JP2009298449A - オーバーキャップ - Google Patents

Abstract

【課題】 流出口や空気孔の形成が容易で、構造も簡単であり、購買者が切開部材の構造を見ただけで、その操作方法も推測し、理解し易いオーバーキャップを提供する
【解決手段】 上下方向の上端開口部をシール蓋５で閉じたシール容器に装着してシール蓋５を切開するシール容器用のオーバーキャップであって、
オーバーキャップはシール容器に装着可能で、天板１６の周縁のうち少なくても一部分に上方に立ち上がった流出案内壁部３８をもつ周壁１５を有しかつ上下方向に垂直な径方向で流出案内壁部３８の直前に穿孔２２が形成されているオーバーキャップ本体６と、オーバーキャップ本体６の天板１６にヒンジ１０を介して一体に形成されていてヒンジ１０周りに回動して穿孔２２を通して変位可能な切開部材７とを有する。
【選択図】 図１

Description

この発明は飲料を収容するカップ型容器に装着してその開封をするときに使用するオーバーキャップに関するものである。

店頭で調整したホットコーヒーなどのホット飲料を店頭で購入して持ち帰るときに使用するカップ型容器では、客の注文毎にカップにホットコーヒーを入れ、これにカップの上から簡易のカバーキャップをかぶせて、顧客に手渡される。
この簡易のカバーキャップには、縁部に飲み口と空気入口が形成されていて、客はカバーキャップをカップから外さずに、飲み口を通して内容物を飲用する（特許文献１参照）。
一方飲料メーカーが工場にて調整、販売するカップ飲料では、飲料メーカーが飲料をカップに充填し、保存性、衛生性を保持することなどを目的として、カップの上端をフィルム状の蓋材でシールして出荷する。このカップ飲料でもカップの上面にシール蓋を保護するためのオーバーキャップを装着してシール蓋を覆うが、このシール蓋を剥さずにオーバーキャップの上からカップ内の飲料を飲むことが要求されて来ている。

特開２００４−１２３１５５号 特願２００７−０２３５０６号

しかし店頭販売用カップ用のカバーキャップを工場調整飲料用のカップ用オーバーキャップとしてそのまま転用することはできない。これを、シール蓋を有するカップに転用すると、飲み口を形成する際のシール蓋開口のときにキャップの取外し、及び再取付が必要であるし、別に開口器具が必要になることもある。また、工場調整飲料用カップの場合はカップ上端にシール蓋が存在するので、飲む時はシール蓋を開口させるための手段が必要になる。しかも、内容物がホットの高温飲料や有色飲料の場合は、内容物が開口操作時の振動で波立ってカップの外にあふれ出る事故を防ぐために、シール蓋を開口させる動作を特に静かに円滑に行うことができるものであることが望まれる。
シール蓋を切開して飲み口を形成する開口具としては特許文献１に記載したものがあるが、これらの開口具ではカップ上端に装着したオーバーキャップにカッターがヒンジを介して連結していて、このカッターがスイングしてシール蓋と接触して切開するものである。しかるにシール蓋には内容品の注出性向上のための空気を導通させる空気孔の必要もあるので、例えば開口部を大きく形成するなどの措置を講じる必要が生じ、その結果、飲み口形成のための操作に大きな力を要していた。
また本出願人は新たなオーバーキャップの提案も行った（特許文献２）。

この新たに提案されたオーバーキャップは切刃を持つ切開部材を天板にヒンジ結合させて備えておいて、指掛り部材を操作して切開部材をシール蓋に押し込んで切開して流出口空気孔を開口させるもので、きわめて簡単な操作で流出口や空気孔を形成することができ、安全性も高いものである。
しかしながら、この新たに提案されたオーバーキャップは、従来のオーバーキャップに対して開口操作性の点などで優れた効果を有するものの、操作の手順や方法が消費者に伝わりにくいという問題点が見つかった。

この発明は上記の如き事情に鑑みてなされたものであって、流出口や空気孔の形成が容易で、構造も簡単であり、購買者が切開部材の構造を見ただけで、その操作方法も推測し、理解し易いオーバーキャップを提供することを目的とするものである。

この目的に対応して、この発明のオーバーキャップは、
上下方向の上端開口部をシール蓋で閉じたシール容器に装着して前記シール蓋を切開するシール容器用オーバーキャップであって、
前記オーバーキャップは前記シール容器に装着可能な取付け裾部と前記容器の上端開口部を覆う前記上下方向に略垂直な天板を有する覆部とを有し、
前記覆部には穿孔が形成され、前記穿孔の縁にはヒンジを介して前記天板と一体に成形され前記ヒンジを回動中心として前記穿孔を通過して回動可能な切開部材が設けられ、
前記切開部材は前記シール蓋を切開可能な切刃と前記切刃が突出して形成されている切刃保持部材と
前記切刃保持部材の前記ヒンジ寄り基端部近傍より上方へ立ち上がる立設壁と前記立設壁にその先端部近傍が連接するとともに他端が前記ヒンジに連接していて、前記切開部材を回動させる押圧力を受けることが可能な指掛り部材とを備え、
前記切刃保持部材と前記指掛り部材とはそれぞれ前記容器の中心線と所定角度をなすとともに、前記指掛り部材を前記穿孔内に回動させたときに、前記穿孔の縁と前記指掛り部材の外縁との間に液体または空気が流通可能な間隙が形成される
ことを特徴としている。

