JP2009523176A - 新規化合物 - Google Patents
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- SZRNWLCHXJIEQR-HUUCEWRRSA-N CC(C)(C)OC(N1C[C@H]2ON(Cc3ccccc3)C[C@H]2C1)=O Chemical compound CC(C)(C)OC(N1C[C@H]2ON(Cc3ccccc3)C[C@H]2C1)=O SZRNWLCHXJIEQR-HUUCEWRRSA-N 0.000 description 1
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Abstract
Description
本発明は、TRPV4チャンネルレセプターに関連する疾患の治療において有用な新規化合物に関する。さらに詳細には、本発明は、TRPV4チャンネルレセプターの作動物質である、ある置換ピロリジンに関する。
軟骨は、様々な機械的および生化学的刺激に反応する、軟骨細胞と称する特殊化した細胞が存在する無血管組織である。軟骨は、関節の上皮、間質結合組織、および基底膜に存在し、II型コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチンおよびラミニンをはじめとするいくつかのマトリックス成分からなる細胞外マトリックスから構成される。
正常な軟骨において、細胞外マトリックス合成は細胞外マトリックス分解により相殺され、結果として正常なマトリックスターンオーバーがもたらされる。受け取られるシグナルに応じて、次の反応は、同化作用(マトリックス産生および/または修復に至る)または異化作用(マトリックス分解、細胞アポトーシス、機能の喪失、および疼痛に至る)のいずれかである。
TRPV4チャンネルレセプターは過渡的レセプター電位チャンネルのバニロイドファミリーの6つの公知メンバーの1つであり、カプサイシンレセプターであるTRPV1とヌクレオチドレベルで51%の同一性を有する。ヒトバニロイドレセプターのポリペプチドおよびポリヌクレオチドコード化形態の例、例えば、ヒト由来のTRPV4チャンネルレセプターは、EP1170365ならびにWO00/32766において見出すことができる。他のファミリーのメンバーと同様に、TRPV4チャンネルレセプターは、Ca2+透過性、非選択性リガンド依存性カチオンチャンネルであり、様々な刺激、例えば、浸透圧の減少、温度の上昇、および小分子リガンドに反応する。例えば、Voetsら、J.Biol.Chem.(2002)277 33704−47051;Watanabeら、J.Biol.Chem.(2002)277:47044−47051;Watanabeら、J.Biol.Chem.(2002)277:13569−47051;Xuら、J.Biol Chem.(2003)278:11520−11527参照。身体組織のスクリーンから、ヒトTRPV4チャンネルレセプターは軟骨において最も傑出して発現される。第一およびクローン細胞組織のスクリーンは軟骨細胞においてのみ著しい発現を示す。
圧迫障害および/または炎症性メディエーター(例えば、炎症性サイトカイン)への暴露に反応して、軟骨細胞はマトリックス産生を減少させ、複数のマトリックス分解酵素の産生を増加させる。マトリックス分解酵素の例としては、アグリカナーゼ(ADAMTS)およびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)が挙げられる。これらの酵素の活性は、軟骨マトリックスの分解をもたらす。アグリカナーゼ(ADAMTS)は、MMPと合わせて、アグリカン(関節軟骨中に存在する凝集プロテオグリカン)を分解する。骨関節症(OA)関節軟骨において、プロテオグリカン着色の消失は初期OAにおいては表面領域において、中程度から重度OAにおいては軟骨浸食の領域に隣接して観察される。プロテオグリカン含量の減少は、コラゲナーゼと称する特殊MMP(例えば、MMP−13)によるII型コラーゲンの分解の増加を伴う。コラゲナーゼは無傷コラーゲンの三重らせん内の初期開裂をもたらすと考えられる。コラゲナーゼによるコラーゲンの初期開裂は、他のプロテアーゼによるコラーゲンフィブリルのさらなる分解を促進するという仮説がたてられる。従って、マトリックス分解酵素の産生の増加の防止または減少および/またはマトリックス産生の阻害の弱力化も機能回復を促進し得る。TRPV4チャンネルレセプターの調節は軟骨分解の弱力化ならびにマトリックス分解酵素の産生の減少または弱力化に関与することが示されている。PCT/US2005/031872参照。
細胞外マトリックスの過度の分解は、疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛、関節リウマチ、骨関節炎、神経痛、神経障害、痛覚、神経損傷、虚血、神経変性、軟骨変性、卒中、失禁、炎症性疾患、過敏性腸症候群、肥満、歯周病、異常血管形成、腫瘍浸潤および転移、角膜潰瘍、および糖尿病の合併症をはじめとする多くの疾患の発病に関与する。
従って、TRPV4チャンネルレセプターの調節に有用な新規化合物を見出すことが必要とされる。
EP1170365
WO00/32766
PCT/US2005/031872
Voetsら、J.Biol.Chem.(2002)277 33704−47051
Watanabeら、J.Biol.Chem.(2002)277:47044−47051
Watanabeら、J.Biol.Chem.(2002)277:13569−47051
Xuら、J.Biol Chem.(2003)278:11520−11527
本発明は、本明細書において以下に記載される式(I)の化合物を含み、前記化合物はTRPV4チャンネルレセプターに関連する疾患の治療において有用である。本発明は、式(I)の化合物および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物でもある。本発明は、哺乳動物、特にヒトにおけるTRPV4チャンネルレセプターに関連する疾患を治療する方法でもある。
本発明の説明において、化学元素は元素の周期律表に従って特定される。本明細書において用いられる略語および記号は、化学分野に精通している者による、かかる略語および記号の一般的使用に準拠する。例えば、あるラジカル基は本明細書において次のように略記される:「t−Bu」はターシャリーブチルラジカルであり、「Boc」はt−ブチルオキシカルボニルラジカルであり、「Fmoc」はフルオレニルメトキシカルボニルラジカルであり、「Ph」はフェニルラジカルであり、「Cbz」はベンジルオキシカルボニルラジカルを意味する。加えて、ある試薬は本明細書において次のように略記される:「m−CPBA」は3−クロロペルオキシ安息香酸を意味し、「EDC」はN−エチル−N’(ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドを意味し、「DMF」はジメチルホルムアミドを意味し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、「TEA」はトリエチルアミンを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味する。
用語および定義
本明細書において用いられる「C1−C6アルキル」なる用語は、全ての場合において、鎖の長さが限定されていない限り、1〜6個の炭素原子を有する置換および非置換、直鎖または分岐鎖ラジカル(例えば、C1−C4は1〜4個の炭素原子を有するラジカルを意味する)、例えばこれに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびt−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシルならびにその異性体を意味する。
本明細書において用いられる「C1−C6アルキル」なる用語は、全ての場合において、鎖の長さが限定されていない限り、1〜6個の炭素原子を有する置換および非置換、直鎖または分岐鎖ラジカル(例えば、C1−C4は1〜4個の炭素原子を有するラジカルを意味する)、例えばこれに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびt−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシルならびにその異性体を意味する。
「アルキル」とは、1〜12個の構成原子を有する飽和炭化水素鎖を意味する。アルキル基は本明細書において定義される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい。前置詞「C1−x」または「C1−Cx」+アルキルの用法は、1からx個の構成原子を有するアルキル基を意味する。例えば、C1−6アルキルは、1〜6個の構成原子を有するアルキル基を意味する。アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。代表的な分岐アルキル基は、1、2、または3の分岐を有する。アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル(n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(n−ブチル、イソブチル、およびt−ブチル)、ペンチル(n−ペンチル、イソペンチル、およびネオペンチル)、ならびにヘキシルが挙げられる。特に逆に定義しない限り、C1−6アルキル(または(C1−6)アルキル)は、単独で用いられる場合、または他の基の一部を形成する場合(例えば、「アルコキシ」基)、1〜6個の炭素原子を含有する置換または非置換直鎖または分岐鎖アルキル基を包含する。
