JP2009292090A - 屈曲性に優れた二層フレキシブル銅貼積層板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高屈曲性を安定して発揮できる二層フレキシブル銅貼積層板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】基体樹脂と銅箔とを積層してなる二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法であって、前記銅箔を、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上であり、前記銅箔と前記基体樹脂とを、300℃以上でかつ最高温度に達するまで5秒以上かけて昇温して積層加熱する。
【選択図】 図1
【解決手段】基体樹脂と銅箔とを積層してなる二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法であって、前記銅箔を、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上であり、前記銅箔と前記基体樹脂とを、300℃以上でかつ最高温度に達するまで5秒以上かけて昇温して積層加熱する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電気回路の屈曲部分に好適に用いられるフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)に使用される二層フレキシブル銅貼積層板およびその製造方法に関するものである。
現在、携帯電話等の配線のうち、屈曲部分に使用されるFPCは、銅箔にポリイミドのワニスを塗布し、熱を加えて乾燥、硬化させ積層板とするキャスト法と呼ばれる方法や、予め接着力のある熱可塑性ポリイミドを塗布したポリイミドフィルムと銅箔とを重ねて加熱ロールなどを通して圧着するラミネート法と呼ばれる方法によって製造されている。これらの方法で得られたフレキシブル銅貼積層板は二層フレキシブル銅貼積層板と呼ばれ、エポキシ系などの接着剤で銅箔とポリイミドフィルムを接着した三層フレキシブル銅貼積層板と比較して屈曲性が優れると言われている。例えばキャスト法で高屈曲性を得たフレキシブル銅貼積層板が知られている(特許文献1)。
一方、銅箔の屈曲性を向上させる技術としては、銅箔の200面のI/I0を40以上に規定した技術(特許文献2)や、銅箔を板厚方向に貫通した結晶粒の断面面積率を40%以上とする技術(特許文献3)が報告されている。
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載されている銅箔を使用してフレキシブル銅貼積層板を製造した場合に、高屈曲性が得られないことがある。特に、キャスト法よりもラミネート法を適用した場合に、高屈曲性が得られない場合が多いことが判明した。
ラミネート法では、例えばカプトンフィルムのような厚さ10〜25μmのポリイミドフィルムに対し、接着剤として熱可塑性ポリイミドを厚さ1〜5μmとなるように連続で塗布したものを乾燥する。そして、このフィルムの接着面と、例えば18μmの圧延銅箔の化学処理面とを合わせ、300℃〜450℃に加熱されたヒートロールの間を通過させラミネート圧着する。この通箔(フィルム)速度は1〜10m/分程度になるが、通箔速度が速い(積層時の加熱速度が速い)場合に屈曲性が悪くなる傾向があることがわかった。
ラミネート法では、例えばカプトンフィルムのような厚さ10〜25μmのポリイミドフィルムに対し、接着剤として熱可塑性ポリイミドを厚さ1〜5μmとなるように連続で塗布したものを乾燥する。そして、このフィルムの接着面と、例えば18μmの圧延銅箔の化学処理面とを合わせ、300℃〜450℃に加熱されたヒートロールの間を通過させラミネート圧着する。この通箔(フィルム)速度は1〜10m/分程度になるが、通箔速度が速い(積層時の加熱速度が速い)場合に屈曲性が悪くなる傾向があることがわかった。
従って、本発明の目的は、高屈曲性を安定して発揮できる二層フレキシブル銅貼積層板およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、二層フレキシブル銅貼積層板に積層加工後の銅箔の結晶方位と組織とを制御することにより高屈曲性を安定して発揮させることに成功した。又、その方法として、基体樹脂と銅箔との積層時の加熱条件を制御すればよいことを見出した。
すなわち、本発明の二層フレキシブル銅貼積層板は、基体樹脂と銅箔とを積層してなり、積層加工後の前記銅箔の断面の平均結晶粒径が20μm以上であることを特徴とする。
すなわち、本発明の二層フレキシブル銅貼積層板は、基体樹脂と銅箔とを積層してなり、積層加工後の前記銅箔の断面の平均結晶粒径が20μm以上であることを特徴とする。
