JP2009509722A - 吸水性樹脂を主成分として含む吸水剤およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カルボキシル基含有不飽和単量体を含んでなる単量体水溶液中のカルボキシル基含有不飽和単量体を、少なくとも、カルボキシル基と共有結合しうる官能基を4個以上有する化非高分子化合物合物の存在下で、重合させるとともに、内部架橋させて得た吸水性樹脂を用いる。
【選択図】なし
Description
また、吸水性樹脂を表面架橋することなく、通液性を向上させる方法として、ポリビニル系架橋剤およびヒドロキシル含有架橋剤の2種の共有結合架橋剤を用いてポリマーを架橋することにより、高透過性(高通液性)で低吸収容量(低吸収倍率)のポリマーを製造する方法が開示されている(例えば特許文献13等参照。)。
Y<0.06/{2−(2.35X/100)} ・・・(1)
で示される量であって、式(1)中、Xは前記吸水性樹脂中のカルボキシル基の中和率(単位:モル%)を示し、Xは45以上85以下であることを特徴としている。
本発明にかかる吸水剤は、カルボキシル基含有不飽和単量体を重合して得られる吸水性樹脂を主成分として含み、該吸水性樹脂は架橋構造を有しており、少なくとも、カルボキシル基と共有結合しうる官能基を4個以上有する非高分子化合物が内部に導入(好ましくは吸水性樹脂中に均一に導入)されている。ここで、該吸水性樹脂の内部に導入されている上記非高分子化合物は、該吸水性樹脂のカルボキシル基と結合していることが好ましく、該吸水性樹脂を内部架橋していることがより好ましい。なお、吸水性樹脂が架橋構造を有する限り、上記非高分子化合物の少なくとも一部は、カルボキシル基と共有結合しうるいずれの官能基も上記吸水性樹脂のカルボキシル基と結合しないで該吸水性樹脂の内部に含有されていてもよい。したがって、少なくとも、カルボキシル基と共有結合しうる官能基を4個以上有する非高分子化合物が該吸水性樹脂の内部に導入されている態様には、上記非高分子化合物の全部が、カルボキシル基と共有結合しうるいずれの官能基も上記吸水性樹脂のカルボキシル基と結合しないで該吸水性樹脂の内部に含有されている構成も含まれる。
本発明で用いられる吸水性樹脂は、カルボキシル基含有不飽和単量体を重合して得られる吸水性樹脂であって、架橋構造を有しており、少なくとも、カルボキシル基と共有結合しうる官能基を4個以上有する非高分子化合物が内部に導入されており、該非高分子化合物は、好ましくは内部で該吸水性樹脂のカルボキシル基と結合し、より好ましくは、該吸水性樹脂を内部架橋している。また、上記非高分子化合物の少なくとも一部は、カルボキシル基と共有結合しうるいずれの官能基も上記吸水性樹脂のカルボキシル基と結合しないで該吸水性樹脂の内部に含有されていてもよい。なお、上記非高分子化合物の少なくとも一部が、カルボキシル基と共有結合しうるいずれの官能基も上記吸水性樹脂のカルボキシル基と結合しないで該吸水性樹脂の内部に含有されているとは、上記非高分子化合物の全量が、カルボキシル基と共有結合しうるいずれの官能基も上記吸水性樹脂のカルボキシル基と結合しないで該吸水性樹脂の内部に含有されている構成も含む趣旨である。
本発明では吸水性樹脂として、通液性の面から、カルボキシル基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂が好ましく用いられる。また、アクリロニトリルなど重合後の加水分解によって重合後にカルボキシル基となる単量体も本発明ではカルボキシル基含有不飽和単量体とするが、好ましくは、重合時にカルボキシル基を含有するカルボキシル基含有不飽和単量体が用いられる。
本発明で用いられる吸水性樹脂は、少なくとも吸水性樹脂の内部に、より好ましくは吸水性樹脂の内部及び表面に架橋構造を有している。
本発明にかかる吸水剤は、吸水性樹脂を主成分とし、必要により少量の添加剤および/または水を含有している。本発明の吸水剤は、かかる添加剤として、通液性向上剤を含有していることが好ましい。これにより、吸水剤の通液性を向上させることができる。なお、本明細書において、通液性向上剤とは、SFCが1以上である吸水性樹脂または吸水剤のSFCを10以上向上させる剤のことをいう。
