JP2009302013A - 透明導電性フィルム及びそれを備えるタッチパネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明導電性フィルム11は、透明基材12上に軟質樹脂層13が設けられ、その上に有機導電層14が積層されて構成されている。軟質樹脂層13は、超微小硬さ試験装置により温度20℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定したときのマルテンス硬度が0.1〜70N/mm2であり、かつ自己修復性を有している。該軟質樹脂層13は、特定の繰り返し単位を10〜90質量%含む硬化性組成物を透明基材12に塗布、硬化することによって形成される。有機導電層14を形成する有機導電性高分子は、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン又はポリキノキサリンが用いられる。
【選択図】図1
Description
但し、j=2〜4及びk=2〜30である。
但し、p=10〜24である。
第3の発明の透明導電性フィルムは、第2の発明において、前記硬化性組成物は、ウレタン変性(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であることを特徴とする。
第1の発明の透明導電性フィルムにおいては、透明基材と有機導電層との間にマルテンス硬度が0.1〜70N/mm2である軟質樹脂層が設けられている。このため、入力ペン等による摺動が繰り返されても、該軟質樹脂層によりペン荷重が分散され、有機導電層にクラックや剥離が発生し難くなる。しかも、軟質樹脂層が自己修復性を有するため、入力ペンの摺動によって形成されるへこみ(凹み)が復元され、外観不良の発生が抑制される。その上、導電層が柔軟性のある有機導電層であることから、クラックの発生が抑制され、耐久性が向上する。従って、例えばタッチパネルにおけるペン入力に対して有機導電層の傷やクラックの発生を抑制することができ、筆記耐久性を向上させることができる。
本実施形態における透明導電性フィルムは、透明基材上に軟質樹脂層が設けられ、該軟質樹脂層上に導電性高分子に基づく有機導電層が積層されて構成されている。軟質樹脂層は、超微小硬さ試験装置により温度20℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定したときのマルテンス硬度が0.1〜70N/mm2であり、かつ自己修復性を有している。係る一対の透明導電性フィルムは、例えばタッチパネルの前面に、それらの有機導電層が互いに対向するように配置されることにより、タッチパネルが形成される。なお、タッチパネルは、指や専用のペンで画面に触れることにより、コンピュータの操作を行う装置を意味する。
〔透明基材12〕
透明基材12としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂シート、透明ガラス板等が用いられ、特に制限されない。透明基材12を形成する樹脂材料として具体的には、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、トリアセテートセルロース(TAC)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリウレタン系樹脂、再生セルロース系樹脂、ジアセチルセルロース系樹脂、アセテートブチレートセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン3元共重合系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド(ナイロン)系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。それらの中でも、汎用性及び用途実績等の観点から、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、トリアセテートセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂及びポリカーボネート系樹脂が好ましい。機能層として偏光層を設ける場合には、通常トリアセテートセルロース系樹脂が使用される。
〔軟質樹脂層13〕
続いて、軟質樹脂層13について説明する。この軟質樹脂層13は、超微小硬さ試験装置により温度20℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定したときのマルテンス硬度が0.1〜70N/mm2であり、かつ自己修復性を有するものである。ここで、自己修復性とは、一度生じたへこみ(凹み)痕が経時的に消失して元の形状に戻る(復元する)性質を意味する。軟質樹脂層13の厚さは5〜100μmが好ましく、10〜80μmがより好ましい。この厚さが5μm未満の場合、軟質樹脂層13の柔軟性が不足して自己修復性や筆記耐久性が低下する。一方、100μmを超える場合、軟質樹脂層13が厚くなり過ぎて、タッチパネル10に用いた際のペン入力の荷重を大きくする必要があり、好ましくない。
−O−〔(CH2)j−O〕k− ・・・(1)
但し、j=2〜4及びk=2〜30である。
但し、p=10〜24である。
