JP4431541B2 - 水膨潤性止水材 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの土嚢代替品を積み重ねて水を堰き止めると、多量の水が押し寄せてきた場合には積み重ねた状態が安定でなく、土嚢がくずれたり、膨潤した土嚢と土嚢との隙間から水が漏れたりするという問題があった。素早く吸水膨潤して使い勝手がよく、積み重ねた状態で安定で、土嚢と土嚢との隙間から水が漏れにくい土嚢となる水膨潤性止水材が求められていた。以下、水膨潤性止水材が水を吸収して膨潤したものを止水材という。本発明者らは上記問題点を改善した吸水膨潤時に特定の形状を有する水膨潤性止水材を得るべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
第2図は、本発明による水膨潤性止水材の保管時と使用時の形状を示す斜視図で、上は保管時の状態で、下は使用時の状態を示している。
第3図は、第1図の水膨潤性止水材を縦長方向に2列、3段積みを1面として4面に囲い(計24個使用)、その中に2cmφのホースの先端を囲った中の底までつけて、水を流す状態である。
第4図は、本発明による開放室を設けた水膨潤性止水材の形状例を示しており、最上図は上方から見た斜視図であり、真中図は中央部の縦断面図(A−A断面)であり、最下図は中央部の横断面図(B−B断面)である。
第5図は、第4図の水膨潤性止水材の保管時と使用時の形状を示す斜視図で、上図は保管時の状態で、下図は使用時の状態を示している。
第6図は、第4図の水膨潤性止水材を積み重ねて、上から杭を打つ際の要領を示す斜視図である。
第7図は、別の開放室を設けた水膨潤性止水材の形状例であり、密閉室と開放室の配置例を示す斜視図で、上図は袋体の中央に密閉室を設けて、この両側に開放室を構成したもので、下図は袋体の中央に開放室を設けて、この両側に密閉室を設けた構造である。
第8図は、第4図の水膨潤性止水材を縦長方向に2列、3段積みを1面として4面に囲い(計24個使用)、その中に2cmφのホースの先端を囲った中の底までつけて、水を流す状態である。
2 多面体
3 密閉室
4 開放室
5 ゲル化材
6 投入口
7 仕切
8 滑り止め
9 紐
10 重量固形物
11 スコップ
12 杭
13 ホース
14 砂利
15 水
別の目的は、激しい水流にも安定して耐える水膨潤性止水材を提供することにある。
別の目的は、止水材を積み重ねて加圧されても止水材からの吸水性樹脂のゲル漏れ、ヌメリもなく取り扱いやすい水膨潤性止水材を提供することにある。
(1)吸水性樹脂粒子(A)を透水性シートで構成された多面体(B)に封入してなることを特徴とする水膨潤性止水材;
(2)吸水性樹脂粒子(A)が吸水膨潤した後に多面体(B)の少なくとも二つの面が平面状となるように構成されてなる(1)に記載の水膨潤性止水;
(3)吸水性樹脂粒子(A)が吸水膨潤した後に多面体(B)が直方体状又は立方体状となる(1)に記載の水膨潤性止水;
(4)前記多面体(B)が辺にステッチを備えてなる(1)に記載の水膨潤性止水;
(5)多面体(B)の内部を複数の空間とし、これらの空間の少なくとも一区画を密閉室とし、残りの区画を多面体(B)の外部に通じる開放室とし、密閉室内に吸水性樹脂粒子(A)を封入し、開放室に重量物を詰め込むための投入口を備えてなる(1)に記載の水膨潤性止水;
(6)前記吸水性樹脂粒子(A)が100〜850μmの平均粒子径、3〜50秒の膨潤速度、20〜1,000g/gの吸水量、0.55〜1.00の保水量/吸水量、2×103〜12×103N/m2のゲル弾性率、30質量%以下の水可溶性成分含量、500ppm以下の残存水溶性単量体量、及び9%以下の耐湿ブロッキング性を有してなる(1)に記載の水膨潤性止水;
(7)脱イオン水に浸した際に重量が15kg増加するまでの時間が0.5〜5分である(1)に記載の水膨潤性止水材;
(8)上記水膨潤性止水材を吸水させ形成されてなる止水材。
