JP6454564B2 - ターボ冷凍機 - Google Patents
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Description
ブライン用ターボ冷凍機やヒートポンプ用ターボ冷凍機のヘッドは、通常、冷房用ターボ冷凍機のヘッドに比べて大きい。本発明においては、ブライン用ターボ冷凍機やヒートポンプ用ターボ冷凍機のヘッドを高ヘッドと定義し、ブライン用ターボ冷凍機やヒートポンプ用ターボ冷凍機を高ヘッド仕様ターボ冷凍機とする。また、本発明において負荷とは、ブライン用ターボ冷凍機の場合は冷凍負荷を云い、ヒートポンプ用ターボ冷凍機の場合は暖房負荷を云う。
具体的には、IGV開度と圧縮機のヘッドとの関係を示す図2において、デルタ領域、いわゆる高ヘッド仕様ターボ冷凍機において低ヘッドかつ低負荷運転状態の領域が運転不可能になることである。
ここで云う低ヘッド運転状態とは、具体的にはヘッドが定格温度条件時よりも小さい状態で運転を行っている状況であり、例えば、ブライン用ターボ冷凍機の運転において、中間期などで設備側の負荷が少なく、ブライン出口温度が定格よりも高い場合または気温等の周囲環境温度が低い為に冷却水出口温度が定格よりも低い場合に生じる状況である。
同様に、ヒートポンプ用ターボ冷凍機においても、設備側の負荷状況により温水出口温度を定格よりも下げた場合や定格よりも高温の熱源水を用いて運転される場合はヘッドが小さい状態となる。
本発明によれば、IGV下限開度制御により、ヘッドが高い運転状況でサージングを回避するため、異常振動や騒音によるエラー発生を防止し、ヘッドが下がった後は、自動的に冷凍機容量を低負荷まで絞ることが可能になる高ヘッド仕様ターボ冷凍機を提供することができる。
また、本発明によれば、複数の冷凍機が運転している状況などで設備側の冷水と冷却水または温水の温度差が大きく、冷凍機が起動した直後からヘッドが高いような状況においてもサージングを起こすこと無く、また冷水温度または温水温度を安定した状態で冷凍機の運転を継続できる。
本発明の他の態様は、被冷却流体から熱を奪って冷媒が蒸発し冷凍効果を発揮する蒸発器と、多段羽根車と該多段羽根車への冷媒ガスの吸込流量を調整する開度可変のベーンとを有し冷媒ガスを多段の羽根車によって圧縮する多段ターボ圧縮機と、圧縮された冷媒ガスを冷却流体で冷却して凝縮させる凝縮器と、凝縮した冷媒液の一部を蒸発させて蒸発した冷媒ガスを前記多段ターボ圧縮機の多段圧縮段の中間部分に供給するエコノマイザとを備えたターボ冷凍機において、前記凝縮器と前記蒸発器の圧力差を測定する測定手段と、前記エコノマイザと前記多段ターボ圧縮機の多段圧縮段の中間部分とを連通する流路に設けられ、前記流路を開閉するエコノマイザ蒸気弁と、前記多段ターボ圧縮機への吸込流量を調整する前記ベーンの開度を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、予め設定された凝縮器と蒸発器の圧力差と前記ベーンの下限開度との関係に基づいて、前記測定手段によって測定された圧力差から前記ベーンの下限開度を可変制御し、前記制御装置は、蓄熱槽を備えたターボ冷凍機を起動する際に、起動直後から、前記測定手段によって測定された圧力差から求めた前記ベーンの下限開度まで該ベーンを開くように制御することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記凝縮器と蒸発器の圧力差と前記ベーンの下限開度との関係は、前記制御装置にテーブルとして予め設定されていて、前記テーブルは、高ヘッド仕様ターボ冷凍機サージング境界線上のうち部分負荷のある運転状態の点をA点とし冷房用ターボ冷凍機のIGV(インレットガイドベーン)の下限開度の5度近傍を通過する点をB点とした場合の線分ABであることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記測定手段は、前記凝縮器の圧力に平衡な凝縮器内冷媒温度を計測する温度計と前記蒸発器の圧力に平衡な蒸発器内冷媒温度を計測する温度計とからなることを特徴とする。