「アルケニル」は、2〜12個の構成原子を有し、鎖内に1以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和炭化水素鎖を意味する。ある実施形態において、アルケニル基は鎖内に1つの炭素−炭素二重結合を有する。他の実施形態において、アルケニル基は鎖内に1より多い炭素−炭素二重結合を有する。アルケニル基は本明細書において定義される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい。前置詞「C2−x」または「C2−Cx」+アルケニルの用法は、2〜x個の構成原子を有するアルケニル基を意味する。例えば、C2−C6アルケニル(または(C2−6)アルケニル)とは、2〜6個の構成原子を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基は直鎖であっても、分岐していてもよい。代表的な分岐アルケニル基は1、2、または3の分岐を有する。アルケニルとしては、これに限定されないが、エチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、およびヘキセニルが挙げられる。
「アルキニル」は2〜12個の構成原子を有し、鎖内に1以上の炭素−炭素三重結合を有する不飽和炭化水素を意味する。ある実施形態において、アルキニル基は鎖内に1つの炭素−炭素三重結合を有する。他の実施形態において、アルキニル基は鎖内に1より多い炭素−炭素三重結合を有する。具体的には、鎖内に1以上の炭素−炭素三重結合および鎖内に1以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和炭化水素はアルキニル基である。アルキニル基は本明細書において定義された1以上の置換基で任意に置換されていてもよい。前置詞「C2−x」または「C2−Cx」+アルキニルの用法は、2〜x個の構成原子を有するアルキニル基を意味する。例えば、C2−C6アルキニル(または(C2−6)アルキニル)は2〜6個の構成原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基は直鎖であっても、分岐していてもよい。代表的な分岐アルキニル基は1、2、または3の分岐を有する。アルキニルとしては、これに限定されないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニルが挙げられる。
「アミノ酸」は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンのD−またはL−異性体を意味する。
「アリール」または「Ar」は、任意に置換されていてもよいフェニルまたはナフチルを意味する。
「シクロアルキル」は、単環式飽和炭化水素環系を意味する。シクロアルキル基は、本明細書において定義される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい。前置詞「C3−x」または「C3−Cx」+シクロアルキルの用法は、3〜x個の構成原子を有するシクロアルキル基を意味する。例えば、C3−C6シクロアルキルは、3〜6個の構成原子を有するシクロアルキル基を意味する。シクロアルキルとしては、これに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。
「シクロアルケニル」は、単環式不飽和炭化水素環系を意味する。ある実施形態において、シクロアルケニル基は環内に1つの炭素−炭素二重結合を有する。他の実施形態において、シクロアルケニル基は環内に1より多い炭素−炭素二重結合を有する。しかしながら、シクロアルケニル環は芳香族でない。シクロアルケニル基は本明細書において定義される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい。前置詞「C3−x」または「C3−Cx」+シクロアルケニルの用法は、3〜x個の構成原子を有するシクロアルケニル基を意味する。例えば、C3−C6シクロアルケニルは3〜6個の構成原子を有するシクロアルケニル基を意味する。シクロアルケニルとしては、これに限定されないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、およびシクロヘキセニルが挙げられる。
「エナンチオマーリッチな」とは、そのエナンチオマー過剰率が0より大きい生成物を意味する。例えば、エナンチオマーリッチであるとは、そのエナンチオマー過剰率が約50%ee以上、約75%ee以上、および約90%ee以上である生成物を意味する。
「エナンチオマー過剰率」または「ee」は、1つのエナンチオマーが他のものを上回る過剰率(パーセントで記載)である。したがって、ラセミ混合物中では両エナンチオマーは等しい量で存在するので、エナンチオマー過剰率はゼロである(0%ee)。しかしながら、1つのエナンチオマーがリッチであり、生成物の95%を構成するならば、エナンチオマー過剰率は90%ee(リッチなエナンチオマーの量(95%)−(他のエナンチオマーの量(5%))である。
「エナンチオマー的に純粋な」とは、そのエナンチオマー過剰率が100%eeである生成物を意味する。
「ジアステレオマー」とは少なくとも2つのキラル中心を有する化合物を意味する。
「ジアステレオマー過剰率」または「de」とは、1つのジアステレオマーが他のものを上回る過剰率(パーセンテージで表現)である。
「ジアステレオマー的に純粋な」とは、そのジアステレオマー過剰率が100%deである生成物を意味する。
「半減期」とは、インビトロまたはインビボで、ある物質の半分量が、別の化学的に異なる種に変換されるために必要な時間を意味する。
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。
「ハロアルキル部分」は1〜3個のハロゲン原子を含む。
「ヘテロ原子」とは、窒素、硫黄、または酸素原子を意味する。
「構成原子」とは、鎖または環を形成する原子を意味する。鎖および環内に1個より多い原子が存在する場合、各構成原子は鎖または環内の隣接する構成原子と共有結合する。鎖または環上の置換基を構成する原子は鎖または環における構成原子ではない。
「任意に置換されていてもよい」とは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、またはシクロアルケニルなどの基が本明細書において定義される1〜3個の置換基で置換され得ることを示す。基に関する言及における「任意に置換されていてもよい」とは、置換されていない基を包含する(例えば、「任意に置換されていてもよいC1−C4アルキル」は非置換C1−C4アルキルを包含する)。「置換された」なる用語は、かかる置換が置換された原子および置換基の許容される価数と一致し、置換の結果、安定な化合物が得られる(即ち、自発的に転位による変化、または環化をしない)という暗黙の条件を包含すると理解されるべきである。1つの原子は、かかる置換が原子の許容される価数と一致するかぎり、1より多い置換基で置換されて得る。好適な置換基としては、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−CH(R)OR、−SR、−S(O)R、−S(O)2R、−N(R)(R)、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−OC(O)N(R)(R)、−N(H)C(=NR)N(R)(R)−C(O)N(R)(R)、C(R)=NR、アリール、シアノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、トリフルオロメチル、ニトロ、およびオキソが挙げられ;ここで、各Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールから独立して選択される。
「オキソ」とは、置換基=Oを意味する。
本明細書において用いられる場合、「生理学的に機能的な誘導体」とは、本発明の化合物の医薬的に許容される誘導体、例えば、エステルまたはアミドであって、哺乳動物に投与されると、本発明の化合物またはその活性な代謝物を(直接または間接的に)提供できるものを意味する。かかる誘導体は、実験を行わなくても、Burger’s Medicinal Chemistry And Drug Discovery、第5版、第1巻:Principles and Practice(生理学的に機能的な誘導体を教示する範囲で、本発明の一部として参照される)を参照すると、当業者には明らかである。
「医薬的に許容される」とは、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激または他の問題あるいは合併症がなくヒトおよび動物の組織と接触した使用に適し、妥当な損益比に見合う化合物、物質、組成物、および投与形態を意味する。
本発明の範囲内の化合物は、2以上の互変異性形態で存在し;かかる互変異性形態の全てが本発明の範囲内に含まれる。
アミノ基が前記定義の単環式または縮合環非芳香族複素環を形成する場合、かかる置換アミノ基における好適な任意の置換基としては、H;トリフルオロメチル;ヒドロキシ、(C1−6)アルコキシ、(C1−6)アルキルチオ、ハロまたはトリフルオロメチルにより任意に置換されていてもよい(C1−4)アルキル;(C2−4)アルケニル;アリール;アリール(C1−4)アルキル;(C1−4)アルコキシカルボニル;(C1−4)アルキルカルボニル;ホルミル;(C1−6)アルキルスルホニル;またはアミノカルボニル(ここで、アミノ基は、(C1−4)アルコキシカルボニル、(C1−4)アルキルカルボニル、(C2−4)アルケニルオキシカルボニル、(C2−4)アルケニルカルボニル、(C1−4)アルキルまたは(C2−4)アルケニルにより任意に置換されていてもよく、(C1−4)アルキルまたは(C2−4)アルケニルにより任意にさらに置換されていてもよい)が挙げられる。
「Ph」なる用語は、フェニル環を意味する。
本明細書において用いられる場合、TRPV4チャンネルレセプターに対する「作動物質」は、TRPV4チャンネルレセプターの生物学的活性を活性化または向上させることができる任意の化合物を包含する。
本明細書において用いられる場合、TRPV4チャンネルレセプターを「活性化する」とは、これに限定されないが、TRPV4チャンネルレセプターを含む細胞中へのCa2+流入量の増加、細胞により産生および/または放出されるADAMTSの量の減少、細胞により産生および/または放出されるMMPの量の減少、細胞の基本的または成長因子により刺激される増殖の阻害、細胞により産生される一酸化窒素(NO)の量の減少、マトリックス合成の阻害の弱力化などの結果を包含する。
