JP2009293587A - オイルジェット構造 - Google Patents

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圭一 上村
Hironori Kizaki
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Abstract

【課題】オイルジェットの本体ボディの端部から入りオイル供給管へ流れ出るオイルの流れを少ない部品数で略直線的な流れにして流動抵抗を小さくすることができ、オイルの圧力が高くなっても十分なオイル噴出量を確保できるようにする。
【解決手段】オイルジェットの本体ボディ10の通路部11の内部のオイル供給管20の拡径部22の内部底面とコイルスプリング16との間に、頂部周縁側がコイルスプリング16を着座させるスプリング受け座部72を構成し、そのスプリング受け座部72に、通路部11をオイル供給管20連通させる連絡路73をコイルスプリング16の着座部位を径方向に跨ぐ配置で設けたスペーサ部材17を介在させる。
【選択図】図5

Description

本発明はエンジン用のオイルジェット構造に関する。
自動車用等のエンジンに用いられるオイルジェット、例えばピストンの冷却並びにボア周面の潤滑のためにピストンに対し裏側からオイルを噴き付けるオイルジェットとしては、本体ボディの内部に軸方向の通路部を形成する空間を有し、その空間にボール状の弁とその弁を受けて閉弁方向へ付勢するコイルスプリングが収容され、弁と反対側の端部に、あるいは本体ボディの側面側に、先端にノズル部を有するオイル供給管が接続されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。これらのオイルジェットは、例えばエンジンのシリンダブロックに取り付けられ、オイルポンプで加圧されたオイルがシリンダブロックのオイル通路を経て供給され、弁を押し開いて本体ボディ内の通路部に流入する。
特開2006−291899号公報
ところで、ピストンの冷却やボア周面の潤滑のためには、エンジンの回転数が高くなるほどオイルジェットにより噴出するオイルの量を多くする必要がある。そのため、使用されるオイルポンプはエンジンのクランク軸を駆動源とする機械式ポンプであるのが普通で、その場合、吐出されるオイル量はエンジンの回転数に比例し、エンジンの回転数が高くなると油圧が高くなって、オイルジェットに流入するオイルの量が増える。
ところが、本体ボディの側面側にオイル供給管を接続したオイルジェットの場合は、本体ボディ内部の空間に軸方向から入ったオイルが横方向に大きく向きを変えてオイル供給管へ流れるため、オイル流量が増えると流動抵抗が著しく増大する。
それに対し、弁と反対側の端部にオイル供給管を接続したオイルジェットの場合は、軸方向に入ったオイルがコイルスプリングに沿って流れ、そのままオイル供給管へ流れて行くため、オイル流量が増えてもそれほど流動抵抗が増えないと考えられ、そのため、エンジンの回転数が上がってもオイルジェット内の流動抵抗を小さくしてオイルの噴出量を確保しやすいようにするためには、このように弁と反対側の端部にオイル供給管を接続したオイルジェットの方が適していると考えられる。
しかしながら、このように弁と反対側の端部にオイル供給管を接続したオイルジェットの場合も、従来の構造では、弁が開いて流入したオイルは、コイルスプリングの外側からコイルのピッチ間の隙間を通って内側に入り、コイルスプリングの内側からオイル供給管へ流れ出ていくため、エンジンの回転数が上がって、流入するオイルの圧力が高くなると、弁の開き度合いが大きくなり、その分、コイルスプリングが圧縮され、コイルのピッチ間の隙間が小さくなって、オイルの流動抵抗が大きくなるという問題がある。
本発明は、オイルジェットの本体ボディの端部から入りオイル供給管へ流れ出るオイルの流れを少ない部品数で略直線的な流れにして流動抵抗を小さくすることができ、オイルの圧力が高くなっても十分なオイル噴出量を確保できるオイルジェット構造を提供することを目的とする。
本発明のオイルジェット構造は、内部に軸方向に延びる通路部が形成されるとともに該通路部に連通する上流側開口部および下流側開口部が形成され、通路部の上流側に弁座が形成され、通路部に弁座に着座するボール状の弁と該弁を弁座に着座する閉弁位置に向けて付勢するコイルスプリングが収容され、上流側開口部がエンジン本体のオイル通路に連通するようエンジン本体に取り付けられる本体ボディと、先端にノズル部を有する管本体の基端側に拡径部が形成されたオイル供給管とからなり、オイル供給管の拡径部が本体ボディの通路部の下流側開口部に嵌合固定されたオイルジェットにおいて、オイル供給管の拡径部の内部底面とコイルスプリングとの間に、コイルスプリングを着座させるとともに少なくとも該コイルスプリングの着座部位よりも径方向外側において通路部をオイル供給管の管本体上流部に連通させる連絡路を有するスペーサ部材を介在させたことを特徴とする。
このオイルジェット構造によれば、エンジン本体のオイル通路に供給されたオイルが弁を押し開いて本体ボディ内の通路部に流入し、コイルスプリングの外側をそのまま軸方向に流れ、コイルスプリングの着座部位よりも径方向外側に位置する連絡路を通って略直線的な流れのままオイル供給管へ流れ、オイル供給管のノズル部から噴出される。そのため、流入するオイルの圧力が高くなっても、コイルスプリングの隙間が小さくなることによる影響は少なくて、流動抵抗は小さいままで、流量が安定し、十分なオイル噴出量を確保できる。しかも、スペーサ部材を介在させるだけの簡単で部品数の少ない構成となる。
このオイルジェット構造において、スペーサ部材は、オイル供給管の拡径部の内周に沿って該拡径部の内部底面に着座する脚部と、コイルスプリングを着座させるスプリング受け座部とを有し、スプリング受け座部に連絡路が設けられているものであるのがよい。スペーサ部材はこのような簡素な構造とすることで、プレス成形が可能となり、低コストとなる。
そして、このスペーサ部材は、スプリング受け座部に設けられた連絡路が脚部まで広がっていてもよい。そのように連絡路を脚部まで広げることで、コイルスプリングの外側から略直線的にオイル供給管へオイルを流す連絡路の面積を大きくすることができ、一層の流量安定化を図ることができる。
また、このスペーサ部材は、スプリング受け座部のコイルスプリングの着座部位よりも径方向内側に、通路部をコイルスプリングの内側からオイル供給管の管本体上流部に連通させる第2の連絡路を有するものとしてもよい。そうすることで、コイルスプリングの内側からもオイル供給管へオイルを流すことができ、その分、オイル流量を補える。
