JP2009287396A - キャニスタとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルコール混合燃料を使用しても蓄熱材から相変化物質が漏れ出すことがなく、かつ吸着室全体に亘る温度抑制効果を確保しながら、キャニスタ重量及びコストが増加することのないキャニスタを提供する。
【解決手段】吸着室21内に、蒸発燃料を吸着・脱離する吸着材18と、合成樹脂製の外殻25内に温度変化に応じて潜熱の吸収・放出を生じる相変化物質24が封入された蓄熱材とが収容され、燃料タンクと連通するタンクポート13と、大気と連通する大気ポート15とを備えるキャニスタにおいて、吸着室21内には、タンクポート13側と大気ポート15側とに分けて耐アルコール性の異なる2種類の蓄熱材22・23が収容されており、吸着室21内のタンクポート13側部位に、大気ポート15側部位に収容される蓄熱材22よりも耐アルコール性の高い蓄熱材23が収容されていることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、燃料タンクから発生する蒸発燃料が大気中へ放散されることを防止する蒸発燃料処理装置のキャニスタに関し、特に、蒸発燃料を吸着・脱離可能な吸着材と共に、潜熱を利用して吸着材の温度変化を抑制する蓄熱材が、内部に収容されているキャニスタとその製造方法に関する。
従来から、車両停止中等に燃料タンク内に貯留されたガソリン燃料が揮発して生じた蒸発燃料を活性炭等からなる吸着材に吸着捕捉し、蒸発燃料が大気中に放散されることを防止する蒸発燃料処理装置のキャニスタがある。当該キャニスタには、燃料タンクの上部に連通するタンクポートと、先端が大気に開放している大気ポートと、吸着材から脱離(パージ)された蒸発燃料が流動していくパージポートとが設けられている。エンジン駆動時や車両停止時等に燃料タンクが昇温することで発生した蒸発燃料は、タンクポートからキャニスタ内に流入して大気ポートへ向けて流動していく間に吸着材に吸着されることで、蒸発燃料が大気中へ放散されることが防止される。吸着材に吸着された蒸発燃料は、エンジン駆動時の吸気管負圧やエンジン駆動とは別個独立して駆動制御される吸引ポンプによって大気ポートから大気が導入されることで脱離(パージ)され、吸着材が再生される。
このとき、キャニスタ内において燃料蒸気は吸着材に吸着される際に液化し、吸着材から脱離されると再度気化する。したがって、蒸発燃料が吸着される際には発熱反応である凝縮熱により吸着材の温度が上昇し、蒸発燃料が脱離される際には吸熱反応である気化熱により吸着材の温度が下がる。これに対し、多孔質体である吸着材は、温度が低いほど吸着容量が多くなり、温度が高いほど吸着容量が低下する特性を有する。したがって、蒸発燃料の吸着時には吸着材の温度は低く、パージ時には吸着材の温度が高いことが望ましい。しかし、上記蒸発燃料の相変化に伴う発熱・吸熱は、吸着材の望ましい温度状態とは逆の方向、すなわち吸着材の吸着・脱離性能を阻害する方向へ生じる。よって、吸着材の吸着・脱離性能を向上するためには、蒸発燃料の相変化に伴う発熱・吸熱を抑制して、吸着材の温度変化を抑制することが望まれる。
そこで、潜熱を利用して吸着材の温度変化を抑制する蓄熱材を、吸着材と共に内部に収容したキャニスタとして、特許文献1や特許文献2がある。特許文献1の蓄熱材には、メラミン樹脂等から成る外殻内に、比較的融点の低いテトラデカンやペンタデカン等のパラフィンからなる相変化物質を封入したマイクロカプセル、又はそのペレット状造粒物(成形蓄熱体)が使用されている。このように、キャニスタ内に吸着材に加えて蓄熱材も収容していることで、蒸発燃料が吸着される際の吸着材の温度上昇が、蓄熱材中の相変化物質が固相から液相へ変化する際の潜熱(融解熱)によって抑制される一方、蒸発燃料が脱離される際の吸着材の温度低下が、蓄熱材中の相変化物質が液相から固相へ変化する際の潜熱(凝固熱)によって抑制されることで、吸着材の吸着・脱離性能が向上する。
特許文献2は本出願人が先に提案したキャニスタであって、蒸発燃料がマイクロカプセルを構成する外殻を透過することで相変化物質の融点が変化することを防ぐため、吸着材に比して熱伝導率等が高く、かつ蒸発燃料を透過させない素材によって相変化物質を直接又は間接的に覆っている。具体的には、ペレット状の金属ケースに、相変化物質又は相変化物質を封入したマイクロカプセルを収納したり(請求項6〜7、段落0060〜0062)、金属箔をラミネートした樹脂フィルムから成るペレット状のケースに、相変化物質又はマイクロカプセルを収納たり(請求項8、段落0063〜0064)、マイクロカプセルの外面に金属材料をメッキ又は蒸着している(請求項9、段落0065)。蒸発燃料を透過させない金属としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレスが挙げられ(表1)、ペレット状の金属容器等が吸着材と共に吸着室全体に分散されている。
特開2005−233106号公報 特開2006−233962号公報