本発明において、吸水性樹脂粒子(A)としては、例えば下記の(1)〜(5)で挙げられる吸水性樹脂の粒子状のものの中で、100〜850μmの平均粒子径、3〜50秒の膨潤速度、20〜1,000g/gの吸水量、0.55〜1.00の保水量/吸水量、2×103〜12×103N/m2のゲル弾性率、30質量%以下の水可溶性成分含量、500ppm以下の残存水溶性単量体量、及び9%以下の耐湿ブロッキング性を有しているものが好ましい。
(イ−1)としてはショ糖、セルロース、CMC、デンプン等が挙げられ、(イ−2)としてはペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース等が挙げられる。
(3)上記(イ)の架橋物(カルボキシメチルセルロースの架橋物等);
(4)上記(ロ)と(ハ)との共重合体(架橋されたポリアクリルアミドの部分加水分解物、架橋されたアクリル酸−アクリルアミド共重合体、架橋されたポリスルホン酸塩(架橋されたスルホン化ポリスチレン等)、架橋されたポリアクリル酸塩/ポリスルホン酸塩共重合体、ビニルエステル−不飽和カルボン酸共重合体ケン化物(特開昭52−14689号及び特開昭52−27455号公報に記載されているもの等)、架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、架橋されたポリビニルピロリドン、及び架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコール);並びに、
(5)自己架橋性を有する上記(ロ)の重合体(自己架橋型ポリアクリル酸塩等);
が挙げられる。以上例示した吸水性樹脂は2種以上併用してもよい。
これらの吸水性樹脂のうち、好ましいものは、(1)、(4)として例示したもののうち、架橋ポリアクリルアミド共重合体、架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、及び架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコールである。
[膨潤速度の測定法]
吸水性樹脂粒子(A)を30メッシュ通過、140メッシュ残りに篩い分級したものを測定サンプルとする。100mlのビーカーに50mlの生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液、25℃)を入れ、マグネチックスターラー600rpmで攪拌する。次にサンプル2.00gを渦中に入れる。投入後、サンプルが吸水膨潤するに従って、渦が弱くなり消えてしまい液面が水平になる。投入後から液面が水平になるまでに要した時間(秒)を膨潤速度とする。
(多面体)
本発明における吸水性樹脂粒子(A)を入れる多面体(B)は、柔軟性があり、且つ透水性がある透水性シートで製造される。透水性シートとはシートに最初から孔があり水が通るシートの他に、孔があるシートを水溶性シートでラミネートして水溶性シートが水に溶解してすぐに孔があいた状態になり透水性を有するものとなるものも含む。孔の大きさは水が通れば特に限定はないが、好ましくは0.1〜5mm、特に好ましくは0.1〜3mmである。透水性は100mlの25℃のイオン交換水が100cm2の面積を通過する時間(秒)で表すと好ましくは30秒以下であり、より好ましくは15秒以下であり、特に好ましくは5秒以下である。
本発明の水膨潤性止水材の特に好ましい形態は、多面体(B)の内部に仕切り等を設けて、複数の空間に仕切った構造である。空間を仕切る方法は、袋体の内部に新たな生地を縫い合わせたり、袋体の表地と裏地を直接縫い合わせる等手段は選ばないが、各空間は他の空間と連通しないよう完全に仕切る必要がある。但し、袋体や仕切りは不織布等の繊維で構成されており、上記の吸水膨潤した吸水性樹脂は仕切りを通過することはできないが、水や空気は自由に移動できる。該仕切りは過酷な条件で使用された場合にも破損することのない様十分な強度が必要で、袋体と同一の素材を使用するのが好ましい。