本発明で用いられる吸水性樹脂および本発明の吸水剤の形状は特に限定されるものではないが、本発明を達成する上で、粒子状であることが好ましく、特定の粒子径に調整されたものであることがより好ましい。本発明で用いられる吸水性樹脂および本発明の吸水剤の粒子径は、好ましくは、850μm未満で150μm以上の粒子(ふるい分級で規定:JIS Z8801−1:2000)が全体の90重量%以上、上限100%であり、より好ましくは、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の95重量%以上であり、さらに好ましくは850μm未満で150μm以上の粒子が全体の98重量%以上である。また、300μm以上の粒子が全体の60重量%以上であることが好ましい。なお、ここで全体とは、吸水性樹脂の粒子径については粒子状吸水性樹脂全体を、吸水剤の粒子径については吸水剤全体を意味する。
(1−4)本発明の吸水剤の吸水特性
本発明の吸水剤は、吸水倍率(CRC)が、25g/gより大きいことが好ましい。これにより、本発明の吸水剤をおむつ等の衛生材料用いるときに、水性液体を吸収し保持する性能に優れるため好ましい。本発明は、吸水倍率を低下させることなく通液性を向上させることを可能とするものであり、吸水倍率(CRC)が25g/gより大きい場合も高い通液性を併せ持つ吸水剤を提供する。もちろん、吸水倍率(CRC)は、5g/g以上であれば、25g/g以下であってもよいが、水性液体を吸収し保持する性能の面から、吸水倍率(CRC)は、好ましくは25g/g以上50g/g以下、さらに好ましくは26g/g以上40g/g以下、特に好ましくは27g/g以上35g/g以下、最も好ましくは28g/g以上35g/g以下の範囲である。吸水倍率(CRC)が25g/gよりも小さいと、吸水剤の使用量が多くなるため好ましくない。なお、本発明において「吸水倍率」なる語は「吸収倍率」なる語と同義語である。
Y<0.06/{2−(2.35X/100)} ・・・(1)
で示される量であって、式(1)中、前記吸水性樹脂中のカルボキシル基の中和率Xは45モル%以上85モル%以下であることが好ましい。
本発明の吸水剤は、通液性や吸水倍率をはじめとする吸水特性に優れている。それゆえ、尿、血液等水性液体の吸収固化剤(吸収ゲル化剤)として、子供用おむつ、生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料に好適に使用される。
本発明にかかる吸水剤の製造方法は、カルボキシル基含有不飽和単量体を重合して得られ架橋構造を有する吸水性樹脂を主成分として含む吸水剤を製造する方法であって、上記吸水性樹脂は少なくとも、カルボキシル基と共有結合しうる官能基を4個以上有する非高分子化合物が内部に導入されている吸水剤を製造する方法であれば特に限定されるものではない。
本工程では、上記カルボキシル基含有不飽和単量体を含んでなる単量体水溶液中のカルボキシル基含有不飽和単量体を、少なくとも、カルボキシル基と共有結合しうる官能基を4個以上有する非高分子化合物の存在下で、重合させて含水重合物を得る。
Y<0.06/{2−(2.35X/100)} ・・・(1)
で示される量であることが好ましい。なお、式(1)中、Xは前記吸水性樹脂中のカルボキシル基の中和率(単位:モル%)を示し、Xは45モル%以上85モル%以下であることが好ましい。
上記の重合方法は、通常、予め中和されたカルボキシル基含有不飽和単量体を用いて重合(中和重合法)されるが、他の重合方法として、未中和のカルボキシル基含有不飽和単量体、特に未中和アクリル酸を主成分として重合を行い、重合後にカルボキシル基を中和する、いわゆる酸重合&後中和法を用いてもよい。
本発明の吸水剤の製造方法では、重合時に必要により連鎖移動剤が使用されても良い。上記単量体、カルボキシル基と共有結合しうる官能基を4個以上有する非高分子化合物、他の内部架橋剤、および、重合開始剤に加えて水溶性連鎖移動剤を存在させて重合することで、得られる架橋重合体から製造された吸水性樹脂を本発明の吸水剤に用いた場合、吸収能が高く、尿に対する安定性に優れる吸収剤を得ることが可能になる。
本発明にかかる吸水剤の製造方法は、上記重合工程の前に、さらに、少なくとも上記カルボキシル基含有不飽和単量体と、カルボキシル基と共有結合しうる官能基を4個以上有する化非高分子化合物合物とを含む単量体水溶液を調製する単量体水溶液調製工程を含んでいてもよい。