請求項１に記載したオーバーキャップでは、シール蓋を切開する切開部材を有するが、その切開部材は切刃が形成された切刃保持部材の他に、刃部材に固定した指掛り部材を有し、それが容器の中心線と所定の角度をなすように形成したので、切開部材の大きさをあまり大きくすることなく、従来品と同じく、刃部材の操作が容易であり、ひいては飲み口、空気孔の形成を容易に行うことができる。切開部材はオーバーキャップ本体と一体であるのでオーバーキャップを形成する際の構造も簡単化される。使用者は指掛り部材を押し倒す方向を推測し理解することがより容易であり、シール蓋の切開操作が容易である。

請求項２に記載したオーバーキャップでは、天板の周縁に立ち上った流出案内壁部に近接して飲み口となる穿孔が形成されているので、内容物の飲用がきわめて容易である。使用者は指掛り部材を押し倒す方向を推測し理解することがより容易であり、シール蓋の切開操作が容易である。

請求項３に記載したオーバーキャップでは、指掛り部材の倒れ角度は９０°以下であるので、指掛り部材の押し倒しが容易であるとともに所定の高さを持つ流出案内壁部が切刃及び指掛り部材をガードする。

請求項４に記載したオーバーキャップでは切刃は穿孔と流出案内壁部との近接点に接近して設けられているので、切開されるシール蓋の孔と穿孔の先端が整合し、内容物の流出が円滑である。

請求項５に記載したオーバーキャップでは戻り防止ストッパーによって穿孔内で切開部材の姿勢が保持されるので、飲用時に切開部材が邪魔になることがない。

請求項６に記載したオーバーキャップでは、穿孔内に入った指掛り部材が切刃保持部材を上から覆うことになるので、開口後、飲用時のオーバーキャップの外観を機能的かつ体裁良くすることができる。

請求項７に記載したオーバーキャップでは、ストッパー片が穿孔の縁から内方に張り出していて穿孔に達した指掛り部材と干渉するので、指掛り部材が穿孔と面一になる位置が確保され、内容物の流出口の形状が一定で安定した状態となるので、内容物の注出流が安定する。

請求項８に記載したオーバーキャップでは、流出案内壁がシングルウォール構造となっているので、飲み口としての口当りが良好となり、また、注出時の液溜めの発生を防止することができる。

請求項９に記載したオーバーキャップでは隆起部が切開部材をガードするので、切開部材の破損部を防ぐことができる。

請求項１０に記載したオーバーキャップでは、切刃保持部材の下面に空気導入孔形成切刃を設けているので、シール蓋を切開する動作として切刃部材を押し倒したときに、同時にスプラッシュ防止用空気導入孔を形成することができる。

請求項１１に記載したオーバーキャップでは、シール蓋を突き刺すことが可能な刺し刃部材を有する空気孔形成部材を有するので、空気孔の形成が容易で、内容物の注出を円滑にすることができる。

請求項１２に記載したオーバーキャップでは、刺し刃部材に空気流通路が形成されているので、刺し刃部材をシール蓋に突き刺したままでもカップ内への空気の流入が円滑である。

請求項１３に記載したオーバーキャップでは、刺し刃部材の空気流通路の上端の出入り口は外方に向けて形成されているので、スプラッシュ現象が発生しても、安全に圧力を逃がすことができる。

請求項１４に記載したオーバーキャップでは、刺し刃部材が板ばねによって支持されて上死点と下死点のいずれかに位置決めされるので、刺し刃の位置を容易に確認することができ、したがって空気孔が形成されているか、形成されていないかを容易に確認することができる。

請求項１５に記載したオーバーキャップでは、切開部材の上面または下面に補強リブが設けられたので、切開部材の剛性が高まり、指掛り部材の動きを刃先に良好に伝えることができる。

請求項１６に記載したオーバーキャップでは、指掛り部材に指掛り表示マークが設けられているので、切開動作を間違いなく容易に行うことができる。

以下、この発明を実施するための最良の形態を示す図面を参照しつつ説明する。
図１及び図２において、１ａはこの発明の一実施例に係るオーバーキャップであり、オーバーキャップ１ａはカップ型容器２の上端に装着されて使用されるものである。