ところで近年では、地球温暖化対策の一環として、バイオマスエタノール又はバイオエタノールとよばれる植物由来のアルコールを従来のガソリンに混合し、自動車用の燃料として利用する法制化が国際的に行われつつある。エタノールを混合したガソリンは、ガスホールと称されることもある。また、植物由来のエタノールとイソブテンを反応させたエチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)を一般のガソリンに対して数%混合させたバイオガソリンも使用されつつある。バイオマスエタノールの原料としては、糖質あるいはデンプン質を多く含む植物資源が好適とされており、現在では、サトウキビに由来するモラセス(主に南米)、トウモロコシ(主に米国)、及び甜菜(主に欧州)が主な原料となっている。その他、ソルガム(モロコシ、こうりゃん)、ジャガイモ、サツマイモ、麦などを原料とするバイオマスエタノールの開発も進められている。これらの植物は大気中のCO2を吸収しているため、その植物原料からの燃料ならば、これを燃焼させてCO2に変わっても、地球全体のCO2の絶対量は増えないという考え(カーボンニュートラル)に基づく。このように、車両にアルコール混合燃料を使用した場合、蒸発燃料中には揮発したアルコール成分も含まれている。
特許文献1では、キャニスタ内に吸着材と共に蓄熱材マイクロカプセルを収容していることで、蒸発燃料の吸着・脱離に伴う吸着材の温度変化を効果的に抑制している。しかしながら、メラミン樹脂製の外殻は耐アルコール性が低いため、これをアルコール混合燃料からの蒸発混合燃料の吸着・脱離に使用した場合、特に劣化アルコール混合燃料を使用した場合には問題が生じるおそれがある。すなわち、アルコール混合燃料が劣化して有機酸、過酸化物などが増加した場合、これらの劣化成分はマイクロカプセルの外殻を成すメラミン樹脂の架橋を切断する働きがあり、メラミン樹脂の架橋度が低下することでマイクロカプセル内の相変化物質が漏れ出すおそれがある。相変化物質がマイクロカプセルから漏れ出してしまうと、蓄熱材マイクロカプセルによる潜熱が低減して所定の蓄熱効果を発揮できず、吸着材の性能が悪化してしまう。
これに対し特許文献2では、相変化物質又は相変化物質を収納したマイクロカプセルが金属容器等に収納されている。特許文献2はアルコール混合燃料を使用した場合に着目したものではないが、金属材料はメラミン樹脂に比べて耐アルコール性が高く、上記問題は生じ難い。しかし、特許文献2では金属を使用した1種類の蓄熱材を使用しているのみなので、以下のような問題を有する。第1に、このような蓄熱材は従来の蓄熱材と比べてコスト高となることが避けられず、アルコールがあまり存在しない部位にまで分散させたのではコストの無駄となる。第2に、金属材料は樹脂材料に比べて比重がかなり高い。したがって、金属を使用した容器等に相変化物質を収納した蓄熱材をキャニスタ内の吸着室の全体に亘って分散させると、キャニスタの重量が大幅に増大してしまう。仮に、このような問題を解決するため、特に耐アルコール性が必要とされる所定範囲のみに蓄熱材を収容したとしても、1種類の蓄熱材を使用しただけでは、その他の部位における吸着材の温度変化抑制効果が得られなくなる。
そこで、本発明者らはアルコール混合燃料を使用しても相変化物質が漏れ出すことがない耐アルコール性の高い蓄熱材を使用しながら、吸着室全体に亘る温度抑制効果を確保しつつキャニスタ重量及びコストの大幅な増加を避けられないか鋭意検討の結果、アルコールは蒸発燃料よりも吸着材に吸着され易く、これにより吸着材室内で吸着されるアルコールの分布には一定の特徴があることを知見し、当該アルコール分布の特徴を有効利用して耐アルコール性の異なる2種類の蓄熱材を適所に分けて収容することで上記課題を解決できると共に、比重差を利用すれば容易に分別収納ができることを知見し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は上記課題を解決するものであって、その目的とするところは、吸着室内のアルコール分布に応じた適所に耐アルコール性及び比重の異なる2種類の蓄熱材を効率的に収容することによって、アルコール混合燃料を使用しても蓄熱材から相変化物質が漏れ出すことがなく、かつ吸着室全体に亘る温度抑制効果を確保しながら、キャニスタ重量及びコストが増加することのないキャニスタを提供すると共に、2種類の蓄熱材を容易に分別収容可能なキャニスタの製造方法を提供する。
本発明は、吸着室内に、蒸発燃料を吸着・脱離する吸着材と、合成樹脂製の外殻内に温度変化に応じて潜熱の吸収・放出を生じる相変化物質が封入されたマイクロカプセル型の蓄熱材とが収容され、燃料タンクと連通するタンクポートと、大気と連通する大気ポートとを備えるキャニスタにおいて、アルコール混合燃料を使用した場合、アルコールは蒸発燃料よりも吸着材に吸着され易いことから、キャニスタの吸着室内におけるタンクポート付近にアルコールが多く吸着され、大気ポート付近ではほとんどアルコールが吸着されていないというアルコール分布を有効利用した点に特徴を有する。すなわち、前記吸着室内には、前記タンクポート側と大気ポート側とに分けて耐アルコール性の異なる2種類の蓄熱材が収容されており、前記吸着室内のタンクポート側部位に、前記大気ポート側部位に収容される蓄熱材よりも耐アルコール性の高い蓄熱材が収容されていることを特徴とする。大気ポート側部位に収容される蓄熱材は、基本的には従来からある一般的な蓄熱材と同じものでよい。又は、重量やコストが従来の蓄熱材と同等である限り、ある程度耐アルコール性を有する蓄熱材を使用することもできる。
