本発明の一態様によると、未調理時の初期厚みを有する肉等の食品をグリルで調理する方法が提供される。本方法は、肉製品を解凍して焼くために、また肉製品の内部水分および柔らかさを維持するために、事前に定められた複数のギャップ間隔によって決められた複数の異なる圧縮レベルを用いる。本方法は、向かい合った調理面をそれぞれ有し、これらの向かい合った調理面によって調節可能なギャップ間隔を画定する2つの向かい合ったプラテンの間に肉、一般には冷凍肉、を配置し、調理の初期段階ではギャップ間隔が未調理時の肉の公称初期厚み未満であり、初期段階後の第2調理段階ではプラテン間のギャップ間隔を広げるが未調理時の公称初期厚み未満であるように、プラテン間のギャップ間隔を調節する。
肉および他の生鮮、冷蔵、および冷凍食品は、厚みが多少変化することを理解されるであろう。したがって、ギャップ間隔は、個々の食品ごとに調節するのではなく、調理対象の食品種別の公称厚みに基づき調節する。したがって、本願明細書における肉または他の食品の初期厚みへの言及は、調理対象の食品種別の公称初期厚みを指すものと理解されたい。
一般に、肉製品は、天面と底面とを有するハンバーガパティであり、肉を2つの向かい合ったプラテン間に配置することには、ハンバーガパティの天面および底面がプラテンの各調理面に対向するようにハンバーガパティの向きを定めることが含まれる。このようにハンバーガパティの向きを定めることは、一般に、これらプラテンの一方を対向する他方のプラテンの上に二枚貝のように閉じることによって行われる。
本発明の別の態様によると、調理の初期段階のギャップ間隔は、肉の初期厚みの約75%から約90%の範囲内であり、好ましくは肉の初期厚みの約83%から約86%である。
本発明の別の態様によると、初期段階の一部においては、ギャップ間隔は肉の初期厚みより大きい。
本発明のさらに別の態様によると、調理の第2段階におけるギャップ間隔は、肉の初期厚みの約87%から約97%の範囲内であり、好ましくは肉の初期厚みの約88%から約95%である。
本発明のさらに別の態様によると、第2段階の一部において、ギャップ間隔は肉の厚みより大きい。
本発明のさらに別の態様によると、肉製品の調理時間があり、初期段階はこの調理時間の約6%から約13%であり、第2段階はこの肉製品の調理時間の約87%から約94%である。
本発明のさらに別の態様によると、肉の平方インチ当たり約0.20から0.35ポンドの力を1つ以上のプラテンに加えることによってギャップ間隔を調節する。この加えられる力は、初期段階において肉をかなり締め付けて所要のギャップ間隔を達成するために十分である。
本発明の別の態様によると、未調理時の初期厚みを有する1つ以上の肉製品を調理するためのグリルが提供される。このグリルは、向かい合った上下のプラテンを少なくとも1セット含む。向かい合ったプラテンはそれぞれプラテン調理面を有し、これらのプラテン調理面は、プラテン調理面間の調節可能なギャップ間隔を画定するために向かい合ったプラテンの相手側に対して近接および離隔するように取り付けられる。このグリルは、プラテン間に配置された肉製品のグリル調理中に調理面間のギャップ間隔を制御および変更するギャップ間隔調節手段をさらに含み、グリル調理中はギャップ間隔が未調理時の肉の初期厚み未満であり、初期段階後の第2調理段階ではプラテン間のギャップ間隔を広げるが未調理時の初期厚み未満であるように、ギャップ間隔を調節する。
本発明のさらに別の態様によると、プラテン調理面間のギャップ間隔を制御および調節するギャップ間隔調節手段は、これらのプラテンの少なくとも一方のプラテンの調理面を対向する他方のプラテンの調理面に対して近接および離隔させることによって2つのプラテンの調理面間のギャップ間隔を制御および調節するためにこれらのプラテンの少なくとも一方に対応付けられた駆動機構を備える。
本発明のさらに別の態様によると、この駆動機構は、複数の冷凍ハンバーガパティの厚みをパティの公称初期厚みから少なくとも約25%減らすために十分な力を複数の冷凍ハンバーガパティに加えることができる。