本発明によれば、エコノマイザ蒸気弁開閉制御によって、低負荷高ヘッド状況時にエコノマイザ蒸気弁を閉じることで2段圧縮エコノマイザサイクルから単段圧縮サイクルに切り替わるため、圧縮機の吸込み風量は同じでも蒸発器エンタルピ差が小さくなることにより、能力が低下し、容量を絞ることが可能になる。
本発明によれば、サージング発生回避機能により、設備側負荷の急激な減少時にIGV下限開度制御が追い付かず、サージング領域に近づき過ぎた場合においても、サージングを初期段階で検知して回避するため、サージングによるエラー発生を防止できる。
(1)IGV下限開度制御
通常、冷房用ターボ冷凍機は、ほとんどの運転状態で、サージング境界線に近づくことはないので、IGV(インレットガイドベーン)の下限開度は5度程度である。しかしながら、ブライン用ターボ冷凍機やヒートポンプ用ターボ冷凍機の高ヘッド仕様のターボ冷凍機は、50%負荷以下では、サージング境界線近くでの運転状態である。従って、IGV(インレットガイドベーン)の下限開度を上げざるをえなく、IGVの下限開度を20度程度にすることが一般的である。
1)高ヘッド仕様(ブライン用ターボ冷凍機やヒートポンプ用ターボ冷凍機)のターボ圧縮機のヘッドとIGV(インレットガイドベーン)の開度とサージング境界線の関係がわかるテーブル(理論計算または実機試験により描くことができる)を持っている。
図2は、IGV開度と圧縮機のヘッドとの関係を示すグラフである。図2において、横軸はIGV開度(deg)を示し、縦軸は圧縮機のヘッドを示す。図2には、ターボ圧縮機におけるサージング境界線が実線で図示されている。ターボ圧縮機は、サージング境界線を境として、サージング境界線より左側および上側の運転継続は不可能となる。
2)図2において、高ヘッド仕様ターボ冷凍機のサージング境界線上のうち、部分負荷のある運転状態の点を点Aとし、通常冷房用ターボ冷凍機のIGV(インレットガイドベーン)の下限開度の5度近傍を通過する点を点Bとする。ここで、点Aと点Bとをつなぐことにより、太い実線で示す線分ABができ、IGV下限開度線ができる。この線分ABで示すIGV下限開度線の線上に沿ってIGV下限開度を制御することによって、サージング境界線から逃げることができるとともに、図2にあるデルタ領域いわゆる高ヘッド仕様ターボ冷凍機において低ヘッドかつ低冷凍運転状態の領域で、安定した運転状態を維持することが可能になる。
勿論、IGV下限開度線は、サージング境界線に沿って3点以上の線分又は関数を用いた曲線でもよい。
ただし、高ヘッド仕様ターボ冷凍機において低ヘッドかつ低負荷運転領域でのサージング境界線は不安定なことが多く図2において左右に多少ずれることがあるので、線分ABのテーブルを用いることにより、簡易的に2点間直線近似を行いIGV下限開度をサージング境界線から少し乖離させることができ、低ヘッドかつ低負荷運転領域でより好ましい安定した運転状態を維持することが可能になる。
制御装置20は、圧力センサPeの測定信号と圧力センサPcの測定信号とから蒸発器と凝縮器の圧力差、すなわちターボ圧縮機のヘッドを演算し、この演算したヘッドから、図3に示すIGV下限開度線に基づいてIGV下限開度を設定する。そして、制御装置20は、IGV開度が設定したIGV下限開度以下にはならないように制御する。本実施形態によれば、ヘッドが低下した場合、IGV下限開度線に従い、IGVは低開度まで閉じるため、容量制御範囲が広くなる。
