独立して回転駆動される。なお、駆動部76には、駆動部76の駆動を制御するためにコントローラ(図示せず)が備えられている。
図5において、重合反応時においては、各重合容器60は、隣り合う2本の回転部材73によって支持される。回転部材73の回転に応じて重合容器60は回転される。図5では、回転部材73の回転軸を符号73aで示している。このように、回転重合装置71に重合容器60をセットさせて回転させることにより、共重合体を管形状または円柱形状に生成させることができる。なお、本実施形態では、重合容器60の回転をサーフェスドライブ式としているが、重合容器60の回転方式は、特に限定されるものではない。
重合容器60の両端の蓋60bには磁石60cが備えられるとともに、隣り合う2本の回転部材73の間の下方には磁石75が備えられる。これにより、回転時に重合容器60が回転部材73から浮いてしまうことを防止することができる。ただし、重合容器60の回転部材73からの浮きを防止する方法としては、本実施形態に限定されるものではない。例えば、回転部材73と同様な回転手段を、回転重合装置71にセットされた重合容器60の上部に接するように設けて、同様に回転させることにより重合容器60の浮きを防止する方法や、重合容器60の上方に押さえ手段を設けて、重合容器60に所定の荷重をかけることにより浮きを防止する方法などが挙げられる。なお、本発明は浮き防止方法に依存するものではない。以上のようにして第1部材12の長手方向を水平とすることが、第1部材12の内面全体に第1層を形成する上でもっとも好ましい。第1部材の長手方向は略水平であればよく、回転軸の許容される角度は水平に対して概ね5°以内である。
上記重合の前には、第1部材12を立てた状態で重合性化合物を予備重合させてもよい。予備重合を行う際には、所定の回転機構により第1部材12の円管軸を回転中心として回転させることが好ましい。
第1及び第2重合性化合物をはじめとする諸原料については、重合前に予め濾過や蒸留などの処理を行うことにより、重合禁止剤となりうる物質や水分および不純物等をあらかじめ除去しておくことが好ましい。さらに、重合性化合物や重合開始剤を混合した後に、この混合物を超音波処理して溶存気体や揮発性の物質を除去することが好ましい。また、第1層形成工程の前後において、公知の減圧装置により第1部材12や第1層用原料21aを減圧処理してもよい。
以上のようにして第1層が形成された第1部材12を回転重合装置71から取り出した後、本実施形態では、所定温度に設定された恒温槽などの加熱手段により所定時間の加熱処理をしている。
続いて、第2層〜第n層を順次形成する。図6において、この重合容器60は、第1層21を生成させた際に用いたものと同じであるため同一の符号を用いる。まず、第2層用原料22aを第1部材12の中空部に注入する。
栓61により注入口を塞ぎ、第1層21が形成された第1部材12の長手方向を略水平とし、第1部材12の断面円形の中心が回転軸となるように回転させながら重合反応を開始する。このように回転させながら重合を進めることにより第2層を形成する。第2層〜第n層用の第1及び第2の各重合性化合物を共重合させる際には、第1層21の作製時と同様に回転重合装置71(図4参照)を用いるとよい。なお、必要に応じては、第2層用原料22aをはじめとする第2層〜第n層用の各原料を注入するそれぞれの前後において、公知の減圧装置により第1部材12や注入物を減圧処理してもよい。
このとき、第2層用の第1及び第2重合性化合物が共重合を開始すると、第1層21の内壁が第2層用の両重合性化合物により膨潤し、重合初期段階において膨潤層を形成する。この膨潤層は、ゲル状態となっているため、重合速度が加速するといういわゆるゲル効果現象が認められる。このような現象から、本明細書では、あらかじめ作製された管状部材を回転させながら、この管状部材に注入された重合性化合物との反応により膨潤層を形成させて重合性化合物を重合させる。この反応方法を回転ゲル重合法と称する。なお、この重合方法では、本実施形態のように、管状部材の長手方向が水平とされることがより好ましい。
各層形成のための重合反応の反応速度は、適宜調整されることが好ましい。例えば、各重合成化合物の反応進行度合いを表す転化率が、1時間あたり5〜90%となるように反応速度を調整することが好ましい。より好ましくは、1時間あたりの転化率が10〜85%となるように調整することであり、さらに好ましくは20〜80%である。この反応速度の制御は、重合開始剤の種類や重合温度の調整などにより制御することができる。なお、重合性化合物の転化率の求め方は周知の方法を用いればよく特に限定はされない。例えば、重合性化合物の残留量のガスクロマトグラフィによる定量分析と、反応生成物の目視評価とを実施して、両データの関係をあらかじめ求めておき、この関係をもとに目視観察にて転化率を求めるとよい。また、回転速度を適宜調整することにより、各層の重合反応における転化率などを制御することもできる。