上述した重合工程で得られる重合体は含水重合物として得られる。得られた含水重合物は、必要に応じて例えば含水率10質量%以上70質量%未満の含水重合物の状態で粉砕し、さらに乾燥される。乾燥は通常150℃〜250℃、好ましくは150℃〜220℃、より好ましくは180℃〜200℃の温度範囲で行われる。150℃より低い温度条件下で乾燥すると、内部架橋反応が起こりにくくなる。また、250℃より高い温度で乾燥すると、得られる吸水性樹脂に着色が起こる可能性がある。なお、乾燥温度はオイルや蒸気を熱媒として用いる場合は熱媒の温度、電子線を照射するなど熱媒を使用せずに乾燥する場合は、材料(乾燥するもの)の温度で規定される。また、乾燥温度を段階的に変化させてもよい。乾燥時間は含水重合物の表面積、含水率、および乾燥機の種類に依存し、目的とする含水率になるよう選択すればよいが、例えば、10〜180分間、より好ましくは30〜120分間である。なお、本発明では、乾燥後の架橋重合体を吸水性樹脂と称する。
本発明にかかる吸水剤の製造方法は、上記乾燥工程の前または後に、好ましくは、上記乾燥工程の前および後に、得られた含水重合物または吸水性樹脂を粉砕する粉砕工程を含んでいることが好ましい。
本発明にかかる吸水剤の製造方法は、本発明の効果をより一層発揮するために、後述する通液性向上剤添加工程の前、同時、および後から選ばれる少なくとも1つにおいて、吸水性樹脂の表面架橋を行うことが好ましい。
(2−6)通液性向上剤添加工程
本発明にかかる吸水剤の製造方法は、通液性向上剤を添加する通液性向上剤添加工程を含んでいることが好ましい。本工程は、表面処理工程の前、同時、後のいずれに行っても良いが、本発明の効果をより発揮するために、好ましくは、表面処理工程の後であり、表面処理工程とは別に行うことが好ましい。
吸水性樹脂0.200gを不織布製(南国パルプ工業(株)製、商品名:ヒートロンペーパー、型式:GSP−22)の袋(80mm×60mm)に均一に入れ、25℃に調温した生理食塩水(以下、本明細書において、生理食塩水とは、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液を指す。)中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製、遠心機:型式H−122)を用いて250Gの遠心力で3分間水切りを行った後、袋の重量W1(g)を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂を用いずに行い、その時の袋の重量W0(g)を測定した。そして、これらW1、W0から、下記の式に従ってCRC(g/g)を算出した。
(b)加圧下吸収倍率(AAP:Absorbency against Pressure)
加圧下吸収倍率(AAP)は、生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)に対する4.83kPaでの60分の加圧下吸収倍率を表す。
(c)吸収速度(FSR:Free Swell Rate)
吸水性樹脂1.000±0.0005gを小数点以下4桁まで正確に秤量した(単位:g)(WA)。秤量した吸水性樹脂を25mlガラス製ビーカー(直径32−34mm、高さ50mm)に入れた。この際、ビーカーに入れた吸水性樹脂の上面が水平となるようにした。必要により、慎重にビーカーをたたくなどの処置を行うことで吸水性樹脂表面を水平にしても良い。次に、23.0±2.0℃に調温した生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)20mlを50mlのガラス製ビーカーに量り取り、重さ(単位:g)を小数点以下4桁まで測定した(W1)。量り取った生理食塩水を、吸水性樹脂の入った25mlビーカーに丁寧に素早く注いだ。注ぎ込んだ生理食塩水が水性液吸収剤と接触したと同時に時間測定を開始した。そして、生理食塩水を注ぎ込んだビーカー中の生理食塩水液上面を約20゜の角度で目視した際、始め生理食塩水液表面であった上面が、吸水性樹脂が生理食塩水を吸収することにより、生理食塩水を吸収した吸水性樹脂表面に置き換わる時点で、時問測定を終了した(単位:秒)(tS)。次に、生理食塩水を注ぎ込んだ後の50mlビーカーに付着残存した生理食塩水の重さ(単位:g)を小数点以下4桁まで測定した(W2)。注ぎ込んだ生理食塩水の重さ(WF、単位:g)を下記式(a)により求めた。
式(c): FSR(g/g/s)=WF/(tS×WA)
1つのサンプルにつき、同様の測定を3回繰り返し行い、測定結果は、3回の測定値の平均値とした。
特表平9−509591の食塩水流れ誘導性(SFC)試験に準じて行った。
食塩水流れ誘導性(SFC)
=(FS(t=0)×L0)/(ρ×A×ΔP)
=(FS(t=0)×L0)/139506
なお、上記式中、FS、L0、ρ、A、ΔPはそれぞれ、
FS(t=0):g/sで表した流速
L0:cmで表したゲル層の最初の厚さ
ρ :NaCl溶液の密度(1.003g/cm3)
A :セル41中のゲル層上側の面積(28.27cm2)