本発明のさらに別の態様によると、プラテン調理面間のギャップ間隔を制御および調節するギャップ間隔調節手段は、上記駆動機構を制御できるマイクロプロセッサをさらに備える。この駆動機構が調理の初期段階ではプラテンの調理面の間に配置された肉製品を肉製品の初期厚みの約75%から約90%のギャップ間隔に圧縮し、その後の第2調理段階ではプラテン間のギャップ間隔を広げて肉製品の初期厚みの約87%から約97%の範囲にするように、本マイクロプロセッサをプログラミングしてもよい。
本発明のさらに別の態様によると、肉製品の総調理時間の約6%から約13%の間は、駆動機構が肉の初期厚みの約75%から約90%である初期段階ギャップ間隔を保持し、その後は総調理時間の約87%から約94%の間、肉の初期厚みの約87%から約97%である第2段階ギャップ間隔を保持するように、マイクロプロセッサをプログラミングする。
本発明のさらに別の態様によると、プラテン調理面間の調節可能なギャップ間隔を画定するために互いに対して近接および離隔するように取り付けられたプラテン調理面をそれぞれ有する上下の向かい合ったプラテンと、上下のプラテンの少なくとも一方に対応付けられ、少なくとも一方のプラテンの調理面を他方のプラテンの調理面に対して近接させることによって、グリル調理中はギャップ間隔を未調理時の肉の初期厚み未満にし、初期段階後の第2調理段階中はプラテン間のギャップ間隔を増やすが未調理時の初期厚み未満の値になるように、プラテン間に配置された肉製品のグリル調理中に2つのプラテンの調理面間のギャップ間隔を制御および調節する駆動機構と、を備えるグリルを提供する。
本発明の別の態様によると、本グリルは、駆動機構を制御できるマイクロプロセッサを含む。この駆動機構が調理の初期段階中はプラテンの調理面の間に配置された肉製品を肉の初期厚みの約75%から約90%に圧縮し、その後の第2調理段階中は2つのプラテンの調理面間のギャップ間隔を肉製品の初期厚みの約87%から約97%の範囲内にするように、このマイクロプロセッサをプログラミングしてもよい。
本発明のさらに別の態様によると、駆動機構が、肉の初期厚みの約75%から約90%である初期段階プラテン間ギャップ間隔を総調理時間の約6%から約13%の間保持し、その後は肉の初期厚みの約87%から約97%である第2段階プラテン間ギャップ間隔を総調理時間の約87%から約94%の間保持するように、本マイクロプロセッサをプログラミングする。
本発明のさらに別の態様によると、本方法は、2つ以上、好ましくは5つ、の段階を含む。初期解凍段階中の少なくとも1つの時点において、プラテン間の初期ギャップ間隔は、未調理時の肉の初期厚みに等しい。第2の焦げ目付け段階中の少なくとも1つの時点において、ギャップ間隔は未調理時の肉の初期厚み未満である。第3の水分放出段階において、ギャップ間隔は未調理時の肉の初期厚みに再度等しい。第4および第5の調理段階において、ギャップ間隔は未調理時の肉の初期厚み未満である。
本発明のさらに別の態様によると、5段階式方法において、駆動機構は、総調理時間の約6%の間である初期段階中は肉の厚みに等しい初期ギャップ間隔、総調理時間の約13%である第2段階中は肉の厚みの約78%から82%であるギャップ間隔、総調理時間の約1%である第3段階中は肉の厚みにほぼ等しいギャップ間隔、総調理時間の約40%である第4段階中は肉の厚みの約88から92%のギャップ厚み、および総調理時間の約40%である第5段階中は肉の厚みの約91〜93%であるギャップ間隔を設ける。
本発明の他の利点および特徴は、以下の説明および図面の参照から明らかになるであろう。
本発明は多くの異なる形態で具現化可能であり、いくつかの具体的な実施形態が本願明細書の図面および詳細な説明に示されているが、本開示内容は本発明の原理の例示と見なされるものであり、本発明は例示された実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。
