JP6938316B2 - 吸収性複合体 - Google Patents

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本発明は、吸収性複合体に関する。より詳しくは、インク用吸収剤、化粧料、消臭剤等に好適な吸収性複合体に関する。
従来、ポリアクリル酸(塩)を主成分とする吸水性材料が開発されており、オムツや生理用品などの衛生用品等の衛生分野、医療分野、土木・建築分野、食品分野、工業分野、土壌改質剤、農業・園芸分野等、多種多様な分野に利用されている。
例えば、特許文献1、2には、ポリアクリル酸(塩)を主成分とする架橋体と基材とを含む吸収性複合体、又は、インク吸収体が開示されている。
特開2008−86590号公報 特開2009−274302号公報
上述のとおり、種々の吸収性複合体(インク吸収体)が開示されているが、吸収性樹脂とバインダーとを含む吸収コアが表層シートで挟まれた構造の従来の吸収性複合体は、熱をかけることにより、バインダーが表層シート間で融着し、表層シート間の空間が制限されることにより、吸液による吸収性樹脂の膨潤が規制され、吸液性に劣るものであった。さらに、バインダーが吸収性樹脂を被覆することにより、溶液が吸収性樹脂と接触しにくくなり吸液が阻害されたり、吸収性樹脂の吸液による膨潤が規制され、吸液性に劣るものであった。また、バインダーを使用しない場合やバインダーの量が少ない場合、吸液による吸収性樹脂の膨潤は規制されにくいものの、吸液により吸収性複合体が湿潤すると吸収コアと表層シートとにおいてはがれが生じ、耐久性に劣るものであった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、吸液性と湿潤時の耐久性とに優れた吸収性複合体を提供することを目的とする。
本発明者は、吸収性複合体について種々検討したところ、ノニオン系架橋重合体及び熱融着繊維を含む吸収コアが、表層部材で覆われた構造の吸収性複合体が、吸液性と湿潤時の耐久性とに優れることを見いだした。具体的には、本発明の吸収性複合体が上記構造を有することにより、ノニオン系架橋重合体が吸液した際に充分に膨潤できる空間を維持しつつ、吸収コアと表層部材とが接着した状態を充分に保持することができることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、ノニオン系架橋重合体と吸収基材とを含む吸収性複合体であって、上記吸収基材は、表層部材と熱融着繊維とを含み、上記熱融着繊維は、溶融温度が70〜200℃であり、上記吸収性複合体は、該ノニオン系架橋重合体及び熱融着繊維を含む吸収コアが、表層部材で覆われている吸収性複合体である。
上記吸収基材は、更に熱融着繊維以外のその他の繊維を含み、上記吸収性複合体は、ノニオン系架橋重合体、熱融着繊維及び熱融着繊維以外のその他の繊維を含む吸収コアが、表層部材で覆われていることが好ましい。
上記ノニオン系架橋重合体は、アミド系単量体及び/又は(ポリ)アルキレングリコール系単量体由来の構造単位を有するものであることが好ましい。
上記その他の繊維は、親水性繊維を含むことが好ましい。
上記親水性繊維は、セルロース系繊維、ポリアミド系繊維、動物繊維及び表層を親水化した疎水性の繊維からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記表層部材は、シート状又は袋状であることが好ましい。
本発明の吸収性複合体は、上述の構成よりなり、優れた吸液性と湿潤時の耐久性とをともに充分に発揮させることができるため、インク用吸収剤、化粧品、消臭剤等に好適に用いることができる。
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
<吸収性複合体>
本発明の吸収性複合体は、ノニオン系架橋重合体と吸収基材とを含む。
上記吸収性複合体において、ノニオン系架橋重合体と吸収基材との質量比(ノニオン系架橋重合体/吸収基材)は特に制限されないが、0.1〜15であることが好ましい。上記ノニオン系架橋重合体と吸収基材との質量比が0.1以上であれば、吸収基材が吸液した液体をノニオン系架橋重合体がより充分に受け取ることができ、吸収基材からの液体の染み出し等を充分に抑制することができる。上記質量比が15以下であれば、ノニオン系架橋重合体に対する吸収基材の量がより充分になり、吸収性複合体の吸液速度がより向上する。
より好ましくは上記質量比が0.2〜15である。
上記吸収性複合体がシート状等の平面的な形状である場合、上記吸収性複合体は、ノニオン系架橋重合体と吸収基材との質量比が0.2〜5であることがさらに好ましい。一層好ましくは0.5〜3であり、特に好ましくは0.7〜3である。
上記吸収性複合体が平面的な袋状である場合、上記吸収性複合体は、ノニオン系架橋重合体と吸収基材との質量比が1〜7であることがさらに好ましい。一層好ましくは2〜5である。
吸収性複合体が角錐状等の立体的な袋状である場合、上記吸収性複合体は、ノニオン系架橋重合体と吸収基材との質量比が3〜15であることがより好ましい。さらに好ましくは5〜10である。
上記吸収性複合体は、熱融着繊維の含有量が、ノニオン系架橋重合体100質量%に対して1〜50質量%であることが好ましい。これにより、ノニオン系架橋重合体が吸液して充分に膨潤することと、吸収コアと表層部材との接着性とのバランスがより向上し、吸液性と湿潤時の耐久性により優れることとなる。より好ましくは5〜30質量%である。
上記吸収性複合体は、後述する熱融着繊維以外のその他の繊維を含んでいてもよい。
上記その他の繊維の含有量は、ノニオン系架橋重合体100質量%に対して0〜200質量%であることが好ましい。より好ましくは30〜100質量%である。
上記吸収性複合体は、表層部材の含有量がノニオン系架橋重合体100質量%に対して5〜50質量%であることが好ましい。より好ましくは10〜30質量%である。
本発明の吸収性複合体の形態は、特に制限されないが、例えば、シート状、フレーク状等の平面的な形状;棒状(円筒や四角柱)、球状、三角錐や四角錘等の角錐状、円錐状、塊状等の立体的な形状等が挙げられる。
本発明における「シート」は、一般にシートであると認識される平面的な広がりをもった形状を意味するが、該形状の最も広い面の面積をa、その面に対する垂直方向の長さ(該形状の厚み)をbとしたときの〔a(1/2)〕/bが5以上であるような形状であることが好ましい。なお、上記形状の厚みが一定でない場合には、厚みの最大値をbとする。
本発明の吸収性複合体としては、シート状や角錐状のものが好ましい。
吸収性複合体がシート状等の平面的な形状である場合、吸収基材及びノニオン系架橋重合体と吸液させる液体とが接触する面積が大きいため、吸収基材が瞬時に液体を吸収し、吸収基材が吸収した溶液をノニオン系架橋重合体が強力に受け取り保持することになり、シート全体として溶液の吸液速度がより向上し、また、溶液をシート全体により充分に拡散させることができる。
また、吸収性複合体の形態がシート状の場合、液体を吸収した後にも、吸収性複合体の厚みの変化が小さく、厚みが規定されている用途に好適に用いることができる。
上記吸収性複合体が円錐状、角錐状等の立体的な形状である場合、ノニオン系架橋重合体がシート状の吸収基材で包装され、又は、袋状の吸収基材に充填、密封された包装体であることが好ましい。このような吸収性複合体は、ノニオン系架橋重合体が吸液して膨潤するための空間を確保しやすく、ノニオン系架橋重合体の膨潤を考慮して、ノニオン系架橋重合体の量を調節することにより、内圧により吸収基材が破断することを抑制し、かつ、吸収性複合体の体積当たりの吸液量をより向上させることができる。
上記ノニオン系架橋重合体の膨潤後の体積は、膨潤率によるため、包装体におけるノニオン系架橋重合体の量は、架橋重合体や吸液する液体の種類に依存するが、吸液前のノニオン系架橋重合体の体積が、ノニオン系架橋重合体の体積が包装体の膨潤後に確保される容積100%に対して2〜35%であることが好ましい。より好ましくは3〜20%である。
上記吸収性複合体がシート状等の平面的な形状である場合、上記吸収性複合体は、厚みが0.01〜50mmであることが好ましい。より好ましくは0.01〜30mmであり、更に好ましくは0.01〜20mmであり、特に好ましくは0.05〜10mmであり、一層好ましくは0.1〜7mmである。吸収性複合体の用途によっては、厚みが0.1〜5mmであってもよい。
上記吸収性複合体は、単位面積当たりの質量が0.1〜3000g/mであることが好ましい。より好ましくは0.5〜2500g/mであり、更に好ましくは1〜1500g/mであり、特に好ましくは50〜1500g/mであり、最も好ましくは100〜1500g/mである。
上記吸収性複合体は、ノニオン系架橋重合体の単位面積当たりの質量が50〜1500g/mであることが好ましい。これにより、吸収性複合体の吸液能力がより向上する。より好ましくは100〜1000g/mであり、更に好ましくは150〜800g/mである。
上記吸収性複合体は、吸収性複合体1g当たりの水の吸液能力が3〜30gであることが好ましい。より好ましくは5g以上であり、更に好ましくは8g以上である。一層好ましくは10g以上であり、特に好ましくは15g以上である。
上記吸収性複合体は、吸収性複合体1g当たりのエタノールの吸液能力が3〜30gであることが好ましい。これにより、上記吸収性複合体は、インク用吸収剤、化粧料、消臭剤用途に好適に用いることができる。より好ましくは5g以上であり、更に好ましくは8g以上である。一層好ましくは10g以上であり、特に好ましくは15g以上である。
吸収性複合体のエタノール、水の吸液能力は、「(吸収性複合体質量+吸収された溶液量)/吸収性複合体質量」で計算される値である。吸収性複合体の吸液能力は、実施例に記載の方法により測定することができる。
架橋重合体のエタノール、水の吸液能力は、「(架橋重合体質量+吸収された溶液量)/架橋重合体質量」で計算される値である。架橋重合体の吸液能力は、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記吸収性複合体は、吸収性複合体の性能を阻害しない範囲でその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては特に制限されないが、例えば一般的な吸水性ポリマー、ゼオライト、活性炭等の粉体が挙げられる。
<吸収基材>
上記吸収基材は、熱融着繊維と表層部材とを含むものである。
上記熱融着繊維は、溶融温度が70〜200℃である。溶融温度として好ましくは80〜180℃であり、より好ましくは90〜150℃である。
