JP2009300008A - 冷凍機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータ冷却冷媒導入配管45に設けられ、モータ冷却冷媒導入配管45内を流れる冷媒流量を制御する冷却膨張弁47と、冷却膨張弁47の開度を制御する制御部とを備えている。この制御部は、電動モータ16に入力される電力に基づいて電動モータ16の発熱量を演算するとともに、この発熱量に基づいて冷却膨張弁47の開度を決定する。
【選択図】図1
Description
特にターボ冷凍機では、定格負荷の10%以下といった低負荷、或いは1%程度といった超低負荷まで運転することが可能となっており、このような低負荷にて高効率運転を実現しようとすると、電動モータの冷却に2%もの冷媒を用いるのは無視できないものとなる。
また、冷凍サイクル内の高圧と低圧との圧力差が小さくなったり、冷凍負荷が小さくなると、電動モータの熱負荷が小さくなるため、冷却冷媒が十分に蒸発せずにケーシング内に液冷媒が滞留することになる。ケーシング内の液冷媒が滞留すると、モータの攪拌損失を招き、冷凍機としての効率低下につながる。さらに、ケーシング内に液冷媒が滞留すると、電動モータ用の潤滑油を過剰に冷却してしまい、潤滑油に液冷媒が過剰に溶け込んで粘度低下を来たし、軸受損傷を招くおそれがある。
また、冷媒として疑似冷媒や非共沸冷媒といった沸点が異なる混合冷媒を用いた場合には、ケーシング内で蒸発して冷凍サイクルの低圧側へと返送されるガス冷媒の混合比が、冷凍サイクルに用いられる混合冷媒の混合比に影響を及ぼす。すなわち、電動モータのケーシング内で蒸発する冷媒の状態(圧力、温度等)が変化すると、蒸発したガス冷媒の混合比が変化し、冷凍サイクルとして用いられる設計上の混合比と異なるものとなってしまう。このように混合比が設計点から変化したガス冷媒を返送して冷凍サイクルに用いられる混合冷媒に合流させると、冷凍サイクルに用いられる混合冷媒の混合比も設計点からずれることになり、結果的に冷凍サイクル損失を招くおそれがある。
すなわち、本発明にかかる冷凍機は、冷媒を圧縮する圧縮機構と、該圧縮機構を駆動する電動モータと、前記圧縮機構によって圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器によって凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁と、該膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記電動モータを冷却する冷媒を前記凝縮器側から該電動モータへと導くモータ冷却冷媒導入配管と、前記電動モータを冷却した冷媒を前記蒸発器側へと返送するモータ冷却冷媒返送配管とを備えた冷凍機において、前記モータ冷却冷媒導入配管に設けられ、該モータ冷却冷媒導入配管内を流れる冷媒流量を制御する流量制御弁と、該流量制御弁の開度を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記電動モータに入力される電力に基づいて該電動モータの発熱量を演算するとともに、該発熱量に基づいて前記流量制御弁の開度を決定することを特徴とする。
また、電動モータの発熱量は、該電動モータに入力される電力に基づいて演算されるので、電動モータの温度変化に対するフィードフォワード制御となる。これにより、安定した温度制御が実現される。
流量制御弁の開度は、電動モータの発熱量が所定値よりも大きい場合には開方向へと制御され、電動モータの発熱量が所定値よりも小さい場合には閉方向へと制御される。
電動モータの発熱量は、電動モータに入力される電力に基づいて演算されるが、具体的には、モータに投入する電流値、電圧値、モータ効率、力率、風損等から演算される。
流量制御弁の開度は、第1温度センサの出力値が所定値よりも大きい場合には開方向へと制御され、第1温度センサの出力値が所定値よりも小さい場合には閉方向へと制御される。
なお、電動モータの代表温度とは、電動モータの温度変化を反映する部位の温度を意味し、例えば、ステータの温度、ステータのコイルエンドの温度、電動モータのケーシングの温度等が挙げられる。