カップ型容器２の上端部はフランジ３が形成されており、その内側は開放して開放開口４となっており、その開放開口４はフランジ３にヒートシールされたフィルム状のシール蓋５で閉じられている。このシール蓋５がこの発明における切開の対象である。
オーバーキャップ１ａはカップ型容器２に装着可能なオーバーキャップ本体６とそのオーバーキャップ本体６にヒンジ１０を介して一体に連結して形成されている後述する切開部材７を有している。オーバーキャップの材質はポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成樹脂で構成することが望ましく、これらの樹脂を射出成形することによって、成形するのがよい。
特に図３から図９に示すようにオーバーキャップ本体６はカップ型容器２の上端部を覆う覆部１１とこの覆部１１をカップ型容器２に取付けるための取付け裾部１２とを肩部１３を介してオーバーキャップ本体６の中心線１４方向に同心状に連続させて有する。覆部１１は筒状の周壁１５とその下端を閉じる天板１６とを有する。
取付け裾部１２は中心線１４回りに半径方向に凸出するアンダーカット状の係止部１７を有し、この係止部１７がオーバーキャップ本体６がカップ型容器２に装着した場合に肩部１３と協働してカップ型容器２のフランジ３を挟んで、フランジ３とオーバーキャップ本体６とを固定させる。このとき、肩部１３の下面にはコンタクトリングやフィン１８（図９）などのシール部材がフランジ３の上面と液密に接触するように設けられているため、オーバーキャップ１ａのカップ型容器２との液密な装着が実現している。
オーバーキャップ本体６は中央位置に天板１６の上方に窪み２１を有し、かつ窪み２１を囲んで中心線１４周りに一周して立ち上がっている周壁１５を有する。
天板１６の直径方向の一端部に相当する縁部には周壁１５の流出案内壁３８に近接して穿孔２２が形成されている。穿孔２２はカップ型容器２内の内容液を流通させる孔または息継ぎ空気を流通させる孔として利用する孔である。穿孔２２の両側では天板１６が上方に向って隆起部２３が形成されている。この隆起部２３は穿孔２２から流出した内容物が横方向に流れるのを抑制して飲用者の口腔に流れを集中させる機能を発揮するとともに、傾斜面としたことにより、飲用時に飲用者の鼻やくちびるに当らない。
穿孔２２内には切開部材７が配置されていて、基端部で薄肉のヒンジ１０を介して天板１６に連結している。

切開部材７はシール蓋５を切開するための部材で、シール蓋５を切って切開する機能を有する。

切開部材７はヒンジ１０回りに回動して穿孔２２を通して変位可能である。

切開部材７はシール蓋５を切開可能な切刃２４とその切刃２４を突出させている切刃保持部材２５と指掛り部材２６とからなっている。

切刃２４は切刃保持部材２５の先端部下面から下方に突出している。切刃２４は鋭利な下端を有していてシール蓋５を切開可能である。

切刃保持部材２５は平面視が穿孔２２とほぼ相似の形状をなすが、大きさは穿孔２２よりもやや小さく、穿孔２２内に配置されたときに穿孔２２の縁との間に隙間が形成される。
指掛り部材２６は板状をなしていて切刃保持部材２５の上方にあって先端部で立設壁７４を介して切刃保持部２５に固定しており、このとき指掛り部材２６と切刃保持部２５とはカップ型容器２の中心線とオーバーキャップ本体６の窪み２１の最奥部に形成された穿孔２２とがなす角度９０°よりも小さい角度をなしている。指掛り部材２６がヒンジ１０周りに回動して穿孔２２とほぼ一致する位置になったときに穿孔２２の先端部の縁との間に内容物の流出口２８を形成する。

指掛り部材２６の上になる面には、操作手順や操作方法を示す指標３１が設けられている。指標３１は凹凸や平面図形で構成されていて、操作者が視認または触認が可能である。

図１０に示すように、切刃２４と切刃保持部材２５と指掛り部材２６と立設壁７４とは補強リブ３２、３３、３４で相互の連結が補強されている。

オーバーキャップ本体６の周壁１５は天板１６の周縁を一周して形成されているが、そのうち穿孔２２の先端に対面する部分３５とその他の部分３６とでは構成が異なっていて、穿孔２２の先端に対面する部分は口当りをするマウスピースとなる部分で、この部分は内周面が他の部分より外側に凹入していて樋状になっている液体通路３７を持つとともに他の周壁１５よりも高い流出案内壁３８を構成している。この流出案内壁３８は中実構造のシングルウォール構造となっている。一方、その他の部分３６は全周にわたって等厚で、かつ中空の二重構造のダブルウォール構造になっている。