図面を参照すると、特に図1において、ハウジング12とグリドル14とを有するクラムシェルグリル10が図示されている。グリドル14は、2つの相隔たった上側プラテン16、16’と対向する2つの相隔たった下側プラテン18、18’とを含む。ただし、向かい合わせて使用する上側プラテンおよび下側プラテンの対の数は任意であることを理解されたい。ハウジング12は、例えば、グリル10を設置するレストランの厨房内の定置位置にグリル10を保持できるように、固定キャスターを備えた4つの脚部材22を有する本体部20を備える。一般に、ハウジング12は、クロムモリブデン鋼等のステンレス鋼で構成されるが、他の何れか適した材料で形成してもよい。
グリル10の各上側プラテン16、16’は、上側調理面24、24’を含み、各下側プラテン18、18’は下側調理面26、26’を含む。図1にプラテン16、18によって示されているように、向かい合った一対のプラテンが閉鎖位置28にあるとき、向かい合った一対のプラテン16、18は、1つまたは複数の肉製品をその内部で調理しうる調節可能なギャップ間隔30を画成する。ギャップ間隔30によって、そこに配置された肉製品の圧縮レベルが決まる。プラテン16、16’、18、18’は、一般には熱処理され、研磨された、クロムモリブデン鋼等の「肉に安全な」材料で形成されるが、他の何れか適した材料でもよい。
ハウジング12の内側には、下側プラテン加熱部材32が配設される。下側プラテン加熱部材32は、下側プラテン18、18’に熱を供給するために、下側プラテン18、18’の下に配置される。加熱部材32は、ガスバーナまたは電気ヒータでもよい。上側プラテン16、16’は、一般に、電気ヒータ(図示せず)が埋め込まれた本体部34、34’を含む。上側プラテン16、16’および電気ヒータの種類は、アルミニウム鋳物製ヒータであることが好ましい。あるいは、上側プラテン16、16’および下側プラテン18、18’に熱を供給するために適した他の何れかの構造を使用してもよい。
グリル10のギャップ間隔30を調節し所定のギャップ間隔30を保持するために、向かい合った上下のプラテン16、16’、18、18’は、互いに対して近接および離隔するように取り付けられる。一実施形態においては、図2に示すように、ハウジング12は、駆動機構36と、この駆動機構36を制御するためのマイクロプロセッサ(図示せず)とを含む。マイクロプロセッサは、駆動機構36の何れかの構成要素の移動を制御するために当技術分野で公知の何れか適したシステムでよい。プラテン16、18の一方の調理面24、26をプラテン16、18の他方の調理面24、26に対して近接および離隔させるために、駆動機構36はプラテン16、18の少なくとも一方に対応付けられる。このように、駆動機構36は、2つのプラテンの調理面間のギャップ間隔30を制御および調節する。
マイクロプロセッサは駆動機構36を制御することによって、グリル10上の1つまたは複数の肉製品に対する所定の調理時間にわたってギャップ間隔30の大きさを制御する。この所定の時間は、一般には2つ以上の段階を含む。本発明の2段階式実施形態においては、所定の時間は、調理の初期段階と第2調理段階とを含む。初期段階中の少なくとも1つの時点において、ギャップ間隔30が未調理時の肉80の初期厚み未満になるように、向かい合った上側プラテン16および下側プラテン18の一方または両方が駆動機構36によって互いに対して移動される。第2調理段階の少なくとも1つの時点において、駆動機構36は、上側プラテン16と下側プラテン18の間のギャップ間隔30を増やして初期段階の最小ギャップ間隔より大きいギャップ間隔30にする。
一実施形態においては、駆動機構36が、総調理時間の約6%から約13%である初期段階中はギャップ間隔30を肉の初期厚みの約75%から約90%にするように、マイクロプロセッサをプログラミングしてもよい。さらに、駆動機構36が、第2調理段階中は2つのプラテンの調理面間のギャップ間隔を肉製品の初期厚みの約87%から約97%の範囲内にするように、マイクロプロセッサをプログラミングしてもよい。
