JP2009511540A - エチレンアミンの製造法 - Google Patents

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Abstract

1,2−ジクロロエタン(EDC)とアンモニアとの反応によるエチレンアミンの製造法において、塩化水素と共にイオン性液体(IL)を形成する有機窒素−又はリン化合物の存在で反応を実施することを特徴とする、エチレンアミンの製造法。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、1,2−ジクロロエタン(EDC)とアンモニアとの反応によるエチレンアミンの製造法に関する。
エチレンアミンは、とりわけ溶剤、安定剤として、キレート形成剤、合成樹脂、医薬品、阻害剤及び界面活性物質の合成のために使用される。
エチレンジアミン(EDA)及びジエチレントリアミン(ビス(2−アミノエチル)アミン;DETA)は特に着色剤のための溶剤として使用され、かつ、イオン交換体、有害生物駆除剤、酸化防止剤、腐食防止剤、錯化剤、テキスタイル助剤及び(酸性)ガスのための吸収剤の製造のための出発材料である。
エチレンアミン、その中でも特にEDA及びDETAの製造に対して、刊行物に多数の方法が記載されている。
エチレンアミンは特に2つの異なる技術により製造される。
遷移金属触媒上でのアンモニアを用いたモノエタノールアミンのアミノ化の場合、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレンテトラミン(DETA)、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)及びピペラジン(PIP)並びにわずかな割合の高級エチレンアミンからの混合物が得られる。アンモニアを用いたモノエタノールアミン(MEOA)のアミノ化(例えばPEP Report No. 138, "Alkyl Amines", SRI International, 03/1981及びUS4,014,933(BASF AG)を参照のこと)により、上記の高級エチレンアミン(即ち、トリエチレンテトラミン(TETA)の沸点よりも高い沸点を有するエチレンアミン)の形成を、エチレンジアミンに有利なように十分に抑制することができる。しかしながら副生成物として、上記反応の場合にはアミノエチルエタノールアミン(AEEA)及びピペラジン(PIP)が生じる。
遷移金属触媒上でのEDAからDETAへの反応は、例えばGB−A−1,508,460(BASF AG)及びUS4,568,746(UCC))の記載から公知である。
第二の技術は1,2−ジクロロエタン(EDC)から出発し、これをアンモニアと反応させてエチレンアミンに変換し、その際、まず上記のエチレンアミンの塩酸塩が生じる。
PEP Report No. 138, "Alkyl Amines", SRI International, 03/1981、特に第7, 8, 13-16, 43-107, 113, 117頁の記載によれば、ジクロロエタンとアンモニアとを1:15のモル比で反応させることにより、20質量%を上回る生成エチレンアミンの割合を有するジエチレントリアミン(DETA)がもたらされる。しかしながら、エチレンジアミン(EDA)40質量%の他に高級エチレンアミン40質量%が生じる。
しかしながらその上ここで更に、高級エチレンアミンであるトリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)及びペンタエチレンヘキサミン(PEHA)の塩酸塩が生じる。アンモニアを用いた塩酸塩への変換は水溶液中で行われる。塩酸塩はそれにより溶解され、等モル量の苛性ソーダ液の添加によりそこからアミンが遊離され、即ち、粗排出物として、エチレンアミンEDA(30〜50質量%)、DETA(20〜30質量%)、高級エチレンアミン(30〜40質量%)及び多量の食塩の水溶液が得られる。前記混合物の後処理は、通常、まず全ての水を留去するという形式で行われる。その後、第二の工程において、全ての食塩が固体としてアミンから分離される。
ここで特にエネルギーコストのかかる水の蒸留並びに固体としての食塩(NaCl)の分離は不利である。
本発明の根底をなす課題は、先行技術の1つ以上の欠点を取り除き、エチレンアミンの改善された経済的な製造法を見出すことであり、その際エチレンアミンとは特に、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ピペラジン(PIP)、トリエチレンテトラミン(TETA)及び/又は高級直鎖ポリエチレンアミン(例えばテトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA))を指す。
従って、塩化水素(HCl)と共にイオン性液体(ionic liquid = IL)を形成する有機窒素−又はリン化合物の存在で反応を実施することを特徴とする、1,2−ジクロロエタン(EDC)とアンモニアとの反応によるエチレンアミンの製造法が見出された。
本発明により製造された生成物は、特にEDA及び/又はDETAである。
反応は例えばまず以下の式に従って進行する:
EDC+2NH3→EDA+2HCl
EDA+EDC+NH3→DETA+2HCl
有利に、アンモニアは液状の形又は水溶液として使用される。
反応において遊離されたHClは、本発明によれば、有機窒素−又はリン化合物と一緒に、熱的に十分に安定なイオン性液体(IL)を形成し、このイオン性液体(IL)は溶剤としても機能する。
