JP2009502728A - ガラス組成物 - Google Patents

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Abstract

電球部品用のガラス組成物は、実質的に鉛を含有せず、重量%で以下の成分:SiO 60〜72%、Al 1〜5%、LiO 0.5〜1.5%、NaO 5〜9%、KO 3〜7%、MgO 1〜2%、CaO 1〜3%、SrO 1〜5%、BaO 7〜11%、Fe 0.03〜0.06%、Sb 0.1〜0.5%、CeO 0.3〜0.7%を含有する。
【選択図】 図4

Description

本発明は電球用のガラス組成物、特に電球に使用する、実質的に鉛を含有しないガラス組成物に関する。
酸化鉛含量約20%のガラス組成物は、照明産業で、様々な電球類のステム及び排気管並びに自動車用電球及びコンパクト形蛍光灯のエンベロープを製造するのに、広く用いられている。酸化鉛は有害な汚染物質であるので、Directive 2002/95/EC of the European Parliament and Council(欧州議会及び理事会指令2002/95/EC)に従い、市販される電気及び電子機器が鉛を含有しないことを保証しなければならない。
ここ数十年間、照明産業のガラス製造ラインでガラス溶融炉の酸素燃焼が実施されてきた。酸素燃焼は高分圧の水蒸気の燃焼雰囲気をもたらし、この雰囲気はガラス清澄プロセスに影響を与える。
欧州特許出願公開第603933号には、電球用のステムガラス並びにコンパクト形蛍光灯用のエンベロープに使用する無鉛ガラス組成物が記載されている。CeOを0.2重量%以下の量添加して、ガラス組成物の紫外線吸収を向上する。ガラス組成物の開始バッチでは、NaSOを清澄剤として使用する。
米国特許第5843856号には、SiO、Al、NaO、KO及びBを含有し、所望によりLiO、CaO、MgO、SrO、Sb、Fe、MnO及び/又はCeOを含有する、電球用の無鉛ガラス組成物が開示されている。このガラス組成物はさらにZnOを含有し、所望に応じてTiO及び/又はPを含有する。
米国特許第5843855号には、電球用の無鉛ガラス組成物が記載されており、このガラスは少量のBaOのみを含有し、ガラスの製造コストは従来の含鉛ガラスと大きくは変わらない。
米国特許第5885915号に記載の電球用のガラス組成物は、PbOもBaOも含有せず、所望によりZnOを含有し、電球への使用を決定する特性は、既知の含BaO組成物と同等かそれより優れている。
上記特許で開示されたガラス組成物の中に、高い電気抵抗のステムガラス、高効率の320nm以下の紫外線の吸収、及び酸素燃焼炉中でも高品質低コストのガラスを製造する優れた能力をもつ安定な清澄・溶融プロセスという要求のすべてを同時に満たすものはない。
欧州特許出願公開第603933号明細書 米国特許第5843856号明細書 米国特許第5843855号明細書 米国特許第5885915号明細書 Directive 2002/95/EC of the European Parliament and Council
酸素燃焼炉で製造でき、電球のステム及びエンベロープに、また大きなプラスチック部品を有するか、プラスチック取付具にはまるコンパクト形蛍光灯のエンベロープにも適当な、紫外線吸収効率の良い、経済的な無鉛ガラス組成物の開発が特に必要とされている。
本発明の一実施形態では、実質的にPbOを含有せず、重量%で以下の成分を含有する電球部品用のガラス組成物が提供される。
SiO 60〜72%
Al 1〜5%
LiO 0.5〜1.5%
NaO 5〜9%
O 3〜7%
MgO 1〜2%
CaO 1〜3%
SrO 1〜5%
BaO 7〜11%
Fe 0.03〜0.06%
Sb 0.1〜0.5%
CeO 0.3〜0.7%
本ガラス組成物を用いると従来技術に比べて顕著な効果が得られる。この組成物のガラス材料は優れた紫外線吸収を示し、プラスチック取付具付きコンパクト形蛍光灯の要求も満たす。溶融、清澄及び成形プロセスは制御しやすい。本ガラス組成物は、あらゆる分野の電球製造で広く使用されている含鉛ガラス材料に取って代わることができる。
