JP2007212040A - ターボ冷凍機およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 サージングを回避する際に用いるホットガスバイパスの使用期間を可及的に限定することにより、効率向上を実現したターボ冷凍機を提供する。
【解決手段】 ターボ圧縮機の吸込冷媒流量の低下に伴いターボ圧縮機のサージングが発生するおそれのあるサージコントロールラインL2よりも低い吸込冷媒流量以下では入口ベーンの開度を最小値として固定するとともに、ホットガスバイパス弁を開き、入口ベーンの開度の最小値を、ターボ圧縮機の圧縮比に基づいて変化させることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ターボ冷凍機およびその制御方法に関するものである。
一般に、地域冷暖房やプロセス冷却などに用いられる冷凍機として、ターボ冷凍機が知られている。このターボ冷凍機は、冷媒を圧縮するためのターボ圧縮機を備えており、このターボ圧縮機は空力回転機械なので、吸込冷媒流量の低下に伴いサージングが発生する。このサージングを防止する方法として、以下の特許文献1が知られている。
特開平8−28975号公報
特許文献1には、サージングを回避するためホットガスバイパスを使用する際に、冷却水の温度に応じてホットガスバイパスの流量変化を異ならせることにより、ホットガスバイパスの流量を最小化して、ターボ冷凍機の効率低下を防ぐ技術が開示されている。
しかし、同特許文献1の図2を参照すれば明らかなように、ホットガスバイパス弁を開く際の吸込ベーンの開度(同図の点Bに相当)が一定とされているため、どのような冷却水温度であってもホットガスをバイパスし始める吸込ベーン開度が一定とされる。ホットガスバイパスは冷凍に寄与しないホットガスをターボ圧縮機の吸込側にバイパスするものなので、ターボ冷凍機の効率向上の観点からは、ホットガスバイパスの使用期間は可能な限り限定した方が好ましい。したがって、同特許文献に記載された技術にはさらに改善の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、サージングを回避する際に用いるホットガスバイパスの使用期間を可及的に限定することにより、効率向上を実現するターボ冷凍機およびその制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のターボ冷凍機およびその制御方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるターボ冷凍機の制御装置は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機へ流入する該冷媒の流量を調整する吸込冷媒流量調整手段の開度と、前記ターボ圧縮機の吐出側と吸込側とをバイパスする前記冷媒の流量を調整するホットガスバイパス調整手段の開度を制御するターボ冷凍機の制御装置であって、前記ターボ圧縮機の吸込冷媒流量の低下に伴い該ターボ圧縮機のサージングが発生するおそれのあるサージング領域よりも低い吸込冷媒流量以下では、前記吸込冷媒流量調整手段の開度を最小値として固定するとともに、前記ホットガスバイパス調整手段を開き、前記吸込冷媒流量調整手段の前記最小値を、前記ターボ圧縮機の吐出圧力または圧縮比に基づいて連続的に変化させることを特徴とする。
ターボ冷凍機の負荷の低下に伴い、制御装置の指令により吸込冷媒流量調整手段の開度が絞られ、ターボ圧縮機の吸込冷媒流量が減少させられる。吸込冷媒流量が減少すると、回転空力機械であるターボ圧縮機ではサージングが発生する。このサージングを防ぐために、サージングが発生するおそれのある吸込冷媒流量調整手段の開度の最小値を設定しておき、この最小値に到達すると、ホットガスバイパス調整手段を開き、ホットガス(吐出ガス)をターボ圧縮機の吸込側にバイパスさせて、サージングを引き起こさない程度の吸込冷媒流量を確保する。このホットガスバイパスは、冷凍に寄与しないので、ターボ冷凍機の効率を低下させる。したがって、ホットガスバイパスの使用期間は可能な限り限定した方が好ましい。