前記タンクポート側部位に収容される耐アルコール性の高い蓄熱材としては、該蓄熱材の外殻を、前記大気ポート側部位に収容される蓄熱材の外殻よりも耐アルコール性の高い合成樹脂製としたり、前記タンクポート側部位に収容される蓄熱材の外殻と前記大気ポート側部位に収容される蓄熱材の外殻とを同じ合成樹脂製としたうえで、前記タンクポート側部位に収容される蓄熱材の外殻に、耐アルコール性の高い合成樹脂を被覆したりすることができる。
前記耐アルコール性の高い蓄熱材は、少なくとも前記吸着室内のタンクポート側20%の範囲、多くても前記吸着室内のタンクポート側70%の範囲に収容することが好ましい。
前記2種類の蓄熱材は、複数のマイクロカプセルをバインダによって粒状に造粒成形する、又は複数のマイクロカプセルを粉末状の吸着材と共にバインダによって粒状に造粒成形することが好ましい。
本発明のキャニスタは、特にアルコールが混合された燃料から生じる蒸発混合燃料の吸着・脱離用として好適に使用される。
また、本発明によれば、中空筒状のキャニスタケース内の吸着室に、蒸発燃料を吸着・脱離する吸着材と、合成樹脂製の外殻内に温度変化に応じて潜熱の吸収・放出を生じる相変化物質が封入されたマイクロカプセル型の蓄熱材とが収容され、燃料タンクと連通するタンクポートと、該タンクポートの反対位置に設けられた大気と連通する大気ポートとを備えるキャニスタの製造方法を提供することもできる。当該キャニスタの製造方法は、前記キャニスタケース内に、前記吸着材と、比重及び耐アルコール性の異なる2種類の蓄熱材とを、混合して充填する工程と、前記大気ポートとタンクポートとが天地方向となる状態で、前記キャニスタケースに振動を与える工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、耐アルコール性の異なる2種類の蓄熱材を適所に分別収納していることで、吸着室全体に亘る温度抑制効果を確保しながら、キャニスタ重量及びコストが増加することのないキャニスタを得ることができる。すなわち、アルコールの吸着量が多いタンクポート側部位に限って効率的に耐アルコール性の高い蓄熱材を配しているので、当該部分において相変化物質が蓄熱材から漏れ出すことを回避できる。そのうえで、耐アルコール性を樹脂によって担保しているので、金属材料を使用する場合のようにキャニスタ重量やコストが大幅に増加することが無く、使用する樹脂によってはキャニスタ重量及びコストの削減も可能である。同時に、耐アルコール性が要求されないその他の部位、すなわち大気ポート側部位にも一般的な耐アルコール性が高くはない蓄熱材を収容しているので、吸着室全体に亘って吸着材の温度変化を抑制できる。なお、大気ポート側にはほとんどアルコールが存在しないので、当該部位に耐アルコール性が高くはない蓄熱材を収容しても、相変化物質が漏れ出す心配は無い。
2種類の蓄熱材の内、一方の蓄熱材の外殻を耐アルコール性の高い合成樹脂製としたり、2種類の蓄熱材の外殻を同じ合成樹脂製としたうえで、一方の蓄熱材の外殻に耐アルコール性の高い合成樹脂を被覆していれば、金属材料を使用する場合よりも比重が小さいので、キャニスタの重量増加の回避ないし重量削減ができる。
耐アルコール性の高い蓄熱材を、特に耐アルコール性の要求される必要最低限の範囲である少なくともタンクポート側20%の範囲に収容していれば、キャニスタの重量及びコスト削減効果が大きい。一方、耐アルコール性の高い蓄熱材をタンクポート側70%の範囲にまで収容していれば、確実に相変化物質が蓄熱材から漏れ出すことを防止できる。
マイクロカプセル型の蓄熱材や粉末状の吸着材をバインダによって粒状に造粒成形していれば、微細なマイクロカプセルや吸着材をそのまま収容した場合よりも、各蓄熱材や各吸着材間の空隙が多くなり、良好な通気性を確保できる。
タンクポートと大気ポートとがそれぞれ対向位置に設けられた直線状の流路を備えるキャニスタを製造する場合、キャニスタケース内に吸着材と比重及び耐アルコール性の異なる2種類の蓄熱材とを同時に混合充填したうえで、大気ポートとタンクポートとが天地方向となる状態でキャニスタケースに振動を与えれば、振動に伴って比重の大きい蓄熱材が下方へ移動し、必然的に2種類の蓄熱材が2層に分離されるので、製造が容易である。
<アルコールの吸着特性確認試験>