ΔP:ゲル層にかかる静水圧(4920dyne/cm2)
を表す。また、食塩水流れ誘導性(SFC)の単位は(cm3・s・10−7/g)である。
粉砕後の吸水性樹脂を目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるいで篩い分けし、残留百分率Rを対数確率紙にプロットした。これにより、重量平均粒子径(D50)を読み取った。なお、850μmを超える吸水性樹脂を含んでいる場合は適宜市販の目開きが850μmを超えるJIS標準ふるいを用いる。
吸水性樹脂を目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるいで篩い分けし、残留百分率Rを対数確率紙にプロットした。なお、850μmを超える吸水性樹脂を含んでいる場合は適宜市販の目開きが850μmを超えるJIS標準ふるいを用いる。そこで、X1をR=84.1重量%、X2を15.9重量%の時のそれぞれの粒径とすると、対数標準偏差(σζ)は下記の式で表され、σζの値が小さいほど粒度分布が狭いことを意味する。
粒子径、粒度分布における対数標準偏差(σζ)を測定する際の分級方法は、吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物10.0gを、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるい(THE IIDA TESTING SIEVE:径8cm)に仕込み、振動分級器(IIDA SIEVE SHAKER、TYPE:ES−65型、SER.No.0501)により、5分間、分級を行った。
吸水性樹脂粒子の嵩比重は、edana460.1−99記載の方法で測定した。
250ml容量の蓋付きプラスチック容器に、生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)の184.3gを測り取り、その水溶液中に吸水性樹脂1.00gを加え、16時間攪拌することにより、樹脂中の可溶分を抽出した。この抽出液を濾紙1枚(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801 No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を用いて濾過することにより得られた濾液の50.0gを、測り取り測定溶液とした。
中和率(モル%)=[1−([NaOH]−[bNaOH])/([HCl]−[bHCl])]×100
(i)不揮発分量または含水率
内径52mmのアルミカップに吸水性樹脂1.000gを小数点以下3桁まで秤量して入れ、180℃の無風乾燥機中で3時間加熱乾燥し、その乾燥減量に基づいて、吸水性樹脂または吸水剤の不揮発分量または含水率を算出した。
不揮発分量(重量%)=(乾燥後の試料の重量/乾燥前の試料の重量)×100
含水率(重量%)={(乾燥前の試料の重量−乾燥後の試料の重量)/乾燥前の試料の重量}×100
(j)表面張力
十分に洗浄された100mlのビーカーに20℃に調整された生理食塩水50mlを入れ、まず、生理食塩水の表面張力を表面張力計(K11自動表面張力計、KRUSS社)を用いて測定する。この測定において表面張力の値が71〜75mN/mの範囲でなくてはならない。次に、20℃に調整した表面張力測定後の生理食塩水を含んだビーカーに、十分に洗浄された25mm長のフッ素樹脂製回転子、および吸水剤0.5gを投入し、500rpmの条件で4分間攪拌する。4分後、攪拌を止め、含水した吸水剤が沈降した後に、上澄み液の表面張力を再度同様の操作を行い測定した。なお、本発明では白金プレートを用いるプレート法を採用し、プレートは各測定前に十分洗浄し、且つバーナーで加熱洗浄して使用した。
(k)吸水剤に対する未反応の非高分子化合物の量
吸水剤1gを生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)100g中で、長さ30mmのスターラーチップを用いてマグネットスターラーで、300rpmで、4時間攪拌し、攪拌後の生理食塩水をろ過した。ろ液として得られた抽出液を液体クロマトグラフィーで分析し、予め準備した検量線により定量した。なお、検量線は、約10、50、100、200、500、1000、2000、5000ppmの既知量に調製した溶液を分析することで作成した。分析カラムとしては、昭和電工株式会社製 Shodex SUGAR SH1011を用いた。
(操作1−1)