本態様にかかる発明では、吸込冷媒流量調整手段の最小値を、ターボ圧縮機の吐出圧力または圧縮比に基づいて変化させることとした。これにより、ホットガスバイパス調整手段の使用期間を限定的にすることができる。
具体的には、吐出圧力または圧縮比が小さいほど、サージングが発生する吸込流量が小さくなる傾向にあるので、吸込冷媒流量調整手段の最小値は、吐出圧力または圧縮比に比例して設定される。例えば、吐出圧力または圧縮比が小さいほど最小値は小さく設定される。これにより、吐出圧力または圧縮比が比較的小さい場合は、吐出圧力または圧縮比が大きい場合に比べて、吸込冷媒流量調整手段の最小値が小さく設定され、吐出圧力または圧縮比が小さい方が、大きい方よりもホットガスが流されるタイミングが遅れることになるので、ホットガスバイパスの使用期間を短くすることができる。
また、上記ターボ冷凍機の制御装置を備えたターボ冷凍機によれば、ホットガスバイパスの使用期間を限定できるので、比較的効率の高い冷凍機を実現することができる。
また、本発明のターボ冷凍機の制御方法は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機へ流入する該冷媒の流量を調整する吸込冷媒流量調整手段の開度と、前記ターボ圧縮機の吐出側と吸込側とをバイパスする前記冷媒の流量を調整するホットガスバイパス調整手段の開度と、を制御するターボ冷凍機の制御方法であって、前記ターボ圧縮機の吸込冷媒流量の低下に伴い該ターボ圧縮機のサージングが発生するおそれのあるサージング領域よりも低い吸込冷媒流量以下では、前記吸込冷媒流量調整手段の開度を最小値として固定するとともに、前記ホットガスバイパス調整手段の開度を開き、前記吸込冷媒流量調整手段の前記最小値を、前記ターボ圧縮機の吐出圧力または圧縮比に基づいて連続的に変化させることを特徴とする。
ターボ冷凍機の負荷の低下に伴い、制御装置の指令により吸込冷媒流量調整手段の開度が絞られ、ターボ圧縮機の吸込冷媒流量が減少させられる。吸込冷媒流量が減少すると、回転空力機械であるターボ圧縮機ではサージングが発生する。このサージングを防ぐために、サージングが発生するおそれのある吸込冷媒流量調整手段の開度の最小値を設定しておき、この最小値に到達すると、ホットガスバイパス調整手段を開き、ホットガスをターボ圧縮機の吸込側にバイパスさせて、サージングを引き起こさない程度の吸込冷媒流量を確保する。このホットガスバイパスは、冷凍に寄与しないので、ターボ冷凍機の効率を低下させる。したがって、ホットガスバイパスの使用期間は可能な限り限定した方が好ましい。
本態様にかかる発明では、吸込冷媒流量調整手段の最小値を、ターボ圧縮機の吐出圧力または圧縮比に基づいて連続的に変化させることとした。これにより、ホットガスバイパス調整手段の使用期間を限定的にすることができる。
具体的には、吐出圧力または圧縮比が小さいほど、サージングが発生する吸込流量が小さくなる傾向にあるので、吸込冷媒流量調整手段の最小値は、吐出圧力または圧縮比に比例して設定される。例えば、吐出圧力または圧縮比が小さいほど最小値は小さく設定される。これにより、吐出圧力または圧縮比が比較的小さい場合は、吐出圧力または圧縮比が大きい場合に比べて、吸込冷媒流量調整手段の最小値が小さく設定され、吐出圧力または圧縮比が小さい方が、大きい方よりもホットガスが流されるタイミングが遅れることになるので、ホットガスバイパスの使用期間を短くすることができる。
