JP2007029131A - 化学カイロ - Google Patents

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Abstract

【課題】 長期間保存した後でも発熱性能の低下が少ない化学カイロを提供する。
【解決手段】 通気性の収納袋内に空気の存在下で発熱する発熱性組成物が収容され、該収納袋が気密性袋内に封入されてなる化学カイロにおいて、該通気性の収納袋の外側であって該気密性袋の内側に吸水した保水剤を封入させたことを特徴とする化学カイロ;並びに通気性の収納袋内に空気の存在下で発熱する発熱性組成物が収容され、該収納袋が気密性袋(F1)内に封入されてなる化学カイロを、さらに気密性袋(F2)に封入させた化学カイロであって、気密性袋(F1)の外側であって気密性袋(F2)の内側に吸水した保水剤を封入させたことを特徴とする化学カイロである。
【選択図】 なし

Description

本発明は使い捨ての化学カイロに関する。さらに詳しくは、長期間保存した後でも発熱性能の低下が少ない化学カイロに関する。
鉄粉、アルミニウム粉等の金属粉は空気及び水の存在下で酸化反応が生じ発熱するが、この発熱を利用した化学カイロが消費者に広く使用されている。水は予め発熱性組成物に必須成分として含有されるが、空気は使用時に通気性の収納包装材を通って中に入り酸化反応による発熱を開始させる。上記の通り、発熱性組成物中には一定量の水分が存在することが必要であり、使用前は非通気性袋に封入されており、通常はこの水分量は保たれるが、この非通気性袋内で保存されても、特に夏場の倉庫等の高温状態に保存した場合には、この非通気性包装材料から水分が揮散し、温感、発熱持続性等の発熱性能に著しく悪影響を受けるため、保存場所は温度の上がらない冷暗の倉庫等に制限され、また数年間の如く長期間保存する場合には数回の夏場を経るので、さらに発熱性能が著しく悪影響を受けて商品価値を損なうことになる。そのため、非通気性包装材料に金属化合物を被覆した基材フィルムの様な特殊な包装材料を使用した発熱体(例えば、特許文献1)が提案されている。
特開平11−239584号公報
しかしながら、非通気性(気密性)包装材料に上記の特殊な包装材料を使用するのは、安価品が求められる業界では使用しづらく汎用性がなくなるという問題が生ずる。
本発明者らは上記問題点を改善した簡単な方法で長期間保存しても発熱性能が低下しない化学カイロを得るべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、(1)通気性の収納袋内に空気の存在下で発熱する発熱性組成物が収容され、該収納袋が気密性袋内に封入されてなる化学カイロにおいて、該通気性の収納袋の外側であって該気密性袋の内側に吸水した保水剤を封入させたことを特徴とする化学カイロ;及び(2)気密性袋に封入された化学カイロを、さらに吸水した保水剤と共に気密性袋に封入させたことを特徴とする化学カイロである。
本発明の化学カイロは、保水剤が水分を吸放出して気密性袋内の湿度を調整するため、下記の効果を奏する。
(1)長期間保存しても水分の揮散が少なく使用時の発熱特性が低下しにくい。
(2)簡易な方法で達成できるので大幅なコストアップにならない。
本発明において、通気性の収納袋の外側であって該気密性袋の内側に封入される保水剤としては、無機系保水剤、有機系保水剤が挙げられる。
無機系保水剤としては、例えばバーミキュライト、パーライト、真珠岩粉末、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、珪藻土;椰子殻炭、ピート炭、木粉炭等の炭等が挙げられる。有機系保水剤としては、例えば紙、パルプ、スポンジ、木粉、天然繊維粉、吸水性繊維、吸水性樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは2種以上併用してもよい。また、これらの内で好ましくは吸水性樹脂である。吸水性樹脂であると、少量で大きな吸水量を有し、運搬又は保管時等に多少の圧力が加わっても吸水した水を離水しにくいため、保水性能が優れる。
吸水性樹脂としては具体的には下記(1)〜(5)のものが挙げられる。
(1)デンプン又はセルロース等の多糖類(イ−1)及び/若しくは単糖類(イ−2)と水溶性単量体及び/若しくは加水分解により水溶性となる単量体から選ばれる1種以上の単量体(ロ)と、架橋剤(ハ)とを必須成分として重合させ、必要により加水分解を行うことにより得られる吸水性樹脂。
多糖類(イ−1)としてはショ糖、セルロース、CMC、デンプン等が挙げられ、単糖類(イ−2)としてはペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース等が挙げられる。
単量体(ロ)としては例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を有するラジカル重合性水溶性単量体及びそれらの塩、及び水酸基、アミド基、3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基を有するラジカル重合性水溶性単量体等が挙げられる。
カルボキシル基を有するラジカル重合性水溶性単量体としては、例えば不飽和モノ又はポリ(2価〜6価)カルボン酸[(メタ)アクリル酸(アクリル酸及び/又はメタクリル酸をいう。以下同様の記載を用いる)、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、フマル酸、フマル酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、クロトン酸、ソルビン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、ケイ皮酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル等]及びそれらの無水物[無水マレイン酸等]等が挙げられる。
