JP2009298903A - 重合ゲルシートの製造方法及び粉末状重合体の製造方法並びに光重合用反応装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水溶性単量体を含む単量体溶液Xに光照射して光重合反応を行う重合工程において、流動性が低下した単量体溶液Xの上面に冷媒を供給し、該冷媒を気化させることで単量体溶液Xを冷却しながら光重合反応を行うことを特徴とする重合ゲルシートの製造方法。単量体溶液Xの幅を規制する堰10が設けられた支持体12と、支持体12上に単量体溶液Xを供給する単量体供給手段24と、単量体溶液Xに光を照射する光照射手段34と、流動性が低下した単量体水溶液Xに冷媒を供給する冷媒供給手段40とを具備する光重合用反応装置1。
【選択図】図1
Description
アクリルアミド系重合体の工業的製造方法としては、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、及び水溶液重合法等の溶液重合法が挙げられるが、高分子量の重合体が得られやすい点から水溶液重合法が用いられる場合が多い。このような水溶性重合体は粉末状重合体として用いられることが多い。粉末状重合体の製造方法としては、多くの場合は水溶液重合法により水を含む重合体ゲルを製造した後に、該重合体ゲルに対して粗砕、解砕、乾燥、粉砕等の工程を行い、粉末状重合体とする方法が用いられる。
また、前記冷媒が水及び/又は揮発性有機溶媒を含み、かつ前記単量体溶液の上面に該冷媒をミスト状に噴霧吐出して供給することが好ましい。
また、前記水及び/又は揮発性有機溶媒と、空気及び/又は不活性気体との二流体混合物からなる冷媒をミスト状に噴霧吐出することが好ましい。
また、前記冷媒を粒子径が3〜5000μmのミスト状に噴霧吐出することが好ましい。
また、前記冷媒をミスト状に噴霧吐出して供給する範囲を、円形、扇形、線形、スリット形、多角形からなる群から選ばれる1種以上の形状とすることが好ましい。
また、本発明の光重合用反応装置は、さらに、前記支持体上に2枚のフィルムを供給するフィルム供給手段を具備し、該支持体上に供給された2枚のフィルムの間に前記単量体供給手段から単量体溶液が供給される装置であることが好ましい。
また、前記冷媒供給手段が、前記冷媒を噴霧吐出する噴霧吐出ノズルを有することが好ましい。
また、本発明の粉末状重合体の製造方法によれば、前記重合ゲルシートを用いることで、水不溶解性成分が少なく、かつ高分子量の粉末状重合体を得ることができる。
また、本発明の光重合用反応装置は、水溶性単量体の光重合反応において冷却廃水を発生させることなく単量体溶液上面を充分に冷却することができる。そのため、該光重合用反応装置を用いた重合ゲルシートの製造により、水不溶解性成分が少なく、かつ高分子量の重合ゲルシートを得ることができる。
本発明の光重合用反応装置は、重合ゲルシートの製造における水溶性単量体の光重合反応に用いることができる。図1は、本発明の光重合用反応装置の実施形態の一例を示した概略構成図である。また、図2は、図1における光重合用反応装置をV−V断面において切断した断面図である。
本実施形態の光重合用反応装置1は、図1及び2に示すように、進行方向に沿った両端に可撓性の堰10が設けられたベルト状の可動式の支持体12(以下、可動支持体12という。)と、プーリー14及びプーリー16に掛けられた可動支持体12を循環させるベルトコンベア18と、可動支持体12の進行方向と同じ方向に移動する下面フィルム20を可動支持体12上に供給するフィルム供給手段22と、可動支持体12上に設置された下面フィルム20上に、単量体溶液を供給する単量体溶液供給手段24と、単量体溶液供給手段24の先端の単量体溶液供給口を覆うように設けられ、内部に不活性ガス供給管26の不活性ガス供給口から窒素ガスが供給される窒素箱28と、下面フィルム20上に供給された単量体溶液Xの液面を覆いながら可動支持体12の進行方向と同じ方向に移動する上面フィルム30を供給するフィルム供給手段32と、可動支持体12と共に移動する単量体溶液Xに光を照射する光照射手段34と、冷却水を可動支持体12の下面に散水する下面散布ノズル36及び下面冷却水用配管38と、単量体水溶液の上面で冷媒が気化するように冷媒を供給する冷媒供給手段40及び上面冷媒用配管42と、下面フィルム20及び上面フィルム30をそれぞれ回収するフィルム巻取りロール44、46と、下面フィルム20及び上面フィルム30を緊張させるテンションローラー48とを具備している。