本明細書において用いられる場合、「炎症性メディエーター」は、炎症プロセスを開始できる任意の化合物を包含する。炎症なる用語は、一般に、生体血管組織の損傷に対する反応のプロセスを意味する。このプロセスは、これに限定されないが、血流の増加、血管透過性の増加、および白血球浸出を包含する。炎症性反応において補充される白血球は、有力な酵素および酸素フリーラジカル(即ち、炎症性メディエーター)を放出するので、炎症反応は相当な組織損傷に関与できる。炎症性メディエーターの例としては、これに限定されないが、プロスタグランジン(例えば、PGE2)、ロイコトリエン(例えば、LTB4)、炎症性サイトカイン、例えば、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、インターロイキン1(IL−1)、およびインターロイキン6(IL−6);一酸化窒素(NO)、メタロプロテイナーゼ、および熱ショックタンパク質が挙げられる。
本明細書において用いられる場合、「マトリックスタンパク質」は、軟骨の細胞外マトリックスを形成するために細胞から放出されるタンパク質を包含する。軟骨の細胞外マトリックスは、いくつかの異なるプロテオグリカンファミリーに属するプロテオグリカンからなる。これらは、パーレカン(perlecan)およびヒアレクタン(hyalectan)、例えば、アグリカンおよびバーシカン(versican)、およびプロテオグリカンの小ロイシンリッチなファミリー、例えば、デコリン、ビグリカン(biglycan)およびフィブロモジュリンを包含するが、これに限定されない。細胞外マトリックスはまた、3つのコラーゲンイソタイプ、即ち、II型、IX型、およびXI型コラーゲンを付属タンパク質、例えば、軟骨オリゴマーマトリックスタンパク質(COMP)、リンクタンパク質、およびフィブロネクチンとともに含むハイブリッドコラーゲン繊維からなる。軟骨はまた、ヒアレクチンと非共有結合を形成するヒアルロニン(hyaluronin)も含有する。加えて、特殊な細胞周囲マトリックスが、プロテオグリカン、VI型コラーゲンおよびコラーゲンレセプタータンパク質、例えば、アンコリン(anchorin)からなる軟骨細胞を取り巻く。
本明細書において用いられる場合、「マトリックス分解酵素」は、細胞外マトリックスタンパク質を開裂させることができる酵素を意味する。軟骨細胞外マトリックスターンオーバーは、軟骨細胞外マトリックスタンパク質を分解させるために、活性化を必要とする潜在的プロ酵素として合成されるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)により調節される。3種の酵素、即ち、天然のコラーゲン繊維の分解の原因であるコラゲナーゼ(これに限定されないが、MMP−13を包含する)、プロテオグリカンおよびIX型コラーゲンを分解するストロメライシン(これに限定されないが、MMP−3を包含する)、および変性コラーゲンを分解するゼラチナーゼ(これに限定されないが、MMP−2およびMMP−9を包含する)は、細胞外マトリックスタンパク質のターンオーバーを調節すると考えられる。OAにおける軟骨分解に最も関連するようであるマトリックス分解酵素群は、ディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼドメインおよびトロンボスポンジンモチーフをその構造中に有するので、ADAMTSと呼ばれるメタロプロテイナーゼのサブグループを包含する。ADAMTS4(アグリカナーゼ−1)はOA関節において増加することが報告され、ADAMTS−5(アグリカナーゼ−2)とともにヒト骨関節症軟骨において発現されることが証明されている。これらの酵素は、MMPの関与がないアグリカン分解の原因であるようである。したがって、これらの酵素の活性の阻害または発現の減少はOA療法において有用であり得る。
本明細書において用いられる場合、マトリックス分解酵素の産生を「減少」または「減少させる」とは、これに限定されないが、肉体的なけが、機械的および/または浸透ストレス、または炎症性メディエーターへの暴露をはじめとする異化作用刺激に反応してマトリックス分解酵素産生または放出において増加を示す細胞により産生および/または放出されるマトリックス分解酵素の量の減少を意味する。
本明細書において用いられる場合、「弱力化」または「弱力化する」とは、異化作用刺激への暴露後に、細胞により産生および/または放出されるマトリックス分解酵素、炎症性メディエーター、またはマトリックスタンパク質の量の正常化(即ち、増加または減少のいずれか)を意味する。例えば、IL−1への暴露後、プロテオグリカンなどのマトリックスタンパク質の軟骨細胞産生は減少し、一方、マトリックス分解酵素(例えば、MMP−13、ADAMTS4)および反応性酸素種(例えば、NO)の産生は増加する。弱力化は、異化作用刺激の非存在下で観察される量に対するこれらの様々な反応の正常化を意味する。
本発明の化合物のいくつかは、水性および有機溶媒などの溶媒から結晶化または再結晶することができる。このような場合に、溶媒が形成され得る。本発明はその範囲内に化学量論的溶媒和物、例えば、水和物ならびに凍結乾燥などのプロセスにより生じる様々な量の水を含有する化合物を包含する。
式(I)の化合物は医薬組成物において使用されることが意図されるので、これらはそれぞれ実質的に純粋な形態、例えば、少なくとも純度60%、最も好適には少なくとも純度75%または少なくとも85%、特に、少なくとも純度98%(%は重量基準の重量%)において提供されることは容易に理解されるであろう。化合物の純粋でない調製物は医薬組成物において使用されるさらに純粋な形態を調製するために使用でき;これらの純度が低い化合物の調製物は、少なくとも1%、さらに好適には少なくとも5%または10から59%の式(I)の化合物または医薬的に許容されるその誘導体を含有する。
式(I)の化合物の医薬的に許容される塩は、当業者により容易に調製される。式(I)の化合物はNオキシドとしても調製できる。遊離カルボキシ基を有する式(I)の化合物はインビボ加水分解性エステルとして調製することもできる。本発明はかかる誘導体にも及ぶ。
生理学的機能的誘導体を構成できる、好適な医薬的に許容されるインビボ加水分解性エステル形成基の例は、ヒト体内において容易に分解して、親酸またはその塩が得られる、エステルを形成するものを包含する。この種類の好適な基は、部分式(i)、(ii)、(iii)、(iv)および(v)のものを包含する:
(式中、Raは水素、(C1−6)アルキル、(C3−7)シクロアルキル、メチル、またはフェニルであり、Rbは(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、フェニル、ベンジル、(C3−7)シクロアルキル、(C3−7)シクロアルキルオキシ、(C1−6)アルキル(C3−7)シクロアルキル、1−アミノ(C1−6)アルキル、または1−(C1−6アルキル)アミノ(C1−6)アルキルであるか;あるいはRaおよびRbは一緒になって、任意に1または2個のメトキシ基で置換されていてもよい1,2−フェニレン基を形成し;Rcは任意にメチルまたはエチル基で置換されていてもよい(C1−6)アルキレンを表し、RdおよびReは独立して(C1−6)アルキルを表し;Rfは(C1−6)アルキルを表し;Rgは水素、あるいはハロゲン、(C1−6)アルキル、または(C1−6)アルコキシから選択される最高3個までの基で任意に置換されていてもよいフェニルを表し;Qは酸素またはNHであり;Rhは水素または(C1−6)アルキルであり;Riは水素、任意にハロゲンにより置換されていてもよい(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、(C1−6)アルコキシカルボニル、アリールまたはヘテロアリールであるか;あるいはRhおよびRiは一緒になって(C1−6)アルキレンを形成し;Rjは水素、(C1−6)アルキルまたは(C1−6)アルコキシカルボニルを表し;Rkは、(C1−8)アルキル、(C1−8)アルコキシ、(C1−6)アルコキシ(C1−6)アルコキシまたはアリールを表す)。
好適なインビボ加水分解性エステル基の例としては、例えば、アシルオキシ(C1−6)アルキル基、例えば、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、α−アセトキシエチル、α−ピバロイルオキシエチル、1−(シクロヘキシルカルボニルオキシ)プロプ−1−イル、および(1−アミノエチル)カルボニルオキシメチル;(C1−6)アルコキシカルボニルオキシ(C1−6)アルキル基、例えば、エトキシカルボニルオキシメチル、α−エトキシカルボニルオキシエチルおよびプロポキシカルボニルオキシエチル;ジ(C1−6)アルキルアミノ(C1−6)アルキル、特に、ジ(C1−4)アルキルアミノ(C1−4)アルキル基、例えば、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノメチルまたはジエチルアミノエチル;2−((C1−6)アルコキシカルボニル)−2−(C2−6)アルケニル基、例えば、2−(イソブトキシカルボニル)ペント−2−エニルおよび2−(エトキシカルボニル)ブト−2−エニル;ラクトン基、例えば、フタリジルおよびジメトキシフタリジルが挙げられる。
前記式(I)のある化合物は、光学異性体、例えば、ジアステレオマーおよびあらゆる比の異性体の混合物、例えば、ラセミ混合物において存在し得る。本発明はかかる形態の全て、特に純粋な異性体形態を包含する。異なる異性体形態は、通常の方法により他のものから1つのものを分離または分割することができるか、あるいは任意の所定の異性体を通常の合成法または立体特異的または不斉合成により得ることができる。
組成物は、例えば、経口、局所または非経口などの任意の経路により投与することができる。組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、ロゼンジ、クリームまたは液体製剤、例えば、経口または無菌非経口溶液または懸濁液の形態であってよい。
本発明の局所用処方は、例えば、軟膏、クリームまたはローション、眼軟膏および眼または耳用滴剤、含浸包帯およびエアゾルとして提供することができ、適切な通常の添加剤、例えば、保存料、薬物浸透を助ける溶媒ならびに軟膏およびクリームにおいては皮膚軟化剤を含有することができる。