繰り返し単位は、化学式(1)の場合kが、2〜30個の連鎖であることが好ましく、2〜20個の連鎖であることがさらに好ましい。化学式(1)の繰り返し単位内の炭素数jは、2〜4個であることが好ましい。化学式(2)の場合mが、1〜15個の連鎖であることが好ましく、1〜10個の連鎖であることがさらに好ましい。化学式(2)の繰り返し単位内の炭素数lは、3〜12個であることが好ましく、3〜8個であることがさらに好ましい。化学式(3)の場合、炭素数pは10〜24個であることが好ましく、12〜20個であることがさらに好ましい。
(密着性向上成分)
また、透明基材12と軟質樹脂層13との間及び軟質樹脂層13と有機導電層14との間の密着性を良好にするために、カルボキシル基と水酸基の少なくとも一方を有する化合物を硬化性組成物に1種又は2種以上を含有させることが好ましい。カルボキシル基と水酸基の少なくとも一方を有する化合物は限定されないが、具体的にはヒドロキシコハク酸、サリチル酸、ラクチル酸、2−ヒドロキシブチル酸等の水酸基及びカルボキシル基を併せ有する化合物や、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート等の不飽和結合及びカルボキシル基を併せ有する化合物、及びこれら単量体を共重合させた共重合体、アリルアルコール、メタリルアルコール、ビニルアルコール、オレイルアルコール、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の不飽和結合と水酸基を併せ有する化合物、及びこれら単量体を共重合させた共重合体等が挙げられる。そのような化合物の含有量は、硬化性組成物中に0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜15質量%が特に好ましい。これら化合物の含有量が0.01質量%より少ない場合には透明基材12に対する軟質樹脂層13の密着性が不十分となり、30質量%よりも多い場合には軟質樹脂層13の自己修復性が低下するため好ましくない。
(反応性希釈剤)
さらに、硬化性組成物には、軟質樹脂層13の強度、靭性等の物性を高める反応性希釈剤として不飽和結合を1つ有する化合物を併用してもよい。この反応性希釈剤は、軟質樹脂層13を形成する前記成分との相溶性がよい単量体であれば特に制限されない。反応性希釈剤として例えば、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリルアクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。これらの単量体は単独で使用してもよいし、2種類以上併用してもよい。
(希釈溶媒)
硬化性組成物の粘度を調整するために、希釈溶媒を用いることができる。希釈溶媒は、非重合性のものであれば特に制限されず、例えばトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、エチルセルソルブアセテート、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール等が用いられる。これらの希釈溶媒は、単独で使用してもよいし、2種類以上併用してもよい。その含有量は、硬化性組成物の組成にもよるが、硬化性組成物中に通常0.1〜80質量%である。
(表面調整剤)
硬化性組成物の塗工性を向上させるために、硬化性組成物中に表面調整剤を添加することが好ましい。該表面調整剤としては、ポリシロキサン系化合物やアクリル系重合物などが好ましい。ポリシロキサン系化合物としては、直鎖状又は分岐状のポリジオルガノシロキサン系化合物が好ましく、ポリオルガノシロキサン基含有共重合体であっても良い。ポリジオルガノシロキサンの代表例はポリジメチルシロキサンである。さらに、主鎖や側鎖にビニル基や(メタ)アクリロイル基等の反応性基を有していても良い。そのメチル基の一部ないし全てが他の有機基に置換された構造のもの(但し、そのメチル基が置換される位置は末端であっても連鎖内であってもよい)であってもよい。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂に紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射して重合を開始させるためのもので、公知の化合物が用いられる。係る光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン類、アセトフェノン類、α−アミロキシムエステル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類等が挙げられる。具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、α−アミロキシムエステル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、テトラメチルチュウラムモノサルファイド等が挙げられる。
(軟質樹脂層13の調製)
以上の軟質樹脂層形成用硬化性組成物を透明基材12上に塗布した後、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、透明基材12上に軟質樹脂層13が形成されたフィルムが得られる。軟質樹脂層形成用硬化性組成物を透明基材12上に塗布する方法としては、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、ハケ塗り法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法、カーテンフローコート法、リバースコート法、キスコート法、コンマコート法等公知のいかなる方法も採用される。塗布に際しては、密着性を向上させるために、予め透明基材12表面にコロナ放電処理等の前処理を施すことができる。
