JP5584414B2 - 琥珀色のガラス - Google Patents

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Description

本発明は、琥珀色の着色されたガラス及びこのような琥珀色のガラスエンベロープを含む電球に関係する。本発明は、自動車の用途における信号照明具に特に関連性のあるものである。
琥珀色のガラスエンベロープを含む電球は、欧州特許第1193226号明細書に記載される。着色されたガラスは、R’O−RO−SiOの式を有し、ここで、R’は、アルカリ金属元素であり、且つ、Rは、アルカリ土類金属元素である。着色されたガラスは、モリブデン(Mo)及び硫黄(S)を含み、それらモリブデン及び硫黄は、一緒に、ガラスに対して琥珀の色を与える。モリブデンは、(酸化物の形態で表された)0.01重量%から0.6重量%までの割合で添加され、且つ、硫黄は、(酸化物の形態で表された)0.01重量%から1重量%までの割合で添加される。得られたガラスにおけるモリブデン及び硫黄の割合が、この特許で与えられたものではないとはいえ、出願人は、信号照明具に適切な琥珀色のガラスが、酸化物の形態で表された0.01重量%と1重量%との間のモリブデン及び酸化物の形態で表された0.01重量%と2.5重量%との間の硫黄を含むことがあることに留意してきた。酸化物の形態として構成要素の割合を表すことが、ガラス科学の分野において慣習的であることは、留意されることである。よって、Moの百分率は、MoOの重量百分率として表され、且つ、Sの百分率は、SOの重量百分率として表される。しかしながら、これは、この構成要素が、この酸化物の形態でのみガラスに存在することを意味しない。構成要素は、様々な形態で存在することがあり、且つ、たとえば、ガラスが、元素の酸化物の形態を含有しないことが、可能であることさえある。
しかしながら、この特許に記載された琥珀色のガラスは、脆弱なものであるようにみえ、そのことは、このガラスで作られた電球が、動作の間に、又は、それが専用の自動車の用途において使用される前にでさえも、簡単に破壊されることがあるため、欠点である。
欧州特許第1193226号明細書
本発明の目的は、着色されたガラスを、特に自動車の信号照明具に適切な琥珀色のガラスを、提供することであり、そのガラスは、改善された応力を示す。
この目的を達成するために、本発明は、R’O−RO−SiOの式を有する着色されたガラスを提示し、ここで、R’は、アルカリ金属元素であり、且つ、Rは、アルカリ土類金属元素であり、前記の着色されたガラスは、MoOとして表された0.01重量%と1重量%との間のモリブデン及びSOとして表された0.01重量%と2.5重量%との間の硫黄を含み、前記の着色されたガラスは、KOとして表された7.8重量%と14重量%との間のカリウム及びNaOとして表された0.68重量%と5.42重量%との間のナトリウムをさらに含み、ここで、カリウム及びナトリムの濃度の総和は、11重量%と17重量%との間にある。
先行技術の着色されたガラスの分析は、この先行技術のガラスが、このガラスで作られた電球又は電灯の内側の壁の付近に位置させられたゾーンに相対的に高い濃度の結晶を含むという結論に至った。今、ガラスにおける結晶が、結晶のまわりに位置させられる永久の引っ張りのゾーンを作り出す。先行技術に従って製造された電球又は電灯は、このように、それの内側の壁に引っ張りのゾーンを含む。電球又は電灯の外側の壁に負荷がかけられるとき(たとえば、製品が、機械又は人間によって取り扱われるとき)、内側の壁が、引っ張り応力の下にあるのに対して、外側の壁は、圧縮応力の下にある。内側の壁の付近にすでに引っ張りのゾーンがあると、これらの引っ張りのゾーンは、急速に広がり、且つ、ガラスエンベロープは、簡単に壊れる。Elsevier Scientific Publishing Company,1983,ISBN 0−444−41577−7によって出版されたJ.Hlavacによる‘Glass Science and Technology’シリーズにおける四番目の本である、‘The technology of glass and ceramics’からみてとることができるように、一般に、結晶が、ガラスをより脆弱なものにすることは、周知である。
出願人は、ガラスにおける結晶の存在が、ガラスを着色するために使用されるモリブデン及び硫黄の存在によるものであることに留意してきた。現実には、Mo及びSを伴った第一の配合で調製されたガラスは、同じ配合であるが、しかしMo無しで又はS無しで、調製されたガラスが、結晶を含まない一方で、多くの結晶を含む。これは、結晶の存在が、ガラスが着色され、そのことがMo及びSによるものであるという事実によるものであることを、立証する。透き通ったガラスは、結晶を含むものではなく、そのことは、上に述べられた問題が、すなわち、ガラスの脆弱性が、Mo及びSに基づいた琥珀色のガラスでのみ発生することを意味する。
詳細な説明に示されることになるが、カリウム及びナトリウムの濃度の適切な選定は、結晶の濃度の低減を可能にし、このようにあまり脆弱でないガラスに至る。