積層加工後の前記銅箔の200面のX線回折強度比I/I0が40以上であることが好ましい。ここで200面のX線回折強度比I/I0は、I(銅箔の200面の回折強度)とI0(銅粉末の200面の回折強度)との比になる。
本発明の二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法は、基体樹脂と銅箔とを積層してなる二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法であって、前記銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上になるような銅箔を使用し、前記銅箔と前記基体樹脂とを、300℃以上でかつ最高温度に達するまで5秒以上かけて昇温して積層加熱することを特徴とする。
又、本発明の二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法は、基体樹脂と銅箔とを積層してなる二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法であって、前記銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上になるような銅箔を使用し、前記銅箔を、100℃以上の予備加熱温度で、該予備加熱温度に達するまで4秒以上かけて昇温し、かつ前記予備加熱温度で5分以上60分以下保持して予備加熱した後、前記予備加熱後の前記銅箔と前記基体樹脂とを積層加熱することを特徴とする。
さらに、本発明の二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法は、基体樹脂と銅箔とを積層してなる二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法であって、前記銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上になるような銅箔を使用し、前記銅箔と前記基体樹脂とを積層加熱した後に、さらに350℃以上の温度で30分以上の後加熱を行うことを特徴とする。
本発明によれば、エポキシ系等の接着剤を使用せずに銅箔と基体樹脂とを積層する二層フレキシブル銅貼積層板において、優れた屈曲性を安定して発揮することができる。
高屈曲性を発揮するフレキシブル銅貼積層板を得るために重要な点は、積層板になった時点で、銅箔の金属組織を屈曲性にとって好ましい状態に再結晶させることである。屈曲性に最も好ましい金属組織は、立方体方位が非常に発達し、かつ結晶粒界が少ない、言い換えれば結晶粒が大きな組織である。ここで立方体方位の発達の程度は、200面のX線回折強度比I/I0(I:銅箔の200面の回折強度、I0:銅粉末の200面の回折強度)の大きさで表すことができ、この値が大きいほど立方体方位が発達していることを示す。
キャスト法で二層フレキシブル銅貼積層板を製造する場合、積層時(銅箔に樹脂材料を塗布した時)に段階的に温度を高めていく過程で、銅箔中に再結晶の核生成と再結晶粒の成長が起こる。そして、本発明者らが検討した結果、銅箔を、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上であるような銅箔を用いれば、キャスト法で積層時の加熱を行った際に、優先方位である立方体方位が発達し、200面のI/I0が高屈曲性を発揮させるのに必要な値以上になることが判明した。このように、積層時の昇温速度が、銅箔の再結晶による立方体方位の発達に重要となる。
キャスト法で二層フレキシブル銅貼積層板を製造する場合、積層時(銅箔に樹脂材料を塗布した時)に段階的に温度を高めていく過程で、銅箔中に再結晶の核生成と再結晶粒の成長が起こる。そして、本発明者らが検討した結果、銅箔を、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上であるような銅箔を用いれば、キャスト法で積層時の加熱を行った際に、優先方位である立方体方位が発達し、200面のI/I0が高屈曲性を発揮させるのに必要な値以上になることが判明した。このように、積層時の昇温速度が、銅箔の再結晶による立方体方位の発達に重要となる。
次に、ラミネート法での積層時の加熱における銅箔の再結晶挙動について考える。ラミネート法では既に接着剤が塗布され乾燥されたポリイミドフィルムと、銅箔とを加熱ロールで圧着する。そして、溶剤等を蒸発させる必要がないため、ポリイミドが硬化反応を起こす温度まで一気に昇温することが可能である。しかしながら速い速度で昇温すると、多方向の方位の核が生成して成長し、立方体方位の発達が抑制される。従って、積層時に比較的ゆっくり加熱を行うキャスト法に比べ、ラミネート法の場合に屈曲性が悪くなる傾向がさらに強まる。
