JP2019049215A - キャニスタ - Google Patents
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Abstract
【課題】吸着材の温度変化を速やかに抑制できるキャニスタを提供する。【解決手段】蒸発燃料を吸着及び脱離可能な吸着材50と蓄熱材52とがケーシング12内に収容されているキャニスタ10であって、蓄熱材52は、温度変化に応じて潜熱を吸収及び放出する相変化物質を内包した複数のカプセルと、カプセルを相互に接着するバインダとを含み、バインダは、カプセルの耐熱温度より低い温度で焼結可能な金属ナノ粒子からなることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本明細書に開示の技術はキャニスタに関する。
自動車等の車両には、燃料タンクで生じた蒸発燃料が大気中に放出されることを防止するために、蒸発燃料を吸着・脱離可能な活性炭等の吸着材が充填されたキャニスタが搭載されている。キャニスタは、内燃機関(エンジン)停止中等に生じた蒸発燃料を、内部に収容する吸着材に吸着させることで一時的に捕捉する。そして、エンジンが駆動されると、エンジンの吸気負圧を利用して蒸発燃料を吸着材から脱離し、脱離した蒸発燃料はエンジンにて燃焼される。
この吸着・脱離段階において、蒸発燃料は吸着材に吸着される際に液化し、吸着材から脱離されると気化する。したがって、蒸発燃料が吸着される際には凝縮熱により吸着材の温度が上昇し、蒸発燃料が脱離される際には気化熱により吸着材の温度が低下する。これに対し、吸着材は、温度が低いほど吸着容量が多くなり、温度が高いほど吸着容量が少なくなる性質を有する。そのため、吸着材の吸着及び脱離性能を向上するために、吸着材の温度変化を抑制することが望まれる。
そこで、潜熱を利用して吸着材の温度変化を抑制する蓄熱材を吸着材と共に収容したキャニスタが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の蓄熱材は、相変化物質を内包した合成樹脂製のカプセルを合成樹脂製のバインダを用いて造粒した造粒蓄熱材である。キャニスタ内に吸着材に加えて蓄熱材も収容していることで、蒸発燃料が吸着される際の吸着材の温度上昇が、蓄熱材中の相変化物質が固相から液相へ変化する際の融解熱(潜熱)によって抑制される。また、蒸発燃料が脱離される際の吸着材の温度低下が、相変化物質が液相から固相へ変化する際の凝固熱(潜熱)によって抑制される。このように、吸着材の温度変化を抑制することにより、吸着及び脱離性能が向上されている。
特許文献1のキャニスタでは、蓄熱材の造粒に合成樹脂製のバインダが用いられている。しかし、合成樹脂製のバインダは一般に熱伝導性が低い。そのため、蒸発燃料の吸着及び脱離時に吸着材の温度が変化しても、吸着材と蓄熱材中の相変化物質との間に合成樹脂製のバインダが介在しているために両者間の熱伝導が遅く、吸着材の温度変化を速やかに抑制できないという問題がある。
そこで、本明細書に開示の技術は、吸着材の温度変化を速やかに抑制できるキャニスタを提供することを目的とする。
その一つの例は、蒸発燃料を吸着及び脱離可能な吸着材と蓄熱材とがケーシング内に収容されているキャニスタであって、蓄熱材は、温度変化に応じて潜熱を吸収及び放出する相変化物質を内包した複数のカプセルと、カプセルを相互に接着するバインダとを含み、バインダは、カプセルの耐熱温度より低い温度で焼結可能な金属ナノ粒子からなることを特徴とする。
この構成によると、カプセルが金属ナノ粒子からなるバインダによって相互に接着されている。金属ナノ粒子からなるバインダは、従来の合成樹脂製のバインダと比べて高い熱伝導性を有するため、カプセル内の相変化物質と吸着材との間の熱伝導を速やかに行うことができる。そのため、吸着材の温度変化を速やかに抑制することができる。
他の例は、蒸発燃料を吸着及び脱離可能な吸着材がケーシング内に収容されているキャニスタであって、吸着材の表面には、温度変化に応じて潜熱を吸収及び放出する相変化物質を内包したカプセルがバインダを介して付着されており、バインダは、カプセルの耐熱温度より低い温度で焼結可能な金属ナノ粒子からなることを特徴とする。
