JP2009298316A - パワートレイン支持装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パワートレイン30を車体200に懸吊・支持するパワートレイン支持装置100であって、車体200側に取り付けられる上部ブラケット110と、パワートレイン30側に取り付けられる下部ブラケット130と、下部ブラケット130と上部ブラケット110間に位置すると共に貫通孔124を有する緩衝部材120と、下端が下部ブラケット130に連結すると共に緩衝部材120の貫通孔124に遊挿して上端部が前記上部ブラケット110側に支持される懸吊部材140とを有し、前記緩衝部材120の貫通孔124の車幅方向面に、前記パワートレイン30が変位したときに前記懸吊部材140と接触する幅方向突起部126を備える。
【選択図】 図2
Description
また、最近のパワートレイン支持装置のなかには、エンジンなどの振動を低減するだけでなく、これらの重量の大きいパワートレインの影響による操縦安定性や乗り心地の向上などを図ったものも提案されている。
そこで、本発明の主な目的は、簡単な構造で操縦安定性や乗り心地を向上できる新規なパワートレイン支持装置を提供するものである。
(構成)
図1は、本発明に係るパワートレイン支持装置100を前置きエンジン前輪駆動車に適用した場合の実施の一形態を示す平面図である。
図中符号10は駆動源であるエンジン、20はこのエンジン10の出力側に一体化して直列に連結したトランクアクスルである。これらエンジン10およびトランクアクスル20によってエンジン横置き型のパワートレイン30を構成している。
そして、3つのパワートレイン支持装置100、101、102によって、このパワートレイン30を車体200の一部を構成するサイドメンバ40およびクロスメンバ50にそれぞれ3点支持している。
図示するように、このパワートレイン支持装置100は、上部ブラケット110と、ブッシュなどと称される緩衝部材120と、下部ブラケット130と、懸吊部材140とからなっている。以下、これら各部材について説明する。
この緩衝部材120は、例えば強化ゴムやウレタン、ジュラコンなどの適度な弾性変形能を有する合成樹脂などから構成することができる。この緩衝部材120は、フランジ状をした上部ブッシュ121と、角柱状をした下部ブッシュ122とからなる。そして、この上部ブッシュ121が上部ブラケット110の上方に位置する。また、下部ブッシュ122がこの上部ブラケット110の取付孔111に嵌め込まれるように貫通して下方に延びる。これによって、下部ブッシュ122を上部ブラケット110側に一体的に取り付けた構造となっている。
下部ブラケット130は、逆三角フレーム形状をしたブラケット本体131の各頂部付近にそれぞれボルト孔132、132,132を有する。そして、このボルト孔132、132,132にそれぞれ図示しない固定ボルトを差し込んでパワートレイン30のトランクアクスル20側に締結する。これによって、パワートレイン30側に一体的に取り付けることを可能としている。
すなわち、この懸吊部材140は、下部ブラケット130の上面に固定されるベース板141と、このベース板141の中央に植設されたブラケットボルト142とを有する。さらにこの懸吊部材140は、このブラケットボルト142の周囲を覆う硬質の柱状体143と、このブラケットボルト142の先端に締結される懸吊板144(図2参照)とを有する。
すなわち、図5に示すように、この貫通孔124は、その水平断面形状が車幅方向および車両前後方向にそれぞれ平行な矩形状となっている。そして、この貫通孔124の車両前後方向の各面に、それぞれ前後方向突起部125を3つずつ有すると共に、この貫通孔124の車幅方向の各面に、それぞれ幅方向突起部126を2つずつ有している。さらに、これら各前後方向突起部126、126、…の水平断面形状を、それぞれ車体幅方向および前後方向に平行な矩形状としている。また、前後方向突起部125,125、…の水平断面形状を、それぞれ懸吊部材140側を頂点とする略三角形状としている。