堰10の材質としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム等の各種ゴム、シリコンゴム、クロロプレンゴム等が挙げられる。なかでも、下面フィルム20及び上面フィルム30に使用するフィルムとの密着性が高い点から、シリコンゴム、クロロプレンゴムであることが好ましい。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリエステル、延伸ナイロン、ポリスチレン、軟質塩化ビニル等が挙げられる。また、上面フィルム30は、酸素透過を抑制する観点から、ポリ塩化ビニリデン等をコーティングしたフィルムであることが好ましい。また、上面フィルム30は、光照射の効率が向上する点から、光透過性が高い材質であることが好ましい。また、可動支持体12が光を反射する材質からできている場合には、可動支持体12と単量体溶液Xの間の下面フィルム20も光透過性を有していることが好ましい。
光照射手段34の数及び設置位置は、所望の速度で水溶性単量体の光重合反応を行えるように適宜選択することができる。例えば、図1に示すように、光重合反応により単量体溶液の流動性が低下していく領域である第一重合域L1及び更に光重合反応が進む領域である第二重合域L2では複数の光照射手段34を等間隔に配置し、光重合反応を完結させる領域である第三重合域L3では、第一重合域L1及び第二重合域L2に比べて狭い間隔で複数の光照射手段34を配置する方法等が挙げられる。
一方、第一重合域L1後半以降においては、単量体溶液Xは、水溶性単量体の重合が進み流動性が低くなっているため、ミスト状冷媒の噴霧吐出によって単量体溶液Xの厚さが不均一となることが抑制される。ここで、流動性が低下した単量体溶液Xとは、単量体溶液Xが重合によりゲル化したシート状のゲル化物(重合ゲルシートY)、又は単量体溶液Xの粘度が第一重合域L1入口部より高くなった単量体溶液Xのことである。
また、冷媒供給手段40の数は、単量体溶液X上面を充分に冷却できれば特に限定されない。
本実施形態の光重合用反応装置1は、第二重合域L2の終端部において、単量体溶液X上面に気体を送風することにより、ミスト状冷媒の単量体溶液X上面への付着及び気化を促進する送風手段を併用することもできる。
予め窒素バブリングによって溶存酸素濃度を低下させた単量体溶液を、窒素箱28内に窒素ガスを吹き込みながらベルトコンベア18の可動支持体12上に設置された下面フィルム17に供給する。供給された単量体溶液Xは、堰10と堰10との間の可動支持体12上に下面フィルム20が介在した状態で拡がり、均一な厚さとなる(図2)。次いで、この単量体溶液Xの液面を覆うように上面フィルム30を設置する。
得られたシート状の含水ゲル状重合体は、通常、一般的に用いられる回転刃付押出成形機等の解砕機による粗砕・解砕により細粒状重合体ゲルとされた後に、乾燥、粉砕され、水不溶解分が少なく、且つ、高分子量の水溶性の粉末状重合体とされる。
本発明の重合ゲルシートの製造方法は、水溶性単量体を含む単量体溶液に光照射を行うことで該水溶性単量体の光重合反応を行う重合工程を含む方法である。また、重合工程において、流動性が低下した前記単量体溶液の上面に冷媒を供給し、該冷媒を気化させることで前記単量体溶液を冷却しながら光重合反応を行うことを特徴とする方法である。
本発明における重合ゲルシートは、アクリルアミド系単量体及び/又は(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位を主成分とする水溶性重合体であることが好ましい。
アクリルアミド系単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルメタクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N’−ジエチルアクリルアミド、N,N’−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N’−ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド等のN,N’−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド及びそれらの塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアクリルアミドアルカンスルホン酸、N−モノメチルアクリルアミド、N−モノエチルアクリルアミド等が挙げられる。
アクリルアミド系単量体及び(メタ)アクリレート系単量体以外の共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等やそれらの塩、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