熱融着繊維は、単一成分の繊維であってもよいが、2以上の成分の複合繊維であることが好ましい。より好ましくは2成分の複合繊維であることが好ましい。
熱融着繊維が複合繊維である場合、一の繊維の溶融温度が70〜200℃であればよく、他の繊維の溶融温度は、一の繊維の溶融温度よりも高いことが好ましい。上記複合繊維の複合形式は、特に制限されず、2以上の成分の繊維が並列に組み合わさっていてもよいが、溶融温度が高い繊維に溶融温度が低い成分が被覆された構造であることが好ましい。
溶融温度が70〜200℃である繊維としては、例えば、低融点ポリエステル共重合体、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリプロピレン、ナイロン(低融点、融点200℃以下)等のポリアミド、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖型低密度ポリエチレン、ポリプロピレン共重合体、ポリエチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
溶融温度が70〜200℃である繊維として好ましくは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖型低密度ポリエチレン、ポリエチレン共重合体、ポリプロピレン、低融点ポリエステル共重合体であり、より好ましくは高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖型低密度ポリエチレン、ポリエチレン共重合体である。
上記熱融着繊維が複合繊維である場合の溶融温度が高い繊維としては、溶融温度が70〜200℃である繊維よりも溶融温度が高ければ特に制限されないが、該繊維よりも溶融温度が5℃以上高いものであることが好ましい。より好ましくは10℃以上、更に好ましくは15℃以上高いものである。具体的には例えば、ポリエステル、ナイロン(高融点、融点200℃よりも大きい)等のポリアミド等が挙げられる。好ましくはポリエステルである。
上記熱融着繊維の繊度は、特に制限されないが、0.5〜10デニールであることが好ましい。より好ましくは1〜7デニールである。
上記熱融着繊維の長さは、特に制限されないが、1〜50mmであることが好ましい。より好ましくは3〜10mmである。
上記吸収基材は、吸収コアを構成する繊維として熱融着繊維以外のその他の繊維を含むことが好ましい。これによりノニオン系架橋重合体及び熱融着繊維がその他の繊維に絡まり、吸収コアにおいてこれらが均一に保持され、また、繊維の熱融着による固定点が少なくなることで、ノニオン系架橋重合体が吸液した際により充分に膨潤できる。
すなわち、吸収基材が、更に熱融着繊維以外のその他の繊維を含み、上記吸収性複合体が、ノニオン系架橋重合体、熱融着繊維及び熱融着繊維以外のその他の繊維を含む吸収コアが、表層部材で覆われている形態もまた本発明の好ましい形態の1つである。
上記その他の繊維は、溶融温度が200℃を超えるもの、又は、70℃以上でも溶融しないものであれば特に制限されないが、親水性繊維を含むことが好ましい。
親水性の繊維とは、公定水分率が3%以上である繊維を示す。
繊維の公定水分率は、JIS L 0105に記載の方法により測定することができる。
親水性の繊維は、液体の拡散性が高いため、ノニオン系架橋重合体が、吸収基材が吸液した液体を、より速く受け取ることにより、吸収性複合体全体としての吸液速度が向上することになる。また、繊維自体が液体を保持することにより、吸収性複合体全体としての吸液能力が向上することになる。
上記親水性繊維としては、セルロース系繊維、ポリアミド系繊維、動物繊維及び表層を親水化した疎水性の繊維からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記セルロース系繊維としては、例えば綿、麻等の天然繊維;レーヨン、キュプラ、リヨセル、ポリノジック等の再生繊維;アセテート、トリアセテート等の半合成繊維;パルプ等が挙げられる。
上記ポリアミド系繊維としては、例えばナイロン等が挙げられる。
上記動物繊維としては、羊毛、絹等が挙げられる。
上記表層を親水化した疎水性の繊維とは、例えば、ポリエステル、高融点ポリアミド等の疎水性の繊維の表面をポリエチレングリコール等の親水性高分子でコーティングした繊維である。
上記親水性繊維としてより好ましくはセルロース系繊維であり、更に好ましくはパルプである。
上記親水性繊維の含有量は、ノニオン系架橋重合体100質量%に対して0〜100質量%であることが好ましい。これにより吸収性複合体の吸液能力がより向上する。親水性繊維の含有量としてより好ましくは10〜80質量%であり、更に好ましくは20〜70質量%である。
上記その他の繊維は、親水性繊維と更に疎水性繊維を含むことが好ましい。これにより、湿潤時の耐久性により優れることとなる。
上記疎水性繊維としては、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリウレタン等が挙げられる。疎水性繊維として好ましくはポリエステルである。
上記疎水性繊維の含有量は、その他の繊維100質量%に対して0〜80質量%であることが好ましい。より好ましくは10〜50質量%である。
上記表層部材は、吸収コアを覆う部材である。
上記表層部材は、吸収コアに液体を浸透させることができる限り特に制限されないが、例えば、厚みは0.01〜3mmであることが好ましい。より好ましくは0.1〜1mmである。
上記表層部材の素材としては、例えば、紙、布、木材、エラストマー、樹脂フォーム、多孔性基材等が挙げられる。
上記紙は、JIS P 0001で定義される紙であり、布は、JIS L 0206で定義されるシート状繊維製品の総称である。
上記布としては、例えば、織物、編物、組み物、レース、網、不織布等が挙げられ、好ましくは、織物、編物、不織布であり、より好ましくは不織布である。
上記樹脂フォーム、多孔性基剤は、特に制限されないが、例えば発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、無機多孔質体が挙げられる。
上記表層部材を構成する繊維素材としては、特に制限されないが、上述の親水性繊維、疎水性繊維が挙げられる。好ましくは親水性繊維であり、より好ましくはセルロース系繊維、アミド系繊維である。
上記表層部材の形状は、吸収コアを覆うものであれば特に制限されないが、シート状又は袋状であることが好ましい。
表層部材がシート状である場合、上記吸収性複合体は、吸収コアに1枚のシート状表層部材を積層させた構造であってもよいが、2枚のシート状表層部材により吸収コアが挟持された構造であることが好ましい。また、このような吸収性複合体が2層以上積層されていてもよい。
また、表層部材が袋状である場合、袋状表層部材に吸収コアが充填された構造となる。
<ノニオン系架橋重合体>
本発明の吸収性複合体は、ノニオン系架橋重合体(以下、単に架橋重合体ともいう)を含むものである。従来のポリアクリル酸(塩)を主成分とする架橋体は、水、又は、水を多く含む溶液に限られ、例えば、水を過剰に含む水溶液として有機溶剤を吸液できるものの、水が蒸発し有機溶剤成分の濃度が上昇すると、吸液した液を保持しきれず、液の染み出し(はきだし)が生じる等の問題があった。
これに対して、本発明の吸収性複合体は、ノニオン系架橋重合体を含むことにより、高濃度の有機溶剤等についても、吸液することができる。ノニオン系架橋重合体は、従来のポリアクリル酸(塩)を主成分とする架橋体と比較して、吸液速度が遅いが、吸収基材との複合体とすることにより、吸収性複合体に液体を吸液させた際に、まず、吸収基材が吸液し、拡散した液体をノニオン系架橋重合体が吸液することになる。このため、複合体化することにより、ノニオン系架橋重合体単独の場合よりも、本発明の吸収性複合体は速く吸液することができる。また、架橋重合体がノニオン系であることにより、安全性にも優れ、化粧料用途にも好適に用いることができる。
上記ノニオン系架橋重合体は、ノニオン系単量体(A)由来の構造単位(a)を有する架橋重合体である。
上記ノニオン系単量体(A)としては、非イオン性の単量体であれば特に制限されないが、例えば、アミド系単量体;不飽和アルコール類;(ポリ)アルキレングリコール系単量体;(メタ)アクリル酸エステル類;芳香族ビニル系単量体;アルケン類;ビニルエーテル類;カルボン酸ビニル類;ビニルエチレンカーボネート及びその誘導体等が挙げられる。
上記ノニオン系架橋重合体は、アミド系単量体及び/又は(ポリ)アルキレングリコール系単量体由来の構造単位を有するものであることが好ましい。
上記アミド系単量体としては、アミド構造とエチレン性不飽和炭化水素基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ラクタム構造を有する単量体(以下、ラクタム系単量体(N−ビニルラクタム系単量体)ともいう。);(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のN置換若しくは無置換の(メタ)アクリルアミド類;N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド等のビニルアセトアミド類;N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド等のN置換若しくは無置換のビニルホルムアミド類;ビニルオキサゾリドン等が挙げられる。
上記ラクタム系単量体としては、環状N−ビニルラクタム構造を有する単量体であれば特に制限されないが、下記式(1);
Figure 0006938316
(式中、R、R、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。xは、0〜4の整数を表す。yは、1〜3の整数を表す。)で表される構造であることが好ましい。
上記R〜Rにおけるアルキル基の炭素数としては、1〜6が好ましく、より好ましくは1〜4である。上記アルキル基として更に好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
上記R〜Rにおける置換基としては、特に制限されないが、エチレン性不飽和炭化水素基;カルボキシル基、スルホン酸基及びこれらのエステルや塩;アミノ基、水酸基等の架橋剤と縮合反応可能な反応性官能基等が挙げられる。
上記式(1)におけるR〜Rの少なくとも1つが、置換基として上述の架橋剤と縮合反応可能な反応性官能基を有する炭素数1〜10のアルキル基であれば、後述する(2)、(3)により架橋構造を形成することができる。