断熱材である発泡スチロールで覆われた、内径80mm、容量1リットルのポリプロピレン製容器に、アクリル酸293g(4.1mol)、他の内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート(エチレングリコールの繰り返し単位数は9)0.215g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対し0.01モル%)、および1.0重量%ジエチレントリアミン5酢酸・5ナトリウム水溶液1.80g、IRGACURE(登録商標)184の1.0重量%アクリル酸溶液3.60gを混合した溶液(A)と、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液238gと50℃に調温したイオン交換水252g、および、meso−エリスリトール0.20g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対し0.04モル%)を混合した溶液(B)を作成した。長さ5cmのマグネチックスターラーを用い800r.p.m.で攪拌した溶液(A)に、溶液(B)をすばやく加え混合することで単量体水溶液(C)を得た。単量体水溶液(C)は、中和熱と溶解熱により、液温が約100℃まで上昇した。なお、アクリル酸の中和率は、70モル%であった。
得られた含水重合物を、ミート・チョッパー(MEAT−CHOPPER TYPE:12VR−400KSOX 飯塚工業株式会社、ダイ孔径:6.4mm、孔数:38、ダイ厚み8mm)により粉砕し、細分化された粉砕含水重合物粒子)を得た。
この細分化された粉砕含水重合物粒子を50メッシュ(目開き300μm)の金網上に広げ、180℃で熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミルを用いて粉砕し、さらに目開き850μmと目開き45μmのJIS標準篩で分級することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂(固形分96重量%)を得た。
得られた吸水性樹脂100重量部に1,4−ブタンジオール0.3重量部、プロピレングリコール0.6重量部、純水3.0重量部の混合液からなる表面処理剤溶液を均一に混合した。表面架橋剤溶液を混合した吸水性樹脂を攪拌機を備えたジャケット付き加熱装置(ジャケット温度:210℃)で35分間加熱処理した。加熱処理後、得られた吸水性樹脂を目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕することで、表面が架橋された吸水性樹脂(1)を得て、これを吸水剤(1)とした。吸水剤(1)の諸物性を表1に示した。
内部架橋剤meso−エリスリトール0.20g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対し0.04モル%)をキシリトール0.25g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対し0.04モル%)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、表面が架橋された吸水性樹脂(2)を得て、これを吸水剤(2)とした。吸水剤(2)の諸物性を表1に示した。
内部架橋剤meso−エリスリトール0.20g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対し0.04モル%)をD−ソルビトール0.30g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対し0.04モル%)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、表面が架橋された吸水性樹脂(3)〜(5)を得て、それぞれ吸水剤(3)〜(5)とした。吸水剤(3)〜(5)の諸物性を表1に示した。なお、実施例3、4および5では、上記(操作1−4)の加熱処理時間は実施例1と若干異なり、それぞれ、25分、30分、および40分であった。
内部架橋剤meso−エリスリトール0.20g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対し0.04モル%)をD−ソルビトール0.30g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対し0.04モル%)に変更し、他の内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレートを用いなかった以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、表面が架橋された吸水性樹脂(6)を得て、それぞれ吸水剤(6)とした。吸水剤(6)の諸物性を表1に示した。また、上記(操作1−4)の加熱処理時間は30分であった。