スルホン酸基を有するラジカル重合性水溶性単量体としては、例えば、脂肪族又は芳香族ビニルスルホン酸(ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸等)、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、(メタ)アクリルアルキルスルホン酸[(メタ)アクリル酸スルホエチル、(メタ)アクリル酸スルホプロピル等]、(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸[2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等]等が挙げられる。
リン酸基を有するラジカル重合性水溶性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルリン酸モノエステル[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイルロキシエチルホスフェート等]等が挙げられる。
上記カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を含有する水溶性単量体の塩[例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アミン塩もしくはアンモニウム塩等]等が挙げられる。
アミド基含有モノマー[例えば(メタ)アクリルアミド等]、3級アミノ基含有モノマー[例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等]、第4級アンモニウム塩基含有モノマー[例えば上記3級アミノ基含有モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等]、エポキシ基含有モノマー[例えばグリシジル(メタ)アクリレート等]、その他モノマー[4−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン等]等が挙げられる。
これらは2種以上併用してもよい。これらの内で好ましい水溶性単量体は、カルボキシル基を有するラジカル重合性水溶性単量体及びその塩であり、より好ましくは不飽和モノ又はポリカルボン酸及びその塩であり、特に好ましくは(メタ)アクリル酸及びその塩である。
架橋剤(ハ)としては、例えば、ラジカル重合性不飽和基を2個以上有する架橋剤、ラジカル重合性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤、反応性官能基を2個以上有する架橋剤等が挙げられる。
ラジカル重合性不飽和基を2個以上有する化合物(架橋剤)の具体例としては、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ又はトリ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。
ラジカル重合性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤としては、多糖類(イ−1)、単糖類(イ−2)又は単量体(ロ)の官能基と反応し得る官能基を少なくとも1個有し、且つ少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有する化合物[例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びグリシジル(メタ)アクリレート等]が挙げられる。
反応性官能基を2個以上有する架橋剤としては、多糖類(イ−1)、単糖類(イ−2)又は単量体単量体(ロ)の官能基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物[多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール及びトリメチロールプロパン等)、アルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミン等)、及びポリアミン(例えば、ポリエチレンイミン等)等]が挙げられる。
これらの架橋剤は2種類以上を併用しても良い。これらのうち好ましいものは、ラジカル重合性不飽和基を2個以上有する共重合性の架橋剤であり、更に好ましくはN,N'−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスルトールトリアリルエーテル及びトリアリルアミンである。
多糖類(イ−1)、単糖類(イ−2)、単量体(ロ)及び架橋剤(ハ)の割合、吸水性樹脂の製造法は特に限定されない。吸水性樹脂の具体例としては特開昭52−25886号、特公昭53−46199号、特公昭53−46200号及び特公昭55−21041号公報に記載されているものが挙げられる。
(2)上記多糖類(イ−1)及び/又は単糖類(イ−2)と単量体(ロ)とを重合させたもの(デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、セルロース−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物等)
(3)上記多糖類(イ−1)及び/又は単糖類(イ−2)の架橋物(カルボキシメチルセルロースの架橋物等)
(4)上記単量体(ロ)と架橋剤(ハ)との共重合体(架橋されたポリアクリルアミド及びその部分加水分解物、架橋されたアクリル酸−アクリルアミド共重合体、架橋されたポリスルホン酸塩(架橋されたスルホン化ポリスチレン等)、架橋されたポリアクリル酸塩/ポリスルホン酸塩共重合体、ビニルエステル(炭素数2〜6のカルボン酸とのエステル;酢酸ビニル等)−不飽和カルボン酸共重合体ケン化物(特開昭52−14689号及び特開昭52−27455号公報に記載されているもの等)、架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜4;メチルエステル、エチルエステル又はブチルエステル等)共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、架橋されたポリビニルピロリドン、及び架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコール)