〜Rとしては水素原子であることが好ましい。Rとしては水素原子又はメチル基であることが好ましく、より好ましくは水素原子である。
xとしては、0〜2の整数であることが好ましく、より好ましくは0〜1の整数であり、最も好ましくは0である。
yとしては、1又は2であることが好ましく、より好ましくは1である。
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルカプロラクタム、1−(2−プロペニル)−2−ピロリドン等が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。N−ビニルラクタムとしては、ピロリドン環を有する不飽和単量体が好ましい。より好ましくはN−ビニルピロリドンである。
上記不飽和アルコール類としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等が挙げられる。
上記(ポリ)アルキレングリコール系単量体としては、(ポリ)アルキレングリコール鎖とエチレン性不飽和炭化水素基を有するものであれば特に制限されず、例えば、上述の不飽和アルコール類の水酸基にアルキレンオキシドを付加したアルキレンオキシド付加物や、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸類と(ポリ)アルキレングリコールとのエステル等が挙げられる。
上記(ポリ)アルキレングリコール系単量体としては、下記式(2);
Figure 0006938316
(式(2)中、R〜Rは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一又は異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。pは、0〜5の数を表し、qは、0又は1の数である。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。)で表される構造であることが好ましい。
上記式(2)において、R〜Rは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表すが、R、Rの少なくとも一方は水素原子であることが好ましい。
上記式(2)における−(RO)−で表されるオキシアルキレン基は、炭素数2〜18のオキシアルキレン基であり、オキシアルキレン基が2種以上存在する場合には、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。
上記−(RO)−で表されるオキシアルキレン基は、炭素数2〜8のオキシアルキレン基が好ましく、より好ましくは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。
これらのオキシアルキレン基は、アルキレンオキシド付加物であり、このようなアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。より好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドであり、更に好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドである。
上記式(2)における−(RO)−で表されるオキシアルキレン基が、エチレンオキシドが付加したオキシエチレン基を含むものである場合、全オキシアルキレン基100モル%中にオキシエチレン基を50〜100モル%含むことが好ましい。オキシエチレン基をこのような割合で含むことで空気連行性が高くなることを抑制し、空気量の調整を容易にすることが可能となり、強度低下や耐凍結融解性の低下を抑制することができる。より好ましくは60〜100モル%、更に好ましくは70〜100モル%であり、特に好ましくは80〜100モル%であり、最も好ましくは90〜100モル%である。
上記式(2)におけるRは、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であることが好ましい。より好ましくは、水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基、更に好ましくは、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基、特に好ましくは、水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基、最も好ましくは、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基である。
炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソオクチル基、2,3,5−トリメチルヘキシル基、4−エチル−5−メチルオクチル基及び2−エチルヘキシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖または分岐鎖のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル等の環状のアルキル基;フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、o−,m−若しくはp−トリル基、2,3−若しくは2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、ベンズヒドリル基、トリチル基及びピレニル基等のアリール基などが挙げられる。これらの中でも、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が好ましい。
上記式(2)におけるpは0〜5の数を表し、qは0又は1の数を表すが、p、qの好ましい組合せは、pが1又は2でqが0の組合せ、又は、pが0でqが1の組合せである。
上記式(2)におけるnは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。好ましくは1〜150であり、より好ましくは1〜100であり、更に好ましくは1〜80であり、特に好ましくは1〜50であり、最も好ましくは1〜30である。
上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステルであれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
上記芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、ビニルナフタレン、フェニルマレイミド等が挙げられる。
上記アルケン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、オクテン等が挙げられる。
上記ビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等が挙げられる。
上記カルボン酸ビニル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
上記ノニオン系単量体(A)の中でもアミド系単量体及び(ポリ)アルキレングリコール系単量体が好ましい。
すなわち、本発明のノニオン系架橋重合体は、アミド系単量体及び/又は(ポリ)アルキレングリコール系単量体由来の構造単位を有するものであることが好ましい。より好ましくは、アミド系単量体由来の構造単位を有するものである。
上記ノニオン系架橋重合体の架橋構造は、例えば下記(1)〜(5)により形成することができる。
(1)架橋性単量体を含む単量体成分を重合して架橋構造を有する重合体を製造する
(2)反応性官能基を有する単量体を含む単量体成分を重合して得られた重合体に、該反応性官能基と反応する官能基を複数有する架橋剤を反応させて架橋構造を形成する
(3)反応性官能基を有する単量体1と、該単量体1が有する反応性官能基と反応する反応性官能基を有する単量体2とを共に含む単量体成分を重合した後、該単量体1の反応性官能基と単量体2の反応性官能基とを反応させて架橋構造を形成(自己架橋)する
(4)重合体にラジカルを発生させ、ラジカルが発生した重合体間で架橋構造を形成(自己架橋)する
(5)重合体にラジカルを発生させ、ラジカルが発生した重合体と架橋性単量体を反応させて架橋構造を形成する
本発明の架橋重合体の架橋構造は上記(1)〜(5)のいずれによって形成されたものであってもよいが、上記(1)によって形成されたものであることが好ましい。
上記(1)、(5)における架橋性単量体については、後述のとおりである。
本発明の架橋重合体が、上記(2)又は(3)によって形成された架橋構造を有する場合、本発明の架橋重合体は、上記ノニオン系単量体又は後述するその他の単量体(E)に由来する構造単位として、反応性官能基を有する単量体に由来する構造単位を有することになる。
上記(2)、(3)における反応性官能基としては、特に制限されないが、カルボキシル基、スルホン酸基及びこれらのエステルや塩;アミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、オキサゾリン基等が挙げられる。
架橋構造が、上記(3)によって形成されたものである場合、互いに反応性を有する反応性官能基の組み合わせとしては、カルボキシル基(及びそのエステルや塩)と水酸基、スルホン酸基(及びそのエステルや塩)と水酸基、カルボキシル基(及びそのエステルや塩)とアミノ基、カルボキシル基(及びそのエステルや塩)とオキサゾリン基、スルホン酸基(及びそのエステルや塩)とアミノ基、イソシアネート基と水酸基、イソシアネート基とアミノ基、オキサゾリン基と水酸基、オキサゾリン基とメルカプト基等が挙げられる。本発明の架橋重合体の架橋構造が上記(2)によって形成されたものである場合の、単量体が有する反応性官能基と、架橋剤が有する該反応性官能基と反応する官能基の組み合わせの例もこれと同様である。
上記(2)における架橋剤としては、上記反応性官能基と反応することができる官能基を複数有するものであれば特に制限されないが、例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、オキサゾリン基含有ポリマー(株式会社日本触媒製 エポクロス)、ブタンジオール、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