光開始剤は、光の照射によってラジカルを生じ、水溶性単量体の重合を開始させることのできる化合物であれば特に限定されない。
光開始剤としては、例えば、ベンゾイン及びそのアルキルエーテル、ベンジルケタール類、ベンゾフェノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、アシルホスフィンオキサイド類等が挙げられる。水溶性単量体が水溶性ビニル単量体の場合は、ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキサイド類が好ましい。具体的には、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン等のアセトフェノン系開始剤、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系開始剤、前記アセトフェノン系開始剤と前記アシルフォスフィンオキサイド系開始剤との併用開始剤等の、光で開始ラジカルを生成する光重合開始剤等の公知の開始剤が挙げられる。
溶媒としては、水、トルエン、アルコール類等が挙げられ、水溶性ビニル単量体の場合には、水が好適に用いられる。
また、単量体溶液には、連鎖移動剤、界面活性剤等の添加剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、亜リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸及びそれらの塩等が挙げられる。
本実施形態の光重合用反応装置1を用いる重合工程では、予め窒素ガスのバブリングによって溶存酸素濃度を低下させた単量体溶液を、窒素箱28に窒素を吹き込みながらベルトコンベア18の可動支持体12上に設置された下面フィルム20上に供給する。このように、単量体溶液は予め不活性ガスのバブリングによって溶液中の溶存酸素濃度が低くされていることが好ましい。
本発明の重合ゲルシートの製造方法においては、不活性ガスとして、窒素ガス以外に、例えば、アルゴン、キセノン等を用いることもできるが、工業的には窒素を用いることが好ましい。不活性ガス中における酸素濃度は、容量比で1%以下であり、好ましくは0.4%以下である。
単量体溶液Xが第一重合域L1から第二重合域L2に移る際の単量体溶液Xの流動性は、例えば、第一重合域L1を長くしたり、第一重合域L1における光照射強度を強くしたりする等の方法により低下させることができる。逆に、第一重合域L1を短くしたり、第一重合域L1における光照射強度を弱くしたりする等の方法により単量体溶液Xの流動性を高く維持することができる。
また、冷媒供給手段40の噴霧吐出ノズルから水及び/又は揮発性有機溶媒からなる冷媒を噴霧吐出し、ノズル先端部分で別配管から吐出された空気、不活性気体、又は、空気及び不活性気体の混合ガスと接触させてミスト状冷媒を形成してもよい。
ミスト状冷媒の噴霧吐出速度は、0.01〜1.2kg/分であることが好ましく、0.02〜0.7kg/分であることがより好ましく、前記範囲内となるように間歇的又は連続的に噴霧吐出することがさらに好ましい。ミスト状冷媒の噴霧吐出速度が0.01kg/分以上であれば、噴霧吐出速度の増大に伴って冷媒のミスト粒径を大きくすることができ、単量体溶液X上面の冷却効率を向上させることができる。また、ミスト状冷媒の噴霧吐出速度が1.2kg/分以下であれば、噴霧吐出速度の減少に伴って冷媒のミスト粒径を小さくすることができ、単量体溶液X上面における冷媒の気化を促進することができるため、冷却廃水の発生を防止しやすい。
また、重合工程において四方を堰で囲んだ平板形の重合容器等を用いたバッチ式の装置を用いる方法であってもよい。
本発明の粉末状重合体の製造方法は、前述の重合ゲルシートの製造方法により得られた重合ゲルシートを乾燥粉末状にする粉末化工程を含む方法である。すなわち、前記水溶性単量体の光重合反応により重合ゲルシートを得る重合工程と、該重合ゲルシートを乾燥粉末状にして粉末状重合体を得る粉末化工程とを含む方法である。
重合工程により得られた重合ゲルシート(含水ゲル状重合体)は、通常、粗砕、解砕することにより細粒状重合体ゲルとされる。粗砕・解砕には、一般的に用いられる回転刃付押出成形機等の解砕機を用いることができる。
また、得られた細粒状重合体ゲルは、乾燥、粉砕を行うことで水不溶解分が少なく、且つ、高分子量で水溶性の粉末状重合体となる。細粒状重合体ゲルの乾燥方法は特に限定されず、例えば、回転乾燥機、バンド乾燥機、流動乾燥機等の粉末状重合体の製造に通常使用される乾燥機により熱風乾燥する方法が挙げられる。この乾燥により、細粒状重合体ゲルの水分量を10%以下にすることが好ましい。