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明するが、これに限られず本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。先ず、本発明の基本原理となるアルコールの吸着特性について検討した試験結果について述べる。本試験には、図1に示すような、隔壁101によって区画されたタンクポート102側の吸着室103と大気ポート104側の吸着室105を備え、内部にU字状の流路を有する、内容積1Lのキャニスタ100を用いた。なお、パージポート106は封止した。当該キャニスタ100内には、木質系破砕炭0.9L収容した。そして、エタノールを10%混合したガソリン(E10)を油槽で加熱し、ガソリン及びエタノールが蒸発した蒸発混合燃料を十分に発生させてキャニスタのタンクポートへ15g/minで4分間導入し、これを吸着材に吸着させた。次いで、20L/minの流速で540Lの空気を大気ポート側からポンプによってキャニスタ内に導入し、吸着材に吸着されている蒸発混合燃料を脱離させた。この吸着・脱離操作を、脱離後のキャニスタ重量が安定するまで回繰り返して、吸着材に残存している蒸発燃料及びアルコールの量を安定させた。このように蒸発燃料及びアルコールの残存量が安定したところで、図1に示すようにタンクポート102付近A、タンクポート102と大気ポート104との中間部にあたるキャニスタ100の中央底部B、及び大気ポート104付近Cの各部位からそれぞれ活性炭を25ml取り出し、各部位の吸着材A〜Cを約300℃に加熱して残存蒸発燃料及び残存アルコールを揮発させ、これを冷却液化させた。得られた液体をガスクロマトグラフィーによって含有されている各成分の量を測定した。
上記試験の結果、タンクポート102付近の活性炭Aには9.52g/dLの蒸発混合燃料が、キャニスタ100の中央底部の活性炭Bには6.19g/dLの蒸発混合燃料が、大気ポート104付近の活性炭Cには1.57g/dLの蒸発混合燃料が残存していた。これにより、キャニスタ100は、タンクポート102付近の蒸発混合燃料吸着量が最も多く、大気ポート104付近に近づくにつれて蒸発混合燃料吸着量が少なくなる傾向にあることがわかった。
また、ガスクロマトグラフィーによる各成分の含有量を図2に示す。なお、図2中の「C」は炭化水素の炭素数を示し、大気ポート104側の活性炭Cについては、蒸発混合燃料の残存量が少なすぎるため計測不能であった。図2の結果から、タンクポート102付近の吸着材Aに吸着されている蒸発混合燃料は、その大部分がエタノールであった。これに対し、中央底部の活性炭Bに吸着されている蒸発混合燃料は、その殆どが炭化水素であった。これにより、アルコールは蒸発燃料に比して優先的に吸着材に吸着され易く、タンクポート付近に最もアルコールが多く吸着されていることがわかった。なお、炭素数3〜6の炭化水素が存在しないのは、これらの成分はパージ時に炭素数7以上の炭化水素より脱離し易いこと、及び吸着時に炭素数7以上の炭化水素と入れ替わったためと考えられる。また、炭素数9以上の炭化水素がタンクポート付近より中央底部の方が多いのは、タンクポート付近ではアルコールが大量に吸着され、炭素数9以上の炭化水素が吸着され難いことから、キャニスタの内部奥方にまで浸入したためと考えられる。
(実施例1)
図3に、本発明の実施例1に係るキャニスタ1の断面図を示す。本実施例1のキャニスタ1は、自動車の燃料タンクから発生する蒸発燃料処理装置に設置されるものであって、図3に示されるように、合成樹脂製で中空筒状のキャニスタケース10と、該キャニスタケース10の上面開口を閉塞する合成樹脂製のカバー11とを有する。キャニスタケース10とカバー11とはナイロン等の同じ合成樹脂素材で形成されており、両者10・11の端部外周面に一体形成されたフランジ10a・11a同士を付き合わせた状態で、当該部分を例えば振動溶接や接着などによって接合されている。カバー11には、蒸発燃料の導入部となる円筒形のタンクポート13と、脱離された蒸発燃料が流動していく円筒形のパージポート14とが、それぞれ内外貫通状に一体形成されている。一方、タンクポート13等と反対側のキャニスタケース10の下面には、大気と連通して大気(空気)の出入口となる円筒形の大気ポート15が、タンクポート13等と対向するように内外貫通状に一体形成されている。これにより、キャニスタ1の内部には、タンクポート13及びパージポート14と大気ポート15との間に亘る略直線状の流路が形成される1つの吸着室21を有することになる。図示していないが、タンクポート13は燃料タンクの上部と連通しており、パージポート14は、エンジン(内燃機関)の吸気管に連通されているか、エンジンの駆動とは独立して駆動制御される吸引ポンプを介して燃料タンクと連通している。