〔有機導電層14〕
前記有機導電層14は、従来の無機導電層に比べて柔軟性や弾力性が高いことから、入力ペンの摺動による応力の緩和を長期的に発現することができる。この有機導電層14を形成する有機導電性高分子としては、透明性及び導電性を併せ持つ有機導電性材料であれば特に制限されない。有機導電性高分子として具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン又はポリキノキサリンが好ましい。これらのなかでも、導電性及び光学特性が良好なポリチオフェン及びポリアニリンが好ましく、ポリチオフェンが特に好ましい。軟質樹脂層13上にこの有機導電層14を形成する方法は、常法に従って行われる。有機導電層14の厚さは、通常100〜200nmである。
〔その他の層〕
また、前述のように透明基材12の軟質樹脂層13が形成されている面とは反対側の面にハードコート層を設け、該ハードコート層上にハードコート層の屈折率よりも屈折率の低い低屈折率層を積層した減反射層を形成することができる。或いは、前記ハードコート層上に防眩層を設け、該防眩層上に防眩層の屈折率よりも屈折率の低い低屈折率層を積層した減反射防眩層を形成することができる。
〔実施形態の作用及び効果のまとめ〕
・ 本実施形態における透明導電性フィルム11においては、透明基材12と有機導電層14との間にマルテンス硬度が0.1〜70N/mm2である軟質樹脂層13が設けられている。このため、タッチパネル入力ペン16によって透明基材12上へ摺動が繰り返されても、該軟質樹脂層13によりペン荷重が分散され、有機導電層14にクラックや剥離が発生し難くなる。しかも、軟質樹脂層13が自己修復性を有するため、へこみが復元され、外観不良の発生が抑制される。その上、導電層が柔軟性のある有機導電層14であることから、クラックの発生が抑制され、耐久性が向上する。従って、例えばタッチパネル10におけるペン入力に対して有機導電層14の傷やクラックの発生を抑制し、筆記耐久性を向上させることができる。
(1)マルテンス硬度
透明基材12としてのPETフィルム上に、軟質樹脂層形成用硬化性組成物を乾燥膜厚30μmの厚さで塗布、硬化して軟質樹脂層13を形成させたときの軟質樹脂層13のマルテンス硬度(N/mm2)を、超微小硬さ試験装置〔(株)フィッシャー・インストルメンツ社製、フィッシャースコープH−100〕を用いて測定した。測定条件は、温度20℃、相対湿度50%の雰囲気下で、最大荷重2mN、第1クリープ:5秒、第2クリープ:5秒の条件とした。
(2)ヘイズ値
日本電飾工業(株)製のNDH−2000を使用し、透明導電性フィルム11の光学特性としてのヘイズ値(%)を測定した。
(3)全光線透過率
日本電飾工業(株)製のNDH−2000を使用し、透明導電性フィルム11の光学特性としての全光線透過率(%)を測定した。
(4)表面抵抗率
三菱化学(株)製のロレスターGP(4探針プローブ)を使用して、透明導電性フィルム11の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。
(5)筆記耐久性
図1に示すように、透明導電性フィルム11を2枚用いて有機導電層14が対向するように、厚さ30μmの両面粘着テープ15を用いて貼り合わせたものをガラス上に配置した。そして、透明導電性フィルム11の有機導電層形成面とは反対面で両面粘着テープ15から内側へ2mm間隔を離した箇所をポリアセタール樹脂製のタッチパネル入力ペン16(先端部:φ0.8mm)を用い、荷重2.5N(250gf)、速度100mm/sec、10万往復の条件で摺動させた(図1の実線から二点鎖線の位置)。このようにして行った透明導電性フィルム11に関する筆記耐久性の試験結果を下記に示す3段階で評価した。
○:目視では観察されないが、光学顕微鏡観察(倍率:280倍)で有機導電層14の剥離、クラック又は傷が見られる。
×:目視で有機導電層14の剥離、クラック又は傷が見られ、その面積がタッチパネル入力ペン16を摺動させた箇所(面積)の1/5以上である。
〔製造例1−1、軟質樹脂層形成用硬化性塗液(F−1)の調製〕
ヘキサメチレンジイソシアネート〔三井武田ケミカル(株)製、商品名:タケネート700〕2.1部及びポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート〔ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセルFA10L、カプロラクトン単位の繰り返し数=10〕97.9部からなるウレタンアクリレート90部と、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート〔東亞合成(株)製、商品名:M−5400〕6.8部と、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン3部、表面調整剤〔ビックケミー社製、商品名「BYK−381」〕0.2部及びメチルエチルケトン100部を混合して軟質樹脂層形成用硬化性塗液(F−1)を調製した。