以上の方法により、所定の原料により生成された第1層〜第n層の複層構造を第1部材の内部に形成させて第2部材をつくることができる。なお、第1部材12と第2部材16とを別々に作った後に、管状の第1部材12の中に第2部材16を挿入してプリフォーム11を作ることも可能である。
次にプリフォーム11を減圧しながら加熱することが好ましい。これにより、未反応の重合性化合物がプリフォーム11中に残っていた場合でも、それら残留物をプリフォーム11から除去することができる。
プリフォーム11を加熱延伸させることにより所望の直径(例えば、200〜1000μm)を有する素線を得ることができる。なお、プリフォームの延伸方法は、特開平07−234322号公報などに記載される各種延伸方法を適用することができる。
素線は、グレーデッドインデックス型(Graded Index:GI型)でなくてもよい。つまり、製造される素線やプリフォーム等の光伝送体の断面の径方向を横軸、屈折率を縦軸としたいわゆる屈折率分布グラフの形状に本発明は限定されるものではない。したがって、第2部材形成工程において、各層の注入工程におけるW2/(W1+W2)の比率を層毎に任意に設定することにより、例えばW型の屈折率分布グラフや、凹型の屈折率分布グラフとなるような素線やプリフォームをつくることができる。
素線は、曲げ、耐候性の向上,吸湿による性能低下抑制,引張強度の向上,耐踏付け性付与,難燃性付与,薬品による損傷からの保護,外部光線によるノイズ防止,着色などによる商品価値の向上などを目的として、通常、1層以上の保護層を被覆して使用される。
このようにして得られた素線の外周を被覆材により被覆すると、プラスチック光ファイバ心線(プラスチック光ファイバコード,Plastic Optical Cord、以降、心線と称する)を得ることができる。なお、一次被覆を実施した後に二次被覆を実施する方法が一般的である。ただし、被覆層の数については1層または2層に限定されるものではない。
また、この心線を束ねることによりプラスチック光ケーブル(Plastic Optical Cable、以降、光ケーブルと称する)を得ることができる。本明細書においては、心線が1本のままであって必要に応じてさらに被覆を施されたものをシングルファイバケーブルと称する。また、心線がテンションメンバなどとともに複数本組み合わされてさらなる被覆材が被されたものをマルチファイバケーブルと称する。なお、光ケーブルは、これらのシングルファイバケーブルとマルチファイバケーブルとの両方を含む。
一次被覆のみを実施したシングルファイバケーブルを光ケーブルとして用いることもある。この場合、一次被覆による被覆層が光ケーブルの外表とされる。光ケーブルとされるときの被覆の形態としては、二種類あり、一本の前記心線と被覆材との界面、あるいは複数本束ねた状態の心線の外周と被覆材との界面が、すべて接するように被覆されている密着型の被覆と、被覆材と心線との界面に空隙を有するルース型被覆とがある。ルース型被覆では、たとえばコネクタとの接続部において被覆層を剥離した場合、その端面の空隙から水分が浸入して長手方向に拡散されるおそれがあるため、通常は密着型が好ましい。
しかし、ルース型被覆の光ケーブルは、被覆材と心線とが密着していないので、光ケーブルにかかる応力や熱などのダメージの多くを、被覆層により緩和させることができるという利点を有する。そのため、ルース型被覆の光ケーブルは、使用目的によっては好ましく用いることができる。ルース型被覆の場合のコネクタ接続部からの水分の伝播については、光ファイバ心線と被覆材との界面の空隙部に流動性を有するゲル状の半固体や粉粒体を充填することにより、防止することができる。さらに、これらの半固体や粉粒体に対して耐熱や機械的機能の向上などの他の異なる機能を付与させることにより、多機能な被覆層を形成した光ファイバケーブルを製造することができる。また、ルース型の被覆とするには、クロスヘッドダイの押出し口ニップルの位置を調整し減圧装置による減圧度を加減することにより、前記空隙を有する層を形成することができる。この空隙層の厚みは前述のニップル厚みと空隙層とを加圧/減圧することにより調整することができる。なお、第1、第2の被覆工程で設けられる被覆材には、難燃剤や、紫外線吸収剤、酸化防止剤、昇光剤、滑材などを、光伝送特性に影響を及ぼさない条件範囲で添加してもよい。