水膨潤性止水材の製造法としては、最終的に上記の形状になれば限定はないが、上記の透水性シートを多面体の上面と下面用、及び側面用に裁断して加工する。加工の方法としては、透水性シートの材質にもよるが縫製、ヒートシール、接着剤によるシール等がある。完全シールする前に前記の吸水性樹脂を水膨潤性止水材に封入しておく。水膨潤性止水材の大きさは特に限定されないが、好ましくは膨らんだ状態が20〜50cm×40〜80cmに10〜30cmの高さのもの、好ましくは30〜45cm×45〜70cmに15〜25cmの高さのものである。
さらに多面体(B)には各辺にステッチを備えるものが好ましい。ステッチを備えることにより各辺(縁)が補強され、吸水膨潤後の多面体の各面の平面性がさらに向上する。各辺にステッチを入れる方法は特に制限されないが、例えば辺部(縁部)をつまんだ状態、折り重ねた状態、あて布やあて紙等の芯材を辺部にあてた状態で、透水性布の材質にもよるが縫製、接着剤、ヒートシールによりシールする方法等がある。これらのなかで好ましいのは縫製であり、縫い目の方向は特に限定されないが、辺に沿って1本以上の直線でもジグザグでも格子状に縫製してもよい。縫い方も特に制限がなく好ましくはミシン縫いである。ステッチを入れる巾、縫製の場合は縫い代の巾は、特に制限はないが3〜30mmが好ましい。3mm以上であれば、吸水膨潤後のステッチの辺を挟む二面が平面状になりやすくなる。また、30mm以下であれば、吸水膨潤後に数個の水膨潤性止水材を並べたり、積んだりしたときにステッチの部分が間隙に介在しても止水性の妨げとなることはない。上記の各辺とは好ましくは多面体(B)の有する辺の長さの30%以上であり、好ましくは70%以上であり、特に好ましくは100%である。
ポリビニルアルコール(ポバール;鹸化度は水に溶解すれば限定はないが、好ましくは70〜95モル%であり、特に好ましくは75〜90モル%)、ポリアクリルアミド、水溶性アクリル樹脂(アクリル酸ナトリウム、アクリル酸ヒドロキシエチル等の水溶性モノマーの単独又は共重合体)、水溶性ポリウレタン樹脂(イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートと分子量400〜4,000のポリエチレンオキシド等のポリオール等の反応物等)、水溶性エポキシ樹脂(分子量400〜4,000のポリエチレンオキシド等のポリオールとエチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリエポキシドとの反応物等)、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン等;
(2)半合成高分子
カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系;酸化澱粉、変性澱粉等の澱粉系等;
(3)天然高分子
コーンスターチ、小麦澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉等の澱粉系;こんにゃくマンナン、ペクチン等の糖類;ふのり、寒天、アルギン酸ナトリウム等の海草類;アラビアゴム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、トロロアオイ、トラガントガム等の植物粘質物;デキストラン、プルラン等の微生物による粘質物;にかわ、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質等;
これらの内、好ましくは合成高分子であり、特に好ましくはポリビニルアルコールである。
[接着強度]接着強度測定装置で剥離強度(180°ピール剥離強度、引っ張り速度100mm/分、単位;kgf/25mm)を測定する。
このような水膨潤性止水材は、水膨潤性止水材を水に漬け、吸水膨潤させて重量が15kg増加するまでの時間が0.5〜5分であることが好ましい。5分以下であれば水が浸入するのを素早く止めることができる。