圧縮機の吐出圧力または圧縮比に応じて、吸込冷媒流量調整手段の開度の最小値を変化させることとしたので、ホットガスバイパスを開始するタイミングを遅らせて、その使用期間を可及的に限定することができる。これにより、ターボ冷凍機の効率向上を実現することができる。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、ターボ圧縮機を用いたターボ冷凍機1の概略構成図が示されている。同図に示されたターボ冷凍機1は、3段圧縮3段膨張のサイクルを構成している。
ターボ冷凍機1は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機3と、外気である空気と冷媒が熱交換する凝縮器5と、冷水(熱媒)が流れる冷水管11が接続された蒸発器6と、凝縮器5と蒸発器6との間に設けられたエコノマイザ7とを備えている。
凝縮器5とエコノマイザ7との間には、凝縮器5から流出した冷媒の液分を貯留するレシーバ13が設けられている。
エコノマイザ7は、仕切壁7aによって2部屋に分割されており、各部屋は冷媒配管7bによって接続されている。この冷媒配管7bには、液冷媒を絞る第3膨張弁7cが設けられている。
エコノマイザ7とレシーバ13との間の冷媒配管には第1膨張弁9が、エコノマイザ7と蒸発器6との間の冷媒配管には第2膨張弁10が、それぞれ設けられている。
ターボ圧縮機3は、高い圧力比が得られる遠心圧縮機となっている。ターボ圧縮機3は、軸線周りに回転する羽根車を備えている。ターボ圧縮機3の吸込側の配管には、吸込冷媒圧力P0を計測する吸込圧力センサ3aが設けられており、ターボ圧縮機3の吐出側の配管には、吐出冷媒圧力P1を計測する吐出圧力センサ3bが設けられている。各圧力センサ3a,3bの出力は、制御部(ターボ冷凍機の制御装置)16へと伝送される。制御部16では、これらの圧力値に基づいて、圧縮比(=P1/P0)が演算される。
羽根車の冷媒流れ上流側には、流入する冷媒の流量を調節する入口ベーン(吸込冷媒量調整手段,IGV)15が設けられている。この入口ベーン15は、制御部16によって制御される入口ベーン駆動部15aによって開度が変更されるようになっており、これにより流入する冷媒流量が調節される。
凝縮器5は、例えば、チューブにフィンが取り付けられたフィン・アンド・チューブ式の熱交換器とされており、チューブ内を冷媒が流通するようになっている。そして、凝縮器5の上方には、ファンが設けられており、このファンによってチューブ及びフィン周りを流れる空気の流れを促進し、熱交換を向上させるようになっている。
蒸発器6は、例えば、シェル・アンド・チューブ式の熱交換器とされている。蒸発器6には、冷水管11が接続されており、この冷水管11内を流れる水とシェル内の冷媒とが熱交換を行う。冷水管11は、室内機等の外部負荷と接続されている。冷水管11の下流側には熱交換後の流出水温度T1を計測する流出水温度センサ17が設けられている。流出水温度センサ17の出力は、制御部16へと伝送される。
エコノマイザ7は、凝縮器5と蒸発器6との間に設けられ、内部に凝縮した液冷媒が貯留される容器となっている。
エコノマイザ7には、ターボ圧縮機3の中間段との間に、2つの中間圧冷媒配管7d,7eが接続されている。中間圧冷媒配管7d,7eの下端(冷媒流れの上流端)は、エコノマイザ7内の各部屋の上方空間に位置しており、エコノマイザ7内のガス冷媒を吸い込むようになっている。各中間圧冷媒配管7d,7eには、ターボ圧縮機停止時に流れるガス冷媒の流量を遮断するためのバルブ7f,7gが設けられている。
エコノマイザ7では、凝縮器5からの高圧液冷媒が蒸発するようになっており、この蒸発潜熱によって中間圧冷媒配管7d,7eを介してターボ圧縮機3の各中間段へと導かれるガス冷媒が冷却される。そして、このように冷却されて飽和温度付近とされたガス冷媒は、ターボ圧縮機3において低圧から中間段まで圧縮されたガス冷媒と混合され、中間段から圧縮されるガス冷媒を冷却している。
