JP4690910B2 - 熱源機およびその制御方法ならびに熱源システム - Google Patents
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Description
しかし、ターボ冷凍機がトリップしてしまうと、工場プロセスに供給する冷水の温度が変動し、工場で生産される製品の品質(歩留まり)に影響を及ぼしてしまう。
また、冷凍サイクル装置を構成する圧縮機等の故障予知についての技術も知られている(特許文献3参照)。
また、特許文献3のように圧縮機等の故障予知を適用したとしても、センサの断線のように殆ど予知できない事象については対処のしようがない。
したがって、運転中のターボ冷凍機の異常停止が行われて供給する冷水の温度が大幅に変化してしまう前に、円滑に後発機であるターボ冷凍機を起動することができる技術が望まれる。
すなわち、本発明の第1態様にかかる熱源機の制御装置は、外部負荷から流入する熱媒を冷却または加熱した該外部負荷へと供給する熱源機の状態を監視して、該熱源機を制御する、熱源機の制御装置であって、前記熱源機の各種状態を示す各状態変数を監視し、該状態変数が第1閾値を超えた場合にはアラーム信号を発するとともに運転を継続しながら正常運転状態への復帰を行い、前記状態変数が前記第1閾値を超えて更に第2閾値を超えた場合には運転継続不可能と判断して該熱源機を異常停止し、前記状態変数が、前記第1閾値と前記第2閾値との間に設定された第3閾値を超えた場合に、前記熱源機の状態の異常により該熱源機の運転が所定時間経過後に停止されると予測される運転停止予測を行い、他の熱源機の起動を要請する後発機起動信号を発することを特徴とする。
熱源機としては、例えばターボ冷凍機やスクリューチラーが挙げられる。
具体的には、アラーム信号を発する第1閾値と運転継続不可能と判断する第2閾値との間に第3閾値を設けることとした。この第3閾値を設けることによって運転停止予測が行われることになる。正常運転状態へと復帰可能なアラーム信号を受けて他の熱源機を起動することがないので、無駄な起動指令を行うことがない。また、異常停止する以前に後発機起動信号を発することができるので、後発機の起動時間を確保することができる。
ここで、状態変数とは、例えば、凝縮器や蒸発器の圧力、圧縮機の駆動部を潤滑する潤滑油の温度、圧縮機を駆動するモータの電流値等が挙げられる。
所定時間としては、熱源機の容量にもよるが、ターボ冷凍機の場合、例えば3分間程度とされる。
熱源機としては、例えばターボ冷凍機やスクリューチラーが挙げられる。
図1には、本発明の第1実施形態にかかる熱源システム1が示されている。
本実施形態にかかる熱源システム1は、2台のターボ冷凍機(熱源機)3から構成される。
各ターボ冷凍機3には、運転制御を行うための操作盤(熱源機の制御装置)4が設けられている。この操作盤4は、熱源システム1全体の制御を行うシステム制御盤(システム制御装置)2に対して、双方向に通信できるように電気的に接続されている。したがって、操作盤4は、遠方であるシステム制御盤2から操作できるようになっている。また、操作盤4は、ターボ冷凍機3近傍のオペレータの手元でも操作できるようになっている。
操作盤4は、図3を用いて後述するように、アラーム信号やトリップ信号を出力するだけでなく、スタートアップリクエスト信号(後発機起動信号)をも出力するようになっている。
蒸発器7には、還用および往用の冷水管(熱媒配管)8a,8bが接続されており、外部負荷との間で冷水の熱媒が循環して流れるようになっている。還用冷水管8aには、熱媒を供給するための熱媒ポンプ12が設けられている。冷水管8a,8bは、外部負荷の要求に応じて、冷水ヘッダ10a,10bまたは温水ヘッダに接続切換されるようになっている。図1には、外部負荷としての工場プロセス側に対して、冷水ヘッダ10a,10bが接続された状態が示されている。
また、システム制御盤2は、各ターボ冷凍機3の操作盤4から、スタートアップリクエスト信号を受けるようになっている。
第1ターボ冷凍機3aおよび第2ターボ冷凍機3bは、ともに、同図に示した構成を有している。ターボ冷凍機3は、2段圧縮2段膨張のサイクルを構成している。