有機窒素化合物は有利に3級アミン又はN−複素環であり、有機リン化合物は有利に3級ホスファンである。
有利に、3級アミンは常圧(1atm=1.01325バール)で100℃を上回る、有利に200℃を上回る、特に250〜400℃の範囲内の沸点を有し、かつ、3級アミンのプロトン化により得られる相応する酸(アンモニウムイオン)は有利にその都度25℃で8.5を上回る、特に9.0を上回る、特に9.5〜12.0の範囲内のpKa値を有する。
特に有利に、3級アミンはC18-42−アルキルアミン、特にC20-38−アルキルアミン、極めて特にC22-34−アルキルアミンである。
更に有利に、3級アミンはα−及び/又はβ−C−原子上にアルキル鎖の分枝を有する。
特に有利な3級アミンの例は、トリス(2−エチル−ヘキシル)アミン、トリス−2−(シクロヘキシルエチル)アミン、トリス−(1−メチル−ヘプチル)アミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(TEDA)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)である。
イオン性液体(ionic liquids, IL)とは、Wasserscheid及びKeimによりAngewandten Chemie 2000, 112, 第3926-3945頁に定義されたようなものであると解釈される。イオン性液体の物質群は新種の溶剤である。上記刊行物に記載されているように、イオン性液体とは、非分子状の、イオン性の特性を有する比較的低温で溶融する塩である。このイオン性液体は、200℃未満、有利に150℃未満、特に有利に100℃未満の比較的低温ですでに液状であり、かつその際比較的低粘性である。イオン性液体は多数の有機、無機及びポリマー物質に対して極めて良好な溶解性を有している。
イオン性液体は、イオン性塩と比較して本質的により低い温度(通常200℃未満)で液状であり、かつしばしば0℃未満の、個々の事例では−96℃までの融点を有する。
更に、イオン性液体は通常不燃性であり、非腐食性であり、粘性がわずかであり、かつ測定不可能な蒸気圧が特徴的である。
イオン性液体とは、少なくとも1の正電荷と少なくとも1の負電荷とを有するが、総じて電荷中和であり、かつ200℃未満、有利に100℃未満、特に有利に50℃未満の融点を有する化合物を表す。
イオン性液体は、複数の正電荷及び相応する負電荷を有してもよく、例えば1〜5、有利に1〜4、特に有利に1〜3、極めて特に有利に1〜2、しかしながら特に正電荷と負電荷を1ずつ有してよい。
電荷は分子内部の種々の局在化もしくは非局在化範囲に存在していてもよい、つまりベタイン状であるか、又は1ずつ分離したアニオンとカチオンとに分散していてもよい。少なくとも1のカチオンと少なくとも1のアニオンとから構成されているイオン性液体が有利である。
当然のことながら、本発明による方法において、種々のイオン性液体の混合物の形成が考えられる。
カチオンとして、アンモニウムイオン又はホスホニウムイオン、又は、少なくとも1個のリン原子又は窒素原子並びに場合により1個の酸素原子又は硫黄原子を有する少なくとも1つの5員〜6員複素環を含むカチオン、更に、1、2又は3個の窒素原子及び1個の硫黄原子又は1個の酸素原子を有する、有利に1又は2個の窒素原子を有する少なくとも1つの5員〜6員複素環を含む化合物が有利である。
特に有利なイオン性液体は、1000g/モル未満、極めて特に有利に500g/モル未満の分子量を有するイオン性液体である。
更に、式(Ia)〜(Iw):
Figure 2009511540
Figure 2009511540
[式中、
ここで、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、相互に無関係にそれぞれC1-18−アルキル、場合により1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換又は非置換のイミノ基により中断されたC2-18−アルキル、C6-12−アリール、C5-12−シクロアルキル又は5員〜6員の酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する複素環を表すか、又はこれら2つが一緒になって、不飽和、飽和又は芳香族及び場合により1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換又は非置換のイミノ基により中断された環を形成し、その際、上記基はそれぞれ官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環により置換されていてよい]
の化合物並びに前記構造を含むオリゴマーもしくはポリマーから選択されたカチオンは有利である。
1、R2、R3、R4、R5及びR6は相互に無関係に水素(H)を表してもよい。
7はHを表し、その際、このHは本発明による反応の際に生じる塩化水素(HCl)に由来する(プロトン化)。