第1膨張弁9は、凝縮器5とエコノマイザ7との間に設けられており、液冷媒を絞ることによって等エンタルピー膨張させるものである。
第2膨張弁10は、蒸発器6とエコノマイザ7との間に設けられており、液冷媒を絞ることによって等エンタルピー膨張させるものである
ターボ圧縮機3の吐出側と蒸発器6との間には、ホットガスバイパス管14aが設けられている。ホットガスバイパス管14aには、冷媒流量を調整するためのホットガスバイパス弁(ホットガスバイパス調整手段)14が設けられている。このホットガスバイパス弁14によって流量が調整された高温高圧の吐出冷媒が、蒸発器6へと導かれ、ターボ圧縮機3の吸込側へとバイパスされるようになっている。ホットガスバイパス弁14の開度は、制御部16によって調整される。
制御部16は、ターボ冷凍機1の制御盤内の制御基板に設けられており、CPUおよびメモリを備えている。制御部では、吸込冷媒圧力、冷水出口温度に基づき、入口ベーン15の開度の制御量が算出され、入口ベーン15を制御するようになっている。
次に、上記構成のターボ冷凍機1の動作について説明する。
ターボ圧縮機3は、図示しない電動機によって駆動され、所定周波数で回転させられる。入口ベーン15は、制御部16により、設定温度(例えば、流出水温度7℃)を達成するようにその開度が調整されている。ターボ圧縮機3によって吸い込まれるガス冷媒の圧力P0は、吸込圧力センサ3aによって検出され、制御部16へと伝送される。
蒸発器6から吸い込まれた低圧ガス冷媒は、ターボ圧縮機3によって圧縮され、第1中間圧まで圧縮される。第1中間圧まで圧縮されたガス冷媒は、第1中間圧冷媒配管7dから流入する中間圧ガス冷媒によって冷却される。中間圧ガス冷媒によって冷却された第1中間圧のガス冷媒は、ターボ圧縮機3によって更に圧縮され、第2中間圧まで圧縮される。第2中間圧まで圧縮されたガス冷媒は、第2中間圧冷媒配管7eから流入する中間圧ガス冷媒によって冷却される。第2中間圧冷媒配管7eからの中間圧ガス冷媒によって冷却されたガス冷媒は、ターボ圧縮機3によって更に圧縮され高圧ガス冷媒となる。
ターボ圧縮機3から吐出された高圧ガス冷媒は、凝縮器5へと導かれる、このときの高圧ガスの圧力P1は、吐出圧力センサ3bによって検出され、制御部16へと伝送される。
凝縮器5において、高温高圧のガス冷媒は略等圧的に凝縮し、高圧低温の液冷媒となる。
凝縮器5において高圧低温とされた液冷媒は、レシーバ13へと導かれた後、第1膨張弁9へと導かれ、この第1膨張弁9によって等エンタルピー的に中間圧まで膨張させられる。中間圧まで膨張させられた冷媒は、エコノマイザ7へと導かれる。エコノマイザ7において、一部の冷媒は蒸発し、中間圧冷媒配管7d,7eを介してターボ圧縮機3の中間段へと導かれる。エコノマイザ7において蒸発せずに凝縮したままの液冷媒は、エコノマイザ7内に貯留される。エコノマイザ7内に貯留された中間圧の液冷媒は、第2膨張弁10へと導かれる。中間圧の液冷媒は、第2膨張弁10によって等エンタルピー的に低圧まで膨張させられる。
低圧まで膨張させられた冷媒は、蒸発器6において蒸発する。この蒸発熱によって冷水管11内の冷水が冷却される。冷却された冷水の温度は、流出水温度センサ17によって検出され、制御部16へと伝送される。
蒸発器6において蒸発した低圧ガス冷媒は、ターボ圧縮機3の吸込側へと導かれ、再び圧縮される。
ターボ圧縮機3から吐出された高温高圧のガス冷媒は、その一部がホットガスバイパス管14aを通りホットガスバイパス弁14で冷媒流量が調整された後、蒸発器6へと導かれるようになっている。これにより、ターボ圧縮機3の吸込流量が少ない低風量におけるターボ圧縮機3のサージングを回避するようになっている。