このように本発明のオイルジェット構造によれば、オイルジェットの本体ボディの端部から入りオイル供給管へ流れ出るオイルの流れを少ない部品数で略直線的な流れにして流動抵抗を小さくすることができ、オイルの圧力が高くなっても十分なオイル噴出量を確保できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図6は、本発明の実施形態の一例を示している。図1はオイルジェット構造の全体斜視図、図2はオイルジェットの斜視図、図3はオイルジェットの正面図、図4はオイルジェットの部分断面図、図5は図4の部分拡大図、図6はオイルジェットのスペーサ部材の斜視図である。
この実施形態のオイルジェット1は、自動車用の多気筒エンジンのピストンの冷却並びにボア周面の潤滑のためにピストンに対し裏側からオイルを噴き付けるよう、エンジンのシリンダブロック2(エンジン本体)の各気筒のボア(シリンダボア)3の下端周辺に位置するクランク室上壁部位に取り付けられたものである(図1参照)。
オイルジェット1は、本体ボディ10と、オイル供給管20と、本体ボディ10を保持してシリンダブロック2に締結固定するブラケット30とで構成されている(図1〜図3参照)。
本体ボディ10は、内部に軸方向に延びる通路部11を有するとともに、上下に、通路部11に連通する上流側開口部12および下流側開口部13が有し、通路部11の上流側に環状テーパ面を有する弁座14を有している。
また、オイル供給管20は、ピストンの裏側に入り込むように緩やかに湾曲した管本体の先端にノズル部21を有し、また、管本体の基端側に、本体ボディ10の通路部11に嵌合される拡径部22を有している(図2〜図4参照)。
これら本体ボディ10とオイル供給管20は、本体ボディ10の通路部11の内部に、弁座14に着座するボール状の弁15とこの弁15を弁座14に着座する閉弁位置に向けて付勢するコイルスプリング16を収容し、さらに、オイル供給管20の拡径部22の内部底面とコイルスプリング16との間にスペーサ部材17を介在させる状態で組み付けられたもので、オイル供給管20の拡径部22が本体ボディ10の連通部11に下流側開口部13から嵌合され、ロウ付け固定されている(図4参照)。
スペーサ部材17は、プレス成形されたキャップ状の部材で、外周側がオイル供給管20の拡径部22の内周に沿って拡径部22の内部底面に着座する円筒状の脚部71を構成し、頂部周縁側がコイルスプリング16を着座させるスプリング受け座部72を構成している。そして、そのスプリング受け座部72には、本体ボディ10の通路部11をオイル供給管20の管本体上流部に連通させるよう、複数個(図示の例では4個であるが、適宜増減可能)の連絡路73が、コイルスプリング16の着座部位(図6に一点鎖線で示す着座ラインの周辺部位)を径方向に跨ぐ配置で設けられている。また、スペーサ部材17の頂部中央には、コイルスプリング16の着座部位よりも径方向内側で通路部11をオイル供給管20の管本体上流部に連通させる第2の連絡路74が設けられている(図5、図6参照)。
このオイルジェット1は、本体ボディ10の上流側開口部12がシリンダブロック2の気筒列方向に延びるオイル通路4の分岐開放部(図示せず)に接続され、エンジンのクランク軸を駆動源とする機械式のオイルポンプ(図示せず)により送られたオイルの供給を受けるよう、本体ボディ10がブラケット30を介してシリンダヘッド2に取り付けられる。
この実施形態のオイルジェット構造によれば、オイルポンプによりシリンダブロック2のオイル通路4に供給されたオイルが、オイルジェット1の本体ボディ10の上流側開口部12から、弁15を押し開いて本体ボディ10内の通路部11に流入して、コイルスプリング16の外側をそのまま軸方向に流れ、スペーサ部材17の頂部周縁側の連絡路73を通って、少なくともコイルスプリング16の着座部位よりも径方向外側からオイル供給管20へ流れる。また、通路部11に流入したオイルは、一部がコイルスプリング16のピッチ間の隙間を通ってコイルスプリング16の内側に入り、頂部周縁側の連絡路73の内側部分並びに頂部中央の第2の連絡路74からもオイル供給管20へ流れる。そして、オイル供給管20に流れ込んだオイルがノズル部21から噴出される。
この場合、オイルは主としてコイルスプリング16の外側から連絡路73のコイルスプリング16の着座部位よりも径方向外側の部分を経て略直線的な流れのままオイル供給管20へ流れるため、流入するオイルの圧力が高くなっても、コイルスプリング16の隙間が小さくなることによる影響は少なく、流動抵抗は小さい。そのため、流量が安定し、十分なオイル噴出量を確保できる。
図7はスペーサ部材の変形例の斜視図である。
この例では、スペーサ部材17は、スプリング受け座部72に設けられた連絡路73が8個(適宜増減可能)で、それらが脚部71まで広がって脚部72が放射状に抜けた形になっている。その他の構造は先の図6に示す例と同じである。
このように連絡路73を脚部まで広げることで、コイルスプリング16の外側から略直線的にオイル供給管20へオイルを流す連絡路の面積が大きくなり、一層の流量安定化が可能となる。
以上、図示の例について説明したが、本発明のオイルジェット構造は、これに限定されるものではなく、様々に態様を変えて実施することが可能である。
また、上記実施形態は、ピストンの冷却並びにボア周面の潤滑のためのオイルジェットの例であるが、本発明のオイルジェット構造は、エンジン用のオイルジェット構造としてその他様々に適用可能である。
本発明の実施形態のオイルジェット構造の全体斜視図である。 本発明の実施形態に係るオイルジェットの斜視図である。 本発明の実施形態に係るオイルジェットの正面図である。 本発明の実施形態に係るオイルジェットの部分断面図である。 図4の部分拡大図である。 本発明の実施形態の係るオイルジェットのスペーサ部材の斜視図である。 本発明の実施形態に係るオイルジェットのスペーサ部材の変形例の斜視図である。
符号の説明
1 オイルジェット
2 シリンダブロック(エンジン本体)
3 ボア(シリンダボア)
10 本体ボディ
11 通路部
12 上流側開口部
13 下流側開口部
14 弁座
15 弁
16 コイルスプリング
17 スペーサ部材
20 オイル供給管
21 ノズル部
22 拡径部
30 ブラケット
71 脚部
72 スプリング受け座部
73 連絡路
74 第2の連絡路

