JP2009521230A - ナノレポーターならびにその作製方法および使用方法 - Google Patents

ナノレポーターならびにその作製方法および使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、生体分子サンプル中の個別標的分子の検出および定量のための組成物および方法に関する。特定的には、本発明は、標的分子に結合可能でありかつプローブの標識コードに基づいて標的分子を同定可能であるコード化標識化プローブに関する。そのようなプローブの作製方法および使用方法をも提供する。プローブは、診断、予後判定、品質管理、およびスクリーニングの用途で使用可能である。
【選択図】図2

Description

本出願は、2005年12月23日出願の米国仮出願第60/753,758号および2006年9月8日出願の米国仮出願第843,528号(それらの各開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に基づく利益を主張する。
1.発明の分野
本発明は、生体分子サンプル中の個別標的分子の検出および定量のための組成物および方法に関する。特定的には、本発明は、個別標的分子に結合可能なコード化標識化レポーター分子(本明細書中では標識化「ナノレポーター」と記す)に関する。ナノレポーターの標識コードを介して、標的分子へのナノレポーターの結合により標的分子の同定を行う。そのようなナノレポーターの作製方法および使用方法をも提供する。ナノレポーターは、診断、予後判定、品質管理、およびスクリーニングの用途で使用可能である。
2.発明の背景
本発明は、一般的には、混合物中の標的分子の検出、同定、および定量の分野に関する。
人体中の細胞はすべて同一の遺伝物質を含有しているが、同一の遺伝子がその全細胞で活性であるとはかぎらない。遺伝子発現パターンの改変は、生物学的機能に大きな影響を及ぼしうる。遺伝子発現のこうした変化は、生理学的過程および病理学的過程の改変の中核をなす。したがって、疾患細胞と対比される正常細胞における遺伝子発現の同定および定量は、新しい薬剤および診断標的の発見に役立ちうる。
核酸は、その特異的ポリヌクレオチド配列に基づいて検出および定量が可能である。既存の検出法および定量法の根底をなす基本原理は、サンプル中の対象の標的配列への標識化相補的プローブ配列のハイブリダイゼーションである。二本鎖の形成は、サンプル中の標的配列の存在の指標となり、組み込まれた標識の量により測定される二本鎖形成度は、標的配列の量に比例する。
分子ハイブリダイゼーションを呼ばれるこの技術は、複合混合物中の特定の核酸配列の同定および分析に有用なツールになっている。この技術は、たとえば、生物学的サンプル中の種々の微生物の核酸配列を検出するために、診断に使用されてきた。そのほかに、ハイブリダイゼーション技術は、個体間で遺伝的な差異または多型をマッピングするために使用されてきた。さらに、この技術は、異なる細胞集団または異なる薬剤で処理された細胞における遺伝子発現の変化をモニターするために使用されてきた。
以前は、複合サンプル中のごく少数の遺伝子を一度に検出できるにすぎなかった。過去十年以内で、いくつかの技術により、細胞内の多数の転写産物の発現レベルを任意の時点で一度にモニターできるようになった(たとえば、非特許文献1; 非特許文献2; 非特許文献3を参照されたい)。ゲノムのほとんどまたはすべてがわかっている生物では、細胞内の遺伝子の多数の転写産物を分析することが可能である。これらの技術のほとんどは、このプロセスをより効率的なものにした小型化表面上に存在する何千という固定化DNA配列で構成されるデバイスであるDNAマイクロアレイを利用する。マイクロアレイを用いて、生物学的サンプル中の何千という遺伝子の存在または不在を単一実験で検出することが可能である。このおかげで、研究者は、1つのサンプルでいくつかの診断試験を同時に行ったり、1回の実験で何千という遺伝子の発現レベルの変化を観察したりすることが可能である。一般的には、マイクロアレイは、グリッド上の正確に規定された位置でナイロン膜やガラススライドのような表面にDNA配列を結合させることにより作製される。次に、生物学的サンプル中の核酸が標識され、アレイにハイブリダイズされる。標識化サンプルDNAは、ハイブリダイゼーションを起こしているアレイ上の正確な位置を標示し、自動検出を可能にする。
残念なことに、アレイ方式の小型化にもかかわらず、この方法は、依然としてかなりの量の生物学的サンプルを必要とする。しかしながら、罹患組織の生検試料や個別細胞タイプのサンプルのようないくつかの場合には、生物学的サンプルは、供給量に限りがある。そのほかに、マイクロアレイの表面上でのハイブリダイゼーションの速度論的挙動は、少量の水溶液中でのハイブリダイゼーションほど効率的ではない。さらに、マイクロアレイハイブリダイゼーションの結果に基づいてサンプル中に存在する核酸の量を推定する方法は存在するが、マイクロアレイ技術では、これまでのところ、個別レベルで標的分子の検出を行うことができず、所与のサンプル中の標的分子の量を直接定量するためのマイクロアレイに基づく方法も存在しない。
Schena ら、 1995, Science 270:467-470 Lockhartら、 1996, Nature Biotechnology 14:1675-1680 Blanchard ら、 1996, Nature Biotechnology 14:1649
したがって、複合混合物中の標的分子の正確かつ高感度の検出、同定、および定量の必要性が存在する。
本明細書中で参考文献が検討または引用されても、そのような参考文献が本発明に対する先行技術であることを承認するものと解釈してはならない。
3.発明の概要
本発明は、多種多様な標的分子の検出、同定、および直接定量に使用しうるユニークに標識された分子、好ましくは合成分子(本明細書中ではナノレポーターと記す)のさまざまな集団を生成させる方法に関する。本方法は、ごく少数の異なるタイプの標識モノマーから出発して識別可能に標識された多数のレポーター分子(それぞれ単一標的分子の検出が可能である)を生成させるという点で有利である。
特定の実施形態では、本発明は、デュアルナノレポーター、すなわち、2つの成分:第1のプローブおよび第2のプローブを含む「プローブペア」を提供する。特定の実施形態では、第1のプローブは、(a)(i)第1のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される第1の標識結合領域;(ii)第2のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される第2の標識結合領域(第1の標識結合領域とオーバーラップしない);を含む第1の分子すなわちスカフォールドと、(b)第1の分子に結合された第1の標的特異的配列と、を含む複合体である。第2のプローブは、第2の分子または第2の分子を含む複合体であり、該第2の分子は、(i)第2の標的特異的配列;(ii)場合により、第3のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される第3の標識結合領域;および(iii)場合により、該第2の分子に結合されたアフィニティータグ;を含む。ただし、第1の標的特異的配列および第2の標的特異的配列は、同一の標的分子の異なる領域に結合し、該プローブペアがその標的分子に結合された時、第1および第2のシグナルの同一性ならびにそれらの互いの相対位置は、標的分子を同定するコードの少なくとも一部を構成する。
他の選択肢の実施形態では、本発明は、デュアルナノレポーター、すなわち、2つの成分:第1のプローブおよび第2のプローブを含む「プローブペア」を提供する。特定の実施形態では、第1のプローブは、(a)(i)第1のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される第1の標識結合領域;(ii)第2のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される第2の標識結合領域;を含む第1の分子すなわちスカフォールドと、(b)第1の分子に結合された第1の標的特異的配列と、を含む複合体である。第2のプローブは、第2の分子または第2の分子を含む複合体であり、該第2の分子は、(i)第2の標的特異的配列;(ii)場合により、第3のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される第3の標識結合領域;および(iii)場合により、該第2の分子に結合されたアフィニティータグ;を含む。ただし、第1のシグナルおよび第2のシグナルは、空間的もしくは分光的に識別可能であり;第1の標的特異的配列および第2の標的特異的配列は、同一の標的分子の異なる領域に結合し、該プローブペアがその標的分子に結合された時、第1および第2のシグナルの同一性ならびにそれらの互いの相対位置は、標的分子を同定するコードの少なくとも一部を構成する。
コードは、第1および第2のシグナルとそれらの互いの相対位置とで構成されうるか、または第1および第2のシグナルならびに追加の標識結合領域(第1または第2の分子上)から同様に生成される追加のシグナルとシグナルの互いの相対位置とで構成されうる。
一般的には、標的分子は、天然に存在する分子または天然に存在する分子のcDNAまたは該cDNAの相補体である。他の実施形態では、標的分子は、天然に存在する分子の変異体、たとえば、その活性、安定性、および/もしくは生体内分布が改良または最適化されたタンパク質またはそのようなタンパク質をコードする核酸である。
標的結合領域がヌクレオチド配列である本発明に係るデュアルナノレポーターの第1の態様では、第1のDNA分子が第1の標識結合領域にハイブリダイズされ、この第1のDNA分子に、前記第1のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合され;かつ第2のDNA分子が第2の標識結合領域にハイブリダイズされ、この第2のDNA分子に、前記第2のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される。
標的結合領域がヌクレオチド配列である本発明に係るデュアルナノレポーターの第2の態様では、第1のRNA分子が第1の標識結合領域にハイブリダイズされ、この第1のRNA分子に、前記第1のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合され;かつ第2のDNA分子が第2の標識結合領域にハイブリダイズされ、この第2のDNA分子に、前記第2のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される。
標的結合領域がヌクレオチド配列である本発明に係るデュアルナノレポーターの第3の態様では、複数の第1のDNA分子が第1の標識結合領域にハイブリダイズされ、これらの第1のDNA分子に、前記第1のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合され;かつ複数の第2のDNA分子が第2の標識結合領域にハイブリダイズされ、これらの第2のDNA分子に、前記第2のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される。
標的結合領域がヌクレオチド配列である本発明に係るデュアルナノレポーターの第4の態様では、複数の第1のRNA分子が第1の標識結合領域にハイブリダイズされ、これらの第1のRNA分子に、前記第1のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合され;かつ複数の第2のRNA分子が第2の標識結合領域にハイブリダイズされ、これらの第2のRNA分子に、前記第2のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される。
本発明に係るデュアルナノレポーターの特定の実施形態では、第2のプローブは、(a)第2の核酸(スカフォールド)分子と、ただし、この第2の核酸分子は、第3のRNA分子がハイブリダイズされる第3の標識結合領域を含み、この第3のRNA分子に、第3のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される;(b)第2の核酸分子に共有結合された第2の標的特異的配列と;を含む核酸複合体であり、コードは、第1、第2、および第3のシグナルの同一性とそれらの互いの相対位置とを含む。特定の実施形態では、第1の標識結合領域に結合された標識モノマーは同一の波長の光を放出し、この光は前記第1のシグナルを構成し、かつ第2の標識結合領域に結合された標識モノマーは同一の波長の光を放出し、この光は第2のシグナルを構成し、かつ第3の標識結合領域に結合された標識モノマーは同一の波長の光を放出し、この光は第3のシグナルを構成する。他の実施形態では、第1のシグナル、第2のシグナル、および第3のシグナルのうちの少なくとも1つは、複数の異なる波長の光を含む。第1、第2、および第3のシグナルは、分光的に識別可能でありうる。他の選択肢として、第1および第3のシグナルは、1つもしくは複数の同一の波長で発光する。
特定の実施形態では、第1のプローブおよび/または第2のプローブは、アフィニティータグを含む。また、特定の実施形態では、第2のプローブは、第3のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される第3の標識結合領域を含む。好ましくは、第1および第2の分子は核酸分子であり;より好ましくは、標識結合領域および標的特異的配列は、所定のヌクレオチド配列である。本発明に係るデュアルナノレポーターの特定の実施形態では、一方もしくは両方の標識結合領域に結合される1つ以上の標識モノマーは、それらのそれぞれの結合領域にハイブリダイズされる核酸に共有結合されるか、またはそれぞれの標識結合領域に結合される核酸に1つ以上の架橋核酸を介して間接的に共有結合される。
本発明に係るデュアルナノレポーターの特定の実施形態では、第1および第2の標的特異的配列は、1つ以上の前記標識モノマーのいずれによっても標識されないが;ナノレポーター中の少なくとも1つの標的特異的配列は、1つ以上の標識モノマーに直接的もしくは間接的に結合されるスカフォールドに結合される。
本発明に係るデュアルナノレポーターの他の実施形態では、第2の分子は、第4のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第4の標識結合領域をさらに含む。好ましくは、そのようなデュアルナノレポーターがその標的分子に結合された時、コードは、第1のシグナル、第2のシグナル、第3のシグナル、および第4のシグナルの同一性とそれらの互いの相対位置とを含む。
しかしながら、第2の核酸は、第3のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される第3の標識結合領域を含む必要はない。本明細書中では、そのようなプローブを「ゴーストプローブ」と呼ぶ。ゴーストプローブは、標的分子へのナノレポーターのハイブリダイゼーションの速度論的挙動を改良する標的特異的配列と、場合により、デュアルナノレポーターの固定および伸長に使用しうるアフィニティータグと、を含有する。ゴーストプローブを利用するナノレポーターの実施形態では、第1の分子(標識モノマーが結合され、本明細書中では「レポータープローブ」と記されることもある)は、好ましくは約2,000〜約10,000塩基の長さ、より好ましくは約5,000〜約8,000塩基の長さの核酸分子であり、第2の分子(「ゴーストプローブ」)は、好ましくは約40〜約250塩基の長さ、より好ましくは約50〜100塩基の長さの核酸分子である。特定の実施形態では、第1の分子および第2の分子は両方ともDNA分子である。本明細書中で使用する場合、数または範囲の前の「約」および「ほぼ」という用語の使用は、その数または範囲プラスまたはマイナス5%を意味する。
アフィニティータグは、第1のプローブまたは第2のプローブに間接的に結合させうる。たとえば、アフィニティータグは、第1または第2のプローブにハイブリダイズされるオリゴヌクレオチドに共有結合させうるか、または第1および/または第2のプローブのスカフォールドにハイブリダイズされる「パッチ」にハイブリダイズされるオリゴヌクレオチドに共有結合させうる。他の選択肢として、アフィニティータグは、第1および第2のプローブの第1の核酸分子および/または第2の核酸分子に共有結合される。
所与の標識結合領域に結合される標識モノマーにより放出されるシグナルは、同一でありうるかまたは異なりうる。したがって、一実施形態では、特定の(たとえば、第1または第2の)標識結合領域に結合される標識モノマーは同一の波長の光を放出し、この光はその標識結合領域に対応するシグナルを構成する。他の選択肢として、他の実施形態では、第1のシグナルおよび第2のシグナルの少なくとも一方は、複数の異なる波長の光を含む。
好ましくは、特定の実施形態では、隣接する標識結合領域に結合される標識モノマーにより放出されるシグナルは、分光的に識別可能である。したがって、特定の実施形態では、第1および第2のシグナルは、分光的に識別可能である。
本発明はさらに、シングルナノレポーターでありうるかまたはデュアルナノレポーターの2つの成分の一方もしくは両方でありうるプローブを提供する。該プローブは、(a)(i)第1のRNA分子がハイブリダイズされる第1の標識結合領域、ただし、この第1のRNA分子に、第1のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される;(ii)第2のRNA分子がハイブリダイズされる第2の標識結合領域、ただし、この第2のRNA分子に、第2のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される;を含む核酸分子と、(b)核酸分子に共有結合された標的特異的配列と、を含む核酸複合体であり、第1および第2のRNA分子は、好ましくは、それぞれ少なくとも20ヌクレオチドであり、標的特異的配列は、標的分子に結合し、この標的分子は、天然に存在する分子または天然に存在する分子のcDNAまたは該cDNAの相補体であり、該プローブがその標的分子に結合された時、第1および第2のシグナルの同一性ならびにそれらの互いの相対位置は、標的分子を同定するコードの少なくとも一部を構成する。特定の実施形態では、第1および第2のRNA分子は、それぞれ、好ましくは少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100ヌクレオチドである。
他の態様では、本発明はプローブを提供し、該プローブは、(a)(i)第1のRNA分子がハイブリダイズされる第1の標識結合領域、ただし、この第1のRNA分子に、第1のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される;(ii)第2のRNA分子がハイブリダイズされる第2の標識結合領域、ただし、この第2のRNA分子に、第2のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される;を含む合成核酸分子と、(b)合成核酸分子に共有結合された標的特異的配列と、を含む核酸複合体であり、第1および第2のRNA分子は、それぞれ、少なくとも50ヌクレオチドであり、標的特異的配列は、標的分子に結合し、この標的分子は、天然に存在する分子または天然に存在する分子のcDNAまたは該cDNAの相補体であり、該プローブがその標的分子に結合された時、第1および第2のシグナルの同一性ならびにそれらの互いの相対位置は、標的分子を同定するコードの少なくとも一部を構成する。
さらに他の態様では、本発明はプローブを提供し、該プローブは、(a)(i)第1のRNA分子がハイブリダイズされる第1の標識結合領域、ただし、この第1のRNA分子に、第1のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが共有結合される;(ii)第2のRNA分子がハイブリダイズされる第2の標識結合領域、ただし、この第2のRNA分子に、第2のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが共有結合される;を含む核酸分子と、(b)核酸分子に共有結合された標的特異的配列と、を含む核酸複合体であり、第1および第2のRNA分子は、それぞれ、少なくとも50ヌクレオチドであり、標的特異的配列は、標的分子に結合し、この標的分子は、天然に存在する分子または天然に存在する分子のcDNAまたは該cDNAの相補体であり、該プローブがその標的分子に結合された時、第1および第2のシグナルの同一性ならびにそれらの互いの相対位置は、標的分子を同定するコードの少なくとも一部を構成する。
本発明の特定の態様では、標識モノマーは、1つ以上のRNAパッチすなわちRNA分子を介して本発明に係るナノレポーターの標識結合領域に結合される。そのようなRNAパッチは、好ましくはそれぞれ約(±5%)100〜約3,000ヌクレオチド、より好ましくはそれぞれ500〜約1,500ヌクレオチドである。
ナノレポーターがアフィニティータグを含む場合、アフィニティータグは、パッチに結合されてデュアルナノレポーター中に存在可能であり、アフィニティータグは、プローブペアの一方または両方の成分上の1つ以上のパッチに結合可能である。
アフィニティータグは、ナノレポーター上の1つ以上のパッチにハイブリダイズされるオリゴヌクレオチドに共有結合させることにより結合可能である。他の選択肢として、アフィニティータグは、ナノレポーターのスカフォールドである核酸分子に結合可能である。
本発明の特定の態様では、ナノレポーター−標的分子複合体が提供される。場合により、ナノレポーター複合体の1つ以上の成分は、精製および/または固定のためにアフィニティータグに共有結合される(以下の第5.12節に記載されるように伸長前または伸長後のいずれかで)。特定の実施形態では、標的分子自体がアフィニティータグに結合される。たとえば、標的分子が核酸である場合、アフィニティータグは、ビオチン修飾ヌクレオチドとして核酸中に組み込まれるビオチンでありうる。標的分子は、ナノレポーター−標的分子複合体の形成前または形成後にアフィニティータグを介して固定可能である。アフィニティータグがビオチン部分である実施形態では、標的分子は、アビジンまたはストレプトアビジンで被覆された固体表面上に固定可能である。
ナノレポーターの成分(たとえば、スカフォールド、標的特異的配列)の1つまたは全部は、天然に存在する分子でありうる(またはその配列を有しうる)。しかしながら、完全に集合および標識されたナノレポーターは、一般的には、合成分子、たとえば、天然に存在する配列および/または人工の配列を連結させることにより作製されるキメラ分子(たとえば、ウイルス型もしくはプラスミド型のスカフォールドと哺乳動物の標的特異的配列)である。
本発明に係るナノレポーターは、その標的分子に複合体化された時、好ましくは固定および伸長された時、画像化される。ナノレポーターおよびナノレポーターと標的分子とを含む複合体は、当技術分野で公知の任意の方法により固定可能である。好ましくは、ナノレポーターは、アフィニティータグ用のリガンド(たとえば、それぞれストレプトアビジンまたは抗ジゴキシゲニン抗体)を含有する表面にナノレポーターをつなぐために使用可能なアフィニティータグ(たとえば、ビオチンまたはジゴキシゲニン)に結合される。固定されたナノレポーターは、当技術分野で公知の任意の方法により、たとえば、流動伸長、後退メニスカス技術、電気伸長、振動電場と組み合わせたナノレポーター含有液の流動狭窄により(ただし、これらに限定されるものではない)、伸長させることが可能である。
本発明はさらに、10種以上のナノレポーターすなわちプローブの集団を提供する。ただし、各プローブは、合成分子を含み、該合成分子は、次の順序で逐次的に、(a)第1のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される第1の標識結合領域;(b)第2のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第2の標識結合領域;(c)第3のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第3の標識結合領域;および(d)標的分子に結合する標的特異的配列;を含み、第1および第2のシグナルは、分光的に識別可能であり;第2および第3のシグナルは、分光的に識別可能であり;第1および第2のシグナルは、前記第1、第2、および第3のシグナルの検出に使用可能な条件下で空間的に解像可能でなく;第2および第3のシグナルは、前記第1、第2、および第3のシグナルの検出に使用可能な条件下で空間的に解像可能でなく;第1および第3のシグナルは、前記第1、第2、および第3のシグナルの検出に使用可能な条件下で空間的に解像可能であり;各プローブは、異なる標的分子に結合する標的特異的配列を含み;第1、第2、および第3のシグナルの同一性ならびに第1および第3のシグナルの互いの相対位置は、各標的分子を同定するコードの少なくとも一部を構成する。
好ましくは、標的分子は、天然に存在する分子または天然に存在する分子のcDNAまたは該cDNAの相補体である。
また、好ましくは、標識結合領域および標的特異的配列は、所定のヌクレオチド配列である。
本発明の特定の態様では、本発明に係るプローブ、プローブペア、および/または合成核酸分子は精製される。
特定の実施形態では、第1の標識結合領域に結合される標識モノマーは同一の波長の光を放出し、この光は前記第1のシグナルを構成し;第2の標識結合領域に結合される標識モノマーは同一の波長の光を放出し、この光は第2のシグナルを構成し;第3の標識結合領域に結合される標識モノマーは同一の波長の光を放出し、この光は第3のシグナルを構成する。したがって、そのような実施形態では、特定の標識結合領域に結合される標識モノマーは、同一の波長の光を放出する。
他の特定の実施形態では、第1のシグナル、第2のシグナル、および第3のシグナルの少なくとも1つは、複数の異なる波長の光を含む。そのような実施形態では、少なくとも1つの標識結合領域に結合される2つ以上のモノマーは、異なる波長の光を放出する。
本発明はさらに、10種以上のナノレポーター−標的分子複合体の集団を提供する。ただし、各複合体は、標的分子に結合された合成分子を含み、該合成分子は、次の順序で逐次的に、(a)第1のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される第1の標識結合領域;(b)第2のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第2の標識結合領域;(c)第3のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第3の標識結合領域;および(d)該標的分子に結合する標的特異的配列;を含み、第1および第2のシグナルは、分光的に識別可能であり;第2および第3のシグナルは、分光的に識別可能であり;第1および第2のシグナルは、前記第1、第2、および第3のシグナルの検出に使用可能な条件下で空間的に解像可能でなく;第2および第3のシグナルは、前記第1、第2、および第3のシグナルの検出に使用可能な条件下で空間的に解像可能でなく;第1および第3のシグナルは、前記第1、第2、および第3のシグナルの検出に使用可能な条件下で空間的に解像可能であり;各標的特異的配列(またはデュアルナノレポーター中の標的特異的配列のペア)は、異なる該標的分子に結合し;第1、第2、および第3のシグナルの同一性ならびに第1および第3のシグナルの互いの相対位置は、各標的分子を同定するコードの少なくとも一部を構成する。
特定の実施形態では、集団は、固体表面に固定され、好ましくは伸長される。たとえば、集団は、流動伸長、後退メニスカス技術、電気伸長、または振動電場と組み合わせた該複合体を含有する液体の流動狭窄に付すことが可能である。
本発明はこのほかにさらに、標的分子の検出方法を提供する。該方法は、(a)標的分子へのプローブの結合を可能にする条件下で生体分子サンプルをプローブに接触させることと、ただし、該プローブは、次の順序で逐次的に、(i)第1のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される第1の標識結合領域、(ii)第2のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第2の標識結合領域、(iii)第3のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第3の標識結合領域、および(iv)標的分子に結合する標的特異的配列、を含む合成分子であり、標的特異的配列は、該サンプル中に存在しうる標的分子に結合し、第1および第2のシグナルは、分光的に識別可能であり、第2および第3のシグナルは、分光的に識別可能である;(b)次の条件:第1および第2のシグナルが空間的に解像可能でなく、第2および第3のシグナルが空間的に解像可能でなく、第1および第3のシグナルが該条件下で空間的に解像可能であり、第1、第2、および第3のシグナルの同一性ならびに第1および第3のシグナルの互いの相対位置が、標的分子を同定するコードの少なくとも一部を構成する条件の下で、該第1、第2、および第3のシグナルを検出することと;(c)該コードが生成されるかを調べることにより該標的分子を検出することと;を含む。
好ましくは、プローブおよび標的分子は核酸である。
ある特定の実施形態では、第1の標識結合領域に結合される標識モノマーは、同一の波長の光を放出し、第2の標識結合領域に結合される標識モノマーは、同一の波長の光を放出し、第3の標識結合領域に結合される標識モノマーは、同一の波長の光を放出する。そのような実施形態では、第1のシグナル、第2のシグナル、および第3のシグナルはそれぞれ、単一の波長の光で構成される。
他の実施形態では、第1のシグナル、第2のシグナル、および第3のシグナルの少なくとも1つは、複数の異なる波長の光を含む。
本発明はさらに、1つ以上の合成領域(これ以降は「当該領域(Region)」)を含む人工の核酸分子を提供する。ただし、当該領域はそれぞれ、少なくとも50ヌクレオチドでありかつ規則的反復塩基を含み、該規則的反復塩基は、この領域において該タイプの塩基が周期的間隔で4番目〜25番目ごとの位置に存在するように4〜25の周期性を有する。特定の実施形態では、この当該領域内の該塩基の5%以下は、該周期的間隔以外で現れる。人工の核酸は、一本鎖の核酸(たとえば、ナノレポータースカフォールドとして有用な核酸)または少なくとも部分的に(もしくは完全に)二本鎖の核酸(たとえば、パッチがハイブリダイズされるナノレポータースカフォールド)でありうる。人工の核酸は、RNA、DNA、またはDNA/RNAハイブリッドでありうる。好ましくは、規則的反復塩基は、チミジンまたはウラシルである。特定の実施形態では、この1つ以上の当該領域の規則的反復塩基の周期性は、約6〜約15であり;他の実施形態では、この1つ以上の当該領域の規則的反復塩基の周期性は、約8〜約12である。
好ましくは、人工の核酸は、複数の当該領域、たとえば、約2〜約50個の当該領域または約3〜約10個の当該領域を含む。
複数の当該領域は、互いにすぐ隣りでありうるかまたは1つ以上のスペーサー領域により分離されうる。スペーサー領域は、たとえば、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼ認識配列(またはその相補体)および/または1つ以上のRNAポリメラーゼプロモーター配列(またはその相補体)を含みうる。
特定の実施形態では、複数の当該領域は、配列が互いに異なる。
人工の核酸は、複製起点をさらに含みうる。
好ましくは、1つ以上の当該領域のGC含有率は、約25%〜約75%、より好ましくは約40%〜約60%、最も好ましくは約50%(±5%)である。
本発明に係る人工の核酸中のこの1つ以上の当該領域はそれぞれ、好ましくは約50〜約50,000塩基の長さ、より好ましくは約200〜約2,000塩基の長さである。
本発明に係る人工の核酸は、好ましくは約50〜約100,000塩基の長さ、より好ましくは約200〜約10,000塩基または約500〜約20,000塩基の長さである。
本発明に係る人工の核酸は、標識結合領域として有用な1つもしくは複数の当該領域を含みうる。人工の核酸が複数の当該領域を含む場合、規則的反復塩基のタイプは、複数の当該領域で同一でありうるかもしくは異なりうる。同様に、規則的反復塩基の周期性は、複数の当該領域で同一でありうるかもしくは異なりうる。特定の実施形態では、本発明は、規則的反復塩基のタイプおよび周期性の両方が複数の当該領域で同一である複数の当該領域を含む人工の核酸を提供する。
本発明に係る人工の核酸は、標的特異的配列をさらに含みうる。
好ましくは、当該領域は、少なくとも1種の六塩基対カッター制限エンドヌクレオチド、たとえば、次の制限エンドヌクレアーゼ:BamH1、EcoRI、PstI、SmaI、XbaI、NotI、SacI、EcoRV、HindIII、ClaI、SalI、XhoI、ApaI、またはKpnIのうちの1つに対する認識部位を含まない。特定の実施形態では、当該領域は、六塩基対カッター酵素、または少なくとも人工の核酸内へのクローニングに使用される六塩基対カッター酵素、たとえば、プラスミドのポリリンカー中または当該領域にフランキングする領域中に存在する六塩基対カッター酵素に対するいかなる認識部位をも含まない。
本発明に係る人工の核酸または少なくともその中の当該領域は、好ましくは、ヘアピンループを含有することをMFOLDプログラムにより予測されない。
本発明に係る人工の核酸または少なくともその中の当該領域は、好ましくは、12塩基を超える長さの直接反復および逆方向反復のいずれをも有していない。他の実施形態では、人工の核酸および/または当該領域は、約11、約10、または約9塩基を超える長さの直接反復および逆方向反復のいずれをも有していない。
本発明に係る人工の核酸は、好ましくは、プロモーター配列(たとえば、T7、T3、もしくはSP6)またはその相補体を含む。
本発明に係る人工の核酸は、ファージキャプシド形成配列をさらに含みうる。
本発明に係る人工の核酸中の当該領域は、制限エンドヌクレアーゼ認識部位によりフランキングされていてもよい。
人工の核酸は、当該領域が標識結合領域として有用であるナノレポータースカフォールドとして使用可能である。したがって、本発明は、1つ以上の当該領域を含む人工の核酸を提供する。ただし、この1つ以上の当該領域の規則的反復塩基は、少なくとも1つの発光標識モノマーに結合される。少なくとも1つの規則的反復塩基は、標識モノマーに共有結合可能であるか、または標識モノマーが共有結合される他の核酸へのハイブリダイゼーションを介して標識モノマーに結合可能である。特定の実施形態では、少なくとも2つの異なる当該領域は、異なる発光標識モノマーに結合される。
本発明に係る人工の核酸は、アフィニティータグおよび/または複製起点をさらに含みうる。
本発明の一態様では、人工の核酸は、部分的にまたは完全に二本鎖の分子であり、その一方の鎖は、複数のRNAがハイブリダイズされるDNAであり、各RNAは、規則的反復塩基がアミノアリル修飾ウラシルである単一領域を含む。特定の実施形態では、存在する該アミノアリル修飾ウラシルの少なくとも50%は、少なくとも1つの発光標識モノマーに共有結合され;他の実施形態では、存在パーセントは、少なくとも60%の、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%である。この存在パーセントは、当技術分野で公知の任意の手段により測定可能である。
他のところで考察されているように、本発明に係るナノレポーターは、パッチおよび場合によりフラップに結合される核酸スカフォールドを含みうる。そのような構造体の詳細については、後掲の第5.3節で考察され、代表的なパッチ構造体およびフラップ構造体は、図7に示されている。
本発明はさらに、標的分子の検出方法を提供する。該方法は、(a)標的分子への合成分子の結合を可能にする条件下で、標的分子を含有する可能性のある生体分子サンプルを本明細書に記載のナノレポーター構造体のいずれかに接触させることと、(b)ナノレポーターコードの生成および/または検出を可能にする条件に付すことと、(c)ナノレポーターコードが生成されるか否かまたは存在するか否かを調べることにより該標的分子を検出することと、を含む。
本発明の特定の態様では、本方法のナノレポーターは、(i)第1のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される第1の標識結合領域、ただし、該第1のシグナルはすべて同一である;(ii)第2のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第2の標識結合領域、ただし、該第2のシグナルはすべて同一である;(iii)第3のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第3の標識結合領域、ただし、該第3のシグナルはすべて同一である;を含む合成分子であり、各結合領域は、複数のパッチペアを含み;第1および第2のシグナルは、分光的に識別可能であり;第2および第3のシグナルは、分光的に識別可能であり;ナノレポーターコードが存在するか否かおよび/または生成されるか否かを調べることは、(b)次の条件:第1および第2のシグナルが空間的に解像可能でなく、第2および第3のシグナルが空間的に解像可能でなく、第1および第3のシグナルが該条件下で空間的に解像可能であり、第1、第2、および第3のシグナルの同一性ならびに第1および第3のシグナルの互いの相対位置が、標的分子を同定するコードの少なくとも一部を構成する条件の下で、該第1、第2、および第3のシグナルを検出することを含む。それにより、標的分子が検出される。
4.図の簡単な説明
(以下の「図面の簡単な説明」に記載)
5.発明の詳細な説明
本発明は、ナノレポーターならびにその作製および使用に関する。完全に集合および標識されたナノレポーターは、2つの主要部分、すなわち、標的分子に結合可能な標的特異的配列と、標的特異的配列に関連付けられる「コード」(「ナノレポーターコード」)のシグナルを放出する標識化領域と、を含む。標的分子へのナノレポーターの結合時、ナノレポーターコードは、ナノレポーターが結合される標的分子を同定する。
ナノレポーターはモジュール構造体である。一般的には、ナノレポーターは、3つの基本エレメント:2つ以上の標識結合領域を含有するスカフォールド、スカフォールドに結合された1つ以上のパッチ、および同様にスカフォールドに結合された標的特異的配列を含有する分子状物質である。ナノレポーターのエレメントは、単一の分子状物質(「シングル」ナノレポーター)または2つの異なる分子状物質(「デュアル」ナノレポーター)の形態で見いだされうる。各分子状物質は、1つの分子または共有結合手段もしくは非共有結合手段により互いに結合された2つ以上の分子で構成されうる。一般的には、デュアルナノレポーターの各成分は、同一の標的分子上の異なる部位に結合する標的特異的配列を有する。これにより、標的分子へのナノレポーターの結合の速度論的挙動がより効率的でありかつより良好なシグナル:ノイズ比がより大きい結合特異性により生成されるより小さいナノレポーター成分を得ることが可能になる。
ナノレポータースカフォールドに結合されるパッチは、標識モノマーをナノレポータースカフォールドに結合させる機能を有する。パッチは、たとえば、1つ以上の標識モノマーを核酸パッチ中に共有結合で組み込むことにより、直接的に標識可能である。他の選択肢として、パッチは、フラップに結合させることが可能であり、このフラップは、たとえば、1つ以上の標識モノマーを核酸フラップ中に共有結合で組み込むことにより、直接的に標識可能であるか、または、たとえば、1つ以上の標識モノマーに共有結合されるオリゴヌクレオチドに核酸フラップをハイブリダイズさせることにより、間接的に標識可能である。標識結合領域に結合される標識モノマーをパッチ中またはフラップ中に直接的に組み込まない場合、パッチまたはフラップは、標識モノマーと標識結合領域との間の「架橋」として機能するので、「架橋分子」たとえば架橋核酸と呼びうる。
このほか、ナノレポーターは、精製および/または固定(たとえば固体表面に)のためにアフィニティータグを有しうる。ナノレポーターまたはナノレポーター−標的分子複合体は、好ましくは、2回以上の親和性選択工程で精製される。たとえば、デュアルナノレポーターの場合、一方のプローブは、第1のアフィニティータグを含みうる。また、他方のプローブは、第2の(異なる)アフィニティータグを含みうる。プローブは、標的分子と混合され、デュアルナノレポーターの2つのプローブを含む複合体は、一方または両方の個別アフィニティータグに対するアフィニティー精製により、未結合物質(たとえば、標的またはナノレポーターの個別プローブ)から分離される。第1の工程では、第1のアフィニティータグを含むプローブおよび所望の複合体のみが精製されるように、混合物を第1のアフィニティータグ用の親和性試薬に結合させることが可能である。結合された物質を第1の親和性試薬から遊離させ、場合により、第2のアフィニティータグ用の親和性試薬に結合させることにより、第1のアフィニティータグを含むプローブから複合体を分離することが可能である。この時点では、完全な複合体だけが結合されるであろう。最後に、複合体を第2のアフィニティータグ用の親和性試薬から遊離させ、次に、好ましくは伸長させて画像化に付す。親和性試薬は、アフィニティータグ用の結合パートナーで被覆された任意の固体表面、たとえば、結合パートナーで被覆されたカラム、ビーズ(たとえばラテックスビーズもしくは磁気ビーズ)、またはスライドでありうる。親和性試薬を用いるナノレポーターの固定および伸長については、「配向させて固定された巨大分子を含む組成物およびその調製方法」という名称で代理人整理番号11616−014−888で2005年12月23日にSean M.FerreeおよびDwayne L.Dunawayにより出願された米国仮出願第60/753,816号(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に十分に記載されている。