ターボ圧縮機3の冷媒吸込流量が少ない低風量時における運転は、以下のように行われる。
図2には、ターボ圧縮機3の吸込流量に対するターボ圧縮機3の圧縮比(=P1/P0)が示されている。
同図に示すように、ターボ圧縮機3がサージングを起こすサージラインL1は、圧縮比が低くなるほど、吸込流量は小さい値を示す。また、入口ベーン(IGV)15の開度が小さいほど、サージラインL1との交点は低い吸込流量側へと移動する。すなわち、入口ベーン15の開度を小さくすることにより、低風量側でのサージングを回避できる。
ターボ圧縮機3の制御としては、サージラインL1から約10%程度のマージンを取ったサージコントロールライン(サージング領域)L2を超えないように制御する。具体的には、ターボ圧縮機3の吸込流量が小さくなって行くに従い入口ベーン15の開度を絞って、サージングが発生する最小吸込流量を小さくする。そして、入口ベーン15の開度が最小値になり、さらに吸込流量が小さくなる傾向にあるときは、閉じていたホットガスバイパス弁14を開き、サージングが発生する最小吸込流量を実際の吸込流量が下回らないように調整する。
本実施形態では、ホットガスバイパス弁14を開き始めるタイミングは、入口ベーン15の開度の最小値(最小開度)によって決定され、この最小開度は以下のように設定されている。
圧縮比が小さいほど、入口ベーン15の最小開度を小さくするようにする。つまり、圧縮比が小さいほどサージコントロールラインL2との交点が低い吸込流量側に移動するので、入口ベーン15の最小開度を小さく設定できるからである。
具体的には、季節要因として、夏場のように負荷が高く圧縮比が大きい場合には、この圧縮比を示す等圧縮比線L3とサージコントロールラインL2との交点であるA点を通る入口ベーン15の開度(IGV 60%)を最小値とする。
一方、冬場のように負荷が低く圧縮比が小さい場合には、この圧縮比を示す等圧縮比線L4とサージコントロールラインL2との交点であるB点を通る入口ベーン15の開度(IGV 20%)を最小値とする。
図3には、制御部16の出力信号に対する入口ベーン15及びホットガスバイパス弁14の開度の関係が示されている。同図に示すように、実線L5が夏場のように圧縮比が高い状態における入口ベーン開度を示し、二点鎖線L6が冬場のように圧縮比が低い状態における入口ベーン開度を示す。また、破線L7が夏場のように圧縮比が高い状態におけるホットガスバイパス弁開度を示し、一点鎖線L8が冬場のように圧縮比が低い状態におけるホットガスバイパス弁開度を示す。
制御部16からの出力信号は、高いほど高負荷を示し、低いほど低負荷を示す。
圧縮比が高い場合には、実線L5に示すように、入口ベーン15の開度は、制御部16からの出力信号が低下するに伴い一次関数的に低下し、最小値である60%(図2のA点参照)に到達する。最小値に到達すると、これ以上制御部16からの出力信号が低下しても最小値である60%を維持し続ける。入口ベーン15の開度が最小値に到達すると、サージングを引き起こさない程度の吸込冷媒流量を確保するために、破線L7に示すように、ホットガスバイパス弁14が閉じた状態から開き、制御部16からの出力信号が低下するに伴い、漸次その開度が増加するようになっている。
一方、圧縮比が低い場合には、二点鎖線L6に示すように、入口ベーン15の開度は、制御部16からの出力信号が低下するに伴い一次関数的に低下し、最小値である20%(図2のB点参照)まで到達する。最小値に到達すると、これ以上制御部16からの出力信号が低下しても最小値である20%を維持し続ける。入口ベーン15の開度が最小値に到達すると、サージングを引き起こさない程度の吸込冷媒流量を確保するために、一点鎖線L8に示すように、ホットガスバイパス弁14が閉じた状態から開き、制御部16からの出力信号が低下するに伴い、漸次その開度が増加するようになっている。