前記難燃剤としては、臭素を始めとするハロゲン含有の樹脂や添加剤、リン含有のものがあるが、燃焼時における毒性ガス低減などの安全性の観点では、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物が主流となりつつある。ただし、このような金属水酸化物は、その内部に水分を結晶水として有している。この水分は、これら金属水酸化物の製法過程における付着水に起因するものであり完全除去は不可能とされる。したがって、金属水酸化物による難燃性付与は、素線に接する被覆層には含有させず、ケーブルとしての外表となる被覆層に対してのみ行うことが望ましい。
また、光ケーブルに複数の機能を付与させるために、さらに、適宜機能材料よりなる機能層を被覆させてもよい。前記難燃化層以外の機能層としては、例えば、素線の吸湿を抑制するためのバリア層や、素線に含有された水分を除去するための吸湿材料層などが挙げられる。なお、この吸湿材料層の付与方法としては、例えば、吸湿テープや吸湿ジェルを所定の被覆層内や被覆層間に設ける方法がある。
さらに、その他の機能層としては、可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や外部からの応力を緩衝するための緩衝材として機能する発泡材料層、剛性を向上させるための強化層などが挙げられる。また、被覆するための材料としては、樹脂以外にも、例えば、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)および/または剛性の高い金属線などの線材を熱可塑性樹脂に含有させたものが挙げられる。このような材料を用いると、光ケーブルの力学的強度を補強することができるために好ましい。
なお、前記抗張力繊維としては、例えば、アラミド繊維,ポリエステル繊維,ポリアミド繊維が挙げられる。そして、前記金属線としては、ステンレス線,亜鉛合金線,銅線などが挙げられる。ただし、本発明に適用することができる抗張力繊維および金属線は、これらに限定されるものではない。また、その他にも、光ケーブルを保護するための金属管の外装や架空用の支持線、配線時の作業性を向上させるための機構などを光ケーブルの外周部に組み込むこともできる。
光ケーブルは用途に応じて選択的に使用される。光ケーブルには、光コードを同心円上にまとめた集合型のものや一列に並べたテープ型のもの、さらに、それらを押え巻やラップシースなどでまとめたものなどがある。
本発明の素線から得られる光ケーブルは、従来品と比べて軸ずれに対する許容度が高いために、突き合せにより接合しても用いることができる。ただし、より好ましくは、光ケーブルの端部に接続用光コネクタを備えて、互いの接続部を確実に固定することである。また、コネクタは、一般に知られているPN型,SMA型,SMI型などの市販の各種コネクタを利用することが可能である。そのため、本発明は、種々の発光素子や受光素子や光スイッチ,光アイソレータ,光集積回路,光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置を使用する光信号伝送システムに用いられる。この際、必要に応じて他の素線、心線、光ケーブル等と組み合わせてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用することができる。例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。
また、前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線,車両や船舶などの内部配線,光端末とデジタル機器,デジタル機器同士の光リンクや一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LANなどをはじめとする高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途などの短距離に適した光伝送システムに好適に用いることができる。