本発明の無鉛ガラス組成物で製造したガラス材料は、大きなプラスチック部品を有するか、プラスチック取付具にはまるコンパクト形蛍光灯のエンベロープの優れた紫外線吸収という条件を満たす。本ガラス材料の技術的パラメータを考慮すると、本ガラス材料は、含鉛ガラス材料の代わりにあらゆる分野の電球製造ラインで使用することができる。本ガラス材料の製造のために組成した清澄パッケージにより、製造プロセスはより経済的になり、制御しやすくなる。
ガラス組成物の紫外線吸収特性は、光の紫外域に吸収帯を有する所定の成分の添加によって向上できる。例えば、酸化形態の鉄は400nm以下の紫外域に吸収ピークをもつが、この成分の吸収係数は比較的小さい。要求された紫外線吸収効果を実現するにはもっと多量の鉄が必要になるが、その場合、可視域の光透過率も有意な影響を受け、電球の顕著な光束低下と変色が起こる。
希土類元素、主にセリウムを含有させると、可視域の光透過率に有意に影響することなく、必要な領域の紫外線吸収に有効である。紫外線吸収はセリウムの量の増加に伴って増加するが、吸収特性は他のガラス成分及びガラスの酸化還元状態によっても影響される。
実験室でガラス組成物を様々な清澄パッケージとともに溶融し、紫外線透過率を試験した。硫酸ナトリウムを含有するガラス組成物に0.33重量%のCeOを添加することにより、紫外線透過率が285nmで1.06%になるが、アンチモン及び硝酸塩と共に0.33重量%のCeOを含有するガラス組成物の紫外線透過率は同じ波長で0.55%であることを見出した。ガラスはアンチモン及び硝酸塩の清澄パッケージの方が大きく酸化された。これらのデータから、優れた紫外線吸収を得るには、ガラスを還元状態より酸化状態に維持するのがより好ましいことがわかる。
CeO含量とともに変化する紫外線吸収曲線を図1に示す。様々なCeO含量の無鉛ガラス組成物及び0.4重量%のCeO含量の含鉛ガラス材料の透過率(T%)を測定して、波長(nm)の関数としてプロットした。紫外線吸収成分の最適量を見出すために、様々な酸化セリウム含量のガラス組成物を溶融し、これらのサンプルの紫外線透過率を試験した。アンチモン及び硝酸塩の清澄パッケージを使用した。この試験により、無鉛ガラス組成物中の0.5重量%のCeOは、含鉛ガラス中の0.4重量%のCeO含量と同等な吸収効果を与え、320nm以下の紫外線を完全に遮断することを確かめた。無鉛ガラス組成物中により多量のCeOが必要であるという事実は、ガラスマトリックスとガラスの紫外線吸収成分間の相互作用及び溶融時に起こりうる酸化還元状態の変化から説明できる。本発明の他の実施形態では、320nmの紫外線の遮断を達成するために、0.4〜0.6重量%の量のCeOを使用する。
ガラスの清澄プロセスはメルト中の気体の溶解度と拡散に依存し、これらは基本的に気体の性質、気体の分圧、塩基度、ガラスメルトの表面張力及び使用温度によって決まる。これらの要因を考慮して、清澄剤を選択しなければならない。原料の化学的に結合した気体成分及び原料粒子間の空気がガラスメルトに気泡を生じる。これらの気体混入物を清澄プロセス中に除去しなければならず、気泡の消失を助けるために清澄剤をガラスメルトに添加する。清澄剤は清澄化気体を生成する機能をもち、気泡中に拡散し、これらの気泡を成長させ、その結果、気泡を上昇、放出させる。
ガラス産業で主に使用される清澄剤は硫酸ナトリウム及び三酸化アンチモンである。アンチモンがSbの形態でメルトに溶解するのを確実にするために硝酸カリウム又は硝酸ナトリウムを添加する。Sbは有効な清澄剤であり、ガラスを十分に酸化させる。本発明の他の実施形態では、0.4〜0.6重量%の量のCeOを用いたガラス組成物は、0.2〜0.4重量%の量のSbも含有する。硫酸ナトリウムはガラス中の清澄剤としてはそれほど適当でなく、ガラスを強い酸化条件下で溶融しなければならない。硫酸塩清澄剤を含む高バリウム含量のガラス組成物から発生するガスのため、酸素燃焼溶融の条件で高粘度のフォーム(気泡)が形成される。