乾燥条件は、50〜150℃で、30〜90分程度であることが好ましい。この条件であれば、細粒状重合体ゲルが容易に水分量10%以下まで乾燥される。
また、乾燥後の粉砕方法は、粉末状重合体の製造に通常用いられる方法を用いることができ、例えば、粉砕機等で粉末化する方法が挙げられる。
[水分量の測定]
得られた粉末状重合体5.0gをアルミ皿に秤量後、105℃、90分間、送風乾燥した後に再度秤量することで、送風乾燥前後の質量測定による乾燥減量法で粉末状重合体に含まれる水分量の測定を行った。
尚、以下の重合体有効成分の質量は、粉末状重合体の質量から水分量を差し引いて求めたものである。
得られた粉末状重合体を重合体有効成分が0.5質量%となるように4.0質量%の塩化ナトリウム水溶液に溶解したポリマー水溶液、又は0.1質量%となるようにイオン交換水に溶解したポリマー水溶液500gを、直径20cm、目開き180μmの篩で濾過し、水分を拭き取り、篩の上に残った水不溶解性成分を集めてその質量を測定した。
4.0%の塩化ナトリウム水溶液に、得られた粉末状重合体を重合体有効成分が0.5質量%又は1.0質量%となるように溶解してポリマー水溶液を調製し、B型粘度計(東機産業社製)を用い、温度25℃にて攪拌して5分後のポリマー水溶液の塩粘度を測定した。攪拌は、0.5質量%の場合はロータ回転速度60rpm、1.0質量%の場合は6rpmの条件で行った。
光重合用反応装置として、図1に例示した光重合用反応装置1を使用した。光重合用反応装置における各構成の詳細を以下に示す。
ベルトコンベア18:厚さ0.3mm、幅約85cmのステンレス製ベルト(可動支持体12)を有する、プーリースパン(プーリー14とプーリー16の距離)300cmのベルトコンベア。
下面フィルム20:厚さ25μmのPETフィルム。
上面フィルム30:ポリ塩化ビニリデンをコーティングした厚さ15μmのPETフィルム。
可動支持体12上で単量体溶液が満たされる範囲は、幅約70cm、可動支持体12の進行方向の長さ約300cmである。また、第一重合域L1の長さは37.5cm、第二重合域L2の長さは187.5cm、第三重合域L3の長さは75cmとした。
また、第二重合域L2では扇風機を用いて単量体溶液X上面を25℃の空気で送風しながら冷却を行った。第三重合域L3では、単量体溶液X上面の冷却は行わず、また、可動支持体12下面の冷却も行わなかった。上記光重合反応が終了した第三重合域終了末端の段階において単量体溶液X上面に噴霧吐出したミスト状冷媒である純水は実質的に全量気化しており、冷却後の上面冷却廃水は全く発生しなかった。尚、光照射中の単量体溶液Xの表面温度は、表面温度計を用いて測定を行った。
フィルムが剥離された重合ゲルシートを、数ミリ角に粗砕後、60℃にて熱風乾燥し、ウィレー式粉砕機で粉砕することで粉末状重合体(A−1)を得た。
実施例1と同様に光重合用反応装置1を用い、第一重合域L1及び第二重合域L2の可動支持体12表面での光強度が4.0W/m2、第三重合域L3の可動支持体12表面での光強度が50W/m2となるようにケミカル蛍光ランプ(光照射手段34)を設置した。単量体溶液の調製は以下方法で行った。80.5質量%N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル四級塩水溶液(399kg)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(200g)、次亜リン酸2質量%水溶液(1.1kg)を混合した。この時の単量体溶液のpHは4.5であった。次いで、窒素吹き込みによって窒素置換し、温度を25℃に調整した。
また、第二重合域L2では扇風機を用いて単量体溶液X上面を25℃の空気で送風しながら冷却を行った。第三重合域L3では、単量体溶液X上面の冷却は行わず、また、可動支持体12下面の冷却も行わなかった。上記光重合反応が終了した第三重合域L3終了末端の段階において、単量体溶液X上面に噴霧吐出したミスト状冷媒である純水は実質的に全量気化しており、冷却後の上面冷却廃水は全く発生しなかった。尚、光照射中の単量体溶液Xの表面温度は、表面温度計で測定を行った。
フィルムが剥離された重合ゲルシートを、数ミリ角に粗砕後、60℃にて熱風乾燥し、ウィレー式粉砕機で粉砕することで粉末状重合体(A−2)を得た。