(5)自己架橋性を有する上記(ロ)の重合体(自己架橋型ポリアクリル酸塩等)
以上例示した(1)〜(5)の吸水性樹脂は2種以上併用してもよい。
これらの吸水性樹脂のうち、好ましいものは、(1)及び(4)であり、さらに好ましくは、(4)として例示したもののうち、架橋ポリアクリルアミド共重合体{ポリアクリルアミド以外の共重合成分としては、アクリル酸、アクリル酸塩及びアクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜4)からなる群から選ばれる1種以上が好ましい}、架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数1〜4)、及び架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコールである。
中和塩の形態の吸水性樹脂である場合の塩の種類及び中和度については特に限定はないが、塩の種類としては好ましくはアルカリ金属塩、より好ましくはナトリウム塩及びカリウム塩であり、酸基(スルホ基、ホスホノ基及びカルボキシル基等の水中で酸性を示す官能基)に対する中和度は、酸基のモル数に対して、好ましくは50〜90モル%であり、より好ましくは60〜80モル%である。
上記(1)、(4)として例示したものの場合、架橋剤の使用量は、水溶性単量体と架橋剤の合計質量に基づいて、好ましくは0.001〜5質量%であり、より好ましくは0.05〜2質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%である。架橋剤の量が0.001質量%より少ない場合は、吸水性樹脂の重要な機能である吸水・保水能力が小さくなり、吸水後のゲルは水可溶性成分を多く含みやすく、残存する水溶性単量体量も多くなる。更に、重合後の含水ゲル状重合体の乾燥性が低下し、生産性が非効率的である。一方5質量%を超える場合、逆に架橋が強くなりすぎ、吸水・保水能力が低下し、吸収速度も遅くなる。
吸水性樹脂の製造に当たり、重合方法については特に限定されず、水溶液重合法、逆相懸濁重合法、噴霧重合法、光開始重合法、放射線重合法等が例示される。
好ましい重合方法は、ラジカル重合開始剤を使用して水溶液重合する方法である。この場合のラジカル重合開始剤の種類と使用量、ラジカル重合条件についても特に限定はなく、通常と同様にできる。なお、これらの重合系に、必要により各種添加剤、連鎖移動剤(例えばチオール化合物等)等を添加しても差し支えない。
重合して得られる吸水性樹脂の含水ゲル状重合体を乾燥後、粉砕し、さらに必要により粒度調整して得られる吸収剤粒子の表面近傍を、カルボキシル基等の酸基及び/又はその塩基と反応しうる官能基を少なくとも2個有する架橋剤で表面架橋して吸水性樹脂とすることもできる。
このような表面架橋型の吸水性樹脂は、常圧下だけでなく加圧下においても吸収性能と吸収速度に優れ、かつゲル強度も大きくなるので、本発明に好適である。
表面架橋に使用する架橋剤としては、従来から使用されている公知の架橋剤が適用できる。具体的な例としては、1分子中にエポキシ基を2〜10個有するポリグリシジルエーテル化合物[エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール(重合度2〜100)ジグリシジルエーテル、ポリグリセロール(重合度2〜100)ポリグリシジルエーテル等];2価〜20価のポリオール化合物[グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度2〜100)等];2価〜20価のポリアミン化合物(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等);重量平均分子量200〜500,000のポリアミン系樹脂(ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂等)、アルキレンカーボネート[エチレンカーボネイト等]、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、ポリイミン化合物等が挙げられる。
これらのうちで好ましいものは、比較的低い温度で表面架橋を行わせることができるという点で、ポリグリシジルエーテル化合物、ポリアミン系樹脂及びアジリジン化合物である。
表面架橋における架橋剤の量は、架橋剤の種類、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸水性樹脂に対して好ましくは0.001〜3質量%であり、より好ましくは0.01〜2質量%であり、特に好ましくは0.05〜1質量%である。架橋剤の量が0.001質量%未満では表面架橋を行わない吸水性樹脂と性能面で大差はない。一方、3質量%を越えると、吸収性能が低下する傾向にあり好ましくない。
また、乾燥や粉砕については以下の通りである。水溶液重合の場合は、例えば重合した含水ゲルをミートチョッパーやカッター式の粗砕機である程度細分化あるいはヌードル化し、必要によりアルカリ金属塩水酸化物を添加して含水ゲルの中和を行った後、透気乾燥や通気乾燥等の方法で行う。これらの中で、透気乾燥は短時間で効率的な乾燥が行えるため好ましい。一方、逆相懸濁重合の場合の含水ゲルの乾燥方法は、重合した含水ゲルと有機溶媒をデカンテーション等の方法で固液分離した後、減圧乾燥(減圧度;100〜50,000Pa程度)や該通気乾燥を行うのが一般的である。水溶液重合における含水ゲルの他の乾燥方法としては、例えば、特公平8−28216号公報記載のドラムドライヤー上に含水ゲルを圧縮延伸して乾燥する接触乾燥法等があるが、含水ゲルは熱伝導が悪いため、乾燥を行うためにドラム上等に含水ゲルの薄膜を作成する必要がある。乾燥温度は、使用する乾燥機や乾燥時間等により種々異なるが、好ましくは、50〜150℃、より好ましくは80〜130℃である。乾燥時間も、使用する乾燥機の機種及び乾燥温度等により異なるが、好ましくは5〜300分、より好ましくは、5〜120分である。このようにして得られた架橋重合体の乾燥物は、必要により粉砕して粉末化する。粉砕方法は、通常の方法でよく、例えば衝撃粉砕機(ピンミル、カッターミル、スキレルミル、ACMパルペライザー等)や空気粉砕(ジェット粉砕機等)で行うことができる。必要により乾燥した乾燥粉末は、必要により所望のスクリーンを備えた篩い機(振動篩い機、遠心篩い機等)を用いて、所望の粒径の乾燥粉末を採取することができる。