従って、銅箔と基体樹脂とを積層して加熱する際、昇温速度をある程度遅くする、つまりある程度の昇温時間をかければ、キャスト法やラミネート法等の製造方法に関わらず、二層フレキシブル銅貼積層板の銅箔の結晶粒径を大きくし、銅箔の200面のX線回折強度比I/I0を大きくできる。なお、本発明の二層フレキシブル銅貼積層板、及びその製造方法は、積層時に比較的ゆっくり加熱を行うキャスト法に比べ、屈曲性が悪くなる傾向があるラミネート法の場合に最も適する。
そして、高屈曲性を得るためには、積層加工後の銅箔の結晶粒径が20μm以上に再結晶していることが必要である。
そして、高屈曲性を得るためには、積層加工後の銅箔の結晶粒径が20μm以上に再結晶していることが必要である。
<二層フレキシブル銅貼積層板>
このようなことから、本発明のフレキシブル銅貼積層板は、基体樹脂と銅箔とを積層してなり、積層加工後の前記銅箔の断面の平均結晶粒径が20μm以上であり、積層加工後の前記銅箔の200面のX線回折強度比I/I0が40以上であることが好ましい。ここで200面のX線回折強度比I/I0は、I(銅箔の200面の回折強度)とI0(銅粉末の200面の回折強度)との比になる。
このようなことから、本発明のフレキシブル銅貼積層板は、基体樹脂と銅箔とを積層してなり、積層加工後の前記銅箔の断面の平均結晶粒径が20μm以上であり、積層加工後の前記銅箔の200面のX線回折強度比I/I0が40以上であることが好ましい。ここで200面のX線回折強度比I/I0は、I(銅箔の200面の回折強度)とI0(銅粉末の200面の回折強度)との比になる。
二層フレキシブル銅貼積層板は、エポキシ系等の接着剤を使用せずに銅箔と基体樹脂とを積層したものであればよい。二層フレキシブル銅貼積層板としては、例えば銅箔にポリイミドのワニスを塗布し、熱を加えて乾燥、硬化させ積層板とするキャスト法と呼ばれる方法や、予め接着力のある熱可塑性ポリイミドを塗布したポリイミドフィルムと銅箔とを重ねて加熱ロールなどを通して圧着するラミネート法と呼ばれる方法によって製造されるものが一般的である。
銅箔としては、タフピッチ銅、無酸素銅、タフピッチ銅や無酸素銅に微量の元素添加を行った銅合金箔等を用いることができ、通常、片面に化学処理(銅系粗化めっき)を施したものを用いることができる。銅箔の加工度や厚みも限定されないが、厚み20μm以下のものが好ましい。
基体樹脂としては例えばポリイミドが挙げられるが、ラミネート法の場合は積層前にフィルム状であり、キャスト法の場合は積層前に液体の(未硬化の)ポリイミドであり、これを銅箔に塗布して加熱すると硬化して基体樹脂(層)になる。
銅箔としては、タフピッチ銅、無酸素銅、タフピッチ銅や無酸素銅に微量の元素添加を行った銅合金箔等を用いることができ、通常、片面に化学処理(銅系粗化めっき)を施したものを用いることができる。銅箔の加工度や厚みも限定されないが、厚み20μm以下のものが好ましい。
基体樹脂としては例えばポリイミドが挙げられるが、ラミネート法の場合は積層前にフィルム状であり、キャスト法の場合は積層前に液体の(未硬化の)ポリイミドであり、これを銅箔に塗布して加熱すると硬化して基体樹脂(層)になる。
<第1の態様に係る二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法>
本発明の第1の態様に係る二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法は、基体樹脂と銅箔とを積層してなり、前記銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上になるような銅箔を使用し、前記銅箔と前記基体樹脂とを、300℃以上でかつ最高温度に達するまで5秒以上かけて昇温して積層加熱する。なお、積層の目的からすると、最高温度は500℃を超えることはない。
ここで、「積層加熱」とは、基体樹脂と銅箔とを積層した後に加熱して一体とする工程をいい、キャスト法の場合は、銅箔にポリイミド等の樹脂のワニスを塗布し、熱を加えて乾燥、硬化させる際の加熱であり、ラミネート法の場合は、銅箔とポリイミド等の樹脂フィルムとを重ねた後の加熱である。
又、本発明の製造方法に用いる銅箔は、上記した比I/I0が40以上になる特性を有するものであるが、上記した熱処理をした銅箔を積層するという意味ではなく、本発明の製造方法に用いる銅箔を、積層前に取り出して別途、上記した熱処理を加えると比I/I0が40以上になる性質があるという意味である。
本発明の第1の態様に係る二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法は、基体樹脂と銅箔とを積層してなり、前記銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上になるような銅箔を使用し、前記銅箔と前記基体樹脂とを、300℃以上でかつ最高温度に達するまで5秒以上かけて昇温して積層加熱する。なお、積層の目的からすると、最高温度は500℃を超えることはない。