本発明のこれらの及び他の態様は、以後に記載された実施形態から明らかであると思われ、且つ、以後に記載された実施形態を参照して解明されると思われる。
今、本発明を、添付する図面を参照して、一例として、より詳細に記述することにするが、その図面においては:図面の簡単な説明の記載を参照のこと。
図1は、
− 例えば、0.3mmと1.3mmとの間に含まれた壁の厚さを有する、琥珀色の着色されたガラスで作られたランプのエンベロープ又は球状部2、
− コイル状のフィラメント5を支持するためのガラスの球状部2の内側に取り付けられたビード4によって保持された二つの引き込み線3a及び3bを含む、取り付け台3、
− 発光体の保持具に合うための金属のフタ9からの位置選定ピン7、前記の位置選定ピン7の相対的な位置決めは、特定の発光体において誤ったランプのタイプを取り付けることが不可能であるようなものである(例.それと共に、琥珀色のランプ用である発光体において透き通ったランプを取り付けることは、不可能にされる)、
− 車の電気回路によって給電されるものであるランプ用の取り付け台3に接続された電気接触8、
− ランプホルダーの保持具に合うための金属のフタ9
:を含む指示器のランプともまた呼ばれた自動車の信号電球1を示す。
図1の電球のエンベロープは、本発明に従った着色されたガラスで作られる。琥珀色のガラスを作るための出発材料は、砂、炭素又は炭素のような還元剤、モリブデンを含有する原料、硫酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、石灰石、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、酸化マグネシウムである。欧州特許第1193226号明細書に記載されたように、ガラスの主要な部分の一般式は、R’O−RO−SiOであり、ここで、R’は、アルカリ金属元素であり、且つ、Rは、アルカリ土類金属元素である。
本発明の好都合な実施形態に従った電球は、表1に列挙されたような化学的な構成成分を含むガラスの組成を備えたガラスの球状部を有する。
Figure 0005584414
表1:本発明に従ったガラスの球状部の好都合な化学的な組成
本発明の好適な実施形態に従った電球は、表2に列挙されたような化学的な元素を含むガラスの組成を備えたガラスの球状部を有する。
Figure 0005584414
表2:本発明に従ったガラスの球状部の好適な化学的な組成
これらの表においては、化学的な元素の酸化物の形態の重量百分率が、与えられる。これは、これらの元素が、この酸化物の形態でガラスに存在することを必ずしも暗示するものではない。例えば、ガラスにおけるカリウムは、K又はカリウムの他の形態として存在することがある。
SiOは、ガラスにおけるネットワークの形成体として役に立つ。SiOの含有率は、60重量%−75重量%に限定され、他の構成要素との組み合わせで、容易に融解可能な且つ加工可能なガラスに至る。Alは、ガラスの化学的な抵抗性を改善する。BaOは、それが、ガラスの電気抵抗を増加させ且つガラスの軟化温度を低減するという好ましい性質を有する。アルカリ土類金属の酸化物SrO、MgO、及びCaOは、それらが、ガラスの液化温度及び融解温度を低減するという好ましい性質を有する。
ガラスは、付加的に、使用された原料に由来する不純物として多少のFeを含有することがある。また、TiO、ZrO、及びMnOが、微量元素として見出され得る。
自動車の照明具に適切であるガラスを得るためには、酸化物の形態で表されたカリウム及びナトリウムの濃度の総和が、11重量%と17重量%との間にあることが、必要である。現実に、この総和が、この範囲の外側にあるとすれば、ガラスは、球状部を作ることに要求された融解する及び加工する性質を有するものではない;その上、ガラスの熱膨張係数は、電球の現行の給電の導体又は引き込み線に対してガラスを密封することに適切ではない。これが、この総和が、たとえば、欧州特許第1193226号明細書の事例であるように、この範囲で常に選ばれることの理由である。
本発明は、琥珀色のガラスの強さを増加させることを目指す。それを以前に記載しておいたように、先行技術の琥珀色のガラスの脆弱性は、主として、ガラスエンベロープの内側の壁付近における結晶の存在によるものであり、それら結晶は、ガラスにおけるMo及びSの存在によるものである。出願人は、カリウム及びナトリウムの適切な濃度が選ばれるという点で、ガラスエンベロープの内側の壁付近における結晶の密度を劇的に低減することが、可能であることを留意してきた。
ガラスを作る工程は、以後に記載される。バッチが、上に述べられた全ての要求された原料を計量し且つ混合することによって調製される。バッチは、従来の連続的な融解のタンクへ供給される。標準的な工程の設定は、管を形成する工程の融解、精製、及び状態調節に使用される。
ガラスの管は、標準的な管の引き抜きの技術を使用するガラスを製造する工程の終わりに作られる。より後の段階で、球状部を形成することは、管を加熱することによって得られる。
様々なガラスを、上述した工程で調製した。調製した様々な試料は、実質的に同じ組成を有し、その組成は、Na及びKの濃度を除いて、実質的に表2に与えられた組成であり、それら濃度を、結晶の密度におけるNa及びKの影響を評価するために、変動させた。表3は、調製した七つの試料におけるNa及びKの濃度を与える。