本発明の吸収性複合体に含まれるノニオン系架橋重合体が上記(1)又は(5)により架橋構造が形成される場合の架橋性単量体は、1分子あたりに少なくとも2個の重合性のエチレン性不飽和炭化水素基を有する化合物であり、好ましくは1分子あたりに少なくとも2個のラジカル重合性のエチレン性不飽和炭化水素基を有する化合物である。
なお、ラクタム構造及び少なくとも2個のエチレン性不飽和炭化水素基を有する化合物は、N−ビニルラクタム系単量体にも、架橋性単量体にも含まれるものとする。
上記架橋性単量体としては、具体的には、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の炭素数1〜4のアルキレン基を有するN,N’−アルキレンビス(メタ)アクリルアミド;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の炭素数1〜4のアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の炭素数1〜4のアルキレン基を有するアルキレンオキサイドで変性されていてもよいトリメチロールプロパン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート;グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート等のグリセリン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ−ト等のジペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ)(メタ)アクリレ−ト;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アリルエーテル等のペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)(メタ)アリルエーテル;トリアリルシアヌレート(シアヌル酸トリアリル)、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン等の炭素数9〜20のトリアリル化合物;炭酸ジアリル、1,3−ビス(アリルオキシ)−2−プロパノール等の炭素数6〜20のジアリル化合物;(ジ、トリ)ビニルエーテル、ジビニルケトン、(ジ、トリ)ビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン等の炭素数4〜20の(ジ、トリ)ビニル化合物;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の炭素数2〜20のジイソシアネート;ポリ(メタ)アリロキシアルカン、N,N’−ジビニル−2−イミダゾリジノン、N,N’−1,4−ブチレンビス(N−ジビニルアセトアミド)、(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ)アリルスクロース等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記架橋性単量体の中でも、残存する単量体及び可溶分(架橋されない重合体分であって水への溶解分)が低下する傾向にあることから、アリル基を2個以上有する化合物を使用することが好ましい。具体的には、シアヌル酸トリアリル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、炭酸ジアリル、1,3−ビス(アリルオキシ)−2−プロパノール、ペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)(メタ)アリルエーテル、(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ)アリルスクロース等が好ましく、シアヌル酸トリアリル、ペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)(メタ)アリルエーテル、(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ)アリルスクロースがより好ましい。
上記(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、好ましくは1分子あたり2以上、50以下、より好ましくは2以上、20以下、さらに好ましくは2以上、10以下のオキシアルキレン基を有する。上記(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが有するオキシアルキレン基100モル%に対し、オキシエチレン基が50〜100モル%であることが好ましく、80〜100モル%であることがより好ましい。
上記トリメチロールプロパン(ジ、トリ)(メタ)アクリレートが炭素数1〜4のアルキレン基を有するアルキレンオキサイドで変性されたものである場合の、トリメチロールプロパン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート1分子あたりのアルキレンオキサイドの平均付加数も同様であることが好ましい。
上記架橋性単量体に由来する構造単位とは、上記架橋性単量体が有する重合性の炭素炭素二重結合基の少なくとも1以上が単結合になった構造単位と同じ構造の構造単位である。すなわち、上記架橋性単量体が有する重合性の炭素炭素二重結合基の少なくとも1以上が単結合になった構造単位と同じ構造であれば、例えば架橋性単量体以外の単量体を重合した後に、後架橋により形成された構造単位も架橋性単量体に由来する構造単位に含まれる。
上記ノニオン系架橋重合体は、ノニオン系単量体(A)及び架橋性単量体以外のその他の単量体(E)由来の構造単位(e)を有していてもよい。また、ノニオン系架橋重合体がノニオン性となる限り、その他の単量体(E)としてイオン系の単量体由来の構造単位を有していてもよい。その他の単量体(E)としては、例えば、(i)アクリル酸、メタアクリル酸等の不飽和モノカルボン酸及びこれらの塩;(ii)フマル酸、マレイン酸、メチレングルタル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸及びこれらの塩(一塩であっても二塩であっても良い);(iii)3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル及びその誘導体等の不飽和スルホン酸及びこれらの塩;(iv)N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールおよびこれらの塩またはこれらの4級化物等の不飽和アミン;(v)無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和無水物類等が挙げられる。
これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記(i)〜(iii)における塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が例示される。上記(iv)における塩としては、塩酸塩、硫酸塩等が例示される。
上記ノニオン系架橋重合体は、ノニオン系単量体(A)に由来する構造単位(a)の割合が全構造単位(ノニオン系単量体(A)由来の構造単位(a)及びその他の単量体(E)由来の構造単位)100モル%に対して、50〜100モル%であることが好ましい。より好ましくは70〜100モル%であり、更に好ましくは80〜100モル%であり、特に好ましくは90〜100モル%であり、最も好ましくは100モル%である。
上記ノニオン系架橋重合体は、アミド系単量体及び/又は(ポリ)アルキレングリコール系単量体由来の構造単位を有する場合、アミド系単量体及び/又は(ポリ)アルキレングリコール系単量体に由来する構造単位の割合が全構造単位100モル%に対して、50〜100モル%であることが好ましい。より好ましくは70〜100モル%であり、更に好ましくは80〜100モル%であり、特に好ましくは90〜100モル%であり、最も好ましくは100モル%である。
上記ノニオン系架橋重合体は、その他の単量体(E)由来の構造単位(e)の割合が全構造単位100モル%に対して、0〜50モル%であることが好ましい。より好ましくは0〜30モル%であり、更に好ましくは0〜20モル%であり、特に好ましくは0〜10モル%であり、最も好ましくは0モル%である。
上記ノニオン系架橋重合体は、架橋性単量体及び/又は架橋剤に由来する構造単位を、全構造単位100モル%に対し、0.01〜2モル%有することが好ましく、0.01〜1モル%有することがより好ましく、0.05〜1モル%有することが更に好ましく、0.1〜1モル%有することが最も好ましい。
架橋性単量体及び/又は架橋剤の使用量を調整することで、本発明のノニオン系架橋重合体の、インク等の溶液を吸液、保持する能力を調整することができる。また、架橋性単量体及び/又は架橋剤に由来する構造単位が0.01モル%以上であれば、ノニオン系架橋重合体を製造する際の解砕がしやすくなる。
本発明のノニオン系架橋重合体の平均粒子径は、特に制限はないが、好ましくは0.1μm以上、2000μm以下である。より好ましくは、0.1μm以上、1000μm以下であり、更に好ましくは、1μm以上、1000μm以下であり、特に好ましくは、10μm以上、1000μm以下であり、最も好ましくは50μm以上、850μm以下である。平均粒子径が上記好ましい範囲であることにより、本発明ノニオン系架橋重合体の水等の吸液能力が向上する傾向にあり、また、吸液速度も好適な範囲となる。平均粒子径が0.1μm以上であれば、水等を吸液した場合にダマになることを充分に抑制することができる。さらに、シート状の吸収基材に加工する際に、シート状吸収基材からの粉体の抜け落ちを充分に抑制することができる。平均粒子径が2000μm以下であれば、吸収コア内で湿潤によるシートの厚みの増加を充分に抑制することができる。また、ノニオン系架橋体が吸液して、吸収性複合体全体としてしっかりと液を保持できる速度が速くなる。また、ノニオン系架橋重合体は、平均粒子径が300μm以下であることが好ましく、この場合吸収性複合体内でノニオン系架橋体が膨潤可能な空隙を充分に確保することができる。
また、袋状の吸収性複合体を製造する際には、平均粒子径が100〜500μmであることが好ましく、平均粒子径が100μm以上であれば、袋状の吸収基材の目から架橋重合体が漏洩することを抑制することができ、500μm以下であれば、吸液速度がより向上する傾向にある。