図1、図4は本発明の水膨潤性止水材の形状例を示すもので、図4の上図は上方からみた斜視図であり、図4の中図は、中央部の縦断面図(A−A断面)であり、図4の下図は中央部の横断面図(B−B断面)である。多面体2は、不織布を縫製で組み合わせて袋状に形成したもので、この図は説明のため使用時は直方体になるものにしており、図1、図4は使用前の状態を想定している。多面体2の内部は各断面図に示す様に、仕切7によって二つの領域に分かれており、図4の下の様に多面体2の外縁に沿って環状になっている空間が密閉室3で、この密閉室3に取り囲まれているもう一つの空間が開放室4である。
多面体2の上面と下面には、半球状のゴムを等間隔で並べた滑り止め8が形成されており、地表面や他の水膨潤性止水材1との間で十分な摩擦力を確保できる他、従来と同様に多面体2の端に紐9を備えており、他の水膨潤性止水材1と結びつけることもできる。
(実施例)
以下の各実施例及び比較例において、各物性測定方法及び評価の基準は次の通りである。
[平均粒子径]前記の方法に同じ。
[膨潤速度]前記の方法に同じ。
[吸水量]
250メッシュナイロンネット製、サイズ10×20cm、ヒートシール幅5mm以内のティーバッグ状パッケージと、純水を準備する。吸水性樹脂をJIS標準篩いでふるい分けし、30〜100メッシュの粒径のものを採取して測定試料とする。
[保水量]
150G(1,100rpm、r=10cm)の遠心力が発揮できる遠心分離器を準備する。遠心分離器に吸水量測定後の試料入りティーバッグ状パッケージをセットし、それと対角線上に空のティーバッグ状パッケージをセットし、150G×90秒遠心分離する。各々のティーバッグ状パッケージの重量を測定し、保水量(g/g)=(A−B)/0.2より計算する。
[ゲル弾性率]
26〜30メッシュの篩いで篩別した吸水性樹脂を生理食塩水で50倍に膨潤させ、クリープメーターで測定する。コンピューターのクリープ解析プログラムにより下記測定条件に設定する。
(ii)圧縮時高さ(H0−h1)の測定条件:0.01mm
(iii)荷重(応力):30g
(iv)プランジャー降下速度(初期高さ測定時及び圧縮時):1mm/sec
(v)断面積
支持テーブルの中央に膨潤サンプル0.20±0.10gを平坦(一層になるように)に置き、測定する。測定は3回行い平均する。弾性率は下式によって求める。
ここで、応力 P0=F×98/S (N/m2)
荷重 F=30g
断面積 S=V0/(H0−h1)
サンプル体積 V0=サンプル重量 W0
∴ 弾性率 E0=2940×H0×(H0−h1)/W0×h1
[水可溶性成分含量]
試料10.00gを吸水量に対して過剰量の純水に入れ、24時間攪拌する。その後、液を濾過し母液をエバポレーターで濃縮した後、120℃の恒温槽で蒸発乾固させる。測定に使用した試料の量に対する蒸発残分の割合を質量%で計算する。
[残存水溶性単量体量]
(試料溶液の作成)300mlのビーカーに吸水性樹脂1gを入れ、0.9%の食塩水249gを加えてマグネチックスターラーで3時間攪拌する。濾紙で吸水ゲルを濾別した後の濾液を試料溶液とした。
[耐吸湿ブロッキング性]
吸水性樹脂5.0gをアルミカップにとり、ほぼ均一に拡げ、これを温度30±0.5℃、相対湿度80±1%に調整した恒温恒湿糟に入れ3時間放置する。アルミカップを取り出し、小型JIS篩い(12メッシュ)上で、アルミカップを逆さにして吸水性樹脂を取り出す。この際にアルミカップに付着しているものも出来るだけ形を崩さないようにする。小型JIS篩いを緩やかに5〜6回転振とうさせ、篩い上の吸水性樹脂を篩いおとす。篩い上に残った吸水性樹脂のブロッキング物の重量を測定し、全吸水性樹脂(5.0g)量に対する質量%で表す。
[製造例1]