なお、図2は柱状体143の車幅方向の片面に、また、図4は柱状体143の車両前後方向の片面に、それぞれ凹部145、145を設けた例を示したものであり、その形成位置や数、組み合わせは特に限定されるものでない。
次に、このような構成をした本発明に係るパワートレイン支持装置100の動作および作用を説明する。
先ず、図5(A)に示すように、アイドリング時(停車時)や直線定速走行時などのように車両の幅方向および前後方向のいずれにも力が加わっていない状態では、パワートレイン30が車幅方向および車両前後方向のいずれにも殆ど変位しない。
このため、懸吊部材140と貫通孔124との間(突起125,126先端との間)、すなわち車両前後方向および車幅方向には、それぞれ所定のクリアランスC1,C2が確保された状態となる。従って、この状態では、パワートレイン30で発生する駆動振動などが懸吊部材140の柱状体143から緩衝部材120の下部ブッシュ122に直接伝わることがなくなる。この結果、パワートレイン30から車体200側に入力する駆動振動を効果的に遮断できる。
しかしながら、本発明に係るパワートレイン支持装置100にあっては、この貫通孔124の車幅方向内面に設けられた幅方向突起部126によって、そのクリアランスC1が狭くなっている。また、変位に際してその幅方向突起部126がこの懸吊部材140の柱状体143と直接接するようになっている。このため、懸吊部材140の柱状体143が変位してこの幅方向突起部126に接触すると、この幅方向突起部126が潰れるように変形してその変位エネルギーを吸収するように作用する。
すなわち、図6(A)、(B)に示すように、仮にこの貫通孔124に前記の幅方向突起部126がない場合では、その分だけ懸吊部材140と貫通孔124内面とのクリアランスC3が大きくなる。また、パワートレイン30が車幅方向に大きく変位した際には、この懸吊部材140がその貫通孔124の表面に勢い良く衝突するように接触することになる。
これによって、パワートレイン30が元の位置に戻る際の加速度が大きくなってそのパワートレイン30が発生する慣性力も増大する。従って、転舵を戻した後も振り子のように動いて直ちにその変位が収束しないため、パワートレイン30が元の位置に戻るまでの時間が長くなり、操舵応答性を悪化させてしまうことになる。
これに対し、図中破線に示すように貫通孔124の車幅方向に幅方向突起部126がある場合では、パワートレイン30の変位量が約−2.5mm〜+3.0mmと小さい。しかも、懸吊部材140が貫通孔124(幅方向突起部126)に接触した直後にパワートレイン30に作用する反力の立ち上がり(時間変化)も緩やかとなっている。
また、この幅方向突起部126は、貫通孔124の幅方向両面にそれぞれ少なくとも1つ以上備わっていれば、前記の作用・効果を発揮することが可能であるが、懸吊部材140が偏心して変位した場合には、幅方向突起部126に直接接触しないことも考えられる。
これによって、懸吊部材140が偏心して変位しても確実にこの幅方向突起部126に接触するようになるため、前記の作用・効果を確実に発揮することができる。
また、本発明のパワートレイン支持装置100では、前記特許文献1に示されているように弾性体のなかに液体を封入するような構造となっていない。そのため、構造が簡単となり、コスト高を回避できる。また、サイズも大きくならないため、レイアウト自由度を損なうこともない。
すなわち、車両旋回と加減速が同時起きた場合には、パワートレイン30が斜め方向に変位するため、このパワートレイン30を支持する懸吊部材140と接触する幅方向突起部126には、圧縮方向と剪断方向の力が同時に加わることになる。
これによって、剪断力による応力集中係数を小さくできるため、幅方向突起部126の耐久性能を大幅に向上させることができる。
これによって、例えば図10に示すようにこの緩衝部材120、特にその下部ブッシュ122を射出成形などに作成した後に容易にその型150から貫通孔124の開口部124a方向に抜き出すことが可能となるため、製造コストの低減と安定した品質を確保できる。
これによって、パワートレイン30が車両前後方向に変位して前後方向突起部125に接触することによる緩衝部材120への前後方向の入力時間変化をより緩やかにできるため、パワートレイン30の車両前後方向の変位を短時間で収束することができる。