本発明の多段階式実施形態においては、所定の時間は2つ以上、好ましくは5つ、の段階を含む。初期解凍段階中の少なくとも1つの時点において、ギャップ間隔30は未調理時の肉の初期厚み80に等しい。第2の焦げ目付け段階中の少なくとも1つの時点において、ギャップ間隔30は未調理時の肉80の初期厚み未満である。第3の水分放出段階において、ギャップ間隔30は未調理時の肉80の初期厚みに再度等しい。第4および第5の調理段階において、ギャップ間隔30は未調理時の肉80の初期厚み未満である。
多段階式の一実施形態においては、駆動機構36が肉の初期厚みに対する各段階のギャップ間隔30をほぼ次の表に示す比率にするように、マイクロプロセッサをプログラミングしてもよい。この表には、総調理時間に対する各段階の時間の比率の概算値も示されている。
お分かりのように、駆動機構36は、各セットの向かい合った上下のプラテン間に所定のギャップ間隔を作り出すことができる。したがって、駆動機構は、向かい合った上下のプラテンが所定の値になるまで動作する。この所定の値は、一般にはマイクロプロセッサの入力部に入力される。所定のギャップ間隔30を達成するために、駆動機構36は十分な量の圧力をかけることによってギャップ間隔を肉の厚み未満にする。本発明においては、駆動機構36は、例えば、複数の冷凍ハンバーガパティの厚みをその公称初期厚みから少なくとも約25%減らすために十分な力をこれら複数の冷凍ハンバーガパティ80に加えることができる。加圧力と表1に示す圧縮率とは、個々のパティまたは他の複数の食品の実際の厚みに応じて変わりうるため、厳密な値でも不変の値でもないことがまた理解されよう。表1に示す数字は、特定の種類のパティまたは他の食品の公称初期厚みに基づいている。
一実施形態においては、図2〜図3に図示のように、また参照によって本願明細書に組み込まれたものとする米国特許第5,735,150号に記載のように、駆動機構36は、アーム部38と、上側プラテン16を支持するベアリング部40と、送りネジアッセンブリ42と、ブレーキ付きモータ44と、アーム部38の対応位置にある一対のカムローラ支持部48に回転自在に取り付けられた一対のカムローラ46と、マイクロプロセッサ(図示せず)とを備える。
アーム部38は、ベアリング部40によって回転自在に支持される軸支持部50と、上側プラテン16を支持するプラテン支持部52と、軸支持部50を間にそれぞれ配置するためのアーム部38の第1および第2の端部に取り付けられたカム作動部54とを備える。アーム部38は、図4Aにプラテン16、18によって示されているような略水平位置から図2のプラテン16’、18’によって示されているような開放位置56へと回転するように設計される。さらに、ベアリング部40およびアーム部38は、閉鎖位置28を越えて反時計回りに回転されないように設計される。略水平位置に到達した後、上側プラテン16を下側プラテン18と平行に保持しながらギャップ間隔30を調節するために、ベアリング部40およびアーム部38は必要に応じて下方または上方に鉛直に移動しうる。
送りネジアッセンブリ42は、送りネジナット支持体60とハウジング12の背面下方部64に配設された下枠62とを貫通して鉛直に延在する送りネジ軸58を備える。送りネジ軸58は、下枠62に取り付けられた送りネジ支持体65に回転自在に貫入するように設計される。さらに、送りネジ軸58は、一般に下枠62に取り付けられるモータ44によって回転駆動されるようになっている。送りネジアッセンブリ42は、送りネジ軸58に係合する送りネジナット66をさらに備える。送りネジナット66は、送りネジナット支持体60によって支持される。送りネジナット66が送りネジ軸58に沿って移動するに伴い、送りネジナット支持体60は送りネジナット66と共に移動する。ベアリング部支持軸68は、送りネジナット支持体60の両側にそれぞれ設置される。各ベアリング支持軸68は、送りネジナット支持体60の移動に伴い、直動ベアリング70と第2の直動ベアリング72とを貫通して鉛直に移動されるようになっている。