ターボ圧縮機23は、電動モータ37と、入口ベーン35とを備えている。
電動モータ37は、電源周波数による一定回転数の場合や、インバータ式とされ、周波数可変制御されるようになっている。電動モータ37には、モータ電流Amを計測するための電流計37aが設けられている。この電流計37aの出力は、操作盤4へと伝送される。インバータ式の場合には、インバータ制御基板から信号として電流値が伝送される。
入口ベーン35は、冷媒流れ上流側に設けられており、流入する冷媒流量を調整する。入口ベーン35の開度は制御部によって制御される。この入口ベーン35の開度調整によって、冷水出口温度T1が制御される。
凝縮器13には、圧力センサ13sが設けられており、凝縮圧力が計測されるようになっている。圧力センサ13sの出力は、操作盤4へと伝送される。
蒸発器7には、圧力センサ7sが設けられており、蒸発圧力が計測されるようになっている。圧力センサ7sの出力は、操作盤4へと伝送される。
中間冷却器27には、ターボ圧縮機23の中間段との間に、中間圧冷媒配管27aが接続されている。中間圧冷媒配管27aの下端(冷媒流れの上流端)は、中間冷却器27内の上方空間に位置しており、中間冷却器27内のガス冷媒を吸い込むようになっている。
中間冷却器27では、凝縮器13からの高圧液冷媒が蒸発するようになっており、この蒸発潜熱によって、中間圧冷媒配管27aを介して蒸発器へと導かれる液冷媒が冷却される。そして、蒸発して飽和温度付近となったガス冷媒は、ターボ圧縮機23において低圧から中間段まで圧縮されたガス冷媒と混合され、中間段から圧縮されるガス冷媒を冷却している。
中間冷却器27には、中間圧力Pmを計測するための圧力センサ27sが設けられている。圧力センサ27sの出力は、操作盤4へと伝送される。
第2膨張弁30は、蒸発器7と中間冷却器27との間に設けられており、液冷媒を絞ることによって等エンタルピー膨張させるものである。
第1膨張弁29および第2膨張弁30は、それぞれ、制御部である操作盤4によってその開度が制御されるようになっている。
ターボ圧縮機23は、電動機37によって駆動され、制御部である操作盤4によるインバータ制御により所定周波数で回転させられる。入口ベーン35は、制御部によって、設定温度(例えば、冷水入口温度12℃、冷水出口温度7℃)を達成するようにその開度が調整されている。
凝縮器13において、冷却塔からの冷却水によって高温高圧のガス冷媒は略等圧に冷却され、高圧低温の液冷媒となる。高圧低温の液冷媒は、冷媒配管39bを通り高圧膨張弁(第1膨張弁29)へと導かれ、この高圧膨張弁によって等エンタルピー的に中間圧まで膨張させられる。中間圧まで膨張させられた冷媒は、冷媒配管39cを介して中間冷却器27へと導かれる。中間冷却器27において、一部の冷媒は蒸発し、中間圧冷媒配管27aを介してターボ圧縮機23の中間段へと導かれる。中間冷却器27において蒸発せずに凝縮したままの液冷媒は、中間冷却器27内に貯留される。中間冷却器27内に貯留された中間圧の液冷媒は、冷媒配管39dを介して低圧膨張弁(第2膨張弁30)へと導かれる。中間圧の液冷媒は、低圧膨張弁によって等エンタルピー的に低圧まで膨張させられる。
低圧まで膨張させられた冷媒は、蒸発器7において蒸発し、冷水管8a,8bから熱を奪う。これにより、12℃で流入した冷水は7℃で負荷側に返送されることになる。
蒸発器7において蒸発した低圧ガス冷媒は、ターボ圧縮機23の低圧段へと導かれ、再び圧縮される。
操作盤4には、冷水入口温度センサ31a(図2参照)によって得られる冷水入口温度(状態変数)T0と、冷水出口温度センサ31b(図2参照)によって得られる冷水出口温度(状態変数)T1と、凝縮器圧力センサ13s(図2参照)によって得られる凝縮圧力(状態変数)Pcと、蒸発器圧力センサ7s(図2参照)によって得られる蒸発圧力(状態変数)Peと、中間冷却器圧力センサ27s(図2参照)によって得られる中間圧力(状態変数)Pmと、潤滑油温度センサ23a(図2参照)によって得られる潤滑油温度(状態変数)Tpと、電流計37a(図2参照)によって得られるモータ電流(状態変数)Amとが入力される。