〔製造例1−2、軟質樹脂層形成用硬化性塗液(F−2)の調製〕
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプウレタンアクリレート〔三井武田ケミカル(株)製、商品名:タケネートD−170N〕20.5部及びポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート〔ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセルFA5、カプロラクトン単位の繰り返し数=5〕79.5部からなるウレタンアクリレート90部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、商品名:HPA〕6.8部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン3部、表面調整剤(ビックケミー社製、商品名「BYK−381」)0.2部及びメチルエチルケトン100部を混合して軟質樹脂層形成用硬化性塗液(F−2)を調製した。
〔製造例1−3、軟質樹脂層形成用硬化性塗液(F−3)の調製〕
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ〔三井武田ケミカル(株)製、商品名:タケネートD−170N〕34部及びポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート〔ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセルFA2、カプロラクトン単位の繰り返し数=2〕66.0部からなるウレタンアクリレート90部と、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート〔東亞合成(株)製、商品名:M−5400〕6.8部と、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン3部、表面調整剤(ビックケミー社製、商品名「BYK−381」)0.2部及びメチルエチルケトン100部を混合して軟質樹脂層形成用硬化性塗液(F−3)を調製した。
〔製造例1−4、軟質樹脂層形成用硬化性塗液(F−4)の調製〕
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ〔三井武田ケミカル(株)製、商品名:タケネートD−170N〕34部及びポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート〔ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセルFA2、カプロラクトン単位の繰り返し数=2〕66.0部からなるウレタンアクリレート85部と、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート〔東亞合成(株)製、商品名:M−5400〕6.8部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔日本化薬(株)製、KAYARAD、商品名:DPHA〕5.0部と、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン3部、表面調整剤(ビックケミー社製、商品名「BYK−381」)0.2部及びメチルエチルケトン100部を混合して軟質樹脂層形成用硬化性塗液(F−4)を調製した。
〔製造例2−1、有機導電性組成物(EC−1)の調製〕
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスルホン酸を主成分とし、シランカップリング剤を含んでなる水分散溶媒導電性塗料〔日本アグファ・ゲバルト(株)製、商品名:Orgacon S−300〕100部にエチレングリコール〔和光純薬(株)製〕を5部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、EX−810)を0.3部と、前記アルコキシ基含有化合物として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン〔信越化学工業(株)製〕0.3部とを、それぞれ添加して各成分が均一になるまで1時間攪拌混合して有機導電性組成物(EC−1)を調製した。
〔製造例2−2、有機導電性組成物(EC−2)の調製〕
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)0.5部とポリスルホン酸0.8部を含んでなる水分散体(BaytronP:バイエルAG社製)100部にN−メチルピロリドン〔和光純薬(株)製〕5部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、EX−810)0.3部と、前記アルコキシ基含有化合物として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン〔信越化学工業(株)製〕0.3部とを、それぞれ添加して各成分が均一になるまで1時間攪拌混合して有機導電性組成物(EC−2)を調製した。
〔製造例2−3、有機導電性組成物(EC−3)の調製〕