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON.,VOL.E84−C,No.3,MARCH 2001,p.339−344 「High−Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3,No.6,2000 476頁〜480頁「光シートバス技術によるインタコネクション」の記載されているものや、特開2003−152284号公報に記載の導波路面に対する発光素子の配置;特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号などの各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号などの各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号などの公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号などの各公報に記載の光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002−23011号などに記載の光信号処理装置;特開2001−86537号などに記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号などに記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号などの各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用したより高度な光伝送システムを構築することができる。なお、以上の光伝送用途以外にも、照明(導光)やエネルギー伝送,イルミネーション,レンズ,センサ分野にも用いることができる。
図1の製造工程10に従い、第1部材12と11層構造の第2部材16とを有する素線19を製造した。溶融押出成形により作製した内径20mm、長さ27cmのPVDF管を、第2部材16作製するための容器として使用した。PVDFの屈折率は1.41である。孔径が0.2μmのPTFEメンブランフィルターにより第1層用原料21aをろ過した。第1層21〜第11層までの各原料のうち重合性化合物としては2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートの重水素化物(3FMd7)とペンタフルオロフェニルメタクリレートの重水素化物(PFPMAd5)とを用いた。なお、3FMd7の単独重合体の屈折率は1.41であり、PFPMAd5の単独重合体の屈折率は1.49である。各層形成における両者の配合については、前者をW1(g)、後者をW2(g)として表1に示す。両者を混合してから、この混合物に、重合開始剤としてのMAIBと連鎖移動剤としての3−メルカプトプロピオン酸エチルとを添加した。3FMd7とPFPMAd5との混合液に対するMAIBの割合は0.1mol%であり、3−メルカプトプロピオン酸エチルの割合は0.05mol%である。
第1層用原料21aはPVDF管に注入され、そのPVDF管を、長手方向が水平となるように容器本体60aにセットし、2000rpmで回転させながら90℃の雰囲気下で2時間の加熱重合を行った。重合容器60はSUS製である。このとき、回転する重合容器60の近傍、具体的には1〜2cm離れた位置に非接地型熱電対を設けて、温度を測定し、この測定温度を重合反応による温度としてみなした。また、この方法により測定された重合反応の発熱における温度ピーク(発熱ピーク)を求めた。実施例1では、重合開始から約1時間20分経過したときに67℃の発熱ピークが認められた。以上により、PVDF管の内面に第1層21を形成させた。なお、得られた重合体の転化率は90%であった。
次に、第1層21が形成されたPVDF管を重合容器60から取り出し、その中空部に第2層用原料22aを注入して第1層を形成した条件と同じ条件で重合反応を実施した。第1層21の屈折率は1.432であった。続いて第3層〜第11層を順次形成した。第2層〜第11層までの各重合反応条件は、第1層21を形成したときと同じである。なお、第1層21〜第11層の各原料の量は、断面中心に近い層ほど表1のように少なくなるようにした。
第2部材が中空部に形成されたPVDF管を90℃で6時間加熱し、残存する第1及び第2重合性化合物を重合させた。その後、第2部材16からPVDF管を取り外した。
THV樹脂であるDyneonTHV500G(登録商標:住友3M(株)製)により管を作製し、この管を第1部材12とした。この第1部材12の中空部に第2部材16を入れてプリフォーム11とし、これを200℃に加熱した状態で延伸し、外径が470μmの素線19を得た。延伸は、空洞部27を減圧しながら実施した。延伸により空洞部27は消失した。素線19は、外径が470μm±15μmであり、屈折率分布係数gは2.2であった。得られた素線19の650nmの光伝送における伝送損失値は90dB/km、780nmの光伝送における伝送損失値は54dB/km、850nmの光伝送における伝送損失値は75dB/kmであった。また、この素線19の850nmにおける伝送帯域を測定した結果、50mで10GHzであった。これらの伝送損失値は、タイムドメイン法により測定された。この素線19を70℃の恒温槽に100時間放置した後に、伝送損失を測定した結果、70℃での放置の前と比べて伝送損失の悪化は認められなかった。
