JP2013167014A - フレキシブルプリント配線板用圧延銅箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐屈曲性に加えて耐振動性にも優れた圧延銅箔を提供する。
【解決手段】400℃で1時間の熱処理を行うと、圧延方向に平行な断面の平均結晶粒径が100μm以上となるという特性をもつ圧延銅箔。タフピッチ銅(TPC)又は無酸素銅(OFC)に所定の元素を添加しインゴットを溶解鋳造した。これを熱間圧延した後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、最終冷間圧延を所定の圧下率で行い、最後に、焼鈍をAr雰囲気で行い銅箔を得た。
【選択図】図1

Description

本発明はフレキシブルプリント配線板用圧延銅箔に関し、特に車載用のフレキシブルプリント配線板に用いられる銅箔に関する。
フレキシブルプリント配線板(FPC)は、導電層である金属と樹脂フィルムに代表される柔軟性絶縁基板とが接合されたものである。一般に導電層には銅箔が用いられ、特に屈曲性が求められる用途には、屈曲性に優れる圧延銅箔が用いられている。
一般的なFPC製造工程は以下のようなものである。まず銅箔を樹脂フィルムと接合する。接合には、銅箔上に塗布したワニスに熱処理を加えることでイミド化する方法や、接着剤付きの樹脂フィルムと銅箔とを重ねてラミネートする方法がある。これらの工程によって接合された樹脂フィルム付き銅箔をCCL(銅張積層板)と呼ぶ。その後、エッチングにより配線を形成し、FPCが完成する。
FPC用の圧延銅箔に要求される屈曲性は、電子機器の軽薄短小化及び高機能化に従って厳しくなっており、屈曲性に関連した特性の改良も種々の観点でなされている。例えば、結晶粒径に着目した先行技術として、特開2010−280191号公報(特許文献1)が挙げられ、ここでは、FPCを折り曲げた箇所において、曲げ変形を加えても形状が元に戻ってしまうというスプリングバックの問題を抑制することのできる圧延銅箔が開示されている。
特許文献1では、「銅箔内における結晶の密度が低ければ低いほど、すなわち平均結晶粒径が大きければ大きいほど、銅箔が屈曲することにより変形する際、結晶中のひずみが移動しやすくなる。そのため、銅箔内における結晶の密度が低いと、引張強度が低くなるという傾向があり、ひいてはスプリングバックを抑制する傾向がある。」という知見に基づき、樹脂との熱圧着のために熱処理する際に、150℃以上400℃以下で1分間以上加熱され、熱処理後の平均結晶粒径が100μm以上であり、引張強度が150N/mm2未満である圧延銅箔が提案されている。
特許文献1には、当該圧延銅箔は、銅箔素材を熱間圧延によって加工し、熱間圧延後はできるだけ急速に冷却する。次に、前記熱間圧延した銅箔素材に対して、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、所望の厚みまで加工することにより製造されることが記載されている。そして、樹脂との熱圧着の際に、150℃以上400℃以下で1分間以上加熱することにより、銅箔内の結晶が再結晶化され、平均結晶粒径が100μm以上となり、さらに熱圧着後の引張強度が150N/mm2未満となるとされている。
また、当該銅箔を得るには、銅箔を圧延加工によって製造した後において、前記銅箔を樹脂フィルムに熱圧着する際にのみ、150℃以上400℃以下で1分間以上加熱することや、最終焼鈍後に行われる最終圧延加工における加工度を94%以上と大きくすることが重要である旨が記載されている。
また、特開2009−292090号公報(特許文献2)では、二層フレキシブル銅貼積層板に積層加工後の銅箔の結晶方位と組織とを制御することにより高屈曲性の二層フレキシブル銅貼積層板を得ている。具体的には、基体樹脂と銅箔とを積層してなる二層フレキシブル銅貼積層板であって、積層後の前記銅箔の断面の平均結晶粒径が20μm以上であることを特徴とする二層フレキシブル銅貼積層板が記載されている。当該二層フレキシブル銅貼積層板を製造するための方法として、基体樹脂と銅箔との積層時の加熱条件を制御することが記載されており、一例として、銅箔として、200℃に達するまでに4秒以上かけて加熱し、さらに200℃で30分保持した後に室温まで冷却したとき、室温で測定した200面のX線回折強度比I/I0が40以上になるような銅箔を使用し、前記銅箔と前記基体樹脂とを積層加熱した後に、さらに350℃以上の温度で30分以上の後加熱を行うことを特徴とする二層フレキシブル銅貼積層板の製造方法が記載されている。