核酸であるかまたは核酸を含むナノレポーターおよびナノレポーター−標的複合体は、ナノレポーターまたは標的の少なくとも一部に相補的な核酸たとえばオリゴヌクレオチドを用いて、アフィニティー精製または固定が可能である。標的がポリAストレッチまたはポリdAストレッチを含む特定用途では、ナノレポーター−標的複合体は、ポリdTオリゴヌクレオチドで被覆された親和性試薬により精製または固定が可能である。
所与のナノレポーターのスカフォールドの種々の標識結合領域に関連付けられる標識モノマーにより放出されるシグナルの配列は、ナノレポーターのユニークな同定を可能にする。ユニークな同一性またはユニークな分光的識別特性を有するナノレポーターは、特異的標的分子またはその一部を認識する標的特異的配列に関連付けられる。標的分子へのナノレポーターの標的特異的配列の結合を可能にする条件下で標的分子を含有する混合物にナノレポーターを暴露した場合、標的特異的配列は、標的分子に優先的に結合する。ナノレポーターに関連付けられる分光コードの検出は、混合物中の標的分子の存在の検出を可能にする(定性分析)。所与の分光コードまたは分光的識別特性に関連付けられるすべての標識モノマーの計数は、ナノレポーターに結合された標的特異的配列に関連付けられる混合物中のすべての分子の計数を可能にする(定量分析)。したがって、ナノレポーターは、既知の生物学的マーカーの定量分析による異なる生物学的状態(たとえば、疾患状態vs健常状態)の診断または予後判定に有用である。さらに、本発明に係るナノレポーターにより単一分子の検出および定量の卓抜した感度が提供されるので、新しい診断マーカーおよび予後判定マーカー(異なる生物学的状態間の変動が小さすぎて伝統的分子法を用いて特定の生物学的状態との相関を検出できないマーカーを包含する)の同定が可能になる。ナノレポーターに基づく分子検出の感度は、少量の生物学的サンプルにおける治療剤および診断剤の詳細な薬動学的分析を可能にする。
シングルナノレポーターと呼ばれる多くのナノレポーターは、図1Dに示されるように1つの分子状物質で構成される。しかしながら、ナノレポーターの特異性の増大および/または標的分子への結合の速度論的挙動の改良のために、好ましいナノレポーターは、同一の標的分子の異なる領域に結合する異なる標的特異的配列をそれぞれ含有する2つの分子状物質で構成されるデュアルナノレポーターである。デュアルナノレポーターの種々の実施形態は、図1A〜1Cに描かれている。デュアルナノレポーターの場合、2つの分子状物質の少なくとも一方が標識される。他方の分子状物質は、必ずしも標識されるとは限らない。デュアルナノレポーターのそのような非標識化成分は、本明細書中では「ゴーストプローブ」(図1C参照)と記され、多くの場合、結合されたアフィニティータグを有し、このタグは、複合体の可視化および/または画像化を可能にするために、デュアルナノレポーターと標的分子とを含有する複合体の固定および/または伸長を行うのに有用である。
モジュール構造体であるので、ナノレポーターは、多種多様な形で集合および標識が可能である。たとえば、ナノレポータースカフォールドを標的特異的配列に結合させ(たとえば、ハイブリダイゼーションおよび場合によりライゲーションにより)、スカフォールドと標的特異的配列とを含む構造体を1つ以上のパッチおよび所望によりフラップに結合させることが可能である。他の選択肢として、最初にナノレポータースカフォールドを1つ以上のパッチ(および場合によりフラップ)に結合させ、次に、スカフォールド/パッチ構造体を標的特異的配列に結合させることが可能である。したがって、とくに指定がないかぎり、ナノレポーター集合の工程に関する考察または列挙がなされていても、特定の集合経路に従わなければならないことを示唆するものではない。
ナノレポーターの集合および使用については、本明細書中では主に、さまざまな核酸型ナノレポーターの説明を介して例示されるが;当業者であれば、本明細書に記載の方法がアミノ酸型(または核酸/アミノ酸ハイブリッド型)ナノレポーターに適用可能であることはわかるであろう。部分的におよび完全に集合させたナノレポーターの例示的な実施形態を以下に列挙する。
最も単純な場合、本発明は、標識および解像が可能な少なくとも2つの標識結合領域を有するスカフォールドを提供する。スカフォールドは、個別に標識および解像が可能な標識結合領域をスカフォールド上に形成しうる任意の分子状物質でありうる。スカフォールド上に形成される標識結合領域の数は、スカフォールドの長さおよび性質、ナノレポーターを標識する手段、ならびにスカフォールドの標識結合領域に結合されてシグナルを放出する標識モノマーのタイプに基づく。本発明に係るナノレポーターは、2つ以上の標識結合領域を含むスカフォールドを有しうる。好適なスカフォールド構造体としては、DNA型スカフォールドが挙げられる。
本発明はまた、1つ以上の標識結合領域が対応する標識モノマー(各標識モノマーはシグナルを放出する)に結合される標識化ナノレポーターを提供する。たとえば、少なくとも2つの標識モノマーがスカフォールドの2つの対応する標識結合領域に結合されて、これらの標識された標識結合領域または「スポット」が識別可能になる場合、本発明に係る標識化ナノレポーターが得られる。スカフォールドの異なる標識結合領域に関連付けられるシグナルを放出する標識モノマーは、検出条件下で分光的に識別不可能なシグナル(「同じ」シグナル)を放出しうるか、または少なくとも検出条件下で(たとえば、ナノレポーターの固定、伸長、および顕微鏡下での観察を行う時に)、分光的に識別可能なシグナルを放出しうる。
本発明はまた、2つ以上の標識モノマーが標識結合領域に結合されるナノレポーターを提供する。該標識結合領域に関連付けられる標識モノマーにより放出されるシグナルは、検出される総和シグナルを生成する。生成される総和シグナルは、同じシグナルで構成されうるか、または少なくとも2つの分光的に識別可能なシグナルで構成されうる。
一実施形態では、本発明は、同じシグナルを放出する少なくとも2つの標識モノマーがスカフォールドの2つの対応する標識結合領域に結合されかつ該2つの標識モノマーが空間的に識別可能であるナノレポーターを提供する。他の実施形態では、本発明は、2つの識別可能なシグナルを放出する少なくとも2つの標識モノマーが2つの近接する標識結合領域(たとえば、2つの隣接する標識結合領域)に結合されて該少なくとも2つの標識モノマーが分光的に識別可能であるナノレポーターを提供する。
本発明は、同じシグナルを放出する2つのスポットがスペーサー領域により分離されてスペーサー領域の介在が該2つのスポットに結合された標識モノマーにより放出される該同じシグナルの解像またはより良好な解像を可能にするナノレポーターを提供する。一実施形態では、スペーサー領域は、ナノレポーターの検出に利用される機器の解像度により決定される長さを有する。
本発明は、1つ以上の「ダブルスポット」を有するナノレポーターを提供する。各ダブルスポットは、スペーサー領域により分離されることなく同じシグナルを放出する2つ以上(たとえば、3つ、4つ、または5つ)の隣接するスポットを含有する。ダブルスポットは、それらのサイズにより同定可能である。
本発明に係るシグナルを放出する標識モノマーは、標識結合領域に結合されたパッチに共有結合または非共有結合で(たとえばハイブリダイゼーションを介して)結合させることが可能である。標識モノマーはまた、パッチに結合されたフラップに共有結合または非共有結合で(たとえばハイブリダイゼーションを介して)結合させることが可能であり、続いてパッチをスカフォールドに結合させることが可能である。フラップは、1つの分子またはスプリットフラップを形成する2つ以上の分子(「フラップ片」)により形成可能である。
本発明はまた、ナノレポーターのスカフォールド上の標識結合領域に(たとえばパッチを介して間接的に)結合された標識モノマーにより放出される一連のシグナルにより測定される分光コードに関連付けられるナノレポーターを提供する。ただし、分光コードの検出によりナノレポーターの同定が可能である。
一実施形態では、本発明は、担体へのアフィニティータグの結合によりスカフォールドの伸長とスカフォールド上の異なる標識結合領域に対応する標識モノマーにより放出されるシグナルの解像とが可能になるようにナノレポータースカフォールドに結合されたアフィニティータグをさらに含むナノレポーターを提供する。ナノレポーターの伸長は、当技術分野で公知のいずれかの伸長手段、たとえば、物理的、流体力学的、または電気的な手段などの手段(ただし、これらに限定されるものではない)を必要としうる。
さらに他の実施形態では、本発明は、スカフォールドの標識結合領域に結合されたフラップをさらに含むナノレポーターを提供する。ただし、スカフォールドの標識結合領域に結合されたフラップは、該標識結合領域に対応する標識モノマーを結合させることにより、該スカフォールド上の対応する標識結合領域に標識モノマーを間接的に結合させる。さらなる実施形態では、各標識モノマーは、シグナル放出部分と所定の配列のオリゴヌクレオチド部分とを含み、フラップは、対応する標識のオリゴヌクレオチド部分に相補的なフラップ配列の反復を含み、それにより、1つ以上の標識モノマーは、該フラップ配列の該反復への該標識モノマーの該オリゴヌクレオチド部分のハイブリダイゼーションを介して対応する標識結合領域に結合して、標識化ナノレポーターを生成させる。
本発明に係るナノレポーターは、スカフォールドに結合された標的特異的配列をさらに含みうる。標的特異的配列は、ナノレポーターが標的分子を認識して標的分子に結合しうるように選択される。本発明に係るナノレポーターは、あらゆるタイプの標的分子の同定に好適である。たとえば、標的分子の検出を可能にするように、適切な標的特異的配列をナノレポーターのスカフォールドに結合させることが可能である。好ましくは、標的分子は、DNA(cDNAを包含する)、RNA(mRNAおよびcRNAを包含する)、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質である。
本発明の一実施形態は、本発明に係る標識モノマーを用いた標的分子の検出の柔軟性の増大を提供する。この実施形態は、個別の標的特異的領域をそれぞれ有する2つの異なる分子状物質を含むデュアルナノレポーターであり、これらの分子状物質は、少なくとも一方が標識され、同一の標的分子に結合する。したがって、デュアルナノレポーターの2つの成分の標的特異的配列は、選択された標的分子の異なる部分に結合し、それにより、デュアルナノレポーターに関連付けられる分光コードの検出は、該デュアルナノレポーターに接触した生体分子サンプル中の選択された標的分子の検出を提供する。
本発明はまた、生体分子サンプル中の特定の標的分子の存在を検出する方法を提供する。この方法は、(i)標的分子へのデュアルナノレポーター中の標的特異的配列の結合を可能にする条件下で該サンプルをデュアルナノレポーターに接触させることと、(ii)デュアルナノレポーターに関連付けられる分光コードを検出することと、を含む。ナノレポーター構成に依存して、デュアルナノレポーターは、標的分子への結合前または結合後に標識可能である。
特定の実施形態では、検出方法は、複数の標的分子が同一のアッセイ(単一の反応混合物)で検出される多重アッセイで実施される。好ましい実施形態では、アッセイは、複数の標的分子が同時に検出されるハイブリダイゼーションアッセイである。特定の実施形態では、同一のアッセイで検出される複数の標的分子は、少なくとも5種の異なる標的分子、少なくとも10種の異なる標的分子、少なくとも20種の異なる標的分子、少なくとも50種の異なる標的分子、少なくとも75種の異なる標的分子、少なくとも100種の異なる標的分子、少なくとも200種の異なる標的分子、少なくとも500種の異なる標的分子、もしくは少なくとも750種の異なる標的分子、または少なくとも1000種の異なる標的分子である。他の実施形態では、同一のアッセイで検出される複数の標的分子は、50種までの標的分子、100種までの異なる標的分子、150種までの異なる標的分子、200種までの異なる標的分子、300種までの異なる標的分子、500種までの異なる標的分子、750種までの異なる標的分子、1000種までの異なる標的分子、2000種までの異なる標的分子、または5000種までの異なる標的分子である。さらに他の実施形態では、検出される複数の標的分子は、以上の数の間の任意の範囲内の異なる標的分子、たとえば、20〜50種の異なる標的分子、50〜200種の異なる標的分子、100〜1000種の異なる標的分子、500〜5000種の異なる標的分子であるが、これらに限定されるものではない。
特定の実施形態では、本発明は、同一のRNAの異なるスプライス形態の検出に関する。異なるスプライス形態は、同一の遺伝子の異なるエキソンに相補的な異なる標的特異的配列をそれぞれ有する複数のナノレポータープローブを用いて検出可能である。
ナノレポーターの構造安定性は、パッチのライゲーション、場合により、スプリットフラップおよび/またはスプリットフラップにハイブリダイズされた標識化オリゴヌクレオチドのライゲーションを介して、増大可能である。
本発明に係るナノレポーターおよびそれに基づく分析方法により提供される定性分析能力のほかに、本発明に係るナノレポーターは、定量分析の実施に比類なく好適である。本発明に係るナノレポーター(シングルナノレポーターまたはデュアルナノレポーターを問わず)と生体分子サンプル中のその標的分子との一対一の結合を提供することにより、サンプル中に存在する標的分子の全部または代表的な一部の同定および計数が可能である。種々の分子種のこの個別計数は、生体分子サンプル中の標的分子の絶対濃度または相対濃度を測定するための正確かつ直接的な方法を提供する。さらに、混合物中の各分子を個別に取り扱うことができるので、高感度、最小限のサンプル量要件、少量での溶液相速度論的挙動により提供される高反応速度、および最終的に非常に低い試薬コストをはじめとする小型化の利点が得られる。
以下に提供される説明および実施例からわかるであろうが、本発明は、多数の利点を提供する。たとえば、本発明に係るナノレポーターの形成における複合体のモジュール性は、非常に高い多様度(たとえば、何百万ものユニークに認識しうるナノレポーター)を有するユニークなナノレポーターのライブラリーの系統的作製を可能にする。このモジュール性は、ナノレポーター集団を特定用途にカスタマイズする柔軟性をもたらし、さらには有意な作製効率を提供する。以下の説明からわかるであろう他の利点は、本発明に係るナノレポーターの集合の柔軟性から生じる。すなわち、モジュール構造のおかげで、本発明に係るナノレポーターは、使用場所に輸送する前に集合させたり、使用場所で集合させたりすることが可能である。
5.1 ナノレポーター関連用語
ナノレポーター:「ナノレポーター」という用語は、(i)少なくとも2つの標識結合領域を含有する分子(「スカフォールド」);(ii)少なくとも1つの標識結合領域に結合される少なくとも1つのパッチ;および(iii)標的特異的配列;を有する分子状物質を意味する。以下で詳細に説明するように、ナノレポーターは、シングルナノレポーター(すべての成分が単一の分子状物質中に存在する)またはデュアルナノレポーター(すべての成分が2つの個別の分子状物質中に存在する)でありうる。ナノレポーターは、好ましくは合成分子、すなわち天然に存在しない分子、たとえば、通常は2つ以上の分子(たとえば、プラスミド、染色体、ウイルスゲノム、タンパク質など)上に存在する2つ以上の人工の配列および/または天然に存在する配列を連結させることにより作製されるキメラ分子である。
標識化ナノレポーター:標識化ナノレポーターとは、ナノレポーターコードの少なくとも一部を形成するシグナルを生成する1つ以上の標識モノマーにナノレポーターの少なくとも1つのパッチが結合されているナノレポーターのことである。
標識ユニット:「標識ユニット」という用語は、標識化ナノレポーターの非標的特異的部分を意味する。
プローブ:これは、標的特異的配列を有する分子を意味する。シングルナノレポーターとの関連では、「プローブ」という用語は、ナノレポーター自体を意味し;デュアルナノレポーターとの関連では、「プローブ」という用語は、ナノレポーターの2つの成分の一方もしくは両方を意味する。
プローブペア:これはデュアルナノレポーターを意味する。
パッチ:「パッチ」という用語は、一般的にはナノレポーターを標識する目的で、ナノレポータースカフォールドの標識結合領域に結合される分子状物質を意味する。パッチは、スカフォールドへの結合前または結合後のいずれかで、直接的に(共有結合もしくは非共有結合で)または間接的に結合される1つ以上の標識モノマーを有しうる。
フラップ:本明細書中で使用される「フラップ」という用語は、標識結合領域に結合されるパッチまたはパッチペアに結合される分子状物質を意味する。フラップは、標識モノマーを含有するかまたは標識モノマーを含有する1つ以上の分子に結合可能である1つ以上の分子である。領域の間接的標識を行うことにより、フラップは、領域に関連付けられるシグナル放出モノマーの数およびそのモノマーの性質を制御するうえでより高い柔軟性を提供する。フラップは、「スプリットフラップ」を形成する単一の分子片または複数の分子片(たとえば2つの片)により形成可能である(たとえば図7参照)。
標的特異的配列:「標的特異的配列」という用語は、標的分子に結合可能な分子状物質を意味する。ナノレポーターとの関連では、標的特異的配列は、ナノレポータースカフォールドに結合される。標的分子は、好ましくは、天然に存在する分子または天然に存在する分子のcDNAまたは該cDNAの相補体である(ただし、必ずしもそうである必要はない)。
ゴーストプローブ:標的特異的配列を含むがナノレポーターコードに寄与するシグナルを放出する標識モノマーで標識されない分子。
レポータープローブ:ナノレポーターコードに寄与するシグナルを放出する少なくとも1つの標識モノマーで標識される標的特異的配列を含む分子。シングルナノレポーターは、デュアルナノレポーターの標識化成分と同様にレポータープローブである。
FフックおよびGフック:デュアルナノレポーターとの関連では、FフックおよびGフックとは、それぞれ、プローブの1つに選択的に結合可能なアフィニティータグのことである。好ましい実施形態では、FフックおよびGフックは、デュアルナノレポーターのそれぞれのナノレポータープローブ中に(たとえばライゲーションを介して)存在するかまたはそれぞれのナノレポータープローブに(たとえばハイブリダイゼーションを介して)結合されるそれぞれの相補的配列にハイブリダイズ可能なビオチン化オリゴヌクレオチドである。したがって、FフックおよびGフックは、ナノレポーターの精製、固定、および伸長のために使用可能である。一般的には、デュアルナノレポーターが1つのレポータープローブと1つのゴーストプローブと含有する場合、Gフックは、レポータープローブに結合された状態になり、Fフックは、ゴーストプローブに結合された状態になる。FフックおよびGフックは、いずれかの末端または内部にビオチン化可能である。それらはまた、アフィニティー精製用の固体基材に結合できるようにアミン修飾可能である。
FタグおよびGタグ:それぞれ、FフックおよびGフックに相補的な約10〜約25ヌクレオチドのタンデム反復配列。GタグおよびFタグは、ナノレポータープローブに結合される。一般的には、Fタグは、ライゲーター配列を介してゴーストプローブ中に存在するかまたはゴーストプローブに結合され、Gタグは、ライゲーター配列を介してレポータープローブスカフォールド中に存在するまたはレポータープローブスカフォールドに結合される。
スポット:スポットとは、ナノレポーターの検出との関連では、ナノレポーター上の単一の標識結合部位に結合される標識モノマーから検出される総和シグナルのことであり、標識結合領域のサイズおよび標識モノマーの性質(たとえば主発光波長)に依存して、顕微鏡下で視覚化した時に単一の点光源として現れうる。ナノレポーターに由来するスポットは、オーバーラップしていることもあればオーバーラップしていないこともある。標的分子を同定するナノレポーターコードは、スポットの長さ、他のスポットに対するその相対位置、および/またはそのシグナルの性質(たとえば主発光波長(複数可))の任意の入替え形態を含みうる。一般的には、本発明に係る各プローブまたは各プローブペアでは、隣接する標識結合領域は、オーバーラップせず、かつ/または隣接する標識結合領域に由来するスポットは、少なくとも検出条件下で(たとえば、本明細書に記載されるようにナノレポーターの固定、伸長、および顕微鏡下での観察を行う時)、空間的および/もしくは分光的に識別可能である。
折にふれて、特定数の塩基またはヌクレオチドとしてスポット「サイズ」が参照される。当業者であれば容易にわかるであろうが、これは、対応する標識結合領域中の塩基またはヌクレオチドの数を意味する。
ナノレポーターコード:ナノレポーターに由来するスポットの順序および性質(たとえば主発光波長(複数可)、場合によりさらに長さ)は、ナノレポーターの標的特異的配列(複数可)を介してナノレポーターにより結合可能な標的分子を同定するナノレポーターコードとして機能する。また、ナノレポーターが標的分子に結合された時、ナノレポーターコードは、標的分子を同定する。場合により、スポットの長さは、ナノレポーターコードの成分でありうる。
ダークスポット:「ダークスポット」という用語は、ナノレポーター上の標識結合部位に由来するシグナルや「スポット」の欠如を意味する。ダークスポットをナノレポーターコード中に組み込むことにより、より多くのコード入替え形態を追加し、ナノレポーター集団におけるより大きなナノレポーター多様性を生成することが可能である。
レジスター:「レジスター」という用語は、一連の交互標識結合領域を意味する。
5.2 ナノレポータースカフォールド
ナノレポータースカフォールドは、標識モノマーが直接的もしくは間接的に結合されうる標識結合領域を含有する任意の分子状物質、より好ましくは核酸分子でありうる。一実施形態では、ナノレポータースカフォールドは、タンパク質スカフォールドであり;好ましい実施形態では、ナノレポータースカフォールドは、核酸スカフォールドであり、その標識結合領域は、オリゴヌクレオチドパッチ、RNAパッチ、またはDNAパッチのような他の核酸がハイブリダイゼーションにより結合されうる一本鎖領域である。特定の実施形態では、ナノレポータースカフォールドは、核酸分子である。
本発明に係るナノレポーターの形成に好適なスカフォールドのタイプに関しては、これといった特別な制限があるわけではない。本発明に係るスカフォールドは、本質的には、たとえば、一本鎖線状スカフォールド、二本鎖線状スカフォールド、一本鎖環状スカフォールド、または二本鎖環状スカフォールドをはじめとする任意の構造体を有しうる。スカフォールド構造体の例としては、たとえば、ポリペプチド、核酸、または炭水化物のような1つの分子状物質で作製されるスカフォールドが挙げられる。スカフォールドはまた、構造体の組合せを含みうる。たとえば、1つ以上の炭水化物ストレッチに結合される1つ以上のポリペプチドストレッチでスカフォールドを作製することが可能である。
本発明に係るスカフォールドに好適な分子状物質としては、高分子構造体、特定的にはDNAのような核酸型高分子構造体が挙げられる。DNA型構造体は、本発明との関連では、少なくとも部分的な理由としてDNA構築物の操作を可能にする既存の技術および方法の範囲がきわめて広いので、多くの利点を提供する。
以上に述べたように、スカフォールドは、一本鎖または二本鎖でありうる。二本鎖スカフォールドは、従来の二本鎖DNAであるかまたは結合されたパッチユニットもしくはフラットパッチを有する線状一本鎖ストレッチの核酸で構成される二本鎖であるかのいずれかでありうる。
スカフォールドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21〜100個もしくはそれ以上の標識結合領域を有しうる。
ナノレポータースカフォールドの標識結合領域は、標識方法に依存してサイズがさまざまであろう。種々の実施形態では、標識結合領域は、10nm〜10,000nmの間の任意の長さを有しうるが、より好ましくは50nm〜5,000nmであり、より好ましくは100nm〜1,000nmである。種々の実施形態では、標識結合領域は、約100nm〜約500nm、約150nm〜約450nm、約200nm〜約400nm、または250〜約350nmである。好ましい実施形態では、標識結合領域は、回折限界スポットのサイズ、すなわち、標準的な光学素子で検出可能な最小スポット(約300nmである)にほとんど一致する。
スカフォールドが核酸である場合、1nmは、約3ヌクレオチドに対応し;したがって、約300nmの標識結合領域は、約900塩基に対応する。他の好ましい実施形態では、標識結合領域は、約300ヌクレオチド〜約1.5kb、約450ヌクレオチド〜約1.35kb、約0.6kb〜約1.2kb、または0.75kb〜約1.05kbである。
本発明に係るナノレポータースカフォールド用の分子状物質の具体例は、一本鎖M13 DNAである。一実施形態では、ナノレポータースカフォールドは、環状の少なくとも部分的に一本鎖のDNA、たとえば、環状M13である。より好ましい実施形態では、ナノレポータースカフォールドは、線状の少なくとも部分的に一本鎖のDNA、たとえば、線状M13である。特定の実施形態では、環状M13 DNAのBamH1部位で切断を行うことにより得られるM13一本鎖DNAである。
本発明に関連する範囲内では、線状DNAが環状DNAと比較してさらなる利点を提供することに留意されたい。本発明に係るスカフォールドを形成する際に線状DNAを使用する利点の1つは、線状DNAに関連付けられる有意に低減される捩り応力が関係する。環状DNAに関連付けられる追加される捩り応力は、パッチユニットのようなナノレポーターの他の成分をスカフォールドに付加する際にスカフォールドの構造的完全性を阻害する可能性がある。極度の捩り応力は、スカフォールドの構造体の破壊を引き起こす可能性がある。しかしながら、ごく少数の短い標識結合部位が標識化環状DNAであるナノレポーターが好適なこともあることに留意されたい。
5.2.1 新規な合成ナノレポータースカフォールド配列
本発明は、ナノレポーターの標識および検出を最適化する特性を有するようにデザインされる人工の核酸分子(DNA、RNA、またはDNA/RNAハイブリッド)であるナノレポータースカフォールドを提供する。本発明のこれらの態様では、ナノレポータースカフォールドは、50〜50,000塩基長の1つ以上の合成配列を含む人工の核酸である。したがって、好ましくはDNAであるナノレポータースカフォールドは、特定の塩基の規則的パターン(「規則的反復塩基」)を含む標識結合領域として有用な1つ以上の当該領域を有するようにデザインされる。そのような領域では、規則的反復塩基は、n番目ごとの塩基の周期性を有して存在する。ただし、nは、任意の数、好ましくは4〜25である。
好ましくは、当該領域中の規則的反復塩基の25%以下は、該周期的間隔以外で現れる。たとえば、100ヌクレオチドの当該領域中に12個のチミジン塩基が存在しかつチミジンが規則的反復塩基である場合、本発明のこの態様では、これらの25%以下、すなわち、3個以下のチミジン塩基は、チミジンの規則的パターンの範囲外に現れる。特定の実施形態では、該塩基の20%以下、15%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、もしくは1%以下は、該領域の該周期的間隔以外で現れる。
ナノレポータースカフォールドの当該領域中の規則的反復塩基またはアニールされるパッチ(もしくはセグメント)中のその相補的な規則的反復塩基は、ナノレポーターシグナルのより良好な分布が得られるように規則的な等間隔のパターンで、標識モノマー、好ましくは発光標識モノマーをナノレポーターに結合させるために使用可能である。好ましくは、当該領域を標識する場合、存在する規則的反復塩基の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも98%は、塩基に標識モノマーを共有結合させることによりまたは規則的反復塩基の相補体がそのように標識される核酸にハイブリダイズさせることにより、少なくとも1つの発光標識モノマーに結合される。
当該分野で公知の任意の方法によって、この存在のパーセントを測定することができる。一方法では、標識反応で生じる量の核酸を精製し(たとえば、RNAはQiagen RNeasyキットを用いて精製し)、UV分光測光に付す。核酸(260nm)および存在が測定される標識モノマー(たとえば、Alexa Fluor488では495nm;Alexa Fluor 594では590nm;Alexa Fluor 647では650nm;およびCy3では550nm)のそれぞれに対して、適切な波長で吸光度(「A」)を測定する。標識モノマーのピーク波長における吸光度(ALM)マイナスその標識モノマーの補正因子の引き算を行うことにより標識モノマーからの「ノイズ」寄与が除去されるように260nmにおける吸光度(「A260」)の値を調整することにより、核酸の吸光度を補正する。核酸がRNAである場合、1000ヌクレオチドあたりの標識モノマーの数は、式:
標識モノマーの数/1000ヌクレオチド=(A260/ALM)×(9010/ECLM)×1000
に従って計算される。式中、ECLMは、標識モノマーの吸光係数である。この式から、発光標識モノマーに結合される規則的反復塩基の存在パーセントを計算することが可能である。
一般的には、標識結合領域中の好ましい規則的反復塩基はチミジンであり、そのようにすれば、規則的反復塩基がウリジンである1つ以上の相補的パッチ(たとえばRNAセグメント)にハイブリダイズさせることにより、領域を標識することが可能になる。これにより、市販品として容易に入手可能なアミノアリル修飾UTPを他のランダム配列中で標識モノマー結合部位として使用することが可能になる。好ましくは、当該領域の規則的周期性のほかに、領域(およびそれを含む核酸)は、最小限の二次構造を含有する。全GC含有率は、好ましくは50%近傍に保持され、好ましくは局所Tmが同じようになるように比較的短いストレッチにわたり一貫性がある。
本発明に係る人工の核酸または少なくともその中の当該領域は、好ましくは、12塩基を超える長さの直接反復および逆方向反復のいずれをも有していない。他の実施形態では、人工の核酸および/または当該領域は、約11、約10、または約9塩基を超える長さの直接反復および逆方向反復のいずれをも有していない。
規則的反復ヌクレオチドがチミジンでありかつ約50%のGC含有率である代表的な当該領域では、過剰のアデニンによりTの存在量が低減されることになろう。選択配列を生成するために、4番目ごとの塩基〜25番目ごとの塩基の範囲内でTの一定のパターンを有するランダム配列を作製し、逆方向反復および直接反復の存在が最小なるようにスクリーニングする。
好ましくは、一般的な六塩基カッター制限酵素認識部位を回避するように配列をスクリーニングする。選択配列をさらに予測二次構造解析に付し、最小の二次構造を有するものを選択してさらなる評価に付す。当技術分野で公知の任意のプログラム、たとえば、MFOLDプログラム(Zuker, 2003, Nucleic Acids Res. 31 (13):3406-15; Mathews et al., 1999, J. Mol. Biol. 288:911-940)を用いて、二次構造を予測することが可能である。
適切な配列を50塩基〜2キロ塩基(より長くすることも可能である)の長さの範囲内の標識結合領域に分割する。各標識結合領域はユニークな配列であるが、所与のレポーター配列中の他方の標識結合領域に対して一貫した数および間隔のTを含有する。これらの標識結合領域は、配列が問題とならない他の領域を散在させうる。ナノレポータースカフォールド中の合成標識結合領域は、異なる長さおよび/または異なる規則的反復塩基を有しうる。RNAポリメラーゼT7、T3、またはSP6による転写に対して最適化された開始配列(転写産物の位置+1で開始する)を各標識結合領域の5’末端に付加することが可能である。場合により、従来のクローニング技術を用いて配列への個別標識結合領域の特異的な付加または欠失を行えるようにするために、制限部位を各標識結合領域の境界に付加する。ナノレポーター中の合成標識結合領域の数は、好ましくは1〜50の範囲内である。さらに他の実施形態では、ナノレポーター中の合成標識結合領域の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個の合成標識結合領域から15、20、30、40、もしくは50個の合成標識結合領域までの範囲内またはその間の任意の範囲内である。
そのような新規な合成標識結合領域の一例を以下に与える。5’→3’方向に示されたこの配列では、Tは、8番目ごとの位置に配置され、領域は、5’Sac I制限部位および3’Kpn I制限部位により境界付けられる。T7ポリメラーゼに対して最適化された転写産物開始部位(GGGAGA)は、領域の5’末端の5’制限部位の下流に含まれる。この配列の相補体は、一本鎖分子として生成される場合、この標識結合領域から転写されるRNA分子に対するスカフォールドを形成する。
GAGCTCGGGAGATGGCGAGCTGGAAGCATCAGAAAGTAGGAAGATGACAAAAT
AGGGCCATAGAAGCATGAAGAACTGAACGCATGAGACAATAGGAAGCTACGCC
ACTAGGGACCTGAGAAGCTGAGCGGCTCAGCGGGTCCGAGCGTCAAAAAATAA
AAGAGTGAAACAATAGACGAATGACGCGGTAAAACCATCCAGAAGTAAACGGG
TACAAACATACAGAGATAGCCACCTGGACCAATAGGCACGTACAAACGTACAA
GCCTGGCGCGATGAGGCAATCCACACGTGCAGAGCTGGAACAATGGAAAGATG
CAAGAATAAACCGATACCGGGATCGAGGGCTCAGCGAATAAAGCAGTCAACAA
CTGGAAAGATCCACACATACCGGCGTAACCGAGTCCAAACATACAGACCTGCA
AGACTCGCGACATGGGACGGTAAAACCATCCGACCGTAAACCGGTAACCAGGT
AGCCGGGTAAAAACATAGCAGGGTGGAGACCTCAGAACGTAAAGACGTCCAAG
GGTCGCCGGATAGCGAACTACGCGCATCGCCCAATGGGCCAATCAACAGATAA
ACGAGTAGAAAAGTCAGAAAATAAGAAACTAACGAAATACGAGGGTCCAAGG
ATGCAAGACTGAGGCCCTAAGGAGATAAGGAAATAGGCCGATGCAGACCTGAA
ACGATGCACCGATCCGACGGTAAAAGACTAGACACGTAGCCGGATCAGGGCCT
GGGAGGCTGGAACCGTGAGCACATAGCAAAGTCGCAGCGTCGGCAGATGCGCC
GGTAAAAAAGTAGAGGCATGACCGGATGGGCAAATAGCGACGTACAGCAGTGA
AGCACTAAAAGCATCCAAGGGTAGGAGACTAGGCGCCTCGACGGGTAGGTACC
本発明に係る合成核酸は、天然に存在するヌクレオチドを用いて、または分子の生物学的安定性を増大させるようにもしくは標識結合領域とアニールされるパッチまたはセグメントとから形成される二本鎖の物理的安定性を増大させるようにデザインされた種々の修飾ヌクレオチドを用いて、化学合成可能である。たとえば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換型ヌクレオチドを使用することが可能である。合成核酸を生成するために使用しうる修飾ヌクレオチドの例としては、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリンが挙げられる。
他の選択肢として、核酸がサブクローニングされたベクターを用いて、生物学的に合成核酸を生成することが可能である。
種々の実施形態では、たとえば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション、または溶解性を改良するために、塩基部分、糖部分、またはリン酸バックボーンで、本発明に係る合成核酸分子を修飾することが可能である。たとえば、ペプチド核酸を生成するために、核酸のデオキシリボースリン酸バックボーンを修飾することが可能である(Hyrup et al., 1996, Bioorganic & Medicinal Chemistry 4(1):5-23を参照されたい)。本明細書中で使用する場合、「ペプチド核酸」または「PNA」という用語は、デオキシリボースリン酸バックボーンがプソイドペプチドバックボーンにより置き換えられかつ4種の天然の核酸塩基のみが保持される核酸模倣体、たとえば、DNA模倣体を意味する。PNAの中性バックボーンは、低イオン強度の条件下でDNAおよびRNAへの特異的ハイブリダイゼーションが可能であることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、Hyrup et al., 1996, Bioorganic & Medicinal Chemistry 4(1):5-23; Perry-O’Keefe et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:14670-675に記載される標準的固相ペプチド合成プロトコルを用いて実施可能である。
代表的な実施形態では、選択される新規な合成配列は、商業的遺伝子合成会社により二本鎖DNAとして合成により構築することが可能であり、DNA複製やファージキャプシド形成に必要なシス作用性配列を含有するM13またはflファージ遺伝子間(IG)領域を含有する「ファージミド」中、プラスミドベクター中、たとえばpUC119中に配向させてクローニングすることが可能である。ファージ複製起点に対してクローン化インサートの適切な配向を行えば、各標識結合領域のin vitro転写により生成されるRNA分子のリバース相補体である一本鎖DNAスカフォールドの生成が可能である。
新規なレポーターの一本鎖DNAスカフォールドを生成するために、ファージミドは、F’エピソームを含有するE. coli菌株中にトランスフォームされる。トランスフォームされた細菌にM13変異体K07のようなヘルパーファージを続いて感染させると、標準的プロトコルを用いて環状一本鎖DNAを調製するための出発原料となる一本鎖パッケージ化ファージとして新規なレポーター配列を担持するファージミドの分泌が引き起こされる。このDNAを線状化し、そして新規なレポーター配列の両末端に短い相補的オリゴヌクレオチドをアニールして二本鎖制限部位を生成し、続いて適切な制限酵素で処理することにより、ベクター部分を切除する。
各標識結合領域に対するRNA分子(パッチまたは「セグメント」)を作製するために、転写開始部位のすぐ上流(5’)のRNAポリメラーゼプロモーター(T7、T3、またはSP6)から開始して3’制限酵素部位の後で終了する二本鎖鋳型を生成するように、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)プライマーをデザインする。この鋳型を用いて、RNA(たとえば、UTP)および未修飾の他の塩基(たとえば、ATP、CTP、およびGTP)中、アミノアリル修飾規則的反復塩基の存在下で、RNA分子のin vitro転写を行う。これにより、RNA分子中のその位置で標識モノマーの共有結合が可能になるようにすべての規則的反復塩基(たとえば、U)が修飾されているRNA産物が得られる。
RNA分子への発光標識モノマーの結合およびスカフォールドへの標識化RNA分子のアニーリングは、以下に記載されるように行われる。
de novo配列に対するいくつかのデザイン要件を以下の表1に列挙する。
Figure 2009521230
5.3 パッチ
ナノレポーターコードの全部もしくは一部を構成するシグナルを放出する標識モノマーは、本明細書中では「パッチ」と記される構造体を介してナノレポータースカフォールドの標識結合領域に結合される。標識モノマーは、パッチに直接的に(たとえば共有結合もしくは非共有結合で)結合されうるか、またはパッチに間接的に(たとえばハイブリダイゼーションを介して)結合されうる。
核酸パッチは、25ヌクレオチド〜数キロ塩基(たとえば5kb)の任意の長さでありうるが、好ましくは50ヌクレオチド〜2kbの長さである。特定の実施形態では、核酸パッチは、約25〜250、50〜200、50〜150、または50〜100ヌクレオチドの長さである。他の実施形態では、核酸パッチは、約500〜2,000、500〜1,500、500〜1,000、750〜1,250、または750〜1,000ヌクレオチドの長さである。核酸パッチは、RNAパッチまたはDNAパッチでありうる。