このようにして得られる吸水性樹脂は、その平均粒子径が好ましくは100〜850μmであり、より好ましくは100〜700μmである。平均粒子径が100μm以上であると、吸水時にいわゆる「ママコ」になりにくく均一に吸水/保水できる。850μm以下であるとカイロに封入しても厚さが均一となりやすい。
平均粒子径は粉砕及び篩いによりコントロールできる。また逆相懸濁重合の場合は重合条件によりコントロールすることもできる。平均粒子径は質量平均粒子径を意味し、質量平均粒子径は、通常の篩い法により得られる架橋重合体の各粒度分布を横軸が粒子径、縦軸が質量基準の含有量の対数確率紙にプロットし、全体の質量の50%を占めるところの粒子径を求める方法により測定する。
吸水性樹脂の吸水量は好ましくは10〜1,000g/gであり、より好ましくは80〜600g/gである。吸水量が10g/g以上であると吸水後保水量も十分で非通気性(気密性)袋内の湿度を十分調整できる。吸水量が1,000g/g以下であると吸水しても厚さがそれ程厚くならない。吸水量は上記の吸水性樹脂の種々の製造条件によりコントロールできる。保水量/吸水量の比は好ましくは、0.55〜1.00であり、より好ましくは0.65〜1.00である。保水量/吸水量の比が0.55以上1.00以下であると保水剤中に十分保水され、気密性袋内での吸放湿も十分となる。保水量/吸水量の比はモノマーの種類や架橋条件等によりコントロールできる。
吸水性樹脂の水可溶性成分含量は好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。水可溶性成分含量が30質量%以下であると水可溶性成分が布を通してカイロに付着しにくく、ヌメリ感が出にくく取り扱い易い
。水可溶性成分含量は重合条件によりコントロールできる。吸水性樹脂中の水可溶性成分含量を下げる方法としては、例えば吸水性樹脂の分子量を上げる方法が好ましく、重合濃度を下げる方法、架橋密度を上げる方法等をとることにより達成できる。
吸水性樹脂が水溶性単量体の架橋重合体が好ましい。その吸水性樹脂中の残存水溶性単量体量(例えばアクリル酸)は500ppm(なお、本発明において、ppmとは10-4質量%を意味する)以下であるのが好ましく、より好ましくは200ppm以下であり、特に好ましくは100ppm以下である。500ppm以下であると皮膚刺激に対して敏感な人でも吸水性樹脂に接した場合に皮膚が痒くなったりしにくい。残存水溶性単量体量(例えばアクリル酸)を下げる方法としては、還元性物質を重合後に添加する方法が効果が大きいが、重合条件、例えば上記の吸水性樹脂の分子量を上げる方法によっても達成ができる。還元性物質としては、亜硫酸ソーダ、アスコルビン酸、アミン類(アンモニア、モノエタノールアミン等)等が挙げられる。還元性物質を添加する場合、還元性物質の使用量(添加量)は、吸水性樹脂に対して好ましくは0.001〜5質量%である。
また、上記保水剤には必要に応じて抗菌剤、防虫剤、殺菌剤、消臭剤、芳香剤、界面活性剤(ノニオン系、アニオン系、カチオン系界面活性剤等の公知の界面活性剤)等を添加することができる。添加量は保水剤の吸水又は保水を妨げない範囲であれば特に限定はないが、好ましくは保水剤100重量部に対して50重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。この範囲であると、吸水又は保水を妨げずに、抗菌性、防虫性、殺菌性、消臭性、芳香性、保水剤全体が均一に吸水し易くする性能等を付与することが可能である。
本発明における保水剤の形態としては、粉体状、シート状、パック状から選ばれるものが挙げられる。シート状、パック状のものが通気性袋を汚さないので、化学カイロ使用時に保水剤が衣服や肌に付着することがないため好ましい。
粉体状のものとしては上記の吸水性樹脂の場合と同じであり、上記の吸水性樹脂がそのまま使用できる。粉体状の場合、その平均粒子径は好ましくは100〜850μmであり、より好ましくは100〜700μmである。粉体状のものを用いる場合は、化学カイロ1個当り非通気性(気密性)袋内に0.1g〜5gを封入することが好ましく、0.2g〜1gがより好ましい。この範囲であると、化学カイロが嵩張らないためコンパクトにすることができ好ましい。
シート状の形態のものとしては、シート状若しくは薄板状に形成された保水剤が挙げられ、下記の方法で得られるものを用いることができる。
例えば、木材パルプ等の各種繊維の綿状物に、保水剤(吸水性樹脂粉末又は吸水性繊維等)を含めて抄紙、機械的接着、バインダー、スパンボンド、スパンレース等の適宜の方法でシート化したもの;これらを積層してなる積層体;プラスチックフィルム、布(編布、織布、不織布)、紙等の基材の片面又は両面に粘着剤やバインダー(接着剤)を用いて保水剤粉末を固定させたもの;上記基材に保水剤粉末を散布し、他方の基材でサンドイッチ状に挟み、エンボス加工法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法、熱融着法等の方法で一体化したもの等が挙げられる。好ましくは、プラスチックフィルム、布(特に好ましくは不織布)、紙等の基材の片面又は両面に粘着剤やバインダー(接着剤)を用いて保水剤粉末を固定させたものである。
上記のシートにおいて、シートの厚みは好ましくは1.0〜5.0mmである。保水剤の目付量は好ましくは10〜300g/m2、より好ましくは50〜200g/m2である。この範囲であると、化学カイロが嵩張らないためコンパクトにすることができ好ましい。