製剤は適合性の通常の担体、例えば、クリームまたは軟膏基剤およびローション用エタノールまたはオレイルアルコールも含有することができる。かかる担体は、製剤の約1%から約98%として存在し得る。さらに一般的には、これらは製剤の約80%までを形成する。
経口投与用錠剤およびカプセルは単位投与形態であってよく、通常の賦形剤、例えば、結合剤、例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、またはポリビニルピロリドン;フィラー、例えば、ラクトース、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン;錠剤用潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ;崩壊剤、例えば、ジャガイモデンプン;または許容できる湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを含有することができる。錠剤は、通常の薬務において周知の方法に従ってコーティングすることができる。経口液体製剤は、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの形態であってもよいし、あるいは使用前に水または他の好適なビヒクルで復元される乾燥製品として提供することもできる。かかる液体製剤は、通常の添加剤、例えば、懸濁化剤、例えば、ソルビトール、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素化食用脂肪、乳化剤、例えば、レシチン、ソルビタンモノオレエート、またはアカシア;非水性ビヒクル(食用油を含んでもよい)、例えば、アーモンド油、油性エステル、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはエチルアルコール;保存料、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルまたはソルビン酸、および、所望により通常の矯味矯臭剤または着色剤を含有することができる。
坐剤は通常の坐剤基剤、例えば、カカオ脂または他のグリセリドを含有する。
非経口投与に関して、化合物および無菌ビヒクル(水が好ましい)を用いて流体単位投与形態が調製される。使用されるビヒクルおよび濃度に応じて、化合物はビヒクル中に懸濁または溶解させることができる。溶液の調製において、化合物を注射用水中に溶解させ、濾過滅菌した後、適当なバイアルまたはアンプル中に充填し、密封することができる。
有利には、局所麻酔薬、保存料および緩衝剤などの薬剤をビヒクル中に溶解させることができる。安定性を向上させるために、組成物をバイアル中に充填した後に凍結し、水を真空下で除去することができる。凍結乾燥粉末を次いでバイアル中に密封し、使用前に液体を復元するために注射用水の付属バイアルを提供することができる。化合物を溶解させる代わりにビヒクル中に懸濁させ、滅菌を濾過により行うことができない以外は実質的に同様にして、非経口懸濁液を調製する。無菌ビヒクル中に懸濁させる前に、酸化エチレンに暴露することにより化合物を滅菌することができる。有利には、化合物の均一な分布を促進するために、界面活性剤または湿潤剤が組成物中に含められる。
別の態様において、本発明は、式Iの化合物および医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物も包含する。
式I、またはその任意の亜式のいずれかの場合において、任意の官能基または置換基の意味は、特に記載のない限り、任意の他の場合での他の官能基または置換基の意味と独立している。
式Iの化合物は、1以上の不斉中心を含有し、従って、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー、または他の立体異性体、あるいはその混合物として存在し得る。例えば、R3がH以外の基である場合、これが結合している炭素は不斉である。加えて、不斉炭素原子は、アルキル基などの置換基においても存在することができる。式I、または本明細書において示される任意の化学構造中に存在するキラル炭素の立体化学が特定されていない場合、化学構造は、化合物中に存在する各キラル中心の立体異性体およびそのすべての混合物を含有する化合物を包含することが意図される。したがって、1以上のキラル中心を含有する式Iの化合物は、ラセミ混合物、エナンチオマーリッチな混合物、またはエナンチオマー的に純粋な個々の立体異性体として用いることができる。
1以上の不斉中心を含有する式Iの化合物の個々の立体異性体は当業者に公知の方法により分割することができる。例えば、かかる分割は、例えば、結晶化;ガス液体または液体クロマトグラフィー;例えば、酵素酸化または還元とそれに続く修飾または非修飾エナンチオマーの分離による、1つのエナンチオマーのエナンチオマー特異性試薬との選択的反応;あるいは、結合キラルリガンドを有するシリカなどのキラル支持体上、またはキラル溶媒の存在下などのキラル環境におけるガス液体または液体クロマトグラフィーにより分離できるジアステレオマー塩または錯体の形成により行うことができる。当業者は、所望のエナンチオマーが前記分離手順の1つにより別の化学物質に変換される場合、所望のエナンチオマー形態を遊離させるために、さらなる工程が必要であることを理解するであろう。別法として、特定のエナンチオマーは、光学活性な試薬、基質、触媒または溶媒を用いた不斉合成によるか、または不斉転換により1つのエナンチオマーを他のものに変換することにより、合成することができる。
式Iの化合物は、二重結合または幾何学的非対称の他の中心を含有し得る。式Iはトランス(E)およびシス(Z)幾何異性体の両方を包含する。同様に、全ての互変異性形態は、かかる互変異性形態が平衡状態において存在するかまたは優勢的に1つの形態において存在するかどうかに関わらず式Iに含まれる。
当業者は、式Iの化合物の医薬的に許容される塩を調製できることを理解するであろう。実際、本発明のある実施形態において、式Iの化合物の医薬的に許容される塩は、分子により高い安定性または溶解性を付与し、これにより投与形態の調剤を容易にするので、かかる塩は個々の遊離塩基または遊離酸よりも好ましい。従って、本発明はさらに、式Iの化合物の医薬的に許容される塩に関する。
ある実施形態において、式Iの化合物は、酸性官能基を含有し、従って、好適な塩基での処理により医薬的に許容される塩基付加塩を形成することができる。好適な塩基は、アンモニアならびに医薬的に許容される金属カチオン、例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属カチオンの水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩を包含する。好適なアルカリ金属およびアルカリ土類金属カチオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、および亜鉛が挙げられる。好適な塩基としては、さらに、医薬的に許容される有機第1、第2、および第3アミン、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族ジアミン、およびヒドロキシアルキルアミンが挙げられる。好適な医薬的に許容される有機塩基としては、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、およびシクロヘキシルアミンが挙げられる。
ある実施形態において、式Iの化合物は、塩基性官能基を含有し、従って、好適な酸での処理により医薬的に許容される酸付加塩を形成できる。好適な酸としては、これに限定されないが、医薬的に許容される無機酸、医薬的に許容される有機酸、および医薬的に許容される有機スルホン酸が挙げられる。好適な無機酸としては、これに限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、スルファミン酸、およびリン酸が挙げられる。好適な有機酸としては、酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、アクリル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、グリコール酸、乳酸、ヘプタン酸、フタル酸、シュウ酸、コハク酸、安息香酸、o−アセトキシ安息香酸、クロロ安息香酸、メチル安息香酸、ジニトロ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、メトキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、ギ酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ピルビン酸、パモン酸、マロン酸、ラウリン酸、グルタル酸、およびグルタミン酸が挙げられる。好適な有機スルホン酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸(即ち、スルファニル酸)、p−トルエンスルホン酸、およびナフタレン−2−スルホン酸が挙げられる。
本明細書において用いられる場合、「本発明の化合物(複数)」なる用語は、式Iの化合物(複数)およびその医薬的に許容される塩(複数)の両方を意味する。「本発明の化合物(単数)」なる用語も、式Iの化合物(単数)およびその医薬的に許容される塩(単数)の両方を意味する。
本発明の化合物は、固体、液体、または気体として存在することができ、その全ては本発明に含まれる。固体状態において、本発明の化合物は、アモルファス物質または結晶形態のいずれか、あるいはその混合物として存在することができる。当業者は、本発明の化合物の医薬的に許容される溶媒和物を形成でき、この場合、溶媒分子が結晶化の間に結晶格子中に組み入れられることを理解するであろう。溶媒和物は、非水性溶媒、例えば、エタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミン、および酢酸エチルを含むか、あるいは結晶格子中に組み入れられる溶媒として水を含み得る。水が結晶格子中に組み入れられる溶媒である溶媒和物は、典型的には「水和物」と呼ばれる。本発明はかかる溶媒和物の全てを包含する。