1リットルのビーカーに、アクリル酸230g、48%の水酸化ナトリウム水溶液133g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル1.0g、及び水636gを添加し10℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素を0.1ppm(オリエント電気社製、商品名:溶存酸素計 DO220PBで測定)とした後、35%の過酸化水素水0.023g、L−アスコルビン酸0.00575g、及び過硫酸カリウム0.23gを添加した。該添加後、約30分で重合反応が開始し、約2時間後に最高温度72℃に到達した。更に、この温度で5時間熟成させて重合を完結させた。得られた重合体は、含水ゲル状を有していた。この重合体をニーダー(入江商会社製、商品名:BENCH KNEADER PNV−1;回転数70rpm)で約2時間撹拌して細断し、更に50%の水酸化ナトリウム水溶液35.5gを配合し、ニーダーで約2時間撹拌して混合した。引き続き110℃で加熱乾燥した後、粉砕して平均粒子径370μm(日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)であって、膨潤速度が28秒、吸水量が550g/g、保水量/吸水量が0.78、及びゲル弾性率が5×103N/m2、水可溶性成分含量が7質量%、残存水溶性単量体量が85ppm、耐湿ブロッキング性が7%の吸水性樹脂A(i)を得た。
[製造例2]
製造例1において、乾燥・粉砕後に微粉砕シリカ(「サイリシア250」:富士シリシア化学社製、平均粒子径2.7μm)2.5gを添加し、ナウターミキサーで均一に混合して平均粒子径370μm、膨潤速度が21秒、吸水量が550g/g、保水量/吸水量が0.78、及びゲル弾性率が5×103N/m2、水可溶性成分含量が7質量%、残存水溶性単量体量が85ppm、耐湿ブロッキング性が3%の吸水性樹脂A(ii)を得た。
[製造例3]
1リットルのビーカーに、アクリル酸0.29g(0.04mol)、48%の水酸化ナトリウム水溶液0.33g、50%アクリルアミド水溶液278.4g(1.96mol)、水278gを添加し、5℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素量を0.1ppmとした後、35%の過酸化水素水0.0001g、L−アスコルビン酸0.00005g及び4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)0.025gを添加した。約30分後重合が開始し、約5時間後に最高到達温度約75℃に到達して重合が完結して、含水ゲル状の重合物が得られた。
[製造例4]
吸水性樹脂粉末として、平均粒子径が200μm、膨潤速度が26秒、吸水量が100g/g、保水量/吸水量が0.7、及びゲル弾性率が5×103N/m2、水可溶性成分含量が1.5質量%、残存水溶性単量体量が50ppm、耐湿ブロッキング性が6.5%の吸水性樹脂A(iv)を準備した。
[比較製造例1]
吸水性樹脂粉末として、平均粒子径が600μm、膨潤速度が70秒、吸水量が900g/g、保水量/吸水量が0.8、ゲル弾性率が1.8×103N/m2、水可溶性成分含量が48.0質量%、アクリル酸含量が700ppm、耐吸湿ブロッキング性が10%のアクリル酸ソーダの吸水性樹脂A(v)(シリカ非含有、表面未架橋型)を準備した。
[比較製造例2]
アクリル酸30gを容量100mlのフラスコに入れ、氷冷しながら攪拌下に22.6質量%の水酸化ナトリウム水溶液58.7gを滴下して、アクリル酸の80%を中和させた。次いで、これに過硫酸カリウム0.1gを加え、攪拌して室温で溶解させた。別に、予め系内を窒素ガス置換した還流冷却器付きの500mlフラスコにシクロヘキサン163.4g及びソルビタンモノラウレート1.9gを仕込み、室温で攪拌して界面活性剤を溶解させた後、前記のフラスコ内容物を滴下して懸濁させた。再び系内を窒素ガスで十分に置換した後、昇温して油浴温度を55〜60℃に保持しながら、3時間反応させた。生成した重合液を減圧下で蒸発乾固することにより、微粒状の乾燥ポリマーを得た。平均粒子径が250μm、膨潤速度が65秒、吸水量が120g/g、保水量/吸水量が0.88、ゲル弾性率が7×103N/m2、水可溶性成分含量が20質量%、アクリル酸含量が150ppm、耐吸湿ブロッキング性が4%の吸水性樹脂A(vi)を得た。
[製造例5]