標識モノマーは、パッチがナノレポータースカフォールドの標識結合領域に結合される前または結合された後、パッチに共有結合されうる。たとえば、パッチが核酸分子である場合、その合成時、ただし、スカフォールドの標識結合領域に、たとえばハイブリダイゼーションを介して、結合させる前、標識モノマーを含有するヌクレオチドを核酸中に組み込むことにより標識を共有結合させうる。他の選択肢として、核酸パッチの合成時、標識モノマーアクセプター基を含有するヌクレオチドを組み込んで、その合成後、スカフォールドの標識結合領域に結合させる前または結合させた後のいずれかで、標識モノマーを核酸パッチに付加しうる。他の選択肢として、たとえば、ナノレポーターへの標識モノマーの結合の基点として機能する「フラップ」にパッチをハイブリダイズさせることにより、標識モノマーをパッチに間接的に結合させることが可能である。
したがって、パッチが核酸である場合、それは、ナノレポーターの集合方法に依存して、20ヌクレオチド〜5kb超の範囲内の任意の長さでありうる。
たとえば、標識化ナノレポーターとの関連ではナノレポーターコードの一部であるシグナルを放出する1つ以上の標識モノマーがパッチに共有結合で組み込まれている場合、パッチは、好ましくは約100〜約10,000塩基、より好ましくは200〜約2000塩基、さらにより好ましくは700〜約1200ヌクレオチドの長さであり、本明細書中では一般的に「セグメント」と記され、「ダーク」セグメントは、標識モノマーの組込み前のパッチであり(ただし、好ましい実施形態では、アミノアリルヌクレオチドのような標識モノマーアクセプター部位を含有する)、「着色」セグメントは、1つもしくは複数の所望の標識モノマーを含有するパッチである。標識結合領域にハイブリダイズされた時のセグメントのTmは、825mM Na(5×SSC)中で、好ましくは>80℃、より好ましくは>90℃である。
パッチが単にナノレポーターへのフラップ結合のテンプレートとして機能する場合、それは、好ましくはより小さいサイズ、たとえば約25〜250ヌクレオチドの長さであり、最も好ましくは約50〜100ヌクレオチドの長さである。本明細書中では、そのようなパッチを「オリゴヌクレオチドパッチ」と記す。以下の節で詳述されるように、オリゴヌクレオチドは、好ましくは、スカフォールドにアニールされた時にフラップの全部もしくは一部に相補的なオーバーハングが生成されるように、スカフォールドに対して配列が部分的に相補的である。
「セグメント」および「オリゴヌクレオチドパッチ」という用語は、本明細書中では、単に説明の便宜上使用されているが;「セグメント」と「オリゴヌクレオチドパッチ」とを識別するサイズのカットオフは存在しない。両タイプの構造体の目的は、ナノレポーターの標識化(ひいてはシグナル強度)を最大化することによりナノレポーターによる単一標的分子検出を可能にすることである。
特定の態様では、本発明は、図7Aを参照して例示される形態の合成分子を提供する。この合成分子は、核酸の鎖(スカフォールド)と該鎖にハイブリダイズされた複数のパッチペアとを含み、各パッチペアは、「A」パッチと「B」パッチとを含み、各パッチペアに関して、(a)各「A」パッチは、第1の領域(1P)と第2の領域(2P)とを含むオリゴヌクレオチドであり、該第1の領域は、(i)該「A」パッチのα末端にあり、かつ(ii)該鎖の第1の部分にハイブリダイズされ、該第2の領域は、(ii)該「A」パッチのβ末端にあり;(b)各「B」パッチは、第3の領域(3P)と第4の領域(4P)とを含むオリゴヌクレオチドであり、該第3の領域は、(i)該「B」パッチのα末端にあり、かつ(ii)該「A」パッチの該第2の領域にハイブリダイズされ、該第4の領域は、(i)該「B」パッチのβ末端にあり、かつ(ii)該鎖の第2の部分にハイブリダイズされ、該鎖の該第2の部分は、該鎖の該第1の部分のβ末端にあり、該第2の領域または該第3の領域は、それぞれ該「B」パッチまたは「A」パッチにハイブリダイズされていないハイブリダイズ可能な領域をそれぞれそのβ末端またはα末端にさらに含む。
図7Aに示される合成分子では、第2の領域は、図7Bに示されるように、該「B」パッチにハイブリダイズされていないハイブリダイズ可能な領域をそのβ末端にさらに含みうるか、または第3の領域は、図7Cに示されるように、該「A」パッチにハイブリダイズされていないハイブリダイズ可能な領域をそのα末端にさらに含みうる。
本発明はさらに、図7Dを参照して例示される形態の合成分子を提供する。この合成分子は、核酸の鎖(スカフォールド)と該鎖にハイブリダイズされた複数のパッチペアとを含み、各パッチペアは、「A」パッチと「B」パッチとを含み、各パッチペアに関して、(a)各「A」パッチは、第1の領域(1P)と第2の領域(2P)とを含むオリゴヌクレオチドであり、該第1の領域は、(i)該「A」パッチのα末端にあり、かつ(ii)
該鎖の第1の部分にハイブリダイズされ、該第2の領域は、(ii)該「A」パッチのβ末端にあり;(b)各「B」パッチは、第3の領域(3P)と第4の領域(4P)とを含むオリゴヌクレオチドであり、該第3の領域は、(i)該「B」パッチのα末端にあり、かつ(ii)該「A」パッチの該第2の領域にハイブリダイズされ、該第4の領域は、(i)該「B」パッチのβ末端にあり、かつ(ii)該鎖の第2の部分にハイブリダイズされ、該鎖の該第2の部分は、該鎖の該第1の部分の最初のところにあり、該第2の領域は、該「B」パッチにハイブリダイズされていない第1のハイブリダイズ可能な領域をそのβ末端にさらに含み、該第3の領域は、該「A」パッチにハイブリダイズされていない第2のハイブリダイズ可能な領域をそのα末端にさらに含む。
図7Bに示される合成分子では、各パッチペアは、図7Fに示されるようにフラップペアに結合させることが可能であり、各フラップペアは、「A」フラップと「B」フラップとを含み、各フラップペアに関して、(a)各「A」フラップは、第1のフラップ領域(1F)と第2のフラップ領域(2F)とを含むオリゴヌクレオチドであり;該第1のフラップ領域は、該「A」フラップのα末端にあり;該第2のフラップ領域は、(i)該「A」フラップのβ末端にあり、かつ(ii)該「A」パッチ、該「B」パッチ、および該「B」フラップのいずれにもハイブリダイズされていないハイブリダイズ可能な領域をそのβ末端に含み;そして(b)各「B」フラップは、第3のフラップ領域(3F)と第4のフラップ領域(4F)と第5のフラップ領域(5F)とを含むオリゴヌクレオチドであり、該第3のフラップ領域は、(i)該「B」フラップのα末端にあり、かつ(ii)該「A」パッチ、該「B」パッチ、および該「A」フラップのいずれにもにハイブリダイズされていないハイブリダイズ可能な領域をそのα末端に含み;該第4のフラップ領域は、(i)第3のフラップ領域と第5のフラップ領域との間に存在し、かつ(ii)該「A」フラップの該第1のフラップ領域にハイブリダイズされ;該第5のフラップ領域は、(i)該「B」フラップのβ末端に存在し、かつ(ii)該「A」パッチの該第2の領域の該ハイブリダイズ可能な領域にハイブリダイズされる。
図7Cに示される合成分子では、各パッチペアは、図7Eに示されるようにフラップペアに結合させることが可能であり、各フラップペアは、「A」フラップと「B」フラップとを含み、各フラップペアに関して、(a)各「A」フラップは、第1のフラップ領域(1F)と第2のフラップ領域(2F)と第3のフラップ領域(3F)とを含むオリゴヌクレオチドであり、該「A」フラップ領域は、(i)該「A」フラップのα末端に存在し、かつ(ii)該「B」パッチの該第3の領域の該ハイブリダイズ可能な領域にハイブリダイズされ;該第2のフラップ領域は、第1のフラップ領域と第3のフラップ領域との間に存在し;該第3のフラップ領域は、(i)該「A」フラップのβ末端にあり、かつ(ii)該「A」パッチ、該「B」パッチ、および該「B」フラップのいずれにもハイブリダイズされていないハイブリダイズ可能な領域をそのβ末端に含み;そして(b)各「B」フラップは、第4のフラップ領域(4F)と第5のフラップ領域(5F)とを含むオリゴヌクレオチドであり;該第4のフラップ領域は、(i)該「B」フラップのα末端にあり、かつ(ii)該「A」パッチ、該「B」パッチ、および該「A」フラップのいずれにもにハイブリダイズされていないハイブリダイズ可能な領域をそのα末端に含み;該第5のフラップ領域は、(i)該「B」フラップのβ末端に存在し、かつ(ii)該「A」フラップの該第2のフラップ領域にハイブリダイズされる。
図7Dおよび7Eに示される合成分子では、スプリットフラップは、図7Gに示されるように、1つ(たとえば(1O))もしくはそれ以上(たとえば(2O)および(3O))のオリゴヌクレオチドに結合させることが可能である。したがって、1つ以上のオリゴヌクレオチドは、個別に「A」フラップの全部もしくは一部に(たとえば(1O))、個別に「B」フラップの全部もしくは一部に(たとえば(3O))結合させうるか、または「A」フラップおよび「B」フラップのそれぞれの全部もしくは一部にまたがりうる(たとえば(2O))。そのようなオリゴヌクレオチドは、好ましくは、1つ以上の標識モノマーに共有結合される。
該合成分子のハイブリダイズ可能な領域は、複数のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせることが可能である。ただし、各オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの標識モノマー、より好ましくは少なくとも5つの標識モノマーに結合、好ましくは共有結合される。特定の実施形態では、単一のパッチペアに結合されるオリゴヌクレオチドはすべて、同一の標識モノマーを含み、たとえば、同一の波長(複数可)の光を放出する標識モノマーを含み;特定の実施形態では、少なくとも2つもしくは少なくとも4つの隣接するパッチペアに結合されるオリゴヌクレオチドはすべて、好ましくは、同一の標識モノマーを含む。1つ以上のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのアフィニティータグに結合されうる。
特定の好ましい実施形態では、標識モノマーは、発蛍光団または量子ドットである。
以上に記載の合成分子では、αは、5’もしくは3’のいずれか、対応するβは、それぞれ、3’もしくは5’のいずれを表しうる。
各パッチペア内または所与のパッチと対応するフラップとの間の相補性を有する領域は、好ましくは、約20〜5,000ヌクレオチドである。特定の実施形態では、相補性を有する領域は、約20〜100ヌクレオチドまたは約5〜50ヌクレオチドである。
以上に記載の合成分子では、各フラップは、好ましくは、約50〜5,000ヌクレオチドの長さである。特定の実施形態では、各フラップは約50〜150ヌクレオチドである。以上に記載の合成分子は、標的分子に結合する標的特異的領域をさらに含みうる。標的特異的領域は、該鎖のβ末端またはα末端に結合させることが可能である。
特定の実施形態では、以上に記載の合成分子は、少なくとも10個のパッチペアまたは少なくとも50個のパッチペアを含む。
以上に記載の合成分子では、鎖またはスカフォールドは、線状化ベクター、たとえば、線状化M13でありうる。
以上に記載の合成分子は、(a)第1のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが(直接的もしくは間接的に)結合される第1の標識結合領域;(b)第2のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第2の標識結合領域(第1の標識結合領域とオーバーラップしない);(c)第3のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第3の標識結合領域(第1および第2の標識結合領域とオーバーラップしない);をさらに含みうる。ただし、各結合領域は、複数のパッチペアを含み;第1および第2のシグナルは、分光的に識別可能であり;第2および第3のシグナルは、分光的に識別可能であり;第1および第2のシグナルは、前記第1、第2、および第3のシグナルの検出に使用可能な条件下で空間的に解像可能でなく;第2および第3のシグナルは、前記第1、第2、および第3のシグナルの検出に使用可能な条件下で空間的に解像可能でなく;第1および第3のシグナルは、前記第1、第2、および第3のシグナルの検出に使用可能な条件下で空間的に解像可能であり;第1、第2、および第3のシグナルの同一性ならびに第1および第3のシグナルの互いの相対位置は、標的分子を同定するコードの少なくとも一部を構成する。
5.4 標識モノマー
本発明に係るナノレポーターは、さまざまな標識モノマーのいずれか、たとえば、放射性同位体、蛍光色素、色素、酵素ナノ粒子、化学発光マーカー、ビオチン、または直接的(たとえば発光により)もしくは間接的(たとえば蛍光標識化抗体の結合により)に検出可能な当技術分野で公知の他のモノマーで標識可能である。一般的には、ナノレポーター中の標識結合領域の1つ以上は、1つ以上の標識モノマーで標識され、ナノレポーターの標識結合領域に結合された標識モノマーにより放出されるシグナルは、ナノレポーターの標的特異的領域が結合する標的を同定するコードを構成する。特定の実施形態では、標識結合領域に由来する所与のシグナルの欠如(すなわち「ダーク」スポット)もまた、ナノレポーターコードの一部を構成しうる。ダークスポットの例は、図1A中のナノレポーターの位置12に示される。
放射性同位体は、本発明により利用可能な標識モノマーの例である。ヌクレオチドまたはタンパク質を標識するための標識モノマーとして、たとえば、32P、33P、35S、H、および125Iをはじめとするいくつかの放射性同位体を使用することが可能である。これらの放射性同位体は、特定の実験のニーズに合うように調整可能なさまざまな半減期、崩壊タイプ、およびエネルギーレベルを有する。たとえば、Hは、低バックグラウンドレベルを生じる低エネルギー発光体であるが、この低エネルギーはまた、長時間のオートラジオグラフィーをもたらす。放射性標識されたリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、およびアミノ酸は、市販品として入手可能である。第1すなわちα位のリン酸基または第3すなわちγ位のリン酸基が放射性標識されているヌクレオチドが入手可能である。たとえば、[α−32P]dATPおよび[γ−32P]dATPの両方が市販品として入手可能である。そのほかに、放射性標識化ヌクレオチドに対してさまざまな比活性が市販品として入手可能であり、さまざまな実験に合うように調整可能である。
本発明により利用可能な標識モノマーの他の例は、発蛍光団である。ヌクレオチドを標識するための標識モノマーとして、たとえば、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、およびテキサス・レッド(Texas Red)をはじめとするいくつかの発蛍光団を使用することが可能である。全スペクトル領域にわたるいくつかの異なる発蛍光団が公知であり、しかも継続して製造されている。また、同一の発蛍光団のさまざまな製品が、さまざまな用途向けに製造されている。たとえば、フルオレセインは、そのイソチオシアネート(isothiocynanate)形(FITC)で、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(FAM)の混合異性体形もしくは単一異性体形として、またはフルオレセインの異性体ジクロロトリアジン形(DTAF)として使用可能である。これらのモノマーはすべて、化学的に識別可能であるが、515〜520nmにピークを有する光を放出するので、類似のシグナルを生成する。フルオレセインの化学修飾体のほかに、フルオレセインと同一のもしくは非常によく似た発光ピークを有する完全に異なる発蛍光団が合成されている。たとえば、オレゴン・グリーン(Oregon Green)色素は、フルオレセインと比較して実質的に重ね合わせることのできる励起スペクトルおよび発光スペクトルを有する。ロードル・グリーン(Rhodol Green)やローダミン・グリーン(Rhodamine Green)のような他の発蛍光団は、それらの発光ピークがわずかにシフトしているにすぎないので、機能的にフルオレセインの代用品としての役割を果たす。そのほかに、スペクトル領域の他の部分の光を放出する他の発蛍光団に基づくさまざまな製品または関連色素が開発されている。
また、非放射性および非蛍光性の標識モノマーも入手可能である。たとえば、ビオチンをヌクレオチドに直接結合し、比色反応を触媒する酵素(たとえば、ホスファターゼ、ルシフェラーゼ、またはペルオキシダーゼ)に化学結合されたアビジンまたはストレプトアビジンに対する特異的かつ高親和性の結合により検出することが可能である。ジゴキシゲニン標識化ヌクレオチドもまた、同様に核酸の非同位体検出に使用することが可能である。ビオチン化ヌクレオチドおよびジゴキシゲニン標識化ヌクレオチドは、市販品として入手可能である。
ナノ粒子と称される微小粒子もまた、核酸を標識するための標識モノマーとして使用可能である。この粒子は、サイズが1〜1000nmの範囲内にあり、さまざまな化学構造体、たとえば、金粒子および銀粒子ならびに量子ドットを含む。
斜め入射白色光を照射した場合、40〜120nmの範囲内の銀または金のナノ粒子は、高強度の単色光を散乱するであろう。散乱光の波長は、粒子のサイズに依存する。ごく近接する4〜5個の異なる粒子は、それぞれ、単色光を散乱するであろう。これらを重ね合わせた場合、特定のユニークな色を与えるであろう。粒子は、Genicon Sciencesなどの会社により製造されている。誘導体化された銀粒子または金粒子は、タンパク質、抗体、小分子、レセプターリガンド、および核酸をはじめとする広範にわたる分子に結合させることが可能である。たとえば、ヌクレオチドに結合できるように、粒子の表面を化学的に誘導体化することが可能である。
標識モノマーとして使用可能な他のタイプのナノ粒子は、量子ドットである。量子ドットは、広範にわたる波長の光により励起可能な直径1〜5nmの蛍光性結晶である。この結晶は、その化学組成およびサイズに依存する波長を有する光たとえば単色光を放出する。CdSe、ZnSe、InP、またはInAsのような量子ドットは、ユニークな光学的性質を有する。
量子ドット結晶のサイズクラスの数に応じて、何十ものクラスの粒子を生成することが可能である。これらのサイズクラスの結晶は、1)それぞれの所望のサイズクラスの粒子を形成するように結晶形成パラメーターを厳密に制御するかまたは2)それほど厳密に制御されない結晶形成パラメーターで結晶のバッチを生成してから所望のサイズおよび/もしくは発光波長に基づいて選別するかのいずれかにより、生成可能である。粒子を標識するための量子ドットの使用は、本発明との関連では新しいことであるが、半導体の技術分野では古くから行われていることである。量子ドットが半導体発光/検出デバイスの真性シリコンエピタキシャル層内に埋め込まれる先行文献の2つの例は、Chapple Sokolらに付与された米国特許第5,293,050号および同第5,354,707号である。
特定の実施形態では、ナノレポーター中の1つ以上の標識結合領域は、1つ以上の発光色素で標識され、各標識結合領域は、1つ以上の標識モノマーを直接的もしくは間接的に含有する。色素により放出される光は、可視光または不可視光線、たとえば、紫外光または赤外光でありうる。代表的な実施形態では、色素は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)色素;キサンテン色素、たとえば、フルオレセインおよびローダミン;α位またはβ位にアミノ基を有する色素(たとえば、ナフチルアミン色素、1−ジメチルアミノナフチル−5−スルホネート、1−アニリノ−8−ナフタレンスルホネート(1-anilino-8-naphthalende sulfonate)、および2−p−トルイジニル−6−ナフタレンスルホネート)(2-p-touidinyl-6-naphthalene sulfonate);3−フェニル−7−イソシアナトクマリンを有する色素;アクリジン化合物、たとえば、9−イソチオシアナトアクリジンおよびアクリジンオレンジ;ピレン化合物、ベンゾオキサジアゾール(bensoxadiazole)化合物、およびスチルベン化合物;3−(ε−カルボキシペンチル)−3’−エチル−5,5’−ジメチルオキサカルボシアニンを有する色素;6−カルボキシフルオレセイン(FAM);5&6−カルボキシローダミン−110(R110);6−カルボキシローダミン−6G(R6G);N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA);6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX);6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE);アレキサ・フルオル(ALEXA Fluor)TM;Cy2;テキサス・レッド(Texas Red)およびローダミン・レッド(Rhodamine Red);6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセイン(TET);6−カルボキシ−2’,4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX);5−カルボキシ−2’,4’,5’,7’−テトラクロロフルオレセイン(ZOE);NAN;NED;Cy3;Cy3.5;Cy5;Cy5.5;Cy7;およびCy7.5;アレキサ・フルオル350(Alexa Fluor 350);アレキサ・フルオル488(Alexa Fluor 488);アレキサ・フルオル532(Alexa Fluor 532);アレキサ・フルオル546(Alexa Fluor 546);アレキサ・フルオル568(Alexa Fluor 568);アレキサ・フルオル594(Alexa Fluor 594);またはアレキサ・フルオル647(Alexa Fluor 647)である。
標識モノマーは、ナノレポーター中にその集合のさまざまな段階で組込み可能であるか、またはナノレポーターの成分(たとえば「フラップ」)中にナノレポーター中へのその集合前に組込み可能である。
標識モノマーは、当技術分野で周知の方法を用いてヌクレオチドに直接的に結合させることが可能である。ヌクレオチドはまた、標識モノマーを結合させるために、化学修飾または誘導体化が可能である。たとえば、四原子アミノアルキニル基を用いてフルオレセイン分子のような蛍光性モノマーをdUTP(デオキシウリジン三リン酸)に結合させることが可能である。各標識モノマーをヌクレオチドに結合させて標識モノマー:ヌクレオチド複合体を作製する。
この標識モノマー:ヌクレオチド複合体は、さまざまな方法で核酸(たとえば、DNAパッチまたは検出オリゴヌクレオチド)中に組み込むことが可能である。たとえば、標識モノマー:ヌクレオチド複合体は、核酸内のただ1つの位置または核酸内の2つ以上の位置に組み込むことが可能である。
アミン反応性およびチオール反応性の発蛍光団が入手可能であり、ヌクレオチドおよび生体分子を標識するために使用される。一般的には、ヌクレオチドは、化学合成時に蛍光標識される。たとえば、ヌクレオチド合成時にアミンまたはチオールを組み込むことにより、発蛍光団を付加することが可能である。蛍光標識化ヌクレオチドは入手可能である。たとえば、スペクトル領域をカバーする10種の異なる発蛍光団にコンジュゲートされたウリジンおよびデオキシウリジン三リン酸が入手可能である。
最初に、ヌクレオチドを標識モノマーに結合させ、次に、核酸中に組み込むことが可能である。他の選択肢として、核酸内のヌクレオチドに標識モノマーを結合させることにより、既存の核酸を標識することが可能である。たとえば、アミノアリル−(「AA−」)修飾UTPヌクレオチドを転写時にRNA産物中に組み込むことが可能である。種々の実施形態では、RNAパッチを生成する転写反応時、UTPヌクレオチドの20%以上がAA修飾される。種々の実施形態では、転写反応時、UTPの約20%〜100%、20%〜80%、30%〜80%、40%〜60%、もしくは50%〜75%がAA修飾され、好ましい実施形態では、転写反応時、UTPの約50%がAA修飾される。
そのほかに、たとえば、異なるタイプの標識モノマー:ヌクレオチド複合体を単一酸の核酸中に組み込むことが可能であり、この場合、ナノレポーターコードの1つの成分は、2つ以上のタイプのシグナルを含む。
また、ヌクレオチドに直接的に結合可能な蛍光色素を標識モノマーとして利用することも可能である。たとえば、FAM、JOE、TAMRA、およびROXは、ヌクレオチドに結合されているアミン反応性蛍光色素であり、自動DNA配列決定に使用される。これらの蛍光標識化ヌクレオチド、たとえば、ROX−ddATP、ROX−ddCTP、ROX−ddGTP、およびROX−ddUTPは、市販品として入手可能である。
ナノレポーターを標識するために使用可能な他のタイプの標識モノマーは、量子ドットである。サイズが非常に小さいので、量子ドットは、オリゴヌクレオチドの溶解性または使用に影響を及ぼすことなくオリゴヌクレオチド中に直接的に結合させることが可能である。好ましい実施形態では、ただ1つのオリゴヌクレオチド分子が各ナノ粒子に結合される。従来のバッチ化学方式で1:1の比のオリゴヌクレオチド−ナノ粒子複合体を合成するために、オリゴヌクレオチドおよびナノ粒子はいずれも、互いに反応可能な異なる種類の単一の反応基を必要とする。たとえば、オリゴヌクレオチドがアミノ基を有しかつナノ粒子がアルデヒド基を有する場合、これらの基は反応してシッフ塩基を形成しうる。オリゴヌクレオチドは、当技術分野で周知の化学を用いて単一のアミノ基または他の官能基を結合させるように誘導体化可能である。しかしながら、ナノ粒子を誘導体化する場合、化学試薬で覆われて、結果的にナノ粒子の全表面がいくつかの官能基で被覆される。
本発明は、オリゴヌクレオチド合成に用いられるガラス担体のような固体表面上にオリゴヌクレオチドを化学結合させることにより、1つのオリゴヌクレオチドを1つのナノ粒子に結合させる方法を提供する。
たとえば、市販品として入手可能なオリゴヌクレオチド合成用の樹脂、たとえば、長鎖アルキルアミノ制御細孔ガラス(lcaa CPG)を使用することが可能である。
他の選択肢として、誘導体化顕微鏡スライドのようなフラット表面を使用することが可能である。新生オリゴヌクレオチド鎖の表面密度は、ナノ粒子の直径よりも小さくなければならない。これは、反応基の表面密度が低いガラス担体を選択するかまたは表面が飽和されないようにオリゴヌクレオチド合成の第1の工程で希薄な試薬を用いるかのいずれかにより達成可能である。オリゴヌクレオチド合成用の標準的ガラスマトリックスを使用するときの他の要件は、試薬の流動が確保されるようにナノ粒子直径よりも大きい細孔直径を使用することである。たとえば、ガラス担体上でオリゴヌクレオチドの良好な間隔が確保されるように、固体担体と比較して希薄であることを条件として、たとえば、通常の合成の1/10で、オリゴヌクレオチドを合成することが可能である。反応性官能基、たとえば、アミノ基を有するオリゴヌクレオチドを合成した後、誘導体化ナノ粒子をガラス担体上に通してオリゴヌクレオチドと反応させる。ナノ粒子による閉塞を防止するために、十分に大きい細孔サイズのガラス担体を選択することが可能である。たとえば、約200nmの細孔サイズを使用することが可能である。反応が終了した後、ナノ粒子上の未反応基をブロックし、複合体をガラス担体から切り離すことが可能である。
5.5 ナノレポーターコード
5.5.1 デュアルナノレポーター
成分が2つの分子状物質の形態で存在するナノレポーターは、デュアルナノレポーターと呼ばれる。デュアルナノレポーターでは、一般的には、各成分は、標的へのナノレポーターの結合速度論的挙動の特異性を改良する標的特異的配列を含有する。2つの異なる標的特異的配列は、標的分子の異なる部分を認識するように、デザインまたは選択される。
図1A〜1Cは、デュアルナノレポーターが関与する本発明の実施形態を示している。図1Aおよび1Bでは、デュアルナノレポーターがその標的分子に結合してナノレポーターの2つの成分が一体化された場合のみナノレポーターの分光コードが生成されるように、ナノレポーターの2つの成分のそれぞれが標識される。しかしながら、デュアルナノレポーターでは、両方の成分を標識する必要はない。たとえば、図1Cに示されように、デュアルナノレポーターの一方の成分は、ナノレポーターコードで標識され;他方の成分は、伸長および可視化のためにナノレポーターを固定するのに有用なアフィニティータグ(矢印)に結合される。
5.5.2 レジスター
「レジスター」という用語は、一連の交互(1つおき)の標識結合領域を意味する。スペーサー領域を用いることなく隣接する標識結合領域を標識することが望ましい場合および所望の検出方法を用いて隣接する標識結合領域から放出されるシグナルを空間的に解像することができない場合、レジスターは有用である。したがって、レジスターを用いて検出されるシグナルは、隣接する標識結合領域ではなく交互の標識結合領域により形成されるものである。複数のレジスター(たとえば、合わせると全標識結合領域になるレジスター)から検出されるシグナルは、組み合わされてナノレジスターコードを形成しうる。一般的には、レジスターを使用する場合、隣接する標識結合領域が、分光的に識別可能な標識モノマーで標識される。
レジスターの例は、図3および5に描かれている。たとえば、図3A〜3Bでは、8つの標識結合領域1〜8が存在する。交互標識結合領域1、3、5、および7は1つのレジスターを形成し、標識結合領域2、4、6、および8は他のレジスターを形成する。図3Aでは、一方のレジスター(1、3、5、および7)だけが標識され;図3Bでは、両方のレジスターが標識される。
5.6 アフィニティータグ
当技術分野で公知のさまざまなアフィニティータグを用いて、ナノレポーターの精製および/または固定を行うことが可能である。
検出または画像化を目的としてアフィニティータグを用いてナノレポーターを固定する場合、本明細書中ではそれを「アンカー」と記すこともある。好ましい実施形態では、ビオチンアンカーをナノレポーターに結合させて、ストレプトアビジン被覆スライド上にナノレポーターを固定できるようにする。
アフィニティータグは、さまざまな有用な用途、たとえば、精製(ただし、これらに限定されるものではない)のために、ビーズまたは他のマトリックスに結合させるべく使用可能である。
好適なアフィニティータグの例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではないは。当然のことながら、ほとんどのアフィニティータグは、二重の目的で、すなわち、ナノレポーターを固定するためのアンカーとしても、ナノレポーター(完全に集合されているか部分的にのみ集合されているかを問わず)またはその成分を精製するためのタグとしても、使用可能である。
特定の実施形態では、アフィニティータグはタンパク質モノマーである。タンパク質モノマーの例としては、免疫グロブリン定常領域(Petty, 1996, Metal-chelate affinity chromatography, in Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 2, Ed. Ausubel et al., Greene Publish. Assoc. & Wiley Interscienceを参照されたい)、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST; Smith, 1993, Methods Mol. Cell Bio. 4:220-229)、E.コリ(E. coli)マルトース結合タンパク質(Guan et al., 1987, Gene 67:21-30)、および種々のセルロース結合ドメイン(U.S. Pat. Nos. 5,496,934; 5,202,247; 5,137,819; Tomme et al., 1994, Protein Eng. 7:117-123)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。他のアフィニティータグは、特異的結合パートナーにより認識され、したがって、固体担体上に固定可能な結合パートナーへのアフィニティー結合により単離および固定を容易にする。たとえば、アフィニティータグはエピトープであり、結合パートナーは抗体でありうる。そのようなエピトープの例としては、FLAGエピトープ、mycエピトープのアミノ酸408〜439、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)エピトープ、またはジゴキシゲニン(「DIG」)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の実施形態では、アフィニティータグは、他のタンパク質またはアミノ酸により認識されるタンパク質またはアミノ酸配列である(たとえば、アビジン/ストレプトアビジンとビオチン)。
本発明の特定の態様では、アフィニティータグはヌクレオチド配列である。約8〜約30塩基、より好ましくは約10〜約20塩基の多種多様な配列をナノレポーターの精製および固定のために使用することが可能であり、配列をタンデムに反復することが可能である(たとえば、1〜10タンデム反復)。そのような配列は、好ましくは、アッセイされるサンプル中で多くを占めることはなく(すなわち、遺伝子の5%未満で存在し、より好ましくは遺伝子の3%未満で存在し、最も好ましくは遺伝子の1%未満で存在する)(たとえば、ヒト細胞RNAを検出するためにナノレポーターを使用する場合、配列は、好ましくは、ヒトゲノム中で多くを占めない);多量体化された時に二次構造をほとんどもしくはまったく有しておらず、内部でもそれ自体のコピーとの間でも自己相補性をほとんどもしくはまったく有しておらず(すなわち、多量体化タグの二次構造体はすべて、好ましくは、1M NaClで25℃未満のTmを有する);スカフォールド配列やセグメント配列との有意な同一性や相補性を有しておらず(すなわち、相補的配列のTmは、好ましくは、0.2M NaClで25℃未満である);かつ50mM Na中で約35〜65℃、より好ましくは約40〜50℃のTmを有する。
特定の実施形態では、精製用タグおよび固定用タグとして異なる配列を使用する。この場合、たとえば、精製用タグは、以上に記載したとおりでありうるが、固定用タグは、50mM Na中で95℃までのTmを有し、10〜100塩基の範囲内でありうる。他の選択肢の実施形態は、固定用タグ内に組み込まれた精製用タグを有するであろう(たとえば、アフィニティータグは、25塩基の配列を含むであろう。そのうちの15塩基は、精製用タグとして使用され、全25塩基は、固定用タグとして使用される)。
特定の場合には、ナノレポーターの精製または固定のほかに、ナノレポーターを標識するためにアフィニティータグを使用することが可能である。
当業者であればわかるであろうが、アフィニティータグのコード領域を得るために、多くの方法、たとえば、DNAクローニング法、DNA増幅法、および合成法(ただし、これらに限定されるものではない)を使用することが可能である。アフィニティータグならびにその検出用および単離用の試薬のいくつかは、市販品として入手可能である。
5.7 標的特異的配列
「標的特異的配列」という用語は、標的分子に結合可能な分子状物質を意味する。ナノレポーターとの関連では、標的特異的配列は、ナノレポータースカフォールドに結合される。
標的特異的配列は、一般的には、アミノ酸配列(すなわちポリペプチド配列もしくはペプチド配列)または核酸配列である。
特定の実施形態では、標的特異的配列がアミノ酸配列である場合、標的特異的配列は、抗体フラグメント、たとえば、抗体Fab’フラグメント、一本鎖Fv抗体である。
標的特異的配列は、好ましくは、核酸配列であり、最も好ましくは、ナノレポータースカフォールドに共有結合(たとえばライゲーションにより)または非共有結合(たとえばハイブリダイゼーションにより)により結合されるオリゴヌクレオチドの範囲内にある。標的特異的核酸配列は、好ましくは少なくとも15ヌクレオチドの長さ、より好ましくは少なくとも20ヌクレオチドの長さである。特定の実施形態では、標的特異的配列は、約10〜500、20〜400、30〜300、40〜200、もしくは50〜100ヌクレオチドの長さである。他の実施形態では、標的特異的配列は、約30〜70、40〜80、50〜90、もしくは60〜100、30〜120、40〜140、もしくは50〜150ヌクレオチドの長さである。
標的特異的ヌクレオチド配列は、825mM Na(5×SSC)中で各プローブについて好ましくは約65〜90℃、最も好ましくは約78〜83℃のTを有する。
特定の好ましい実施形態では、デュアルナノレポーターの各プローブの標的特異的配列は、約35〜100ヌクレオチド(2つのプローブの対象となる約70〜200ヌクレオチドの全標的配列に対して)、最も好ましくは各プローブについて約40〜50ヌクレオチド(約80〜100ヌクレオチドの全体に対して)である。
5.8 標的分子
「標的分子」という用語は、標識化ナノレポーターの結合により検出または測定される分子のことであり、標識化ナノレポーターの標的特異的配列(複数可)は、それを認識する(それに対する特異的結合パートナーである)。好ましくは、標的分子は、次の化合物:DNA、cDNA、RNA、mRNA、ペプチド、ポリペプチド/タンパク質(たとえば、細菌もしくはウイルスのタンパク質または抗体)、脂質、炭水化物、糖タンパク質、糖脂質、小分子、有機モノマー、あるいは薬剤のいずれかでありうるが、これらに限定されるものではない。一般的には、標的分子は、天然に存在する分子または天然に存在する分子のcDNAまたは該cDNAの相補体である。
標的分子は、他の成分を含有する生体分子サンプルの一部でありうるか、またはサンプルの唯一の成分もしくは主成分でありうる。標的分子は、全細胞もしくは組織、細胞もしくは組織の抽出物、それらの分画溶解物の成分、または実質的に精製された分子でありうる。標的分子は、たとえば、チップ、マイクロアレイ、またはビーズのような固体表面などに、溶液中または固相中で結合させうる。また、標的分子は、既知もしくは未知の構造または配列を有しうる。
ある特定の実施形態では、その標的分子は染色体ではない。他の特定の実施形態では、標的分子は、1,000kb(すなわち1mb)以下のサイズ、500kb以下のサイズ、250kb以下のサイズ、175kb以下のサイズ、100kb以下のサイズ、50kb以下のサイズ、20kb以下のサイズ、または10kb以下のサイズである。さらに他の特定の実施形態では、標的分子は、その細胞環境から単離される。
限定されるものではないが、特定の実施形態では、標的分子は、次の抗体のうちの1つまたは次の抗体のうちの1つにより認識される抗原である:抗エストロゲンレセプター抗体、抗プロゲステロンレセプター抗体、抗p53抗体、抗Her−2/neu抗体、抗EGFR抗体、抗カテプシンD抗体、抗Bcl−2抗体、抗E−カドヘリン抗体、抗CA125抗体、抗CA15−3抗体、抗CA19−9抗体、抗c−erbB−2抗体、抗P−糖タンパク質抗体、抗CEA抗体、抗網膜芽細胞腫タンパク質抗体、抗rasオンコプロテイン抗体、抗ルイスX抗体、抗Ki−67抗体、抗PCNA抗体、抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD5抗体、抗CD7抗体、抗CD8抗体、抗CD9/p24抗体、抗CD10抗体、抗CD11c抗体、抗CD13抗体、抗CD14抗体、抗CD15抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD23抗体、抗CD30抗体、抗CD31抗体、抗CD33抗体、抗CD34抗体、抗CD35抗体、抗CD38抗体、抗CD41抗体、抗LCA/CD45抗体、抗CD45RO抗体、抗CD45RA抗体、抗CD39抗体、抗CD100抗体、抗CD95/Fas抗体、抗CD99抗体、抗CD106抗体、抗ユビキチン抗体、抗CD71抗体、抗c−myc抗体、抗サイトケラチン抗体、抗ビメンチン抗体、抗HPVタンパク質抗体、抗κ軽鎖抗体、抗λ軽鎖抗体、抗メラノソーム抗体、抗前立腺特異的抗原抗体、抗S−100抗体、抗τ抗原抗体、抗フィブリン抗体、抗ケラチン抗体、抗Tn−抗原抗体レセプタータンパク質、リンホカイン、酵素、ホルモン、増殖因子、または核酸結合タンパク質、細胞接着レセプターのリガンド;シグナル伝達レセプターのリガンド;ホルモン;デスドメインファミリー分子に結合する分子;抗原;ウイルス粒子、ウイルス被膜タンパク質もしくはその断片、次のものよりなる群から選択される毒性ポリペプチド:(a)リシン、(b)シュードモナスエキソトキシン(PE)、(c)ブリオジン、(d)ゲロニン、(e)α−サルシン、(f)アスペルギリン、(g)レストリクトシン、(h)アンギオゲニン、(i)サポリン、(j)アブリン、(k)アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質(PAP)、および(l)(a)〜(k)のいずれかの機能性断片;サイトカイン、または次のものよりなる群から選択される可溶性サイトカイン:エリトロポイエチン、インターロイキン、インターフェロン、繊維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子および表皮増殖因子、MHCクラスI抗原、MHCクラスII抗原、インターナライズ性細胞表面レセプター、および/またはウイルスレセプター。