当業者はさらに、その様々な溶媒和物をはじめとする結晶形態において存在する本発明の化合物は多形性(即ち、異なる結晶構造において存在する能力)を示すことを理解するであろう。これらの異なる結晶形態は典型的には「多形体」と呼ばれる。本発明はこのような多形体の全てを包含する。多形体は同じ化学組成を有するが、結晶固体状態の充填、幾何学的配置、および他の記述的性質が異なる。多形体は、従って、異なる物理的性質、たとえば、形状、密度、硬度、変形能、安定性、および溶解特性を有する。多形体は典型的には異なる融点、IRスペクトル、およびX線粉末解析パターンを示し、これらは同定に用いることができる。当業者は、異なる多形体は、例えば、化合物の調製において使用される反応条件または試薬、例えば、溶媒を変更または調節することにより製造できることを理解するであろう。加えて、1つの多形体は自発的に別の多形体にある条件下で変換することができる。
本発明の1つの態様において、R1はイソブチルである。別の態様において、R2はOHである。さらに別の態様において、R3は任意に置換されていてもよいフェニルである。R3は、1〜3のメチル、トリフルオロメチル、CN、NO2、またはハロゲンで任意に置換されていてもよい。
本発明の化合物例としては次のものが挙げられる:
N−((1S)−1−{[({(3S,4S)−1−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[({(3R,4R)−1−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[({(3S,4S)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[({(3R,4R)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−[(1S)−1−({[((3S,4S)−1−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル)メチル]アミノ}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;および
N−[(1S)−1−({[((3R,4R)−1−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル)メチル]アミノ}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド。
N−((1S)−1−{[({(3S,4S)−1−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[({(3R,4R)−1−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[({(3S,4S)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[({(3R,4R)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−[(1S)−1−({[((3S,4S)−1−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル)メチル]アミノ}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;および
N−[(1S)−1−({[((3R,4R)−1−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル)メチル]アミノ}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド。
合成スキーム
一般式(I)の化合物の合成をスキーム1において以下で概要を示すようにして行うことができる。
一般式(I)の化合物の合成をスキーム1において以下で概要を示すようにして行うことができる。
アルケン1を適切な電子リッチな付加環化試薬、例えば、N−ヒドロキシベンジルアミンホルムアルデヒド付加物で処理して、シス付加物2を得た。ベンジル官能基を除去し、例えば、極性プロトン性溶媒、例えばエタノール中、水素雰囲気下で、Pd(OH)2を用いた水素化分解などの当該分野に共通の条件下で、N−O結合を同時に開裂させた。シス相対立体化学を有する、得られたアミノアルコール3を、N−保護アミノ酸、例えば、これに限定されないが、CBZ−ロイシンで、例えば、EDCおよびHOOBtで、アミン塩基、例えば、NMMの存在下など、当該分野に共通の条件下で処理して、化合物4をジアステレオマーの混合物として得た。CBZ−アミンの脱保護を当該分野に共通の条件下、例えば、炭素上パラジウム上、水素雰囲気下で行い、第二アミン5を得た。第二アミンを次にカルボン酸、例えば、これに限定されないが、チオフェン−2−カルボン酸と当該分野に共通の条件下、例えば、EDCおよびHOOBtで、アミン塩基、例えば、NMMの存在下でカップリングさせて、化合物6を得た。tert−ブチルカルボニル基の除去は、酸性条件下、有機溶媒、例えば、ジクロロメタン中で行った。第二アミンを次に求電子試薬、例えば、これに限定されないが、2−クロロ−4−フルオロベンゼンスルホニルクロリドで、水性塩基、例えば、重炭酸ナトリウムで、THF中で処理して、目的化合物7を得た。ジアステレオマーの分離は、順相キラルHPLCを標準的条件下で用いて、この時点で行うことができる。
スキーム1
試薬および条件:(a)N−ヒドロキシベンジルアミン塩酸塩、トルエン、EtOH、80℃;(b)Pd(OH)2、H2(50psi)、EtOH;(c)CBZ−Leu、EDC、HOOBt、NMM、DCM;(d)10%Pd/C、H2(1気圧)、EtOH、EtOAc;(e)ベンゾチオフェン−2−カルボキシレート、EDC、HOOBt、NMM、DCM;(f)HCl(4Mジオキサン中)、DCM;(g)2−クロロ−4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド、THF、5%NaHCO3(aq)。
組成物
本発明の化合物は、通常、患者に投与される前に、必ずしもそうする必要はないが、医薬組成物に処方することができる。従って、もう一つ別の態様において、本発明は、本発明の化合物および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
本発明の化合物は、通常、患者に投与される前に、必ずしもそうする必要はないが、医薬組成物に処方することができる。従って、もう一つ別の態様において、本発明は、本発明の化合物および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
本発明の医薬組成物は、バルク形態において調製し、包装することができ、この場合、安全かつ有効な量の本発明の化合物を抽出し、次いで患者に、例えば、粉末またはシロップとともに投与することができる。別法として、本発明の医薬組成物は単位投与形態において調製し、包装することができ、この場合、それぞれの物理的に独立した単位は安全かつ有効な量の本発明の化合物を含有する。単位投与形態において調製される場合、本発明の医薬組成物は典型的には約0.1mgから約50mgを含有する。
本発明の医薬組成物は典型的には、1つの本発明の化合物を含有する。しかしながら、ある実施形態において、本発明の医薬組成物は1より多い本発明の化合物を含有する。例えば、ある実施形態において、本発明の医薬組成物は2つの本発明の化合物を含有する。加えて、本発明の医薬組成物は任意に1以上の追加の医薬的に活性な化合物をさらに含んでもよい。逆に、本発明の医薬組成物は典型的には1より多い医薬的に許容される賦形剤を含有する。しかしながら、ある実施形態において、本発明の医薬組成物は1つの医薬的に許容される賦形剤を含有する。
本明細書において用いられる場合、「医薬的に許容される賦形剤」とは、医薬組成物に形態または稠度を付与するのに関与する医薬的に許容される物質、組成物またはビヒクルを意味する。各賦形剤は、混合される場合には、患者に投与される時に本発明の化合物の有効性を実質的に低下させる相互作用および医薬的に許容されない医薬組成物をもたらす相互作用が回避されるように、医薬組成物の他の成分と適合性でなければならない。加えて、各賦形剤は、もちろん、これを医薬的に許容されるようにするために十分高い純度を有するものでなければならない。
本発明の化合物および医薬的に許容される賦形剤は、典型的には、所望の投与経路による患者への投与に適合される投与形態に処方される。例えば、投与形態としては、(1)経口投与に適応されるもの、例えば、錠剤、カプセル、カプレット、丸薬、トローチ、粉末、シロップ、エリキシル、懸濁剤、溶液、乳液、サシェ、およびカシェ;(2)非経口投与に適応されるもの、例えば、無菌溶液、懸濁液、および復元される粉末;(3)経皮投与に適応されるもの、例えば、経皮貼付剤;(4)直腸投与に適応されるもの、例えば、坐剤;(5)吸入に適応されるもの、例えば、エアゾルおよび溶液;ならびに(6)局所投与に適応されるもの、例えば、クリーム、軟膏、ローション、溶液、ペースト、スプレー、フォーム、およびゲルが挙げられる。
好適な医薬的に許容される賦形剤は、選択された特定の投与形態により様々である。加えて、好適な医薬的に許容される賦形剤は、組成物において機能し得る特定の機能に関して選択することができる。例えば、ある医薬的に許容される賦形剤は、均一な投与形態の製造を促進する能力に関して選択することができる。ある医薬的に許容される賦形剤は安定な投与形態の製造を促進する能力に関して選択することができる。ある医薬的に許容される賦形剤は、患者に投与された本発明の化合物の、1つの器官、または体の部分から、別の器官、または体の部分への輸送を促進する能力に関して選択することができる。ある医薬的に許容される賦形剤は患者のコンプライアンスを向上させるその能力に関して選択することができる。
好適な医薬的に許容される賦形剤は、これに限定されないが、次の種類の賦形剤を包含する:希釈剤、フィラー、バインダー、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、補助溶媒、懸濁化剤、乳化剤、甘味料、矯味矯臭剤、フレーバーマスキング剤、着色剤、凝固阻止剤、保湿剤、キレート剤、可塑剤、粘度増加剤、酸化防止剤、保存料、安定剤、界面活性剤、および緩衝剤。当業者は、ある医薬的に許容される賦形剤が1より多い機能を果たし、どれだけ多くの賦形剤が処方中に存在するか、および処方中に他のどんな成分が存在するかに応じて代替機能を果たし得ることを理解するであろう。