キャニスタケース10内の上下には、通気性を有するフィルタ17・17及びプレート19u・19lが配されており、上下のフィルタ17・17間の空間が吸着室21となる。そして、当該吸着室21内には、蒸発燃料を吸着・脱離可能な吸着材18と共に、耐アルコール性及び比重の異なる2種類の蓄熱材22及び蓄熱材23が、上下2層に分かれた状態で分別収容されている。フィルタ17には、合成樹脂製の不織布や発泡ウレタンなどが使用される。プレート19には、多数の細孔が穿設された金属板や、金属メッシュ等が使用される。下方のプレート19lは、キャニスタケース10の下部に設けられた段部10bで受け止められる。上方のプレート19uとカバー11との間には、プレート19uを常時大気タンクポート15側へ付勢するコイルスプリング20が配されている。このコイルスプリング20の付勢力によって、吸着材18及び2種類の蓄熱材22・23がバラツクことなく確り収容されている。
吸着材18には活性炭が使用され、微細な粉末状の活性炭がバインダ樹脂により所定形状に造粒成形されている。吸着材18は、吸着室21内の全体に亘って分散収容されている。蓄熱材には、吸着室21内の大気ポート15側部位に吸着材18と混合分散状に収容される耐アルコール性が高くない蓄熱材22と、吸着室21内のタンクポート13側部位に吸着材18と混合分散状に収容される、蓄熱材22より耐アルコール性が高く比重の小さい蓄熱材23とが使用されている。耐アルコール性の高くない蓄熱材22は、従来から公知の蓄熱材と同様であり、図4に示されるように、メラミン樹脂(MF)からなる中空球形の外殻25(マイクロカプセル)内に、温度変化に応じて潜熱の吸収・放出を生じる相変化物質24が封入された微細なマイクロカプセル型蓄熱材22aが使用され、多数のマイクロカプセル型蓄熱材22aがバインダ樹脂によって所定形状に造粒成形されている。マイクロカプセル型蓄熱材の平均粒子径は0.1〜25μm程度とし、相変化物質24は外殻25の内部容積に対して70〜100%程度封入すればよい。また、メラミン樹脂は、できるだけ高比重のものを使用することが好ましい。マイクロカプセル型蓄熱材22aは、例えば相変化物質24を芯材料として、コアセルベーション法、in−situ法(界面反応法)等の公知の方法により製造できる。界面反応法により製造した場合は、相変化物質24の外周面を外殻25が被覆するように形成されるので、相変化物質24は外殻25の内部容積に対して100%封入された形となる。
相変化物質24としては、吸着材18の温度変化に応じて固相と液相との間で相変化可能な物質であれば特に限定されず、融点が10〜80℃程度の有機化合物や無機化合物を使用できる。具体的には、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンイコサン、ドコサンなどの直鎖の脂肪族炭化水素や、天然ワックス、石油ワックス、LiNO3・3H2O、Na2SO4・10H2O、Na2HPO4・12H2Oなどの無機化合物の水和物、カプリン酸、ラウリル酸等の脂肪酸、炭素数が12から15の高級アルコール、及びバルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル等のエステル等が挙げられる。中でも、融点が20℃前後の相変化物質を用いることが好ましい。このような相変化物質としては、融点が18℃のヘキサデカンや、融点が22℃のヘプタデカン等がある。これら相変化物質は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合使用してもよい。バインダ樹脂としては種々の熱硬化性樹脂を用いることができるが、最終的なキャニスタとして要求される温度や強度等の点から、フェノール樹脂やアクリル樹脂が好適である。
造粒蓄熱材22は、図5に示されるような、直径1〜3mm程度で長さ1〜5mm程度のペレット状(円柱状)とすることが好ましい。ペレット状の造粒蓄熱材22は、例えば多数のマイクロカプセル22aとバインダ樹脂と混練し、押し出し成形された長寸の円柱成形体を、所定の寸法に切断して得られる。造粒吸着材18は、造粒蓄熱材22と同じ形状且つ同程度の寸法としておくことが好ましい。より好ましくは造粒吸着材18と造粒蓄熱材22とを同一寸法とする。ペレット状の造粒吸着材18も、造粒蓄熱材22と同様の方法により造粒成形できる。造粒吸着材18と造粒蓄熱材22が同等ないし同一寸法であれば、これらを吸着室21内に混合分散収容したときに、各造粒吸着材18や各造粒蓄熱材22間に適宜な空隙が確保されるので、良好な通気性が確保されて圧力損失や吸着・脱離作用が損なわれることがない。造粒吸着材18や造粒蓄熱材22は、その他球状、多角形状、扁平状などとすることもできる。造粒蓄熱材22は、造粒吸着材18の全体積に対して、5〜40%の体積割合で混合収容することが好ましい。造粒蓄熱材22の全体積が造粒吸着材18の全体積に対して5%未満では、蓄熱作用による吸着材18の温度変化を抑制する効果が十分に得られない。逆に、造粒蓄熱材22の全体積が造粒吸着材18の全体積に対して40%を超えると、吸着材18の収容割合が減少する結果、キャニスタ1の単位体積当たりの吸着量が低下する。