ノニオン系架橋重合体の平均粒子径は、実施例に記載の方法により測定することができる。
<ノニオン系架橋重合体の製造方法>
上記ノニオン系架橋重合体の製造は特に制限されないが、単量体成分を重合することにより製造することができ、単量体成分の具体例及び好ましい例は、上述のとおりである。また、全単量体(ノニオン系単量体及びその他の単量体(E))成分100モル%に対するノニオン系単量体、その他の単量体(E)及び架橋性単量体の含有割合は、上述の全構造単位100モル%に対するノニオン系単量体、その他の単量体(E)及び架橋性単量体由来の構造単位の割合と同様である。
上記重合は、溶剤の不存在下で行ってもよいし、溶剤を使用してもよい。重合は、従来公知の種々の方法、例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、乳化重合法、逆相乳化重合法、沈殿重合法或いは注型重合法、薄膜重合法、噴霧重合法等を採用することができる。尚、重合反応を行なう際の攪拌方法は、特に限定されるものではないが、ゲル状の架橋重合体が生成する場合には、双腕型ニーダーを攪拌装置として用い、該双腕型ニーダーの剪断力によって細分化しながら攪拌することがより好ましい。また、上記重合の工程は、回分式でも連続式でも行うことができる。
上記重合工程において、ノニオン系単量体を含む単量体成分の重合を開始する方法としては、重合開始剤を添加する方法、UVを照射する方法、熱を加える方法、光重合開始剤存在下に光を照射する方法等を採用することができる。
上記重合工程において、溶剤を使用する場合、溶剤としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、ジエチレングリコール等のアルコール類等から選ばれる1種または2種以上が例示される。
上記重合工程において、重合を行なう際には、重合開始剤を用いることが好ましい。上記重合開始剤としては、例えば、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド等の過酸化物;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩水和物、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アスコルビン酸と過酸化水素、スルホキシル酸ナトリウムとt−ブチルヒドロパーオキシド、過硫酸塩と金属塩等の、酸化剤と還元剤とを組み合わせてラジカルを発生させる酸化還元型開始剤等が好適である。これらの重合開始剤のうち、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ系化合物が好ましく、アゾ系化合物が最も好ましい。中でも、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩水和物、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)がより好ましい。これらの重合開始剤は、単独で使用されてもよく、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記重合開始剤の使用量としては、単量体の使用量(ノニオン系単量体(A)と上述したその他の単量体(E)と架橋性単量体との合計の使用量)1モルに対して、0.1g以上、10g以下であることが好ましく、0.1g以上、7g以下であることがより好ましく、0.1g以上、5g以下であることがさらに好ましい。
開始剤の使用量をこのような割合とすることで、得られる架橋重合体に含まれる未反応の単量体の割合を充分に少なくすることができる。
上記重合工程において、逆相懸濁重合法を採用する場合に好適な分散剤としては、具体的には、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、エチルセルロースやセルロースアセテート等のセルロースエステル、セルロースエーテル、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体等のカルボキシル基含有重合体等が挙げられる。これら分散剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。尚、逆相懸濁重合法を採用する場合に供される疎水性有機溶媒は、特に限定されるものではない。
上記重合工程において、重合温度は、特に限定されるものではないが、比較的低温の方が架橋重合体の分子量が大きくなるので好ましく、20℃〜100℃の範囲内が、重合率が向上するのでさらに好ましい。尚、反応時間は、上記重合反応が完結するように、反応温度や、単量体成分、重合開始剤、及び溶媒等の種類(性質)や組み合わせ、使用量等に応じて、適宜設定すればよい。
上記重合工程を行う反応容器の材質は、重合工程を行うことができるものである限り特に制限されないが、ステンレス等の材質の反応容器を用いることが好ましい。これらの熱が伝わりやすい材質の反応容器を用いて重合反応を行うことで重合反応を充分に進行させ、得られる架橋重合体中に含まれる未反応の単量体(ノニオン系単量体等)の含有量を少なくすることができる。
また、ポリプロピレン等の鉄を溶出させない材質の反応容器を用いることも好ましく、これらの材質の反応容器を用いることで、得られる架橋重合体中に含まれる鉄分の含有量を少なくすることができる。
上記ノニオン系架橋重合体は、上記重合工程に加え、任意の工程を含んで製造してもよい。例えば、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、造粒工程、後架橋工程等を含んでいてもよい。
上記ノニオン系架橋重合体は、乾燥工程を含んで製造することが好ましい。
特に、上記ノニオン系架橋重合体が、溶剤を用いた重合で得られたものでゲル状である場合、すなわち溶剤を含むゲル状架橋重合体である場合、該ゲル状架橋重合体を、乾燥する工程を設けることが好ましい。なお、本発明において、乾燥とは固形分の上昇操作をいい、通常、ノニオン系架橋重合体全体の質量に対する固形分の割合が乾燥前と比較して上昇すればよいが、好ましくは架橋重合体全体の質量100質量%に対して固形分が95質量%以上、より好ましくは96質量%以上程度まで上昇させることである。なお、固形分の上限は99質量%程度であることが好ましい。乾燥は重合と同時に行ってもよく、重合時の乾燥と重合後の乾燥とを併用してもよいが、より好ましくは、重合後に乾燥装置を用いて乾燥する乾燥工程が設けられる。なお、ここで、架橋重合体の固形分は、下記の方法により測定される値をいう。
底面の直径が約5cmの秤量缶(質量W1(g))に、約1gの架橋重合体を量り取り(質量W2(g))、150℃の定温乾燥機中において1時間静置し、乾燥させる。乾燥後の秤量缶+架橋重合体の質量(W3(g))を測定し、以下の式より固形分を求める。
固形分(質量%)=((W3(g)−W1(g))/W2(g))×100
上記乾燥工程は、好ましくは乾燥工程の時間全体の50%以上の時間、より好ましくは実質すべての乾燥工程をとおして80℃〜250℃の範囲で行われる。上記範囲であることにより、架橋重合体の諸物性がより向上する傾向にある。
なお、乾燥温度は熱媒温度で規定するが、マイクロ波等熱媒温度で規定できない場合は材料温度で規定する。乾燥方法としては、乾燥温度が上記範囲内であれば特に限定されるものではなく、熱風乾燥、無風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥等を好適に用いることができる。中でも、熱風乾燥を用いることがより好ましい。熱風乾燥を用いる場合の乾燥風量は、好ましくは0.01〜10m/sec、より好ましくは0.1〜5m/secの範囲である。乾燥温度の範囲はより好ましくは110℃〜220℃、さらに好ましくは120℃〜200℃の温度範囲である。また、乾燥は、一定温度で乾燥してもよく、温度を変化させて乾燥してもよいが、実質、すべての乾燥工程は上記の温度範囲内でなされることが好ましい。
上記粉砕工程は、粉砕機を使用して行うことが好ましい。本発明の製造方法が乾燥工程を含む場合、粉砕は乾燥前、中、後のいずれに行っても良いが、好ましくは乾燥後である。上記粉砕機は特に限定されるものではないが、例えばロールミルのようなロール式粉砕機、ハンマーミルのようなハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、カッターミル、ターボグラインダー、ボールミル、ピンミル、フラッシュミル、ジェットミル等が用いられる。この中でも、粒度分布を制御するためにはロールミル、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ピンミル、ジェットミルを用いることがより好ましい。粒度分布を制御するため連続して2回以上粉砕することがより好ましく、連続して3回以上粉砕することがさらに好ましい。
また、2回以上粉砕する場合には、それぞれの粉砕機は同じであっても異なっていてもよい。異なる種類の粉砕機を組み合わせて使うことも可能である。
また、ノニオン系架橋重合体を平均粒子径100μm以下に粉砕する場合は、ジェットミルを用いることが好ましい。
例えば本発明のノニオン系架橋重合体を特定の粒度分布に制御するために、分級工程や造粒工程を設けてもよい。上記分級は、特定の目開きの篩を使用してもよい。篩で分級するために用いる分級機は特に限定されるものではないが、たとえば振動篩(アンバランスウェイト駆動式、共振式、振動モータ式、電磁式、円型振動式等)、面内運動篩(水平運動式、水平円−直線運動式、3次元円運動式等)、可動網式篩、強制攪拌式篩、網面振動式篩、風力篩、音波篩等が用いられ、好ましくは振動篩、面内運動篩が用いられる。
上記ノニオン系架橋重合体が上記(2)〜(5)によって形成された架橋構造を有するものである場合、該架橋重合体の製造方法では、単量体成分を重合させる重合工程を行った後に当該架橋構造を形成するための後架橋工程を行うことになる。
上記後架橋工程において後架橋させる(重合後に架橋させる)方法としては、例えば、(i)重合工程で得られた重合体にUV、γ線、電子線を照射する方法、(ii)重合工程で得られた重合体に縮合剤のような反応促進剤を加えて自己架橋させる方法、(iii)重合工程で得られた重合体に熱を加えて自己架橋させる方法、(iv)重合工程で得られた重合体にラジカル発生剤を含有させた後、熱を加えて自己架橋させる方法、(v)重合工程で得られた重合体にラジカル重合性架橋剤(架橋性単量体)およびラジカル重合開始剤を含有させた後、加熱および/または光照射する方法等が挙げられる。