Claims (4)

  1. 内部に軸方向に延びる通路部が形成されるとともに該通路部に連通する上流側開口部および下流側開口部が形成され、前記通路部の上流側に弁座が形成され、前記通路部に前記弁座に着座するボール状の弁と該弁を前記弁座に着座する閉弁位置に向けて付勢するコイルスプリングが収容され、前記上流側開口部がエンジン本体のオイル通路に連通するようエンジン本体に取り付けられる本体ボディと、先端にノズル部を有する管本体の基端側に拡径部が形成されたオイル供給管とからなり、前記オイル供給管の拡径部が前記本体ボディの通路部の前記下流側開口部に嵌合固定されたオイルジェットにおいて、
    前記オイル供給管の拡径部の内部底面と前記コイルスプリングとの間に、前記コイルスプリングを着座させるとともに少なくとも該コイルスプリングの着座部位よりも径方向外側において前記通路部を前記オイル供給管の管本体上流部に連通させる連絡路を有するスペーサ部材を介在させたことを特徴とするオイルジェット構造。
  2. 前記スペーサ部材が、前記オイル供給管の拡径部の内周に沿って該拡径部の内部底面に着座する脚部と、前記コイルスプリングを着座させるスプリング受け座部とを有し、前記スプリング受け座部に前記連絡路が設けられていることを特徴とする請求項1記載のオイルジェット構造。
  3. 前記スプリング受け座部に設けられた連絡路が前記脚部まで広がっていることを特徴とする請求項2記載のオイルジェット構造。
  4. 前記スペーサ部材は、前記スプリング受け座部の前記コイルスプリングの着座部位よりも径方向内側に、前記通路部を前記コイルスプリングの内側から前記オイル供給管の管本体上流部に連通させる第2の連絡路を有することを特徴とする請求項2または3記載のオイルジェット構造。
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