ピロール0.4部とポリスルホン酸1.5部を含んでなる水分散体100部に過硫酸アンモニウム1部と、硫酸第二鉄0.5部とを添加し、ポリスルホン酸ドープポリピロール液を調製した。得られたポリスルホン酸ドープポリピロール液にイミダゾールを2部添加して、各成分が均一になるまで1時間攪拌混合して有機導電性組成物(EC−3)を調製した。
〔製造例3、ハードコート層用塗液(HC)の調製〕
ジペンタエリスリトールへキサアクリレート70部、1,6−ビス(3−アクリロイルオキシー2−ヒドロキシプロピルオキシ)ヘキサン30部、光重合開始剤〔チバガイギー(株)製のIRUGACURE184〕4部及びイソプロパノール100部を混合してハードコート層用塗液(HC)を調製した。
〔製造例4、高屈折率層用塗液(H)の調製〕
平均粒子径0.07μmのITO微粒子85部、テトラメチロールメタントリアクリレート15部、光重合開始剤〔日本化薬(株)製のKAYACURE BMS)5部及びブチルアルコール900部を混合し、高屈折率層用塗液(H)を調製した。
〔製造例5−1、低屈折率用塗液(L−1)〕
1,10−ジアクリロイルオキシー2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロデカン70部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10部、シリカゲル微粒子分散液〔日産化学(株)製のXBA−ST)60部及び光重合開始剤〔日本化薬(株)製のKAYACURE BMS〕5部を混合して低屈折率用塗液(L−1)を調製した。
〔製造例6−1、防眩層用塗液(AG−1)〕
ウレタンアクリレート〔大日本インキ化学工業(株)製、GRANDIC PC6−6150F、光重合開始剤入り〕50部及びメチルイソブチルケトン(MIBK)83.4部を混合してバインダーを調製し、それに透光性微粒子として架橋アクリル樹脂の微粒子〔綜研化学(株)製、MX−500、粒子径の揃った単分散な微粒子、平均粒子径5μm〕17部を混合して防眩層用塗液(AG−1)を調製した。
〔製造例6−2、防眩層用塗液(AG−2)〕
6官能ウレタンアクリレート〔日本合成化学工業(株)製、紫光UV−7600B〕80部、ポリメタクリル酸メチル(PMMA:分子量40×103)10部、架橋ポリスチレンビーズ〔綜研化学(株)製、SX−130H、平均粒子径1.3μm〕10部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2部及びメチルイソブチルケトン150部を混合して防眩層用塗液(AG−2)を調製した。
(実施例1)
透明基材12として、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔東洋紡(株)製のA4300〕を用いた。そのPETフィルムの一方の面に、軟質樹脂層形成用硬化性塗液(F−1)を乾燥膜厚30μm程度になるようバーコーターにより成膜した後、400mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して硬化させ、軟質樹脂層13を形成した。さらに、その軟質樹脂層13上に導電性組成物EC−1を、乾燥膜厚150nm程度となるようにバーコーターにより被膜を形成した後、室温で1分間、150℃で1分間乾燥して有機導電層14を積層し、透明導電性フィルム11を作製した。
(実施例2)
透明基材12として、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔東洋紡(株)製のA4300〕を用いた。その透明基材12の一方の面にハードコート層用塗液HCを、乾燥膜厚5μmになるようにバーコーターを用いて塗布後、窒素雰囲気下に400mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して硬化させ、ハードコート層を形成した。続いて、PETフィルムの他方の面に、軟質樹脂層形成用硬化性塗液F−2を乾燥膜厚30μm程度になるようバーコーターにより成膜した後、400mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して硬化させ、軟質樹脂層13を形成した。さらにその軟質樹脂層13上に導電性組成物EC−1を乾燥膜厚150nm程度になるようにバーコーターにより被膜を形成した後、室温で1分間、150℃で1分間乾燥して有機導電層14を積層し、透明導電性フィルム11を作製した。
(実施例3)
実施例2において、軟質樹脂層形成用硬化性塗液F−2を軟質樹脂層形成用硬化性塗液F−3に代えた以外は実施例2と同様に実施し、透明導電性フィルム11を作製した。
(実施例4)
実施例2において、軟質樹脂層形成用硬化性塗液F−2を軟質樹脂層形成用硬化性塗液F−4に代えた以外は実施例2と同様に実施し、透明導電性フィルム11を作製した。
(実施例5)
実施例2において、導電性組成物EC−1をEC−2に代えた以外は実施例2と同様に実施し、透明導電性フィルム11を作製した。
(実施例6)
透明基材12として、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔東洋紡(株)製のA4300〕を用いた。その透明基材12上にハードコート層用塗液HCを、乾燥膜厚5μmになるようにバーコーターを用いて塗布後、400mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して硬化させ、ハードコート層を形成した。次いで、ハードコート層上に高屈折率用塗液H及び低屈折率用塗液L−1を光学膜厚がそれぞれ110〜125nmになるようにスピンコーターを用いて順に塗布、乾燥後、窒素雰囲気下に400mJ/cm2の出力で紫外線を照射して硬化させ、PETフィルムの一方の面に減反射層を形成した。