特開2010−280191号公報 特開2009−292090号公報
このように、圧延銅箔の屈曲性に関連した特性の改良は従来行われてきた。しかしながら、例えば車載用のFPCなどでは耐振動性も要求され、振動によって導電性の低下しにくい圧延銅箔が求められているところ、従来の圧延銅箔では十分な耐振動性が得られていない。
そこで、本発明は耐屈曲性に加えて耐振動性にも優れた圧延銅箔を提供することを課題の一つとする。また、本発明はそのような圧延銅箔を備えたFPCを提供することを別の課題の一つとする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討したところ、所定の製造方法で得られた圧延銅箔は、400℃で1時間の熱処理を行うと結晶粒径が100μm以上に成長し、このような特性をもつ銅箔は耐振動性に有利であることを見出した、また、当該圧延銅箔に対して振動試験を行うと振動部の表面全体にわたって微細な亀裂が生じ、これが応力集中を和らげる効果をもたらすことを見出した。
本発明は上記知見に基づいて完成したものであり、第一の側面において、400℃で1時間の熱処理を行うと、圧延方向に平行な断面の平均結晶粒径が100μm以上となるという特性をもつ圧延銅箔である。
本発明は第二の側面において、圧延方向に平行な断面の平均結晶粒径が100μm以上である圧延銅箔である。
本発明は第三の側面において、明細書中で定義される“振動試験A”後の振動部表面にシェアバンドが形成されるという特性をもつ圧延銅箔である。
本発明の第三の側面に係る圧延銅箔の一実施形態においては、明細書中で定義される“振動試験A”後の振動部表面に、10μm×10μmの正方形の観察視野当たり、縦方向及び横方向にそれぞれ10〜30本のシェアバンドが形成されるという特性をもつ。
本発明の第一、第二及び第三の側面に係る圧延銅箔の一実施形態においては、銅箔の厚みが50〜300μmである。
本発明の第一、第二及び第三の側面に係る圧延銅箔の一実施形態においては、Cu濃度が99.8質量%以上、酸素濃度が0.05質量%以下、且つ、Ag、Sn、B、Zr及びTiの合計濃度が0.003〜0.03質量%の組成を有する。
本発明の第一、第二及び第三の側面に係る圧延銅箔の一実施形態においては、Cu濃度が99.9質量%以上、酸素濃度が0.01質量%未満、且つ、Ag、Sn、B、Zr及びTiの合計濃度が0〜0.03質量%の組成を有する。
本発明の第一、第二及び第三の側面に係る圧延銅箔の一実施形態においては、フレキシブルプリント配線板の導体材料として使用される。
本発明の第一、第二及び第三の側面に係る圧延銅箔の一実施形態においては、前記フレキシブルプリント配線板が車載用である。
本発明は第四の側面において、本発明に係る銅箔を備えたフレキシブル銅張積層板である。
本発明は第五の側面において、本発明に係るフレキシブル銅張積層板を加工して得られたフレキシブルプリント配線板である。
本発明によれば、耐屈曲性に加えて耐振動性にも優れた圧延銅箔が提供される。本発明に係る圧延銅箔は例えば車載用FPCの導体層として特に有用である。
本発明に係る圧延銅箔の一例について、振動試験Aを実施した後の振動部の表面に形成されたシェアバンドを写したSEM写真である。 図1のSEM写真にシェアバンドの本数を数えるための縦方向及び横方向の線を例示的に書き記したものである。 振動試験を行う際のループ状試験片の取付状態を示す写真である。