耐アルコール性の高い蓄熱材23も、基本的には蓄熱材22と同様の構成となっており、合成樹脂製で中空球形の外殻25(マイクロカプセル)内に、温度変化に応じて潜熱の吸収・放出を生じる蓄熱材22と同様の相変化物質24が封入された微細なマイクロカプセル型蓄熱材23aが使用され、多数のマイクロカプセル型蓄熱材23aがバインダ樹脂によって所定形状に造粒成形されている。製造方法や造粒成形体の形状及び好ましい寸法、並びに吸着材18との好ましい混合割合等も蓄熱材22と同様である。但し、蓄熱材22と異なる点は、外殻25が、例えばフェノール樹脂(PF)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)などの耐アルコール性の高い合成樹脂製とされている。外殻25を成す耐アルコール性の高い合成樹脂は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を混合使用してもよい。ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂は、合成樹脂の中でも特に比重が小さいので使用に際して問題はないが、フェノール樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂を使用する場合は、できるだけ比重を小さくしておく。
又は、外殻25を蓄熱材22と同じメラミン樹脂製としたうえで、図6に示すごとく、外殻25の外表面に上記耐アルコール性の高い合成樹脂からなる被膜層26によって被覆することもできる。被膜層26は、外殻25の外表面に塗布、噴霧、又は界面反応法などにより形成することができる。被覆層26を形成する場合は、蓄熱材23の外殻25の厚みを蓄熱材22の外殻25の厚みよりも薄くして、被覆層26を蓄熱材23の外殻25の厚みよりも厚くすることが好ましい。蓄熱材23における外殻25と被膜層26とを合わせた厚みは、蓄熱材22の外殻25の厚みと同程度とすることが好ましい。この場合、蓄熱材23用のメラミン樹脂は、蓄熱材22用のメラミン樹脂より比重が小さいものを使用することが好ましい。
さらには、耐アルコール性の低い蓄熱剤22をバインダ樹脂によって図5に示すような造粒蓄熱剤とした後、当該耐アルコール性の低い造粒蓄熱剤22の外表面に耐アルコール性の高い合成樹脂を、塗布、噴霧などによってコートすることもできる。
耐アルコール性の高い蓄熱材23は、吸着室21の長さに対してタンクポート13側20%の範囲からタンクポート13側70%の範囲に、アルコール混合燃料中のアルコール含有量に基づくキャニスタ1内に吸着されるアルコールの分布に応じて適宜収容すればよい。アルコール混合燃料中のアルコール含有量が低ければ、アルコールが吸着される範囲はタンクポート13側のごく一部となるので、蓄熱材23の収容範囲は狭くてよい。逆に、アルコール混合燃料中のアルコール含有量が高ければ、アルコールが吸着される範囲も大気ポート15側奥方にまで広がるので、蓄熱材23の収容範囲も広くする。吸着室21内のその他の部位に、蓄熱材22が収容されることになる。すなわち、蓄熱材22の収容範囲は、蓄熱材23の収容範囲に応じて大気ポート15側80%の範囲から大気ポート15側30%の範囲に収容される。蓄熱材23の収容範囲がタンクポート13側20%の範囲より狭い(蓄熱材22の収容範囲が大気ポート側80%より広い)と、蓄熱材22がアルコールに晒されることで、蓄熱材22の相変化物質24が外殻25から漏れ出すおそれが高くなる。逆に、蓄熱材23の収容範囲がタンクポート13側70%の範囲より広い(蓄熱材22の収容範囲が大気ポート側30%より狭い)と、蓄熱材23の使用量が必要以上に多くキャニスタ1の重量及びコストが無駄に嵩むことになる。好ましくは、蓄熱材23の収容範囲をタンクポート13側25%の範囲からタンクポート13側60%の範囲であり、より好ましくはタンクポート13側30%の範囲から50%の範囲である。本実施例1では、蓄熱材22と蓄熱材23とを大気ポート側50%の範囲とタンクポート側50%の範囲とに2等分収容した。
次に、キャニスタ1の製造方法を、図7を参照しながら説明する。先ず、図7(a)に示すように、射出成形など公知の方法によって製造したキャニスタケース10を、大気ポート15が下方にくるように天地方向に起立した状態で保持し、キャニスタケース10内の底部にプレート19l及びフィルタ17をこれの順で配したうえで、上面開口からキャニスタケース10内部に吸着材18と2種類の蓄熱材22・23とを同時に混合充填する。この時点では、図7(b)に示されるように、蓄熱材22と蓄熱材23とは分別されていない。そして、この状態からキャニスタケース10に振動を与える。すると、比重の大きい蓄熱材22が大気ポート15側下方へ移動すると共に、比重の小さな蓄熱材23が後のタンクポート13側となる上方へ移動し、図7(c)に示されるように、2種類の蓄熱材22・23が自然に所定量域へ分別される。蓄熱材22と蓄熱材23とが分別されたところで、最後に、図7(d)に示すように、フィルタ17、プレート19u、及びコイルスプリング20をこれの順で配したうえで、キャニスタケース10の上面開口をカバー11で閉塞することで、キャニスタ1が得られる。