各ベアリング支持軸68の上端74には、対応するベアリング部40が接続される。したがって、ベアリング支持軸68が上下に移動するに伴い、ベアリング部40は上下に移動される。下枠にはロータリエンコーダ76が取り付けられる。モータ44が回転すると、ベルト78によってロータリエンコーダ76が回転される。ロータリエンコーダ76は、その回転に応じて電気パルスを発生させる。
グリル10のマイクロプロセッサは、モータ44の動きを制御するモータ制御回路と、ロータリエンコーダ76からの電気パルスを受け取って計算するカウンタと、比較回路とを備える。また、マイクロプロセッサは、上側プラテン16と下側プラテン18との間のギャップ間隔30を設定するための所要距離設定回路を一般に備える。例えば、操作中、ユーザは、ハウジング12の下部操作パネルに配置された位置スイッチを操作することによって、向かい合った上側プラテン16と下側プラテン18との間の所要ギャップ間隔30を表す所要ギャップ間隔値を所要距離設定回路を介して比較回路に入力しうる。
操作中、グリドルを閉鎖位置28から開放位置56に開放するには、ユーザはクラムシェルグリル10上の上部操作パネルの上昇スイッチを作動しうる。その後、一方のプラテン、好ましくは上側プラテン16、を下側プラテン18に対して開放するための指令がモータ制御回路に入力される。これに応じて、モータ制御回路は、モータ44を駆動して、指定された方向に回転させる。モータ44の回転に伴い、送りネジ軸58が指定された方向に回転され、送りネジナット66が送りネジ軸58に係合し、指定された方向に、例えば上方に、移動する。この結果、送りネジナット支持体60およびベアリング部支持軸68も下方位置から上方に移動される。
ベアリング部支持軸68が上方に移動されるに伴い、ベアリング部40も上方に移動されるため、ベアリング部40によって支持されたアーム部38も上方に移動される。したがって、アーム部38は上側プラテン16を保持および支持し、上側プラテン16を下側プラテン18に対して相対的に平行な略水平位置に保持する。上方への移動中、アーム部38のカム作動部54は、ハウジング12の背部に配置された対応するカムローラ46に接触し始める。カムローラ46の位置は固定されているので、下方(時計回り方向)への押下力がアーム部38のカム作動部54に加わるため、アーム部38は、ベアリング部40によって支持されている軸部50を中心に時計回りに回転される。
アーム部38が回転されると、モータ44の回転数に比例したいくつかの電気パルスがロータリエンコーダ76によってカウンタに加えられる。例えば、ベアリング部40および上側プラテン16の移動距離に対応するカウント値の上限がカウンタに設定されている。カウンタは、ロータリエンコーダ76からの電気パルスを漸増させるようにカウントする。カウンタが予め設定されたカウント値の上限に達すると、モータ44の駆動動作を停止するためのモータ停止指令がモータ制御回路に発行される。この結果、上側プラテン16は自動的に停止され、所望の開放位置に保持される。
その後、向かい合った上側プラテン16および下側プラテン18を閉鎖位置28に移動するために、ユーザは、1つまたは複数の肉製品の調理に適した少なくとも1つの所要ギャップ間隔30とこの選択したギャップ間隔での調理時間とをマイクロプロセッサに入力しうる。その後、本願明細書に記載のように、例えば第2調理段階等のために、何れか他のギャップ間隔30と段階の継続時間とを入力してもよい。
下側プラテン18に対して上側プラテン16を閉じるには、指令をモータ制御回路に伝える。モータ制御回路は、上記とは逆の方向にモータ44を回転駆動する。この結果、送りネジ軸58が上記とは逆の方向に回転され、送りネジ軸58に係合した送りネジナット66が送りネジ軸58に沿って下方に移動される。この結果、ベアリング部支持軸68も上方位置から下方に移動される。ベアリング部支持軸68の下方への移動に伴い、ベアリング部40も下方に移動するため、ベアリング部40によって支持されているアーム部38は対応する上側プラテン16と共に、軸支持部50を中心に反時計回りに回転し始める。