穿孔２２の側縁からは内方にストッパー片４１が舌片状に張り出している。このストッパー片４１は穿孔２２に達した指掛り部材２６と干渉可能で、この干渉により指掛り部材２６が穿孔２２を通り抜けてカップ型容器２側に入り込むのを防止する。

このように構成されたオーバーキャップ１ａの操作は次の通りである。

図１１、図１２に示すように、切開部材７の指掛り部材２６を指標３１に従って指で押し上げると、指掛り部材２６及びこれと一体となった切刃２４がヒンジ１０の周りに回転して下降し、切刃２４がシール蓋５を切開して流出口２８が開口する。指掛り部材２６が穿孔２２の高さと一致すると指掛り部材２６が穿孔２２の縁のストッパーに当接して停止し、流出口２８の開口が終了する。この状態でカップ型容器２を口許で傾けると、内容液は流出口２８から流出し、穿孔２２の縁と指掛り部材２６の外縁との間の隙間４２を通して注出され、さらに周壁１５の樋状の流出案内壁３８の液体通路３７に案内されて送りだされ、飲むことができる。

図１３から図２１にはこの発明の第２の実施形態のオーバーキャップ１ｂが示されている。

この第２の実施形態に係るオーバーキャップ１ｂでは、第１の実施形態に係るオーバーキャップ１ａの切開部材７とは別に、空気流通孔を形成するためだけの空気孔形成部材５１が設けられている。

すなわち、天板１６に円形の開口５２が開設されており、その中に支持部材５３を介して空気孔形成部材５１が支持されている。空気孔形成部材５１は頂部に押しボタン部５４を有し、押しボタン部５４の下面から、突き刺し針５５が下方に向けて突出している。突き刺し針５５は下端にシール蓋５を突き刺して開口可能な鋭利な切刃５６を有している。また突き刺し針５５の側面には下端から押しボタン部５４の直下まで溝が形成されており、この溝は空気流通路５７を構成する。空気流通路５７の上端部は閉じて横向きの開口が形成されている。なお、突き刺し針５５を中空にして、その中空部を空気流通路５７とすることもできる。
支持部材５３は両端が薄肉のヒンジ６１を有し支持部材５３自体が板ばねとして機能するよう構成され天板１６と空気孔形成部材５１とともに一体に形成されている。

このように構成されたオーバーキャップ１ｂにおける空気孔形成の操作は次の通りである。

切開部材７による開口部の形成とは別の操作で空気孔を形成する。この空気孔を形成すれば、そこから空気が流通するので切開部７による開口部においては空気の流通を確保する必要がないので、穿孔２２とこれを通過する切開部材は小さくすることができる。

空気孔の形成操作として、空気孔形成部材５１の押しボタン部５４を下に押す。

押し下げられた押しボタン部５４は板ばね機能を有する支持部材５３が反転して下降し、押しボタン部５４の下面に設けられた切刃５６の先端がシール蓋を突き刺して容器内に入る。空気孔形成部材５１は突き刺し針５５（切刃５６）がシール蓋に突き刺さったままの姿勢を保つが空気は突き刺し針５５に形成された空気流通路５７を通って流通し、空気流のための通路が形成される。