ここで、「積層加熱」とは、基体樹脂と銅箔とを積層した後に加熱して一体とする工程をいい、キャスト法の場合は、銅箔にポリイミド等の樹脂のワニスを塗布し、熱を加えて乾燥、硬化させる際の加熱であり、ラミネート法の場合は、銅箔とポリイミド等の樹脂フィルムとを重ねた後の加熱である。
又、本発明の製造方法に用いる銅箔は、上記した比I/I0が40以上になる特性を有するものであるが、上記した熱処理をした銅箔を積層するという意味ではなく、本発明の製造方法に用いる銅箔を、積層前に取り出して別途、上記した熱処理を加えると比I/I0が40以上になる性質があるという意味である。
又、前記銅箔として、上記した特性を有するものを用いることにより、300℃以上で5秒以上の積層加熱によって、銅箔の断面の平均結晶粒径を確実に20μm以上にすることができ、屈曲性が向上する。
積層加熱が300℃未満であると、ポリイミド等の基体樹脂が十分に硬化したりラミネートされない。又、積層加熱時に、最高温度に達するまでの昇温時間が5秒未満であると、銅箔中の立方体方位の発達が抑制される。なお、加熱ロールでラミネートする場合には、ロール径から、上記加熱条件を満たすのに必要な通箔速度を決めることができる。
積層加熱が300℃未満であると、ポリイミド等の基体樹脂が十分に硬化したりラミネートされない。又、積層加熱時に、最高温度に達するまでの昇温時間が5秒未満であると、銅箔中の立方体方位の発達が抑制される。なお、加熱ロールでラミネートする場合には、ロール径から、上記加熱条件を満たすのに必要な通箔速度を決めることができる。
<第2の態様に係る二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法>
本発明の第2の態様に係る二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法は、基体樹脂と銅箔とを積層してなり、前記銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上になるような銅箔を使用し、前記銅箔を、100℃以上の予備加熱温度で、該予備加熱温度に達するまで4秒以上かけて昇温し、かつ前記予備加熱温度で5分以上60分以下保持して予備加熱した後、前記予備加熱後の前記銅箔と前記基体樹脂とを積層加熱する。
本発明の第2の態様に係る二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法は、基体樹脂と銅箔とを積層してなり、前記銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上になるような銅箔を使用し、前記銅箔を、100℃以上の予備加熱温度で、該予備加熱温度に達するまで4秒以上かけて昇温し、かつ前記予備加熱温度で5分以上60分以下保持して予備加熱した後、前記予備加熱後の前記銅箔と前記基体樹脂とを積層加熱する。
前記銅箔として、上記した特性を有するものを用いることにより、以下の予備加熱によって、銅箔の断面の平均結晶粒径を確実に20μm以上にすることができ、屈曲性が向上する。
又、積層加熱前に、銅箔を、100℃以上の予備加熱温度で、該予備加熱温度に達するまで4秒以上かけて昇温し、かつ前記予備加熱温度で5分以上60分以下保持して予備加熱する。これにより、その後の積層加熱時の条件に関わらず、銅箔の断面の平均結晶粒径を確実に20μm以上になり、屈曲性が向上する。
なお、予備加熱は、銅箔の製造時に行ってもよく、銅箔に粗化処理を行った後に行ってもよい。
又、積層加熱前に、銅箔を、100℃以上の予備加熱温度で、該予備加熱温度に達するまで4秒以上かけて昇温し、かつ前記予備加熱温度で5分以上60分以下保持して予備加熱する。これにより、その後の積層加熱時の条件に関わらず、銅箔の断面の平均結晶粒径を確実に20μm以上になり、屈曲性が向上する。
なお、予備加熱は、銅箔の製造時に行ってもよく、銅箔に粗化処理を行った後に行ってもよい。
予備加熱が100℃未満であると、時間を長くしても上記した再結晶組織を調整する効果が少ない。又、予備加熱温度は、積層時の温度より低いほうが好ましく、さらには、200℃を超えると銅箔が軟らかくなりすぎるため、最終段階でのラミネートでしわなどが発生することがあるので、200℃以下が好ましい。なお、予備加熱の加熱保持時間が短すぎると、銅箔の立方体方位粒の核生成に及ぼす効果が小さいので、5分以上とするのが好ましい。
予備加熱の方法としては、所定温度の加熱ロール間に銅箔のみ通し、巻き取った銅箔を所定温度の熱風循環式の高温槽に所定時間入れればよい。また、加熱ロールではなく熱風循環式の高温槽のみで加熱してもよく、一般的には熱風循環式高温槽の方が、加熱ロールより昇温速度が遅いので好ましい。
予備加熱の方法としては、所定温度の加熱ロール間に銅箔のみ通し、巻き取った銅箔を所定温度の熱風循環式の高温槽に所定時間入れればよい。また、加熱ロールではなく熱風循環式の高温槽のみで加熱してもよく、一般的には熱風循環式高温槽の方が、加熱ロールより昇温速度が遅いので好ましい。