(実施例7)
透明基材12として、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔東洋紡(株)製のA4300〕を用いた。その透明基材12上に防眩層用塗液AG−1を、乾燥膜厚が6μmとなるようにバーコーターを用いて塗布後、窒素雰囲気下に250mJ/cm2の出力で紫外線を照射して硬化させ、PETフィルムの他方の面に凹凸部を有する防眩層を形成した。続いて、PETフィルムの一方の面に、軟質樹脂層形成用硬化性塗液F−1を乾燥膜厚45μm程度になるようバーコーターにより成膜した後、400mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して硬化させ、軟質樹脂層13を形成した。さらにその軟質樹脂層13上に導電性組成物EC−1を乾燥膜厚150nm程度になるようにバーコーターにより被膜を形成した後、室温で1分間、150℃で1分間乾燥し、有機導電層14を積層し、透明導電性フィルム11を作製した。その結果、実施例2と比較し、写り込み性及び指紋視認性が向上し、視認性を改善することができた。
(実施例8)
実施例7において、防眩層用塗液AG−1をAG−2に代え、導電性組成物EC−1をEC−3に代えた以外は実施例7と同様に実施して透明導電性フィルム11を作製した。その結果、実施例2と比較し、写り込み性及び指紋視認性が向上し、視認性を改善することができた。
(実施例9)
実施例7において、防眩層上に低屈折率用塗液L−1を光学膜厚がそれぞれ110〜125nmになるようにスピンコーターを用いて塗布、乾燥後、窒素雰囲気下に400mJ/cm2の出力で紫外線を照射して硬化させたこと以外は実施例7と同様に実施して透明導電性フィルム11を作製した。その結果、実施例2と比較し、全光線透過率88.9%、反射率4.3%となり、写り込み性が向上し、視認性を改善することができた。
(実施例10)
実施例7において、防眩層用塗液AG−1を軟質樹脂層形成用硬化性塗液F−1に代え乾燥膜厚が30μm程度で塗布、250mJ/cm2の出力で紫外線を照射して硬化させた以外は実施例4と同様に実施して透明導電性フィルム11を作製した。その結果、実施例2と比較し、動摩擦係数が0.24となり、筆記感が向上した。
(比較例1)
実施例2において、軟質樹脂層形成用塗液F−1をハードコート層用塗液HCに代えた以外は実施例2と同様に実施して透明導電性フィルム11を作製した。
(比較例2)
軟質樹脂層13上ではなくPETフィルムの一方の面に、直接導電性組成物EC−1を、乾燥膜厚150nm程度になるようにロールコーターにより積層した後、室温で1分間、150℃で1分間乾燥することにより、透明導電性フィルム11を作製した。
・ 前記透明基材12、ハードコート層、低屈折率層等には、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、近赤外線吸収剤等を配合することもできる。その場合、紫外線吸収効果、赤外線吸収効果、近赤外線吸収効果等を発揮させることができる。
・ 前記タッチパネル10は、例えば銀行ATM、自動販売機、携帯情報端末、複写機、ファクシミリ、カーナビゲーション等の機器に用いることができる。
○ 前記ウレタン変性(メタ)アクリレートは、ポリカプロラクトン変性又はイソシアヌレート変性されたものであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の透明導電性フィルム。このように構成した場合、請求項3又は請求項4に係る発明の効果に加えて、軟質樹脂層による復元性を高めて自己修復性を向上させることができる。
Claims (5)
- 透明基材上に、超微小硬さ試験装置により温度20℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定したときのマルテンス硬度が0.1〜70N/mm2でありかつ自己修復性を有する軟質樹脂層が設けられ、該軟質樹脂層上に導電性高分子に基づく有機導電層が積層されて構成されていることを特徴とする透明導電性フィルム。
- 前記硬化性組成物は、ウレタン変性(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であることを特徴とする請求項2に記載の透明導電性フィルム。
- 前記有機導電層を形成する有機導電性高分子がポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン又はポリキノキサリンであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
- 前面に、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の一対の透明導電性フィルムが、それらの有機導電層が対向するように配置されて構成されていることを特徴とするタッチパネル。
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