ここで、場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環により置換されたC1〜C18−アルキルは、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert.−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)−エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシ−ベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボンエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシカルボニル)−エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシ−エチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシ−プロピル、2−オクチルオキシエチル、クロロメチル、2−クロロエチル,トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、ブチルチオメチル、2−ドデシル−チオエチル、2−フェニルチオエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチル−アミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル又は6−エトキシヘキシルを表す。
2つの基が1つの環を形成する場合には、これらの基は共通して、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1−アザ−1,3−プロペニレン、1−C1〜C4−アルキル−1−アザ−1,3−プロペニレン、1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、1−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレン又は2−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレンを表してよい。
酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又はイミノ基の数は制限されない。通常、この数は前記基において5個以下、有利に4個以下、特に有利に3個以下である。
更に、2個のヘテロ原子の間には通常少なくとも1個、有利に少なくとも2個の炭素原子が存在する。
置換及び非置換のイミノ基は、例えばイミノ、メチルイミノ、イソ−プロピルイミノ、n−ブチルイミノ又はt−ブチルイミノであってよい。
更に、官能基はカルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ジ−(C1〜C4−アルキル)−アミノ、C1〜C4−アルキルオキシカルボニル、シアノ又はC1〜C4−アルキルオキシを表し、
場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環により置換されたC6〜C12−アリールは、例えばフェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニルイル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソ−プロピルフェニル、tert.−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4−又は2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル又はエトキシメチルフェニルを表し、
場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環により置換されたC5〜C12−シクロアルキルは、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル並びに飽和又は不飽和二環式系、例えばノルボルニル又はノルボルネニルを表し、
5員〜6員の酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する複素環は、例えばフリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンズオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル又はtert.−ブチルチオフェニルを表し、かつ
1〜C4−アルキルは、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル又はtert.−ブチルを表す。
1〜C18−アルキロイル(アルキルカルボニル)は、例えばアセチル、プロピオニル、n−ブチロイル、sec−ブチロイル、tert.−ブチロイル、2−エチルヘキシルカルボニル、デカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリクロロアセチル又はトリフルオロアセチルであってよい。
1〜C18−アルキルオキシカルボニルは、例えばメチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、sec−ブチルオキシ−カルボニル、tert.−ブチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル又はベンジルオキシカルボニルであってよい。
5〜C12−シクロアルキルカルボニルは、例えばシクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル又はシクロドデシルカルボニルであってよい。
6〜C12−アリーロイル(アリールカルボニル)は、例えばベンゾイル、トルイル、キシロイル、α-ナフトイル、β−ナフトイル、クロロベンゾイル、ジクロロベンゾイル、トリクロロベンゾイル又はトリメチルベンゾイルであってよい。