ポリプロピレン製の不織布(目付:200g/m2)で、上面、下面用30cm×50cm 2枚、側面用20cm×170cmを裁断し、上下両面にはそれぞれ直径1cmの円形状の天然ゴムが突起状(高さ2〜3mm)に400個付着する様溶着させ、一部開口部を残して直方体状袋に縫製した。
[比較製造例3]
上記直方体状の袋に代えて45cm×60cmの大きさの麻袋(約300g)製の多面体ではない通常の土嚢用の袋を準備した。
[実施例1〜4]
上記製造例1〜4で得られた吸水性樹脂A(i)〜A(iv)200gを製造例5で得た直方体状袋に封入して直方体状の水膨潤性止水材B(i)〜B(iv)を得た。
[実施例5]
乾式パルプ不織布(ハビックス社製、ハビックス JS45HD−W)に厚さ30μのポバール(PVA)フィルム(クラレ社製、CP−1220T10、鹸化度87〜89%)をラミネートしたシート(a)を10×15cmの大きさの長方形に切り、これをPVAフィルム側を重ねて3方の端(辺)をヒートシールして袋を作った。この中に吸水性樹脂A(i)50gを入れ、次いで開口部をヒートシール(密封)してゲル化材を作製した。実施例1と同様に製造例5で得た直方体状袋にゲル化材4個を等間隔に離して入れ、両面テープで固定した後開口部を縫製して直方体状の水膨潤性止水材B(v)を得た。
[比較実施例1〜2]
実施例1において吸水性樹脂A(i)に替えて比較製造例1〜2で得られた吸水性樹脂A(v)〜A(vi)を用いた以外は実施例1と同様にして直方体状の水膨潤性止水材B(vi)〜B(vii)を得た。
[比較実施例3]
実施例1において上記直方体状の水膨潤性止水材に代えて、比較製造例3で得られた多面体ではない通常の土嚢用の袋を用いた以外は実施例1と同様にして水膨潤性止水材B(viii)を得た。
[試験例]
上記実施例1〜5の水膨潤性止水材B(i)〜B(v)、比較実施例1〜3の水膨潤性止水材B(vi)〜B(viii)について下記の試験を行った。その結果を表1に示す。
[試験方法]
(i)水膨潤性止水材の膨潤時間:水70Lが入った水槽(50cm×70cm×30cm(高さ))の中に水膨潤性止水材を浸けて約15kgに吸水膨潤するまでの時間(分)を測定した。
○:袋の表面がヌルッとしなかった。
×:袋の表面がヌルッとした。
(iii)ゲルの漏れ:(i)の吸水膨潤後、水槽から水膨潤性止水材を取り出し、3段積みにしたときの最下段の袋についてゲルの漏れの有無を調べた。
○:袋の表面にゲルの漏れがなかった。
×:袋の表面にゲルがはみ出していた。
(iv)3段積みの安定性:縦長方向に2列、3段積みを1面として4面に囲い(計24個使用)、その中に2cmφのホースの先端を囲った中の底までつけて、30L/minの流量で水が上から溢れる状態になるまで注水したときの止水材の崩れの有無及び水膨潤性止水材の間からの水の漏れを調べた。(「図3」参照)
(崩れ)○:崩れなかった。 ×:止水材が動き崩れた。
(漏れ)○:水漏れが僅か。 ×:水漏れが激しい。
[製造例6]
ポリプロピレン製の不織布(目付:200g/m2)で、上面、下面用30cm×50cm 2枚、側面用20cm×170cm、仕切用20cm×70cmを裁断し、上面中央を縦横線に沿って10cm×20cmに切り取り(開放室)、仕切用裁断布を上面の穴に沿って上下両面に縫いつけた。また下面に直径1cmの円形状の天然ゴムが突起状(高さ2〜3mm)に400個、上面には100個付着する様溶着させ、密閉室の一部開口部を残して、中央に空洞がある状態の直方体状袋に縫製した。
[実施例6〜9]
上記製造例1〜4で得られた吸水性樹脂A(i)〜A(iv)200gを製造例6で得た空洞のある直方体状袋に封入して直方状の水膨潤性止水材C(i)〜C(iv)を得た。
[実施例10]
乾式パルプ不織布(ハビックス社製、ハビックス JS45HD−W)に厚さ30μのポバール(PVA)フィルム(クラレ社製、CP−1220T10、鹸化度87〜89%)をラミネートしたシート(a)を10×15cmの大きさの長方形に切り、これをPVAフィルム側を重ねて3方の端(辺)をヒートシールして袋を作った。この中に吸水性樹脂粒子A(i)50gを入れ、次いで開口部をヒートシール(密封)してゲル化材を作製した。実施例5と同様に製造例6で得た空洞のある直方体状袋にゲル化材4個を等間隔に離して入れ、両面テープで固定した後開口部を縫製して空洞のある直方体状の水膨潤性止水材C(v)を得た。