限定されるものではないが、特定の実施形態では、標的分子は、次のような抗原である:αフェトプロテイン、α−1アンチトリプシン、α−2マクログロブリン、アディポネクチン、アポリプロテイン−A−1、アポリプロテイン−CIII、アポリプロテイン−H、BDNF、β−2ミクログロブリン、C反応性タンパク質、カルシトニン、癌抗原19−9、癌抗原125、CEA、CD40、CD40リガンド、補体第3成分、CK−MB、EGF、ENA−78、エンドセリン−1、enrage、エオタキシン、エリトロポイエチン、第VII因子、FABP、フェリチン、塩基性FGF、フィブリノーゲン、G−CSF、GST、GM−CSF、成長ホルモン、ハプトグロビン、ICAM−1、IFN−γ、IgA、IgE、IGF−1、IgM、IL−1α、IL−1β、IL−1ra、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−12 p40、IL−12 p70、IL−13、IL−15、IL−16、インスリン、レプチン、リポプロテイン(a)、リンフォタクチン、MCP−1、MDC、MIP−1α、MIP−1β、MMP−2、MMP−3、MMP−9、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、PAI−1、PAP、PAPP−A、SGOT、SHBG、PSA(遊離型)、RANTES、血清アミロイドP、幹細胞因子、TBG、トロンボポエチン、TIMP−1、組織因子、TNF−α、TNF−β、TNF RII、TSH、VCAM−1、VEGF、またはvWF。
いくつかの実施形態では、標的分子は、自己免疫関連分子、たとえば、ASCA、β−2グリコプロテイン、C1q、セントロメアプロテインB、1型コラーゲン、2型コラーゲン、4型コラーゲン、6型コラーゲン、シトクロムP450、dsDNA、ヒストン、ヒストンH1、ヒストンH2A、ヒストンH2B、ヒストンH3、ヒストンH4、HSC−70、HSP−32、HSP−65、HSP−71、HSP−90α、HSP−90β、インスリン、JO−1、ミトコンドリア分子、ミエロペルオキシダーゼ、膵島細胞分子、PCNA、PM−1、PR3、リボソームP、RNP−A、RNP−C、RNP、Sel−70、Smith、SSA、SSB、T3、T4、チログロブリン、tTG(セリアック病)、または甲状腺ミクロソーム分子である。
いくつかの実施形態では、標的分子は、感染因子、たとえば、コレラトキシン、コレラトキシンβ、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、サイトメガロウイルス、ジフテリアトキシン、エプスタイン−バーNA、エプスタイン−バーEA、エプスタイン−バーVCA、ヘリオバクター・ピロリ(Heliobacter pylori)、HBVコア、HBVエンベロープ、HBV表面(Ad)、HBV表面(Ay)、HCVコア、HCV NS3、HCV NS4、HCV NS5、A型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、HEV orf2 3KD、HEV orf2 6KD、HEV orf 3KD、HIV−1 p24、HIV−1 gp41、HIV−1 gp120、HPV、HSV−1/2、HSV−1 gD、HSV−2 gD、HTLV−1/2、A型インフルエンザウイルス、A型インフルエンザH3N2ウイルス、B型インフルエンザウイルス、リーシュマニア・ドノバニ(Leishmania donorani)、ライム病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、M.ニューモニア(M. pneumonia)、M.ツベルクロシス(M. tuberculosis)、1型パラインフルエンザウイルス、2型パラインフルエンザウイルス、3型パラインフルエンザウイルス、ポリオウイルス、RSV、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、ストレプトリジンO、テタヌストキシン、T.パリデュム(T. pallidum)15kD、T.パリデュム(T. pallidum)p47、T.クルジ(T. cruzi)、トキソプラズマ、水痘帯状疱疹ウイルスから単離される成分である。
5.9 ナノレポーター集団
本発明は、ナノレポーター集団またはナノレポーター標識ユニット集団、たとえば、それぞれ、少なくとも10種、少なくとも15種、少なくとも20種、少なくとも25種、少なくとも30種、少なくとも40種、少なくとも50種、少なくとも75種、少なくとも100種、少なくとも200種、少なくとも300種、少なくとも400種、少なくとも500種、少なくとも750種、もしくは少なくとも1,000種のユニークなナノレポーターまたはナノレポーター標識ユニットを含有するナノレポーターライブラリーまたはナノレポーター標識ユニットライブラリーを提供する。本明細書中で使用する場合、集団内のナノレポーターまたはナノレポーター標識ユニットに関連して使用するときの「ユニーク」とは、同一の集団において他のナノレポーターまたは標識ユニットから区別するコードを有するナノレポーターまたは標識ユニットを意味するものとする。
特定の実施形態では、本発明は、少なくとも5,000種、少なくとも10,000種、少なくとも20,000種、もしくは少なくとも50,000種のユニークなナノレポーターまたはナノレポーター標識ユニットを有するナノレポーター集団を提供する。
ナノレポーター集団中のナノレポーターは、シングルナノレポーター、デュアルナノレポーター、またはそれらの組合せでありうる。ナノレポーターは、標識化されていることもあれば標識化されていないこともある。
ナノレポーター集団のサイズおよびその中のナノレポーターの標的特異的配列の性質は、ナノレポーターの使用目的に依存するであろう。標的特異的配列が疾患細胞タイプなどの所与の細胞タイプのマーカーに対応するナノレポーター集団を作製することが可能である。特定の実施形態では、標的特異的配列が細胞内の異なるタイプの転写産物の少なくとも0.1%、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、もしくは少なくとも70%を占めるナノレポーター集団が生成される。特定の実施形態では、標的特異的配列が細胞内の異なる遺伝子の少なくとも0.1%、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、もしくは少なくとも70%を占めるナノレポーター集団が生成される。さらに他の実施形態では、少なくとも一部の標的特異的配列が細胞内もしくは組織内の希少な転写産物に対応するナノレポーター集団が生成される。そのようなナノレポーター集団は、好ましくは少なくとも5種の希少な転写産物に対応する。特定の実施形態では、そのようなナノレポーター集団は、少なくとも10種、少なくとも20種、少なくとも30種、少なくとも40種、もしくは少なくとも50種の希少な転写産物に対応する。
特定の実施形態では、細胞または組織は、哺乳動物の細胞または組織であり、より好ましくはヒトの細胞または組織である。
特定の実施形態では、ナノレポーター集団は、診断用もしくは予後判定用のナノレポーター集団である。たとえば、血液製剤のスクリーニングに有用な診断用ナノレポーター集団の生成が可能であり、この場合、標的特異的配列は、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、およびヒト免疫不全ウイルスのような混入ウイルスの核酸に結合する。他の選択肢として、診断用ナノレポーター集団は、腫瘍抗原のような細胞疾患マーカーに対応する標的特異的配列を含有しうる。予後判定用ナノレポーター集団は、一般的には、癌のような所与の疾患の異なる段階に対応する標的特異的マーカーを含む。適切な標的特異的配列を選択することにより、ナノレポーター集団を疾患の診断および予後判定の両方に使用することが可能である。
5.10 生体分子サンプル
本発明に係るナノレポーターシステムを使用することにより、任意の生体分子サンプル中の標的分子を検出することが可能である。当業者であればわかるであろうが、サンプルは、任意の数の次のもの(ただし、これらに限定されるものではない)を含みうる:細胞(プライマリー細胞および培養細胞系の両方を包含する)、細胞の溶解物または抽出物(RNA抽出物、精製mRNAを包含するが、これらに限定されるものではない)、組織および組織抽出物(RNA抽出物、精製mRNAを包含するが、これらに限定されるものではない);体液(血液、尿、血清、リンパ液、胆汁、脳脊髄液、間質液、房水もしくは硝子体液、初乳、喀痰、羊水、唾液、肛門および膣の分泌液、発汗、ならびに精液を包含するが、これらに限定されるものではない)、漏出液、滲出液(たとえば、膿瘍または任意の他の感染部位もしくは炎症部位から得られる液)、あるいは関節(たとえば、正常関節、またはリウマチ様関節炎、骨関節炎、痛風、もしくは敗血症性関節炎のような疾患に罹患した関節)から得られる液、これらは、事実上任意の生物のものであるが、哺乳動物サンプルが好ましく、ヒトサンプルがとくに好ましい;環境サンプル(空気、農業用の水および土壌のサンプルを包含するが、これらに限定されるものではない);生物兵器サンプル;研究サンプル、たとえば、細胞外液、細胞培養物に由来する細胞外上清、細菌中の封入体、細胞内コンパートメント、細胞ペリプラズム、ミトコンドリアコンパートメントなど。
生体分子サンプルは、生体学的サンプルから間接的に得ることが可能である。たとえば、対象の標的分子が細胞転写産物たとえばメッセンジャーRNAである場合、本発明に係る生体分子サンプルは、メッセンジャーRNAの逆転写により生成されるcDNAを含有するサンプルでありうる。他の例では、本発明に係る生体分子サンプルは、生体学的サンプルを分画たとえばサイズ分画または膜分画に付することにより作製される。
本発明に係る生体分子サンプルは、「天然の状態」すなわち操作や処理に付されていない状態であってもよいし、「処理された状態」であってもよく、処理は、候補作用剤たとえば薬剤、遺伝子工学的処理(たとえば、遺伝子の付加または欠失)などをはじめとする任意の数の処理を含みうる。
5.11 標識モノマーの分離
標識化ナノレポーターから生成される全シグナルの検出のほかに、本発明は、ナノレポーター上の標識モノマーから放出されるシグナルの空間的位置(すなわちスポット)の測定法を提供する。この場合、各スポットは、所与の標識結合領域に結合された標識モノマーに由来する総和シグナルに対応する。スポットは、同一の波長または異なる波長のシグナルを含有しうる。したがって、ナノレポーター上のスポットの性質およびその位置は、ナノレポーターコードを構成する。
さまざまな手段のいずれか用いることにより、ナノレポーターを「伸長」させて個別スポットを分離することが可能である。たとえば、ナノレポーターは、流動伸長技術(Henegariu et al., 2001, Biotechniques 31:246-250)、後退メニスカス技術(receding meniscus technique)(Yokota et al., 1997, Nuc. Acids Res. 25:1064-1070)または電気伸長技術(Matsuura et al., 2001, Nuc. Acids Res. 29:E79)を用いて伸長させることが可能である。
流動伸長、後退メニスカス、または電気伸長の技術を用いれば、特定のシグナルがナノレポーター中のどこに位置するかを空間的に測定できるように、ナノレポーター内の標識結合領域を分離することが可能である。したがって、標識モノマーの同一の組合せおよび同一の全シグナルを有するユニークなナノレポーターをナノレポーター内のそれらの標識モノマーの位置に基づいて互いに鑑別することが可能である。
ナノレポーター内の標識結合領域またはスポットの位置をこのように決定できるので、各標識結合領域中の標識モノマーによる放出されるシグナルの位置を一連のユニークなナノレポーターの生成時の識別特性として使用することが可能である。したがって、ナノレポーター内の標識モノマーの位置を変化させることにより、出発標識モノマーの同一の組合せを用いて複合型の一連のナノレポーターを作製することが可能である。
ナノレポーターの伸長前、以上の第5.6節に記載されるアフィニティータグを用いてナノレポーターを固体表面に固定することが好ましい。
本発明に係る特定の態様では、固体表面への特異的結合または非特異的結合のいずれかを介してナノレポーターの一端を固定し、ナノレポーターを伸長させ、次に、同様に固体表面への特異的結合または非特異的結合のいずれかを介してレポーターの他端を固定する。したがって、ナノレポーターは、ナノレポーターに結合された標識モノマーにより放出されるシグナルおよびそれらの互いの相対位置の検出および/または画像化によるナノレポーターコードの解像が容易になるように、その伸長状態で「凍結」される。本発明のこれらの態様について以下の第5.12節で説明する。
5.12 伸長型ナノレポーターの固定
本発明は、さまざまなナノレポーターの一次構造の同定を容易にする方法および組成物を提供する。特定の態様では、本発明は、伸長状態のナノレポーターを選択的に固定する方法を提供する。本発明によれば、伸長のためにいかなる力を使用した場合でも完全に伸長された状態でナノレポーターを選択的に固定することが可能である。そのほかに、本発明に係る方法は、互いに配向された伸長型ナノレポーターの選択的固定を容易にする。言い換えれば、本発明に係る方法によれば、複数のナノレポーターを互いに同一の配向状態で容易に固定することが可能である。
一態様では、本発明は、伸長状態のナノレポーターを選択的に固定する方法を提供する。本発明のこの態様に係る方法では、一般的には、ナノレポーターの第1の部分は、当業者に公知のいずれかの技術により固定される。実際には、ナノレポーターの第1の部分を固定する技術は、本発明の多くの実施形態に重要ではない。特定の実施形態では、ナノレポーターの第1の部分は、選択的もしくは非選択的に固定可能である。特定の実施形態では第1の部分は、1つ以上の共有結合により固定される。特定の実施形態では、第1の部分は、1つ以上の非共有結合により固定される。代表的な固定された第1の部分について以下の節で説明する。
固定された第1の部分を用いて、当業者に自明なナノレポーターの任意の伸長技術により、ナノレポーターを伸長させることが可能である。特定の実施形態では、ナノレポーターを伸長させる技術は、本発明に係る方法に重要ではない。特定の実施形態では、当業者の判断に基づいたクラスのナノレポーターに適合するナノレポーターを伸長させる技術である。特定の実施形態では、ナノレポーターは、ナノレポーターを伸長させうる力を加えることにより伸長される。力は、ナノレポーターの伸長技術に関連する当業者に自明な任意の力でありうる。代表的な力としては、重力、流体力、電磁力、およびそれらの組合せが挙げられる。ナノレポーターの伸長に特有な技術について以下の節で説明する。
ナノレポーターは、伸長されたことが当業者により確認されれば、伸長状態である。特定の実施形態では、ナノレポーターは、ナノレポーターを伸長させうる力の場の中に存在する場合、伸長状態である。当業者であればわかることであるが、特定の実施形態では、ナノレポーターは、その平均流体力学的半径がその天然の状態のナノレポーターの平均流体力学的半径の2倍超である場合、伸長状態である。
本発明のこの態様では、本方法は、一般的には、伸長状態にあるときにナノレポーターの第2の部分を選択的に固定する工程を含む。これにより、第1および第2の部分の間で伸長された固定化ナノレポーターを得ることが可能である。注目すべき点として、ナノレポーターが伸長時に選択的に固定されるので、その伸長は、固定化ナノレポーターの形態で保持可能である。一般的には、ナノレポーターの第1の部分および第2の部分は同一でない。
選択的固定は、ナノレポーターの一部を選択的に固定するための当業者に自明な任意の技術に基づくものでありうる。選択的固定は、たとえば、1つ以上の共有結合もしくは1つ以上の非共有結合またはその両方の形成を介するものでありうる。選択的固定技術の特定例を以下の節で説明する。特定の実施形態では、1つ以上の結合ペアを用いてナノレポーターの第2の部分を固定する。
第2の部分は、当業者に自明な任意の基材上に固定可能である。基材は、固定に役立つと判断される当業者に公知の任意の基材でありうる。特定の実施形態では、第2の部分は、他の分子に固定可能である。さらなる有用な基材としては、表面、膜、ビーズ、多孔性材料、電極、アレイ、および当業者に自明な任意の他の基材が挙げられる。
他の態様では、本発明は、選択的に固定された伸長型ナノレポーターを含む組成物を提供する。組成物は、一般的には、基材と基材上に選択的に固定された伸長型ナノレポーターとを含む。基材は、当業者に公知の任意の基材でありうる。代表的な基材としては、以下の節に記載のものが挙げられる。ナノレポーターの少なくとも2つの部分は、基材上に固定され、ナノレポーターは、2つの部分の間で伸長された状態である。特定の実施形態では、ナノレポーターの少なくとも1つの部分は、基材上に選択的に固定される。特定の実施形態では、ナノレポーターの2つ以上の部分は、基材上に選択的に固定される。ナノレポーターは、当業者に自明な任意の技術、たとえば、特定的には本発明に係る方法により、伸長および/または固定が可能である。
他の態様では、本発明は、配向状態のナノレポーターを選択的に固定する方法を提供する。ナノレポーターは、以上に記載の任意のナノレポーターでありうる。特定の実施形態では、ナノレポーターは可撓性でありうるか、または特定の実施形態では、ナノレポーターは剛性もしくは半剛性でありうる。本発明のこの態様に係る方法では、一般的には、ナノレポーターの第1の部分は、以上に記載されるように固定される。固定された第1の部分を用いて、当業者に自明なナノレポーターの任意の伸長技術により、ナノレポーターを配向させることが可能である。特定の実施形態では、ナノレポーターを配向させる技術は、本発明に係る方法に重要ではない。特定の実施形態では、当業者の判断に基づいたクラスのナノレポーターに適合するナノレポーターを配向させる技術である。特定の実施形態では、ナノレポーターは、ナノレポーターを配向させうる力を加えることにより配向される。力は、ナノレポーターの配向技術に関連する当業者に自明な任意の力でありうる。代表的な力としては、重力、流体力、電磁力、およびそれらの組合せが挙げられる。ナノレポーターの伸長に特有な技術について以下の項で説明する。
ナノレポーターは、配向されたことが当業者により確認されれば、配向状態である。特定の実施形態では、ナノレポーターは、ナノレポーターを配向させうる力の場の中に存在する場合、配向状態である。当業者であればわかることであるが、特定の実施形態では、ナノレポーターは、ナノレポーターを配向させうる力の場と平行にその末端が配置された場合、配向状態である。当業者であればわかることであるが、特定の実施形態では、複数のナノレポーターは、ナノレポーターの末端が平行に配置された場合、配向状態である。
本発明のこの態様では、本方法は、一般的には、配向状態にあるときにナノレポーターの第2の部分を選択的に固定する工程を含む。これにより、第1および第2の部分の間で配向された固定化ナノレポーターを得ることが可能である。注目すべき点として、ナノレポーターが伸長時に選択的に固定されるので、その配向は、固定化ナノレポーターの形態で保持可能である。選択的固定は、以上に記載の方法に基づくものでありうる。
他の態様では、本発明は、選択的に固定された配向型ナノレポーターを含む組成物を提供する。組成物は、一般的には、基材と基材上に選択的に固定された配向型ナノレポーターとを含む。基材は、当業者に公知の任意の基材でありうる。代表的な基材としては、以下の節に記載のものが挙げられる。ナノレポーターの少なくとも2つの部分は、基材上に固定され、ナノレポーターは、2つの部分の間で配向された状態である。特定の実施形態では、ナノレポーターの少なくとも1つの部分は、基材上に選択的に固定される。特定の実施形態では、ナノレポーターの両方の部分は、基材上に選択的に固定される。ナノレポーターは、当業者に自明な任意の技術、たとえば、特定的には本発明に係る方法により、配向および/または固定が可能である。
本発明に係る方法および組成物は、当業者に自明な任意の目的に使用可能である。たとえば、固定されかつ伸長および/または配向されたナノレポーターは、ナノレポーターが固定された基材に対する標識として使用可能である。固定されかつ伸長および/または配向されたナノレポーターの一次配列は、当業者に自明な任意の技術により同定可能である。有利には、伸長および/または配向されたナノレポーターの固定は、そのような技術を容易にしうる。特定の実施形態では、固定されかつ伸長および/または配向されたナノレポーターは、ナノ経路の作製を制御するために、たとえば、ナノワイヤーまたはナノ回路を形成するために、使用可能である。固定されかつ伸長および/または配向されたナノレポーターのさらなる使用について以下の節で説明する。
本明細書中で使用される用語はすべて、とくに指示がないかぎり、当業者の知るその通常の意味を有する。以下の用語は、以下の意味を有するものとする。
本明細書中で使用する場合、「結合ペア」という用語は、互いに選択的に結合可能な、すなわち、組成物中の他の成分に対するよりも大きい親和性で互いに結合可能な、第1および第2の分子または部分を意味する。結合ペアのメンバー間の結合は、共有結合または非共有結合でありうる。特定の実施形態では、結合は非共有結合である。代表的な結合ペアとしては、免疫学的結合ペア(たとえば、対応する抗体またはその結合部分もしくはフラグメントと組み合わされた任意のハプテン性もしくは抗原性の化合物、たとえば、ジゴキシゲニンと抗ジゴキシゲニン、フルオレセインと抗フルオレセイン、ジニトロフェノールと抗ジニトロフェノール、ブロモデオキシウリジンと抗ブロモデオキシウリジン、マウス免疫グロブリンとヤギ抗マウス免疫グロブリン)および非免疫学的結合ペア(たとえば、ビオチン−アビジン、ビオチン−ストレプトアビジン、ホルモン−ホルモン結合タンパク質、レセプター−レセプターリガンド(たとえば、アセチルコリンレセプター−アセチルコリンまたはその類似体)、IgG−プロテインA、レクチン−炭水化物、酵素−酵素補因子、酵素−酵素阻害剤、核酸二本鎖を形成しうる相補的ポリヌクレオチドペアなど)が挙げられる。たとえば、免疫反応性結合メンバーとしては、抗原、ハプテン、アプタマー、抗体(一次もしくは二次)、およびそれらの複合体が挙げられうる(組換えDNA法またはペプチド合成により生成されるものを包含する)。抗体は、モノクロナール抗体もしくはポリクロナール抗体、組換えタンパク質、またはそれらの混合物(複数可)もしくはフラグメント(複数可)、さらには抗体と他の結合性メンバーとの混合物でありうる。他の一般的な結合ペアとしては、ビオチンとアビジン(またはその誘導体)、ビオチンとストレプトアビジン、炭水化物とレクチン、相補的ヌクレオチド配列(たとえば、プローブ核酸配列とキャプチャー核酸配列)、相補的ペプチド配列、たとえば、組換え法により生成されるもの、エフェクター分子とレセプター分子、ホルモンとホルモン結合タンパク質、酵素補因子と酵素、酵素阻害剤と酵素などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「選択的結合」とは、組成物中の他の分子または部分に対する分子または部分のペアの互いの任意の優先的結合を意味するが、これについては、当業者であればわかるであろう。特定の実施形態では、分子または部分のペアは、他の分子または部分と比較して互いに優先的に結合する場合、選択的に結合する。選択的結合は、他の分子または部分に対する1つの分子または部分の親和性もしくは結合活性またはその両方を含みうる。特定の実施形態では、選択的結合は、約1×10−5M未満、または約1×10−6M未満、1×10−7M未満、1×10−8M未満、1×10−9M未満、もしくは1×10−10M未満の解離定数(K)を必要とする。これとは対照的に、特定の実施形態では、非選択的結合は、有意により低い親和性、たとえば、1×10−3M超のKを有する。
「伸長状態」とは、当業者であれば伸長させたときにわかるであろう状態のナノレポーターを意味する。特定の実施形態では、ナノレポーターは、溶液中においてその天然のコンフォメーションを基準にして伸長されている場合、伸長状態である。特定の実施形態では、ナノレポーターは、ナノレポーターを伸長させうる力の場の中に存在する場合、伸長状態である。特定の実施形態では、ナノレポーターの伸長状態は、定量的に測定可能である。そのような実施形態では、当業者は、ナノレポーターの末端間ベクトルすなわちナノレポーターの2つの末端間の距離としてRを認識し、当業者に適切であるとみなされる溶液中においてRの95%が2<R>以内に入るような平均末端間ベクトルとして<R>を認識するであろう。代表的な溶液としては、たとえば、水中またはpH緩衝液中のナノレポーターの希薄溶液が挙げられる。特定の実施形態では、ナノレポーターは、Rが2.0<R>超である場合、伸長状態である。
「配向状態」とは、当業者であれば配向させたときにわかるであろう状態のナノレポーターを意味する。特定の実施形態では、ナノレポーターは、溶液中においてその天然のコンフォメーションを基準にして配向されている場合、配向状態である。特定の実施形態では、ナノレポーターは、ナノレポーターを配向させうる力の場と平行に配置された場合、配向されている。当業者であればわかることであるが、特定の実施形態では、ナノレポーターは、複数のナノレポーターのうちの1つが平行に配置された場合、配向されている。
5.12.1 選択的固定方法
以上に記載したように、本発明は、伸長状態のナノレポーターの選択的固定方法を提供する。ナノレポーターは、選択的固定の後、当業者に自明な任意の目的に使用可能である。
特定の実施形態では、ナノレポーターは、当業者に公知の任意のポリマーである。たとえば、ナノレポーターは、ポリサッカリド、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドでありうる。有用なポリヌクレオチドとしては、リボ核酸、デオキシリボ核酸、および当業者に公知の他のポリヌクレオチドが挙げられる。
ナノレポーターは、本発明に係る方法に基づくナノレポーターの伸長および固定を可能にするのに十分な任意のサイズでありうる。ナノレポーターがポリヌクレオチドである特定の実施形態では、ナノレポーターは、500bp超、750bp超、1kb超、1.5kb超、2.0kb超、2.5kb超、3.0kb超、4.0kb超、または5.0kb超の長さを有しうる。ナノレポーターがポリペプチドである特定の実施形態では、ナノレポーターは、50アミノ酸超、100アミノ酸超、200アミノ酸超、300アミノ酸超、400アミノ酸超、500アミノ酸超、750アミノ酸超、1000アミノ酸超、1500アミノ酸超、2000アミノ酸超、2500アミノ酸超、3000アミノ酸超、4000アミノ酸超、または5000アミノ酸超のサイズを有しうる。ナノレポーターがポリサッカリドである特定の実施形態では、ナノレポーターは、50サッカリド超、100サッカリド超、200サッカリド超、300サッカリド超、400サッカリド超、500サッカリド超、750サッカリド超、1000サッカリド超、1500サッカリド超、2000サッカリド超、2500サッカリド超、3000サッカリド超、4000サッカリド超、または5000サッカリド超のサイズを有しうる。
ナノレポーターは、当業者により理解される天然のナノレポーターでありうるか、またはナノレポーターは、非天然のナノレポーターでありうる。ナノレポーターがポリペプチドである特定の実施形態では、ナノレポーターは、天然に存在するアミノ酸だけを含みうるか、またはナノレポーターは、天然に存在するアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸を含みうる。他方のアミノ酸は、当業者に公知の任意のアミノ酸またはその誘導体もしくは類似体でありうる。ナノレポーターがポリヌクレオチドである特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、天然に存在するヌクレオチドだけを含みうるか、またはポリヌクレオチドは、天然に存在するヌクレオチドおよび天然に存在しないヌクレオチドを含みうる。ナノレポーターがポリサッカリドである特定の実施形態では、ポリサッカリドは、天然に存在するサッカリドだけを含みうるか、またはポリサッカリドは、天然に存在するサッカリドおよび天然に存在しないサッカリドを含みうる。特定の実施形態では、ポリマーは、非天然モノマーだけを含みうる。さらなる実施形態では、ナノレポーターは、複数のクラスのモノマー、たとえば、アミノ酸、ヌクレオチド、および/またはサッカリドを含みうる。
特定の実施形態では、ナノレポーターは、モノマーの共有結合主鎖を1本だけ含む。たとえば、ナノレポーターがポリペプチドである特定の実施形態では、ナノレポーターは、アミノ酸主鎖を1本だけ含む。ナノレポーターがポリヌクレオチドである場合、特定の実施形態では、ナノレポーターは一本鎖である。さらなる実施形態では、ナノレポーターは、モノマーの共有結合主鎖を2本含む。たとえば、ナノレポーターがポリペプチドである場合、特定の実施形態では、ナノレポーターは2本のアミノ酸主鎖を含む。ナノレポーターがポリヌクレオチドである場合、特定の実施形態では、ナノレポーターは2本のポリヌクレオチド鎖を含み、特定の実施形態では、ナノレポーターは一部もしくは全部が二本鎖でありうる。さらなる実施形態では、ナノレポーターは、モノマーの共有結合主鎖を3本以上含む。たとえば、ナノレポーターがポリペプチドである場合、特定の実施形態では、ナノレポーターは3本のアミノ酸主鎖を含む。ナノレポーターがポリヌクレオチドである場合、特定の実施形態では、ナノレポーターは3本のポリヌクレオチド鎖を含む。たとえば、ナノレポーターは、3本の鎖F1、X、およびF2を含みうる。ただし、鎖Xの一部は鎖F1に相補的であり、かつ鎖Xの一部は鎖F2に相補的である。例を図13Aに示す。特定の実施形態では、ナノレポーターは、モノマーの共有結合主鎖を3本超含む。
有利には、本発明に係るナノレポーターは、当業者に公知の技術によるナノレポーターの検出、画像化、または同定を容易にする1つ以上の標識を含みうる。標識は、当業者に公知の任意の検出可能な部分でありうる。ナノレポーター用の代表的な標識としては、検出可能な同位体、放射性同位体、発蛍光団、色素、酵素、リガンド、レセプター、抗原、抗体、レクチン、炭水化物、ヌクレオチド配列、および当業者に自明な任意の他の検出可能な標識が挙げられる。
特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、天然の核酸塩基(たとえば、A、G、C、T、U)もしくは合成の核酸塩基または両方の組合せのポリマーである。ポリヌクレオチドのバックボーンは、完全に「天然」のホスホジエステル結合で構成されうるか、または1つ以上の修飾された結合、たとえば、1つ以上のホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、ホスホルアミデート結合、または他の修飾された結合を含有しうる。特定例として、ポリヌクレオチドは、アミド結合を含有するペプチド核酸(PNA)でありうる。本発明と組み合わせて使用可能な合成の塩基およびバックボーンの追加の例ならびにそれらの合成方法は、たとえば、U.S. Patent No. 6,001,983; Uhlman & Peyman, 1990, Chemical Review 90(4):544 584; Goodchild, 1990, Bioconjugate Chem. 1(3):165 186; Egholm et al., 1992, J. Am. Chem. Soc. 114:1895 1897; Gryaznov et al., J. Am. Chem. Soc. 116:3143 3144および以上全体に引用されている参考文献に見いだしうる。ポリヌクレオチドを構成しうる一般的な合成核酸塩基としては、3−メチルウラシル、5,6−ジヒドロウラシル、4−チオウラシル、5−ブロモウラシル、5−フルオロウラシル(5 thorouracil)、5−ヨードウラシル、6−ジメチルアミノプリン、6−メチルアミノプリン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、6−アミノ−8−ブロモプリン、イノシン、5−メチルシトシン、7−デアザアデニン、および7−デアザグアノシンが挙げられる。標的核酸を構成しうる合成核酸塩基の追加の例は、Fasman, CRC Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology, 1985, pp. 385-392; Beilstein’s Handbuch der Organischen Chemie, Springer Verlag, Berlin and Chemical Abstracts(それらはすべて、そのような核酸塩基の構造、性質、および調製が記載されている出版物への参照を提供する)に見いだしうるが、これらに限定されるものではない。
ナノレポーターは、当業者に自明な任意の技術に従って調製可能である。有利には、本発明に係るナノレポーターは、以下の節に記載されるように、標識ならびに/またはナノレポーターの調製および/もしくは精製を容易にするために使用可能な結合ペアのメンバーを含みうる。そのほかに、本発明に係る特定のナノレポーターは、以下に記載されるように、結合ペアのメンバーを含む分子と複合体を形成しうる。この複合体を用いることにより、ナノレポーターまたは複合体の調製および/または精製を容易にしうる。
5.12.2 第1の部分の固定
本発明に係る方法では、ナノレポーターの第1の部分は固定される。一般的には、第1の部分は、固定されたことが当業者により確認されれば、固定されている。第1の部分は、当業者に自明な任意の技術により固定可能である。特定の実施形態では、ナノレポーターの第1の部分を固定する技術は、本発明に係る方法に重要ではない。
ナノレポーターの第1の部分は、ナノレポーター中の任意の位置に存在しうる。特定の実施形態では、第1の部分はナノレポーターの末端に存在する。本発明の目的では、ナノレポーターの末端から5モノマー未満、4、3、2、1、もしくは0モノマーである場合、ナノレポーターの一部は「末端」に存在しうる。もちろん、多くのナノレポーターは2つの末端を有するが、本発明に係る方法は、2個超の末端を有するナノレポーターおよび1もしくは0個の末端を有するナノレポーター、たとえば、環状ナノレポーターに適用可能である。特定の実施形態では、第1の部分はナノレポーターの末端に存在しない。
ナノレポーターは、当業者に自明な任意の基材上に固定可能である。基材は、限定されるものではなく、ナノレポーターを固定しうる任意の部分でありうる。特定の実施形態では、基材は、表面、膜、ビーズ、多孔性材料、電極、またはアレイである。
特定の実施形態では、ナノレポーターの第1の部分は、非選択的に固定可能である。さらなる実施形態では、ナノレポーターの第1の部分は、選択的に固定可能である。有利な実施形態では、ナノレポーターの第1の部分を固定した後、ナノレポーターの一部分は、本方法の後続の工程でナノレポーターを伸長させることができるように十分な程度に自由移動できなければならない。特定的には、ナノレポーターの第1の部分が非選択的に固定される特定の実施形態では、ナノレポーターのいずれの部分の伸長も防止される程度まで全ナノレポーターが非選択的に固定されることがないようにすることが重要である。
固定は、当業者に自明な基材との任意の相互作用によるものでありうる。固定は、静電的相互作用もしくはイオン性相互作用を介するか、1つ以上の共有結合を介するか、1つ以上の非共有結合を介するか、またはそれらの組合せを介するものでありうる。特定の実施形態では、固定は、電極との静電的相互作用を介するものでありうる。さらなる実施形態では、固定は、電極以外の基材との静電的相互作用を介するものである。
特定の実施形態では、ナノレポーターの第1の部分は、結合ペアの第1のメンバーを含む。結合ペアの第1のメンバーは、ナノレポーターの第1の部分に共有結合で結合されうるか、または非共有結合で結合されうる。有用な共有結合および非共有結合は、当業者に自明であろう。有用な実施形態では、ナノレポーターの第1の部分が結合される基材は、結合ペアの第2のメンバーを含むであろう。基材は、第2のメンバーに共有結合で結合されうるか、または非共有結合で結合されうる。図12Aは、基材の部分に選択的に結合しうるF1部分を含むナノレポーターを示している。F1部分は、たとえば、アビジンで被覆された基材などに結合可能なビオチンでありうる。
特定の実施形態では、ナノレポーターの第1の部分は、基材上の結合ペアのメンバーと結合して1つ以上の非共有結合を形成しうる結合ペアのメンバーを含みうる。代表的な有用な基材としては、リガンド、抗原、炭水化物、核酸、レセプター、レクチン、および抗体よりなる群から選択される結合部分を含むものが挙げられる。ナノレポーターの第1の部分は、基材の結合部分と結合しうる結合部分を含むであろう。反応部分を含む代表的な有用な基材としては、エポキシ、アルデヒド、金、ヒドラジド、スルフヒドリル、NHS−エステル、アミン、チオール、カルボキシレート、マレイミド、ヒドロキシメチルホスフィン、イミドエステル、イソシアネート、ヒドロキシル、ペンタフルオロフェニル−エステル、ソラレン、ピリジルジスルフィド、もしくはビニルスルホン、またはそれらの混合物を含む表面が挙げられるが、これらに限定されるものではない。そのような表面は、供給業者から入手可能であるかまたは標準的方法に従って調製可能である。
有利な実施形態では、ナノレポーターの第1の部分は、アビジン−ビオチン結合ペアを介して基材に固定可能である。特定の実施形態では、ナノレポーターは、その第1の部分にビオチン部分を含みうる。たとえば、ポリヌクレオチドナノレポーターは、ビオチン化ヌクレオチド残基を含みうる。同様に、ポリペプチドナノレポーターは、ビオチン化アミノ酸残基を含みうる。アビジンを含む基材は、当業者に公知のアビジンを含む任意の基材でありうる。アビジンを含む有用な基材は、TB0200(Accelr8)、SAD6、SAD20、SAD100、SAD500、SAD2000(Xantec)、SuperAvidin(Array-It)、ストレプトアビジンスライド(カタログ#MPC 000、Xenopore)、およびSTREPTAVIDINnslide(カタログ#439003、Greiner Bio-one)をはじめとする市販品として入手可能である。
特定の実施形態では、ナノレポーターの第1の部分は、基材上のヌクレオチド配列に選択的に結合しうるヌクレオチド配列を含みうる。
さらなる実施形態では、ナノレポーターの第1の部分はアビジンを含みうる。そして基材はビオチンを含みうる。ビオチンを含む有用な基材は、Optiarray−biotin(Accelr8)、BD6、BD20、BD100、BD500、およびBD2000(Xantec)をはじめとする市販品として入手可能である。
さらなる実施形態では、ナノレポーターの第1の部分は、1つ以上の他の分子との複合体を形成可能であり、さらに、該分子は、基材の結合部分に共有結合または非共有結合で結合可能である。たとえば、ナノレポーターの第1の部分は、基材のアビジン部分などに選択的に結合しうるビオチン部分などを含む他の分子に選択的に結合しる能力を有しうる。図13Aは、F1を含む第3の分子に選択的に結合しうる第2の分子Xに選択的に結合しうるナノレポーターを示している。F1は、基材上の部分に選択的に結合しうる。図13Bは、F1を含む第2の分子に選択的に結合しうるナノレポーターを示している。また、F1は基材上の部分に選択的に結合しうる。
さらなる実施形態では、ナノレポーターの第1の部分は、基材上の結合ペアのメンバーと反応して1つ以上の共有結合を形成しうる結合ペアのメンバーを含みうる。反応基を含む代表的な有用な基材としては、スクシンアミド、アミン、アルデヒド、エポキシ、およびチオールよりなる群から選択される反応部分を含むものが挙げられる。ナノレポーターの第1の部分は、基材の反応部分と反応しうる反応部分を含むであろう。反応部分を含む代表的な有用な基材としては、OptArray−DNA NHS group(Accelr8)、Nexterion Slide AL(Schott)、およびNexterion Slide E(Schott)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
特定の実施形態では、ナノレポーターの第1の部分は、光活性化により基材に結合されうる反応部分を含みうる。基材は光反応部分を含みうるか、またはナノレポーターの第1の部分は光反応部分を含みうる。光反応部分のいくつかの例としては、アリールアジド、たとえば、N−((2−ピリジルジチオ)エチル)−4−アジドサリチルアミド;フッ素化アリールアジド、たとえば、4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸;ベンゾフェノン系試薬、たとえば、4−ベンゾイル安息香酸のスクシンイミジルエステル;および5−ブロモ−デオキシウリジンが挙げられる。
さらなる実施形態では、ナノレポーターの第1の部分は、当業者に自明な他の結合ペアを介して基材に固定可能である。
5.12.3 ナノレポーターの伸長