なお、後架橋工程に供される重合体としては、単量体成分から製造したものを用いてもよく、市販の重合体を用いてもよい。
本発明のノニオン系架橋重合体が上記(2)によって形成された架橋構造を有するものである場合、架橋剤の使用量は、重合体が有する反応性官能基(架橋剤と反応する反応性官能基)100モル%に対して、架橋剤が有する官能基が30〜100モル%となる量であることが好ましい。より好ましくは、50〜100モル%である。このような割合で架橋剤を使用することで充分な架橋構造を形成することができるとともに、得られる架橋重合体中に残存する未反応の架橋剤の量も少なくすることができる。
上記(ii)の方法において用いる反応促進剤としては、硫酸、リン酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基;N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記(iv)の方法において用いるラジカル発生剤としては、上述した重合工程において用いる重合開始剤と同様のものを用いることができる。重合開始剤のうち、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、オクタノイルパーオキサイド、サクシニックパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸等の過酸化物が好ましい。
本発明のノニオン系架橋重合体が上記(5)によって形成された架橋構造を有するものである場合、後架橋の際に使用する架橋性単量体の使用量は、後架橋工程前の重合体100質量%に対して、0.1〜50質量%であることが好ましい。より好ましくは、1〜30質量%である。このような割合で架橋性単量体を使用することにより、充分な架橋構造を形成することにより、顔料がインクに含まれる場合の顔料をより充分に吸収することができるとともに、得られる架橋重合体中に残存する未反応の架橋性単量体の量も少なくすることができる。
上記ノニオン系架橋重合体の製造において、ノニオン系単量体として、N−ビニルラクタム系単量体を用いる場合重合反応後、得られたノニオン系架橋重合体に有機酸を添加する工程を含むことが好ましい。得られたノニオン系架橋重合体に有機酸を添加することにより、架橋重合体中に残存するN−ビニルラクタム系単量体の量を低減することができる。
上記有機酸としては、特に制限されないが、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、リン酸基等の酸基を有する有機化合物が挙げられる。このような有機酸としては、例えば、マロン酸、しゅう酸、コハク酸、アスパラギン酸、クエン酸、グルタミン酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、プロピオン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、グリコール酸、サリチル酸、乳酸、L−アスコルビン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ラウリルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンホスホン酸、ラウリル硫酸等が挙げられる。
上記有機酸の使用量は、特に制限されないが、反応工程で仕込んだN−ビニルラクタム系単量体100質量%に対して0.01〜5質量%であることが好ましい。有機酸の使用量が上記範囲であれば、得られる架橋重合体中に残存するN−ビニルラクタム系単量体の量を低減しつつ、有機酸(塩)の量も低減することができる。有機酸の使用量としてより好ましくは0.05〜3質量%であり、更に好ましくは0.1〜1質量%である。
なお上記有機酸(塩)は、上記有機酸及び有機酸の塩を表し、有機酸の塩は、主に後述する中和工程において添加する塩基と有機酸との中和物である。
上記有機酸をノニオン系架橋重合体に添加する場合における有機酸とノニオン系架橋重合体との反応時間としては、特に制限されないが、10分〜3時間であることが好ましい。より好ましくは30分〜2時間である。
上記ノニオン系架橋重合体の製造方法は、重合反応後に、ノニオン系架橋重合体を熟成する工程を含むことが好ましい。上記熟成工程における温度は特に制限されないが、70〜150℃であることが好ましい。熟成温度が上記範囲であれば、残存する単量体の重合を促進することができる。より好ましくは80〜100℃である。
上記熟成工程における熟成時間は特に制限されないが、10分〜5時間であることが好ましい。より好ましくは30分〜3時間である。
上記ノニオン系架橋重合体の製造方法が有機酸を添加する工程を含む場合、上記熟成工程は、有機酸を添加する工程の前に行うことが好ましい。
上記熟成工程は、ノニオン系架橋重合体を解砕しながら行うことが好ましい。上記有機酸を添加する工程を含む場合、解砕することにより、有機酸が架橋重合体により充分に浸透することから、得られる重合体中に残存するN−ビニルラクタム系単量体の量をより充分に低減することができる。上記重合体の解砕は、通常用いられる方法により行うことができ、例えば、ニーダー、ミートチョッパー等のスクリュー押し出し機、カッターミル等のゲル粉砕機等を用いて解砕する方法が挙げられる。
上記ノニオン系架橋重合体の製造方法は、有機酸を添加する場合であって、本発明の吸収性複合体として、後述する袋状の吸収性複合体を製造する場合には、上記有機酸の添加工程の後に中和工程を含むことが好ましい。中和の方法は特に制限されないが、有機酸を重合体に反応させた後に、塩基を添加することが好ましい。上記塩基としては特に制限されないが、例えば、アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族アミン;アニリン等の芳香族アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもアンモニア、脂肪族アミン、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、より好ましくはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。
<吸収性複合体の製造方法>
本発明の吸収性複合体を製造する方法は特に制限されないが、例えば、上記製造方法は、ノニオン系架橋重合体と熱融着繊維を含む繊維とを混合して吸収コアを形成する工程と吸収コアを表層部材で覆う工程とを含むことが好ましい。
上記吸収コアを形成する工程において、ノニオン系架橋重合体と熱融着繊維を含む繊維とを混合する方法は特に制限されないが、ミキサーを用いて乾式混合することが好ましい。
上記吸収コアを形成する工程は、上記混合により得られた混合物を用いて不織材を形成することが好ましい。これにより吸収コアにおいて、ノニオン系架橋重合体が分散した状態になる。吸収性複合体がシート状である場合、上記不織材は不織布であり、上記混合物を抄造することにより製造することが好ましい。より好ましくは空気抄造することである。
上記吸収コアを表層部材で覆う工程は、特に制限されないが、吸収コアの上にシート状表層部材を重ね、若しくは、2枚のシート状表層部材で吸収コアを挟み、又は、袋状表層部材に吸収コアを充填したうえで、吸収コアと表層部材とを加熱融着させることが好ましい。
上記加熱融着させる方法は特に制限されないが、熱ロール、熱プレス等の熱板等を用いる方法や、熱風を吹き付ける方法等が挙げられる。
上記加熱融着の温度は、熱融着繊維が溶融する温度であれば特に制限されないが、90〜180℃であることが好ましい。より好ましくは100〜130℃である。
<吸収性複合体の用途>
本発明の吸収性複合体は種々の液体の吸液能力に優れるため、インク吸収剤用途や保湿剤等の化粧料用途に好適に用いることができる。
また、本発明の吸収性複合体は消臭成分を含む液体や臭気成分を吸収することもでき、消臭剤用途にも好適に用いることができる。
上記吸収性複合体が効果を発揮することができる臭気成分としては、特に制限されないが、メチルメルカプタン等のチオール類、アンモニア等のアミン類、酢酸等のカルボン酸類、ノネナール等のアルデヒド類、ジアセチル等のジケトン類等が挙げられる。すなわち、本発明の吸収性複合体は、様々な臭気成分に対して消臭効果を発揮することができ、この理由としては以下のようなことが考えられる。本発明の吸収性複合体は吸湿性を有するため、吸湿した水を介して水溶性の臭気成分を吸着することや、本発明の架橋重合体が、アミド系単量体由来の構造単位を有する場合、アミド系単量体が有するN部位やカルボニル基で臭気成分を吸着することが考えられる。本発明の吸収性複合体は、上記臭気成分の中でも酢酸等のカルボン酸に対して、より優れた消臭効果を発揮する。
<吸収性複合体が吸収できる溶液>
本発明の吸収性複合体が吸収することができる溶液としては、水、水溶性有機溶剤、インク、液体化粧料組成物等が挙げられる。
上記水溶性有機溶剤としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、及び、tert−ペンタノール等のアルコール類又はグリコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤(アミド類);2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類;2−オキサゾリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン;1,1,3,3−テトラメチル尿素;ジメチルスルホキシド;及び、スルホラン等が挙げられる。
水溶性有機溶剤として好ましくは、グリセリン、グリコール類、アルコール類、アミド類、ピロリドン類である。
上記インクに含まれる成分としては、特に制限されないが、例えば、水、上記水溶性有機溶剤、染料、顔料、その他の添加剤等が挙げられる。
上記染料としては、ブラックアゾ化合物、銅フタロシアニン化合物、マゼンタ染料等が挙げられる。
上記顔料としては、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料や、アゾ顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料等が挙げられる。上記顔料の粒子径は特に制限されないが、0.01〜0.50μmであることが好ましい、より好ましくは、0.02〜0.20μmである。