アーム部38の反時計回りの回転は上側プラテン16の自重によるものであり、上側プラテン16と下側プラテン18の間にギャップ間隔30を残して上側プラテン16と下側プラテン18とが平行になる略水平位置でアーム部38の反時計回りの回転が停止されるように設計される。上側プラテン16が下側プラテン18に平行になった後にベアリング部支持軸68がさらに下方に移動するとき、上側プラテン16と下側プラテン18との平行関係が維持されながらギャップ間隔30が所望どおりに縮まるように、上側プラテン16が下方に移動される。あるいは、上側プラテン16と下側プラテン18とが互いに離れる方向に上側プラテン16と下側プラテン18とを移動することによって、ギャップ間隔30を広げてもよい。
ベアリング部支持軸68が下方に移動されている間、モータ44の回転数に比例した数の電気パルスがロータリエンコーダ76によってカウンタに追加される。カウンタは、ロータリエンコーダ76からの電気パルスを漸減させるようにカウントする。詳細には、カウンタは、ロータリエンコーダ76によって生成された電気パルスの数を事前に設定されたカウント値の上限から減らす。カウンタは、現在のカウント値を比較回路に出力する。比較回路は、このカウント値とオペレータによって設定されたギャップ間隔値とを比較する。両方の値が等しくなると、モータ44の駆動を停止するために、モータ停止指令がモータ制御回路に発行される。したがって、上側プラテン16は自動的に停止され、所要ギャップ間隔30で保持される。このような時点における上側プラテン16と下側プラテン18の間のギャップ間隔30は、オペレータによって設定された所要値に等しい。
肉製品の所定の選択可能な調理時間を調理タイマによって指定してもよい。この調理時間が経過すると、上側プラテン16が開放位置56まで自動的に上昇および回転され、調理時間の終了がブザー警報、あるいは他の適切な可聴または可視警報、によってユーザに通知される。あるいは、ギャップ間隔を必要に応じてさらに増やすことも減らすこともできる。調理終了が通知されたら、オペレータは、調理済み肉製品をグリドル14から取り除くことができる。向かい合った上側プラテン16と下側プラテン18の間の距離は、送りネジ軸58のネジのピッチとロータリエンコーダ76によって生成される電気パルス数との間の適切な関係を選択することによって、任意の値、例えば5mmと20mmの間に、正確かつ自動的に設定することができる。
お分かりのように、本発明のグリルおよび方法においては、プラテン16、16’、18、18’の一方が可動であり、プラテン16、16’、18、18’の相手側は静止している。例えば、図2に示すように、上側プラテン16は、静止している下側プラテン18に対して移動可能である。あるいは、下側プラテン18を上側プラテン16に対して移動することも、あるいは上側プラテン16および下側プラテン18の両方を互いに対して移動させることもできる。唯一重要な点は、閉鎖位置28において上下のプラテン16、18間に配置された何れの肉製品もプラテン間で損傷されないように、上下のプラテン16、18が互いに正対することである。
さらに、マイクロプロセッサおよび駆動機構36の上記説明は、本発明におけるグリル10の一実施形態にすぎないことが理解されよう。あるいは、グリル上の向かい合った上下のプラテン間のギャップ間隔を所定の時点において調節可能な何れか他のマイクロプロセッサおよび駆動機構36を設けてもよい。
一般に、下側プラテン18、18’の下側調理面26、26’に配置されるときの肉は冷凍されている。肉は、ハンバーガパティ、ソーセージパティ、野菜バーガー、ステーキ製品等の何れでもよいが、一般には冷凍されたハンバーガパティ80である。多くの場合、ハンバーガパティ80のサイズは次の2種類である。すなわち、調理前の重量が約0.25ポンドである1/4ポンドバーガーと、調理前の重量が約0.10ポンドである1/10ポンドバーガーである。通常、プラテン16、18を閉鎖位置28に移動したときに、各ハンバーガパティ80の天面および底面がプラテン調理面に対向するように複数のハンバーガパティ80の向きが定められるように、複数のハンバーガパティ80を下側プラテン18、18’の下側調理面26、26’上に図1に示すように3×3配列のように配置する。下側プラテン18に配置された複数のハンバーガパティ80は、肉を調理するためにプラテン16、18間に所定の調理時間の間保持される。