図示した例では空気流通路５７の上端は外方に向いて開口しているので、カップ容器内の内圧が高まり開口時に内容液が吹き出すスプラッシュ現象が生じても、その吹き出しが直接に操作者に向いて吹きかかることはない。
このように構成されたオーバーキャップ１ｂでは、シール蓋を突き刺すことが可能な刺し刃部材を有する空気孔形成部材を有するので、空気孔の形成が容易で、内容物の注出を円滑にすることができる。
また突き刺し針に空気流通路が形成されているので、突き刺し針をシール蓋に突き刺したままでもカップ内への空気の流入が円滑である。
さらに突き刺し針は板ばね機能を有する支持部材によって支持されているので、シール蓋に突き刺す前後において、それぞれの姿勢を安定して維持することができる。また使用者に対して押ボタン５４がどの姿勢（位置）であるかを明示することができる。
この空気孔形成部材５１、支持部材５７は他の形式の切開部材をもつ他の形式のオーバーキャップにおいても使用することができる。例えば先に示した特許文献２の図１に開示されているオーバーキャップでは切開部材８を空気孔形成部材にしストラップヒンジ３４を支持部材とするストラップヒンジ形式の空気孔形成部材及び支持部材が切開部材７と組合わされて備えられているがこのストラップヒンジ形式の空気孔形成部材及び支持部材に替えて板ばね形式の空気孔形成部材５１及び支持部材５７を使用することもできる。
図２２から図２６にはこの発明の第３の実施形態のオーバーキャップ１ｃが示されている。
オーバーキャップ１ｃはカップ型容器に装着可能なオーバーキャップ本体６ｃとそのオーバーキャップ本体６ｃにヒンジ１０ｃを介して一体に連結して形成されている切開部材７ｃとからなっている。
オーバーキャップ本体６ｃはカップ型容器の上端部を覆う覆部１１ｃとこの覆部１１ｃをカップ型容器に取付けるための取付け裾部１２ｃとを肩部１３ｃを介してオーバーキャップ本体６ｃの中心線１４ｃ方向に同心状に連続させて有する。覆部１１ｃは筒状の周壁１５ｃとその下端を閉じる天板１６ｃとを有する。
オーバーキャップ本体６ｃは中央位置に天板１６ｃの上方に窪み２１ｃを有し、かつ窪み２１ｃを囲んで中心線１４ｃ周りに一周して立ち上がっている周壁１５ｃを有する。
天板１６ｃの直径方向の一端部に相当する縁部には周壁１５ｃの流出案内壁部３８ｃの直前に穿孔２２ｃが形成されている。穿孔２２ｃはカップ型容器内の内容液を流通させる孔または息継ぎ空気を流通させる孔として利用する孔である。穿孔２２ｃの両側では天板１６ｃが上方に盛り上って隆起部２３ｃが形成されている。
隆起部２３ｃは流出案内壁部３８ｃ寄りの下り斜面部７１ｃと反対寄りの上り斜面部７２ｃとからなっていて下り斜面部７１ｃと上り斜面部７２ｃとの境界線７３ｃが最も高くなっていて、この境界線７３ｃが後述する切開部材７ｃの指掛り部材２６ｃと立設壁７４ｃとの境界の側方に位置する。この下り斜面７１ｃ及び上り斜面７２ｃとも内側の穿孔２２ｃ寄りの部分よりも外側の周壁１５ｃ寄りの部分の方がやや高くなっている。
この隆起部２３ｃは切開部材７ｃに沿って位置していて、切開部材７ｃが他の物に接触して損傷するのを防ぐガードとしての機能を有し、かつ、穿孔２２ｃから流出した内容物が横方向に流れるのを抑制して飲用者の口腔に流れを集中させる機能を発揮する。
穿孔２２ｃ内には切開部材７ｃが配置されていて、基端部でヒンジ１０ｃを介して天板１６ｃに連結している。ヒンジ１０ｃは薄肉にして形成されている。

切開部材７ｃはヒンジ１０ｃ回りに回動して穿孔２２ｃを通して変位可能である。

切開部材７ｃはシール蓋５ｃを切開可能な切刃２４ｃとその切刃２４ｃを突出させている切刃保持部材２５ｃと切刃保持部材２５ｃのヒンジ１０ｃ寄り基端部近傍より上方へ立ち上る立設壁７４ｃとこの立設壁７４ｃにその近傍が連接するとともに他端がヒンジに連設し、切開部材７ｃを回動させる押圧力を受けることが可能な指掛り部材２６ｃとからなっている。

切刃２４ｃは切刃保持部材２５ｃの先端部下面から下方に突出している。切刃２４ｃは鋭利な下端を有していてシール蓋５ｃを切開可能である。

切刃保持部材２５ｃは平面視が穿孔２２ｃとほぼ相似の形状をなすが、大きさは穿孔２２ｃよりもやや小さく、穿孔２２ｃ内に配置されたときに穿孔２２ｃの縁との間に隙間が形成される。
指掛り部材２６ｃは板状をなしていて切刃保持部材２５ｃの上方にあって先端部で立設壁７４を介して切刃保持部２５ｃに固定しており、このとき指掛り部材２６ｃと切刃保持部２５ｃとはカップ型容器２の中心線に対して９０°よりも小さい角度をなしている。指掛り部材２６ｃがヒンジ１０ｃ周りに回動して穿孔２２ｃとほぼ一致する位置になったときに穿孔２２ｃの先端部の縁との間に内容物の流出口２８ｃを形成する。

指掛り部材２６ｃの上になる面には、操作手順や操作方法を示す指標３１ｃが設けられている。指標３１ｃは凹凸や平面図形で構成されていて、操作者が視認または触認が可能である。