また、本発明のパワートレイン支持装置100では、前記懸吊部材140の側面の一部に凹部144を形成している。
(1)本発明のパワートレイン支持装置100は、緩衝部材120の貫通孔124の車幅方向面に懸吊部材140と接触する幅方向突起部126を備える。このため、懸吊部材140が接触した際にこの幅方向突起部126が潰れるように変形してその変位エネルギーを吸収するように作用する。これによって、そのパワートレイン30の慣性力を小さくできるため、その変位を短時間で収束できる。この結果、転舵応答性が向上する。
(3)また、本発明のパワートレイン支持装置100は、この各幅方向突起部126の水平断面形状をそれぞれ車幅方向および前後方向に平行な矩形状にする。これによって、この緩衝部材120およびその幅方向突起部126の耐久性を大幅に向上できる。この結果、剪断力による応力集中係数を小さくできるため、幅方向突起部126の耐久性能が大幅に向上する。
(6)本発明のパワートレイン支持装置100は、懸吊部材140の側面の一部に凹部144を有する。これによって、懸吊部材140と貫通孔124の突起部125、126との接触面の接触面圧に適度な変動を発生させることができる。この結果、剛性が高い懸吊部材140と剛性が小さい突起部125、126との接触時の接触音を低減できる。
110…上部ブラケット
120…緩衝部材
121…上部ブッシュ
122…下部ブッシュ
124…貫通孔
124a…開口部
125…前後方向突起部
126…幅方向突起部
130…下部ブラケット
140…懸吊部材
143…柱状体
144…懸吊板
145…凹部
150…射出成型用の型
200…車体
10…エンジン
20…トランクアクスル
30…パワートレイン
Claims (6)
- パワートレインを車体に懸吊して支持するためのパワートレイン支持装置であって、
前記車体側に取り付けられる上部ブラケットと、前記パワートレイン側に取り付けられる下部ブラケットと、当該下部ブラケットと前記上部ブラケット間に位置すると共に車両上下方向に延在する貫通孔を有する緩衝部材と、下端が当該下部ブラケットに連結すると共に前記緩衝部材の貫通孔に遊挿して上端部が前記上部ブラケット側に支持される懸吊部材とを有し、
前記緩衝部材の貫通孔の車幅方向面に、前記パワートレインが変位したときに前記懸吊部材と接触する幅方向突起部を備えたことを特徴とするパワートレイン支持装置。 - 請求項1に記載のパワートレイン支持装置において、
前記緩衝部材の貫通孔および前記懸吊部材の水平断面形状を、それぞれ前記車体の幅方向および前後方向に平行な矩形状にすると共に、前記幅方向突起部を前記緩衝部材の貫通孔の車幅方向両面に、それぞれ少なくとも2つ以上ずつ備えたことを特徴とするパワートレイン支持装置。 - 請求項2に記載のパワートレイン支持装置において、
前記各幅方向突起部の水平断面形状を、それぞれ矩形状にしたことを特徴とするパワートレイン支持装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のパワートレイン支持装置において、
前記幅方向突起部を、前記緩衝部材の貫通孔の開口部方向に向かって延在するように形成したことを特徴とするパワートレイン支持装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のパワートレイン支持装置において、
前記貫通孔の前記車両前後方向面に、前記パワートレインが前記車両前後方向に変位したときに前記懸吊部材と接触する前後方向突起部をそれぞれ備えると共に、当該各前後方向突起部の水平断面形状を、前記懸吊部材側に向かって徐々に狭くなる形状にしたことを特徴とするパワートレイン支持装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のパワートレイン支持装置において、
前記懸吊部材の側面に凹部を形成したことを特徴とするパワートレイン支持装置。
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