当業者は、本発明における使用に適切な量で好適な医薬的に許容される賦形剤を選択することを可能にする当該分野における情報および技術を有する。加えて、医薬的に許容される賦形剤を説明し、好適な医薬的に許容される賦形剤の選択に有用な、当業者に利用可能な多くの供給源がある。例としては、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)、TheHandbook of Pharmaceutical Additives(Gower Publishing Limited)、およびThe Handbook of Pharmaceutical Excipients(the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、当業者に周知の技術および方法を用いて調製される。当該分野において通常用いられる方法のいくつかは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)において記載されている。
1つの態様において、本発明は、安全かつ有効量の本発明の化合物および希釈剤またはフィラーを含む固体経口投与形態、例えば、錠剤またはカプセルに関する。好適な希釈剤およびフィラーとしては、ラクトース、シュークロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、およびアルファデンプン)、セルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶セルロース)、硫酸カルシウム、および二塩基性リン酸カルシウムが挙げられる。経口固体投与形態は、バインダーをさらに含むことができる。好適なバインダーとしては、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、およびアルファデンプン)、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカント、グアーガム、ポビドン、ならびにセルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶セルロース)が挙げられる。経口固体投与形態は崩壊剤をさらに含み得る。好適な崩壊剤としては、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、アルギン酸、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。経口投与形態は潤滑剤をさらに含み得る。好適な潤滑剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびタルクが挙げられる。
生物学的分析
本発明の化合物をいくつかの生物学的分析のうちの1つで試験できる。
本発明の化合物をいくつかの生物学的分析のうちの1つで試験できる。
TRPV4チャンネルレセプターを介したCa2+流入は、これに限定されないが、ヒト、ラット、イヌ、ウサギ、サル、およびウシなどの種からの関節軟骨細胞を用い、当該分野における標準的技術、例えばこれに限定されないが、FlexStation(Molecular Devices(Sunnyvale、CA)製造)を用いたFura−2(Invitrogen/Molecular Probes、Eugene、OR)蛍光を用いて測定できる。表1は、この方法を用いてウシ関節軟骨細胞において得られるいくつかの代表的な化合物に関する生物学的データを記載する。
軟骨細胞におけるTRPV4チャンネルレセプター活性化を測定するために使用される他の技術としては、これに限定されないが:FLIPR分析;TRPV4チャンネルレセプターを含む細胞による異化作用刺激に反応して産生および/または放出されるADAMTSの量を減少させる化合物の能力の測定;TRPV4チャンネルレセプターを含む細胞による異化作用刺激に反応して産生および/または放出されるMMPの量を減少させる化合物の能力の測定;TRPV4チャンネルレセプターを含む細胞による異化作用刺激に反応して産生される一酸化炭素(NO)の量に影響を及ぼす化合物の能力の測定;ならびにTRPV4チャンネルレセプターを含む細胞による異化作用刺激に反応してマトリックス合成の阻害を弱力化する化合物の能力の測定が挙げられる。
本発明の化合物は一般に、0.01μMから10μMの範囲のEC50値を有するTRPV4チャンネルレセプターモジュレーター活性を示す。本発明の化合物に関して完全な構造/活性関係はまだ確立されていないが;それでも、当業者は、本明細書において記載される分析を用いて、どの式(I)の化合物が、有利には0.01μMから10μMの範囲のEC50値を有するTRPV4チャンネルレセプターのモジュレーターであるかを容易に決定することができる。本発明の全ての化合物例を、前記の生物学的分析の少なくとも1つを用いて評価した。実施例において提示される化合物は、ウシおよび/またはヒト関節軟骨細胞を用いたFlex Stationにより測定すると約0.01μMから10μMのEC50値を有していた。
方法および使用
本発明の化合物はTRPV4チャンネルレセプターの作動物質である。本発明の化合物はTRPV4チャンネルレセプターに関連する疾患の治療において有用である。従って、本発明は、患者においてTRPV4チャンネルレセプターを活性化する方法であって、これを必要とする前記患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。これを必要とする患者の治療法であって、患者のTRPV4チャンネルレセプターを発現する少なくとも1つの細胞を治療上有効な量の式Iの化合物と接触させることを含む方法も提供される。
本発明の化合物はTRPV4チャンネルレセプターの作動物質である。本発明の化合物はTRPV4チャンネルレセプターに関連する疾患の治療において有用である。従って、本発明は、患者においてTRPV4チャンネルレセプターを活性化する方法であって、これを必要とする前記患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。これを必要とする患者の治療法であって、患者のTRPV4チャンネルレセプターを発現する少なくとも1つの細胞を治療上有効な量の式Iの化合物と接触させることを含む方法も提供される。
本発明の1つの態様において、患者は、軟骨またはマトリックス分解に影響を及ぼす疾患に罹っている。もう一つ別の態様において、患者は:疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛、関節リウマチ、骨関節炎、神経痛、神経障害、痛覚、神経損傷、虚血、神経変性、軟骨変性、および炎症性疾患からなる群から選択される疾患または状態に苦しんでいる。もう一つ別の態様において、患者は喉頭、気管、耳管、椎間板、靱帯、腱、関節包または骨発達に影響を及ぼす疾患に罹っている。もう一つ別の態様において、疾患は骨関節炎である。もう一つ別の態様において、疾患は関節リウマチである。本発明の治療法は、これを必要とする患者に安全かつ有効量の式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩を投与することを含む。
本明細書において用いられる場合、「治療」とは:(1)治療される状態または治療される状態の1以上の生物学的兆候の改善または予防、(2)(a)治療される状態に至るか、または治療される状態の原因である生物学的カスケードにおける1以上の点または(b)治療される状態の1以上の生物学的兆候の阻害、あるいは(3)治療される状態に関連する1以上の症状または結果の軽減を意味する。当業者は、「予防」とは絶対的項目でないことを理解するであろう。医学において、「予防」とは、状態またはその生物学的兆候の可能性または重症度を実質的に減少させるか、あるいはかかる状態またはその生物学的兆候の開始を遅らせるための薬物の予防的投与であると理解される。
本明細書において用いられる場合、「安全かつ有効な量」とは、治療される状態におけるプラスの変更を有意に誘発するために十分であるが、正しい医学的判断内で重大な副作用を回避するために十分低い化合物の量(妥当な損益比)を意味する。本発明の化合物の安全かつ有効な量は選択された特定の化合物(例えば、化合物の効力、有効性、および半減期を考慮);選択された投与経路;治療される状態;治療される状態の重症度;治療される患者の年齢、体格、体重、および健康状態;治療される患者の病歴;治療期間;併用療法の性質;望ましい治療効果などの因子によって様々であるが、それでも当業者が規定通りに決定できる。
本明細書において用いられる場合、「患者」とは、ヒトまたは他の動物をさす。
本発明の化合物は、全身投与および局所投与の両方を包含する任意の好適な投与経路により投与することができる。全身投与としては、経口投与、非経口投与、経皮投与、直腸投与、および吸入による投与が挙げられる。非経口投与は、経腸、経皮、または吸入による以外の投与経路であり、典型的には、注射または注入による。非経口投与としては、静脈内、筋肉内、および皮下注射または注入が挙げられる。吸入は、口から吸入するか、または鼻道を経由するかにかかわらず、患者の肺中への投与である。局所投与としては、皮膚への適用ならびに眼内、耳、膣内、および鼻内投与が挙げられる。
本発明の化合物は1回または所定の期間、様々な投与間隔で何回も投与される場合は投与計画に従って投与することができる。例えば、1日につき1回、2回、3回、または4回投与することができる。所望の治療効果が達成されるまで、または所望の治療効果を維持するために無期限に投与することができる。本発明の化合物に適した投与計画は前記化合物の薬物速度論的特性、例えば、吸収、分布、および半減期に依存し、これらは当業者が決定できる。加えて、本発明の化合物に適した投与計画、例えば、かかる計画が適用される期間は、治療される状態、治療される状態の重症度、治療される患者の年齢および健康状態、治療される患者の病歴、併用療法の性質、所望の治療効果、および当業者の情報および専門的知識の範囲内の同様の因子に依存する。好適な投与計画は、個々の患者の投与計画に対する反応により、または長時間にわたると個々の患者の要求が変わるので、調節を加える必要があり得る。