パック状の場合、パックとしては、編布、織布、不織布、孔の開いた樹脂シート等の透水性シ合手段としては特に限定されないが、例えば縫製又は接着(ヒートシール又は接着剤等による接着)による手段がある。好ましくは、接着剤は充分な強度を得られるまでの乾燥時間が必要なことなどから、縫製又はヒートシールである。縫製又はヒートシールであると生産性及び加工性が優れる。縫製は透水性シートが布の場合に好適であり、ヒートシールは透水性シートがポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなる場合に好適である。パックの大きさは好ましくは縦10〜100mm×横10〜100mmである。パックに収容する保水剤の量は、好ましくは0.1〜5g/袋であり、より好ましくは0.2〜1g/袋である。
ここで、透水性シートとはシートに最初から孔があり水が通るシートの他に、孔があるシートを水溶性シートでラミネートして水溶性シートが水に溶解してすぐに孔があいた状態になり透水性を有するものとなるものも含む。孔の大きさは水が通れば特に限定はないが、好ましくは0.1〜5mm、特に好ましくは0.1〜3mmである。透水性は100mlの25℃のイオン交換水が100cm2の面積を通過する時間(秒)で表すと好ましくは30秒以下であり、より好ましくは15秒以下であり、特に好ましくは5秒以下である。この範囲であると、保水剤中の水分が容易に出入りできるため、気密性袋内の調湿性が優れる。
透水性シートの形態としては例えば編布、織布、不織布等の布帛;ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂シートに微細な孔を数多く開けたもの等やメッシュフィルム等が挙げられる。透水性シートの厚みは0.1〜5mmが好ましい。材質としては例えばポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等及びその変性物等の合成樹脂又は繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、綿、羊毛、絹、パルプ繊維等の天然繊維等及びこれらの混紡、混織品等すべての繊維素材が適用できる。
パックを形成する袋状の布の通気度は、「JIS L−1096:1999 8.27.1 A法(フラジール形法)」に準拠して測定される。好ましくは0.1〜30cm3/cm2・secであり、より好ましくは0.3〜25cm3/cm2・secであり、特に好ましくは0.5〜20cm3/cm2・secであり、最も好ましくは1〜8cm3/cm2・secである。通気度が0.1cm3/cm2・sec以上であると保水剤中の水分が容易に出入りできるため、保存したときの発熱特性の低下がさらに少なくなる。
保水剤の含水量は保水剤の重量に対して好ましくは2倍〜600倍、より好ましくは4〜300倍、特に好ましくは6〜100倍であるようにする。含水量が2倍以上であると通気性の収納袋内の水分を補給するための放湿が十分であり、600倍以下であるとカイロの中に入れてもカイロの厚みがそれ程厚くならず、目的が十分達成でき、流通時も効率的である。
保水剤を含水させる方法は、上記粉体、シート、パックを3〜30分間、1〜25℃の含水量に応じた一定量の水に浸けるか、一定量の水を噴霧する方法等が挙げられる。好ましくは後者である。
保水剤の含水後の厚さは、好ましくは1〜10mm、より好ましくは1〜5mmである。10mm以下であると、カイロの中に入れてもカイロの厚みがそれ程厚くならず、目的が十分達成でき、流通時も効率的である。上記の保水剤を含んだパック、シート等の面積は、通気性の収納袋の面積に対して好ましくは5〜100%である(ここでいう面積とは、投影図が最大となる面の面積である)。
本発明(1)は、通気性の収納袋内に空気の存在下で発熱する発熱性組成物が収容され、該収納袋が気密性袋内に封入されてなる化学カイロにおいて、該収納袋の外側であって該気密性袋の内側に吸水した保水剤を封入させた化学カイロである。
発熱性組成物は、少なくとも鉄粉、活性炭、電解質、保水剤及び水からなる。鉄粉の種類には特に制限はないが、例えば還元鉄、噴霧鉄及び電解鉄等が挙げられる。鉄粉の平均粒子径は好ましくは60メッシュ(250μm)以下であり、粒子径200メッシュ(75μm)以下のものが50質量%以上含有されるものが発熱持続時間及び発熱開始速度の観点からより好ましい。活性炭は反応助剤及び保水剤として使用され、椰子殻炭、木粉炭、瀝青炭、泥炭及び亜炭等が挙げられる。活性炭の粒子径としては60メッシュ(250μm)以下であり、粒子径140メッシュ(106μm)以下のものが50質量%以上含有されるものが発熱持続時間及び発熱開始速度の観点からより好ましい。
電解質としては、通常は無機塩類が用いられ、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び重金属の硫酸塩、炭酸塩、塩化物及び水酸化物等が挙げられる。これらの内で好ましくは塩化物である。具体的には、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化第一鉄及び塩化第二鉄等が挙げられる。保水剤としては前記に挙げられたもの(活性炭)と同じものが使用できる。これらの配合量は目的とする発熱性能によって異なり、一概には特定できないが、例えば鉄粉100重量部に対して、活性炭2.0〜35重量部、電解質0.5〜8.5重量部、水20〜50重量部、保水剤0.1〜20重量部である。
通気性の収納袋としては、発熱性組成物を収納袋の内部に保持するとともに、使用中に破袋を生じることがなく、発熱性能を得るために必要な通気性を有するものが使用される。
収納袋の構成としては、収納袋の片面を通気性包装材とし、片面を非通気性(気密性)包装材とすることができるが、袋の両面に通気性包装材を用いることもできる。通気性包装材としては、例えば微細な貫通孔を有する多孔質フィルム単独の包装材、不織布にポリエチレンフィルム等がラミネートされた非通気性(気密性)包装材に微細な孔を開けて通気性をもたせた包装材、多孔質フィルムに不織布を貼り合わせた包装材、あるいは繊維が積層され熱圧着されて通気性を制御された不織布よりなる包装材等が用いられる。ここで多孔質フィルムとはメタノールバブリング法等により製造され得る最大孔径が0.001μm〜20μm程度の微細な貫通孔を有するフィルムであり、例えば、合成樹脂フィルムを二軸延伸することによって貫通孔を設けたもの、あるいは溶融したポリエチレン、ポリプロピレン等に炭酸カルシウム等の無機系微細粉末を分散させた後、フィルム状に押出し、得られたフィルムをさらに延伸させて、貫通孔を設けたもの等である。これらの多孔質フィルムの市販品としては、例えばボーラム及びNFシート(トクヤマ社製)、セルポア(積水化学工業社製)、ブレスロン(日東電工社製)、タイベック(デュポン社製)等が使用できる。