本発明に係る特定の方法では、ナノレポーターは伸長状態である。一般的には、いずれのナノレポーターも、そうであることが当業者により確認されれば、伸長状態である。
特定の実施形態では、ナノレポーターは、ナノレポーターの伸長に好適な条件下でナノレポーターを伸長させうる力の場の中に存在する場合、伸長状態である。そのような力および条件は、当業者には自明であろう。たとえば、多くのナノレポーターは、流体力によりまたは重力により伸長可能であり、多くの荷電ナノレポーターは、電磁力により伸長可能である。特定の実施形態では、力は、ナノレポーターに間接的に加えることが可能である。たとえば、ナノレポーターは、力により移動されうる部分を含みうるか、または共有結合もしくは非共有結合で該部分に結合されうる。特定の実施形態では、ナノレポーターは、部分に結合可能である。
特定の実施形態では、力は電磁力である。たとえば、ナノレポーターがポリヌクレオチドのように荷電されている場合、ナノレポーターは、電場または磁場の中で伸長可能である。場は、当業者の判断に基づいてナノレポーターを伸長させるのに十分な程度に強力であることが望ましい。電場または磁場の中でナノレポーターを伸長させる代表的な技術は、Matsuura et al., 2002, J Biomol Struct Dyn. 20(3):429-36; Ferree & Blanch, 2003, Biophys J. 85(4):2539-46; Stigter & Bustamante, 1998, Biophys J. 1998 75(3):1197-210; Matsuura et al., 2001, Nucleic Acids Res. 29(16); Ferree & Blanch, 2004, Biophys J. 87(1):468-75(それらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。
特定の実施形態では、力は流体力である。たとえば、ポリサッカリド、ポリペプチド、およびポリヌクレオチドを含む多くのナノレポーターは、移動流体場の中で伸長可能である。流体力は、当業者の判断に基づいてナノレポーターを伸長させるのに十分な程度に強力であることが望ましい。流体力場の中でナノレポーターを伸長させる代表的な技術は、Bensimon et al., 1994, Science 265:2096-2098; Henegariu et al., 2001, BioTechniques 31:246-250; Kraus et al., 1997, Human Genetics 99:374-380; Michalet et al., 1997, Science 277:1518-1523; Yokota et al., 1997, Nucleic Acids Res. 25(5):1064-70; Otobe et al., 2001, Nucleic Acids Research 29:109; Zimmerman & Cox, 1994, Nucleic Acids Res. 22(3):492-7, and U.S. Patent Nos. 6,548,255; 6,344,319; 6,303,296; 6,265,153; 6,225,055; 6,054,327; and 5,840,862(それらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。
特定の実施形態では、力は重力である。有利な実施形態では、重力をたとえば流体力と組み合わせてナノレポーターを伸長させることが可能である。特定の実施形態では、力は、当業者の判断に基づいてナノレポーターを伸長させるのに十分な程度に強力であることが望ましい。重力を用いてナノレポーターを伸長させる代表的な技術は、Michalet et al., 1997, Science 277:1518-1523; Yokota et al., 1997, Nucleic Acids Res. 25(5):1064-70; Kraus et al., 1997, Human Genetics 99:374-380(それらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。
特定の実施形態では、力は移動メニスカスを介して加えられる。種々の力、たとえば、流体力、界面張力、および当業者であればわかる任意の他の力を移動メニスカスによりナノレポーターに加えうることは当業者であればわかるであろう。メニスカスは、蒸発および重力をはじめとする当業者に自明な任意の技術により移動可能である。移動メニスカスを用いてナノレポーターを伸長させる代表的な技術は、たとえば、U.S. Patent Nos. 6,548,255; 6,344,319; 6,303,296; 6,265,153; 6,225,055; 6,054,327; and 5,840,862(それらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。
特定の実施形態では、ナノレポーターは、光学的トラップまたは光ピンセットにより伸長可能である。たとえば、ナノレポーターは、光力の適切な供給源によりトラップもしくは移動されうる粒子を含みうるか、または共有結合もしくは非共有結合で該粒子に結合されうる。光学的トラップまたは光ピンセットを用いて粒子を移動させる有用な技術は、Ashkin et al., 1986, Optics Letters 11:288-290; Ashkin et al., 1987, Science 235:1517-1520; Ashkin et al., Nature 330:769-771; Perkins et al., 1994, Science 264:822-826; Simmons et al., 1996, Biophysical Journal 70:1813-1822; Block et al., 1990, Nature 348:348-352; and Grier, 2003, Nature 424:810-816(それらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。
特定の実施形態では、ナノレポーターは、当業者に自明な以上の力の組合せにより伸長可能である。以下の例では、ナノレポーターは、電場と流体力との組合せにより伸長される。
ナノレポーターは、ナノレポーターの伸長の標準的基準に従って伸長されたことが当業者により確認された場合、伸長状態である。当業者であればわかることであるが、特定の実施形態では、ナノレポーターは、その三次構造上の特徴のほとんどが失われた場合、伸長されている。当業者であればわかることであるが、特定の実施形態では、ナノレポーターは、その二次構造上の特徴のほとんどが失われた場合、伸長されている。特定の実施形態では、ナノレポーターは、標準的技術に従って画像化されたときにその一次構造上の特徴が配列中に検出可能な場合、伸長されている。代表的な画像化技術は、以下の例に記載されている。
特定の実施形態では、ナノレポーターの伸長状態は、その流体力学的半径を希薄溶液中における遊離状態でのその平均流体力学的半径と比較することにより確認可能である。たとえば、特定の実施形態では、ナノレポーターまたはその一部分は、その流体力学的半径が希薄溶液中におけるその平均流体力学的半径の約2倍超である場合、伸長されている。より定量的には、Rは、ナノレポーターまたはその一部分の平均流体力学的半径を表し、<R>は、希薄溶液中におけるナノレポーターまたはその一部分の流体力学的半径を表す。平均<R>は、希薄溶液中における非結合状態でのナノレポーターまたはその一部分のRが時間の95%で2<R>未満であるように計算されるはずである。特定の実施形態では、ナノレポーターまたはその一部分は、Rが1.5<R>超、1.6<R>超、1.7<R>超、1.8<R>超、1.9<R>超、2.0<R>超、2.1<R>超、2.2<R>超、2.3<R>超、2.4<R>超、2.5<R>超、または3.0<R>超である場合、伸長状態である。特定の実施形態では、ナノレポーターまたはその一部分は、Rが2.0<R>超である場合、伸長状態である。
5.12.4 ナノレポーターの配向
本発明に係る特定の方法では、ナノレポーターは配向状態である。一般的には、いずれのナノレポーターも、そうであることが当業者により確認されれば、配向状態である。
特定の実施形態では、ナノレポーターは、ナノレポーターの配向に好適な条件下でナノレポーターを配向させうる力の場の中に存在する場合、配向状態である。そのような力および条件は、当業者には自明であろう。
特定の実施形態において、力は電磁力である。たとえば、ナノレポーターがポリヌクレオチドのように荷電されている場合、ナノレポーターは、電場または磁場の中で配向可能である。場は、当業者の判断に基づいてナノレポーターを配向させるのに十分な程度に強力であることが望ましい。電場または磁場の中でナノレポーターを配向させる代表的な技術は、以上に記載されている。
特定の実施形態では、力は流体力である。たとえば、ポリサッカリド、ポリペプチド、およびポリヌクレオチドを含む多くのナノレポーターは、移動流体場の中で配向可能である。流体力は、当業者の判断に基づいてナノレポーターを配向させるのに十分な程度に強力であることが望ましい。流体力場の中でナノレポーターを配向させる代表的な技術は、以上に記載されている。
特定の実施形態では、力は重力である。有利な実施形態では、重力をたとえば流体力と組み合わせてナノレポーターを配向させることが可能である。特定の実施形態では、力は、当業者の判断に基づいてナノレポーターを配向させるのに十分な程度に強力であることが望ましい。重力を用いてナノレポーターを配向させる代表的な技術は、以上に記載されている。
特定の実施形態では、ナノレポーターは、当業者に自明な以上の力の組合せにより配向可能である。以下の例では、ナノレポーターは、電場と流体力との組合せにより配向される。
ナノレポーターは、ナノレポーターの配向の標準的基準に従って配向されたことが当業者により確認された場合、配向されている。当業者であればわかることであるが、特定の実施形態では、ナノレポーターは、ナノレポーターを配向させうる力の場と平行に配置された場合、配向されている。当業者であればわかることであるが、特定の実施形態では、ナノレポーターは、複数のナノレポーターのうちの1つが平行に配置された場合、配向されている。当業者であればわかることであるが、たとえば、複数のナノレポーターは、ナノレポーターの第1の末端から第2の末端へのベクトルがその複数の中の他のナノレポーターの対応する末端間のベクトルと平行である場合、配向されているといえる。
5.12.5 ナノレポーターの第2の部分の選択的固定
以上で述べたように、本発明に係る方法では、ナノレポーターの第2の部分は選択的に固定される。ナノレポーターの第2の部分は、ナノレポーターの第1の部分と同一でないナノレポーターの任意の部分でありうる。いくつかの実施形態では、ナノレポーターの第2の部分は、ナノレポーターの第1の部分のいかなる一部分ともオーバーラップしない。
特定の実施形態では、本発明は、ナノレポーターが伸長状態または配向状態にあるときにかつナノレポーターの第1の部分が固定されているときに、ナノレポーターの第2の部分を選択的に固定する一工程を含む方法を提供する。ナノレポーターの第1の部分の固定およびナノレポーターの伸長または配向を行う代表的な方法は、以上の節に詳細に記載されている。
特定の実施形態では、本発明は、ナノレポーターの第1の部分が固定されているときにナノレポーターを伸長させる工程と、ナノレポーターが伸長状態であるときにナノレポーターの第2の部分を選択的に固定する工程と、を含む方法を提供する。ナノレポーターの第1の部分の固定およびナノレポーターの伸長を行う代表的な方法は、以上の節に詳細に記載されている。
特定の実施形態では、本発明は、ナノレポーターの第1の部分を固定する工程と、第1の部分が固定されているときにナノレポーターを伸長させる工程と、ナノレポーターが伸長状態であるときにナノレポーターの第2の部分を選択的に固定する工程と、を含む方法を提供する。ナノレポーターの第1の部分の固定およびナノレポーターの伸長を行う代表的な方法は、以上に詳細に記載されている。
特定の実施形態では、本発明は、ナノレポーターの第1の部分が固定されているときにナノレポーターを配向させる工程と、ナノレポーターが配向状態であるときにナノレポーターの第2の部分を選択的に固定する工程と、を含む方法を提供する。ナノレポーターの第1の部分の固定およびナノレポーターの配向を行う代表的な方法は、以上の節に詳細に記載されている。
特定の実施形態では、本発明は、ナノレポーターの第1の部分を固定する工程と、第1の部分が固定されているときにナノレポーターを配向させる工程と、ナノレポーターが配向状態であるときにナノレポーターの第2の部分を選択的に固定する工程と、を含む方法を提供する。ナノレポーターの第1の部分の固定およびナノレポーターの配向を行う代表的な方法は、以上に詳細に記載されている。
ナノレポーターの第2の部分の選択的固定は、ナノレポーターを選択的に固定するための当業者に自明な任意の技術に従いうる。注目すべき点として、本発明に係る有利な実施形態では、ナノレポーターの第2の部分は、非選択的に固定されない。選択的固定では、完全に伸長した状態またはほぼ完全に伸長した状態であるときにナノレポーターを固定することが可能である。また、選択的固定では、ナノレポーターを配向させて固定することが可能である。言い換えれば、ナノレポーターの伸長に用いられる1つもしくは複数の場の方向に沿って場の中で第1の部分が第2の部分に先行するように、ナノレポーターの第1の部分および第2の部分を固定することが可能である。複数のナノレポーターを固定する場合、場に沿って均一に配向させることが可能である。
ナノレポーターの第2の部分は、ナノレポーター中の任意の位置に存在しうる。特定の実施形態では、第2の部分はナノレポーターの末端に存在する。特定の実施形態では、第2の部分はナノレポーターの末端に存在しない。特定の実施形態では、以上の節に記載の第1の部分は、ナノレポーターの一方の末端に存在し、第2の部分は、ナノレポーターの他方の末端に存在する。
以上で述べたように、ナノレポーターの第2の部分は、選択的に固定される。固定は、当業者に自明な基材との任意の選択的相互作用によるものでありうる。固定は、静電的相互作用もしくはイオン性相互作用を介するか、1つ以上の共有結合を介するか、1つ以上の非共有結合を介するか、またはそれらの組合せを介するものでありうる。特定の実施形態では、固定は、電極との静電的相互作用を介するものでありうる。さらなる実施形態では、固定は、電極以外の基材との静電的相互作用を介するものである。
ナノレポーターの第1の部分および第2の部分を同一の基材に選択的に固定する場合、選択的固定の技術は、もちろん、基材に適合するものでなければならない。特定の実施形態では、固定の技術は同一である。たとえば、アビジンで被覆された基材上で、ビオチン−アビジン相互作用を介してナノレポーターの第1および第2の部分の両方を選択的に固定することが可能である。しかしながら、当業者には自明であろうが、同一の基材上に固定する場合、第1および第2の部分の両方に同一の相互作用を使用する必要はない。たとえば、基材は、選択的結合の可能な複数の部分を含みうるか、または第1の部分は、非選択的にもしくは当業者に自明な他の技術で固定されうる。
特定の実施形態では、ナノレポーターの第2の部分は、結合ペアの第1のメンバーを含む。結合ペアの第2のメンバーは、ナノレポーターの第2の部分に共有結合で結合されうるか、または非共有結合で結合されうる。有用な共有結合および非共有結合は、当業者に自明であろう。有用な実施形態では、ナノレポーターの第2の部分が結合される基材は、結合ペアの第2のメンバーを含むであろう。基材は、第2のメンバーに共有結合で結合されうるか、または非共有結合で結合されうる。
特定の実施形態では、ナノレポーターの第2の部分は、基材上の結合ペアのメンバーと結合して1つ以上の非共有結合を形成しうる結合ペアのメンバーを含みうる。代表的な有用な基材としては、リガンド、抗原、炭水化物、核酸、レセプター、レクチン、および抗体、たとえば、以上の節に記載のものよりなる群から選択される結合部分を含むものが挙げられる。
有利な実施形態では、ナノレポーターの第2の部分は、アビジン−ビオチン結合ペアを介して基材に固定可能である。特定の実施形態では、ナノレポーターは、その第1の部分にビオチン部分を含みうる。たとえば、ポリヌクレオチドナノレポーターは、ビオチン化ヌクレオチド残基を含みうる。同様に、ポリペプチドナノレポーターは、ビオチン化アミノ酸残基を含みうる。アビジンを含む有用な基材は、以上の節に記載されている。
さらなる実施形態では、ナノレポーターの第2の部分はアビジンを含みうる。そして基材はビオチンを含みうる。ビオチンを含む有用な基材は、以上の節に記載されている。
さらなる実施形態では、ナノレポーターの第2の部分は、基材上の結合ペアのメンバーと反応して1つ以上の共有結合を形成しうる結合ペアのメンバーを含みうる。反応基を含む代表的な有用な基材は、以上の節に記載されている。
特定の実施形態では、ナノレポーターの第2の部分は、光活性化により基材に結合されうる反応部分を含みうる。基材は光反応部分を含みうるか、またはナノレポーターの第2の部分は光反応部分を含みうる。光反応部分のいくつかの例としては、アリールアジド、たとえば、N−((2−ピリジルジチオ)エチル)−4−アジドサリチルアミド;フッ素化アリールアジド、たとえば、4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸;ベンゾフェノン系試薬、たとえば、4−ベンゾイル安息香酸のスクシンイミジルエステル;および5−ブロモ−デオキシウリジンが挙げられる。
さらなる実施形態では、ナノレポーターの第2の部分は、以上の節に記載の他の結合ペアを介して基材に固定可能である。
さらなる実施形態では、ナノレポーターの第2の部分は、1つ以上の他の分子との複合体を形成可能であり、さらに、該分子は、基材の結合部分を共有結合または非共有結合で結合可能である。たとえば、ナノレポーターの第2の部分は、基材のアビジン部分などに選択的に結合しうるビオチン部分などを含む他の分子に選択的に結合しる能力を有しうる。図12Bは、F3を含む第2の分子に選択的に結合しうるナノレポーターを示している。さらに、F3は基材上の部分に選択的に結合しうる。ナノレポーターの第2の部分とF3を含む分子との相互作用は、たとえば、抗原−抗体相互作用により媒介されるものでありうる。
図14Aおよび14Bは、本発明に係る方法に基づくナノレポーターの選択的固定を示している。図14Aでは、ナノレポーターの第1の部分は、示される基材S上の部分に選択的に結合しうる結合部分F1を含む。結合部分F1は、たとえば、ビオチンでありうる。そして基材Sは、たとえば、アビジンで被覆されうる。図14Aのナノレポーターは、以上の節に記載の力により伸長される。図14Bでは、力は電位である。伸長時、ナノレポーターは、示される基材S上の部分に選択的に結合しうる結合部分F2を含む分子に接触される。結合部分F2は、たとえば、ビオチンでありうる。そして基材Sは、たとえば、アビジンで被覆されうる。注目すべき点として、F2を含む3個までの分子は、ナノレポーターの第2の部分に選択的に結合してそれをその伸長状態で選択的に固定しうる。示されるように、分子は、ナノレポーターの反復結合部分に選択的に結合する第2の結合部分を含む。結合部分は、たとえば、図14Bに示されるように相補的核酸配列でありうる。得られるナノレポーターは、伸長状態で選択的に固定され、力が除去されたときでさえも伸長状態を保持するはずである。選択的に固定された伸長型ナノレポーターは、当業者に自明な任意の目的に使用可能である。
5.12.6 伸長または配向されたナノレポーターの2つの部分の固定
特定の実施形態では、本発明は、伸長状態または配向状態のナノレポーターの第1の部分および第2の部分を選択的に固定する方法を提供する。注目すべき点として、本発明に係る方法によれば、ナノレポーターは、ナノレポーターを伸長または配向させうる力の適用前に固定する必要はない。
こうした方法では、ナノレポーターは、ナノレポーターを伸長または配向させうる力により伸長もしくは配向またはその両方が行われる。そのような力は、以上の節に詳細に記載されている。特定の実施形態では、力は、ある位置にナノレポーターを保持しながらナノレポーターを伸長または配向させうる力、すなわち、ナノレポーターを実質的に移動させることなく伸長または配向させうる力である。代表的な力としては、振動電磁場および振動流体力場が挙げられる。特定の実施形態では、力は振動電場である。振動電場の中でナノレポーターを伸長または配向させる代表的な技術は、Asbury et al., 2002, Electrophoresis 23(16):2658-66; Kabata et al., 1993, Science 262(5139):1561-3; and Asbury and van den Engh, 1998, Biophys J. 74:1024-30(それらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。
本方法では、ナノレポーターは、伸長時または配向時に第1の部分および第2の部分で固定される。第1の部分および第2の部分は、両方とも非選択的に固定されうるか、両方とも選択的に固定されうるか、または一方は選択的に他方は非選択的に固定されうる。第1の部分および第2の部分を固定する技術は、以上の節に詳細に記載されている。
5.12.7 固定用基材
本発明に係る方法では、固定用基材は、ナノレポーターに選択的に結合しうる当業者に自明な任意の基材でありうる。さらに、特定の態様では、本発明は、伸長状態で選択的に固定されたナノレポーターを含む組成物を提供する。組成物は、本明細書に記載されるように伸長状態でナノレポーターを固定してなる基材を含む。ナノレポーターは、もちろん、本発明に係る方法に従って固定可能である。
基材に課される唯一の要件は、以上に記載のナノレポーターの第2の部分に選択的に結合しうることである。したがって、基材は、フィルターもしくは膜、たとえば、ニトロセルロースもしくはナイロン、ガラス、ポリマー、たとえば、ポリアクリルアミド、ゲル、たとえば、アガロース、デキストラン、セルロース、ポリスチレン、ラテックス、またはキャプチャー化合物を固定しうる当業者に公知の任意の他の物質でありうる。基材は、多孔性材料、たとえば、アクリル、スチレンメチルメタクリレートコポリマー、およびエチレン/アクリル酸で構成されうる。
基材は、任意の形態をとりうるが、ただし、その形態は、ナノレポーターの第2の部分の選択的固定を妨害しないものでなければならない。たとえば、基材は、ディスク、スラブ、ストリップ、ビーズ、サブミクロン粒子、被覆磁気ビーズ、ゲルパッド、マイクロタイターウェル、スライド、膜、フリットの形態、または当業者に公知の他の形態を有しうる。基材は、場合により、基材上におけるまたはそれを貫通する液体の流動に役立つハウジング、たとえば、クロマトグラフィーカラム、スピンカラム、シリンジバレル、ピペット、ピペットチップ、96もしくは384ウェルプレート、またはミクロチャネル、キャピラリーなどの中に配設される。
ナノレポーターは、単一の基材上または複数の基材上に固定可能である。たとえば、当業者であればわかることであるが、特定の実施形態では、ナノレポーターの第1および第2の部分は同一の基材上に固定される。特定の実施形態では、ナノレポーターの第1の部分は、第1の基材上に固定可能であり、一方、ナノレポーターの第2の部分は、第1のものとは異なる第2の基材上に固定可能である。
基材は、当業者に自明な任意の方法に従って作製可能である。十分な密度の反応基で本発明に係る代表的な基材を活性化するのに使用しうる膨大な数の技術のレビューに関しては、the Wiley Encyclopedia of Packaging Technology, 2d Ed., Brody & Marsh, Ed., ”Surface Treatment,” pp. 867 874, John Wiley & Sons (1997)およびそこに引用されている参考文献を参照されたい。酸化ケイ素基材上にアミノ基を生成するのに好適な化学的方法は、Atkinson & Smith, ”Solid Phase Synthesis of Oligodeoxyribonucleotides by the Phosphite Triester Method,” In: Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, M J Gait, Ed., 1984, IRL Press, Oxford, particularly at pp. 45 49(およびそこに引用されている参考文献)に記載されており;酸化ケイ素基材上にヒドロキシル基を生成するのに好適な化学的方法は、Pease et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:5022 5026(およびそこに引用されている参考文献)に記載されており;ポリマー、たとえば、ポリスチレン、ポリアミド、およびグラフト型ポリスチレン上に官能基を生成する化学的方法は、Lloyd Williams et al., 1997, Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins, Chapter 2, CRC Press, Boca Raton, FL(およびそこに引用されている参考文献)に記載されている。
代表的な有用な基材としては、ストレプトアビジン、たとえば、Accelr8 TB0200で被覆された表面が挙げられる。さらなる有用な基材としては、アミンを含むナノレポーターの部分と反応しうるN−ヒドロキシスクシンアミドで被覆された表面が挙げられる。そのような表面の1つは、OptArray−DNA(Accelr8)である。そのほかの有用な表面は、アルデヒドで被覆されたもの(たとえば、Nexterion Slide AL, Schott)およびエポキシで被覆された表面(たとえば、Nexterion Slide E, Schott)である。他の有用な表面は、アビジンまたはストレプトアビジンを含むナノレポーターの部分を選択的に固定するのに有用なビオチン化BSA被覆表面である。
5.12.8 選択的に固定された伸長型もしくは配向型のナノレポーターの使用方法
特定の実施形態では、選択的に固定された引き伸ばされたナノレポーターは、分離および標識の逐次的検出を目的として巨大分子バーコードを生成すべく使用可能である。分子に沿って離間して配置されたこれらの標識は、ナノレポーターが伸長および固定されたときに読取り可能なユニークなコードを提供する。伸長および選択的固定は、巨大分子バーコードの解読を容易にしうる。
選択的に固定された引き伸ばされたナノレポーターはさらに、ナノレポーターの検出または画像化が有用でありうる任意の状況で使用可能である。それは、診断、予後判定、治療、およびスクリーニングの目的に使用可能である。たとえば、それは、疾患細胞タイプがサンプル中に存在するかを調べるためにおよび/または疾患の病期を判定するために、患者から取得されるかまたは患者に由来する生体分子サンプルの分析に適用可能である。それは、サンプル中の細菌またはウイルスのマーカーの存在および/または量をそれぞれ測定することにより、病原体の感染、たとえば、細胞内細菌およびウイルスによる感染を診断するために使用可能である。本発明に係る組成物および方法は、存在量が生物学的状態または疾患症状の指標となる標的分子、たとえば、疾患状態の結果としてアップレギュレートまたはダウンレギュレートされる血液マーカーを定量するために使用可能である。そのほかに、本発明に係る組成物および方法は、患者の治療コースの決定に役立つ予後情報を提供するために使用可能である。
5.12.9 選択的に固定された伸長型または配向型のナノレポーターを含むキット
本発明はさらに、本発明に係る1つ以上の成分を含むキットを提供する。キットは、たとえば、本発明に係る基材と、基材上に選択的に固定された1つ以上の伸長型もしくは配向型またはその両方のナノレポーターと、を含みうる。キットは、以上に記載のものをはじめとする当業者に自明な任意の目的に使用可能である。
特定の実施形態では、本発明はまた、ナノレポーターの伸長および選択的固定に有用なキットを提供する。キットは、固定用基材と、ナノレポーターの伸長または固定を容易にする1つ以上の結合パートナーと、を含みうる。結合パートナーは、特定の実施形態では、適切な力でナノレポーターを伸長させるのに有用な部分を含む。特定の実施形態では、結合パートナーは、表面へのナノレポーターの固定または選択的固定を容易にしうる。さらなる実施形態では、キットは、伸長および固定に供されるナノレポーターを含みうる。さらなる実施形態では、キットは、ナノレポーターを伸長させうるデバイスを含みうる。
5.13 ナノレポーターの検出
ナノレポーターは、所与のナノレポーター上の特定のシグナルを検出しうる当技術分野で利用可能な任意の手段により検出される。ナノレポーターが蛍光標識される場合、適切な励起光源の好適な要件が検討されうる。可能な光源としては、アークランプ、キセノンランプ、レーザー、発光ダイオード、またはいくつかのそれらの組合せが挙げられうるが、これらに限定されるものではない。適切な励起光源は、適切な光学検出システム、たとえば、倒立型蛍光顕微鏡、落射蛍光顕微鏡、または共焦点顕微鏡と組み合わせて使用される。好ましくは、ナノレポーター上の一連のスポットを測定するのに十分な空間解像度で検出を行いうる顕微鏡が使用される。
5.13.1 顕微鏡および対物レンズの選択
顕微鏡の対物レンズに関する主要な要件は、光学解像度を有することであり、この光学解像度は、その開口数(NA)によって決まる。一般的には、NAが大きいほど、光学解像度は良好である。所要のNAは、好ましくは、δ=0.61λ/NA(δ=光学解像度およびλ=波長)の関係式に基づいて少なくとも1.07である。対象レンズにより集光される光量は、NA/Mag(Mag=対象レンズの倍率)により決定される。したがって、できるかぎり多くの光を集光するために、高いNAおよび低い倍率を有する対物レンズを選択すべきである。
5.13.2 CCDカメラの選択および画像キャプチャー技術
CCDカメラを選択する場合、第1の要件は、画像化システムの最終解像度を部分的に決定するピクセルサイズである。最適には、光学解像度は、CCDカメラにより損なわれないようにすべきである。たとえば、光学解像度が210〜300nm(60倍にした後のCCDチップ上の12.6〜18μmに対応する)である場合、解像および光学解像度の保持のために、サンプルの各スポットに対して少なくとも2つのピクセルが存在するようにすべきである。すなわち、CCDチップのピクセルサイズは、多くとも6.3〜9μmにすべきである。
第2の要件は、ピクセルサイズ、量子効率、読取りノイズ、およびダークノイズ(ただし、これらに限定されるものではない)をはじめとする多くの因子により決定されうる検出感度である。高感度を達成するために、大きいピクセルサイズ(これは大きい集光面積を与えうる)、高い量子効率、および低いノイズを有する品質のカメラを選択する。これらの基準を満たす代表的なカメラはHamamatsu Inc.製のOrca−Agカメラである。チップサイズは、1344×1024ピクセルであり、60倍の対物レンズを用いた場合、視野は144×110umである。
5.14 コンピューターシステム
本発明は、ナノレポーター画像の収集、ナノレポーターの同定、および/またはナノレポーターコードの解読をコンピューター化するために使用可能なコンピューターシステムを提供する。特定的には、本発明は、プロセッサーと、プロセッサーに結合されかつ1つ以上のプログラムをコード化するメモリーと、を含む種々のコンピューターシステムを提供する。ナノレポーターの画像化に利用される顕微鏡にコンピューターシステムを接続することにより、ナノレポーターの画像化、同定、および解読、ならびにナノレポーター画像および関連情報の記憶を単一の装置で行うことが可能である。メモリーによりコード化された1つ以上のプログラムにより、プロセッサーは本発明に係る方法を実行する。
さらに他の実施形態では、本発明は、プロセッサーとプロセッサーに接続されたメモリーとを有するコンピューターシステム(たとえば、以上に記載の本発明に係るコンピューターシステムの1つ)と組み合わせて使用されるコンピュータープログラム製品を提供する。本発明に係るコンピュータープログラム製品は、コンピュータープログラム機構をコード化してまたは埋め込んで有するコンピューター可読記憶媒体を含む。コンピュータープログラム機構をコンピューターのメモリーにロードして、プロセッサーにより本発明に係る方法の工程を実行することが可能である。
以上の項に記載の方法は、好ましくは、以下のコンピューターシステムを用いてかつ以下の方法に従って実行可能である。本発明に係る方法の実行に好適な代表的なコンピューターシステムは、外部コンポーネントに接続された内部コンポーネントを含む。このコンピューターシステムの内部コンポーネントは、メインメモリーに相互接続されたプロセッサー素子を含む。たとえば、コンピューターシステムは、200MHz以上のクロック速度を有しかつ32MB以上のメインメモリーを備えたIntel Pentium(登録商標)搭載プロセッサーでありうる。
外部コンポーネントとしては、大容量記憶装置が挙げられる。この大容量記憶装置は、典型的にはプロセッサーおよびメモリーと一緒にパッケージ化された1つ以上のハードディスクでありうる。そのようなハードディスクは、典型的には1GB以上の記憶容量である。他の外部コンポーネントとしては、「マウス」または他の図形入力デバイスでありうるポインティングデバイスと一緒になったモニターおよびキーボードでありうるユーザーインターフェースデバイスが挙げられる(図示されていない)。典型的には、コンピューターシステムはまた、他のローカルコンピューターシステム、リモートコンピュータシステムへのイーサーネット接続の一部でありうるネットワーク接続、またはインターネットのような広域通信ネットワークに接続される。このネットワーク接続により、コンピューターシステムは、他のコンピューターシステムとデータおよび処理タスクを共有することが可能である。
このシステムの動作時にメモリーにロードされるのは、当技術分野で標準的なものおよび本発明に特有なものの両方のいくつかのソフトウェアコンポーネントである。これらのソフトウェアコンポーネントは全体として、コンピューターシステムを本発明に係る方法に従って機能させる。ソフトウェアコンポーネントは、典型的には大容量記憶装置に記憶される。第1のソフトウェアコンポーネントは、コンピューターシステムおよびそのネットワーク相互接続の管理の役割を担うオペレーティングシステムである。このオペレーティングシステムは、たとえば、Windows(登録商標)95、Windows(登録商標)2000、もしくはWindows(登録商標)XPのようなMicrosoft Windows(登録商標)ファミリーのオペレーティングシステム、または他の選択肢としてMacintoshオペレーティングシステム、Linuxオペレーティングシステム、もしくはUnix(登録商標)オペレーティングシステムでありうる。第2のソフトウェアコンポーネントとしては、本発明に特有な方法を実行するプログラムを支援するためにシステム中に便宜上存在する共通の言語および機能が挙げられうる。本発明に係る分析方法をプログラムするのに使用可能な言語としては、たとえば、C、C++、JAVA(登録商標)、およびそれほど好ましくないがFORTRAN、PASCAL、およびBASICが挙げられる。本発明に係る他のソフトウェアコンポーネントは、手続き型言語または記号パッケージでプログラムされている本発明に係る分析方法を含む。
代表的な実行形態では、本発明に係る方法を実施するために、ナノレポーターコード(すなわち、ナノレポーター上のスポットの順序および性質とそのようなナノレポーターが結合する標的分子の同一性との相関)が最初にコンピューターシステムにロードされる。次に、使用者は、所与のナノレポーターコードを有するナノレポーターの存在および場合により量を決定する工程を実施する分析ソフトウェアの実行を行う。
本発明に係る分析システムはまた、ソフトウェアコンポーネントがコンピューターシステムのメモリーにロードされるように、1つ以上の以上に記載のソフトウェアコンポーネントを内蔵するコンピュータープログラム製品を含む。特定的には、本発明に係るコンピュータープログラム製品は、1つ以上のコンピュータープログラム機構をコンピューター可読形式でコード化してまたは埋め込んで有するコンピューター可読記憶媒体を含む。コード化されたコンピュータープログラム機構、たとえば、以上に記載の分析ソフトウェアコンポーネントのうちの1つ以上をコンピューターシステムのメモリーにロードして、コンピューターシステムのプロセッサーにより本発明に係る分析方法を実行することが可能である。
コンピュータープログラム機構または機構は、好ましくは、コンピューター可読記憶媒体上に記憶またはコード化される。代表的なコンピューター可読記憶媒体は、以上に論述されており、次のものを包含するが、これらに限定されるものではない:ハードドライブ(これは、たとえば、本発明に係るコンピューターシステムの外部もしくは内部ハードドライブまたはリムーバブルハードドライブでありうる);フロッピー(登録商標)ディスク;CD−ROM;またはテープ、たとえば、DATテープ。本発明に係るコンピュータープログラム機構に使用しうる他のコンピューター可読記憶媒体もまた、当業者に自明であろう。
本発明はまた、本発明に係る方法を実施するのに有用なデータベースを提供する。データベースは、多種多様な標的分子に対する参照ナノレポーターコードを含みうる。好ましくは、そのようなデータベースは、コンピューターシステムにロード可能な電子形式であろう。そのような電子形式としては、本発明に係る方法を実行するために使用されるコンピューターシステムのメインメモリーにロードされたデータベース、またはネットワーク接続により接続された他のコンピューターのメインメモリー中のデータベース、または大容量記憶媒体上に埋め込まれたもしくはコード化されたデータベース、またはCD−ROMやフロッピー(登録商標)ディスクのようなリムーバブル記憶媒体上のデータベースが挙げられる。
本発明に係る方法を実行するための他の選択肢のシステムおよび方法は、特許請求の範囲内に包含されるものとする。特定的には、特許請求の範囲は、本発明に係る方法を実行するための他の選択肢のプログラム構造を包含するものとする。こうしたプログラム構造は、当業者には自明であろう。
5.15 ナノレポーター技術の適用
本発明に係る組成物および方法は、診断、予後判定、治療、およびスクリーニングの目的に使用可能である。本発明は、本発明に係る方法を用いて単一の生体分子サンプルから多くの異なる標的分子を一度に分析できるという利点を提供する。これにより、たとえば、いくつかの診断試験を1つのサンプルで実施することが可能である。
5.15.1 診断方法/予後判定方法
本方法は、疾患細胞タイプがサンプル中に存在するかを調べるためにおよび/または疾患の病期を判定するために、患者から取得されるかまたは患者に由来する生体分子サンプルの分析に適用可能である。
たとえば、本明細書に記載の方法のいずれかに従って血液サンプルをアッセイすることにより、サンプル中の癌細胞タイプのマーカーの存在および/または量を決定して、癌の診断または病期判定を行うことが可能である。
他の選択肢として、本明細書に記載の方法は、サンプル中の細菌またはウイルスのマーカーの存在および/または量をそれぞれ測定することにより、病原体の感染、たとえば、細胞内細菌およびウイルスによる感染を診断するために使用可能である。
したがって、本発明に係る組成物および方法を使用して検出される標的分子は、患者マーカー(たとえば癌マーカー)または外来因子による感染のマーカー、たとえば、細菌マーカーもしくはウイルスマーカーでありうる。
ナノレポーターに定量的性質があるので、本発明に係る組成物および方法は、存在量が生物学的状態または疾患症状の指標となる標的分子、たとえば、疾患状態の結果としてアップレギュレートまたはダウンレギュレートされる血液マーカーを定量するために使用可能である。
そのほかに、本発明に係る組成物および方法は、患者の治療コースの決定に役立つ予後情報を提供するために使用可能である。たとえば、患者に由来する少量サンプルからでも腫瘍の特定のマーカーの量を正確に定量することが可能である。乳癌のような特定の疾患の場合、Her2−neuのような特定の遺伝子の過剰発現は、より積極的な治療コースが必要とされることを示唆する。
5.15.2 病理サンプルの分析
ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドで固定されたパラフィン包埋組織サンプルから抽出されるRNAは、典型的には、質が悪く(断片化)、収量が少ない。このため、組織学的サンプルまたは長期保存病理組織で低発現遺伝子の遺伝子発現解析を行うことはきわめて困難であり、多くの場合、完全に実行不可能である。ナノレポーター技術は、ごく少量の低品質の全RNAの分析を可能にすることにより、この満たされないニーズを満たすことが可能である。