有利に、式Ia〜Iuにおいて、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は相互に無関係に水素、メチル、エチル、n−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−シアノエチル、2−(メトキシ−カルボニル)−エチル、2−(エトキシカルボニル)−エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)−エチル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ及び塩素であってよい。
特に有利なピリジニウムイオン(Ia)は、基R1〜R5のうちの1つがメチル、エチル又は塩素であり、R7がアセチル、メチル、エチル又はn−ブチルであり、かつ他のものが全て水素であるか、又は、R3がジメチルアミノであり、R7がアセチル、メチル、エチル又はn−ブチルであり、かつ他のものが全て水素であるか、又は、R7がアセチル、メチル、エチル又はn−ブチルであり、かつ他のものが全て水素であるか、又は、R2がカルボキシ又はカルボキサミドであり、R7がアセチル、メチル、エチル又はn−ブチルであり、かつ他のものが全て水素であるか、又は、R1及びR2又はR2及びR3が1,4−ブタ−1,3−ジエニレンであり、R7がアセチル、メチル、エチル又はn−ブチルであり、かつ他のものが全て水素であるものである。
特に有利なピリダジニウムイオン(Ib)は、基R1〜R4がメチル又はエチルであり、かつ他のものが全て水素であるものである。
特に有利なピリミジニウムイオン(Ic)は、R2〜R4が水素又はメチルであり、R1が水素、メチル又はエチルであるか、又は、R2及びR4がメチルであり、R3が水素であり、かつR1が水素、メチル又はエチルであるものである。
特に有利なピラジニウムイオン(Id)は、R1〜R4が全てメチルであるものである。
特に有利なイミダゾリウムイオン(Ie)は、相互に無関係に、R1が、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、2−ヒドロキシエチル又は2−シアノエチルから選択されており、かつR2〜R4が相互に無関係に水素、メチル又はエチルを表すものである。
特に有利な1H−ピラゾリウムイオン(If)は、相互に無関係に、R1が水素、メチル又はエチルから選択されており、かつR2、R3及びR4が水素又はメチルから選択されているものである。
特に有利な3H−ピラゾリウムイオン(Ig)は、相互に無関係に、R1が水素、メチル又はエチルから選択されており、かつR2、R3及びR4が水素又はメチルから選択されているものである。
特に有利な4H−ピラゾリウムイオン(Ih)は、相互に無関係に、R1〜R4が水素又はメチルから選択されているものである。
特に有利な1−ピラゾリニウムイオン(Ii)は、相互に無関係に、R1〜R6が水素又はメチルから選択されているものである。
特に有利な2−ピラゾリニウムイオン(Ij)は、相互に無関係に、R1が水素、メチル、エチル又はフェニルから選択されており、かつR2〜R6が水素又はメチルから選択されているものである。
特に有利な3−ピラゾリニウムイオン(Ik)は、相互に無関係に、R1又はR2が水素、メチル、エチル又はフェニルから選択されており、かつR3〜R6が水素又はメチルから選択されているものである。
特に有利なイミダゾリニウムイオン(Il)は、相互に無関係に、R1又はR2が水素、メチル、エチル、n−ブチル又はフェニルから選択されており、R3又はR4が水素、メチル又はエチルから選択されており、かつR5又はR6が水素又はメチルから選択されているものである。
特に有利なイミダゾリニウムイオン(Im)は、相互に無関係に、R1又はR2が水素、メチル又はエチルから選択されており、かつR3〜R6が水素又はメチルから選択されているものである。
特に有利なイミダゾリニウムイオン(In)は、相互に無関係に、R1、R2又はR3が水素、メチル又はエチルから選択されており、かつR4〜R6が水素又はメチルから選択されているものである。
特に有利なチアゾリウムイオン(Io)又はオキサゾリウムイオン(Ip)は、相互に無関係に、R1が水素、メチル、エチル又はフェニルから選択されており、かつR2又はR3が水素又はメチルから選択されているものである。
特に有利な1,2,4−トリアゾリウムイオン(Iq)及び(Ir)は、相互に無関係に、R1又はR2が水素、メチル、エチル又はフェニルから選択されており、かつR3が水素、メチル又はフェニルから選択されているものである。
特に有利な1,2,3−トリアゾリウムイオン(Is)及び(It)は、相互に無関係に、R1が水素、メチル又はエチルから選択されており、R2又はR3が水素又はメチルから選択されているか、又はR2及びR3が1,4−ブタ−1,3−ジエニレンでありかつ他のものが全て水素であるものである。
特に有利なピロリジニウムイオン(Iu)は、相互に無関係に、R1がアセチル、メチル、エチル又はn−ブチルから選択されており、かつR2、R3、R4及びR5が水素を表すものである。
特に有利なアンモニウムイオン(Iv)は、相互に無関係に、R1、R2及びR3がメチル、エチル、n−ブチル、2−ヒドロキシエチル、ベンジル又はフェニルから選択されているものである。
特に有利なホスホニウムイオン(Iw)は、相互に無関係に、R1、R2及びR3がフェニル、フェノキシ、エトキシ及びn−ブトキシから選択されているものである。
上記カチオンのうち、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、アンモニウムイオン及びホスホニウムイオンが有利である。