図２３に示すように、切開部材７ｃの上面において立設壁７４ｃと切刃保持部材２５ｃは補強リブ３２ｃで相互の連結が補強され、切開部材７ｃの下面において切刃２４ｃと切刃保持部材２５ｃと及び立設壁７４ｃと指掛り部材２６ｃは補強リブ３３ｃ、３４ｃで相互の連結が補強されている。
切開部材７ｃと穿孔２２ｃとの間には、図２５に示すように、２種類のストッパー構造、すなわち、通過防止ストッパー構造７５ｃと戻り防止ストッパー構造７６ｃとを備えている。
通過防止ストッパー構造７５ｃは、切開部材７ｃの基端部において指掛り部材２６ｃから側方に張り出す板状のストッパー片７７ｃが設けられる。指掛り部材２６ｃとストッパー片７７ｃとの間は補強リブ７８ｃが設けられて両者を連結し、補強している。
切開部材７ｃが切開動作として穿孔２２ｃ内に押し込まれたときに、切開部材７ｃが過度に穿孔２２ｃを行き過ぎてカップ型容器内に入り込むのを防止するためのストッパー構造であり、戻り防止ストッパー構造７６ｃは、逆に、穿孔２２ｃ内に押し込まれた切開部材７ｃがヒンジ１０ｃのっ弾性復元によって穿孔２２ｃ内に止まらずに、穿孔２２ｃ内から元の方向に戻り出てしまうのを切開部材７ｃを抑えて防ぐためのストッパー構造である。
通過防止ストッパー構造７５ｃでは隆起部２３ｃの穿孔２２ｃに向いた側面８ｃからストッパー８２ｃが穿孔２２ｃの内側に向って突出しており、また戻り防止ストッパー構造７６ｃでは同じ側面８１ｃからストッパー８３ｃが穿孔２２の内側に向って突出している。
これらのストッパー８２ｃ、８３ｃは共に切開動作として指掛り部材２６が穿孔２２ｃに入り込んだときに指掛り部材２６と干渉する位置に突出している。
通過防止用のストッパー８２ｃは、隆起部２３ｃの側面８１ｃからの突出量が大きく、太さも太く、剛性が大きく構成されているので切開部材７ｃのストッパー片７７ｃと当接した場合にも、ストッパー片７７ｃがストッパー８２ｃを乗り越えることがないので、切開部材７ｃの移動は穿孔２２ｃと一致する位置で停止される。一方、戻り防止ストッパー構造７６ｃのストッパー８３ｃは突出量も小さく、太さも細く、剛性が小さく、弾性撓みを起こし易い構造に構成されているので、切開部材７ｃの切開動作のときには、切開部材７ｃのストッパー片７７ｃは戻り防止用のストッパー８３ｃと当接したときには、ストッパー８３ｃを弾性撓みさせて戻り防止ストッパー７６ｃを乗り越えて穿孔２２と一致する位置まで達することができるが、このときには、戻り防止ストッパー構造７６ｃは元の状態に弾性復元しているので、その復元したストッパー７６ｃが切開部材７ｃのストッパー片７７ｃと当接して切開部材７ｃの戻り抜け出しを抑止する。

図２６に示すように、切開部材７の指掛り部材２６ｃを指標３１ｃに従って指で押し上げると、指掛り部材２６ｃ及びこれと一体となった切刃２４ｃがヒンジ１０ｃの周りに回転して下降し、切刃２４ｃがシール蓋５を切開して流出口２８ｃが開口する。指掛り部材２６ｃが穿孔２２ｃの高さと一致すると指掛り部材２６ｃが穿孔２２ｃの縁のストッパーに８２ｃ、８３ｃに拘束されて姿勢を保持し、流出口２８ｃの開口が終了する。この状態でカップ型容器を口元で傾けると、内容液は流出口２８ｃから流出し、穿孔２２ｃの縁と指掛り部材２６ｃの外縁との間の隙間４２ｃを通して注出され、飲むことができる。

このオーバーキャップ１ｃでもシール蓋を切開する切開部材を有するが、その切開部材は刃部材の他に、刃部材に固定した指掛り部材を有するので、刃部材の操作が容易であり、ひいては飲み口、空気孔の形成が容易である。切開部材はオーバーキャップ本体と一体であるのでオーバーキャップの構造が簡単になる。オーバーキャップは上方に立ち上がった流出案内壁を有するので、それが飲用時のマウスピースとして機能し、内容物の飲用がきわめて容易である。また切開部材に固定している指掛り部材が所定の角度に傾いているので、使用者は指掛り部材を押し倒す方向を推測し理解することが容易であり、シール蓋の切開操作が容易である。
また、指掛り部材の倒れ角度は９０°以下であるので、指掛り部材の押し倒しの方向を指す機能を発揮する。
また、指掛り部材に視認可能または触認可能な指標が設けられるので、操作の内容を一層明確に理解させることができる。この場合指掛り部材自体が一定角度で傾斜していて、指標が設けられた指掛り部材の側面が上から良く見えるので、操作内容の理解が一定確実である。
さらに、切刃保持部材を指掛り部材が覆うことになり、上からは指掛り部材しか見えないので、必要な動作の過程を単純化して操作者に理解させることができて操作者に不安を与えることがない。
そのうえ、ストッパー片が穿孔の縁から内方に張り出していて穿孔に達した指掛り部材と干渉するので、指掛り部材が穿孔と面一になる位置が確保され、内容物の流出口の形状が一定で安定した状態となるので、内容物の注出流が安定する。
しかも、流出案内壁がシングルウォール構造となっているので、飲み口としての口当りが良好となり、また、注出時の液溜めの発生を防止することができる。
また、流出案内壁の内側壁面は外側にあるために、内側壁面が樋状となり、内容物の飲用が円滑である。