なお、圧力センサPeおよび圧力センサPcに代えて、凝縮器の圧力に平衡な凝縮器内冷媒温度を計測する温度計と蒸発器の圧力に平衡な蒸発器内冷媒温度を計測する温度計を設け、これら温度計の測定信号から蒸発器と凝縮器の圧力差、すなわちターボ圧縮機のヘッドを演算してもよい。
制御装置20は、設備側負荷の低下に応じてIGVを(1)において設定されたIGV下限開度まで閉じるが、IGV下限開度まで閉じた後も、冷凍機容量が設備側負荷容量よりも高い場合は、エコノマイザ蒸気弁7を閉じる。
エコノマイザ蒸気弁7を閉じると、エコノマイザ6による冷凍効果が失われるので、IGVを閉じずに冷媒の多段ターボ圧縮機TCへの吸込流量を減ずることなく、冷凍機容量を低下させることが可能となり、低負荷運転時での著しい効率低下を防ぐことができる。設備側負荷容量が増加してきた場合は、逆に、エコノマイザ蒸気弁7を開く。
暖房およびブライン仕様による高ヘッド運転中、サージング発生領域に近づき過ぎると、初期サージングが発生する場合がある。
本発明においては、サージング初期の状態を検知し、エコノマイザ蒸気弁7を閉じることにより、サージングを回避する。サージング初期の状態の検知は、ターボ圧縮機を駆動する圧縮機モータ3の電流値を制御装置20により監視し、主電動機の定格電流値を1とした場合、電流振幅比が1.2倍以上になったら、サージング初期の状態と判断する。ここで云う、電流振幅比とは、運転中の電流値の振幅に対し、基準となる電流値で除した値を云い、ここでは基準電流値を一定期間の平均値としたり、電動機の定格電流値等を用いる。
上述したように、サージング初期の状態を検知してエコノマイザ蒸気弁7を閉じることにより、多段サーボ圧縮機TCの二段目羽根車2の風量が減少してヘッドが増加することにより、一段目羽根車1のヘッドを下げて一時的にサージング発生を回避する。
図4に示すように、ターボ冷凍機からなるヒートポンプ機を複数台設置した場合において、設備側の付加が増加し、先発機TR1が高負荷で運転中に後発機TR2が運転開始した場合、後発機TR2は起動時から高温の温水がヒートポンプ機に入ってくるため、はじめから高ヘッド運転状況になる。そのため、本発明においては、後発機TR2を起動する際に、サージングを回避するため、起動直後からIGVを圧縮ヘッド状況に応じた開度まで開く。この時の開度は、前記IGV下限開度制御機能により、蒸発器5と凝縮器4の圧力差から得られた値を用いる。
図5に示すように構成された低温ブライン仕様機としてのターボ冷凍機TRが起動して蓄熱槽40より低温ブラインが入ってきた場合、ターボ冷凍機TRは起動直後から高ヘッド運転状況になる。そのため、本発明においては、ターボ冷凍機TRを起動する際に、サージングを回避するため、起動直後からIGVを圧縮ヘッド状況に応じた開度まで開く。この時の開度は、前記IGV下限開度制御機能により、蒸発器5と凝縮器4の圧力差から得られた値を用いる。
2 二段目羽根車
3 圧縮機モータ
4 凝縮器
5 蒸発器
6 エコノマイザ
7 エコノマイザ蒸気弁
8 膨張機構
9,10,11 流路
14 インバータ
15 IGV(インレットガイドベーン)
20 制御装置
30 入口側集合ヘッダー
31 出口側集合ヘッダー
40 蓄熱槽
TC 多段ターボ圧縮機
Pc,Pe 圧力センサ
Claims (8)
- 被冷却流体から熱を奪って冷媒が蒸発し冷凍効果を発揮する蒸発器と、多段羽根車と該多段羽根車への冷媒ガスの吸込流量を調整する開度可変のベーンとを有し冷媒ガスを多段の羽根車によって圧縮する多段ターボ圧縮機と、圧縮された冷媒ガスを冷却流体で冷却して凝縮させる凝縮器と、凝縮した冷媒液の一部を蒸発させて蒸発した冷媒ガスを前記多段ターボ圧縮機の多段圧縮段の中間部分に供給するエコノマイザとを備えたターボ冷凍機において、
前記凝縮器と前記蒸発器の圧力差を測定する測定手段と、
前記エコノマイザと前記多段ターボ圧縮機の多段圧縮段の中間部分とを連通する流路に設けられ、前記流路を開閉するエコノマイザ蒸気弁と、