Figure 0005584414
表3:調製した琥珀色のガラスの試料のNaO及びKOの重量百分率
各々の実験について、所定の大きさの試料の一部分を、選択し、且つ、この部分における結晶の面積を、会社MVTec(R)より入手可能なプログラムHalconを使用して計算した。前記の部分のピクチャのサイズは、640*480ピクセルであり、結晶に属するピクセルの数を、各々のピクチャで計数し、且つ、ピクチャのピクセルの合計の数で割った。各々の試料における結晶の密度を、このように評価した。図2は、結晶によって覆われる試料の合計の面積の百分率として表された、各々の試料についての結晶の密度を示す。図2からみてとることができるように、ナトリウムの濃度が、カリウムの濃度よりも高いものである、最初の二つの試料の結晶の密度は、相対的に高いものである。これは、脆弱なガラスに至る。試料1は、欧州特許第1193226号明細書に与えられたガラスの組成に実質的に対応する。試料3から7までにおける結晶の密度は、試料1及び2におけるものよりもはるかに低いものであり、そのことは、これらのガラスが、相対的により丈夫なものであることを意味する。これは、着色されたガラスが、KOとして表された7.8重量%と14重量%との間のカリウム及びNaOとして表された0.68重量%と5.42重量%との間のナトリウムを含むような方式で、カリウムの量及びナトリウムの量を選ぶことによって、先行技術におけるものよりも丈夫なガラスが、得られ、前記のより丈夫なガラスは、自動車の用途に適切であることを示す。より低い結晶の密度を、表2に与えられた組成を有するガラスで得た。
後に続く特許請求の範囲におけるいずれの符号をも、請求項を限定するものとして解釈するべきではない。動詞“を含む”及びそれの活用の使用が、いずれの請求項に定義されたものの他に、いずれの他の要素の存在をも排除するものではないことは、自明であると思われる。要素に先行する単語“ある”は、複数のこのような要素の存在を排除するものではない。
[付記]
付記(1):
R’がアルカリ金属元素であり且つRがアルカリ土類金属元素である、R’ O−RO−SiO の式を有する着色されたガラスであって、
前記着色されたガラスは、MoO として表された0.01重量%と1重量%との間のモリブデン及びSO として表された0.01重量%と2.5重量%との間の硫黄を含み、
前記着色されたガラスは、K Oとして表された7.8重量%と14重量%との間のカリウム及びNa Oとして表された0.68重量%と5.42重量%との間のナトリウムをさらに含み、
O及びNa Oとして表されたカリウム及びナトリムの濃度の総和は、11重量%と17重量%との間にある、着色されたガラス。
付記(2):
酸化物の形態の重量百分率で表された、前記ガラスの組成は、
Figure 0005584414
:を含む、付記(1)に記載の着色されたガラス。
付記(3):
酸化物の形態の重量百分率で表された、前記ガラスの組成は、
Figure 0005584414
:を含む、付記(1)に記載の着色されたガラス。
付記(4):
付記(1)又は(2)に記載の着色されたガラスで作られたガラスエンベロープを含む電球。
−図1は、本発明に従った電球を示す; −図2は、様々な濃度のナトリウム及びカリウムで調製された琥珀色のガラスにおける結晶の密度を示す。

Claims (3)

  1. R’ O−RO−SiO の式を有する着色されたガラスにおいて、
    R’は、アルカリ金属元素であると共に、
    Rは、アルカリ土類金属元素であると共に、
    酸化物の形態の質量百分率において表現された、前記ガラスの組成は、
    SiO 60〜75%
    Al 0.1〜7%
    Li O 0.1〜2.5%
    Na O 0.68〜4.1%
    O 9.2〜14%
    MgO 0.1〜3%
    CaO 0.1〜5%
    SrO 0.1〜10%
    BaO 5〜15%
    MoO 0.01〜1%
    SO 0.01〜2.5%
    を含むと共に、
    O及びNa Oの総和は、11及び17質量%の間のものである
    着色されたガラス。
  2. R’ O−RO−SiO の式を有する着色されたガラスにおいて、
    R’は、アルカリ金属元素であると共に、
    Rは、アルカリ土類金属元素であると共に、
    酸化物の形態の質量百分率において表現された、前記ガラスの組成は、
    SiO 67.6%
    Al 0.74%
    Li O 1.17%
    Na O 1.89%
    O 12.53%
    MgO 2.45%
    CaO 3.84%
    SrO 2.09%
    BaO 7.22%
    MoO 0.06%
    SO 0.29%
    を含む、着色されたガラス。
  3. 電球であって、
    請求項1又は2に記載の着色されたガラスで作られたガラスエンベロープを含む、電球。
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