[比較実施例4〜5]
実施例5において吸水性樹脂A(i)に替えて比較製造例1〜2で得られた吸水性樹脂A(v)〜A(vi)を用いた以外は実施例5と同様にして空洞のある直方体状の水膨潤性止水材B(vi)〜B(vii)及び水膨潤性止水材C(vi)〜C(vii)を得た。
[比較実施例6]
実施例5において上記空洞のある直方体状の水膨潤性止水材に代えて、比較製造例3で得られた多面体ではない通常の土嚢用の袋を用いた以外は実施例5と同様にして水膨潤性止水材C(viii)を得た。
[試験例]
上記実施例6〜10の水膨潤性止水材C(i)〜C(v)、比較実施例4〜6の水膨潤性止水材C(vi)〜C(viii)について下記の試験を行った。その結果を表2に示す。
[試験方法]
(i)水膨潤性止水材の膨潤時間;表1の場合に同じ
(ii)ヌメリ感;表1の場合に同じ
(iii)ゲルの漏れ;表1の場合に同じ
(iv)3段積みの安定性:各水膨潤性止水材の穴(開放室)に砂利約10kgを投入し、縦長方向に2列、3段積みを1面として4面に囲い(計24個使用)、その中に2cmφのホースの先端を囲った中の底までつけて、30L/minの流量で水が上から溢れる状態になるまで注水したときの止水材の崩れの有無及び止水材の間からの水の漏れを調べた。(「図8」参照)
(崩れ)○:崩れなかった。 ×:止水材が動き崩れた。
(漏れ)○:水漏れが僅か。 ×:水漏れが激しい。
(2)止水材を積み重ねて加圧されても止水材からの吸水性樹脂のゲル漏れ、ヌメリもなく取り扱いやすい。
(3)吸水膨潤した止水材の上面及び下面は平面状であり積み重ねやすく、積み重ねても安定しており、多量の水の場合でも崩れにくい。
(4)止水材の上面及び下面は平面状であり、同じ形状のものを積み重ねた時に止水材と止水材との隙間が少なく、間から水が漏れにくい。また、止水材にステッチを備えると効果は著しい。
(5)止水材が直方体状や立方体状になるとさらに積み重ねが安定して、積み重ねた時に止水材と止水材との隙間がさらに少なく、間から水が漏れにくい。
(6)吸水膨潤した空洞のある止水材の開放室には土砂等の重量固形物を詰め込めるので、止水材の比重が水よりも大きくなり、激しい水流にも安定して耐える。また、積み重ねた止水材の開放室に杭を打ち込むと、複数の止水材を串刺し状に一体化できるので、さらに安定強靱な止水材群が形成できる。
(7)使用前の水膨潤性止水材は薄いので保管がしやすく、軽いので持ち運びが容易である。
Claims (5)
- 吸水性樹脂粒子(A)を透水性シートで構成された多面体(B)に封入してなる、水膨潤性止水材であって、前記吸水性樹脂粒子(A)が100〜850μmの平均粒子径、3〜50秒の膨潤速度、20〜1,000g/gの吸水量、0.55〜1.00の保水量/吸水量、2×103〜12×103N/m2のゲル弾性率、30質量%以下の水可溶性成分含量、500ppm以下の残存水溶性単量体量、及び9%以下の耐湿ブロッキング性を有してなり;多面体(B)の内部を複数の空間とし、これらの空間の少なくとも一区画を密閉室とし、残りの区画を多面体(B)の外部に通じる開放室とし、密閉室内に吸水性樹脂粒子(A)を封入し、開放室に重量物を詰め込むための投入口を備えてなることを特徴とする水膨潤性止水材。
- 吸水性樹脂粒子(A)が吸水膨潤した後に多面体(B)の少なくとも二つの面が平面状となるように構成されてなる請求項1記載の水膨潤性止水材 。
- 吸水性樹脂粒子(A)が吸水膨潤した後に多面体(B)が直方体状又は立方体状となる請求項1記載の水膨潤性止水材 。
- 前記多面体(B)が辺にステッチを備えてなる請求項1に記載の水膨潤性止水材 。
- 請求項1記載の水膨潤性止水材 を吸水させ形成されてなる止水材。
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