本発明において使用する銅箔基材は圧延銅箔である。圧延銅箔は、強度が高く、振動が継続的に発生する環境に対応でき、耐屈曲性が高い点で電解銅箔よりも優れている。本発明において、「銅箔」には銅合金箔も含まれるものとする。銅箔の材料としては、特に制限はなく、用途や要求特性に応じて適宜選択すればよい。銅箔中のCu濃度は結晶粒の成長や高導電性確保の理由により99.8質量%以上であることが好ましく、99.85質量%以上であることがより好ましく、99.9質量%以上であることが更により好ましい。但し、Cu濃度が高すぎてもコスト増加につながるため、99.999質量%以下が好ましく、99.995質量%以下がより好ましい。銅箔中の酸素濃度は亜酸化銅増加すると、シェアバンドの形成に悪影響を与える他、圧延の際のピンホール発生につながるという理由により0.01質量%未満であることが好ましく、0.005質量%以下であることが好ましく、例えば0.0001質量%以上0.01質量%未満とすることができる。このような条件を満たす銅箔として、例えば、JIS-H3510若しくはJIS−H3100に規格する無酸素銅(OFC)を用いることができる。
また、無酸素銅に対して、Sn、Ag、B、Zr、Ti、Fe、In、Te、Zn等を添加した銅合金、Ni、Si等を添加したCu−Ni−Si系銅合金、Cr、Zr等を添加したCu−Zr系、Cu−Cr−Zr系銅合金のような銅合金も使用することができる。中でも、Ag、Sn、B、Zr及びTiの群から選ばれる1種以上の元素を合計で0.03質量%以下添加することが、結晶粒の成長のしやすさ、銅箔の強度及び伸びの観点から好ましい。Ag、Sn、B、Zr及びTiの含有量が合計で0.03質量%を超えると強度は更に向上するものの、伸びが低下して加工性が悪化する場合がある。より好ましくはAg、Sn、B、Zr及びTiの含有量が合計で0.02質量%以下である。Ag、Sn、B、Zr及びTiを合計した含有量の下限は特に制限されないが、例えば0.001質量%を下限とすることができる。Ag、Sn、B、Zr及びTiの含有量が合計で0.001質量%未満であると、所望の効果を得られなくなる他、含有量が小さいためその含有量を制御することが困難になる場合がある。好ましくは、Ag、Sn、B、Zr及びTiを合計した量の下限値は0.003質量%以上、更に好ましくは0.004質量%以上、最も好ましくは0.005質量%以上である。
本願の発明に係る銅箔に上述の銅合金を用いた場合にも同様に、銅箔中の酸素濃度は0.01質量%未満であることが好ましく、0.005質量%以下であることがより好ましいが、銅合金を使用する場合には、銅箔中の酸素濃度が多少高いことも許容される。具体的には、酸素濃度が0.05質量%以下であれば許容され、典型的には0.01〜0.03質量%とすることができる。このため、銅原料として例えばJIS−H3100に規定するタフピッチ銅を使用することもできる。
銅箔の厚みは特に制限はなく、要求特性に応じて適宜選択すればよい。一般的には1〜300μmであるが、フレキシブルプリント配線板の導体層として使用する場合、銅箔を薄肉化した方がより高い屈曲性や耐振動性を得ることができる。そのような観点から、銅箔の厚みは一般には2〜50μm、典型的には5〜20μm程度である。但し、車載用など、大電流が流れ、通電による発熱が特に嫌われる用途の場合は、導電性及び放熱性を確保しつつ、断線せずに電気信号を確実に伝達する観点から、銅箔は比較的厚くするべきであるので、そのような場合には、50μm以上とすることが好ましく、70μm以上とすることがより好ましい。ただし、過度に厚くすると、導体層のエッチング除去がし難くなる場合があるので、300μm以下とするのが好ましく、150μm以下とするのがより好ましい。
本発明に係る圧延銅箔は一側面において、400℃で1時間加熱処理することによって、圧延方向に平行な断面の結晶粒径が100μm以上、好ましくは110μm以上、より好ましくは120μm以上、更により好ましくは130μm以上となることができるという特性をもつ。但し、極端に結晶粒径を大きくする必要はなく、加熱処理後の結晶粒径は180μm以下であるのが通常である。
本発明においては、圧延方向に平行な断面の平均結晶粒径は以下のようにして測定される。FIB(集束イオンビーム)又はCP(Cross-Section Polisher)により圧延方向長さ50μm以上を箔厚全てが観察できるように切断する。その後、SEM観察を行ってJIS H0501の切断法により、平均結晶粒径を測定する。