図２７から図２９は第４、第５及び第６の実施例に係るオーバーキャップ１ｄ、１ｅ、１ｆが示されている。
これらのオーバーキャップ１ｄ、１ｅ、１ｆに共通する特徴は覆部１１の筒状の周壁１５が中心線１４周りの全周長にわたって等高である点と、穿孔２２の側縁から内方に張り出すストッパー片４１の幅を大きくして穿孔２２に達した指掛り部材２６ｄ、２６ｅ、２６ｆと干渉して指掛り部材２６ｄ、２６ｅ、２６ｆが穿孔２２を通り抜けてカップ型容器２側に入り込むのを防止する機能を確実にした点にある。

以上の説明から明らかな通りこの発明によれば、流出口や空気孔の形成が容易で、構造も簡単であり、購買者が切開部材の構造を見ただけで、その操作方法も推測し、理解し易いオーバーキャップを得ることができる。

オーバーキャップをカップ型容器に装着した状態を示す斜視図 オーバーキャップの縦断面図 オーバーキャップの平面図 オーバーキャップの底面図 オーバーキャップの正面図 オーバーキャップの背面図 オーバーキャップの右側面図 オーバーキャップの左側面図 オーバーキャップの縦断面図 切開部材を示す図で（ａ）の平面図、（ｂ）は側面図 オーバーキャップの切開動作を示す図で、（ａ）は斜視図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は縦断面図 オーバーキャップの切開動作時の縦断面図 他のオーバーキャップをカップ型容器に装着した状態を示す斜視図 他のオーバーキャップの平面図 他のオーバーキャップの底面図 他のオーバーキャップの正面図 他のオーバーキャップの背面図 他のオーバーキャップの右側面図 他のオーバーキャップの左側面図 他のオーバーキャップの縦断面図 他のオーバーキャップの切開動作を示す図で、（ａ）は斜視図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は縦断面図、（ｄ）は空気孔形成部材の縦断面図、（ｅ）は空気孔形成部材の斜視図 他のオーバーキャップの切開部材の斜め上方から見た斜視説明図 他のオーバーキャップの切開部材の斜め側方から見た斜視説明図 他のオーバーキャップの開封操作前の状態を示す図で（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）におけるｂ−ｂ部断面図 他のオーバーキャップの開封操作前の状態を示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）におけるｂ−ｂ部断面図、（ｃ）は底面図である 他のオーバーキャップの開封操作後の状態を示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）におけるｂ−ｂ部断面図 他の実施形態のオーバーキャップを示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は縦断面図である。 他の実施形態のオーバーキャップを示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は縦断面図である。 他の実施形態のオーバーキャップを示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は縦断面図である。 他のオーバーキャップの平面図

符号の説明

１ａ、１ｂ、１ｃ オーバーキャップ
２ カップ型容器
３ フランジ
４ 開放開口
５ シール蓋
６ オーバーキャップ本体
７、７ｃ 切開部材
１０ ヒンジ
１１ 覆部
１２ 取付け裾部
１３ 肩部
１４ 中心線
１５ 周壁
１６ 天板
１７ 係止部
１８ フィン
２１ 窪み
２２ 穿孔
２３ 隆起部
２４ 切刃
２５、２５ｃ 切刃保持部材
２６，２６ｃ、２６ｄ、２６ｅ、２６ｆ 指掛り部材
２７ 切り欠き凹部
２８ 流出口
３１ 指標
３２、３２ｃ 補強リブ
３３ 補強リブ
３４、３４ｃ 補強リブ
３５ 対面する部分
３６ その他の部分
３７ 液体通路
３８ 流出案内壁部
４１ ストッパー片
５１ 空気孔形成部材
５２ 空気用開口
５３ 支持部材
５４ 押ボタン部
５５ 突き刺し針
５６ 切刃
５７ 空気流通路
５８ 支持部材
６０ ヒンジ
６１ ヒンジ
６２ 板ばね
７１ｃ 下り斜面部
７２ｃ 上り斜面部
７３ｃ 境界部
７４、７４ｃ 立設壁
７５ｃ 通過防止ストッパー構造
７６ｃ 戻り防止ストッパー構造
７７ｃ ストッパー片
７８ｃ 補強リブ
８１ｃ 側面
８２ｃ ストッパー
８３ｃ ストッパー

Claims (16)