カチオンとして、1,2−ジメチルピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1−メチル−2−エチル−6−メチルピリジニウム、N−メチルピリジニウム、1−ブチル−2−メチルピリジニウム、1−ブチル−2−エチルピリジニウム、1−ブチル−2−エチル−6−メチルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム、1−ブチル−4−メチルピリジニウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、3,4−ジメチルイミダゾリウム、2−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウム、3−メチル−2−エチルイミダゾール、3−ブチル−1−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−1−エチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジ−n−ブチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,4−ジメチルイミダゾリウム、3−ブチル−2−メチルイミダゾリウム、1,3−ジブチル−2−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−4−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−2−エチル−4−メチルイミダゾリウム及び3−ブチル−2−エチル−イミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムは極めて特に有利である。
1−ブチル−4−メチルピリジニウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム及び1−n−ブチル−3−エチルイミダゾリウムは特に有利である。
特別な実施態様において、カチオンは、上記の3級アミン、特にC18-42−アルキルアミンのプロトン化により生じる一価に帯電したアンモニウムイオンである。
そのようなアンモニウムイオンの例は、トリス(2−エチル−ヘキシル)アンモニウム、トリス−2−(シクロヘキシル−エチル)アンモニウム及びトリス−(1−メチル−ヘプチル)アンモニウムである。
アニオンは上記のカチオンと共にイオン性液体を形成する。アニオンはクロリドであり、その際、このCl−アニオンは本発明による方法で生じる塩化水素(HCl)に由来する。
方法において使用される、上記のイオン性液体の前駆体としての有機窒素−又はリン化合物は、有利に、使用されるEDCのモル量に対してそれぞれ100モル%を上回る、特に150モル%を上回る、特に200〜400モル%の範囲内の量で使用される。
出発材料として必要なEDCは、公知の方法により、例えばエチレンのオキシ塩素化により製造することができる。
本発明による方法において、有利に純粋EDCが、例えば≧98質量%、特に≧99質量%の純度で使用される。
当然のことながら2つ以上の直列又は平行に接続された反応器に分割されていてもよい反応器内でのEDCの不連続的又は連続的な反応は、当業者に公知の方法に準拠して実施することができる。
有利な反応器は撹拌釜カスケード又は管型反応器である。
EDCとアンモニアとの反応は、有利に液相中で行われる。
本発明による反応は、有利に20〜150バール、有利に30〜80バール、特に40〜60バールの範囲内の絶対圧で行われる。
反応温度は有利に50〜200℃、特に70〜120℃、有利に90〜110℃の範囲内である。
EDC及びアンモニアは、有利にEDC:NH3=1:5〜25、特にEDC:NH3=1:8〜15の範囲内のモル比で使用される。
本発明による方法において、形成されるエチレンアミン(合計で)のうちの、特に形成されるエチレンアミンEDA、DETA、PIP、TETA、TEPA及びPEHAに対するEDAの割合は、有利に30質量%を上回る、特に40質量%を上回る、例えば42〜52質量%の範囲内である。
EDA及びDETAの全収率は、使用されるEDCに対してそれぞれ特に45%を上回り、特に55%を上回る。
EDCの反応の際には、EDA及びDETAが反応生成物中で特にEDA:DETA=50〜90:20、例えば70:20の質量比で生じる。例えばEDCの変換率が99%である場合、50%のEDA選択率が達成される。
本発明による方法の反応排出物の後処理:
易沸騰性エチレンアミン(EDA、DETA、ピペラジン)は、液体反応排出物から有利に蒸留により分離される。塔底に残存するイオン性液体は、方法の一実施態様において苛性ソーダ液と混合され、それによって、方法において使用される有機窒素−又はリン化合物、例えば3級アミン又はイミダゾールが遊離され、かつ、相分離後に合成又はエチレンアミン蒸留に返送されてよい。添付の例示的な図1を参照のこと。
他の後処理変法において、塩化水素と共にイオン性液体(IL)を形成する有機窒素−又はリン化合物は、形成されたイオン性液体がエチレンアミン混合物と共に第二の相を形成するように選択される。この場合、エチレンアミンは相分離によってイオン性液体と分離され、かつイオン性液体は苛性ソーダ液で処理されて、方法において使用される有機窒素−又はリン化合物、例えば3級アミン又はイミダゾールが遊離される。添付の例示的な図2を参照のこと。