本発明に係る圧延銅箔は別の一側面において、以下で定義される“振動試験A”後の振動部表面にシェアバンドが形成されるという特性をもつ。シェアバンドは、10μm×10μmの正方形の観察視野当たり、縦方向及び横方向にそれぞれ10〜30本形成されるのが好ましく、20〜26本形成されるのがより好ましい。振動部とは、FPC試験片をセットした際のループ状になった部分を指す。
シェアバンドは、SEMで観察すると図1に示すように圧延方向に対して約45°方向に入る格子状のスジ模様である。本発明においては、図2に例示するように、圧延方向に対して約45°右方向のスジを縦方向のシェアバンドとし、圧延方向に対して約45°左方向のスジを横方向のシェアバンドとする。図2においては、10μm×10μmの正方形の観察視野中に、縦方向25本、横方向26本のシェアバンドが観察されている。
“振動試験A”は以下の手順で実施される。圧延銅箔の表裏に180℃の温度で2時間熱プレスするラミネート条件で厚み50μmのポリイミドフィルムを表裏に積層し、両面FCCLを作製する。その後、長さ120mmでラインアンドスペース0.3mm×0.3mmの回路エッチングを8本形成し、最後に厚み50μmのポリイミドのカバーレイフィルムを両面に180℃の温度で1時間熱プレスすることにより積層して、長さ150mm×幅15mmのFPCの試験片を作製する。
得られたFPC試験片について、振動試験をJIS−D1601掃引振動耐久試験に基づいて実施する。具体的には、ループ寸法L=20mmのループ状にして両端を固定し、周波数5〜170Hz/5min、振幅幅0.6mm、振動加速度45m/s2、試験温度−35〜115℃において振動試験を行い、試験片に定電流(1.0mA)を通電しての試験片の抵抗増加率を記録し、試験片の抵抗増加率が20%に到達するまでの時間を測定する。試験温度は室温(20℃)で10分保持後、1.5時間かけて−30℃に徐々に低下させ、−30℃で10分保持後、1.5時間かけて115℃に上昇させ、115℃で10分保持後、1時間かけて室温(20℃)まで低下させるというサイクルを繰り返す。振動試験は、それぞれ試験片の抵抗増加率が20%に到達した時点で終了する。
なお、ループ寸法とは図3に示すように、試験片の固定箇所から試験片の先端までの距離を指す。
本発明に係る銅箔は、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、電気銅無酸素銅、タフピッチ銅等の純銅原料を溶解し、必要に応じて合金元素を添加した後、この溶湯を鋳造し、厚みが100〜300mm程度のインゴットを製造する。溶解工程での酸素濃度の調整は、溶湯のカーボンシール、大気解放等の当業者公知の技術により行うことができる。その後、熱間圧延を行った後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、最終冷間圧延上がりの銅箔基材を得る。ここでの圧下率は高い方が次の焼鈍によって結晶粒が成長しやすい。よって、最終冷間圧延の圧下率度は80%以上、より好ましくは90%以上、更により好ましくは95%以上である。なお、厚みが大きな銅箔を製造する場合、最終冷間圧延における圧下率を大きく確保できなくなる傾向にある(板厚が厚い状態での焼鈍等が困難であるため)。そのため、最終冷間圧延後の板厚が35μm以上の銅箔では、実際の製造しやすさを考慮すると、最終冷間圧延の圧下率は96%以下とすることが好ましく、95%以下とすることが更に好ましく、93%以下とすることが更に好ましい。
次に、この銅箔基材を400〜500℃で1時間以上焼鈍する。焼鈍は窒素又はAr等の不活性ガス雰囲気中で行うことが酸化防止の理由により好ましい。また、真空中で焼鈍することも可能である。400℃以上で1時間以上焼鈍することにより銅箔の結晶粒を十分に成長させることが可能となり、また、振動を加えたときにシェアバンドの形成がされやすい銅箔が得られる(本発明では、これをシェバンドの核が形成されやすいと呼ぶ。)。厚みの大きな銅箔の場合は、内部における結晶粒の制御が難しいので、このような高温・長時間の焼鈍が特に必要である。また、焼鈍温度は高すぎても不都合であり、450℃以下とすることにより結晶粒径を必要以上に粗大化させないという効果を得ることができる。焼鈍時間は長い方が結晶粒の適度な成長やシェアバンドの核形成に有利であり、1時間以上焼鈍することが好ましい。但し、過度に焼鈍する必要はなく、生産効率も低下するので、2時間以下とするのが好ましく、1.5時間以下とするのがより好ましい。