<第3の態様に係る二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法>
本発明の第3の態様に係る二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法は、基体樹脂と銅箔とを積層してなり、前記銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上になるような銅箔を使用し、前記銅箔と前記基体樹脂とを積層加熱した後に、さらに350℃以上の温度で30分以上の後加熱を行う。
本発明の第3の態様に係る二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法は、基体樹脂と銅箔とを積層してなり、前記銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上になるような銅箔を使用し、前記銅箔と前記基体樹脂とを積層加熱した後に、さらに350℃以上の温度で30分以上の後加熱を行う。
前記銅箔として、上記した特性を有するものを用いることにより、以下の後加熱によって、銅箔の断面の平均結晶粒径を確実に20μm以上にすることができ、屈曲性が向上する。
又、積層加熱後、銅箔と基体樹脂の積層体(二層フレキシブル銅貼積層板)を、さらに350℃以上の温度で30分以上の後加熱する。これにより、積層加熱時の条件に関わらず、銅箔の断面の平均結晶粒径を確実に20μm以上になり、屈曲性が向上する。
なお、積層加熱によって二層フレキシブル銅貼積層板に加工された銅箔には、再結晶粒をそれ以上成長させる駆動力が残っていない。このため、後加熱によって再結晶組織を変えるためには大きな熱エネルギーが必要になるので、350℃以上の温度で30分以上の後加熱を行う。ただし、温度が高すぎたり加熱時間が長すぎると、ポリイミド等の基体樹脂の性質が変化する場合があるので上記範囲とする。
後加熱は、二層フレキシブル銅貼積層板を、所定温度の熱風循環式の高温槽に所定時間入れて行うことができる。
又、積層加熱後、銅箔と基体樹脂の積層体(二層フレキシブル銅貼積層板)を、さらに350℃以上の温度で30分以上の後加熱する。これにより、積層加熱時の条件に関わらず、銅箔の断面の平均結晶粒径を確実に20μm以上になり、屈曲性が向上する。
なお、積層加熱によって二層フレキシブル銅貼積層板に加工された銅箔には、再結晶粒をそれ以上成長させる駆動力が残っていない。このため、後加熱によって再結晶組織を変えるためには大きな熱エネルギーが必要になるので、350℃以上の温度で30分以上の後加熱を行う。ただし、温度が高すぎたり加熱時間が長すぎると、ポリイミド等の基体樹脂の性質が変化する場合があるので上記範囲とする。
後加熱は、二層フレキシブル銅貼積層板を、所定温度の熱風循環式の高温槽に所定時間入れて行うことができる。
<銅箔(基材)>
二層フレキシブル銅貼積層板用の銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上となるタフピッチ銅箔(98%の最終加工度で圧延し、厚み18μmとした箔)を用いた。この箔の片面に化学処理(銅系粗化めっき)を施し、銅箔Aとした。
また、比較として、タフピッチ銅箔(90%の最終加工度で圧延し、厚み18μmとした箔)の片面に化学処理(銅系粗化めっき)を施したものを銅箔Bとした。銅箔Bは、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に、室温で200面のX線回折強度比I/I0を測定すると約10であった。
なお、銅箔A、Bは共に、溶解鋳造で厚み200mm程度の直方体のインゴットを製造し、熱間圧延で10mm前後まで加工し、冷間圧延と焼鈍とを繰り返し製造した。但し、銅箔Aは95%以上の最終圧延加工度で得られ、銅箔Bは95%未満の最終圧延加工度で得られた。
又、銅箔A、Bとしては、上記した熱処理で比I/I0が上記値となるものを用いたが、以下の二層フレキシブル銅貼積層板の製造に用いる銅箔として、銅箔A、Bに上記した熱処理は加えていない。
二層フレキシブル銅貼積層板用の銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上となるタフピッチ銅箔(98%の最終加工度で圧延し、厚み18μmとした箔)を用いた。この箔の片面に化学処理(銅系粗化めっき)を施し、銅箔Aとした。
また、比較として、タフピッチ銅箔(90%の最終加工度で圧延し、厚み18μmとした箔)の片面に化学処理(銅系粗化めっき)を施したものを銅箔Bとした。銅箔Bは、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に、室温で200面のX線回折強度比I/I0を測定すると約10であった。
なお、銅箔A、Bは共に、溶解鋳造で厚み200mm程度の直方体のインゴットを製造し、熱間圧延で10mm前後まで加工し、冷間圧延と焼鈍とを繰り返し製造した。但し、銅箔Aは95%以上の最終圧延加工度で得られ、銅箔Bは95%未満の最終圧延加工度で得られた。