また、潤滑油温度Tpが低くなり、低温側の第1閾値を超えると、アラーム信号が発せられる。ただし、このアラーム信号は、制御が安定しないときに発せられることが多い。さらに、潤滑油温度Tpが低くなり、第3閾値を超えると、スタートアップリクエスト信号が発せられる。これにより、後発機のターボ冷凍機3の起動が開始されるとともに、運転中のターボ冷凍機3は所定時間後に停止するように制御される。この停止制御が行われている場合であっても、潤滑油温度Tpがさらに低くなり、第2閾値を超えると、トリップ信号が発せられ、ターボ冷凍機3は強制停止させられる。この場合には、停止制御中のターボ冷凍機3であっても、所定時間を待たずに強制停止させられる。
センサが断線した場合であっても、所定の場合には、スタートアップリクエスト信号を発し、所定時間運転を継続した後に、ターボ冷凍機3を停止させる。この場合には、センサが断線した時点で、運転停止予測が行われることになる。具体的には、センサが断線しても、他のセンサによって代替値を得ることができる場合には、この代替値を用いて所定時間運転を継続することとする。これにより、後発機であるターボ冷凍機3の起動時間を確保することができる。
以下に、センサ毎に、代替値の設定について説明する。
(1)冷水出口温度T1
冷水出口温度T1が得られない場合は、以下の式を用いて代替値を得る。
T1=ET(Pe)+Tde(LOAD)
ここで、ET(Pe)は蒸発圧力Peにおける飽和温度であり、Tde(LOAD)は現在の冷凍能力LOADにおけるターミナル温度であり、冷媒温度と冷水温度との温度差を意味する。ターミナル温度は、冷凍能力LOADごとに予め決定しておく。ただし、冷凍能力が100%以上の場合には、冷凍能力100%として算出する。
なお、温水の場合には、凝縮圧力Pcを用いて同様に求める。
(2)冷水入口温度T0
下式のように、定格能力が出力されているとの前提で、仕様定格での温度差を採用する。
T0=T1+△T(仕様値)
冷水流量Gが可変とされている場合には、以下の式を用いる。
T0=T1+△T・G(仕様値)/G(現在値)
なお、温水の場合にも上式と同様に求める。
(3)蒸発圧力Pe
冷水出口温度T1を用いて、下式のように算出する。
Pe=P(T1−Tde(LOAD))
ここで、右辺は、T1−Tde(LOAD)を示す温度における飽和圧力を意味する。
(4)中間圧力Pm
中間圧力Pmは、理論的に下式より求められる。
Pm=Pe・(Pc/Pe)0.5
第1ターボ冷凍機3a及び第2ターボ冷凍機3bは、システム制御盤2からの指令により起動させられる。実際の運転は、いずれかのターボ冷凍機3a,3bが起動されており、他のターボ冷凍機3b,3aはバックアップ用として停止状態にて待機している。以下では、第1ターボ冷凍機3aが起動され、第2ターボ冷凍機3bがバックアップ用とされた運転方法について説明する。
ステップS2において軽負荷停止中でないと判断された場合には、起動禁止とされているか否かが判断される(S3)。起動禁止とされていない場合には、冷水および冷却水の流量が所定流量となり確立しているかを判断する(S5)。これと同時に、冷却水ポンプ19(図1参照)の運転を開始する(S6)。ステップS5において冷水および冷却水の流量が確立されていると判断されると、起動インターロックが確立されているかを判断する(S7)。これと同時に、潤滑油ポンプの運転が開始される(S8)。ステップS7において起動インターロックが確立されていると判断されると、主電動機である電動モータ37(図2参照)が起動される(S10)。電動モータ37が起動されると、起動完了の判断がなされ(S11)、タイマー(S12)において所定時間経過した後に、冷水温度の温度調節制御に入る(S13)。温度調節制御は、停止信号が入らない限り(S14)、継続して続けられる。ステップS14にて停止信号が入ると、第1ターボ冷凍機3aの停止フローが行われる(S15)。
また、スタートアップリクエスト信号が発せられると、タイマー(S22)において所定時間(例えば3分)経過した後に、トリップ停止(S20)が行われる。