上記液体化粧料組成物としては、化粧水、乳液、美容液等の基礎化粧料;リキッドファンデーション、下地乳液等のメイクアップ化粧料;クレンジング、液状洗顔料等の洗浄用化粧料;日焼け止め化粧料等の化粧料(医薬部外品を含む);リニメント剤、ローション剤等の皮膚外用剤等が挙げられる。
上記液体化粧料組成物に含まれる成分としては特に制限されないが、例えば、油性基剤、保湿剤・感触向上剤、界面活性剤、高分子、増粘・ゲル化剤、溶剤・噴射剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤・抗菌剤、キレート剤、pH調整剤・酸・アルカリ、粉体類、無機塩類、紫外線吸収剤、美白剤、ビタミン類及びその誘導体類、消炎剤・抗炎症剤、育毛用薬剤・血行促進剤・刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤・抗老化剤・ひきしめ剤・冷感剤・温感剤、創傷治癒促進剤・刺激緩和剤・鎮痛剤・細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス類、鎮痒剤、角質剥離・溶解剤、制汗剤、清涼剤、収れん剤、酵素類、核酸類、香料、色素・着色剤・染料・顔料、水等が挙げられる。
これらの成分の具体例として、特開2007−45776号公報に記載のものと同様のものが挙げられる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<ノニオン系架橋重合体の平均粒子径の測定>
乾式の粒子径分布測定装置(スペクトリス株式会社マルバーン事業部製 型式:マスターサイザー3000 乾式)により測定した累積50%値を、平均粒子径とした。測定条件は以下に示す。
<測定条件>
乾式レーザー回折散乱法
分散圧力:1bar
粒子屈折率:1.52
粒子吸収率:0.01
粒子形状:非球形
溶媒名:空気(AIR)
測定範囲:0.1〜3500μm
<ノニオン系架橋重合体の溶媒(脱イオン水を含む)及び溶液吸液能力の評価>
架橋重合体約0.1gを正確に秤量し(質量W5(g))、4cm×5cmの不織布製のティーバッグの中に入れ、ヒートシールにより封入した。上記操作は、温度23±2℃及び相対湿度50±5%、常圧の室内で行った。このティーバッグを、ガラス製で規定容量が50mLのスクリュー管に入れ、溶媒又は溶液(脱イオン水の場合は導電率10μS/cm以下)中に室温(温度23±2℃)、常圧で24時間浸漬した。なお、吸液速度が遅い油等の場合は40℃で24時間浸漬した後、10分放冷した。次いで、ティーバッグの端をピンセットでつかんでティーバッグを引き上げ、ティーバッグの一面を下にしてキムタオル(日本製紙クレシア株式会社製)の上に乗せて5秒間静置した。次いで、反対の面を下にしてキムタオルの上に乗せて5秒間静置することにより液切りを行った後、上記ティーバッグの質量(W6(g))を測定した。別途、同様の操作を架橋重合体を用いないで行い、そのときのティーバッグの質量(W4(g))をブランクとして求めた。次式に従って算出した吸液倍率を吸液能力とした。
吸液倍率(g/g)=(W6(g)−W4(g))/W5(g)
<製造例1>
N−ビニルピロリドン(株式会社日本触媒製、以下、VPとも称する)130.0部、架橋剤としてシアヌル酸トリアリル(以下、CTAとも称する)0.52部(VPに対し0.18モル%)、脱イオン水304.6部を卓上型ニーダー(株式会社中央理化製 PNV−1H型)に仕込んだ。次いで、100ml/分で30分間窒素置換を行った。次いで、窒素導入を30ml/分にし、56℃まで昇温した。液温を56℃に安定させた後、開始剤として2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド(以下、「VA−044」とも称する)の15質量%水溶液を1.96部(VPとCTAの合計の使用量1モルに対し0.25g)添加し重合を開始した。重合反応が進み、ゲルが生成した後、ニーダーのブレードを回転させてゲルを解砕しながら、90℃で60分間熟成を行い、重合を終了した。次いで、マロン酸の1質量%水溶液を65.0部、3分かけて添加し、90℃で60分間撹拌した。さらに、ジエタノールアミンの2質量%水溶液を32.5部、3分かけて添加し、30分間撹拌した。次いで、得られたゲルを120℃で2時間乾燥(ヤマト科学製 精密恒温器 型式DF42 開口度最大、外形サイズ232×297×50H(mm)ステンレスバット2枚使用)を行うことにより、VP架橋重合体乾燥物を得た。次いで、得られた架橋重合体を粉砕機で粉砕し、目開き500μmのJIS標準篩を使用して分級し、500μmの篩を通過した粉体を粒子状のVP架橋重合体(1)とした。得られたVP架橋重合体(1)の平均粒子径を上記の方法で測定すると、288μmであった。
<製造例2>
VPを1000.0部、架橋性単量体としてペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソー株式会社製、商品名:ネオアリルP−30M、ジエタノールアミンでpH6以上にして使用)を15.0部(VPに対し0.65モル%)、脱イオン水を2368.33部、卓上型ニーダー(株式会社中央理化製 PNV-5H型)に仕込んだ。次いで、400ml/分で40分間窒素置換を行った。次いで、窒素導入を30ml/分にし、56℃まで昇温した。液温を56℃に安定させた後、開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(以下、「V−50」とも称する)の15質量%水溶液を47.37部(VPとペンタエリスリトールトリアリルエーテルの合計の使用量1モルに対し0.78g)添加し、重合を開始した。重合反応が進み、ゲルが生成した後、ニーダーのブレードを回転させてゲルを解砕しながら、90℃で60分間熟成を行い、重合を終了した。次いで、マロン酸の1.4質量%水溶液を500.0部、3分かけて添加し、90℃で60分間撹拌した。さらに、ジエタノールアミンの2.8質量%水溶液を250.0部、3分かけて添加し、30分間撹拌した。次いで、得られたゲルを120℃で3時間乾燥(ヤマト科学製 精密恒温器 型式DF42 開口度最大、外形サイズ232×297×50H(mm)ステンレスバット2枚、外形サイズ206×267×40H(mm)ステンレスバット8枚使用)を行うことにより、VP架橋重合体乾燥物を得た。次いで、得られた架橋重合体を粉砕機で粉砕し、目開き250μm及び500μmのJIS標準篩を使用して分級し、500μmの篩を通過し、250μmの篩上に残留した粉体をVP架橋重合体(2)とした。得られたVP架橋重合体(2)の平均粒子径を上記の方法で測定すると、393μmであった。
<製造例3>
メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業製NKエステルAM−90G、EO付加モル数9モル、以下「AM−90G」ともいう)を27g、不純物としてエチレングリコールジアクリレートを0.2質量%含有するアクリル酸2−ヒドロキシエチル(日本触媒製)(以下、HEAとも称する)3g、純水70gを250mlPP製容器に仕込んだ。次いで、マグネチックスターラーで撹拌を開始し、100ml/分で30分間窒素置換を行った。次いで、撹拌を継続しながら40℃まで昇温した。液温を40℃に安定させた後、開始剤としてV−50の20質量%水溶液を0.1g添加し重合を開始した。重合反応が進み、ゲルが生成した後、90℃で30分間熟成を行い、重合を終了した。得られたゲルを卓上ニーダー(中央理化社製PNV−1H型)で解砕し、120℃で2時間乾燥(ヤマト科学製 精密恒温器 型式DF42 開口度最大、外形サイズ206×267×40H(mm)ステンレスバット1枚使用)を行うことにより、PEGアクリレート/HEA架橋重合体(エチレンオキサイド系架橋重合体(3))を得た。
<実施例1>
実施例1として製造例1で得られたVP架橋重合体(1)を用いて、下記のシート状吸収性複合体を作成した。
VP架橋重合体(1)7.2g、ポリエステル系熱融着繊維(表層ポリエチレン)1.4g及びポリエステル繊維5.7gをミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置を用いて空気抄造することにより、120mm×400mmの大きさのウェブ(シート状の繊維、吸収コア)に成形した。さらにこのウェブを2枚のレーヨン製不織布で挟み込み、130℃で5秒間プレスすることにより、坪量が約330g/m、VP架橋重合体(1)の含有量が150g/m、VP架橋重合体/吸収基材の質量比が0.8、厚みが1.8mmのシート(本発明の吸収性複合体(1))を得た。
得られた吸収性複合体(1)に対し、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(吸収性複合体の溶媒及び溶液吸液能力評価法)
シート状吸収性複合体を温度23±2℃及び相対湿度50±5%、常圧の室内で50mm×50mmに切断し、正確に質量(W7(g))を測定した。この吸収性複合体をポリプロピレン製の容器に入れ、溶液(脱イオン水の場合は導電率10μS/cm以下)中に室温(温度23±2℃)、常圧で24時間浸漬した。次いで、吸収性複合体の端をピンセットでつかんで引き上げ、吸収性複合体の一面を下にしてキムタオル(日本製紙クレシア株式会社製)の上に乗せて5秒間静置した。次いで、反対の面を下にしてキムタオルの上に乗せて5秒間静置することにより液切りを行った後、上記吸収性複合体の質量(W8(g))を測定した。次式に従って算出した吸液倍率を各種溶液の吸液能力とした。
吸液倍率(g/g)=W8(g)/W7(g)
なお、表層部材と吸収コアが完全に剥がれた場合及び/又はノニオン系架橋重合体が吸収性複合体から50%(質量)以上脱落した場合は、吸液能力測定不可であり、吸液倍率1とした。
(湿潤時の耐久性の評価法)
シート状吸収性複合体を温度23±2℃及び相対湿度50±5%、常圧の室内で50mm×50mmに切断した。この吸収性複合体をポリプロピレン製の容器に入れ、脱イオン水(導電率10μS/cm以下)中に室温(温度23±2℃)、常圧で24時間浸漬した後の吸収性複合体の耐久性を評価した。表層部材と吸収コアが完全に剥がれた場合及び/又はノニオン系架橋重合体が吸収性複合体から50%(質量)以上脱落した場合は×、表層部材が吸収コアから完全に剥がれていないが剥がれが20%(面積)以上あった場合及び/又はノニオン系架橋重合が吸収性複合体から20%(質量)以上50%(質量)未満脱落した場合は△、上記以外を○とした。