特別設計の高温観察炉で、様々な清澄パッケージを用いたバッチサンプルに実験室試験を行った。図2に、溶融プロセス時の気泡の面積率変化を時間の関数としてプロットした。実験炉の実験条件は酸素燃焼炉の雰囲気に応じて設定した。清澄プロセスを追跡しながら、溶融温度に達した後のメルト中の気泡の個数及び成長をモニターした。アンチモンを含有するバッチ組成物ではすぐに気泡の放出が見られた。これらの組成物において、硝酸塩に対するアンチモンの比率は、1000部のガラス単位中で10〜20部のKNOに対して1〜5部のSbの範囲から選択し、またKNO/Sb比は4〜8の範囲であった。試験時のカレット比率は0〜40%の範囲であった。
清澄剤としてアンチモン及び硝酸塩を用いたにもかかわらず、硫酸塩含有バッチの場合、溶融プロセスの初期に高密度のフォームが認められ、気泡のない状態に到達するのにより長い時間が必要であった。
連続稼働のガラス製造ラインの天然ガス・酸素炉で工業試験を行った。通常のガラス原料とカレットのバッチからガラスを溶融した。バッチはケイ砂、ソーダ灰、カリ灰、リチウム長石、ドロマイト、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸リチウム、清澄剤である酸化アンチモン及び硝酸カリウムから構成した。紫外線吸収ドープ材料として酸化セリウムを添加した。バッチ及びカレットをスクリュー型チャージャーで連続的に仕込んだ。得られた材料の化学分析によるガラス組成物は重量%で以下の通りであった。
Figure 2009502728
炉の温度は1400〜1470℃の間でコントロールした。制御可能なバッチブランケットフローを用いて溶融及び清澄プロセスは安定であった。許容できない発泡はなかった。
Figure 2009502728
図3に、2D形のコンパクト型蛍光灯を示す。蛍光灯はエンベロープ12及びプラスチックベース部品11を有する。蛍光灯のエンベロープは、上記の工業試験で生成したガラス材料で製造した。エンベロープ12の紫外線吸収は、汎用の含鉛ガラス組成物で製造したエンベロープのものと少なくとも同等であった。含鉛ガラスのエンベロープと比べて、本発明のガラスで製造したエンベロープ12からの紫外線放射によって、プラスチックベース部品11及び蛍光灯を受け入れるプラスチック取付具は悪影響を受けない、つまり蛍光灯の寿命がくる前に有意な変色は起こらないと考えられる。
図4に、白熱電球のステムを示す。上記のガラス材料でステムを製造した。ステムは、フレア22、リード線25L及び25R、フィラメント27及び排気管26から構成される。リード線の上部29L及び29Rにフィラメント27を固定する。製造プロセス時に、フレア22を加熱し、排気管26及びフレア22をともに溶融して、排気管26に開口を開ける。フレア22の内端24をリード線の上部29L及び29Rにピンチングでシールする。上記の工業試験で生成したガラス組成物は、溶融、管引き、成形、穴開け及びピンチングの技術工程に関しての要求をすべて満たす。シールは十分であり、空気漏れはなかった。
ガラス中のCeO含量とともに変化する紫外線吸収曲線のグラフである。 溶融プロセス時のガラスメルト中の気泡の面積率のグラフである。 大きなプラスチック部品を有するコンパクト形蛍光灯の図である。 電球用のステムの線図である。
符号の説明
11 プラスチックベース部品
12 エンベロープ
22 フレア
24 フレアの内端
25L、25R リード線
26 排気管
27 フィラメント
29L、29R リード線の上部

Claims (3)

  1. 実質的にPbOを含有せず、重量%で以下の成分を含有する、電球部品用のガラス組成物。
    SiO 60〜72%
    Al 1〜5%
    LiO 0.5〜1.5%
    NaO 5〜9%
    O 3〜7%
    MgO 1〜2%
    CaO 1〜3%
    SrO 1〜5%
    BaO 7〜11%
    Fe 0.03〜0.06%
    Sb 0.1〜0.5%
    CeO 0.3〜0.7%
  2. CeOを0.4〜0.6重量%の量添加することによって、320nm以下の紫外線を吸収する、電球のエンベロープ及びステム用の請求項1記載のガラス組成物。
  3. CeOを0.4〜0.6重量%の量及びSbを0.2〜0.4重量%の量含有する、請求項1記載のガラス組成物。
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