又、銅箔A、Bとしては、上記した熱処理で比I/I0が上記値となるものを用いたが、以下の二層フレキシブル銅貼積層板の製造に用いる銅箔として、銅箔A、Bに上記した熱処理は加えていない。
<ラミネート法>
ラミネート法で二層フレキシブル銅貼積層板を製造するためのポリイミドフィルムとして、両面に熱可塑性ポリイミドを接着剤として塗布した厚み25μmのフィルム(宇部興産社製のユーピレックスVT)を用いた。表面の熱可塑性ポリイミド接着剤は、コア部のポリイミドフィルムと異種の樹脂ではなく、銅箔と積層した後は、全体として基体樹脂となって二層フレキシブル銅貼積層板になる。
図1に示すように、接着剤4aを両面に有する上記ポリイミドフィルム4の両面に、上記した化学処理面がそれぞれ対向するように2枚の銅箔A(符号2)を重ね、フィルム4を各銅箔Aで挟み込んで積層し、加熱した。積層時の加熱条件を表1に示す。最終段階の加熱は、直径350cmの加熱ロールで通箔速度を変えることで昇温速度を調整した。
又、いくつかの試料については、積層加熱前に予備加熱を実施した。この場合、所定温度の加熱ロール間に銅箔のみ通し、巻き取った銅箔を所定温度の熱風循環式の高温槽に所定時間入れた。又、積層加熱後に後加熱を実施した場合、積層後の二層フレキシブル銅貼積層板を所定温度の熱風循環式の高温槽に所定時間入れた。
ラミネート法で二層フレキシブル銅貼積層板を製造するためのポリイミドフィルムとして、両面に熱可塑性ポリイミドを接着剤として塗布した厚み25μmのフィルム(宇部興産社製のユーピレックスVT)を用いた。表面の熱可塑性ポリイミド接着剤は、コア部のポリイミドフィルムと異種の樹脂ではなく、銅箔と積層した後は、全体として基体樹脂となって二層フレキシブル銅貼積層板になる。
図1に示すように、接着剤4aを両面に有する上記ポリイミドフィルム4の両面に、上記した化学処理面がそれぞれ対向するように2枚の銅箔A(符号2)を重ね、フィルム4を各銅箔Aで挟み込んで積層し、加熱した。積層時の加熱条件を表1に示す。最終段階の加熱は、直径350cmの加熱ロールで通箔速度を変えることで昇温速度を調整した。
又、いくつかの試料については、積層加熱前に予備加熱を実施した。この場合、所定温度の加熱ロール間に銅箔のみ通し、巻き取った銅箔を所定温度の熱風循環式の高温槽に所定時間入れた。又、積層加熱後に後加熱を実施した場合、積層後の二層フレキシブル銅貼積層板を所定温度の熱風循環式の高温槽に所定時間入れた。
<キャスト法>
キャスト法の二層フレキシブル銅貼積層板として、銅箔Aの化学処理した面にポリイミドのワニス(宇部興産社製 U−ワニスA)を厚さ25μmになるように塗布し、130℃に設定した熱風循環式高温槽で30分乾燥した後、積層過熱条件として段階的に最終温度350℃まで2000秒かけて昇温し、ワニスを硬化(イミド化)させて二層フレキシブル銅貼積層板を製造した。
キャスト法の二層フレキシブル銅貼積層板として、銅箔Aの化学処理した面にポリイミドのワニス(宇部興産社製 U−ワニスA)を厚さ25μmになるように塗布し、130℃に設定した熱風循環式高温槽で30分乾燥した後、積層過熱条件として段階的に最終温度350℃まで2000秒かけて昇温し、ワニスを硬化(イミド化)させて二層フレキシブル銅貼積層板を製造した。
<評価用試料の作製>
ラミネート法で得た二層フレキシブル銅貼積層板のうち、片方の銅箔を塩化第2鉄水溶液でエッチングして除去し、残った他の銅箔の200面のX線回折強度比をX線回折装置で測定した。又、この残った銅箔の圧延平行方向の断面をFIB(Focused Ion Beam milling)で切断し、断面のSIM(Scanning Ion Microscope)像を観察し、切断法で平均結晶粒径を求めた。
その後、既知のフォトリソグラフイ技術を用い、残った銅箔に回路幅200μmの配線を形成し、エポキシ系の接着剤が塗布されたポリイミドフィルムをカバーレイとして熱圧着して屈曲試験用のFPCを作製した。
キャスト法で得た二層フレキシブル銅貼積層板については、もともと銅箔が一層であるので、この銅箔について、ラミネート法の積層板と同様にしてX線回折、断面組織のSIM観察を行った後に屈曲試験用のFPC片を作製した。
ラミネート法で得た二層フレキシブル銅貼積層板のうち、片方の銅箔を塩化第2鉄水溶液でエッチングして除去し、残った他の銅箔の200面のX線回折強度比をX線回折装置で測定した。又、この残った銅箔の圧延平行方向の断面をFIB(Focused Ion Beam milling)で切断し、断面のSIM(Scanning Ion Microscope)像を観察し、切断法で平均結晶粒径を求めた。
その後、既知のフォトリソグラフイ技術を用い、残った銅箔に回路幅200μmの配線を形成し、エポキシ系の接着剤が塗布されたポリイミドフィルムをカバーレイとして熱圧着して屈曲試験用のFPCを作製した。