次に、実施例1のキャニスタ1の作用について説明する。本実施例1では、サトウキビ、モラセス、トウモロコシ、甜菜、ソルガム、ジャガイモ、サツマイモ、麦などの植物由来のバイオマスエタノールが数%〜数十%ガソリンに混合された、アルコール混合燃料を使用した場合を想定して説明する。現在実用化されつつあるアルコール混合燃料のアルコール混合率は、1〜20vol%程度である。具体的には、米国ではエタノールが10vol%未満混合されたガソリン(E10)が使用され、ブラジルではエタノール20vol%混合ガソリン(E20)が標準とされている。わが国では、エタノールの混合率が3vol%(E3)以下であれば自動車に使っても安全とされている。
車両停止時の高温雰囲気や車両走行時のエンジン駆動熱などによって燃料タンクが昇温されると、燃料タンク内に貯留されているアルコール混合燃料も昇温して、ガソリン揮発成分(炭化水素)とアルコール揮発成分とが混ざった蒸発混合燃料が多量に発生する。この燃料タンクにおいて発生した蒸発混合燃料は、タンクポート13からキャニスタ1内へ導入されて大気ポート15へ向けて直線状に吸着室21内を流動していき、その間に吸着室21内に収容されている吸着材18に吸着されていく。このとき、蒸発混合燃料は吸着材18に吸着される際に液化する。すると、蒸発混合燃料の凝固熱によって吸着材18が昇温し、そのままでは吸着容量(吸着能力)が低下してしまう。しかし、吸着室21内に蓄熱材22・23が吸着材18と共に収納されていることで、吸着材18の温度上昇により蓄熱材22・23中の相変化物質24が固相から液相へ相変化して潜熱による吸熱が生じることで、吸着材18の温度上昇が抑制される。
しかし、従来からのメラミン樹脂を外殻とする蓄熱材であれば、アルコール混合燃料中の有機酸や過酸化物などによってメラミン樹脂の架橋度が低減され、相変化物質が蓄熱材から漏れ出すおそれがある。ここで、アルコールは炭化水素よりも吸着材18に吸着され易いことから、アルコールはタンクポート13付近に最も多く吸着され、大気ポート15に近づくにつれてアルコールの吸着量は減少し、大気ポート15付近に至っては殆ど吸着されていない。一方、炭化水素はタンクポート13付近にはあまり吸着されておらず、吸着室21の中間部近傍に最も多く吸着され、大気ポート15に近づくにつれて吸着量が減る傾向にある。そこで、本実施例1では、吸着室21内におけるタンクポート13側の所定範囲に限って、耐アルコール性の高い蓄熱材23を配していることで、相変化物質が漏れ出すことが効率的かつ確実に防止されている。一方、大気ポート15付近には、アルコールが殆ど吸着されないことから、大気ポート15側の所定範囲には、従来と同様の蓄熱材22を収容している。
吸気管負圧や吸引ポンプによってキャニスタ1内が負圧になると、大気ポート15から大気(外気)が吸入され、吸着材18に吸着されていた蒸発混合燃料が脱離(パージ)されて、上記とは逆の方向に流動してパージポート14から排出されていく。このとき、蒸発混合燃料は、吸着材18から脱離される際に気化する。すると、蒸発混合燃料の気化熱によって吸着材18の温度が低下し、そのままでは吸着容量(吸着能力)が低下してしまう。しかし、この吸着材18の温度低下により蓄熱材22・23中の相変化物質24が液相から固相へ相変化して潜熱による発熱が生じることで、吸着材18の温度上昇が抑制される。
(実施例2)
図8に、本発明の実施例2に係るキャニスタ2の断面図を示す。本実施例2は先の実施例1の変形例であって、内部にU字状の流路を有するキャニスタ2に、本発明の蓄熱材23を配したものである。したがって、以下には、実施例1とは異なる点を中心に説明する。具体的には、図8に示されるように、本実施例2のキャニスタ2は、中空筒状のキャニスタケース30と、該キャニスタケース30の底面開口を閉塞するカバー31とを有する。本実施例2のキャニスタ2では、キャニスタケース30の上面に、タンクポート33、パージポート34、大気ポート35が、それぞれこれの順で一体形成されている。パージポート34と大気ポート35との間には、キャニスタケース30の上面からカバー31近傍まで上下に延びる長寸の隔壁37が一体形成されている。当該隔壁37によって、キャニスタ2の内部はタンクポート33側の第1の吸着室38と大気ポート35側の第2の吸着室39とに区画されている。これにより、キャニス2内にはタンクポート33及びパージポート34と大気ポート35とが隔壁37の下方を介して連通するU字状の流路が形成されている。したがって、第1の吸着室38と第2の吸着室39とは、蒸発燃料の流動方向に対して直列関係にある。なお、タンクポート33とパージポート34との間にも、キャニスタケース30の上面からカバー31に向けて延びる短寸の補助隔壁40が一体形成されている。
そして、第1の吸着室38内の全体に、上記実施例1と同様の造粒吸着材18及び耐アルコール性の高い蓄熱材23が混合分散収容されている。一方、第2の吸着室39内の全体に、上記実施例1と同様の造粒吸着材18及び造粒蓄熱材22が混合分散収容されている。また、第1の吸着室38と第2の吸着室39の上下にはフィルタ41が配されており、下方のフィルタ41の下面に配されるプレート42が、コイルスプリング43によって常時上方(各ポート33〜35側)へ付勢されていることで、吸着材18や蓄熱材22・23が確り保持されている。また、第2の吸着室39の上下中間部にも、フィルタ41が介在されている。その他は先の実施例1と同様なので、その説明を省略する。