実施例1と同様に光重合用反応装置1を用い、第一重合域L1の可動支持体12表面での光強度が5.0W/m2、第二重合域L2の可動支持体12表面での光強度が0.8W/m2、第三重合域L3の可動支持体12表面での光強度が50W/m2となるようにケミカル蛍光ランプ(光照射手段34)を設置した。単量体溶液の調製は以下方法で行った。50質量%アクリルアミド水溶液(195.2kg)、79質量%N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル四級塩水溶液(92.7kg)、80.5質量%N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル四級塩水溶液(60.6kg)、50質量%アクリル酸水溶液(48.8kg)、2質量%2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン水溶液(1.6kg)、次亜リン酸2質量%水溶液(1.1kg)を混合した。この時の単量体溶液のpHは2.9であった。次いで、窒素吹き込みによって窒素置換し、温度を16℃に調整した。
フィルムが剥離された重合ゲルシートを、数ミリ角に粗砕後、60℃にて熱風乾燥し、ウィレー式粉砕機で粉砕することで、粉末状重合体(A−3)を得た。
第一重合域L1終盤及び第二重合域L2におけるミスト状冷媒の上面噴霧を行わなかった以外は実施例1と同様の操作を行うことで粉末状重合体(R−1)を得た。
第一重合域L1終盤及び第二重合域L2におけるミスト状冷媒の上面噴霧を行わなかった以外は実施例2と同様の操作を行うことで粉末状重合体(R−2)を得た。
第一重合域L1終盤及び第二重合域L2におけるミスト状冷媒の上面噴霧を止める以外は実施例3と同様の操作を行うことで粉末状重合体(R−3)を得た。
実施例1〜3及び比較例1〜3における光重合反応の冷却状況を表1、得られた粉末状重合体の評価結果を表2に示す。
また、表2に示すように、本発明の製造方法による実施例1〜3では、水不溶解性成分量が少なく、且つ、塩粘度が高くて高分子量の粉末状重合体を得ることができた。これは、光重合反応中の最高表面温度が低く制御された結果であると考えられる。
また、比較例2でも同様に、同条件の実施例2に比べて単量体溶液Xの上面の最高到達温度が高く、実施例2に比べて低分子量で、水不溶解性成分が多い品質に劣る粉末状重合体が得られた。
また、比較例3でも同様に、同条件の実施例3に比べて単量体溶液Xの上面の最高到達温度が高く、実施例3に比べて低分子量で、水不溶解性成分が多い品質に劣る粉末状重合体が得られた。
Claims (10)
- 水溶性単量体を含む単量体溶液に光照射を行うことで該水溶性単量体の光重合反応を行う重合工程を含む重合ゲルシートの製造方法であって、
前記重合工程では、流動性が低下した前記単量体溶液の上面に冷媒を供給し、該冷媒を気化させることで前記単量体溶液を冷却しながら光重合反応を行うことを特徴とする重合ゲルシートの製造方法。 - 前記単量体溶液が、前記水溶性単量体としてアクリルアミド系単量体及び/又は(メタ)アクリルアミド系単量体を含む水溶液である、請求項1に記載の重合ゲルシートの製造方法。
- 前記冷媒が水及び/又は揮発性有機溶媒を含み、かつ前記単量体溶液の上面に該冷媒をミスト状に噴霧吐出して供給する、請求項1又は2に記載の重合ゲルシートの製造方法。
- 前記水及び/又は揮発性有機溶媒と、空気及び/又は不活性気体との二流体混合物からなる冷媒をミスト状に噴霧吐出する、請求項3に記載の重合ゲルシートの製造方法。
- 前記冷媒を粒子径が3〜5000μmのミスト状に噴霧吐出する、請求項3又は4に記載の重合ゲルシートの製造方法。
- 前記冷媒をミスト状に噴霧吐出して供給する範囲を、円形、扇形、線形、スリット形、多角形からなる群から選ばれる1種以上の形状とする、請求項3〜5のいずれかに記載の重合ゲルシートの製造方法。
- 請求項1〜6に記載の製造方法により得られた重合ゲルシートを乾燥粉末状にして粉末状重合体を得る粉末化工程を含む粉末状重合体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の重合ゲルシートの製造方法の重合工程に用いる光重合用反応装置であって、
前記単量体溶液の幅を規制する堰が設けられた支持体と、該支持体上に前記単量体溶液を供給する単量体供給手段と、前記単量体溶液に光を照射する光照射手段と、流動性が低下した前記単量体水溶液に、該単量体水溶液の上面で冷媒が気化するように冷媒を供給する冷媒供給手段とを具備する光重合用反応装置。 - さらに、前記支持体上に2枚のフィルムを供給するフィルム供給手段を具備し、該支持体上に供給された2枚のフィルムの間に前記単量体供給手段から単量体溶液が供給される、請求項8に記載の光重合用反応装置。
- 前記冷媒供給手段が、前記冷媒を噴霧吐出する噴霧吐出ノズルを有する、請求項8又は9に記載の光重合用反応装置。
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