キャスト法で得た二層フレキシブル銅貼積層板については、もともと銅箔が一層であるので、この銅箔について、ラミネート法の積層板と同様にしてX線回折、断面組織のSIM観察を行った後に屈曲試験用のFPC片を作製した。
<評価>
(銅貼積層板の製造性)
二層フレキシブル銅貼積層板の積層加熱を行った際、シワや折れが発生したものを製造性が悪いもの(×)と判定した。
(屈曲性)
IPC摺動屈曲試験機を使用し、曲げ半径1mmで毎分100回の繰り返し摺動を上記FPC片に負荷し、配線の電気抵抗が初期から10%上昇した屈曲回数を終点とした。屈曲回数が10万回を超える場合を良い(○)、10万回未満を悪い(×)と判定した。
(銅貼積層板の製造性)
二層フレキシブル銅貼積層板の積層加熱を行った際、シワや折れが発生したものを製造性が悪いもの(×)と判定した。
(屈曲性)
IPC摺動屈曲試験機を使用し、曲げ半径1mmで毎分100回の繰り返し摺動を上記FPC片に負荷し、配線の電気抵抗が初期から10%上昇した屈曲回数を終点とした。屈曲回数が10万回を超える場合を良い(○)、10万回未満を悪い(×)と判定した。
得られた結果を表1、2に示す。
表1、2において、No.1〜No.27がラミネート法で製造した二層フレキシブル銅箔積層板の発明例であり、No.28はキャスト法で製造した二層フレキシブル銅箔積層板の発明例であり、No.29〜No.40は比較例である。No.1〜No.38は銅箔Aを用い、No.39とNo.40は銅箔Bを用いた。
表1、2から明らかなように、ラミネート法で製造したNo.1〜No.27の発明例、及びキャスト法で製造したNo.28の発明例の場合、積層後の銅箔の平均結晶粒径が20μm以上であり、200面のX線回折強度比(I/I0)が40以上であり、銅貼積層板の製造性と屈曲性がいずれも良好であった。
(1)ここで、No.1〜No.6の発明例は、いずれも積層加熱が300℃以上であり、昇温時間が5秒以上であり、第1の態様に係る二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法に対応する。
(1)ここで、No.1〜No.6の発明例は、いずれも積層加熱が300℃以上であり、昇温時間が5秒以上であり、第1の態様に係る二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法に対応する。
(2)No.7〜No.21、28の発明例は、いずれも積層加熱の前に予備加熱したものであり、第2の態様に係る二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法に対応する。但し、No.12は予備加熱の昇温時間が4秒未満であり、No.14は予備加熱の温度が100℃未満であり、No.15は予備加熱の保持時間が5分未満であり、いずれも第2の態様の製造方法にいう予備加熱に該当しないが、積層加熱条件が第1の態様を満たすため、第1の態様の製造方法に対応する。
又、No.16、18は予備加熱の保持時間が60分を超え、No.17、19、20、21は予備加熱の温度が200℃を超えたため、積層加熱条件が第1の態様を満たしても、フレキシブル銅貼積層板の製造性が劣化した。特にNo.20とNo.21とは予備加熱の段階で300℃を超える温度まで5秒以上の時間をかけて昇温していることから、銅箔は予備加熱の段階で積層加熱されたのと同じ状態になっている。このため、予備加熱の保持時間を60分以下とし、温度を200℃以下とするのが好ましい。但し、No.16〜21はいずれも屈曲性が良好であるので、本発明の目的を達成している。
又、No.16、18は予備加熱の保持時間が60分を超え、No.17、19、20、21は予備加熱の温度が200℃を超えたため、積層加熱条件が第1の態様を満たしても、フレキシブル銅貼積層板の製造性が劣化した。特にNo.20とNo.21とは予備加熱の段階で300℃を超える温度まで5秒以上の時間をかけて昇温していることから、銅箔は予備加熱の段階で積層加熱されたのと同じ状態になっている。このため、予備加熱の保持時間を60分以下とし、温度を200℃以下とするのが好ましい。但し、No.16〜21はいずれも屈曲性が良好であるので、本発明の目的を達成している。
(3)No.22〜No.27の発明例は、いずれも積層加熱後に後加熱したものであり、第3の態様に係る二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法に対応する。但し、No.26は後加熱の保持時間が30分未満であり、No.27は後加熱の温度が350℃未満であり、いずれも第3の態様の製造方法にいう後加熱に該当しないが、積層加熱条件が第1の態様を満たすため、第1の態様の製造方法に対応する。
又、No.24、25の発明例は、いずれも積層加熱前に予備加熱したと共に、積層加熱後に後加熱したものであり、第1の態様〜第3の態様の製造方法をすべて組合せた結果、銅箔の平均結晶粒径が非常に大きく(75〜100μm以上)、200面のX線回折強度比I/I0も高いだけでなく、製造性と屈曲性を共に満足するものとなった。