そのような用途でナノレポーター技術を使用するために、RecoverAll Total Nucleic Acid Isolation Kit(Ambion)のような市販品として入手可能なキットを用いて製造業者のプロトコルに従って、ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドで固定されたパラフィン包埋組織サンプル(または類似物)から全RNAを抽出することが可能である。そのようなサンプル中のRNAは、多くの場合、小さい断片(200〜500ヌクレオチドの長さ)に分解され、多くのパラフィン包埋組織学的サンプルでは、数十ナノグラムの全RNAが得られるにすぎない。少量(5〜100ng)のこの断片化全RNAは、本明細書に記載のアッセイ条件に基づいてナノレポーターハイブリダイゼーションにおける標的物質として直接的に使用可能である。以下の第11節の実施例6に記載されるように、約3.3ngの細胞RNAのナノレポーター分析により、約0.5コピー/細胞で存在する転写産物の検出が可能である。
5.15.3 スクリーニング方法
本発明に係る方法を用いて、とくに、種々の標的分子に及ぼす攪乱因子(たとえば、化学化合物、突然変異、温度変化、成長ホルモン、増殖因子、疾患、または培養条件変化)の影響を調べることが可能であり、これにより、存在、不在、またはレベルが特定の生物学的状態の指標となる標的分子を同定することが可能である。好ましい実施形態では、本発明は、疾患状態の要素および経路の解明および探索のために使用される。たとえば、疾患組織中に存在する標的分子の量を「正常」組織のものと比較することにより、疾患に関与する重要な標的分子を解明することが可能であり、それにより、疾患の治療に使用可能な新しい薬剤候補物質の探索/スクリーニングのための標的を同定することが可能である。
5.16 キット
本発明はさらに、本発明に係る1つ以上の成分を含むキットを提供する。キットは、標識済みナノレポーターを含みうるか、またはナノレポーターを標識するための1つ以上の成分と共に非標識化ナノレポーターを含みうる。さらに、キット中に提供されるナノレポーターは、あらかじめ結合された標的特異的配列を有していてもよいし有していなくてもよい。一実施形態では、ナノレポータースカフォールドに結合されていない状態で標的配列がキット中に提供される。
キットは、同様に、他の試薬、たとえば、ハイブリダイゼーション反応を実施するための緩衝液、リンカー、制限エンドヌクレアーゼ、およびDNAリガーゼを含みうる。
キットはまた、キットの要素を使用するためのならびに/または標識化ナノレポーターを作製および/もしくは使用するための使用説明書を含むであろう。
6. 実施例1:ナノレポーターの作製およびプロトコル
ここでは、種々の成分からナノレポーターを構築する方法の工程別の例を示す。
当然のことながら、他の成分と同時に、その前に、またはその後に、種々の成分を構築または添加することが可能である。たとえば、スカフォールドへのパッチユニットまたはフラップのアニーリングは、同時にまたは逐次的に実施可能である。
この実施例では、出発原料は、環状M13mp18ウイルスベクターである。線状一本鎖M13mp18を用いて、パッチユニットをそれにアニールし、二本鎖スカフォールドを形成する。次に、フラップを付加し、その後、標的特異的配列をライゲートする。一方、精製工程は、過剰の未結合のパッチユニットおよびフラップを除去するのに役立つ。ナノレポーターに結合する標識化核酸(パッチおよび/またはフラップおよび/または他の標識化オリゴヌクレオチド)の構築についても記述する。
標的分子への結合(たとえば、ハイブリダイゼーションを介して)の後、ナノレポーターを表面に結合させ、伸長させる。最後に、ナノレポーターをカメラにより画像化する。
ナノレポーターを作製し、実質的にこの実施例に記載の方法を用いて標的分子を検出するために利用し、好結果を得た。そのようなこの方法を用いて標的を検出する例を図4に示す。
6.1 スカフォールドの構築
選択されたオリゴヌクレオチドスカフォールド配列をVector NTI(登録商標)ソフトウェアを用いて分析した。第1に、New England Biolabsから商品として購入した環状M13mp18一本鎖DNAを線状化することにより、一本鎖核酸を作製した。環状M13mp18をBamH1酵素で消化し、それを線状化した。使用した材料は、M13mp18ベクター(250ng/μl)、パッチ_1L_BamH1.02(100μMストック液の10μM希釈液)、10×BamH1緩衝液、BamH1酵素で構成された。全量0.8pmolの線状M13mp18を作製するためのプロトコルは、次の工程を含む。1)加熱ブロックを37℃に予備加熱する;2)0.65mlエッペンドルフチューブ中で、40μlの250ng/μl M13mp18ベクター、2μlの10μM パッチ_1L_BamH1.02、および5μlの10×BamH1緩衝液を混合する;3)上端をフォイルで覆ってエッペンドルフチューブを37℃の加熱ブロック中に配置する。チューブを37℃で15分間インキュベートしてパッチユニットをM13mp18スカフォールドにハイブリダイズさせる;4)15分後、2μlのBamH1酵素を添加し、反応系を37℃で30分間消化させ、その後、追加の2μlのBamH1酵素を添加して反応を継続させ、37℃でさらに30分間消化させる(BamH1酵素の最終量は8%である);および5)10μlのアリコートに分けて0.65mlエッペンドルフチューブ中に導入し、フリーザー内に貯蔵する(線状M13mp18の最終濃度は200ng/μlである)。
6.2 ベースパッチプール(BPP)のパッチユニット調製
第2に、パッチユニットをプールの形態で調製する。M13mp18鎖およびヒトゲノム配列に対して最適な長さおよび所望の相同性/非相同性になるように、パッチオリゴヌクレオチド配列を選択した。パッチは、60または65ヌクレオチド塩基のいずれかの長さの市販のオリゴヌクレオチド(Integrated DNA technologiesから購入)であった。各パッチオリゴヌクレオチドの50ヌクレオチド塩基は、M13mp18一本鎖DNAに相補的であり、10ヌクレオチド塩基は、隣接するパッチに相補的であり、かつ5ヌクレオチド塩基対は、対応するフラップに相補的である。パッチ間の10ヌクレオチド塩基マッチは、ステム構造を形成し、これにより、構造を安定化させるとともに、被覆されたスカフォールドからフラップを持ち上げるのを支援して標識化オリゴヌクレオチドの結合に一層役立つようにする。フラップに結合させるためのパッチ上の5ヌクレオチド塩基の合成結合部位は、モジュールシステムの能力の強化を可能にする。
ベースパッチプールは、9種のパッチユニットを含有し、パッチユニットはすべて、特定の文字のグループとナノレポーター上の位置とに対応する。この実施例では、A、B、C、およびDにグループ分けされた4つの異なる蛍光色素(色)と、標識化核酸が結合しうるナノレポーター上の8つの異なる位置または領域と、が存在する。たとえば、BPP A3は、ナノレポーター上の位置3のAパッチユニットすべて(パッチユニット19〜27)に対応する。
ナノレポーター位置は、以下のとおりである:
位置1:パッチユニット1〜9(AまたはC)
位置2:パッチユニット10〜18(BまたはD)
位置3:パッチユニット19〜27(AまたはC)
位置4:パッチユニット28〜36(BまたはD)
位置5:パッチユニット37〜45(AまたはC)
位置6:パッチユニット46〜54(BまたはD)
位置7:パッチユニット55〜63(AまたはC)
位置8:パッチユニット64〜72(BまたはD)
材料:互いにあらかじめアニールされた右パッチおよび左パッチ(各オリゴヌクレオチドは10μMの濃度である)。100pmolのBPP 1を作製するための材料:(位置1でパッチ座標1LがBamH1消化のために使用されるが、このパッチはBPP 1に含まれない):10μlのそれぞれあらかじめアニールされたパッチユニット(各10μM)(座標2〜9)、5μlの[20μM]パッチ_1R(AまたはC)。各パッチの最終濃度は1.18pmol/μlである。100pmolのBPP 2〜8を作製するための材料:10μlのそれぞれあらかじめアニールされた適切なパッチユニット(各10μM)。それぞれに9種のパッチユニットが添加される。すなわち、全体で90μlである。各パッチの最終濃度は1.11pmol/μlである。
以下に、色素標識化核酸が結合するナノレポーター上の8つの位置または領域と共に、この実施例のために作製されたすべてのパッチユニットプールの表を示す。位置1、3、5、および7は、色素Aまたは色素Cで標識された核酸に結合可能であり、位置2、4、6、および8は、色素Bまたは色素Dで標識された核酸に結合可能である。
Figure 2009521230
Figure 2009521230
6.3 一本鎖オリゴヌクレオチドをパッチユニットとアニールして二本鎖スカフォールドを得るための材料および調製
第3に、二本鎖オリゴヌクレオチドスカフォールドを作製するために、パッチユニットを調製して一本鎖線状M13mp18にアニールし、鎖を被覆する。結合が非常に特異的でありかつパッチがM13mp18鎖上の不適切な座標にアニールしないように、60および65ヌクレオチド塩基のパッチをM13mp18にアニールするための条件は、高い塩濃度になるようにする必要がある。アニーリング工程では、各パッチユニットに全量0.5pmolの一本鎖M13mp18配列を2:1〜4:1の比で添加する。フラップをアニールする前に過剰のパッチを除去する。
使用した材料は、20×SSC、線状M13mp18(0.08pmol/μlまたは200ng/μlでBamH1にて消化された)、適切なベースパッチプール(BPP)(1.11pmol/μlで合計8種が必要である(上記参照))、および45℃に設定されたディジタルヒートブロックで構成された。アニーリング反応構成は次のとおりある。一般的ガイドライン:M13mp18分子に対して2倍の各パッチユニット、後続の精製のために追加されたあらかじめライゲートされたフラップ/パッチ(位置1または8で)、および5×SSC。実施例(F8フックフラップを有する0.5pmolのスカフォールド)の反応は、次のように構成される:7.1μl BamH1で消化したM13mp18鎖(0.071μM)、最初の7つの位置:A1、B2、A3、B4、C5、B6、およびA7に対する0.9μlのそれぞれ新しいベースパッチプール(1.11μM):
1.7μl A1 BPP(アニール済み、12/15;1.18μM/各パッチ)
1.8μl B2 BPP(アニール済み、12/15;1.11μM/各パッチ)
1.8μl A3 BPP(アニール済み、12/15;1.11μM/各パッチ)
1.8μl B4 BPP(アニール済み、12/15;1.11μM/各パッチ)
1.8μl C5 BPP(アニール済み、12/15;1.11μM/各パッチ)
1.8μl B6 BPP(アニール済み、12/15;1.11μM/各パッチ)
1.8μl A7 BPP(アニール済み、12/15;1.11μM/各パッチ)、
2.4μl BPP−D8(位置8の座標64、65、66、67、68、69、および70の最初の7つのパッチユニットのプール、「D」特異性)[ただし、F8に0.83μMの精製用タグ(FHF、これは、パッチ座標71L、71R、72L、72R、73Lにアニールして、ビオチンリンカーとして使用するための「F」特異性を有するフルスプリットフラップ/パッチユニットを位置F8に形成する)を有する]、ならびに7.3μl 20×SSC。最終反応量は、0.027pmol/μlで29.3μlになるであろう。
また、(欠失した)1Lパッチユニットに相補的なM13中の領域にアニールさせてライゲーション時のM13スカフォールドの再環状化を防止するために、抗Bamオリゴヌクレオチドを添加する。
6.4 一本鎖M13MP18へのパッチユニットのアニーリングによる二本鎖スカフォールドの形成
第4の工程は、二本鎖オリゴヌクレオチドスカフォールドを作製するためにパッチユニットを一本鎖線状M13mp18にアニールして鎖を被覆するためのプロトコルを含み、次に工程で実施される:1)加熱ブロックを42℃にあらかじめ加熱し、上端をフォイルで覆った小さいPCR(またはストリップ)チューブ中で以上の反応溶液を45℃に15分間加熱し、ヒートブロックを65℃に変更してさらに1時間45分間インキュベートし、そしてチューブを取り出して氷上に配置するかまたは凍結する。
6.5 ビオチンとストレプトアビジンを有する磁気ビーズとを用いるナノレポータースカフォールドの精製
第5の工程は、フラップの結合前に行われ、ここでは、M13mp18鎖にアニールされなかった過剰のパッチユニットを二本鎖オリゴヌクレオチドスカフォールドから分離する。スカフォールドを「フック」で固定するために、パッチユニットの相補的5ヌクレオチド塩基オーバーハングに対する5ヌクレオチド塩基相同領域を有する精製用タグをアニールする。ビオチン化オリゴヌクレオチドを「精製用タグ」にアニールし、ビオチン化オリゴヌクレオチドを用いたスカフォールドをキャプチャーするためにストレプトアビジンを有する磁気ビーズを使用する。過剰のパッチユニットを上清と共に除去する。回収のためにスカフォールドを溶融して磁気ビーズから溶液内に遊離させる。
6.6 精製用タグへのD−ビオチンキャッチャーのアニーリング
D−ビオチンキャッチャーをナノレポーター上の精製用タグにアニールする(溶液中の利用可能なD8−フラップ位置の量に対して2倍(これはM13に対して2倍)または4倍の最終量にする):0.5pmol×25フックオリゴヌクレオチド位置(5×5)、4倍では50pmolが0.50μlの100pmol/μl D−ビオチンを意味する、0.5μlの(D、E、F)−ビオチン(100μM)をサンプルに添加し、混合し、そして室温で30分間インキュベートする。
6.7 二本鎖スカフォールドから未結合パッチユニットを洗浄除去するための精製プロトコル
5×SSC中、室温で、25倍過剰のF−フックオリゴヌクレオチドをナノレポーターに30分間アニールする。200μlのDynaBead MyOne StreptavidinTMビーズ溶液を1.5mlチューブ中にピペットで添加し、マグネット上に配置し、そして上清を除去する。以上の工程のときと同様に再懸濁およびマグネットによる清澄化を行うことにより、5×SSCを用いて2回洗浄する。5×SSC中の80μlのサンプル(この実施例では80fモルのサンプル)を添加する。ボルテックス上に15分間配置することにより、十分に再懸濁させる。マグネットを用いて溶液を清澄化し、後続のゲル分析のために上清を新しいチューブに移す。マグネット上にある状態で、最初に添加したのと同一の80μlの量でペレット上にピペットで3回添加することにより、80μlのTEでペレットを洗浄する(再懸濁させない)。洗液を除去し、分析のために新しい「洗浄」チューブ中に配置する。TE緩衝液を45℃に昇温し、80μlを各ペレットに添加し、そして再懸濁させる。45℃のヒートブロック上にチューブを15分間配置し、ビーズが懸濁状態を保持していることを保証するためにピペッティングで一度上下に操作する。ただちに、マグネットを用いて温かいうちに生成物を清澄化し、貯蔵する。精製ナノレポーターの大部分は、45℃で溶出されたこの生成物中に存在するはずである。
6.8 スカフォールドへのフラップのアニーリングおよびライゲーション
第6の工程は、「被覆されたスカフォールド」を作製するためにスカフォールドにアニールされるスプリットフラップオリゴヌクレオチドを含む。過剰のスプリットフラップを除去するために、後続的に磁気ビーズによる精製を行う。構造の安定性を増大させるために、T4リガーゼを用いて、被覆されたスカフォールドのライゲーションを行う。1つの蛍光色素あたりただ1つのタイプのフラップが必要とされる。フラップは、95もしくは100塩基のいずれかの長さであり、パッチに対して、標識化オリゴヌクレオチドに対して、および互いに、相補的な領域を有する。各フラップは、標識化オリゴヌクレオチドに結合させるための15塩基の反復配列を有する。反復配列は、いかなるパリンドロームおよびヘアピン構造体をも除去すべく分析されたλ配列に基づく。
フラップをアニールするための条件は、次のとおりである。パッチに対応するフラップ上の配列は、5ヌクレオチド塩基対の長さであり、したがって、フラップは、高い塩濃度でさえもパッチに特異的にアニールする。フラップ対パッチの比は2:1である。高温における安定性を増大させるために、パッチの相互のライゲーションおよびパッチへのフラップのライゲーションを同一の反応で行うことが可能である。
1)スペクトロメーターを用いてA260nmで精製スカフォールドを定量する。適正量のナノレポーターを調製するのに必要な量を計算する。この実施例では、110ngまたは0.023pmolを使用した。A260nmの読取り値は7.7ng/μlを示す。すなわち、110ngの場合、14.3μlである。2)次のようにライゲーション反応を構成する(量は、精製およびスケールに依存して異なるであろう)。一般的には、パッチに対して1.5倍のフラップを使用し、それに従って計算する。この実施例では、A、B、C、およびDにグループ分けされた4つの異なる蛍光色素(色)と、色素標識化核酸が結合しうるナノレポーター上の8つの異なる位置または領域と、が存在する。各色に対する位置の数(この場合は1〜4)×9×1.5モル(スカフォールド)=使用するフラップのモル数。
配列/位置[ABABCBAD]の蛍光色素を有するナノレポーターの場合:
ABABCBAD=
A:40.5×0.023=0.93pmol;量:1μMで0.93μlのSF(スプリットフラップ)−AL、1μMで0.93μlのSF−AR
B:40.5×0.023=0.93pmol;量:1μMで0.93μlのSF−BL、1μMで0.93μlのSF−BR
C:13.5×0.023=0.31pmol;量:1μMで0.31μlのSF−CL、1μMで0.31μlのSF−CR
D:13.5×0.023=0.31pmol;量:1μMで0.31μlのSF−DL、1μMで0.31μlのSF−DR
ライゲーション反応(全量25μl)は次のもので構成される:スプリットフラップ(以上参照;全量4.96μlまたは約5μl)、0.0016pmol/μlで14.3μlのMODB−スカフォールド、2.5μl 10×T4ライゲーション緩衝液、2.2μl NanoPure H2O、および1μl T4リガーゼ。チューブを45℃で5分間インキュベートする。37℃水浴に移して5分間インキュベートする。1μl T4リガーゼをサンプルに添加する。37℃でさらに1時間インキュベートする。ただちに凍結するかまたは75℃で5分間加熱してT4リガーゼを失活させる。
6.9 ナノレポーターへの標的特異的配列のライゲーション
第7の工程は、ナノレポーターへの標的特異的配列のライゲーションを含む。DNA標的特異的配列は、RNA(たとえばmRNA)またはDNA(たとえばcDNAもしくはゲノムDNA)でありうる標的分子に相補的になるようにデザインされる。標的特異的配列は、35〜60もしくは70ヌクレオチド塩基の長さでありうる。被覆されたスカフォールド上の一本鎖オーバーハング領域を用いて標的特異的配列をスカフォールドにライゲートすることが可能である。単一タイプの標的特異的配列を有するスカフォールドを個別に作製し、次に、混合してライブラリーを形成することが可能である。
6.10 ナノレポーターの構築
ナノレポーターへのオリゴヌクレオチドの付加は、ナノレポーター構築時の任意の時点で実施可能である。本発明の特定の態様では、標識化オリゴヌクレオチドは、15ヌクレオチド塩基の長さである。5’末端に単一の蛍光色素が結合される。特定の蛍光色素を有するオリゴヌクレオチドは、一般的には、同一の配列を有するであろう。これらの標識化オリゴヌクレオチドは、スプリットフラップの反復配列に結合する。この実施例に最適な蛍光物質としては、Alexa 488、cy3、Alexa 594、およびAlexa 647が挙げられるが、これらに限定されるものではない。15ヌクレオチド塩基の長さがあれば、互いに消光できないようにかつ可視化プロセスの条件で標識化核酸が安定であること(溶融して相補鎖から遊離されないこと)が保証されるように、蛍光物質は十分に離間して保持される。標識化オリゴヌクレオチドは、40℃で安定である。この短い長さはまた、フラップ上への多数の蛍光色素の充填を可能にする。本発明の特定の態様では、標識化オリゴヌクレオチドは、標的サンプルの処理時に導入される。
6.11 標的分子へのナノレポーターの結合
当業者に公知の任意の手段を用いて、ナノレポーターを標的分子に結合させることが可能である。代表的な実施形態では、それぞれ250pmolの第1のプローブおよび第2プローブの両方を125pmolの標的と混合することにより、デュアルナノレポーターを標的分子にハイブリダイズさせる。4μlおよび最終濃度の5×SSC緩衝液になるように全量を調整する。カバーをかけたPCRチューブ中、42度で、この混合物を一晩インキュベートすることにより、ハイブリダイゼーションを行う。
6.12 表面結合
標的分子と、対応する標識化核酸、すなわち、標識モノマーに結合された核酸との両方にナノレポーターを結合させた後、標識モノマーにより放出されたシグナルの順序の解像ひいては標的分子の同定を行うために、それらを表面に結合させて伸長させる。この実施例では、特定の標的分子に対応する蛍光色素コードを空間的に解像するために、ナノレポーターを伸長させる。一端を表面(この実施例では、カバースリップ、以下の調製を参照されたい)に結合させることにより、ナノレポーターを伸長させる。2つの表面結合方法を使用しうる:A)Accelr8 Corporation製のストレプトアビジン被覆スライドとビオチン化されたナノレポーターおよびB)ビオチン被覆スライドとストレプトアビジンを有するナノレポーター。緩衝液中でナノレポーターを活性表面に接触させ、ある時間にわたりインキュベートする。チャネルを形成するようにエッチングされたシリコンウェーハ中に成形されたPDMS製のフローセル中で、反応を行う。緩衝液およびサンプルを挿入するために、チャネルの端でコアウェルへの金属チューブを使用する。チャネルの寸法は、幅0.5mmもしくは1mmおよび高さ54μmである。サンプルをフローセルレーンに充填してインキュベートした後、ナノレポーターは結合されているはずである。電圧を印加することによりまたは後退メニスカスで液体を除去することによりナノレポーターを伸長させ、鎖を伸長状態に保持して乾燥させることが可能である。
6.13 表面の調製およびデバイスの集成
結合表面(Accelr8ブランドのStreptavidin−OptiChem、被覆カバースリップ)は、スライド容器1つあたり5つの表面が含まれるユニットとして輸送され、各容器は、フォイルパウチ内でシリカ乾燥剤のパッケージに包囲されている。使用時までパウチを−20℃で貯蔵する。
結合用の表面を調製するために、最初に、パウチをフリーザーから取り出し、数分間かけて室温に戻す。まだ開封されていない場合、次に、一方の縁に沿ってパウチをスライスしてスリットを形成し、表面の容器を取り出す。所要の表面を取り出した後、容器をその乾燥剤と共にパウチ内に戻し、一片の梱包用テープを用いてスリットを密封状態にシールし、パウチをフリーザー内に戻す。
次に、Nanopure水(Barnstead Nanopure Diamond)の流水で表面を軽く濯ぎ、清浄なスロット付きCoplinジャー内の0.2μm濾過済み1×PBS中に10分間浸漬する。浸漬後、表面をNanopure水中に浸漬し、表面の縁を横切って濾過済み窒素を吹き付けることにより乾燥させる。
使用の直前に、PDMS表面にセロファンテープを適用し、次に、貯蔵時に付着された可能性のある塵埃または他の粒子を剥離除去することにより、表面に嵌合させかつサンプルの位置特定を行うために使用されるPDMSデバイスを清浄化する。Accelr8表面の結合面を上向きにして置き、表面上の中央にチャネル面を下向きにして清浄なPDMS構造体を置く。PDMSは、被覆ガラスに容易に接着し、それ以上の結合機構を必要としない。
6.14 サンプルの結合および洗浄
最初に、選択されたレーンの1つのウェル中に5μLのサンプル液滴(一般的には、pH9.8の100mMホウ酸ナトリウム緩衝液中に希釈される)を適用することにより、サンプルを表面に結合させる。液滴は、チャネルがウェルに連結する点にちょうど接触する状態が望ましい(この時点で、いくらかのサンプルがチャネル中に滲み込む可能性がある)。チャネルを通って対向するウェルに達するように非常に弱い真空(<2kPa)を用いてドロップレットを吸引することにより、チャネルを満たし、チャネル全体にわたり結合を均等化させる。他のサンプルについてそれらのそれぞれのレーン中でこのプロセスを反復する。次に、過剰の液をウェルから除去し、ウェルをテープで留めて蒸発を低減させ、そして暗所中、室温でデバイスを20分間インキュベートする。
結合後、テープを除去し、以上に記載のホウ酸緩衝液100μLで各レーンの上端ウェルを満たす。チャネルを通って他のウェルに達するように真空を用いて約20μLのその緩衝液を吸引し、このプロセスを1回反復する。次に、すべてのホウ酸緩衝液をすべてのウェルから除去し、上端ウェルをpH8.3の1×TAEで満たす。チャネルを通るように約50μLのTAEを吸引し、次に、すべてのTAEを除去し、そしてウェルを再び満たす。全量約150μLのTAEリンスで、このプロセスを3回反復する。最後に、すべてのウェルを100μLの1×TAEで満たす。
6.15 電気伸長
カバースリップ/PDMSデバイスの下端に液浸油をスポットし、顕微鏡上に配置する。第1のPDMSチャネルの両端のウェルに電極を挿入する(負極を上端ウェルに、正極を下端ウェルに)。チャネルの第1の画像は、下端ウェルの近傍で取得されるであろう。その際、対象の領域の焦点が合うように、顕微鏡ステージを調整する。
次に、チャネルを横切って電圧(200V)を印加する。DC電源(Agilent E3630A)により電圧を供給し、自家製の増幅器を介して100倍に増幅する。電流を印加した後、焦点を再調整し、画像化プロセスを開始する。
次に、残りのチャネルで電気伸長および画像化プロセスを反復する。結合を画像化する。
6.16 ナノレポーター上の蛍光色素に対する光源
アークランプを光源として使用する場合、最良の蛍光物質の選択は、蛍光の重なりを生じない最高輝度のタイプ、たとえば、Alexa 488、Cy3、およびAlexa 594である。Alexa 647やCy5.5のようなより弱い蛍光色素を使用することも可能である。
6.17 ナノレポーター上の蛍光色素を画像化するためのフィルター
選択される蛍光物質Alexa 488、Cy3、Alexa 594、およびAlexa 647では、Cy3とAlexa 594との間に重なりが存在しうる。しかしながら、572〜600nmの帯域幅を有する発光フィルターを特注すれば、重なりは最小限に抑えられる。
6.18 ナノレポーターを画像化するための顕微鏡および対物レンズ
使用した顕微鏡モデルは、複数の蛍光色素候補物質からの蛍光発光の選択を可能にする6つのフィルターカセットを有する倒立型蛍光画像化ステーションを用いたNikon Incorporation製のNikon Eclipse TE2000Eであった。選択された色素では、所要の光学解像度は、すべての波長(500〜700nm)に対して約400nmである。選択された対物レンズは、1.45のNAおよび60倍の倍率を有するNikon Plan Apo TIRFレンズである。光学解像度は、さまざまな波長に対して約210〜300nmである。
7. 実施例2:パッチ/フラップナノレポーター作製プロトコル
この実施例では、一本鎖線状M13mp18ウイルスDNAとオリゴヌクレオチドパッチユニットと長いフラップとよりなるナノレポーターを作製する他の方法を示す。
実質的にこの実施例に記載の方法を用いて、ナノレポーター標識ユニットを作製し、好結果を得た。
リン酸化済みのパッチユニットおよびフラップをM13mp18 DNAベクターと共に添加し、ライゲートして一体化させる。M13mp18 DNAにライゲートされたパッチユニットにフラップをライゲートした後、ベクターを線状化するためにBamH1酵素を導入する。
スカフォールドとしての5μgのM13mp18から開始して、ナノレポーターのバッチを調製する。所望の量に応じてハイブリダイゼーションをスケールアップすることが可能である。このプロセスは、完了までに約1〜2日間を要するであろう。
Figure 2009521230
プロトコルを開始する前に水浴を37℃および55℃に予備加熱する。使用前、緩衝液がすべて良好に混合され解凍されていることを確認する。ワークプレートを入手してラベルを貼っておくことが望ましく、IDT製の注文品オリゴは、プレート#529916および#610591に入っている。これらの2つのプレートを取り出して室温で0.5〜1時間解凍し、ウェルを覆っているテープを除去する前に内容物を遠心沈降させる。これらのプレートの特定のオリゴヌクレオチドを用いて、1.5mlエッペンドルフチューブ中で4つの個別の反応を構成する。開始にあたり、これらの4つの個別のチューブのキャップにローマ数字のラベルを貼る。列5および6のA〜Hは、反応I用であり、列7および8のA〜Hは、反応ii用であり、すべてプレート#529916中に存在する。列1および2は反応iv用であり、列3および4は反応iii用である。
フラップライゲーション(工程A):4つの個別の1.5mlチューブにローマ数字i〜iv(以上に記載)のラベルを貼る。次のものを含有するそれぞれの50μl反応液に応じて以下の試薬を添加する:5μl 10×リガーゼ緩衝液、0.5μl/プレート#529916および#610591の指定のウェルのオリゴヌクレオチド、4μlの長いフラップオリゴ/反応(AまたはB)(反応I、ii、およびiv用)、3μlのLF(区域iii用)、29μlHO(反応I、ii、およびiv用)、32μl HO(反応iii用)、ならびに4μl T4リガーゼ。リガーゼを用いることなく37℃で1時間半にわたりこの混合物中のオリゴをあらかじめアニールする。最後の試薬としてリガーゼを添加し、室温で少なくとも4時間ライゲートする。生成物濃度は1pmol/フラップ/μlである。
フラップライゲーションリン酸化(工程B) 再び4つの個別の1.5mlチューブにローマ数字のラベルを貼り、生成物がリン酸化されていることを示すために丸印の中にPの文字を入れて1〜4に付記する。対応するチューブに次の試薬を添加する:10μl/フラップライゲーション反応(10μl/上記フラップライゲーション反応を利用)、2.5μl Optikinase緩衝液、0.5μl 100mM ATP、11.5μl HO、および0.5μl Optikinase酵素。37℃で1時間インキュベートする。生成物濃度0.4pmol/フラップ/μl。
オリゴヌクレオチドパッチユニットリン酸化(工程C) 27μlオリゴヌクレオチドパッチユニットミックス(0.74pmol/μl)、5μl 10×緩衝液、1μl 100mM ATP、3μl Optikinase酵素、および14μl HO。試薬をすべて合わせた後、チューブを軽く数回叩くことにより溶液を穏やかに混合し、そして遠心沈降させる。37℃で1時間インキュベートする。
M13mp18スカフォールドへのハイブリダイゼーション(工程D) 新しい1.5mlチューブ中に次の試薬:20μl M13mp18(250ng/μl)、27μlリン酸化オリゴヌクレオチドパッチユニット(0.4pmol/μl)(工程C)、12.5μl/リン酸化フラップライゲーション(工程B)(55℃で5分間予備加熱し、氷上に置く)、11μl 10×リガーゼ緩衝液を添加し、全混合物を55℃で1分間加熱する。37℃で少なくとも4時間にわたり混合物をハイブリダイズする。
ライゲーション(工程E) エッペンドルフ内容物を遠心沈降させる。1.2μl 100mM ATPおよび3μl T4リガーゼを添加する。チューブを軽く叩くことにより穏やかに内容物を混合し、次に、遠心沈降させる。
BamH1消化(工程F) 1μlの10pmol BamH1オリゴ、20μl 10×BamH1緩衝液、37℃で約1時間ハイブリダイズする。量を200μlに調整する。3μl BamH1酵素を添加する。37℃で1時間インキュベートする。
第1の工程:清浄な1.7mlエッペンドルフチューブに20μlのM13mp18(NEB 250μg/ml)を添加することにより開始する。5μlのリン酸化フラップライゲーション反応系を利用し、それを70℃で2分間予備加熱し、ただちに氷上に置く。5μlの各リン酸化フラップライゲーション反応系(1pmol/フラップ/μl)をチューブに添加し、ピペッティングを数回行うことにより穏やかに混合する。エッペンドルフチューブを37℃で1時間インキュベートする。
第2の工程:新しいエッペンドルフ1.7mlエッペンドルフチューブ中に13.5μlオリゴヌクレオチドパッチユニットミックス(0.74pmol/μl)および1μlのAcryditeミックス(10pmol/μl)を入れる。5μl 10×Optikinase緩衝液、1μl 100mM ATP、および27.5μl HOを添加する。溶液をピペッティングにより穏やかに混合する。2μl Optikinase酵素を添加し、ピペッティングにより穏やかに混合し、37℃で1時間インキュベートする。
第3の工程:リン酸化オリゴ反応系を利用し、M13mp18+フラップハイブリダイゼーションの内容物にそれを全部添加する。反応系をピペッティングにより穏やかに混合し、30℃で1時間インキュベートする。ハイブリダイゼーションの終了後、反応系に1μl(100 ATP)を添加することによりATPを調整する。
第4の工程:エッペンドルフチューブ中の内容物を遠心沈降させ、4μl T4リガーゼ酵素(5単位/μl)添加し、ピペッティングにより穏やかに混合する。室温で少なくとも4時間インキュベートする。ライゲーションが行われている間、室温で1μl BamH1オリゴヌクレオチド(10pmol/μl)を添加し、ハイブリダイズさせる。
第5の工程:4μl BamH1酵素(5単位/μl)を添加することによりライゲーション反応系を消化し、ピペッティングにより穏やかに混合し、そして37℃で1時間インキュベートする。インキュベーション時間が終了したら、QCのために500ngのアリコートを採取する。
第6の工程:ソラレン、UVまたはDMPA光で15分間処理する。
計算には次のものが含まれる:
5μgのM13=20μlストック液(New England Biolabs製)=2pmol
オリゴヌクレオチドミックス:180−34フラップ領域−10 Acrydite修飾オリゴ=0.74pmol/オリゴ
10pmol/オリゴヌクレオチド=13.5μl=1350pmol
1単位のOptikinaseは、最終的に1nmolのリン酸を変換する。過剰量を使用する。4μlのOptikinaseを使用した。
配列番号1=M13mp18。
8. 実施例3:RNAナノレポーターを作製するためのプロトコル
ナノレポーターを作製し、実質的にこの実施例に記載の方法を用いて標的分子を検出するために利用し、好結果を得た。そのようなこの方法を用いて標的を検出する例を図6に示す。
8.1 スカフォールドの作製
一本鎖環状M13mp18 DNA(USB Corporation)をBam HI認識部位に相補的な10倍モル過剰のオリゴヌクレオチド(Bamカッターオリゴ)にアニールし、Bam HI制限酵素で切断して線状一本鎖DNAバックボーンを得る。続いて、Bamカッターオリゴヌクレオチドに相補的なオリゴヌクレオチド(抗Bamオリゴヌクレオチド)をBamカッターオリゴヌクレオチドに対して50倍過剰で添加して遊離のBamカッターオリゴヌクレオチドを封鎖することにより、後続の工程時におけるM13の再環状化を防止する。
線状M13分子は、組み込まれた蛍光物質を有するRNAパッチまたはRNAセグメントをアニールさせうるスカフォールドとして機能する。
8.2 M13スカフォールド上に二本鎖部位を形成するためのPCR
M13スカフォールドに沿って10個の異なる領域を形成ために、10セットのオリゴヌクレオチドプライマーペアをデザインした。各ペアは、5’末端にT7 RNAポリメラーゼプロモーターを有する1つのプライマーを含有する。領域2〜7は、900塩基(約300nm)の長さになるようにデザインされる。なぜなら、これは、回折限界スポット(標準的光学素子で達成可能な最小スポット)の近似サイズであるからである。領域1および8は、長体および短体の両方を有し、長体は、全900塩基領域をカバーし、一方、短体は、標的特異的配列をライゲートできるように900塩基領域の一部だけをカバーする。したがって、標的特異的配列は、いずれかの末端に結合可能である。アンカーまたはタグの結合のために、末端を使用することも可能である。
Taqポリメラーゼおよび鋳型としての0.5ngの二本鎖M13mp18(USB Corporation)を用いてPCRを行う。Qiagen製のQiaquick精製キットを用いて反応系を清浄化する。各PCR反応により、以下に示される特定のセグメントの1つに対応する二本鎖断片が得られる。これらの断片をRNAセグメントのin vitro転写用の鋳型として使用する。
8.3 ダークRNAセグメントを作製するためのin vitro転写
以上に記載のPCR産物を二本鎖鋳型として用いて、Ambion製のin vitro転写キット(Megascript T7キット)によりRNAセグメントを作製する。Qiagen製のRNeasyキットを用いて、転写反応産物を精製する(鋳型を除去するためのDNAse Iによる処理を含む)。
8.4 アミノアリル基で修飾されたRNAセグメントを作製するためのin vitro転写
以上に記載のPCR産物を二本鎖鋳型として用いて、Ambion製のin vitro転写キット(MessageAmp aRNAキット)により、後続の色素結合のためのRNAセグメントを作製する。転写時にアミノアリル修飾UTPヌクレオチドをRNAセグメント中に組み込む。Qiagen製のRNeasyキットを用いて、転写反応産物を精製する(鋳型を除去するためのDNAse Iによる処理を含む)。
8.5 着色RNAセグメントを作製するためのアミノアリルRNAセグメントへの色素結合
Ambion Aminoallyl Labelingキットを用いて、20〜100μgのアミノアリル修飾RNAセグメントをNHS−エステル色素に結合させる。使用した色素としては、Alexa 488、Alexa 594、およびAlexa 647(Invitrogen/Molecular Probes)、ならびにCy3(Amersham)が挙げられる。
スカフォールド上の各位置が4色のいずれかのセグメントで満たされるように、各セグメントを4つの色で個別に作製する。したがって、異なる位置で異なる色を付加することにより、多くのユニークな色の組合せを生成することが可能である。
この特定の実施形態では、各セグメントが個別の「スポット」として検出されるように、隣接するセグメントは、異なる色でなければならないか、または介在するダークセグメントでありうる。ナノレポーターコードの一部としてダークセグメントを使用することが可能である。
8.6 標識分子の集合
1×SSPE緩衝液中70℃で、2:1のセグメント対M13スカフォールド比で、各位置に対するセグメントを2時間アニールする。
標識化RNAセグメントを有する集合ナノレポーターを図3A〜3Bに示す。図3Aは、交互の「スポット」(1、3、5、および7)だけが標識されているナノレポーターを示し、図3Bは、すべてのスポットが標識されているナノレポーターを示している。
9. 実施例4:RNAナノレポーター/ゴーストプローブの組合せを用いる標的(S2)RNA分子およびDNA分子の検出
9.1 プローブおよび標的オリゴヌクレオチドの合成
S2 DNA標的オリゴヌクレオチドを合成し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(Integrated DNA Technologies)により精製した。Ambion MegascriptTMキットを用いて製造業者の使用説明書に従って、クローン化SARSコロナウイルス遺伝子(Invitrogen)の領域に対応するPCR産物のin vitro転写により、S2 RNA標的分子を作製した。S2ゴーストプローブ(図6A(i))は、S2標的配列の特定の50塩基領域(S2−a)に相補的であり、5’末端にビオチン−TEGモノマーを有するように合成され、高速液体クロマトグラフィー(Integrated DNA Technologies)により精製された。S2標的(S2−b)に相補的な50bpとM13スカフォールドへのライゲーションに用いられる追加の配列の9bpとを有する第2のオリゴヌクレオチド(全59bp)を合成し、HPLC(Integrated DNA Technologies)により精製した。S2−aおよびS2−b標的領域がオーバーラップしていなかったことに留意されたい。
9.2 ナノレポーターの合成
オリゴヌクレオチドS2−bを線状化M13[図6A(iii)]の5’末端にライゲートし、得られた生成物を、製造業者の使用説明書に従ってYM100フィルター(Millipore)に通してサイズ排除濾過により精製し、ライゲートされていない残留オリゴヌクレオチドから分離した。製造業者の使用説明書に従ってAmbion MegascriptTMキットを利用して、M13の位置2、4、6、および8に相補的なアミノアリル修飾RNAセグメント(配列番号)(図1C)をDNA鋳型(PCR産物)のin vitro転写から作製した。次に、Ambionの使用説明書(アミノアリルMessageAmpTM II aRNAキット)に従ってセグメントをNHS−エステル修飾Alexa 647色素(Invitrogen)に結合した。M13スカフォールドの位置1、3、5、および7に対応するRNAセグメント(図1C)を以上に記載のDNA鋳型から未修飾in vitro転写RNAとして作製した。1×SSPE緩衝液(150mM塩化ナトリウム、10mMリン酸ナトリウム、1mM EDTA)中、70℃で、10fmol/μlの8つの各セグメントを5fmol/μlのM13−S1−bスカフォールドに2時間アニールすることにより、ナノレポーターの集合を行った。最終生成物は、ダークセグメントを介在させてA647(赤色)で標識された4つのセグメントを有するナノレポーターであった。