流量制御弁の開度は、第2温度センサの出力値から得られた乾き度が所定値よりも大きい場合には開方向へと制御され、第2温度センサの出力値から得られた乾き度が所定値よりも小さい場合には閉方向へと制御される。
一方、起動時には、冷凍負荷が小さく電動モータの発熱量が小さいが、例えば電動モータ温度が過剰に高くなり停止した後の再起動時のように電動モータ温度が高いときは、モータ冷却冷媒の流量を増大させる制御が必要となる。そこで、本発明では、冷凍機の起動時には、第1温度または第2温度によるフィードバック制御による重み付けを、発熱量によるフィードフォワード制御による重み付けよりも大きくすることによって、高温となった電動モータを早期に冷却することとした。
図1には、本実施形態にかかるターボ冷凍機の概略構成が示されている。
ターボ冷凍機(冷凍機)1は、2段圧縮2段膨張サイクルを実現する構成となっている。このターボ冷凍機1は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機3と、ターボ圧縮機3によって圧縮された高温高圧のガス冷媒を凝縮する凝縮器5と、凝縮器5からの液冷媒を膨張させる第1膨張弁7と、第1膨張弁7とターボ圧縮機3の中間段との間でかつ凝縮器5と第2膨張弁9との間に接続された中間冷却器10と、第2膨張弁9によって膨張させられた液冷媒を蒸発させる蒸発器12とを備えている。
ターボ圧縮機3の2つの羽根車18a,18bの冷媒吸入口には、それぞれ、吸入冷媒流量を制御するインレットガイドベーン(以下「IGV」という。)19a,19bが設けられており、ターボ冷凍機1の容量制御が可能となっている。
ターボ圧縮機3及び電動モータ16は、密閉状態で収容するケーシング21内に収容されている。なお、ケーシング21は、メンテナンス等のために開閉可能となっている。このように、ターボ圧縮機3は、密閉開放可能なケーシング21内に電動モータ16と共に収容された半密閉式電動圧縮機となっている。したがって、冷媒は、ケーシング21内を流れるようになっている。ケーシング21内の圧力は、電動モータ16の近傍に設けられた圧力センサ40によって計測され、制御部へと送られるようになっている。ケーシング21の温度は、温度センサTm3によって計測され、制御部へと送られるようになっている。
ステータ25には、ステータ25のコイルエンドの温度を計測するモータ温度センサ(第1温度センサ)Tm1が設けられている。モータ温度センサTm1の出力は、制御部へと送られる。
ケーシング21の下部には、モータ冷却冷媒返送配管50が接続されている。モータ冷却冷媒返送配管50の他端は、蒸発器12に接続されている。モータ冷却冷媒返送配管50には、冷媒温度を計測するためのモータ冷媒出口温度センサ(第2温度センサ)Tm2が設けられている。モータ冷媒出口温度センサTm2の出力は、制御部へと送られる。
凝縮器5には、冷媒を冷却するための冷却伝熱管27が挿通されている。冷却水出口温度は温度センサ29より、冷却水入口温度は温度センサ30により計測されるようになっている。冷却水は、図示しない冷却塔において外部へと排熱された後に、再び凝縮器5へと導かれるようになっている。
凝縮器5の気相部と蒸発器12の気相部との間には、ホットガスバイパス管37が設けられている。そして、ホットガスバイパス管37内を流れる冷媒の流量を制御するためのホットガスバイパス弁39が設けられている。ホットガスバイパス弁39によってホットガスバイパス流量を調整することにより、IGV19a,19bでは制御が十分でない非常に小さな領域の容量制御が可能となっている。
ターボ圧縮機3は、IGV19aを介して蒸発器12からのガス冷媒を吸い込み、第1段羽根車18aにて1段圧縮を行い、さらにIGV19bを開始して1段圧縮後のガス冷媒を吸い込み、第2段羽根車18bにて2段圧縮を行う。
2段圧縮されたガス冷媒は、凝縮器5へと送られ、冷却伝熱管27によって凝縮熱を除去されることによって凝縮する。凝縮後の液冷媒は、2系統に分かれ、一方が第1膨張弁7へ、他方が中間冷却器10を介して第2膨張弁9へと流れる。