圧縮比が高い場合の入口ベーン15の開度と、圧縮比が低い場合の入口ベーンの15開度とを比較すると分かるように、入口ベーン15の最小開度は、圧縮比に比例して連続的に変化させられるようになっている。
このように、本実施形態によれば、入口ベーン15の最小開度を圧縮比に比例して変化させ、サージングコントロールラインL2(図2参照)との関係で入口ベーン15の最小開度を決定することとした。これにより、冷凍に寄与しないホットガスをターボ圧縮機3の吸込側にバイパスさせるホットガスバイパスの使用期間を可及的に限定することができ、ターボ冷凍機1の性能の向上を図ることができる。
つまり、特許文献1に示された技術のように、圧縮比にかかわらず入口ベーン15の最小開度を一定とした場合に比べて、低圧縮比側ではホットガスバイパスの使用を控えることができるので、ターボ冷凍機1の性能向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、圧縮比に応じて入口ベーン15の最小開度を変更することとしたが、吐出圧力P1を用いて入口ベーン15の最小開度を変更することとしても良い。
また、冷房運転時について説明したが、ヒートポンプ運転を行う暖房運転時についても採用することができる。更にプロセスガス成分の変動(閉ループ冷凍機システムでは起こりにくいが)による圧縮比の変動においても同様に運転条件に応じて変えることができる。
本発明の実施形態にかかるターボ冷凍機の概略を示した構成図である。 図1に示したターボ圧縮機の吸込流量と圧縮比との関係を示したグラフである。 制御部の出力に対する入口ベーン開度およびホットガスバイパス弁開度を示したグラフである。
符号の説明
1 ターボ冷凍機
3 ターボ圧縮機
14 ホットガスバイパス弁(ホットガスバイパス調整手段)
15 入口ベーン(吸込冷媒流量調整手段)
16 制御部(ターボ冷凍機の制御装置)

Claims (3)

  1. 冷媒を圧縮するターボ圧縮機へ流入する該冷媒の流量を調整する吸込冷媒流量調整手段の開度と、
    前記ターボ圧縮機の吐出側と吸込側とをバイパスする前記冷媒の流量を調整するホットガスバイパス調整手段の開度と、
    を制御するターボ冷凍機の制御装置であって、
    前記ターボ圧縮機の吸込冷媒流量の低下に伴い該ターボ圧縮機のサージングが発生するおそれのあるサージング領域よりも低い吸込冷媒流量以下では、前記吸込冷媒流量調整手段の開度を最小値として固定するとともに、前記ホットガスバイパス調整手段を開き、
    前記吸込冷媒流量調整手段の前記最小値を、前記ターボ圧縮機の吐出圧力または圧縮比に基づいて変化させることを特徴とするターボ冷凍機の制御装置。
  2. 請求項1記載のターボ冷凍機の制御装置を備えていることを特徴とするターボ冷凍機。
  3. 冷媒を圧縮するターボ圧縮機へ流入する該冷媒の流量を調整する吸込冷媒流量調整手段の開度と、
    前記ターボ圧縮機の吐出側と吸込側とをバイパスする前記冷媒の流量を調整するホットガスバイパス調整手段の開度
    を制御するターボ冷凍機の制御方法であって、
    前記ターボ圧縮機の吸込冷媒流量の低下に伴い該ターボ圧縮機のサージングが発生するおそれのあるサージング領域よりも低い吸込冷媒流量以下では、前記吸込冷媒流量調整手段の開度を最小値として固定するとともに、前記ホットガスバイパス調整手段の開度を開き、
    前記吸込冷媒流量調整手段の前記最小値を、前記ターボ圧縮機の吐出圧力または圧縮比
    に基づいて連続的に変化させることを特徴とするターボ冷凍機の制御方法。
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