焼鈍後の圧延銅箔を、ポリエステルやポリイミド等を材料とする柔軟性絶縁基板の片面又は両面に積層し、接着することで、フレキシブル銅張積層板(FCCL)を製造することができる。接着方法としては、エポキシ等の熱硬化性樹脂からなる接着剤を用いて、銅箔とポリイミド樹脂フィルムを貼り合わせて、加熱処理を行う方法や、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸を含むワニスを、銅箔上に塗布して加熱硬化させ、銅箔上にポリイミド被膜を形成する方法がある。両面に銅箔を積層する場合は、片面銅張積層板を形成後、銅箔層を熱プレスにより圧着する方法や、2枚の銅箔層間にポリイミドフィルムを挟み、熱プレスにより圧着する方法がある。これらの加熱処理は一般に100〜250℃で30〜150分の条件で実施される。銅箔と樹脂の積層を、熱処理工程を経ずに接着剤によって行う方法もある。
このように、FCCLの製造工程では絶縁基板と銅箔の接着のために加熱処理を行うことが多いので、上述した最終冷間圧延後の焼鈍工程を当該加熱処理で兼ねることも可能である。但し、上述した接着時の一般的な加熱処理条件では本発明が目的とする特性をもつ銅箔を得ることは難しいので、接着時の加熱処理を上述した400〜500℃で1時間以上の条件に変更することで、本発明に係る特性をもつ銅箔の作り込みと絶縁基板への接着を同時に行うこともできる。
本発明に係るFCCLを材料として公知の手順に従って配線を形成し、フレキシブルプリント配線板(FPC)を製造することが可能である。例えばエッチングレジストをFCCLの銅箔面に導体パターンとしての必要部分だけに塗布し、エッチング液を銅箔面に噴射することで不要銅箔を除去して導体パターンを形成し、次いでエッチングレジストを剥離・除去して導体パターンを露出する方法が挙げられる。導体パターン形成後は、保護用のカバーレイフィルムを貼ることが一般的である。このようなFPCは、電子・電気機器においてハードディスク内の可動部、携帯電話のヒンジ部やスライド摺動部、プリンターのヘッド部、光ピックアップ部、ノートPCの可動部等に使用されるFPCが該当する。とりわけ、本発明に係るFPCは、比較的大きな厚みの銅箔が使用され、耐震動性も要求される車載用(特にトランスミッションやエンジン周りに使用されるFPC)や自動機制御機(自動搬送ライン等レール上を移動する機器の制御)用のFPCとして好適である。
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
<圧延銅箔の製造>
タフピッチ銅(TPC)又は無酸素銅(OFC)に所定の元素を添加した表1に記載の各組成をもつインゴットを溶解鋳造した。これを熱間圧延した後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、最終冷間圧延を表1に記載の圧下率で行い、表1に記載の厚みに調整した。最後に、焼鈍をAr雰囲気で表1に記載の条件で行い各銅箔を得た。なお、比較例3では、厚み35μmの特殊電解銅箔(EDC)を用い、焼鈍をAr雰囲気で400℃×1時間の条件で行った。
<FPCの製造>
得られた各圧延銅箔の表裏に厚み50μmで電着銅粒子による粗化処理を行った後、180℃の温度で2時間熱プレスするラミネート条件で厚み50μmのポリイミドフィルムを表裏に積層し、両面FCCLを作製した。その後、長さ120mmでラインアンドスペース0.3mm×0.3mmの回路エッチングを8本形成し、最後に厚み50μmのポリイミド製のカバーレイフィルムを両面に180℃の温度で1時間熱プレスすることにより積層して、長さ150mm×幅15mmのFPCの各試験片を作製した。
<結晶粒径>
銅箔の圧延方向に平行な断面の平均結晶粒径は、FPC作製後、先述した手順によりSEM観察を行ってJIS H0501の切断法により測定した。