気密性袋は、物理的にも化学的にも過酷な条件に置かれることから、該袋を構成する積層材には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他の条件が要求される。このような条件を満足する材料としては、具体的には例えば、低密度、中密度若しくは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース、その他の公知の樹脂のフィルムないしシートを任意に選択して使用することができる。上記のフィルムないしシートは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの、ラミネートしたもの等のいずれのものでも使用することができる。特に現在広く使用されているのは、ポリ塩化ビニリデンをポリプロピレン等の基材フィルムに塗布してなるものである。また、これらのシートは、2種以上を多層構造にしてもよい。
その厚さは任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択できる。特に、その他の基材としては、例えば、水蒸気、水等の透過を阻止するバリア性を有する低密度、中密度又は高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシート、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシート等を使用することができる。上記のフィルムないしシートの厚さとしては、任意であるが、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜100μmである。
なお、気密性袋の通気度は、「JIS L−1096:1999 8.27.1 A法(フラジール形法)」によれば、実質的に0cm3/cm2・secである。
気密性袋は、気密性の観点等から、「JIS K−7126−1987 7.B法(等圧法)」に準拠して測定される酸素透過度{cm3/m2・24h・atm(20℃、90%RH)}が0〜200のものが好ましく、さらに好ましくは1〜150、特に好ましくは5〜100のものである。200以下であると酸素透過度が充分に低いため、保存安定性がさらに優れる。コストの観点からは、酸素透過度が0に近いものは高価であるため、1以上が好ましく、さらに好ましくは5以上である。このような範囲のものであれば、低コストで優れた保存安定性を有する化学カイロを得ることができる。
上記の吸水した保水剤を気密性袋に入れる方法としては、(a)直接、保水剤(粉体状、シート状又はパック状)を入れる方法、(b)シート状又はパック状の保水材の片面を通気性の収納袋若しくは気密性袋に粘着又は接着するか、粉体状の保水材(保水剤粉末)を粘着剤若しくは接着剤で通気性の収納袋若しくは気密性袋に粘着又は接着する方法、(c)保水剤粉末を非通気性(気密性)袋にコーティングする方法等が挙げられる。好ましくは(b)の方法、特に好ましくはシート状又はパック状の保水材の片面を気密性袋に粘着又は接着する方法である。このようにすると、保水剤が、化学カイロ使用時に廃棄する気密袋に固定されているために、保水剤が廃棄するものであることをユーザーが容易に判断できる。また、保水剤に含水させるのは気密性袋内に入れる前であればいつでもよい。コーティングする方法は従来の塗料コーティングする方法が使用できる。
また、これら本発明(1)の化学カイロは、さらに気密性袋で包んでもよい。このようにすると、保存性がさらに優れるとともに、複数の化学カイロをまとめてパックすることで流通などに便利である。
本発明(2)は、気密性袋(F1)に封入された化学カイロを、さらに吸水した保水剤と共に別の気密性袋(F2)に封入させたことを特徴とする化学カイロである。気密性袋(F1)に封入された化学カイロとは、上記の吸水した保水剤と発熱体とを気密性袋に封入した化学カイロであっても、吸水した保水剤を入れない発熱体のみの化学カイロであってもよい。好ましくは前者である。前者であると上記の本発明の化学カイロよりもさらに保存安定性のよい化学カイロとなる。
さらに気密性袋(F2)に封入される化学カイロの個数は1個であっても複数個であってもよい。複数個とは2個以上、好ましくは3〜10個である。2個以上であると消費者が使用する前の流通段階では効率的に保存、流通ができるからである。
気密性袋(F1及びF2)の材質、形態、保水剤の材質、形態等は前記のものと同じものが使用できる。
本発明のカイロの保存安定性が良好であり、長期保存後でも発熱性能が低下しない点については次の様に考えられる。
従来のカイロにおいては、通気性の収納袋内にある発熱性組成物中の水分が通気性袋を通過して収納袋の外にでる。通常気密性袋は水分をも通過させにくいものであるが、完全に気密ではないため、夏場等では通気量が多くなり、水分が外に出てしまい、結局は発熱性組成物中の水分が減ってしまう。そのため、発熱持続時間が短くなるという問題が生ずる。
発熱性組成物中の水分は使用時の発熱開始速度等を計算した水分量を含むものであり、水分量を最初から多く入れておくと、通常の保存期間での使用では発熱開始までの時間が長くなるという問題が生ずる。通気性の収納袋の外側であって該気密性袋の内側の空間(以下A空間という)に吸水した保水剤を封入すると、A空間内の水分が外に揮散してもA空間内にある保水剤の水分の放湿によりA空間内に水分が補給調整されるとともに、A空間内の湿度が通気性収納袋内の湿度よりも大きくなると通気性収納袋内からのA空間への水分揮散が抑制されることになる。その結果、発熱組成物中の水分は従来より揮散されにくく夏場での保存安定性も良好となる。
本発明の化学カイロの使用方法は、例えば以下のようなものである。