典型的な1日量は、選択された特定の投与経路に応じて変化し得る。経口投与に関する典型的な1日量は、約0.4から約400mg/kgの範囲である。非経口投与に関する典型的な1日量は、約0.01から約100mg/kgの範囲;または0.1から20mg/kgの間である。本発明の化合物は、単独または1以上のさらなる活性剤と組み合わせて投与することができる。
(実施例)
(実施例)
次の実施例で本発明を説明する。これらの実施例は本発明の範囲を制限することを意図せず、むしろ当業者に対して本発明の化合物、組成物、および方法の調製および使用の指針を提供することを意図する。本発明の特定の実施形態を記載するが、当業者には、本発明の精神および範囲を逸脱することなく様々な変更および修正を加えることができることは理解されるであろう。
N−((1S)−1−{[({(3S,4S)−1−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
a)1,1−ジメチルエチル−2−(フェニルメチル)ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[3,4−d]イソキサゾール−5−カルボキシレート
1,1−ジメチルエチル2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボキシレート(10.0g、59.1ミリモル)のトルエン(300mL)およびEtOH(100mL)中溶液に、パラホルムアルデヒド(8.87g、295.5ミリモル)、N−ヒドロキシベンジルアミン塩酸塩(13.92g、88.65ミリモル)およびトリエチルアミン(12.4mL、88.65ミリモル)を添加した。80℃で24時間後、反応溶液を真空下で濃縮し、ヘキサン/EtOAc、1:1(200mL)中に再溶解させ、濾過した。有機溶液を濃縮し、次いでシリカ上で精製(ヘキサン/EtOAc、1:1)して、無色油状物として標記化合物を得た(15.27g、85%):LCMS(m/z):305(M+H)+。
1,1−ジメチルエチル2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボキシレート(10.0g、59.1ミリモル)のトルエン(300mL)およびEtOH(100mL)中溶液に、パラホルムアルデヒド(8.87g、295.5ミリモル)、N−ヒドロキシベンジルアミン塩酸塩(13.92g、88.65ミリモル)およびトリエチルアミン(12.4mL、88.65ミリモル)を添加した。80℃で24時間後、反応溶液を真空下で濃縮し、ヘキサン/EtOAc、1:1(200mL)中に再溶解させ、濾過した。有機溶液を濃縮し、次いでシリカ上で精製(ヘキサン/EtOAc、1:1)して、無色油状物として標記化合物を得た(15.27g、85%):LCMS(m/z):305(M+H)+。
Parrフラスコ中、(±)−1,1−ジメチルエチル−2−(フェニルメチル)ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[3,4−d]イソキサゾール−5−カルボキシレート(14.0g、46.0ミリモル)のEtOH(100mL)中溶液に、Pd(OH)2(〜400mg)を添加した。反応物を50psiのH2下、一夜室温で振盪した。反応物を、Celite(登録商標)(MeOH)を通して濾過し、濃縮して、低融点白色固体として標記化合物を得た(10.0g、99%):LCMS(m/z):217(M+H)+。
CBZ中間体の絶対立体化学を振動円偏光二色性(VCD)分析により決定した。別の合成法において調製された最終目的物の立体化学の帰属のためにこの情報を使用した。この実施例のために、ジアステレオマーの混合物を合成の最終段階へと進め、次いでキラルHPLCクロマトグラフィーにより分離して、純粋なジアステレオマー形態において最終生成物を得た。
(±)−1,1−ジメチルエチル−シス−3−(アミノメチル)−4−ヒドロキシ−1−ピロリジンカルボキシレート(6.28g、28.9ミリモル)の攪拌DCM(150mL、0.2M)溶液にCBZ−Leu−COOH(8.45g、31.8ミリモル)、EDCHCl(6.66g、34.7ミリモル)、HOBt(4.69g、34.7ミリモル)およびNMM(9.5mL、86.8ミリモル))を添加した。得られた溶液を室温で一夜攪拌した。反応を次に、1N HClの添加によりクエンチした。相を分離し、有機部分を連続して5%NaHCO3および塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。シリカクロマトグラフィー(50−70%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、純粋な生成物を得、これを乾燥して、白色泡状物を得た(8.3g、62%)。LCMS(m/z)464(M+H)+。
1,1−ジメチルエチル(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−{[(N−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−L−ロイシル)−アミノ]メチル}−1−ピロリジンカルボキシレート(8.0g、17.3ミリモル)のEtOH/酢酸エチル(3:1、90mL、0.2M)中溶液に、乾燥窒素雰囲気下で、10%Pd/Cを酢酸エチル中スラリーとして添加した。反応容器を乾燥窒素、次いで水素でパージし、最終的に水素バルーン下で密封した。混合物を室温で一夜攪拌した。反応物を、Celite(登録商標)(EtOH)を通して濾過し、濃縮して、粘着性白色泡状物として標記化合物を得た(5.5g、97%)。LCMS(m/z):330(M+H)+。
1,1−ジメチルエチル(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−[(L−ロイシルアミノ)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレート(4.6g、14.1ミリモル)のCH2Cl2(70mL、0.2M)溶液に、1−ベンゾチオフェン−2−カルボン酸(2.76g、15.5ミリモル)、EDC(3.24g、16.9ミリモル)、HOOBt(0.46g、2.82ミリモル)およびNMM(3.8mL、35.26ミリモル)を添加し、混合物を室温で一夜攪拌した。1N HClの添加により反応混合物をクエンチし、相を分離した。有機溶液を連続して、飽和NaHCO3および塩水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、濃縮して、粗生成物を得た。シリカクロマトグラフィー(40−100%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、白色泡状物として標記化合物を87%の収率で得た(6.0g)。LCMS(m/z):490(M+H)+。
1,1−ジメチルエチル(3R,4R)−3−({[N−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル]アミノ}メチル)−4−ヒドロキシ−1−ピロリジンカルボキシレート(6.0g、12.27ミリモル)のCH2Cl2(20mL)中溶液に、4Mの1,4−ジオキサン中HCl(12mL、48ミリモル)を添加した。3時間後、得られた懸濁液をCH3OH中に部分的に溶解させ、次いで溶媒を蒸発により除去して、白色固体として標記化合物を得た。LCMS(m/z):390(M+H)。
N−{(1S)−1−[({[(3S,4R)−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル]メチル}アミノ)カルボニル]−3−メチルブチル}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド(1.9g、4.9ミリモル)のTHF:5%NaHCO3(1:1、50mL)中溶液に、2−クロロ−4−フルオロフェニルスルホニルクロリド(1.15g、5.0ミリモル)を添加した。二相溶液を室温で4時間攪拌した。層を分離し、有機相を塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮して、白色固体を得た(2.3g、81%)。キラルHPLCクロマトグラフィーにより精製して、両ジアステレオマーを得た(それぞれ1g)。ジアステレオマー1:(a:Chiralpak AD−H、20x250mm、50%CH3CN/CH3OH+0.1%イソプロピルアミン、15mL/分、RT=6.6分;b:R,R−Whelko、20x250mm、40:60 EtOH:ヘプタン、20mL/分、RT=6分);1H NMR(400MHz、CDCl3−d)δppm 8.07(dd、J=8.84、5.81Hz、1H)7.81−7.90(m、3H)7.40−7.50(m、2H)7.23−7.31(m、1H)7.01−7.11(m、2H)6.75(d、J=7.83Hz、1H)4.58−4.68(m、1H)4.10(d、J=3.03Hz、1H)3.65−3.75(m、1H)3.58−3.64(m、1H)3.47(d、J=2.27Hz、2H)3.21(dd、J=11.12、9.09Hz、1H)3.09(dt、J=14.15、4.29Hz、1H)2.26(dt、J=7.52、3.69Hz、1H)1.72−1.79(m、3H)1.00(t、J=6.44Hz、6H)。
LCMS(m/z):582(M+H)。元素分析(計算値)C:53.65、H:5.02、N:7.22;(実測値)C:53.30、H:5.03、N:7.11。
N−((1S)−1−{[({(3R,4R)−1−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