図5は、本発明による未調理時の初期厚みを有する肉をグリル上で調理するための2段階式方法を例示する流れ図を示す。以下に説明するように、これらの方法は本願明細書に記載の種類のグリルで実施してもよく、あるいは2つの向かい合った調理面を有する何れか他のグリルを本発明を実施するために改造してもよい。他の適したグリルとして、それぞれの内容を参照により本願明細書に組み込まれたものとする米国特許第6,016,743号、第5,910,207号、第5,755,150号、および第5,569,478号に開示された装置が挙げられるが、これだけに限定されるものではない。
最初に、肉、一般には冷凍肉、を2つの向かい合ったプラテン16、18の間に配置する。向かい合ったプラテン16、18はそれぞれ向かい合った調理面24、26を有し、向かい合った調理面24、26によって調節可能なギャップ間隔30が画定される。調理の初期段階中はギャップ間隔が未調理時の肉の初期厚み未満であり、調理の初期段階後の第2段階中はプラテン16、18間のギャップ間隔30を拡げるが次の肉製品の未調理時の初期厚み未満であるように、プラテン16、18間のギャップ間隔30を調節する。肉の調理中の各ギャップ間隔の具体的な大きさについて、以下にさらに詳細に説明する。一般に、上側プラテン16、16’の温度は約425°Fに設定され、下側プラテン18、18’の温度は約355°Fに設定される。
本発明は、クラムシェルグリル等でいくつかの肉製品の完全かつ均一な調理を所定の調理時間内に行うことを可能にする。この所定の調理時間は、少なくとも初期段階と第2段階とを含む。初期段階中の少なくとも1つの時点において、向かい合った上側プラテン16、16’と下側プラテン18、18’の間のギャップ間隔30が未調理時の肉の初期厚み未満になるように、上側プラテン16、16’と下側プラテン18、18’の一方または両方を相手側に対して移動する。第2段階中の少なくとも1つの時点において、向かい合った上側プラテン16、16’と下側プラテン18、18’の間のギャップ間隔30が未調理時の肉の初期厚み未満ではあるが初期段階の最小ギャップ間隔よりは広くなるように、上側プラテン16、16’と下側プラテン18、18’の一方または両方を相手側に対して移動する。
図4Aは、向かい合った上側プラテン16および下側プラテン18の間に置かれたハンバーガパティ80を示す。図4Aの上側プラテン16は、本願明細書に記載の駆動機構36等によって、下側プラテン18に向かって下方に移動されている。図4Aに示すように、上側プラテン16は、ハンバーガパティ80にまだ接触していないので、ギャップ間隔30aの高さはハンバーガパティ80の初期厚みより大きい。図4Aにさらに示されているように、上側プラテン16は下側プラテン18に対して略水平位置に維持されているので、下側プラテン18に正対させた状態を維持しながら、上側プラテン16を下側プラテン18に対して下降させうる。
図4Bは、ハンバーガパティの調理期間の初期段階中の一時点における状態を示す。図4Bに示すように、初期段階中、向かい合った上側プラテン16および下側プラテン18間のギャップ間隔30bは、ハンバーガパティ80の厚み未満である。初期段階中のギャップ間隔30bは、肉の初期厚みの約75から90%の範囲内であることが好ましく、肉の初期厚みの約83から86%であることがより好ましい。
初期段階中のある時点において少なくとも一定期間中はハンバーガパティ80は図4Bに示すギャップ間隔30bを有する必要があることが理解されよう。この一定期間は長くても短くてもよい。ただし、初期段階は、ギャップ間隔が図4Bに示すものとは異なる他の追加期間または段階を複数含んでもよい。例えば、初期段階は、ハンバーガパティ80を予備加熱するために、上下のプラテン16、18を図4Bに示すギャップ間隔よりは大きいギャップ間隔で、ハンバーガパティ80の天面および底面にそれぞれ接触させる初期調理期間によって特徴付けられてもよい。このように、初期段階の前に肉を予備加熱する別の段階を設けることもできる。別の実施形態において、初期段階の一時点において、ギャップ間隔(図示せず)を肉の厚みより大きくしてもよい。