又、No.24、25の発明例は、いずれも積層加熱前に予備加熱したと共に、積層加熱後に後加熱したものであり、第1の態様〜第3の態様の製造方法をすべて組合せた結果、銅箔の平均結晶粒径が非常に大きく(75〜100μm以上)、200面のX線回折強度比I/I0も高いだけでなく、製造性と屈曲性を共に満足するものとなった。
一方、No.29〜No.32の比較例は、いずれも積層加熱条件が第1の態様の製造方法の範囲から外れたため、銅箔の平均結晶粒径が20μm未満であり、200面のX線回折強度比I/I0が40未満となると共に、屈曲性も劣化した。
No.33〜No.36の比較例は、いずれも積層加熱前に予備加熱したものであるが、予備加熱条件が第2の態様の製造方法の範囲から外れたと共に、積層加熱条件も第1の態様の製造方法の範囲から外れた。このため、銅箔の平均結晶粒径が20μm未満であり、200面のX線回折強度比I/I0が40未満となると共に、屈曲性も劣化した。
No.33〜No.36の比較例は、いずれも積層加熱前に予備加熱したものであるが、予備加熱条件が第2の態様の製造方法の範囲から外れたと共に、積層加熱条件も第1の態様の製造方法の範囲から外れた。このため、銅箔の平均結晶粒径が20μm未満であり、200面のX線回折強度比I/I0が40未満となると共に、屈曲性も劣化した。
No.37、38の比較例は、いずれも積層加熱後に後加熱したものであるが、後加熱条件が第3の態様の製造方法の範囲から外れたと共に、積層加熱条件も第1の態様の製造方法の範囲から外れた。このため、銅箔の平均結晶粒径が20μm未満であり、200面のX線回折強度比I/I0が40未満となると共に、屈曲性も劣化した。
No.39、40の比較例は、いずれも前記銅箔を、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40未満であった。このため、この銅箔を用いて得られた二層フレキシブル銅貼積層板であるNo.39,40の比較例は、銅箔の平均結晶粒径が20μm未満であり、屈曲性も劣化した。
2 銅箔
4 基体樹脂(ポリイミドフィルム)
4a 接着剤
4 基体樹脂(ポリイミドフィルム)
4a 接着剤
Claims (5)
- 基体樹脂と銅箔とを積層してなる二層フレキシブル銅貼積層板であって、積層後の前記銅箔の断面の平均結晶粒径が20μm以上であることを特徴とする二層フレキシブル銅貼積層板。
- 積層後の前記銅箔の200面のX線回折強度比I/I0が40以上であることを特徴とする請求項1に記載の二層フレキシブル銅貼積層板。
- 基体樹脂と銅箔とを積層してなる二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法であって、
前記銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上になるような銅箔を使用し、
前記銅箔と前記基体樹脂とを、300℃以上でかつ最高温度に達するまで5秒以上かけて昇温して積層加熱することを特徴とする二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法。 - 基体樹脂と銅箔とを積層してなる二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法であって、
前記銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上になるような銅箔を使用し、
前記銅箔を、100℃以上の予備加熱温度で、該予備加熱温度に達するまで4秒以上かけて昇温し、かつ前記予備加熱温度で5分以上60分以下保持して予備加熱した後、前記予備加熱後の前記銅箔と前記基体樹脂とを積層加熱することを特徴とする二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法。 - 基体樹脂と銅箔とを積層してなる二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法であって、
前記銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上になるような銅箔を使用し、
前記銅箔と前記基体樹脂とを積層加熱した後に、さらに350℃以上の温度で30分以上の後加熱を行うことを特徴とする二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法。
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- 2008-06-06 JP JP2008149215A patent/JP2009292090A/ja not_active Withdrawn
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