実施例1において記載された手順により、標記化合物を調製し、キラルHPLCクロマトグラフィーにより二番目に溶出するジアステレオマーとして単離した。ジアステレオマー2:(Chiralpak AD−H、20x250mm、50%CH3CN/CH3OH+0.1%イソプロピルアミン、15mL/分、RT=14−40分);1H NMR(400 MHz、CDCl3−d)δppm 8.09(dd、J=8.84、5.81Hz、1H)7.82−7.90(m、3H)7.39−7.50(m、3H)7.24−7.32(m、1H)7.02−7.12(m、1H)6.81(s、1H)4.67−4.78(m、1H)4.60(s、1H)4.22(s、1H)3.54−3.65(m、4H)3.22(t、J=9.98Hz、1H)3.13(td、J=9.22、5.05Hz、1H)2.35(ddd、J=7.39、3.60、3.41Hz、1H)1.67−1.79(m、3H)1.00(t、J=5.68Hz、6H)。LCMS(m/z):582(M+H)。元素分析(計算値)C:53.65、H:5.02、N:7.22;(実測値)C:52.99、H:5.24、N:7.33。
N−((1S)−1−{[({(3S,4S)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
2,4−ジクロロフェニルスルホニルクロリドを2−クロロ−4−フルオロフェニルスルホニルクロリドと置換する以外は実施例1gにおいて概略を記載した一般的手順に従って、標記化合物を調製した。ジアステレオマーの分離は、キラルHPLCクロマトグラフィーにより行った。ジアステレオマー1:(R,R−Whelko、20x250mm、15%EtOH/ヘキサン、20mL/分、D1 RT=18.4分);1H NMR(400MHz、CDCl3−d)δppm 7.97(d、J=8.59Hz、1H)7.84−7.89(m、2H)7.80(d、J=7.07Hz、1H)7.51(d、J=2.27Hz、1H)7.39−7.49(m、2H)7.33(dd、J=8.59、2.02Hz、1H)7.25(dd、J=7.96、5.18Hz、1H)6.97(d、J=7.83Hz、1H)4.65(q、J=7.07Hz、1H)4.57(s、1H)4.07(q、J=3.12Hz、1H)3.62−3.70(m、1H)3.59(dd、J=9.09、8.08Hz、1H)3.40−3.45(m、1H)3.34−3.40(m、1H)3.19(dd、J=11.12、9.35Hz、1H)3.09(td、J=9.35、4.55Hz、1H)2.21(dt、J=7.52、3.69Hz、1H)1.72−1.81(m、3H)0.99(t、J=6.19Hz、6H)。LCMS(m/z):598(M+H)。
N−((1S)−1−{[({(3R,4R)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
標記化合物を実施例3において記載された手順により調製し、キラルHPLCクロマトグラフィーにより2番目に溶出するジアステレオマーとして単離した。ジアステレオマー2:(R,R−Whelko、20x250mm、15%EtOH/ヘキサン、20mL/分、D2 RT=21.3分);1H NMR(400MHz、CDCl3−d)δppm 8.00(d、J=8.34Hz、1H)7.87(d、J=8.08Hz、1H)7.81−7.85(m、2H)7.53(d、J=2.02Hz、1H)7.40−7.50(m、3H)7.34(dd、J=8.59、2.02Hz、1H)6.82(d、J=8.08Hz、1H)4.69−4.79(m、1H)4.58(d、J=1.52Hz、1H)4.21(d、J=3.03Hz、1H)3.55−3.65(m、4H)3.22(dd、J=10.86、9.35Hz、1H)3.09(td、J=9.22、5.31Hz、1H)2.34(ddd、J=7.45、3.66、3.54Hz、1H)1.73−1.82(m、3H)1.01(t、J=5.56Hz、6H)。LCMS(m/z):598(M+H)。
N−[(1S)−1−({[((3S,4S)−1−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル)メチル]アミノ}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニルクロリドを2−クロロ−4−フルオロフェニルスルホニルクロリドと置換する以外は実施例1gにおいて概略を記載した一般的手順に従って、標記化合物を得た。ジアステレオマーの分離は、キラルHPLCクロマトグラフィーにより行った。ジアステレオマー1:(R,R−Whelko、20x250mm、10%EtOH/ヘキサン、20mL/分;D1 RT=26.8分);1H NMR(400MHz、CDCl3−d)δppm 8.17(dd、J=8.84、5.31Hz、1H)7.85−7.89(m、2H)7.81(d、J=7.07Hz、1H)7.56(dd、J=8.97、2.65Hz、1H)7.39−7.49(m、2H)7.34(ddd、J=9.09、6.95、2.65Hz、1H)7.26(dd、J=7.96、5.18Hz、1H)6.94(d、J=7.83Hz、1H)4.62−4.71(m、2H)4.10(s、1H)3.67(ddd、J=14.21、11.05、8.34Hz、1H)3.56−3.62(m、1H)3.43(d、J=1.77Hz、2H)3.06−3.15(m、2H)2.20−2.30(m、J=11.21、3.79、3.62、3.62Hz、1H)1.71−1.82(m、3H)0.99(t、J=6.32Hz、6H)。LCMS(m/z):616(M+H)。
N−[(1S)−1−({[((3R,4R)−1−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル)メチル]アミノ}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドの調製
実施例5において記載された手順により標記化合物を調製し、キラルHPLCクロマトグラフィーにより2番目に溶出するジアステレオマーとして単離した。ジアステレオマー2:(R,R−Whelko、20x250mm、10%EtOH/ヘキサン、20mL/分;D2 RT=30.3分);1H NMR(400MHz、CDCl3−d)δppm 8.20(dd、J=8.84、5.31Hz、1H)7.84−7.90(m、2H)7.83(s、2H)7.58(dd、J=9.09、2.78Hz、1H)7.39−7.48(m、2H)7.33−7.37(m、1H)6.73(d、J=8.08Hz、1H)4.75(td、J=8.27、5.94Hz、1H)4.71(s、1H)4.23(d、J=2.02Hz、1H)3.59−3.69(m、3H)3.54(d、J=11.12Hz、1H)3.06−3.17(m、2H)2.37(ddd、J=7.45、3.66、3.54Hz、1H)1.73−1.85(m、3H)1.02(t、J=5.56Hz、6H)。LCMS(m/z):616(M+H)。
Claims (17)
- R1がイソブチルである請求項1記載の化合物。
- R2がOHである請求項1記載の化合物。
- R3が任意に置換されていてもよいフェニルである請求項1記載の化合物。
- R3が1〜3個のメチル、トリフルオロメチル、CN、NO2、またはハロゲンで任意に置換されていてもよい請求項4記載の化合物。
- R1がイソブチルであり;
R2がOHであり;
R3が任意に置換されていてもよいフェニルである請求項1記載の化合物。 - R3が1〜3個のトリフルオロメチル、CN、またはハロゲンで置換されている請求項6記載の化合物。
- N−((1S)−1−{[({(3S,4S)−1−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[({(3R,4R)−1−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[({(3S,4S)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−((1S)−1−{[({(3R,4R)−1−[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル}メチル)アミノ]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
N−[(1S)−1−({[((3S,4S)−1−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル)メチル]アミノ}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;および
N−[(1S)−1−({[((3R,4R)−1−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}−4−ヒドロキシ−3−ピロリジニル)メチル]アミノ}カルボニル)−3−メチルブチル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
からなる群から選択される請求項1記載の化合物。 - 請求項1記載の化合物および医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物。
- 患者においてTRPV4チャンネルレセプターを活性化する方法であって、これを必要とする前記患者に有効量の請求項1記載の化合物を投与することを含む方法。
- これを必要とする患者を治療する方法であって、患者のTRPV4チャンネルレセプターを発現する少なくとも1つの細胞を治療上有効な量の式Iの化合物と接触させることを含む方法。
- 患者が軟骨またはマトリックス分解に影響を及ぼす疾患にかかっている請求項11記載の方法。
- 患者が:疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛、関節リウマチ、骨関節炎、神経痛、神経障害、痛覚、神経損傷、虚血、神経変性、軟骨変性、および炎症性疾患からなる群から選択される疾患または症状に苦しんでいる請求項12記載の方法。
- 患者が、喉頭、気管、耳管、椎間板、靱帯、腱、関節包または骨発達に影響を及ぼす疾患に罹っている請求項12記載の方法。
- 疾患が関節破壊に関連する請求項12記載の方法。
- 患者が骨関節炎に罹っている請求項15記載の方法。
- 患者が関節リウマチに罹っている請求項15記載の方法。
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