<実施例2>
実施例2として製造例2で得られたVP架橋重合体(2)を用いて、下記のシート状吸収性複合体を作成した。
VP架橋重合体(2)7.2g、ポリエステル系熱融着繊維(表層ポリエチレン)1.4g及びパルプ繊維6.5gをミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置を用いて空気抄造することにより、120mm×400mmの大きさのウェブ(シート状の繊維、吸収コア)に成形した。さらにこのウェブを2枚のレーヨン製不織布で挟み込み、130℃で5秒間プレスすることにより、坪量が約350g/m、VP架橋重合体(2)の含有量が150g/m、VP架橋重合体/吸収基材の質量比が0.8、厚みが1.8mmのシート(本発明の吸収性複合体(2))を得た。
<実施例3>
実施例3として製造例3で得られたエチレンオキサイド系架橋重合体(3)を用いて、下記のシート状吸収性複合体を作成した。
エチレンオキサイド系架橋重合体(3)7.2g、ポリエステル系熱融着繊維(表層ポリエチレン)1.4g及びパルプ繊維6.5gをミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置を用いて空気抄造することにより、120mm×400mmの大きさのウェブ(シート状の繊維、吸収コア)に成形した。さらにこのウェブを2枚のレーヨン製不織布で挟み込み、130℃で5秒間プレスすることにより、坪量が約350g/m、エチレンオキサイド系架橋重合体(3)の含有量が150g/m、エチレンオキサイド系架橋重合体/吸収基材の質量比が0.8、厚みが1.8mmのシート(本発明の吸収性複合体(3))を得た。
<実施例4>
実施例4として製造例1で得られたVP架橋重合体(1)を用いて、下記のシート状吸収性複合体を作成した。
VP架橋重合体(1)7.2g、ポリエステル系熱融着繊維(表層ポリエチレン)1.0g及びポリエステル繊維3.8gをミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置を用いて空気抄造することにより、120mm×400mmの大きさのウェブ(シート状の繊維、吸収コア)に成形した。さらにこのウェブの表層にポリエチレンパウダーをふりかけ、その上から2枚のレーヨン製不織布(2枚で2.7g)で挟み込み、130℃で5秒間プレスすることにより、坪量が約330g/m、VP架橋重合体(1)の含有量が150g/m、VP架橋重合体/吸収基材の質量比が1.0、厚みが1.8mmのシート(本発明の吸収性複合体(4))を得た。
得られた吸収性複合体(4)に対し、実施例1の通り評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
実施例5として製造例2で得られたVP架橋重合体(2)を用いて、下記のシート状吸収性複合体を作成した。
VP架橋重合体(2)14.4g、ポリエステル系熱融着繊維(表層ポリエチレン)2.4g及びポリエステル繊維4.8g及びパルプ繊維4.8gをミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置を用いて空気抄造することにより、120mm×400mmの大きさのウェブ(シート状の繊維、吸収コア)に成形した。さらにこのウェブの表層にポリエチレンパウダーをふりかけ、その上から2枚のレーヨン製不織布(2枚で2.7g)で挟み込み、130℃で5秒間プレスすることにより、坪量が約630g/m、VP架橋重合体(2)の含有量が300g/m、VP架橋重合体/吸収基材の質量比が1.0、厚みが5.2mmのシート(本発明の吸収性複合体(5))を得た。
得られた吸収性複合体(5)に対し、実施例1の通り評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例6>
実施例6として製造例2で得られたVP架橋重合体(2)を用いて、下記のシート状吸収性複合体を作成した。
VP架橋重合体(2)21.6g、ポリエステル系熱融着繊維(表層ポリエチレン)3.8g及びポリエステル繊維7.7g及びパルプ繊維7.7gをミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置を用いて空気抄造することにより、120mm×400mmの大きさのウェブ(シート状の繊維、吸収コア)に成形した。さらにこのウェブの表層にポリエチレンパウダーをふりかけ、その上から2枚のレーヨン製不織布(2枚で2.7g)で挟み込み、130℃で5秒間プレスすることにより、坪量が約930g/m、VP架橋重合体(2)の含有量が450g/m、VP架橋重合体/吸収基材の質量比が1.0、厚みが7.0mmのシート(本発明の吸収性複合体(6))を得た。
得られた吸収性複合体(6)に対し、実施例1の通り評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
比較例1として製造例2で得られたVP架橋重合体(2)を用いて、下記のシート状吸収性複合体を作成した。
パルプ・ポリプロピレン系不織布(TRUSCO不織布ロールウエス、材質パルプ・ポリプロピレン)を100mm×50mmの大きさに2枚切り取った。VP架橋重合体(2)0.55gを1枚の不織布(不織布A)の上に均一に散布した。散布したVP架橋重合体(2)の上から水を散布した後、もう一方の不織布(不織布B)をVP架橋重合体(2)が散布された不織布Aの上に重ね合わせ、150℃で5秒間圧着することにより、VP架橋重合体(2)の含有量が約100g/m、VP架橋重合体/吸収基材の質量比が0.8、厚みが1.0mmのシート状の吸収性複合体(7)を得た。
得られた吸収性複合体(7)に対し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
比較例2として製造例2で得られたVP架橋重合体(2)を用いて、下記のシート状吸収性複合体を作成した。
パルプ・ポリプロピレン系不織布(TRUSCO不織布ロールウエス、材質パルプ・ポリプロピレン)を100mm×50mmの大きさに2枚切り取った。水で膨潤させたVP架橋重合体ゲル(VP架橋重合体(2)0.3gにイオン交換水2.7gを添加したゲル)を1枚の不織布(不織布A)の上に均一に塗布した。もう一方の不織布(不織布B)にも同様に水で膨潤させたVP架橋重合体ゲルを塗布した。次いで、不織布A、不織布Bのゲル面を内側に重ね合わせ、圧着した。その後、乾燥機を用いて150℃で60分間乾燥させることにより、VP架橋重合体(2)の含有量が110g/m、VP架橋重合体/吸収基材の質量比が0.9、厚みが1.0mmのシート状の吸収性複合体(8)を得た。
得られた吸収性複合体(8)に対し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例3>
比較例3として製造例1で得られたVP架橋重合体(1)を用いて、下記のシート状吸収性複合体を作成した。
パルプ・ポリプロピレン系不織布(TRUSCO不織布ロールウエス、材質パルプ・ポリプロピレン)を100mm×50mmの大きさに2枚切り取った。VP架橋重合体(1)0.6gと熱溶融粒子0.6gを1枚の不織布(不織布A)の上に均一に散布した。もう一方の不織布(不織布B)を、VP架橋重合体(1)と熱溶融粒子が散布された不織布Aの上に重ね合わせ、150℃で5秒間圧着することにより、VP架橋重合体(1)の含有量が約120g/m、VP架橋重合体/吸収基材の質量比が1.0、厚みが1.0mmのシート状の吸収性複合体(9)を得た。
得られた吸収性複合体(9)に対し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例4>
比較例4として製造例1で得られたVP架橋重合体(1)を用いて、下記のシート状吸収性複合体を作成した。
VP架橋重合体(1)7.2g、ポリエステル繊維5.5gをミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置を用いて空気抄造することにより、120mm×400mmの大きさのウェブ(シート状の繊維、吸収コア)に成形した。さらにこのウェブを2枚のレーヨン製不織布で挟み込み、130℃で5秒間プレスすることにより、坪量が約300g/m、VP架橋重合体(1)の含有量が150g/m、VP架橋重合体/吸収基材の質量比が1.0、厚みが3.0mmのシート状吸収性複合体(10)を得た。
得られた吸収性複合体(10)に対し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006938316
上記の結果より、本発明のシート状吸収性複合体は、各種溶液の吸液能力及び湿潤時の耐久性に優れることが分かる。
<実施例4>
製造例1〜3で得られた架橋重合体の脱イオン水、エタノール、リノール酸の吸液能力を上記の方法で測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006938316

Claims (5)

  1. ノニオン系架橋重合体と吸収基材とを含む吸収性複合体であって、
    該吸収基材は、表層部材と熱融着繊維とを含み、
    該熱融着繊維は、溶融温度が70〜200℃であり、
    該吸収性複合体は、該ノニオン系架橋重合体及び熱融着繊維を含む吸収コアが、表層部材で覆われており、
    該ノニオン系架橋重合体は、アミド系単量体由来の構造単位の割合が、全構造単位100モル%に対して、50〜100モル%である
    ことを特徴とする吸収性複合体。
  2. 前記吸収基材は、更に熱融着繊維以外のその他の繊維を含み、
    前記吸収性複合体は、前記ノニオン系架橋重合体、前記熱融着繊維及び熱融着繊維以外のその他の繊維を含む吸収コアが、表層部材で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性複合体。
  3. 前記その他の繊維は、親水性繊維を含むことを特徴とする請求項2に記載の吸収性複合体。
  4. 前記親水性繊維は、セルロース系繊維、ポリアミド系繊維、動物繊維及び表層を親水化した疎水性の繊維からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載の吸収性複合体。
  5. 前記表層部材は、シート状又は袋状であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の吸収性複合体。
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