本発明の化学カイロは、使用時に気密性袋を破ることで、通気性の収納袋内に収容された発熱性組成物が空気と接触し、発熱する。化学カイロを揉むと発熱が早くなる。この発熱した化学カイロを肌や衣服等に接触させて使用する。接触させる方法は特に限定されず、衣服のポケット等に入れてもよいし、粘着テープ等で化学カイロを体又は衣服に貼り付けてもよい。通気性袋の片面に粘着テープ等を設けておくと、貼るカイロとして好ましい。
保水剤は保存安定性を向上させるためのものであるので、化学カイロ使用時には(気密性袋を破った後は)廃棄すればよい。
以下実施例において本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下の各実施例及び比較例において、各物性測定方法及び評価の基準は次の通りである。
[平均粒子径]
JIS Z8815−1994(6.1乾式ふるい分け試験)に準拠して測定する。
JIS Z8801−1:2000に準拠して作成された、目開き53μm、106μm、150μm、300μm及び500μmのフルイ(枠の径200mm、深さ45mm)を目開きの大きいものが上になるように順に重ねて、吸水性樹脂をふるい分けた。
架橋重合体(A)の重量平均粒子径は、JIS Z8819−2:2001 5.2記載の式(12)重みつき平均粒子径の個数平均径に準拠して計算した値である。
[吸水量]
250メッシュ(目開き63μm)ナイロンネット製、サイズ10×20cm、ヒートシール幅5mm以内のティーバッグ状パッケージと、純水を準備する。保水剤をJIS Z8801−1:2000に準拠して作成されたJIS標準篩いでふるい分けし、30〜100メッシュ(目開き500〜150μm)の粒径のものを採取して測定試料とする。
試料0.20gをティーバッグ状パッケージへ投入し、それを純水中に、ティーバッグ状パッケージの底から約15cmを浸す。1時間放置後にティーバッグ状パッケージを引き上げ、垂直に吊るして15分間水切りする。試料が入ったティーバッグの水切り後の重量(Ag)を測定する。試料を入れない空のティーバッグ状パッケージを使用して同様の操作を行い重量(Bg)を測定する。測定は各3回行い平均する。吸水量(g/g)=(A−B)/0.20より計算する。
[保水量]
150G{=1470ms-2(1G=9.8ms-2)}の遠心力が発揮できる遠心分離器{1100rpm、半径(r)=10cm}を準備する。遠心分離器に吸水量測定後の試料入りティーバッグ(上記Ag測定後のティーバッグ)をセットし、それと対角線上に空のティーバッグ(上記Bg測定後のティーバッグ)をセットし、150G×90秒間遠心分離する。各々のティーバッグ状パッケージの重量(Ag測定後のティーバッグ:A’、Bg測定後のティーバッグ;B’)を測定し、保水量(g/g)=(A’−B’)/0.20より計算する。
[水可溶性成分含量]
試料10.00gを吸水量に対して過剰量の純水に入れ、24時間攪拌する。その後、液(上澄みのみ)を濾紙{東洋濾紙株式会社製No.6、5種C(JIS P3801)}を用いて濾過し濾液をエバポレーターで濃縮した後、120℃の恒温槽で蒸発乾固させる。測定に使用した試料の量に対する蒸発残分の割合を次式により質量%で計算し、水可溶性成分含量とする。
水可溶性成分含量(質量%)={蒸発残分(蒸発乾固した試料)の質量(g)}×100/10.00
[残存水溶性単量体量]
(試料溶液の作成)300mlのビーカーに吸水性樹脂1.0gを入れ、0.9%の食塩水249gを加えてマグネチックスターラーで3時間攪拌する。濾紙{東洋濾紙株式会社製No.6、5種C(JIS P3801)}で吸水ゲルを濾別した後の濾液を試料溶液とした。
(測定)試料溶液を下記測定条件で高速液体クロマトグラフィー(JIS K0124:2002)により残存水溶性単量体のピークの面積を求める。別に既知の濃度の水溶性単量体溶液から検量線(水溶性単量体量とピークの面積との関係)を作成し、この検量線から残存水溶性単量体量(製造例1及び2;アクリル酸、製造例3;アクリル酸及びアクリルアミド)を求めた。
<高速液体クロマトグラフィー測定条件>
カラム:RSpac KC−811(昭和電工株式会社製)
充填剤:スルホ基含有エチレンジビニルベンゼン共重合体
移動相:0.1%(v/v)H3PO4
検出器:UV検出器(波長195nm)
温度 :40℃
流量 :1.0ml/min
[製造例1]
1リットルのビーカーに、アクリル酸230g、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液133g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル1.0g、及び水636gを添加し10℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素を0.1ppm(オリエント電気社製、商品名:溶存酸素計 DO220PBで測定)とした後、35質量%の過酸化水素水0.023g、L−アスコルビン酸0.00575g、及び過硫酸カリウム0.23gを添加した。該添加後、約30分で重合反応が開始し、約2時間後に最高温度72℃に到達した。更に、この温度で5時間熟成させて重合を完結させた。得られた重合体は、含水ゲル状を有していた。この重合体をニーダー(入江商会社製、商品名:BENCH KNEADER PNV−1;回転数70rpm)で約2時間撹拌して細断(細かく砕く)し、更に50質量%の水酸化ナトリウム水溶液35.5gを配合し、ニーダーで約2時間撹拌して混合した。引き続き110℃で加熱乾燥した後、粉砕して平均粒子径370μm(日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)、吸水量が550g/g、保水量/吸水量が0.78、及び水可溶性成分含量が7質量%、残存水溶性単量体量が85ppmの吸水性樹脂A(i)を得た。
幅5cm、長さ5cmのセロハンテープ(基材がセルロースフィルム、粘着剤がアクリル系樹脂)の粘着面に吸水性樹脂A(i)を粘着面全体が覆われるようにまぶし、ロールで押さえつけてから粘着面に固定していない吸水性樹脂A(i)を振るい落として、さらにその上から水5gを噴霧して吸水性樹脂が吸水したシート状の保水剤である保水シート(i)を作製した。この保水シート(i)の吸水性樹脂A(i)の固定量は180g/m2であった[固定量={セロハンテープに固定した吸水する前の吸水性樹脂の重量(g)}/{25×10-4:セロハンテープの面積(m2)}、以下同様]。