第1膨張弁7へと流れた液冷媒は、第1膨張弁7にて膨張した後、中間冷却器10にて蒸発気化し、ターボ圧縮機3の中間段すなわち2段目のIGV19bへと送られる。中間冷却器10にて冷媒が蒸発する蒸発潜熱によって、第2膨張弁9へと送られる前の液冷媒が中間冷却器10にて冷却される。冷却された液冷媒は、第2膨張弁9によって膨張させられた後、蒸発器12へと送られる。蒸発器12にて、液冷媒は、冷水伝熱管32内を流れる冷水から蒸発潜熱を奪うことによって蒸発気化する。このように冷却された冷水は、図示しない外部負荷へと送られる。蒸発器12にて気化したガス冷媒は、再びターボ圧縮機3へと送られる。
モータ冷却冷媒導入配管45を介して、高圧の液冷媒がケーシング21内へと送られる。この際に、冷却膨張弁47によってケーシング21へと送られる液冷媒の流量が制御されるとともに、液冷媒の膨張が行われる。ケーシング内21へと流れ込んだ液冷媒は、ケーシング21内で蒸発することによって電動モータ16の熱を奪い、電動モータ16の冷却を行う。電動モータ16の冷却を終えたガス冷媒は、モータ冷却冷媒返送配管50を介して、低圧とされている蒸発器12へと返送される。
モータ発熱量Qmは、制御部にて、下式に従い演算される。
Qm=Qm1+W ・・・・・・・(1)
ここで、
Qm1=31/2・V・I・η1(I)・(1−η2(I))であり、
W(風損)=k1・N2〜3である。
Vはインバータ14から電動モータ16に供給される電圧値、Iはインバータ14から電動モータ16に供給される電流値である。電圧値V及び電流値Iは、制御部によって、制御周期に対応する各時刻において常時把握されている。η1(I)は、力率であり、電流値Iの関数として予め制御部のメモリに格納されている。η2(I)は、モータ効率であり、電流値Iの関数として予め制御部のメモリに格納されている。
Nは電動モータ16のロータ23の回転数である。k1は、使用される電動モータ16によって固有に決定される係数であり、予め制御部のメモリに格納されている。なお、風損Wは、モータ回転数Nの2〜3乗の範囲の関係で表すことができ、モータ毎に予め評価されて決定された値が用いられる。
制御部は、上式(1)によって演算された発熱量に見合う冷媒量がケーシング21へと供給されるように、冷却膨張弁47の開度を決定する。すなわち、発熱量が上限値よりも大きい場合には開度を増大する方向に制御し、発熱量が下限値よりも低い場合は開度を減じる方向に制御する。このように、電動モータ16の温度変化に対してフィードフォワード制御を行う。
モータ冷媒出口温度センサTm2から得られるガス冷媒温度を得て、さらに、ケーシング21の圧力センサ40から得られるケーシング21内の飽和温度との差分を得ることから、ケーシング内の過熱度を演算する。そして、この過熱度が一定範囲に収まるように冷却膨張弁47の開度制御を行う。これにより、液冷媒を攪拌することによって生じる攪拌損失を回避することができ、電動モータ16の冷却を損失なく適正に行うことができる。
冷却膨張弁47の開度は、モータ冷媒出口温度センサTm2の出力値から得られた乾き度が上限値よりも大きい場合には増大方向へと制御され、モータ冷媒出口温度センサTm2の出力値から得られた乾き度が下限値よりも小さい場合には減少方向へと制御される。
冷却膨張弁47の開度は、式(1)に従いモータ発熱量を得る冷却熱量演算の結果に基づいて演算され(S2)、フィードフォワード制御される。
モータ冷却冷媒導入配管45を介して電動モータ16へと供給される冷媒の流量を冷却膨張弁47によって制御することとし、この冷却膨張弁47の開度を、電動モータ16の発熱量に基づいて決定することとしたので、電動モータ16を冷却するのに必要とされる冷媒量を過不足なく電動モータ16に供給することができる。したがって、ターボ冷凍機1の負荷が低い場合(例えば定格の10%以下)であっても過剰な冷媒が電動モータ16に流れることがないので、冷凍サイクル損失を来すことがない。
冷媒として疑似冷媒や非共沸冷媒といった各冷媒の沸点が異なる混合冷媒を用いた場合には、電動モータに流れる冷媒量が過剰または過小となることを回避することで、冷凍サイクルに用いられる冷媒の混合比率に影響を与えることがないので、安定した効率の良い冷凍サイクルを実現することができる。