Figure 2009524836
第1層21〜第11層までの3FMd7とPFPMAd5との配合を表2に示すように代えた他は、実施例1と同じ条件で実施した。表2において、W1及びW2の意味は表1と同じである。得られた素線19の650nmの光伝送における伝送損失値は120dB/km、780nmの光伝送における伝送損失値は80dB/km、850nmの光伝送における伝送損失値は100dB/kmであった。また、この素線19の850nmにおける伝送帯域を測定した結果、50mで10GHzであった。これらの伝送損失値は、タイムドメイン法により測定された。この素線19を70℃の恒温槽に100時間放置した後に、伝送損失を測定した結果、70℃での放置の前と比べて伝送損失の悪化は認められなかった。
Figure 2009524836
第1層〜第11層までの3FMd7とPFPMAd5との配合を表3に示すように代えた他は、実施例1と同じ条件で実施した。表3において、W1及びW2の意味は表1と同じである。得られた素線の650nmの光伝送における伝送損失値は400dB/km、780nmの光伝送における伝送損失値は180dB/km、850nmの光伝送における伝送損失値は200dB/kmであった。また、この素線19の850nmにおける伝送帯域を測定した結果、50mで10GHzであった。これらの伝送損失値は、タイムドメイン法により測定された。この素線19を70℃の恒温槽に100時間放置した後に、伝送損失を測定した結果、70℃での放置の前と比べて伝送損失の悪化は認められなかった。
Figure 2009524836
実施例1〜3より、3FMd7及びPFPMAd5を共重合させた第2部材を有する素線は、その共重合体のガラス転移温度が高いために高温条件を経ても伝送損失が悪化しないことがわかる。3FMd7とPFPMAd5の配合比を本発明の範囲とするにより伝送損失が低減され、優れた伝送損失を示す素線を製造できることがわかる。
本発明は、光伝送、照明やエネルギー伝送、イルミネーション、センサなどに利用されるプラスチック光ファイバの製造方法に好ましく適用される。
本発明のプラスチック光ファイバ素線の製造工程である。 プリフォームの断面図である。 第1層形成工程における重合容器の断面図である。 回転重合装置の概略図である。 回転重合の説明図である。 第2層形成工程における重合容器の断面図である。

Claims (3)

  1. 重合開始剤と、化1の一般式で表される第1の重合性化合物と、化2の一般式で表され、前記第1の重合性化合物の単独重合体よりも高い屈折率を示す単独重合体を生成しうる第2の重合性化合物とを管状容器の中空部に入れる注入工程と、
    前記管状容器の長手方向に垂直に交差する断面中心を回転中心として前記管状容器を回転させながら、前記管状容器内で前記第1及び第2の重合性化合物を共重合させる重合工程と、
    前記注入工程と重合工程を交互に複数回繰り返し、前記管状容器の前記断面において外側から中心に向かい同心円状に層を複数重ねて形成する工程を備え、
    前記第1の重合性化合物の重量W1と前記第2の重合性化合物の重量W2とは1/99≦{W2/(W1+W2)}≦2/3を満たし、
    I(ただし、Iは自然数)回目と(I+1)回目との前記注入工程ではW2/(W1+W2)の値が互いに異なることを特徴とする光伝送体の製造方法。
    Figure 2009524836
    (化1の一般式中で、R、Rはそれぞれ独立にHまたはDを表し、RはH、D、CH、CDまたはハロゲン原子を表し、Rは少なくとも一部のHがフッ素原子で置換された炭素原子数2〜8のアルキル基を表す)
    Figure 2009524836
    (化2の一般式中で、R、Rはそれぞれ独立にHまたはDを表し、RはH、D、CH、CDまたはハロゲン原子を表し、X〜Xはそれぞれ独立にH、D、ハロゲン原子またはCFを表し、X〜Xの少なくともひとつはハロゲン原子またはCFを表す)
  2. 前記(I+1)回目の前記注入工程はI回目の前記注入工程よりもW2/(W1+W2)の値が大きいことを特徴とする請求項1記載の光伝送体の製造方法。
  3. 請求項1記載の光伝送体の製造方法により得られる光伝送体を延伸することで製造されるプラスチック光ファイバ。
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