[製造例2]
製造例1において、乾燥・粉砕後に微粉砕シリカ(「サイリシア250」:富士シリシア化学社製、平均粒子径2.7μm)2.5gを添加し、ナウターミキサーで均一に混合して平均粒子径370μm、吸水量が550g/g、保水量/吸水量が0.78、及び水可溶性成分含量が7質量%、残存水溶性単量体量が85ppmの吸水性樹脂A(ii)を得た。
幅5cm、長さ5cmのセロハンテープ(基材がセルロースフィルム、粘着剤がアクリル系樹脂)の粘着面に吸水性樹脂A(ii)を粘着面全体が覆われるようにまぶし、ロールで押さえつけてから粘着面に固定していない吸水性樹脂A(ii)を振るい落として、さらにその上から水15gを噴霧して吸水して保水シート(ii)を作製した。この保水シート(ii)の吸水性樹脂A(ii)の固定量は180g/m2であった。
[製造例3]
1リットルのビーカーに、アクリル酸0.29g(0.04mol)、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液0.33g、50%アクリルアミド水溶液278.4g(1.96mol)、水278gを添加し、5℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素量を0.1ppmとした後、35質量%の過酸化水素水0.0001g、L−アスコルビン酸0.00005g及び4,4'−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)0.025gを添加した。約30分後重合が開始し、約5時間後に最高到達温度約75℃に到達して重合が完結して、含水ゲル状の重合物が得られた。
このゲルを、ミートチョッパーで細分化した後、バンド乾燥機(透気乾燥機、井上金属株式会社製)を用いて120℃で1時間乾燥し、粉砕して平均粒子径500μmの未架橋の乾燥粉末を得た。この未架橋の乾燥粉末100gをステンレスのバットに3mmの厚みで入れ、160℃の循風乾燥機で120分加熱して熱架橋させて、平均粒子径が360μm、吸水量が88g/g、保水量/吸水量が0.82、及び水可溶性成分含量が5質量%、残存水溶性単量体量が98ppmの吸水性樹脂A(iii)を得た。
予め、通気度4cm3/cm2・secのポリエステル不織布(スパンボンド)で、その中に吸水性樹脂A(iii)0.1gを封入した5cm×5cmの正方形の吸水性樹脂入りパックを作製した。その上から水10gを噴霧して吸水して保水パック(i)を作製した。なお、パックの周囲は約5mm巾のヒートシールで接合されている。
[製造例4]
水10gを噴霧しない以外は、製造例3と同様にして、保水パック(ii)を作製した。
[実施例1]〜[実施例3]
鉄粉60重量部、水20重量部、木粉5.5重量部、バーミキュライト5重量部、活性炭13.5重量部、食塩2重量部からなる発熱性組成物37gを、片面が粘着剤を設けた基材シートからなり、他面が通気面からなる通気性収納袋内にヒートシールにより密封して発熱体を作製した。この発熱体及び製造例1〜3で作製した保水シート(i)、(ii)、保水パック(i)をそれぞれポリプロピレンにポリ塩化ビニリデンをコートしたPVDCコートフィルムで形成された非通気性(気密性)袋内にヒートシールにより密封して化学カイロ(i)〜(iii)を作製した。
[実施例4]
化学カイロ(i)及び保水シート(i)を、PVDCコートフィルムで形成された非通気性(気密性)袋内にヒートシールにより密封して、化学カイロ(iv)を作製した。
[比較例1]
保水シートを使用しない以外は、実施例1と同様にして化学カイロ(iv)を作製した。
[比較例2]
保水パック(i)に替えて、保水パック(ii)を使用した以外は実施例3と同様にして化学カイロ(vi)を作製した。
上記化学カイロについて以下の試験を行った。
(試験条件)
非通気性(気密性)袋内に収納された発熱体50個を50℃の恒温槽内に配置し、60日間保存した。これらの発熱体は15日目毎に10個ずつを取り出し、発熱性能の測定に供した。
発熱性能を、JIS S4100−1996に規定する6.6.2の手順に準拠して持続時間を測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2007029131
本発明の化学カイロ(i)〜(iv)は、60日保存後も優れた持続時間を有する(実施例1〜4)のに対して、保水剤を使用しない化学カイロ(v)及び吸水していない保水剤を使用した化学カイロ(vi)は、長期間保存すると、持続時間が短くなるという問題を有する。
本発明の化学カイロは使い捨てカイロとして長期間保存した後でも好適に使用できる。

Claims (6)

  1. 通気性の収納袋内に空気の存在下で発熱する発熱性組成物が収容され、該収納袋が気密性袋内に封入されてなる化学カイロにおいて、該通気性の収納袋の外側であって該気密性袋の内側に吸水した保水剤を封入させたことを特徴とする化学カイロ。
  2. 通気性の収納袋内に空気の存在下で発熱する発熱性組成物が収容され、該収納袋が気密性袋(F1)内に封入されてなる化学カイロを、さらに気密性袋(F2)に封入させた化学カイロであって、気密性袋(F1)の外側であって気密性袋(F2)の内側に吸水した保水剤を封入させたことを特徴とする化学カイロ。
  3. 前記保水剤の含水量が保水剤の重量に対して2倍〜600倍であることを特徴とする請求項1又は2記載の化学カイロ。
  4. 前記保水剤が吸水性樹脂である請求項1〜3の何れか記載の化学カイロ。
  5. 前記保水剤の形態が粉体状、シート状、パック状から選ばれるものである請求項1〜4の何れか記載の化学カイロ。
  6. 前記保水剤が前記気密性袋に粘着又は接着により固定されてなる請求項1〜5の何れか記載の化学カイロ。



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