方法において使用される有機窒素−又はリン化合物、例えば3級アミン又はイミダゾールの回収及び返送のためのもう1つの変法は、塩酸塩からHCl及び窒素−ないしリン化合物、例えば3級アミン又はイミダゾールへの熱分解、並びに、反応蒸留における両成分の分離である。この場合、溶剤が塩酸塩の熱分解において分解されないように、溶剤は高い耐熱性及び耐酸性を有していなければならない。
前記変法の利点は、特に、苛性ソーダ液を使用しなくともよいという点である。添付の例示的な図3及び図4のこれに関する変法を参照のこと。
上記の後処理変法において、方法において使用されかつ回収される有機窒素−又はリン化合物、例えば3級アミン又はイミダゾールは、返送の前になおも蒸留されてよく、それによって高沸点成分、例えば高沸点エチレンアミンが蓄積されない。
本発明による方法により生じる、とりわけ特別に所望されるEDA、しかしまたDETA、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)及び/又はペンタエチレンヘキサミン(PEHA)を含有するエチレンアミン生成物流の後処理は、当業者に公知の蒸留方法により、例えば多段蒸留により行うことができる。
個々の生成物、とりわけ特別に所望されるEDAの蒸留による回収のために必要な蒸留塔は、当業者により周知の方法で設計することができる(例えば分離段数、還流比など)。
反応から生じる反応排出物の後処理の際に生じるアンモニアは、有利に反応に返送される。
本発明の方法様式を示す図。 本発明の変法の方法様式を示す図。 本発明の変法の方法様式を示す図。 本発明の変法の方法様式を示す図。

Claims (19)

  1. 1,2−ジクロロエタン(EDC)とアンモニアとの反応によるエチレンアミンの製造法において、塩化水素と共にイオン性液体(IL)を形成する有機窒素−又はリン化合物の存在で反応を実施することを特徴とする、エチレンアミンの製造法。
  2. エチレンアミンがエチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ピペラジン(PIP)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)及び/又はペンタエチレンヘキサミン(PEHA)である、請求項1記載の方法。
  3. アンモニアを液状の形又は水溶液として使用する、請求項1又は2記載の方法。
  4. EDAの含分が30質量%を上回る、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 有機窒素化合物が3級アミン又はN−複素環であり、かつ有機リン化合物が3級ホスファンである、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 3級アミンが式R123Nを有し、かつ3級ホスファンが式R123Pを有し、ここで、R1、R2及びR3は相互に無関係にC1-18−アルキル、C6-12−アリール及び/又はC5-12−シクロアルキルを表す、請求項5記載の方法。
  7. 3級アミンが常圧(1atm=1.01325バール)で100℃を上回る沸点を有し、かつ3級アミンのプロトン化によって得られる相応する酸が25℃で8.5を上回るpKa値を有する、請求項5又は6記載の方法。
  8. 3級アミンがC18-42−アルキルアミンである、請求項5から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. 3級アミンがα−及び/又はβ−C原子上にアルキル鎖の分枝を有する、請求項5から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. N−複素環が2〜5個の環C原子を有する脂肪族又は芳香族N−複素環である、請求項5記載の方法。
  11. EDCの反応を50〜200℃の範囲内の温度で実施する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. EDCの反応を20〜150バールの範囲内の絶対圧で実施する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. EDC及びアンモニアをEDC:NH3=1:5〜25の範囲内のモル比で使用する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. EDCの反応を液相中で実施する、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
  15. 反応を撹拌釜カスケード又は管型反応器中で実施する、請求項14記載の方法。
  16. エチレンアミンを反応から生じる反応排出物から蒸留により分離する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
  17. エチレンアミンを反応から生じる反応排出物から相分離により分離する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
  18. 反応排出物の後処理の際に、使用される有機窒素−又はリン化合物を、イオン性液体の熱処理によって、又はイオン性液体を苛性ソーダ液で処理することによって遊離し、かつ方法に返送する、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
  19. 反応から生じる反応排出物の分離の際に生じるアンモニアを反応に返送する、請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
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