前記多段ターボ圧縮機への吸込流量を調整する前記ベーンの開度を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、予め設定された凝縮器と蒸発器の圧力差と前記ベーンの下限開度との関係に基づいて、前記測定手段によって測定された圧力差から前記ベーンの下限開度を可変制御し、
前記制御装置は、複数のターボ冷凍機を並列運転制御する際に、先発機が運転されている状態で後発機を起動し、後発機の起動直後から、前記測定手段によって測定された圧力差から求めた前記ベーンの下限開度まで該ベーンを開くように制御することを特徴とするターボ冷凍機。 - 被冷却流体から熱を奪って冷媒が蒸発し冷凍効果を発揮する蒸発器と、多段羽根車と該多段羽根車への冷媒ガスの吸込流量を調整する開度可変のベーンとを有し冷媒ガスを多段の羽根車によって圧縮する多段ターボ圧縮機と、圧縮された冷媒ガスを冷却流体で冷却して凝縮させる凝縮器と、凝縮した冷媒液の一部を蒸発させて蒸発した冷媒ガスを前記多段ターボ圧縮機の多段圧縮段の中間部分に供給するエコノマイザとを備えたターボ冷凍機において、
前記凝縮器と前記蒸発器の圧力差を測定する測定手段と、
前記エコノマイザと前記多段ターボ圧縮機の多段圧縮段の中間部分とを連通する流路に設けられ、前記流路を開閉するエコノマイザ蒸気弁と、
前記多段ターボ圧縮機への吸込流量を調整する前記ベーンの開度を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、予め設定された凝縮器と蒸発器の圧力差と前記ベーンの下限開度との関係に基づいて、前記測定手段によって測定された圧力差から前記ベーンの下限開度を可変制御し、
前記制御装置は、蓄熱槽を備えたターボ冷凍機を起動する際に、起動直後から、前記測定手段によって測定された圧力差から求めた前記ベーンの下限開度まで該ベーンを開くように制御することを特徴とするターボ冷凍機。 - 前記凝縮器と蒸発器の圧力差と前記ベーンの下限開度との関係は、前記制御装置にテーブルとして予め設定されていることを特徴とする請求項1または2記載のターボ冷凍機。
- 前記凝縮器と蒸発器の圧力差と前記ベーンの下限開度との関係は、前記制御装置にテーブルとして予め設定されていて、前記テーブルは、高ヘッド仕様ターボ冷凍機サージング境界線上のうち部分負荷のある運転状態の点をA点とし冷房用ターボ冷凍機のIGV(インレットガイドベーン)の下限開度の5度近傍を通過する点をB点とした場合の線分ABであることを特徴とする請求項1または2記載のターボ冷凍機。
- 前記測定手段は、前記凝縮器に設置された圧力センサと前記蒸発器に設置された圧力センサとからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のターボ冷凍機。
- 前記測定手段は、前記凝縮器の圧力に平衡な凝縮器内冷媒温度を計測する温度計と前記蒸発器の圧力に平衡な蒸発器内冷媒温度を計測する温度計とからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のターボ冷凍機。
- 前記制御装置は、前記ベーンを下限開度まで閉じた後も冷凍機容量が設備側負荷容量より高いときに前記エコノマイザ蒸気弁を閉じる制御を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のターボ冷凍機。
- 前記制御装置は、前記多段ターボ圧縮機の電動機の電流値を監視して電流振幅比を求め、該電流振幅比が所定値になったときに前記エコノマイザ蒸気弁を閉じる制御を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のターボ冷凍機。
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