(その他の変形例)
上記実施例1、2では、共に所定形状に造粒された吸着材18と蓄熱材22・23とを混合して収容していたが、これに限らず、微細なマイクロカプセル22a・23aと微細な粉末状の活性炭とを混練したうえで、バインダ樹脂によって共に造粒成形してもよい。これによれば、造粒吸着材18と造粒蓄熱材22・23とを別個独立して製造する手間が省ける。上記実施例2において、第2の吸着室39のフィルタ41より下部に蓄熱材23収容することもできる。
上記実施例1では、比重の異なる2種類の蓄熱剤22・23を同時にキャニスタケース10内に充填した後振動を与えて上下に分級したが、その他、一方の蓄熱剤22と活性炭18とを所定量混合してキャニスタケース10内に充填した後、その上方から他方の蓄熱剤23と活性炭18とを所定量混合してキャニスタケース10内に充填してもよい。
アルコールの吸着特性確認試験に使用した試験用キャニスタの概略構成図である。 ガスクロマトグラフィーによる蒸発混合燃料成分の含有量を示すグラフである。 実施例1のキャニスタの断面図である。 マイクロカプセルの一部断面平面図である。 造粒蓄熱材の斜視図である。 耐アルコール性の高い蓄熱材マイクロカプセルの一部断面平面図である。 実施例1のキャニスタの製造工程図である。 実施例2のキャニスタの断面図である。
符号の説明
1・2 キャニスタ
10・30 キャニスタケース
11・31 カバー
13・33 タンクポート
14・34 パージポート
15・35 大気ポート
18 吸着材
21 吸着室
22 耐アルコール性が高くない蓄熱材
23 耐アルコール性の高い蓄熱材
24 相変化物質
25 外殻
38 第1の吸着室
39 第2の吸着室

Claims (8)

  1. 吸着室内に、蒸発燃料を吸着・脱離する吸着材と、合成樹脂製の外殻内に温度変化に応じて潜熱の吸収・放出を生じる相変化物質が封入されたマイクロカプセル型の蓄熱材とが収容され、燃料タンクと連通するタンクポートと、大気と連通する大気ポートとを備えるキャニスタにおいて、
    前記吸着室内には、前記タンクポート側と大気ポート側とに分けて耐アルコール性の異なる2種類の蓄熱材が収容されており、
    前記吸着室内のタンクポート側部位に、前記大気ポート側部位に収容される蓄熱材よりも耐アルコール性の高い蓄熱材が収容されていることを特徴とするキャニスタ。
  2. 前記タンクポート側部位に収容される蓄熱材の外殻が、前記大気ポート側部位に収容される蓄熱材の外殻よりも耐アルコール性の高い合成樹脂からなる、請求項1に記載のキャニスタ。
  3. 前記タンクポート側部位に収容される蓄熱材の外殻と前記大気ポート側部位に収容される蓄熱材の外殻とは同じ合成樹脂からなり、
    前記タンクポート側部位に収容される蓄熱材の外殻が、耐アルコール性の高い合成樹脂によって被覆されている、請求項1に記載のキャニスタ。
  4. 前記耐アルコール性の高い蓄熱材が、前記吸着室内のタンクポート側20%の範囲からタンクポート側70%の範囲に収容されている、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のキャニスタ。
  5. 前記2種類の蓄熱材は、複数のマイクロカプセルがバインダによって粒状に造粒成形されている、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のキャニスタ。
  6. 前記2種類の蓄熱材は、複数のマイクロカプセルが粉末状の吸着材と共にバインダによって粒状に造粒成形されている、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のキャニスタ。
  7. アルコールが混合された燃料から生じる蒸発混合燃料の吸着・脱離に使用される、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のキャニスタ。
  8. 中空筒状のキャニスタケース内の吸着室に、蒸発燃料を吸着・脱離する吸着材と、合成樹脂製の外殻内に温度変化に応じて潜熱の吸収・放出を生じる相変化物質が封入されたマイクロカプセル型の蓄熱材とが収容され、燃料タンクと連通するタンクポートと、該タンクポートの反対位置に設けられた大気と連通する大気ポートとを備えるキャニスタの製造方法であって、
    前記キャニスタケース内に、前記吸着材と、比重及び耐アルコール性の異なる2種類の蓄熱材とを、混合して充填する工程と、
    前記大気ポートとタンクポートとが天地方向となる状態で、前記キャニスタケースに振動を与える工程と、
    を有することを特徴とするキャニスタの製造方法。



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