9.3 ハイブリダイゼーション条件
標的へのナノレポーターおよびゴーストプローブのハイブリダイゼーションを次の条件下で行った:5×SSPE(750mM塩化ナトリウム、50mMリン酸ナトリウム、5mMジナトリウムEDTA)、40pMゴーストプローブ(結合オリゴヌクレオチドS2−a)、40pMナノレポーターS2−b、100ng/μl剪断サケ精子DNA、5×Denhardt溶液、および0.1%Tween。最終標的濃度は、20pM S2 DNA標的(図6B)および1pM S2 RNA標的(図6C)であった。陰性対照(図6D)には標的を添加しなかった。
ハイブリダイゼーション反応系を65℃で少なくとも16時間インキュベートした。
ハイブリダイゼーション反応系を100mMホウ酸緩衝液溶液(pH9.8)で1:2に希釈し、フローセルチャネル中に導入し、チャネルの底部を形成するストレプトアビジン被覆カバースリップ(Accelr8製のストレプトアビジン−OptiChemカバースリップ)に結合させた。ビオチン化ゴーストプローブとストレプトアビジン表面との相互作用により、ナノレポーター/標的/ゴーストプローブ複合体の一端によるスライドへの結合を達成した。表面に結合されていない過剰のレポーターを除去するために追加のホウ酸緩衝液でチャネルを濯いだ後、緩衝液を1×TAE(40mM Tris−アセテート、1mM EDTA)と交換し、画像キャプチャー時にナノレポーター/標的複合体を伸長させるように200Vの電流を印加する。
倍率63倍の油浸対物レンズ(1.4 NA)を備えたLeica DMI 6000B顕微鏡、Xcite−120光源(Exfo)、特注品のフィルターセット(Chroma Technologies)、Orca−ER CCDカメラ(Hamamatsu)、およびMetamorphデータ取得ソフトウェア(Molecular Devices)を用いて、画像を取得した。
予想どおり、適切な標的分子S2がゴーストプローブ[図6A(i)、S2−a]とS2−b標的特異的ナノレポーター[図6A(iii)]との両方にハイブリダイズしたときに[図6A(ii)]、ゴーストプローブ/標的/ナノレポーター複合体は、スライドに結合する単一種を生成し、647nmの波長の光を照射したときに4つのスポットとして視覚化された(図6B、6C、および6E)。結合の量は、標的濃度に依存した。S2標的配列の不在下では有意な結合は存在しなかった(図6D)。
10. 実施例5:一価もしくは二価抗体フラグメントを含むナノレポーター
標的分子がタンパク質またはポリペプチドである場合、ナノレポータースカフォールドが核酸でありかつ標的特異的配列が一価もしくは二価抗体フラグメントであるナノレポーターを作製することが可能である。
場合により、常法を用いて、対象の標的分子を認識する抗体をペプシンで消化し、F(ab’)2フラグメントを作製する。温和な還元により、たとえば、2−メルカプトエチルアミンを用いて、ペプシン消化により作製された抗体の2つの部分すなわち2つのF(ab’)2フラグメントを分離する。この還元により、両方の抗体フラグメントすなわち2つのF(ab’)2フラグメントは、官能化可能な2つのスルフヒドリル基を有する2つの一価フラグメントに分離される。
ヘテロ二官能性架橋試薬(たとえば、Pierce Biotechnology Inc.製のm−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)を用いて、アミン修飾を有するオリゴヌクレオチド(これは、Integrated DNA Technologiesから注文品として入手可能)にマレイミドを結合する。架橋試薬上のNHSをオリゴヌクレオチド上のアミンと反応させて、マレイミドコンジュゲート化オリゴヌクレオチドを生成する。
次に、このマレイミドコンジュゲート化オリゴヌクレオチドを抗体フラグメント上のスルフヒドリル基の1つと反応させる。立体的制約があるので、ただ1つのオリゴヌクレオチドを各フラグメントに結合させることが好ましい。
次に、オリゴヌクレオチドに結合されたこの一価もしくは二価抗体フラグメントをナノレポータースカフォールド上の相補的配列にハイブリダイズすることにより、標的特異的配列が抗体配列であるレポータープローブを作製することが可能である。そのようなレポータープローブは、標的分子を検出するために単独で使用可能であるか、あるいはゴーストプローブまたは他のレポータープローブ(その標的特異的配列は、同一の標的分子の異なる部分に結合する一価もしくは二価抗体または抗体フラグメントである)と組み合わせて使用可能である。
11. 実施例6:ナノ鎖レポーターシステムを用いる100ngの胎盤全RNAへの25種の細胞遺伝子のハイブリダイゼーション
25種の内在性細胞遺伝子の検出および定量を単一の多重化ハイブリダイゼーション反応で行った。そのほかに、約10、100、および300コピー/細胞にそれぞれ対応する3種の非ヒト対照配列を各反応系にスパイクした。また、細胞RNAの不在下で陰性対照ハイブリダイゼーションを行った。
11.1 ハイブリダイゼーション反応
各サンプルを三重反復試験方式でハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション試薬の最終濃度は、次のとおりであった:1.12nM全ナノレポーター(それぞれ40pMで28種の個別ナノレポーター)、1.12nM全ゴーストプローブ(28種の個別ゴーストプローブ)、5×SSPE(pH7.5)、5×Denhardt試薬、100ng/μl剪断サケ精子DNA、0.1%トゥイーン20、150fM S3スパイクDNA、50fM S4スパイク、および5fM S6スパイク。全胎盤RNAの最終濃度は、33ng/μlであった。陰性対照ハイブリダイゼーションには全胎盤RNAを添加しなかった。反応の最終量は、30μlであった。試薬を混合し、加熱蓋を備えたサーモサイクラーブロック中65℃で20時間インキュベートした。
Figure 2009521230
Figure 2009521230
11.2 ポストハイブリダイゼーション精製
磁気ビーズ(F−ビーズ)に結合されたゴーストプローブに相補的なオリゴヌクレオチドを用いて、ハイブリダイゼーション反応系を精製し、ハイブリダイズされていないレポーターを除去した。最終塩濃度が1×SSPEになるようにハイブリダイゼーション反応系を0.1%トゥイーン20中に5倍希釈し、溶液を30μlのF−ビーズ(150μlの1×SSPE/0.1%トゥイーン20中で2回予備洗浄した)に添加した。連続回転させながら、ハイブリダイズされた複合体をビーズに室温で15分間結合させ、150μlの0.5×SSPE中で1回洗浄し、そして25μlの0.1×SSPE中、45℃で15分間溶出させた。
11.3 結合、伸長、および固定
0.1μM TetraspecTM蛍光マイクロスフェア(製品番号T7279、Molecular Probes)の1/1000希釈液1μlおよび3μlの1Mビス−トリスプロパン(pH9.0)を添加することにより、結合用としてサンプルを調製した。ストレプトアビジンで被覆されたAccerl8 Optichem(登録商標)スライド(製品番号TB0200)に結合させるために、サンプルをナノ鎖流体デバイスに充填した。充填後、各ウェルに40μlのTAEを添加することにより、スライド表面を1×TAEで1回洗浄して電気伸長用として調製した。流体チャネルを横切って200Vを印加することにより、結合された複合体を伸長させた。1分後、電圧の印加を5分間継続しながら、負荷電電極の入ったウェルに60μlの500mMのG−フックオリゴ溶液を添加することにより、サンプルを伸長位置で固定した。固定後、TAE溶液を除去し、画像化のために光漂白防止試薬で置き換えた。
11.4 画像化
メタルハライド光源(X−cite 120、Exfo Corporation)と倍率60倍の油浸レンズ(1.4 NA Plan Apo VC、Nikon)とを備えたNikon Eclipse TE2000Eを用いて、スライドを画像化した。Metamorphソフトウェア(Universal Imaging Corporation)の制御下でOrca Ag CCDカメラ(Hamamatsu)を用いて、各視野ごとに異なる励起波長(480、545、580、および622)で4つの画像を取得した。特注品の画像処理ソフトウェアを用いて画像を処理した。
11.5 データ解析
特注品のソフトウェアを用いて処理画像から生データを抽出した。各サンプル中の対照スパイクの平均カウント数を基準にしてデータを規格化した。システムにより遺伝子が「検出」されたかを判定するために、スチューデントのt検定を用いて、各遺伝子ごとにRNAを含有するハイブリダイゼーションから得られたカウント数をRNAなしのハイブリダイゼーションで得られたカウント数と比較した。p値<0.05を有する遺伝子を検出されたと判定した。バックグラウンドを除去した後、スパイク対照の線形回帰から細胞mRNAの濃度を推定した。次の仮定を用いてこれらの濃度をコピー/細胞に変換した:1個の細胞は10pgの全RNAを含有し;各細胞は300,000個のmRNA分子を含有し;反応の最終量は30μlである。
11.6 結果および結論
以下の表3は、以上に記載のデータ解析の結果を示している。この結果に示されるように、本明細書に記載のナノレポーター技術を用いて、1転写産物/細胞未満の濃度で存在する転写産物(たとえばCASP3)を検出することが可能である。したがって、ナノレポーター技術は、遺伝子発現の検出および定量を行うきわめて高感度の手段を提供する。
Figure 2009521230
120種までの異なるレポーターを含む単一の多重化反応で本明細書に記載のハイブリダイゼーション法を行ったところ、類似のハイブリダイゼーション効率および結果が得られた。
12. 実施例7:ナノレポーターハイブリダイゼーションの速度論に関する考察
12.1 背景
標的に対して大過剰のプローブを用いる溶液ハイブリダイゼーションは、擬一次速度式に従う。このレジームでは、反応速度は、プローブ濃度だけに依存し、標的濃度には依存しない。溶液中の標的の濃度に関する正確な情報を提供する二プローブ一標的ストラテジーでは、プローブは両方とも、標的よりも過剰に存在するはずである。したがって、可能な濃度範囲は、好ましくは、標的の濃度によりその下限が制限される。しかしながら、本明細書に記載のナノレポーター技術の有用な濃度範囲は、実用上、ハイブリダイゼーションを行うのに必要な時間量によりその下限が制限される。
12.2 ハイブリダイゼーションの速度論
好ましい実施形態では、検出のために標的(T)がレポータープローブ(R)およびゴーストプローブ(G)の両方にハイブリダイズしなければならない標的検出および定量アッセイが行われる(たとえば、結果的に(T)の存在下でのみ複合体を形成する(R)および(G)だけを含む複合体のアフィニティー選択および検出により)。この反応が不可逆であると仮定すると、起こる可能性のある素反応は4つである。
Figure 2009521230
RTおよびTGは3種のうちの2種の中間複合体であるので、これらの4つの反応は、次のように単純化することが可能である。
R+T+G→RTG
しかしながら、RTG(レポーター−標的−ゴーストプローブ複合体)の生成速度を定量的に計算するためには、4つの反応をすべて考慮に入れなければならない。系を記述する微分方程式は、以下のとおりである:
Figure 2009521230
式中、C、C、C、CRT、CTG、およびCRTGは、種々の種の濃度であり、k〜kは、4つの素反応の速度定数である。プローブおよび標的が相補的一本鎖分子である場合(すなわち、ゴーストプローブ上に精製用タグが存在せずかつレポーターが存在しない場合)のこれらの速度定数の値は、文献(Wetmur, J. Annu. Rev. Biophys. Bioeng. 1976.5:337-361)中の利用可能なデータから計算可能である。
Figure 2009521230
上記式中、kは核生成速度定数であり、Lは核酸長さ(塩基対単位)であり、Nは核酸複雑度(非反復配列ではLに等しい)であり、asaltおよびarefは塩濃度に対する補正である(Britten et al., 1974, Methods in Enzymology 29E:363-406)。本明細書に記載のナノレポーターシステムでは、速度定数は、結合されるゴーストプローブタグおよびレポータープローブのサイズに依存する。いかなる理論によっても拘束されるものではないが、本発明者らの考えるところによれば、長さへの速度定数の依存性は、反応物の拡散定数への素反応の依存性と同一であろう。
Figure 2009521230
上記式中、DおよびDは、2つの反応種(上記反応参照)の拡散定数であり、D50は、50merの一本鎖DNA分子の拡散定数である。100塩基の一本鎖標的、100塩基の一本鎖ゴーストプローブ、および7200塩基の二本鎖レポーターを仮定すると、関連する速度定数は、次のようになる。
=2.64×10L/mol/s
=6.55×10L/mol/s
=3.99×10L/mol/s
=1.91×10L/mol/s
これらの速度定数を用いて微分方程式の系を数値的に解くと(プローブが標的に対して少なくとも10倍過剰であると仮定する)、5pMレポーターおよび5pMゴーストプローブは、終夜反応(16〜18時間)で最終到達点の10%までハイブリダイゼーションを起こすであろうという予測結果が得られる。5pM未満の濃度では、完全にハイブリダイズされた分子の量は、おそらく実際上測定不可能であろう。したがって、好ましい実施形態では、ナノレポーター成分(ゴーストプローブおよび/またはレポータープローブ)の下限濃度は、5pMである。
12.3 レポーターの絡合い
理論によれば、プローブ濃度が増加するにつれて、ハイブリダイゼーション速度は際限がなく上昇し、プローブの溶解度だけが制約になると予測される。しかしながら、レポータープローブは、本発明に係るナノレポーターシステム中の標的特異的配列と比較して非常に大きい可能性がある。いかなる理論によっても拘束されるものではないが、レポータープローブへの結合により、標的特異的配列の速度論は、古典的溶液ハイブリダイゼーションの速度論とは異なったものになると本発明者らは考えている。レポータープローブは大きい高分子であるので、他のナノレポーターに接触したときに互いに長時間の相互作用(絡合い)をする可能性がある。低濃度では、2つのポリマーが絡み合った状態になる可能性は低いが、溶液中のポリマーの濃度および/またはサイズが増加するにつれて、この相互作用はより一般的に見受けられるようになる。非常に高い濃度の非常に長い分子という極端な場合、ポリマーは、溶液中で永久的網状構造またはゲルを形成する。溶液ハイブリダイゼーションが起こるようにするには、プローブ(たとえば、ナノレポータープローブ)/標的ペアは、互いに接触してハイブリダイゼーション核が生成されるまで溶液中を拡散しなければならない。古典的には、分子の並進拡散はハイブリダイゼーションの核生成よりも速いので、ハイブリダイゼーション反応は拡散律速ではない(すなわち、プローブおよび標的は、一緒に拡散して、核生成が行われる前に何回も相互作用する)。希薄溶液中では、その大きいサイズは、レポータープローブの並進拡散を遅くするであろうが、速度論には有意な影響を及ぼさない可能性がある。ある中間濃度では、レポータープローブは、溶液中の空間のほとんどすべてを占めて効果的に永久的絡合いゲルを生成し、もはや溶液中を拡散できない。しかしながら、ゴーストプローブおよび標的は、絡み合ったレポータープローブを通って依然として拡散しハイブリダイゼーションを起こしうるより小さい分子であると考えられる(おそらくより遅い速度であろうが)。同様に本発明者らの考えるところによれば、あるより高い濃度では、溶液中のレポータープローブは、反応が拡散律速になる点までゴーストプローブおよび標的の運動を妨害するであろう。この濃度(これは、定量的にはわかっておらず、レポータープローブ構造、ゴーストプローブ構造、および標的サイズに依存する)は、ナノレポーターシステムにおける有用な濃度範囲の上限であり、当業者であれば本明細書に記載の原理に基づいて経験的に決定可能である。
12.4 速度論の長さ依存性
ハイブリダイゼーションの上限濃度はレポーター構造およびゴーストプローブ構造(それらには多くの可能な形態が存在する)の両方に依存するので、有用な濃度範囲の変化を予測する理論的枠組みは、本発明を実施するのに有用である。古典的理論によれば、ハイブリダイゼーションの速度論は、より小さいプローブのサイズにのみ依存すると予測される。したがって、理論的には、標的分子およびゴーストプローブの両方が有意により小さいかぎり、レポーターのサイズは、ハイブリダイゼーションの速度論に関与しないであろうと予測されよう。その場合、理論によれば、ハイブリダイゼーションの速度(一定の標的長さに対して)は、ハイブリダイゼーションの立体阻害に基づいて、1/L1/2〔ただし、Lはゴーストプローブの長さである〕に依存すると予測される。結果的に、ハイブリダイゼーションの速度は、ゴーストプローブが小さいほど速いであろう。ゴーストプローブの長さが増加するにつれて、ハイブリダイゼーションの速度は、1/L1/2に応じて減少するはずである。一定のゴーストプローブ長さを仮定すれば、ハイブリダイゼーション事象の測定可能な量を生じるレポーターの長さおよび濃度の範囲を規定することが可能である。レポーターサイズを規定した後、ゴーストプローブサイズの近似的範囲を決定することが可能である。これは反復プロセスであるが、本発明者らの論拠の基礎になる理論が、レポータープローブを利用しないシステムでのハイブリダイゼーションデータから導かれたものであることを考慮すれば、詳細な経験的ガイドラインを作成するためのデータを収集する良好な出発点を与えうる。
12.5 絡合いの閾値
レポータープローブは、本質的には、自由溶液中のポリマーであり、ランダムコイルの挙動を示す。単一のレポーターにより占有される体積Vは、自由連結鎖モデル(FJC、一本鎖DNAもしくはRNAのような可撓性ポリマー用)またはみみず鎖モデル(WLC、二本鎖DNAもしくはレポーターのような剛性ポリマー用)に基づく高分子物理学理論から計算可能である。いずれのモデルの場合にも、
Figure 2009521230
である。式中、Rは慣性半径である。FJCの場合、
Figure 2009521230
である。式中、bはセグメントの長さであり、Nは鎖中のセグメントの数である。WLCの場合、
Figure 2009521230
である。絡合いの閾値濃度は、溶液の全体積がレポーターにより占有されるときの濃度として定義される。
Figure 2009521230
式中、Nはアボガドロ数である。この濃度を超えると、レポーターの並進拡散は著しく制限されると推定される。絡合いの閾値濃度は、レポーター構造によって異なる。レポーターの長さが増加するにつれて、絡合いの閾値は減少する(1/L1/5に応じて)。上記の式から、さまざまなスポットサイズおよびさまざまな長さを有するレポータープローブに対する理論上の絡合いの閾値を計算することが可能である。そのような計算の結果を図17に示す。この図は、約900bpの8つの標識結合領域を有する7200bpのRNA/DNAハイブリッドレポータープローブの場合、絡合いの閾値が約70nMであることを示している。
標的およびゴーストプローブの両方がレポーターよりもかなり小さい場合、それらは、こうした高濃度のレポーターのときでさえも、溶液中を自由に拡散できる可能性がかなり高いであろう。7200bpのレポータープローブ、100塩基の標的、および100塩基のゴーストプローブを用いた場合、ハイブリダイゼーション速度は、80nMの濃度まで認めうるほど遅くはならないことが初期データから示唆される。
12.6 多重化に及ぼす絡合いの閾値の効果
ハイブリダイゼーション反応におけるレポーターの最大濃度がCであると仮定すると、各レポーター(特定の標的に特異的)の濃度は、C/Mに等しい。ただし、Mは、反応の多重度(同時に取り扱われる異なる標的の数)である。逆に、特定のレポーター構造体の可能な多重レベルは、プローブ濃度の下限(速度論に由来するC、約10nM未満)および絡合いの閾値から次のように計算可能である。
M=C/C
利用可能なナノレポーターコードの数がレポータープローブのサイズに依存しない場合、ナノレポーターの多重化は、主に、レポータープローブのサイズおよび濃度(この濃度がゴーストプローブよりもかなり高いため)に依存する。ゴーストプローブはハイブリダイゼーション時に絡合いに対して有意な寄与を示さないので、本発明者らの考えるところによれば、ゴーストプローブの濃度は、レポータープローブの濃度よりもかなり増大させることが可能である。以下の表4中、最大全ゴーストプローブ濃度([G])は、すべてのレポーター濃度に対して1000nMに設定されている。ゴーストプローブおよびレポータープローブのこの濃度差は、調整可能なパラメーターである。予備試験では、7200bpレポーターと100bゴーストとを用いた多重ハイブリダイゼーション反応において、40pMの各レポータープローブおよび200pMの各ゴーストプローブは、終夜反応でほぼ完全なハイブリダイゼーションを生じることが示される。
12.7 サイズおよび濃度の最適範囲
以下の表4には、以上の理論により近似したときのさまざまな多重化におけるゴーストプローブおよびレポータープローブの最適の有用なサイズおよび濃度の範囲がまとめられている。本発明者らの考えるところによれば、約200塩基までのゴーストプローブは、ほとんどの用途に実用可能であろう。
Figure 2009521230
13. 実施例8:デュアルナノレポーター集合の代表的な実施形態
この節では、デュアルナノレポーターの集合の実施形態について記述する。ここでは、一方のプローブは、ゴーストプローブであり、他方のプローブは、M13バックボーン上に集合された色RNAセグメントを含むレポータープローブである。ゴーストプローブは、ビオチン化F−フックに結合され、レポータープローブは、ビオチン化G−フックに結合される。標的分子の検出および定量のために、デュアルナノレポーターを生体分子サンプルにハイブリダイズさせる。以下の工程は、示された順序で行わなければならないわけではない。さらに、それぞれの特定の工程は、以下に示される以外の実施形態と組み合わせうる特定の実施形態を示している。
13.1 M13スカフォールドの調製
一本鎖環状M13mp18 DNA(USB Corporation)をBam HI認識部位に相補的な5倍モル過剰のオリゴヌクレオチド(Bamカッターオリゴ)にアニールし、Bam HI制限酵素で切断して線状一本鎖DNAバックボーンを得る。続いて、Bamカッターオリゴヌクレオチドに相補的なオリゴヌクレオチド(抗Bamオリゴヌクレオチド)を50倍過剰で添加して遊離のBamカッターオリゴヌクレオチドを封鎖することにより、後続の工程時におけるM13の再環状化を防止する。
線状M13分子は、組み込まれた蛍光物質を有するRNAパッチまたはRNAセグメントをアニールさせうるスカフォールドとして機能する。
13.2 スカフォールドへの標的特異的配列の結合
対象の標的核酸に相補的な配列(たとえば、30〜70ヌクレオチドの配列)と、M13スカフォールドへのライゲーションに使用される追加の9bpの配列と、を含むオリゴヌクレオチドを作製し、線状化M13スカフォールドの3’末端にライゲートする。
13.3 スカフォールドへのG−タグの結合
G−タグ(たとえば、G−フック5'-GGTCTGTGTGATGTT-3'の相補体4コピーと続いて9塩基のライゲーター配列とを含みかつG−フックに相補的な配列5'-AACATCACACAGACC AACATCACACAGACC AACATCACACAGACC AACATCACACAGACC AGCCCTTTG-3'を有するオリゴヌクレオチド)を線状化一本鎖M13バックボーンの5’末端に結合させ、(1)レポーターの精製ならびに続いてセグメントのライゲーションおよび/またはアニーリングと;(2)固体表面上で「伸長」させた後のレポーターの固定と;を可能にする。G−タグをBamHI部位で線状化された一本鎖M13の5’末端に結合させるためのライゲーターの配列は、5'-CTCTAGAGGATCCAAAGGGCT-3'でありうる。ライゲーション反応は、約80pmolのG−タグ/M13ライゲーション産物を生成するための以下のプロトコルに従って実施可能である:
材料
[100μM] 抗G4タグオリゴ
[100μM] 抗G4タグライゲーターオリゴ
[80nM] 線状一本鎖M13
10×T4 DNAリガーゼ緩衝液(Fermentas)
T4 DNAリガーゼ(Fermentas)
20×SSC(Ambion)
DEPC H2O(Ambion)
方法
1.G−タグとライゲーターとをあらかじめアニールする:
25μM 2:1 G/Glig 1×SSC中
20μl [100μM] G−タグライゲーター
40μl [100μM] G−タグ
4μl 20×SSC
16μl DEPC H2O
MJサーモサイクラー上でアニールする
95℃、3分間;72℃、30秒間、−1℃/サイクル、×68サイクル;4℃に保持する
2.G−タグを線状M13にライゲートする:
64nM M13−G4 1×Lig緩衝液中
1000μl [80nM] 線状M13
80μl [25μM] 2:1 G/Glig 1×SSC中
124μl 10×T4 DNAリガーゼ緩衝液
40μl T4 DNAリガーゼ
フォイルで覆われたアルミニウムヒートブロック中、37℃で2時間ライゲートし、次に、酵素を65℃で15分間不活性化させる。
13.4 RNAセグメントの調製
M13スカフォールドに沿って10個の異なる領域を形成するために、10セットのオリゴヌクレオチドプライマーペアをデザインする。各ペアは、5’末端にT7 RNAポリメラーゼプロモーターを有する1つのプライマーを含有する。領域2〜7は、900塩基(約300nm)の長さになるようにデザインされる。なぜなら、これは、回折限界スポット(標準的光学素子で達成可能な最小スポット)の近似サイズであるからである。領域1および8は、長体および短体の両方を有し、長体は、全900塩基領域をカバーし、一方、短体は、標的特異的配列をライゲートできるように900塩基領域の一部だけをカバーする。したがって、標的特異的配列は、いずれかの末端に結合可能である。アンカーまたはタグの結合のために、末端を使用することも可能である。
Taqポリメラーゼおよび鋳型としての0.5ngの二本鎖M13mp18(USB Corporation)を用いてPCRを行う。Qiagen製のQiaquick精製キットを用いて反応系を清浄化する。各PCR反応により、以下に示される特定のセグメントの1つに対応する二本鎖断片が得られる。これらの断片をRNAセグメントのin vitro転写用の鋳型として使用する。
以上に記載のPCR産物を二本鎖鋳型として用いて、Ambion製のin vitro転写キット(Megascript T7キット)によりRNAセグメントを作製する。Qiagen製のRNeasyキットを用いて、転写反応産物を精製する(鋳型を除去するためのDNAse Iによる処理を含む)。
13.5 RNAセグメントの標識化
以上に記載のPCR産物を二本鎖鋳型として用いて、Ambion製のin vitro転写キット(MessageAmp aRNAキット)により、後続の色素結合のためのRNAセグメントを作製する。転写時にアミノアリル修飾UTPヌクレオチドをRNAセグメント中に組み込む。Qiagen製のRNeasyキットを用いて、転写反応産物を精製する(鋳型を除去するためのDNAse Iによる処理を含む)。
Ambion Aminoallyl Labelingキットを用いて、20〜100μgのアミノアリル修飾RNAセグメントをNHS−エステル色素に結合させる。使用した色素としては、Alexa 488、Alexa 594、およびAlexa 647(Invitrogen/Molecular Probes)、ならびにCy3(Amersham)が挙げられる。
スカフォールド上の各位置が4色のいずれかのセグメントで満たされるように、各セグメントを4つの色で個別に作製する。したがって、異なる位置で異なる色を付加することにより、多くのユニークな色の組合せを生成することが可能である。
この特定の実施形態では、各セグメントが個別の「スポット」として検出されるように、隣接するセグメントは、異なる色であるか、または介在するダークセグメントである。ナノレポーターコードの一部としてダークセグメントを使用することが可能である。
13.6 スカフォールドへのRNAセグメントのアニーリング
1×SSPE緩衝液中70℃で、2:1のセグメント対M13スカフォールド比で、各位置に対するセグメントを2時間アニールする。標識化RNAセグメントを有する集合ナノレポーターを図3A〜3Bに示す。図3Aは、交互の「スポット」(1、3、5、および7)だけが標識されているナノレポーターを示し、図3Bは、すべてのスポットが標識されているナノレポーターを示している。
13.7 ゴーストプローブの調製
レポータープローブの標的特異的配列が相補的である領域とは異なる対象の標的核酸の領域に相補的な配列(たとえば、30〜70ヌクレオチドの配列)を含む1つ以上のオリゴヌクレオチドを作製する。場合により、F−フックの3’末端上の短い配列とゴーストプローブの5’末端上の短い配列とに相補的なライゲーターオリゴヌクレオチドを用いて、F−フック結合用のF−タグをゴーストプローブの5’末端にライゲートする。ライゲーターオリゴヌクレオチドに相補的な配列は、F−フック配列の一部でもなければプローブ配列の一部でもなく、ライゲーションを容易にするためにそれらオリゴに付加された追加のヌクレオチドである。
13.8 ゴーストプローブへのF−タグの結合
F−タグ(たとえば、F−フック5'-GCTGTGATGATAGAC-3'の相補体2コピーと続いて9塩基のライゲーター配列とを含みかつF−フックに相補的である配列5'-GATGGAGAC GTCTATCATCACAGC GTCTATCATCACAGC-ビオチン-3'を有するオリゴヌクレオチド)をゴーストプローブの3’末端に結合させ、(1)ゴーストプローブ−標的−レポーターハイブリダイゼーション複合体の精製と;(2)ビオチン部分を介するスライド上へのハイブリダイゼーション複合体の結合と;を可能にする。F−タグをゴーストプローブの3’末端に結合させるためのライゲーターの配列は、5'-GTCTCCATCTTCCGACAG-3'でありうる。
材料
100μM F−ビオチンタグ
100μM Fゴーストプローブライゲーター
Fermentas 10×T4 DNAリガーゼ緩衝液
1μMゴーストプローブ
Fermentas T4 DNAリガーゼ
方法
1.フックとライゲーターとをあらかじめアニールする:
5μM F−ビオチンタグ/ライゲーターミックス
5μl [100μM] F−ビオチンタグ
5μl [100μM] F−ゴーストプローブライゲーター
10μl 10×T4 DNAリガーゼ緩衝液
80μl DEPC H
MJサーモサイクラー上でアニールする(95℃、3分間;72℃、30秒間、−1℃/サイクル ×68サイクル;4℃に保持する)。
2.以下のゴーストプローブライゲーションを構成する:
300nM 抗F2−ビオチン−GP
6.0μl [1μM] ゴーストプローブ
4.8μl [5μM] 抗F2−ビオチンタグ/ライゲーターミックス
1.52μl 10×T4 DNAリガーゼ緩衝液
3.68μl DEPC H
4.0μl T4 DNAリガーゼ
MJサーモサイクラー上でライゲートする(37℃、18時間;65℃、15分間;4℃に保持する)。
3.15% Novex TBE−Ureaゲル上でライゲーションのQCを行う:
以下の充填溶液を調製する:
ライゲーション
3.33μl [300nM] ライゲーション
1.67μl DEPC H
5μl 2×充填緩衝液
陰性対照−ゴーストプローブ
1μl [1μM] ゴーストプローブ
0.33μl 10×T4 DNAリガーゼ緩衝液
3.67μl DEPC H
5μl 2×充填緩衝液
陰性対照−F−ビオチンタグ/ライゲーターミックス
2μl [0.5μM] F−ビオチンタグ/ライゲーターミックス
0.33μl 10×T4 DNAリガーゼ緩衝液
2.67μl DEPC H
5μl 2×充填緩衝液
50bpオリゴラダー
4μlラダー
6μl 2×充填緩衝液
180Vで15% Novex TBE−Ureaゲルにて50分間泳動させる。
SYBR Goldで30分間染色する。
13.8.1 他の選択肢の実施形態
ビオチンを一本鎖F−タグに共有結合させるのではなく、ゴーストプローブの共通部分に相補的な配列を有するビオチン化オリゴヌクレオチド(DNAまたはRNA)をアニールすることにより、ゴーストプローブのビオチン化を達成することも可能である。そのような配列は、F配列自体でありうるかまたはF配列に加えてゴーストプローブに付加される他の配列でありうる。そのような追加の配列を付加する場合、それは、10〜100塩基の長さの1〜10コピーでありうるが、好ましい構成は、50〜100塩基の長さの単一コピーである。
13.9 標的mRNAのビオチン化
mRNAサンプルを直接標識するのに利用可能ないくつかの市販のキットが存在する。たとえば、Label IT(登録商標)μArrayTM Biotin Mirus #MIR 8010)およびBiotin−Chem−Link(Roche (1 812 149)が挙げられる。製造業者の手順に従って、ただし、次の変更を加えて、ビオチン標識化mRNAを第3d節に記載のハイブリダイゼーション反応系(以下参照)に追加する:ほとんどのプロトコルはポリA+mRNAの使用を推奨するので、RNAの使用量を典型的なハイブリダイゼーションでの全RNA100ngよりも少ない10ngまで、場合により1ngまで減少させることが可能である。この反応系にはゴーストプローブを添加してはならない。Fビーズポストハイブリダイゼーション精製は、もはや必要とされない。スライドへの結合に競合する可能性のあるハイブリダイズされていないビオチン化mRNAを除去するために、Gビーズポストハイブリダイゼーション精製を使用すべきである。RNAの使用量に依存して、これは必要なこともあれば必要でないこともある。他の選択肢として、ポリA+画分の精製を必要とすることなく、全RNAをビオチン化することが可能である。この場合、元の量の全RNAを使用すべきである(100ng)。全RNAを使用する際、標識化効率を増大させるために、製造業者のプロトコルに変更を加えることが必要になることもある。
他の選択肢の方法は、市販品として入手可能なキットを用いてビオチン化第一鎖cDNAまたはビオチン化増幅RNA(aRNA)を酵素的に生成し、これらを全mRNAまたはmRNAの代わりに使用することであろう。この方法では、センス配向になるようにレポータープローブを再デザインする必要があろう。ゴーストプローブおよびF−ビーズポストハイブリダイゼーション反応は、いずれも省略されるであろうが、Gビーズ精製は、ハイブリダイズされていないRNAを除去するために残るであろう。
13.10 標的へのデュアルナノレポーターのハイブリダイゼーション
多くのハイブリダイゼーション条件は、遺伝子発現データを得るのに十分である。妥当なハイブリダイゼーション効率を保持しながらハイブリダイゼーション時間を短くするために、いくつかのパラメーターに変更を加えた:i)ゴーストプローブおよびレポーターの濃度を増大させる、ii)全RNAを200〜500bpの平均サイズ範囲に断片化し、一方、ハイブリダイゼーションのpHを6.5に低下させる、iii)同一のハイブリダイゼーション体積でより多くの全RNAを使用する、iv)ハイブリダイゼーション体積を約10μlまで減少させる。さまざまな種に由来するmRNAへのハイブリダイゼーション効率やクロスハイブリダイゼーションに有害作用を及ぼすことなく、Denhardt試薬やssDNAのようなブロッキング試薬を省略することが可能である。
ゴーストプローブと共に1〜>500種のナノレポーターの多重化を行って以下のプロトコルを実施し、好結果を得た(25種のナノレポーターを利用するナノレポーターアッセイを示す例は、以上の実施例6に記載されており、509種のナノレポーターを利用するナノレポーターアッセイを示す他の例は、以下の実施例9に記載されている)。全ナノレポーターの最終濃度は、1)各レポーターの濃度および2)多重化される遺伝子の数に依存して変化する。
典型的な全ナノレポーター濃度は、40pM(1遺伝子@40pM)〜20nM(500遺伝子@40pM)の範囲内である。また、ゴーストプローブ濃度は、200pM(1遺伝子@200pM)〜100nM(500遺伝子@200pM)のさまざまな値である。以下の例は、陽性対照および陰性対照と共に約500種の内在性遺伝子を含有する単一の多重化ハイブリダイゼーションを記述する。11.1μlの2.7×ハイブリダイゼーションミックス[13.5×SSPE pH7.5(USB#75890)、0.27μg/μl剪断サケ精子DNA(Sigma#D-7656)、0.27%トゥイーン20(Sigma#P-1379)、および13.5×Denhardt試薬(Sigma D-2532)]、5μlの遺伝子ナノレポーターミックス(各0.24nMまたは全123nMは、509種の内在性遺伝子および8種のハイブリダイゼーション対照を含む)、4.6μlの513種の遺伝子ゴーストプローブミックス(各1.3nMまたは全667nMは、509種の内在性遺伝子および8種のハイブリダイゼーション対照を含む)、1μlの精製対照レポーターミックス(0.5pM)、1μlの全細胞RNA(100ng/μl)、1μlの30×スパイク標的ミックス(1.5nM〜3fM)、ならびに6.3μlのDEPC処理水(Ambion#9922)を0.2ml薄肉チューブ(最終量30μl)に添加する。
ハイブリダイゼーション試薬の最終濃度は、5×SSPE、0.1%トゥイーン20、100ng/μl剪断サケ精子DNA、5×Denhardt試薬、40pMの各ナノレポーター(全約20nM)、200pMの各ゴーストプローブ(全約100nM)、および33ng/μlの全細胞RNAであることが望ましい。対照スパイク標的は、典型的には、単一反応において50fM〜0.1fMの範囲内でさまざまである。試薬はすべて、最も好ましくは、すべてのヌクレアーゼ活性を含まない。最適結果を得るには、すべての試薬がヌクレアーゼ活性を含まないようにしなければならない。
試薬を十分に混合し、加熱蓋を有する温度ブロック中で20時間インキュベートする。ハイブリダイゼーションの後、ゴーストプローブおよびレポータープローブの両方に対してアフィニティー試薬を用いてナノレポーターを精製する。
13.10.1 他の選択肢の実施形態:ssDNAおよびDenhardt試薬を用いないためのハイブリダイゼーションプロトコル
1〜500種のナノレポーターおよびゴーストプローブの多重化を用いてこのプロトコルを実施し、好結果を得た。ヒト試薬(ナノレポーターおよびゴーストプローブ)を用いて行われるハイブリダイゼーションからssDNAおよびDenhardt試薬を省略しても、ssDNAおよびDenhardtを含むハイブリダイゼーションと比較した場合、マウス全RNAとのクロスハイブリダイゼーションにまったく影響を及ぼさなかった。そのほか、ssDNAおよびDenhardt試薬を省略しても、バックグラウンドシグナルの増大を生じない(陰性ハイブリダイゼーション対照を基準にして)。最後に、ssDNAおよびDenhardt試薬の存在下または不在下でハイブリダイズされた内在性遺伝子のシグナルの有意な損失(または増大)は存在しない(509種の遺伝子、R値=0.998)。
13.10.2 他の選択肢の実施形態:断片化細胞mRNA用のハイブリダイゼーション条件
熱的プロトコルおよびカチオン触媒プロトコルの両方を用いて細胞RNAの断片化を達成した。100〜700bp(平均で)の断片長さが得られるようにこれらのプロトコルをデザインした。熱的断片化:RNAseを含まない水中に全RNAサンプルを200ng/μlになるように希釈する。加熱蓋を備えた温度ブロック中でサンプルを95℃に加熱する。サンプルを氷上に配置することにより断片化を停止する。ただちに使用するかまたは使用時まで−80℃で貯蔵する。製造業者のプロトコル(Ambion)に変更を加えたカチオン触媒反応による断片化。RNAseを含まない水を用いてRNAサンプルの体積を9μlにする。全RNAの最終濃度は、0.2〜2μg/mlでなければならない。1μlの10×断片化緩衝液(Ambion 10×断片化緩衝液)を添加する。温度ブロック中70℃で5分間インキュベートする。時間をより長くすれば、平均の断片サイズは小さくなるであろう。1μl 200mM EDTAを添加することにより反応を停止させる。ただちに使用するかまたは使用時まで−80℃で貯蔵する。
次の変更を加えた以外は本明細書に記載されるように、断片化RNAサンプルをハイブリダイズさせる:i)SSPEのpHを6.5に低下させる、およびii)反応時間を6時間に減少させる(レポータープローブおよびゴーストプローブの濃度が200pMであるハイブリダイゼーション反応に対して)。
13.11 ナノレポーター−標的複合体の精製