各センサの状態に基づいて、所定時間経過後に運転が停止されると予測される運転停止予測が行われた場合に、他のターボ冷凍機3bを起動するスタートアップリクエスト信号を発することにより、運転中のターボ冷凍機3aが停止する前に他のターボ冷凍機3bの起動を行うことができる。したがって、運転中のターボ冷凍機3aは、スタートアップリクエスト信号を発し、所定時間経過後に停止するので、この所定時間の間を、後発機である他のターボ冷凍機3bの起動時間に当てることができる。そして、所定時間経過後にターボ冷凍機3aが停止したとしても、既に後発機であるターボ冷凍機3bの起動は開始されているので、外部負荷に供給される冷水は、大幅な温度変動を示すことがない。
また、アラーム信号とトリップ信号との間の値としてスタートアップリクエスト信号を用いることとしたので、確実に停止するけれども所定時間は運転を継続できる運転を実現することができ、アラーム信号に基づいて後発機を起動する場合に比べて無駄な後発機の起動を回避することができる。
また、ターボ冷凍機3の各種状態を計測するセンサに異常が発生(例えば断線)し、そのセンサが運転継続のために重要なセンサである場合には、即座に運転停止するのが一般であるが、他のセンサによって代替値を得て、この代替値を用いて所定時間だけ運転を継続することとしたので、後発機であるターボ冷凍機3bの起動時間を確保することができる。
また、本実施形態では冷房運転について説明したが、本発明はヒートポンプ式の暖房運転に対しても同様に適用することができる。
また、ターボ冷凍機3を2台有する熱源システム1を例として説明したが、熱源機は3台以上であっても良い。
また、スタートアップリクエスト信号を発する操作盤4は、全てのターボ冷凍機3a,3bに備えられていることが好ましいが、いずれか一方に設けられていても良い。
また、電動モータ37のハウジングに温度センサを設置してモータ温度を測定することとし、このモータ温度に基づいてスタートアップリクエスト信号を発することとしても良い。
2 システム制御盤
3 ターボ冷凍機(熱源機)
4 操作盤(熱源機の制御装置)
Claims (5)
- 外部負荷から流入する熱媒を冷却または加熱し該外部負荷へと供給する熱源機の状態を監視して、該熱源機を制御する、熱源機の制御装置であって、
前記熱源機の各種状態を示す各状態変数を監視し、該状態変数が第1閾値を超えた場合にはアラーム信号を発するとともに運転を継続しながら正常運転状態への復帰を行い、
前記状態変数が前記第1閾値を超えて更に第2閾値を超えた場合には運転継続不可能と判断して該熱源機を異常停止し、
前記状態変数が、前記第1閾値と前記第2閾値との間に設定された第3閾値を超えた場合に、前記熱源機の状態の異常により該熱源機の運転が所定時間経過後に停止されると予測される運転停止予測を行い、他の熱源機の起動を要請する後発機起動信号を発することを特徴とする熱源機の制御装置。 - 前記所定時間は、前記後発機起動信号が与えられる前記他の熱源機が起動を略完了する時間とされていることを特徴とする請求項1に記載の熱源機の制御装置。
- 請求項1または2に記載された熱源機の制御装置を備えていることを特徴とする熱源機。
- 外部負荷から流入する熱媒を冷却または加熱して該外部負荷へと供給する複数の熱源機と、
各前記熱源機の制御を行うシステム制御装置と、を備えた熱源システムであって、
少なくとも1つの前記熱源機が、請求項1または2に記載された熱源機の制御装置を備え、
前記システム制御装置は、前記熱源機の制御装置から発せられた後発機起動信号によって、他の前記熱源機を起動することを特徴とする熱源システム。 - 外部負荷から流入する熱媒を冷却または加熱して該外部負荷へと供給する熱源機の状態を監視して、該熱源機を制御する、熱源機の制御方法であって、
前記熱源機の各種状態を示す各状態変数を監視し、該状態変数が第1閾値を超えた場合にはアラーム信号を発するとともに運転を継続しながら正常運転状態への復帰を行い、
前記状態変数が前記第1閾値を超えて更に第2閾値を超えた場合には運転継続不可能と判断して該熱源機を異常停止し、
前記状態変数が、前記第1閾値と前記第2閾値との間に設定された第3閾値を超えた場合に、前記熱源機の状態の異常により該熱源機の運転が所定時間経過後に停止されると予測される運転停止予測を行い、他の熱源機の起動を要請する後発機起動信号を発することを特徴とする熱源機の制御方法。
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