また、電動モータ16の発熱量は、電動モータ16に入力される電力に基づいて演算されるので、電動モータ16の温度変化に対するフィードフォワード制御となる。これにより、安定した温度制御が実現される。
また、電動モータ16の代表温度としてステータ25のコイルエンドの温度(モータ温度センサTm1によって計測された温度)を用いることとしたが、電動モータ16の温度変化を反映する部位の温度であればこれに限定されるものではなく、例えば、ケーシング21に設けた温度センサTm3を用いても良く、あるいは、ステータ25の温度を用いても良い。
また、モータ温度センサTm1がセンサエラーとなったときに限って、モータ冷媒出口温度センサTm2によるフィードバック制御を行うこととしたが、モータ冷媒出口温度センサTm2によるフィードバック制御を並列して使用しても良い。この場合には、モータ温度センサTm1によるフィードバック制御との干渉を回避するように、ターボ冷凍機1の運転状態に応じて適宜重み付けを設定する。
3 ターボ圧縮機
5 凝縮器
7 第1膨張弁(膨張弁)
9 第2膨張弁(膨張弁)
10 中間冷却器
12 蒸発器
14 インバータ
16 電動モータ
21 ケーシング
23 ロータ
25 ステータ
45 モータ冷却冷媒導入配管
47 冷却膨張弁(流量制御弁)
50 モータ冷却冷媒返送配管
Tm1 モータ温度センサ(第1温度センサ)
Tm2 モータ冷媒出口温度センサ(第2温度センサ)
Tm3 温度センサ
Claims (5)
- 冷媒を圧縮する圧縮機構と、
該圧縮機構を駆動する電動モータと、
前記圧縮機構によって圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、
該凝縮器によって凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁と、
該膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、
前記電動モータを冷却する冷媒を前記凝縮器側から該電動モータへと導くモータ冷却冷媒導入配管と、
前記電動モータを冷却した冷媒を前記蒸発器側へと返送するモータ冷却冷媒返送配管と、
を備えた冷凍機において、
前記モータ冷却冷媒導入配管に設けられ、該モータ冷却冷媒導入配管内を流れる冷媒流量を制御する流量制御弁と、
該流量制御弁の開度を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記電動モータに入力される電力に基づいて該電動モータの発熱量を演算するとともに、該発熱量に基づいて前記流量制御弁の開度を決定することを特徴とする冷凍機。 - 前記電動モータの代表温度を計測する第1温度センサを備え、
前記制御部は、前記第1温度センサの出力値に基づいて、前記流量制御弁の開度を制御することを特徴とする請求項1に記載の冷凍機。 - 前記モータ冷却冷媒返送配管には、第2温度センサが設けられ、
前記制御部は、前記第2温度センサの出力値に基づいて、前記流量制御弁の開度を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍機。 - 前記制御部は、冷凍機の起動時には、前記流量制御弁の開度に対する重み付けを、前記発熱量に基づく制御よりも前記第1温度または前記第2温度に基づく制御の方を大きくし、
前記起動時から所定時間経過後には、前記流量制御弁の開度に対する重み付けを、前記第1温度または前記第2温度に基づく制御よりも前記発熱量に基づく制御の方を大きくすることを特徴とする請求項2又は3に記載の冷凍機。 - 前記電動モータは、回転数可変とされたインバータ駆動とされ、
前記圧縮機構は、ターボ圧縮機とされていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の冷凍機。
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