1. 上下方向の上端開口部をシール蓋で閉じたシール容器に装着して前記シール蓋を切開するシール容器用オーバーキャップであって、
   前記オーバーキャップは前記シール容器に装着可能な取付け裾部と前記容器の上端開口部を覆う前記上下方向に略垂直な天板を有する覆部とを有し、
   前記覆部には穿孔が形成され、前記穿孔の縁にはヒンジを介して前記天板と一体に成形され前記ヒンジを回動中心として前記穿孔を通過して回動可能な切開部材が設けられ、
   前記切開部材は前記シール蓋を切開可能な切刃と前記切刃が突出して形成されている切刃保持部材と
   前記切刃保持部材の前記ヒンジ寄り基端部近傍より上方へ立ち上がる立設壁と前記立設壁にその先端部近傍が連接するとともに他端が前記ヒンジに連接していて、前記切開部材を回動させる押圧力を受けることが可能な指掛り部材とを備え、
   前記切刃保持部材と前記指掛り部材とはそれぞれ前記容器の中心線と所定角度をなすとともに、前記指掛り部材を前記穿孔内に回動させたときに、前記穿孔の縁と前記指掛り部材の外縁との間に液体または空気が流通可能な間隙が形成されることを特徴とするカップ用オーバーキャップ。
2. 前記天板の周縁の少なくとも一部分に立ち上がった流出案内壁部をもつ周壁が形成され
   かつ前記流出案内壁部に近接して前記穿孔が形成されていることを特徴とする請求項１に記載のカップ用オーバーキャップ。
3. 前記切刃保持部材と前記指掛り部材とは、それぞれ前記容器の中心線と９０度以下の角度をなして形成され、
   前記切刃の先端部から前記指掛り部材の上端部までの上下方向の幅は、前記流出案内壁部の高さよりも小さいことを特徴とする請求項１または２記載のカップ用オーバーキャップ。
4. 前記穿孔は前記流出案内壁部に近接して設けられ、
   前記切刃は前記穿孔と前記流出案内壁部との近接点に接近して配置されていることを特徴とする請求項２または３に記載のカップ用オーバーキャップ。
5. 前記穿孔の縁から内側に張り出していて前記穿孔に達した指掛り部材と干渉して前記指
   掛り部材の前記穿孔からの戻り離脱を抑止する戻り防止ストッパー片を備えることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載のカップ用オーバーキャップ。
6. 前記指掛り部材を前記穿孔内に回動させたときに、前記上下方向の前記切刃保持部材の前記指掛り部材が上から覆うように構成されていることを特徴とする請求項１〜５のいずれかに記載のカップ用オーバーキャップ。
7. 前記穿孔の縁から内側に張り出していて前記穿孔内に回動した指掛り部材と干渉するス
   トッパー片を有することを特徴とする請求項１記載のカップ用オーバーキャップ。
8. 前記周壁のうち前記流出案内壁部は中実構造で構成され、他の部分は中空構造で構成さ
   れていることを特徴とする請求項１記載のカップ用オーバーキャップ。
9. 前記穿孔の両側に前記天板が上方に隆起した隆起部が設けられ、かつ前記隆起部の上面
   は前記穿孔寄りの内側部分よりも前記周壁寄りの外側部分の方が高さが高い斜面をなしていることを特徴とする請求項１〜８のいずれか記載のカップ用オーバーキャップ。
10. 前記切刃保持部材の前記ヒンジ寄りの部位に、前記シール蓋を切開可能な空気導入孔形
    成切刃を設けたことを特徴とする請求項１〜９のいずれか記載のカップ用オーバーキャッ
    プ。
11. 前記オーバーキャップ本体の前記天板と一体に形成され前記シール蓋を突き刺すことが
    可能な刺し刃部材を備えた空気孔形成部材を有することを特徴とする請求項１〜１０のいずれか記載のカップ用オーバーキャップ。
12. 前記刺し刃部材は上下方向に空気流通路が形成されていることを特徴とする請求項１１記載のカップ用オーバーキャップ。
13. 前記刺し刃部材には、上部が径方向に向って開口し、下部が下方向に向って開口する断
    面逆Ｌ字状の空気流通路が形成されていることを特徴とする請求項１１または１２記載のカップ用オーバーキャップ。
14. 前記刺し刃部材はヒンジを介して天板に連設される複数の板ばねによって支持され、前
    記板ばねは弾性変形することにより前記刺し刃部材の上死点と下死点とを移動可能としていることを特徴とする請求項１１〜１３いずれか記載のカップ用オーバーキャップ。
15. 前記立設壁の表側及び裏側の一方または両方に補強用リブを設けたことを特徴とする請求項１〜１４のいずれか記載のカップ用オーバーキャップ。
16. 前記指掛り部材の前記容器の上面方向に向く面には、視認可能もしくは触認可能な指掛り表示マークが設けられていることを特徴とする請求項１〜１５のいずれか記載のカップ用オーバーキャップ。

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