全レポータープローブ濃度が1nM超である場合、ポストハイブリダイゼーション精製が好ましい。精製は、非特異的結合を有意に減少させ、より高いレポーター濃度およびゴーストプローブ濃度でスライドへの特異的結合効率を増大させる。以上に提供される実施例では、単一のF−ビーズ精製が記載されている(ハイブリダイズされた複合体をゴーストプローブ末端から精製する)。以下の実施例9に記載されるように、ハイブリダイゼーション複合体をレポーターの5’末端から精製して過剰のハイブリダイズされていないゴーストプローブを効果的に除去する後続のGビーズ精製を介して、高いゴーストプローブ濃度(>5nMの全量)で最適結果が得られる。精製の好ましい順序は、F−ビーズ、次にGビーズであるが、順序を逆にすることが可能であり、それに従ってプロトコルを最適化することが可能である。これらのアフィニティー精製に使用される正確な配列は、おそらく、変更可能であり、技術の他の選択肢の実施形態で最適化可能である。これらのアフィニティー精製工程および試薬は、一般的には、核酸に基づくものであるが、理論上は、互いに特異的結合を呈し、かつ相互作用が破壊されて開放されるように化学的処理または結合条件の変更を行うことにより放出されうる任意の結合ペアでありうる。たとえば、抗体/抗原ペア、タンパク質/金属相互作用、またはリガンド/レセプター相互作用など。
精製の一例を以下に提供する。
ハイブリダイゼーションの終了後、ハイブリダイゼーションサンプルの塩(30μl、開始時5×SSPE=825mM Na)を約1×SSPEの最終濃度に調整する。希釈サンプルを30μl F−フックMyOne Dynabeads(F−MODB)に添加し、回転させながら室温で15分間に結合させる。ビーズをマグネットで固定し、上清を除去する。回転させながら室温で15分間にわたり150μl 0.1xSSPE+0.1%Tweenを用いてビーズを2回洗浄し、廃棄する。精製されたレポーターを、回転させながら45℃で30μl 0.1×SSPE中に15分間溶出させる。この時点では、ハイブリダイズされたレポーターは、汚染性のハイブリダイズされていないレポーターから精製される。溶出液は、依然として、ストレプトアビジン被覆スライド上のビオチン結合部位に対してレポーターと競合する汚染性のハイブリダイズされていないゴーストプローブを含有している。30μlを130μlの1×SSPE+0.1%Tweenに添加し、塩濃度を増大させる。次に、サンプル(150μl)を30μlのG−MODBに充填し、室温で15分間結合させる。上清を廃棄し、回転させながら室温で150μl 0.1×SSPE+0.1%Tweenを用いてビーズを15分間洗浄する。洗液を廃棄し、完全に精製されたレポーターを、回転させながら45℃で25μl 0.1×SSPEを用いて15分間溶出させる。この時点では、ゴーストプローブ(抗F配列を含有する)とレポーター(抗G配列を含有する)との両方にハイブリダイズされた標的分子だけが溶液中に残存するであろう。
13.12 ナノレポーター−標的複合体の固定および伸長および画像化
伸長された複合体のスライドへの結合および固定は、ビオチン−ストレプトアビジン相互作用を利用して達成可能である。他の選択肢の実施形態では、固定および伸長は、他の相互作用ペアを用いて達成される。ただし、2つのうちの一方は、スライド上に固定され、他方は、ゴーストプローブまたはレポーターのいずれかに結合される。電気泳動を利用して伸長を達成する必要はなく、機械的に実施可能である。結合前、サンプルへのビス−トリスプロパンの添加は必要でない。技術は、異なる標識モノマーを画像処理により分離しうるかぎり、本明細書中に例示された特定の標識モノマーの使用に限定されるものではない。
固定および伸長のプロトコルの一例を以下に提供する。
精製後、ハイブリダイゼーション生成物をマイクロ流体デバイスの開放ウェル中に直接充填する。液体は、毛管作用によりマイクロ流体チャネル中に吸引され、ハイブリダイズされた分子は、ビオチン化ゴーストプローブを介してストレプトアビジン被覆スライドに結合する。次に、反応混合物をチャネル中に反復して通して結合効率を増大させるために、チャネルの長手方向に垂直な軸に沿って交互方向で間欠的にマイクロ流体デバイスを傾斜させる。
ハイブリダイゼーション反応系の結合後、ある角度でデバイスを傾斜させることにより、チャネルを1×TAEで5分間洗浄する。次に、ウェル(我々の現用の形状では30マイクロリットル)中に挿入された白金電極に接触させるのに十分なレベルまで、新しいTAEを各ウェルに添加する。次に、マイクロ流体チャネルにより連結された2つのウェル間に200Vの電位を印加することにより、レポーターを伸長させる。チャネル内のいかなる残存する汚染性の未結合レポーター分子をも除去するためにあらかじめ1分間電気泳動させた後、1×TAE中の0.5μM G−フックの溶液をカソードウェルに添加する(60マイクロリットルのこの溶液)。電位によりG−フックはアノードウェルの方向にチャネルを通って吸引される。チャネルを通過する際、フックは、表面に結合され伸長されたレポーターの自由端上の遊離G−タグ配列にハイブリダイズする。次に、表面上のストレプトアビジンは、G−フック上のビオチンに結合し、自由端を固定する。電位を除去した時、レポーターは、画像化に供されるべく伸長状態を保持する。
14. 実施例9:ナノ鎖レポーターシステムを用いるA549細胞由来の100ng全RNAへの509種の細胞遺伝子のハイブリダイゼーション
14.1 ハイブリダイゼーション反応
509種の内在性細胞遺伝子の検出を単一の多重化ハイブリダイゼーション反応で行った。細胞1個あたり約0.1、0.5、1、5、10、50、および100コピーに対応する8種の非ヒト対照配列を各反応系にスパイクした。同様に、標的を用いずに2種のレポーターをスパイクした(陰性対照)。また、ポストハイブリダイゼーション精製プロセスに対する陽性(3)および陰性(1)の対照として機能する4種のレポーターを添加した。また、全ナノ鎖レポーターライブラリーを含有するが細胞RNAが欠如した一連の陰性対照ハイブリダイゼーションを行った。
各サンプルを三重反復試験方式でハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション試薬の最終濃度は、次のとおりであった:20.8nM全ナノレポーター(それぞれ40pMで521種の個別ナノレポーター)、103nM全ゴーストプローブ(517種の個別ゴーストプローブ@各200pM)、5×SSPE(pH7.5)、5×Denhardt試薬、100ng/μl剪断サケ精子DNA、0.1%トゥイーン20、50fM S11スパイク標的DNA、10fM S10スパイク標的DNA、5fM S9スパイク標的DNA、1fM S8スパイク標的DNA、0.5fM S7スパイク標的DNA、0.1fM S6スパイク標的DNA。S3およびS4を陰性対照として添加した。2つの異なる条件下でA549肺上皮細胞からRNAを取得した。1回のハイブリダイゼーションあたりの全RNAの最終濃度は、33ng/μlであった。陰性対照ハイブリダイゼーションには全RNAを添加しなかった。反応の最終量は、30μlであった。試薬を混合し、加熱蓋を備えたサーモサイクラーブロック中65℃で20時間インキュベートした。
Figure 2009521230
Figure 2009521230
14.2 ポストハイブリダイゼーション精製
磁気ビーズ(F−ビーズ)に結合されたゴーストプローブに相補的なオリゴヌクレオチドを用いて、ハイブリダイゼーション反応系を精製し、ハイブリダイズされていないレポーターを除去した。ハイブリダイゼーション反応系を0.1%Tween−20/TE中に5倍希釈して最終塩濃度を1×SSPEにした。次に、希釈されたハイブリダイゼーション溶液を100μlのF−ビーズ(0.1%Tween−20中)に添加し、連続回転させながら室温でビーズに30分間結合させた。次に、150μlの0.1×SSPE/0.1%Tween−20中でビーズを3回洗浄し、100μlの0.1×SSPE/0.1%Tween−20中45℃で15分間溶出させた。
F−ビーズ溶出後、Gビーズを用いて、ハイブリダイズされた複合体の反対側末端からサンプルを精製した。50μlの3×SSPE/0.1%Tween−20を添加することにより溶出液を1×SSPEの最終濃度にし、回転させながら室温で30μlのGビーズ(0.1%Tween−20中)に15分間結合させた。次に、ビーズを以上のように洗浄し、30μlの0.1×SSPE/Tween−20中に溶出させ、以下に記載されるように結合用として調製した。
14.3 結合、伸長、および固定
0.1μM TetraspecTM蛍光マイクロスフェア(製品番号T7279、Molecular Probes)の1/5000希釈液1μlを添加することにより、結合用としてサンプルを調製した。サンプルをナノ鎖流体デバイスに充填し、15分間にわたりデバイスを45°傾斜させることにより、ストレプトアビジンで被覆されたAccelr8 Optichem(登録商標)スライド(製品番号TB0200)に結合させ、合計4回反復した。充填後、90μlの1×TAEでスライド表面を1回洗浄した。洗浄緩衝液を除去した後、40μlのTAEを各ウェルに添加することにより、電気伸長用としてサンプルを調製する。流体チャネルを横切って200Vを印加することにより、結合された複合体を伸長させた。1分後、電圧の印加を5分間継続しながら、負荷電電極の入ったウェルに60μlの500nMのG−フックオリゴ溶液を添加することにより、サンプルを伸長位置で固定した。固定後、TAE溶液を除去し、画像化のために光漂白防止試薬で置き換えた。
14.4 画像化
メタルハライド光源(X−cite 120、Exfo Corporation)と倍率60倍の油浸レンズ(1.4 NA Plan Apo VC、Nikon)とを備えたNikon Eclipse TE2000Eを用いて、スライドを画像化した。Metamorphソフトウェア(Universal Imaging Corporation)または特注品のソフトウェアのいずれかの制御下でOrca Ag CCDカメラ(Hamamatsu)を用いて、各視野ごとに異なる励起波長(480、545、580、および622)で4つの画像を取得した。特注品の画像処理ソフトウェアを用いて画像を処理した。
14.5 データ解析
特注品のソフトウェアを用いて処理画像から生データを抽出した。各サンプル中の対照スパイクの平均カウント数を基準にしてデータを規格化した。システムにより遺伝子が「検出」されたかを判定するために、スチューデントのt検定を用いて、各遺伝子ごとにRNAを含有するハイブリダイゼーションから得られたカウント数を2つの陰性対照の平均カウント数と比較した。検出された遺伝子の数は、サンプル#1および#2で、それぞれ、441種(87%)および445種(88%)であった。
散布図(図は、509種のすべての遺伝子について各陽性サンプル(n=3)から得られたlogシグナル値の規格化平均値を示している。サンプル#1に対してサンプル#2のシグナル値のt検定を行うことにより、2つのサンプルで有意に異なる遺伝子を同定した。以下の図中、実線は、サンプル#1に対して2倍にアップレギュレートされる閾値(黒色の線)および2倍にダウンレギュレートされる閾値(灰色の線)を示している。有意な変化倍率(p値<0.05)を有する遺伝子は、中塗りの黒の菱形で示されている。変化倍率のp値がこの閾値を超えた遺伝子は、中抜きの黒の正方形で示されている。
15. 実施例10:小さいスポットの検出
以上に述べたように、ナノレポータースカフォールド領域の標識結合領域は、10nm〜10,000nmの間の任意の長さを有するが、好ましくは、標準的光学素子で検出可能な最小スポット(約300nmである)にほとんど一致する。異なる色(分光的に識別可能)のスポットは、同一の色のスポットよりも狭い間隔で空間的に解像可能である。同一の色の2つのスポット間に異なる色の1、2、3、もしくは4つのスポットを割り込ませて、しかもすべてのスポットをスペクトル的におよび空間的に解像することが可能である。同一の色の2つのスポット間の距離を有意に減少させることも可能である。
空間的解像の限界、すなわち、同一の色のわずかに離間したスポットを識別する限界は、多くの場合、ハードリミットすなわちレイリー基準であると考えられる(Inoue, S., Spring, Video Microscopy (Plenum Press, 1997), p 30.)。こうした限界を超えて動作させる多くの技術が存在する。これらは、さまざまな画像化技術および/または画像処理技術を含む。画像化の側面では、構造化光照射は、互いにより近接して配置された同一の色のスポットを解像する一方法である。50nmが実証されているが、理論的には、構造化光照射による解像には限界がない(Gustafsson, 2005, Proc. Nat’l. Acad. Sci. U.S.A. 102:13081-13086)。画像処理の側面では、混合モデリングは、一般に認められる限界を突破するのに有効な技術である(Thomann et al., 2002, J. Microsc. 211:230-248)。これらの技術を組み合わせれば、50nm未満の標識結合領域に対応するより小さいスポットを有する劇的に小さいナノレポーターが利用可能になる。
こうしたより小さいスポット間隔にすれば、絡合いの閾値(絡合いの閾値の解説については、以上の実施例9(第14節に記載)を参照されたい)を超える前に、劇的により短くかつより安定なレポーター、より多くのコード、さらにはより高い多重化度が利用可能になる。
スポットをきわめて小さくすることおよびレポーターをきわめて短くすることの代償は、シグナルの減少および走査時間の延長であろう。しかしながら、より高輝度の光源やより高効率のCCDのような他の技術的進歩があれば、走査時間の増大が相殺され、これらの方法が妥当なものになろう。
16. 引用文献
本明細書に引用されている参考文献はすべて、あたかも個々の刊行物または特許または特許出願が具体的かつ個別的に明示されて参照によりその全体があらゆる目的で組み入れられたのと同一程度まで、参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み入れられるものとする。
当業者には自明なことであろうが、本発明に対してその精神および範囲から逸脱することなく多くの修正および変更を加えることが可能である。本明細書に記載の特定の実施形態は、単なる例として提供されたものにすぎず、本発明は、特許請求の範囲(そのような特許請求の範囲の権利の及ぶ等価物の全範囲を包含する)によってのみ限定されるものとする。
図1Aは、2つの八位置ナノレポーター成分を用いる十六位置ナノレポーターコードを有するデュアルナノレポーターを示している。図1Bは、1つの八位置ナノレポーター成分と1つの単一位置ナノレポーター成分とを用いる九位置ナノレポーターコードを有するデュアルナノレポーターを示している。図1Cは、1つのゴーストプローブと1つの八位置ナノレポーター成分とを用いる八位置ナノレポーターコードを有するデュアルナノレポーターを示している。図1Dは、八位置ナノレポーターコードを有するシングルナノレポーターを示している。図1A〜1Dにおいて、星形(矢印で示される)は、画像化を目的として、ナノレポーターの精製またはナノレポーター(もしくはナノレポーター−標的分子複合体)の固定に使用しうるアフィニティータグを描いたものである。図1A〜1D中の番号付き領域は、個別標識結合領域を意味する。図1Aの位置12以外はすべて、灰色、白色、ハッチング付き、またはストライプ入りの「太陽」図として示される4タイプの標識モノマーのうちの1つで標識される。図1Aの位置12は、非標識化「ダークスポット」である。図1Eおよび1Fは、それぞれ、図1Bおよび1Dのナノレポーターに対する変形形態を表しており、ナノレポーターが結合される標的分子は、ビオチン部分(小さいアステリスクとして示される)、たとえば、標的核酸にランダムに組み込まれたビオチン修飾ヌクレオチドを含む。ナノレポーター自体は、場合により、アフィニティータグを含む(図示せず)。 図1Aは、2つの八位置ナノレポーター成分を用いる十六位置ナノレポーターコードを有するデュアルナノレポーターを示している。図1Bは、1つの八位置ナノレポーター成分と1つの単一位置ナノレポーター成分とを用いる九位置ナノレポーターコードを有するデュアルナノレポーターを示している。図1Cは、1つのゴーストプローブと1つの八位置ナノレポーター成分とを用いる八位置ナノレポーターコードを有するデュアルナノレポーターを示している。図1Dは、八位置ナノレポーターコードを有するシングルナノレポーターを示している。図1A〜1Dにおいて、星形(矢印で示される)は、画像化を目的として、ナノレポーターの精製またはナノレポーター(もしくはナノレポーター−標的分子複合体)の固定に使用しうるアフィニティータグを描いたものである。図1A〜1D中の番号付き領域は、個別標識結合領域を意味する。図1Aの位置12以外はすべて、灰色、白色、ハッチング付き、またはストライプ入りの「太陽」図として示される4タイプの標識モノマーのうちの1つで標識される。図1Aの位置12は、非標識化「ダークスポット」である。図1Eおよび1Fは、それぞれ、図1Bおよび1Dのナノレポーターに対する変形形態を表しており、ナノレポーターが結合される標的分子は、ビオチン部分(小さいアステリスクとして示される)、たとえば、標的核酸にランダムに組み込まれたビオチン修飾ヌクレオチドを含む。ナノレポーター自体は、場合により、アフィニティータグを含む(図示せず)。 図2Aは、長手方向に配設されたパッチユニットおよび対応するスプリットフラップを有するスカフォールドを含有するナノレポーターの標識ユニットの説明図を示している。図2Bは、単一のパッチペアおよびその対応するフラップの成分を示しており、1:ナノレポータースカフォールド(たとえば、M13一本鎖DNA)の一部;2:パッチペア;3:スプリットフラップペア;および4:スプリットフラップにハイブリダイズされた標識化オリゴヌクレオチド(それぞれに標識モノマーが組み込まれている)が含まれる。図2Cは、4つの「スポット」を有するナノレポーターを示しており、各スポットは、95〜100ヌクレオチドのスプリットフラップペアにそれぞれ結合された60〜65ヌクレオチドの9つのパッチペアを含有するようにデザインされている。各スプリットフラップペアは、単一の標識モノマーにそれぞれ結合された12個のオリゴヌクレオチドに対する結合部位を有していた。したがって、各スポットは、108個の標識モノマーに対する結合部位を有していた。 パッチがRNAセグメントであるナノレポーターは、レジスターあり(図3B)およびレジスターなし(図3A)で使用可能である。図3Aおよび3Bはいずれも、(1)ナノレポータースカフォールド(黒色の太線)、(2)それに結合された8個のRNAセグメント(灰色の太線1〜8)、(3)標的特異的配列(点線「T」)、および(4)ナノレポータースカフォールドに部分的に相補的かつ標的特異的配列に部分的に相補的なオリゴヌクレオチド(チェック柄の線「0」)を示している。このオリゴヌクレオチドは、「ライゲーター」オリゴヌクレオチドと呼ばれる。図3Aでは、1つのレジスターのみ、すなわち、1つおきのRNAセグメントが標識される。第2のレジスター位置は、コード中の一連の位置が同一の「色」すなわち分光的に識別不可能であるナノレポーターコードの生成を可能にする「スペーサー」として機能する。図3Bでは、両方のレジスター、すなわち、介在スペーサーを有していない隣接RNAセグメントが、同一の「色」の最近接部分をもたないように標識される。 図4は、標的分子にハイブリダイズされたデュアルナノレポーターの画像である。ここでは、両方のレジスターが標識される。ナノレポーターは、3つの異なる色、すなわち、Alexa488、Cy3、およびAlexa647(それぞれ、1、2、および3と記す)で標識される。左側のグループは、デュアルナノレポーターの一方のプローブを示しており、右側のグループは、デュアルナノレポーターの他方のプローブを示している。色1、2、および3は、それぞれ、異なるチャネルで得られたものであり、スポットの並びとして観察される第1および第2のレジスターは、各レジスターを個別に示すことができるように数ピクセルだけ上にずらした。 この図は、図4に示されるデュアルナノレポーターの種々の成分を示している。図5Aは、Cy3(縦ストライプ入りの丸として左のカラムに描かれて図5Bに示される)およびAlexa647(対角ストライプ入りの丸として図5Cに示される)から分光的に識別可能な1つの色(ここでは、白丸として左のカラムに描かれるAlexa488)を示している。それぞれから得られた画像を重ね合わせて図5Dを作成した。 図6Aは、図6Bおよび6Cに示される実験の概略図である。この場合、星形は、伸長前に複合体の一端を表面に結合させるために使用したビオチンを表している。図6Bおよび6Cは、S2−Aゴーストプローブ、S2−B標識化ナノレポーター、およびS2標的DNA(図6B)またはS2標的RNA(図6C)をハイブリダイズさせた実験で得られた画像を示している。図6Eは、図6Bで得られたナノレポーター複合体の拡大図を示しており、各複合体は、S2−Aゴーストプローブ、S2−B標識化ナノレポーター、およびS2標的DNAを含有する。図6Dは、S2−Aゴーストプローブ、S2−B標識化ナノレポーターはハイブリダイズさせたがS2標的RNAはハイブリダイズさせなかった陰性対照実験の画像を示している。 図7A、7B、7C、および7Dは、ナノレポータースカフォールド上のパッチの異なる入替え形態を示しており、図7Eおよび7Fは、ナノレポータースカフォールド上のスプリットフラップの異なる入替え形態を示しており、場合により、図7Gのように1つ以上のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされる。図7A〜G中、αは、5’もしくは3’分子または分子の5’もしくは3’末端を表し、βは、対応する3’もしくは5’分子または分子の3’もしくは5’末端を表す。 図7A、7B、7C、および7Dは、ナノレポータースカフォールド上のパッチの異なる入替え形態を示しており、図7Eおよび7Fは、ナノレポータースカフォールド上のスプリットフラップの異なる入替え形態を示しており、場合により、図7Gのように1つ以上のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされる。図7A〜G中、αは、5’もしくは3’分子または分子の5’もしくは3’末端を表し、βは、対応する3’もしくは5’分子または分子の3’もしくは5’末端を表す。 図8は、ナノレポータースカフォールドとして使用するために一本鎖M13ファージを線状化するスキームを示している。環状M13ファージを5倍過剰のBamH1カッターオリゴヌクレオチド(ハッチング付きライン)にアニールし(1)、得られた部分的に二本鎖のM13を制限エンドヌクレアーゼBamH1で消化することにより(2)、BamH1カッターオリゴヌクレオチドが依然として結合されている線状化M13を得る(3)。このM13−オリゴヌクレオチド複合体をBamH1カッターオリゴヌクレオチドに相補的な過剰のオリゴヌクレオチド(「抗BamH1オリゴヌクレオチド」)(灰色の線)の存在下で加熱する(4)。BamH1カッターオリゴヌクレオチドは、過剰の抗BamH1オリゴヌクレオチドにアニールし、M13分子は、たとえばサイズ排除カラムを用いて、オリゴヌクレオチドから精製され、M13スカフォールドを生成する。 図9A〜9Bは、それぞれの末端にアフィニティータグA1およびA2を有する標識化ナノレポーターを示している。図9中、標識化ナノレポーターは、固定化親和性パートナーへのA1の結合を介して固定される。A2に対するアフィニティー結合パートナーの不在下では、ナノレポーターのA2末端は溶液中に残存するが(図9A)、アフィニティー結合パートナー(A2’)の存在下では、ナノレポーターのA2末端もまた固定される(図9B)。固定時、ナノレポーターコードの検出が可能になるように標識結合領域を分離するために、たとえば電気伸長により、図9Bに示されようにナノレポーターの伸長すなわち「引伸し」を行うことが可能である。 図10Aは、単一のアフィニティータグA1を含有する標識化ナノレポーターを示している。図10Bに示されるように、A2を含有する分子にナノレポーターを直接結合させることにより、他のアフィニティータグA2をナノレポーターに結合させることが可能である(たとえば、ナノレポーターが核酸であるかまたは核酸を含む場合、A2が結合される他の核酸で直接ハイブリダイズすることが可能である)。他の選択肢として、図10Cに描かれる架橋核酸(「X」)のような架橋分子を介して、第2のアフィニティータグA2を標識化ナノレポーターに結合させることが可能である。 図11A〜11Bは、一端にアフィニティータグA1を有する標識化(核酸型)ナノレポーターを示している。図11中、標識化ナノレポーターは、固定化親和性パートナーへのA1の結合を介して固定される。ナノレポーターの他端は、溶液中に存在するが(図11A)、ナノレポーターの固定に使用される他のアフィニティータグ(A2)を含有する相補的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせることにより固定可能である(図11B)。A1およびA2は、たとえば、アビジンまたはストレプトアビジンで被覆された表面上に固定するために、同一のビオチンでありうる。A1の固定時、ナノレポーターコードの検出が可能になるように標識結合領域を分離するために、たとえば電気伸長により、図11に示されようにナノレポーターの伸長すなわち「引伸し」を行うことが可能である。場合により、ナノレポーターが引き伸ばされた状態にある間、A2を導入し、A2に相補的なナノレポーターの末端を表面に結合させる。 図12Aは、固定された第1の部分F1を含むナノレポーターの説明図を提供し;図12Bは、固定された第1の部分F1と固定された第2の部分F2とを含む電場中で伸長されたナノレポーターの説明図を提供する(ただし、F2は、分子F3を有する複合体を介して固定される)。 図13Aは、伸長型ナノレポーターを固定するための三元複合体の説明図を提供し;図13Bは、伸長型ナノレポーターを固定するための二元複合体の説明図を提供し;そして図13Cは、伸長型ナノレポーターを固定するための不完全な複合体の説明図を提供する。 図14Aは、固定された第1の部分F1を含むナノレポーターの説明図を提供し;図14Bは、第1の部分F1で固定されかつF2との複合体を介して第2の部分で固定された伸長型ナノレポーターの説明図を提供し;図14Cは、ビオチンを介してアビジン表面に固定された第1の部分を含むナノレポーターの説明図を提供し;そして図14Dは、第1の部分で固定されかつアビジン表面へのビオチンの選択的結合を介して第2の部分で固定された伸長型ナノレポーターの説明図を提供する。 図14Aは、固定された第1の部分F1を含むナノレポーターの説明図を提供し;図14Bは、第1の部分F1で固定されかつF2との複合体を介して第2の部分で固定された伸長型ナノレポーターの説明図を提供し;図14Cは、ビオチンを介してアビジン表面に固定された第1の部分を含むナノレポーターの説明図を提供し;そして図14Dは、第1の部分で固定されかつアビジン表面へのビオチンの選択的結合を介して第2の部分で固定された伸長型ナノレポーターの説明図を提供する。 図15Aは、マイクロ流体デバイス中におけるDNA分子の一方の末端の固定を示している。 図15Bは、電場中におけるDNAの伸長を示している。 図15Cは、伸長型DNA分子の第2の末端の選択的固定を示している。 図16は、本発明に係る方法により選択的に固定された伸長型ナノレポーターの画像を提供する。 図17は、900bpおよび1100bpの標識結合領域サイズのナノレポーターに関して、標識結合領域の数と絡合い閾値の計算値との関係を示している。 図18は、以下の実施例9(第14節)に記載のナノレポーター多重アッセイで発現の測定が行われた509種のすべての遺伝子に関して、各陽性サンプル(n=3)から得られたlogシグナル値の規格化平均値を示す散布図である。

Claims (47)

  1. 第1のプローブおよび第2のプローブを含むプローブペアであって、該第1のプローブが、
    (a)(i)第1のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第1の標識結合領域;(ii)第2のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第2の標識結合領域(該第1の標識結合領域とオーバーラップしない);を含む第1の分子と、
    (b)該第1の分子に結合された第1の標的特異的配列と、
    を含む複合体であり、
    該第2のプローブが、(i)第2の標的特異的配列;(ii)場合により、第3のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第3の標識結合領域;および(iii)場合により、第2の分子に結合されたアフィニティータグ;を含む第2の分子であり、
    該第1の標的特異的配列および該第2の標的特異的配列が、同一の標的分子の異なる領域に結合し、
    該標的分子が、天然に存在する分子または天然に存在する分子のcDNAまたは該cDNAの相補体であり、
    該プローブペアがその標的分子に結合された時、該第1および該第2のシグナルの同一性ならびにそれらの互いの相対位置が、該標的分子を同定するコードの少なくとも一部を構成する、上記プローブペア。
  2. 第1のプローブおよび第2のプローブを含むプローブペアであって、該第1のプローブが、
    (a)(i)第1のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第1の標識結合領域;(ii)第2のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第2の標識結合領域;を含む第1の分子と、
    (b)該第1の分子に結合された第1の標的特異的配列と、
    を含む複合体であり、
    該第2のプローブが、(i)第2の標的特異的配列;(ii)場合により、第3のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第3の標識結合領域;および(iii)場合により、第2の分子に結合されたアフィニティータグ;を含む第2の分子であり、
    該第1の標的特異的配列および該第2の標的特異的配列が、同一の標的分子の異なる領域に結合し、
    該第1のシグナルおよび該第2のシグナルが、空間的もしくは分光的に識別可能であり、
    該標的分子が、天然に存在する分子または天然に存在する分子のcDNAまたは該cDNAの相補体であり、
    該プローブペアがその標的分子に結合された時、該第1および該第2のシグナルの同一性ならびにそれらの互いの相対位置が、該標的分子を同定するコードの少なくとも一部を構成する、上記プローブペア。
  3. 前記第1および前記第2の標識結合領域が所定のヌクレオチド配列である、請求項1または2に記載のプローブペア。
  4. 第1のDNA分子が前記第1の標識結合領域にハイブリダイズされ、この第1のDNA分子に、前記第1のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが結合され;かつ第2のDNA分子が前記第2の標識結合領域にハイブリダイズされ、この第2のDNA分子に、前記第2のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが結合される、請求項3に記載のプローブペア。
  5. 第1のRNA分子が前記第1の標識結合領域にハイブリダイズされ、この第1のRNA分子に、前記第1のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが結合され;かつ第2のRNA分子が前記第2の標識結合領域にハイブリダイズされ、この第2のRNA分子に、前記第2のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが結合される、請求項3に記載のプローブペア。
  6. 複数の第1のDNA分子が前記第1の標識結合領域にハイブリダイズされ、これらのDNA分子に、前記第1のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが結合され;かつ複数の第2のDNA分子が前記第2の標識結合領域にハイブリダイズされ、これらの第2のDNA分子に、前記第2のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが結合される、請求項3に記載のプローブペア。
  7. 複数の第1のRNA分子が前記第1の標識結合領域にハイブリダイズされ、これらのRNA分子に、前記第1のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが結合され;かつ複数の第2のRNA分子が前記第2の標識結合領域にハイブリダイズされ、これらの第2のRNA分子に、前記第2のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが結合される、請求項3に記載のプローブペア。
  8. 前記第1のプローブがアフィニティータグをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプローブペア。
  9. 前記第2のプローブがアフィニティータグを含む、請求項1〜7に記載のプローブペア。
  10. 前記第2のプローブが、第3のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第3の標識結合領域を含む、請求項1〜7に記載のプローブペア。
  11. 前記第3の標識結合領域が所定のヌクレオチド配列であり、かつ第3のRNA分子が前記第3の標識結合領域にハイブリダイズされ、この第3のRNA分子に、前記第3のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが結合される、請求項10に記載のプローブペア。
  12. 前記プローブペアがその標的分子に結合された時、前記コードが、前記第1のシグナル、前記第2のシグナル、および前記第3のシグナルの同一性とそれらの互いの相対位置とを含む、請求項11に記載のプローブペア。
  13. 前記コードが、前記第1および前記第2のシグナルの同一性と、それらの互いの相対位置と、前記シグナルの少なくとも1つから生じるスポットのサイズと、を含む、請求項1または2に記載のプローブペア。
  14. 前記第1および前記第2の分子が核酸分子である、請求項9に記載のプローブペア。
  15. 前記標識結合領域および前記標的特異的配列が所定のヌクレオチド配列である、請求項14に記載のプローブペア。
  16. 前記1つ以上の標識モノマーが、それらのそれぞれの結合領域にハイブリダイズされた核酸に共有結合される、請求項15に記載のプローブペア。
  17. 前記核酸が、1つ以上の非共有結合架橋核酸を介してそれぞれの結合領域にハイブリダイズされる、請求項16に記載のプローブペア。
  18. 前記第1および前記第2の標的特異的配列が、1つ以上の前記標識モノマーのいずれによっても標識されない、請求項1または2に記載のプローブペア。
  19. 前記第2の分子が、第4のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される第4の標識結合領域(前記第3の標識結合領域とオーバーラップしない)をさらに含む、請求項9に記載のプローブペア。
  20. 前記プローブペアがその標的分子に結合された時、前記コードが、前記第1のシグナル、前記第2のシグナル、前記第3のシグナル、および前記第4のシグナルの同一性とそれらの互いの相対位置とを含む、請求項19に記載のプローブペア。
  21. 前記第2のプローブがアフィニティータグをさらに含む、請求項8に記載のプローブペア。
  22. 第1のRNA分子が前記第1の標識結合領域にハイブリダイズされ、この第1のRNA分子に、前記第1のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが結合され;かつ第2のRNA分子が前記第2の標識結合領域にハイブリダイズされ、この第2のRNA分子に、前記第2のシグナルを構成する光を放出する前記1つ以上の標識モノマーが結合され;かつ前記第1のプローブおよび/または前記第2のプローブがアフィニティータグをさらに含む、請求項8に記載のプローブペア。
  23. 前記アフィニティータグが前記第1の分子または前記第2の分子に共有結合される、請求項8に記載のプローブペア。
  24. 前記第1の標識結合領域に結合された標識モノマーが同一の波長の光を放出し、この光が前記第1のシグナルを構成し、かつ前記第2の標識結合領域に結合された標識モノマーが同一の波長の光を放出し、この光が前記第2のシグナルを構成する、請求項1に記載のプローブペア。
  25. 前記第1のシグナルおよび前記第2のシグナルの少なくとも一方が、複数の異なる波長の光を含む、請求項1に記載のプローブペア。
  26. 前記第1および前記第2のシグナルが分光的に識別可能である、請求項1に記載のプローブペア。
  27. 前記第1および前記第2のRNA分子が、それぞれ、100〜3,000ヌクレオチドの長さである、請求項5に記載のプローブペア。
  28. 前記第1および前記第2のRNA分子が、それぞれ、500〜1,500ヌクレオチドの長さである、請求項5に記載のプローブペア。
  29. 前記第2のプローブが、
    (a)前記第2の分子と、ただし、この第2の分子は、第3のRNA分子がハイブリダイズされる第3の標識結合領域を含み、この第3のRNA分子に、第3のシグナルを構成する光を放出する1つ以上の標識モノマーが結合される;
    (b)前記第2の分子に結合された前記第2の標的特異的配列と;
    を含む核酸複合体であり、
    前記コードが、前記第1、前記第2、および該第3のシグナルの同一性とそれらの互いの相対位置とを含む、請求項5に記載のプローブペア。
  30. 前記第1の標識結合領域に結合された標識モノマーが同一の波長の光を放出し、この光が前記第1のシグナルを構成し;前記第2の標識結合領域に結合された標識モノマーが同一の波長の光を放出し、この光が前記第2のシグナルを構成し;かつ前記第3の標識結合領域に結合された標識モノマーが同一の波長の光を放出し、この光が前記第3のシグナルを構成する、請求項29に記載のプローブペア。
  31. 前記第1のシグナル、前記第2のシグナル、および前記第3のシグナルの少なくとも1つが、複数の異なる波長の光を含む、請求項29に記載のプローブペア。
  32. 前記第1の標的特異的配列および前記第2の標的特異的配列が、1つ以上の前記標識モノマーのいずれによっても標識されない、請求項29に記載のプローブペア。
  33. 第1、第2、および第3のシグナルが分光的に識別可能である、請求項29に記載のプローブペア。
  34. 第1および第3のシグナルが、同一の1つもしくは複数の波長で発光する、請求項29に記載のプローブペア。
  35. 前記第1のプローブがアフィニティータグをさらに含む、請求項29に記載のプローブペア。
  36. 前記第2のプローブがアフィニティータグをさらに含む、請求項29に記載のプローブペア。
  37. 前記第2のプローブがアフィニティータグをさらに含む、請求項35に記載のプローブペア。
  38. 前記アフィニティータグが前記第1の分子に共有結合される、請求項35に記載のプローブペア。
  39. 前記アフィニティータグが前記第2の分子に共有結合される、請求項36に記載のプローブペア。
  40. 前記第1、前記第2、および前記第3のRNA分子が、それぞれ、100〜3,000ヌクレオチドである、請求項29に記載のプローブペア。
  41. 前記第1、前記第2、および前記第3のRNA分子が、それぞれ、500〜1,500ヌクレオチドである、請求項29に記載のプローブペア。
  42. 生体分子サンプル中の標的分子を検出する方法であって、(i)該サンプルを、該標的分子への前記第1の標的特異的配列および前記第2の標的特異的配列の結合を可能にする条件下で請求項1〜41のいずれか1項に記載のプローブペアに、接触させることと、(ii)該標的分子を同定するコードを検出することと、を含む、上記方法。
  43. 前記生体分子サンプル中の前記標的分子の量を定量することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
  44. 前記第1および前記第2の標的特異的配列のそれぞれの濃度が、前記標的分子の濃度を超える、請求項42または43に記載の方法。
  45. 生体分子サンプル中の複数の標的分子を検出する方法であって、(i)該サンプルを、請求項1〜41のいずれか1項に記載のプローブペアの集団に、それらの標的分子のそれぞれへの各プローブペアの第1の標的特異的配列および第2の標的特異的配列の結合を可能にする条件下で接触させることと、ただし、該集団中の各プローブペアは、その標的分子のそれぞれに結合された時、識別可能なコードに関連付けられる、(ii)該複数の標的分子を同定するコードを検出することと、を含む、上記方法。
  46. 前記生体分子サンプル中の前記複数の標的分子のそれぞれの量を定量することをさらに含む、請求項45に記載の方法。
  47. 前記集団の各プローブペアの第1および第2の標的特異的配列のそれぞれの濃度が、その標的分子のそれぞれの濃度を超える、請求項45または46に記載の方法。
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