銅箔表面の平均結晶粒径は、FPC作製後、測定部分のポリイミドフィルムをアルカリ系溶液及び有機溶剤を使用して剥離し銅箔表面を露出させた後、電解研磨により表面を研磨し、SEM観察を行ってJIS H0501の切断法により測定した。
<振動試験>
得られた各FPC試験片について、振動試験をJIS−D1601掃引振動耐久試験に基づいて実施した。先述した試験片をループ寸法L=20mmのループ状にして両端を固定し、周波数5〜170Hz/5min、振幅幅0.6mm、振動加速度45m/s2、試験温度−35〜115℃において振動試験を行い、試験片に定電流(1.0mA)を通電しての試験片の抵抗増加率を記録し、試験片の抵抗増加率が20%に到達するまでの時間を測定した。試験温度は室温(20℃)で10分保持後、1.5時間かけて−30℃に徐々に低下させ、−30℃で10分保持後、1.5時間かけて115℃に上昇させ、115℃で10分保持後、1時間かけて室温(20℃)まで低下させるというサイクルを繰り返した。試験装置は新日本測器株式会社製F−400BM−E04全自動振動試験装置とエミック株式会社製温湿度試験装置VC−500DAR(33)M3C3Rを使用した。振動試験は、それぞれ試験片の抵抗増加率が20%に到達した時点で終了した。
<通電評価>
振動試験後の試験片の導通をテスターにより測定した。導通があった場合を○、導通がなかった場合を×とした。×という評価がついたものは、抵抗増加率20%に到達した直後に断線したものと考えられる。
<シェアバンド>
振動試験後のFPC試験片からポリイミドフィルムをアルカリ系溶液及び有機溶剤を使用して剥離し振動部銅箔表面をSEM観察し、単位面積(10μm×10μm)当りの縦方向及び横方向のシェアバンドの本数を測定した。測定は2回行い、平均値を測定値とした。
結果を表1に示す。
結果を表1に示す。実施例1〜16では400℃で1時間の熱処理を行うと、圧延方向に平行な断面の平均結晶粒径が100μm以上となったことから、同じ箔厚の比較例と比べて長い耐振動時間を得ることができた。そして、実施例1〜16では、振動試験後にシェアバンドが観察された。
比較例1〜3は、タフピッチ銅を材料としたが、酸素濃度が高すぎたために結晶粒が十分に発達しなかった。
比較例4〜6は、焼鈍条件が不適切であり、結晶粒が十分に発達しなかった。但し、これらは焼鈍条件を400℃×1時間としたときは、平均断面結晶粒径は100μmを超えた。
比較例7は、特殊電解銅箔を材料としたが、結晶粒が十分に発達しなかった。

Claims (11)

  1. 400℃で1時間の熱処理を行うと、圧延方向に平行な断面の平均結晶粒径が100μm以上となるという特性をもつ圧延銅箔。
  2. 圧延方向に平行な断面の平均結晶粒径が100μm以上である圧延銅箔。
  3. 明細書中で定義される“振動試験A”後の振動部表面にシェアバンドが形成されるという特性をもつ圧延銅箔。
  4. 明細書中で定義される“振動試験A”後の振動部表面に、10μm×10μmの正方形の観察視野当たり、縦方向及び横方向にそれぞれ10〜30本のシェアバンドが形成されるという特性をもつ請求項3に記載の圧延銅箔。
  5. 銅箔の厚みが50〜300μmである請求項1〜4の何れか一項に記載の圧延銅箔。
  6. Cu濃度が99.8質量%以上、酸素濃度が0.05質量%以下、且つ、Ag、Sn、B、Zr及びTiの合計濃度が0.003〜0.03質量%の組成を有する請求項1〜5の何れか一項に記載の圧延銅箔。
  7. Cu濃度が99.9質量%以上、酸素濃度が0.01質量%未満、且つ、Ag、Sn、B、Zr及びTiの合計濃度が0〜0.03質量%の組成を有する請求項1〜5の何れか一項に記載の圧延銅箔。
  8. フレキシブルプリント配線板の導体材料として使用される請求項1〜7の何れか一項に記載の圧延銅箔。
  9. フレキシブルプリント配線板が車載用である請求項8に記載の圧延銅箔。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の圧延銅箔を備えたフレキシブル銅張積層板。
  11. 請求項10に記載のフレキシブル銅張積層板を加工して得られたフレキシブルプリント配線板。
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