内部架橋剤として、ポリエチレングリコールジアクリレート1.10g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対し0.05モル%)のみを用い、meso−エリスリトールを用いなかった以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、表面が架橋された比較吸水性樹脂(1)を得て、比較吸水剤(1)とした。比較吸水剤(1)の諸物性を表1に示した。
内部架橋剤meso−エリスリトール0.20g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対し0.04モル%)をエチレングリコール0.10g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対し、0.04モル%)に変更した以外は実施例1と同様の操作(他の内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレートは実施例1と同様に用いた。)を行うことにより、表面が架橋された比較吸水性樹脂(2)〜(3)を得て、比較吸水剤(2)〜(3)とした。比較吸水剤(2)〜(3)の諸物性を表1に示した。
内部架橋剤meso−エリスリトール0.20g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対し0.04モル%)をグリセリン0.152g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対し、0.04モル%)に変更した以外は実施例1と同様の操作(他の内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレートは実施例1と同様に用いた。)を行うことにより、表面が架橋された比較吸水性樹脂(4)〜(5)を得て、比較吸水剤(4)〜(5)とした。比較吸水剤(4)〜(5)の諸物性を表1に示した。
実施例1で得られた吸水性樹脂(1)に、更に以下に示す操作1−5を行うことで、通液性向上剤が添加された吸水剤(7)を得た。吸水剤(7)の諸物性を表2に示した。
得られた表面が架橋された吸水性樹脂(1)100重量部に硫酸アルミニウム水和物(13〜14水和物、住友化学工業株式会社より入手)1重量部を均一に混合し、吸水剤(7)を得た。吸水剤(7)の諸物性を表2に示す。
吸水性樹脂(1)を実施例2〜6で得られた吸水性樹脂(2)〜(6)に変更した以外は、実施例7と同様の操作を行うことにより、通液性向上剤が添加された吸水剤(8)〜(12)を得た。吸水剤(8)〜(12)の諸物性を表2に示した。
吸水性樹脂(1)を比較例1〜5で得られた比較吸水性樹脂(1)〜(5)に変更した以外は、実施例7と同様の操作を行うことにより、通液性向上剤が添加された比較吸水剤(6)〜(10)を得た。比較吸水剤(6)〜(10)の諸物性を表2に示した。
Claims (20)
- カルボキシル基含有不飽和単量体を重合して得られ架橋構造を有する吸水性樹脂を主成分として含む吸水剤であって、
上記吸水性樹脂は、少なくとも、カルボキシル基と共有結合しうる官能基を4個以上有する非高分子化合物が内部に導入されていることを特徴とする吸水剤。 - カルボキシル基含有不飽和単量体を重合して得られ架橋構造を有する吸水性樹脂を主成分として含む吸水剤であって、
上記吸水性樹脂は、少なくとも、カルボキシル基と共有結合しうる官能基を4個以上有する非高分子化合物が内部に導入され、かつ、導入された非高分子化合物の少なくとも一部で内部架橋されていることを特徴とする吸水剤。 - 少なくとも一部の上記非高分子化合物は、カルボキシル基と共有結合しうるいずれの官能基も上記吸水性樹脂のカルボキシル基と結合していないことを特徴とする請求項1又は2に記載の吸水剤。