初期段階の継続時間は、肉製品の所定の調理時間の0〜100%にしうる。一実施形態において、ハンバーガパティ等の肉の初期段階の総調理時間は、この肉製品の調理時間の約6%から約13%である。ただし、この初期段階での肉製品の調理がその調理時間の全継続時間にわたると、調理面と肉製品の間の初期の温度差が大きいために肉の天面または底面が焦げる可能性が高く、調理中に肉製品の水分が相当量失われうる。
肉製品を少なくとも1つの第2段階にてギャップ間隔30bを緩めることによって、当該肉をその圧縮状態から膨張させる。このようにすると、調理される複数の肉製品のすべてが均一に調理され、所望の水分および口当たりを有し、一旦冷凍された肉に典型的な焦げが発生しない。第2段階は、一般には初期段階の後に行われ、図4Cにより具体的に例示されている。第2段階の少なくとも1つの時点において、上側プラテン16と下側プラテン18の間のギャップ間隔30cは、初期段階の最小ギャップ間隔30bより大きい。第2段階のこの時点におけるギャップ間隔30cは、ハンバーガパティ80の未調理時の初期厚みよりは小さい。ただし、図から分かるように第2段階においては、肉の膨張を可能にし、肉を過度に脱水することも焦がすこともなく均一に調理されるように、ギャップ間隔30cが緩められている。好適な一実施形態において、第2段階中のギャップ間隔30cは、肉の初期厚みの約87%から97%の範囲内であり、さらに好ましくは約88%から約95%の範囲内である。
第2段階中の少なくとも一定期間は、図4Cに示すギャップ間隔30cでハンバーガパティを調理する必要があることを理解されよう。この期間は長くても短くてもよい。ただし、第2段階は、ギャップ間隔が図4Cに示すギャップ間隔とは異なる他の期間を複数有してもよい。例えば、第2段階は、上下のプラテン間のギャップ間隔(図示せず)が第2段階の別の時点における肉の厚みより大きい一期間を有することを特徴としてもよい。さらに、第2段階は、第2段階の何れかの時点においてギャップ間隔を緩めることによって特徴付けられてもよい。
第2段階の継続時間は、肉製品の所定の調理時間の0〜100%にしうる。好適な一実施形態において、第2段階における冷凍ハンバーガパティ等の肉の総調理時間は、この肉製品の調理時間の約87%から約94%である。
さらに、図4A〜図4Cおよび図5に示すように、好適な一実施形態において、ハンバーガパティ80は初期段階で調理され、その後の第2段階で引き続き調理される。ただし、所定の調理時間は、複数の段階を含んでもよい。例えば、肉を初期段階と第2段階とで調理した後、初期段階に戻り、その後に第2段階で調理することもできる。段階の数は、本発明によって限定されない。
例えば、図6は、グリルで肉を調理するための5段階式方法を例示する流れ図を示す。この方法は、本願明細書に記載の種類のグリルで実施されてもよく、あるいは、2つの向かい合った調理面を有する何れか他のグリルを本発明を実施するために改造してもよい。各段階は、表1に示すギャップ間隔とそれに伴う肉の圧縮、および好適な調理時間によって特徴付けられる。表1に示す各段階のギャップ間隔と調理時間との組み合わせは、冷凍ハンバーガパティを(本願明細書に記載の調理面温度で)脱水させることなく、バラツキなく均一に調理するために特に好都合であることが分かっている。もちろん、段階の数と各段階のギャップ間隔および継続時間とは、肉製品または他の食品の種類ごとに調節しうる。
特定の好適な実施形態に関して本発明を説明してきたが、特許請求の範囲に定義されている本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明に対して多数の変更、修正、および再構成が可能であることを理解されたい。