- 上記非高分子化合物であって、カルボキシル基と共有結合しうるいずれの官能基も上記吸水性樹脂のカルボキシル基と結合していない未反応の非高分子化合物が、吸水剤に対して100ppm以上含まれていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 上記非高分子化合物の分子量が5000以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 上記非高分子化合物の官能基当量が、20以上200g/mol以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 上記吸水性樹脂は、さらに、一分子中に2個以上の重合性エチレン性二重結合を有する内部架橋剤、及び/又は、一分子中に2個以上の官能基を有する上記非高分子化合物以外の内部架橋剤で内部架橋されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 上記吸水性樹脂は、さらに有機表面架橋剤及び/又は無機表面架橋剤で、表面架橋されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 上記吸水性樹脂は、粒子状の吸水性樹脂粒子であって、該吸水性樹脂粒子全体に対する、粒子径が150μm以上850μm未満の粒子の割合が90重量%以上であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 上記カルボキシル基と共有結合しうる官能基は、水酸基および/またはアミノ基であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の吸水剤。
- さらに、通液性向上剤を含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 上記吸水剤0.5gを20℃の生理食塩水50mlに分散させてなる吸水剤分散液の表面張力が55mN/m以上であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 吸水倍率(CRC)が25g/gより大きいことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 食塩水流れ誘導性(SFC)が30cm3・s・10−7/g以上であることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の吸水剤。
- カルボキシル基含有不飽和単量体を重合して得られ架橋構造を有する吸水性樹脂を主成分として含む吸水剤を製造する方法であって、
上記カルボキシル基含有不飽和単量体を含んでなる単量体水溶液中のカルボキシル基含有不飽和単量体を、少なくとも、カルボキシル基と共有結合しうる官能基を4個以上有する非高分子化合物の存在下で、重合させて含水重合物を得る重合工程と、
上記重合工程で得られた含水重合物を乾燥して吸水性樹脂を得る乾燥工程とを含み、
上記カルボキシル基含有不飽和単量体に対する、上記カルボキシル基と共有結合しうる官能基を4個以上有する非高分子化合物の使用量(Y)(単位:モル%)が、以下の式(1)
Y<0.06/{2−(2.35X/100)} ・・・(1)
で示される量であって、式(1)中、Xは前記吸水性樹脂中のカルボキシル基の中和率(単位:モル%)を示し、Xは45以上85以下であることを特徴とする吸水剤の製造方法。 - 上記重合工程は、上記カルボキシル基含有不飽和単量体を含んでなる単量体水溶液中のカルボキシル基含有不飽和単量体を、カルボキシル基と共有結合しうる官能基を4個以上有する非高分子化合物と、さらに、一分子中に2個以上の重合性エチレン性二重結合を有する内部架橋剤、及び/又は、一分子中に2個以上の官能基を有する上記非高分子化合物以外の内部架橋剤との存在下で、重合させて含水重合物を得る工程であることを特徴とする請求項15に記載の吸水剤の製造方法。
- さらに、有機表面架橋剤及び/又は無機表面架橋剤で上記吸水性樹脂の表面を架橋する表面架橋工程を含むことを特徴とする請求項15又は16に記載の吸水剤の製造方法。
- さらに、通液性向上剤を添加する、通液性向上剤添加工程を含むことを特徴とする請求項15ないし17のいずれか1項に記載の吸水剤の製造方法。
- 上記通液性向上剤は、水溶性の多価金属化合物または水溶性のポリカチオン化合物であることを特徴とする請求項18に記載の吸水剤の製造方法。
- 上記通液性向上剤は、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、及び、アミノ基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項18または19に記載の吸水剤の製造方法。
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