この構成によると、カプセルが金属ナノ粒子からなるバインダによって吸着材の表面に付着されている。金属は熱導電性が高いため、カプセル内の相変化物質と吸着材との間の熱伝導を速やかに行うことができる。したがって、吸着材の温度変化を速やかに抑制することができる。
上記キャニスタによると、蓄熱材のバインダが金属ナノ粒子で構成されている。吸着材と相変化物質との間に介在するバインダが高い熱伝導性を有するため、吸着材と相変化物質との間の熱伝導を速やかに行うことができる。その結果、蒸発燃料を吸着及び脱離した際の吸着材の温度変化を速やかに抑制することができる。
[実施形態1]
以下、実施形態1に係るキャニスタについて図面を用いて説明する。先ず、キャニスタについて説明し、その後にキャニスタ内に収容される蓄熱材について説明する。図1はキャニスタの断面図である。図2は蓄熱材の部分断面図であり、左側端面は蓄熱材の軸線に垂直な断面である。図3は蓄熱材に含まれるカプセルの部分断面図であり、右半分が内部構造を示している。なお、キャニスタの上下左右方向を図1に基づいて規定するが、当該方向は説明のための便宜的な方向であり、キャニスタの搭載方向等を限定するものではない。
以下、実施形態1に係るキャニスタについて図面を用いて説明する。先ず、キャニスタについて説明し、その後にキャニスタ内に収容される蓄熱材について説明する。図1はキャニスタの断面図である。図2は蓄熱材の部分断面図であり、左側端面は蓄熱材の軸線に垂直な断面である。図3は蓄熱材に含まれるカプセルの部分断面図であり、右半分が内部構造を示している。なお、キャニスタの上下左右方向を図1に基づいて規定するが、当該方向は説明のための便宜的な方向であり、キャニスタの搭載方向等を限定するものではない。
<キャニスタの構造>
実施形態1のキャニスタ10は自動車等の車両用であり、図1に示すようにケーシング12を備えている。ケーシング12は、樹脂製であり、下部開口を有するケース本体14と、ケース本体14の下部開口を塞ぐ蓋体16とにより構成されている。ケース本体14内は、ケース本体14の上壁から下方に延びる隔壁18により主室20と副室22とに仕切られている。主室20と副室22とは、ケース本体14と蓋体16との間に形成された連通路24によって相互に連通されている。これにより、主室20と副室22とを連通路24を介して連通するU字状のガス通路が形成されている。
実施形態1のキャニスタ10は自動車等の車両用であり、図1に示すようにケーシング12を備えている。ケーシング12は、樹脂製であり、下部開口を有するケース本体14と、ケース本体14の下部開口を塞ぐ蓋体16とにより構成されている。ケース本体14内は、ケース本体14の上壁から下方に延びる隔壁18により主室20と副室22とに仕切られている。主室20と副室22とは、ケース本体14と蓋体16との間に形成された連通路24によって相互に連通されている。これにより、主室20と副室22とを連通路24を介して連通するU字状のガス通路が形成されている。
ケース本体14の上壁には、燃料タンク25に連通するためのタンクポート26と、内燃機関(エンジン)27の吸気通路に連通するためのパージポート28と、大気に開放するための大気ポート30とが形成されている。なお、タンクポート26及びパージポート28は主室20に直接連通されており、大気ポート30は副室22に直接連通されている。
主室20の上部は、ケース本体14の上壁から下方に延びる仕切壁32によって、タンクポート26に連通する部分と、パージポート28に連通する部分とに仕切られている。また、主室20及び副室22の上端部には、フィルタ34がそれぞれ配置されている。一方、主室20及び副室22の下部開口には、多孔板36がそれぞれ配置されている。多孔板36の上面には、フィルタ38がそれぞれ積層されている。また、各多孔板36と蓋体16との間には、コイルバネからなるバネ部材40がそれぞれ介装されている。バネ部材40は、多孔板36を上方へ付勢している。なお、フィルタ34及び38は、例えば樹脂製の不織布、発泡ウレタン等により形成されている。また、ケース本体14の上壁には、各フィルタ34を支持する多数のピン状の突起42が設置されている。これにより、ケース本体14の上壁と各フィルタ34との間に空間部44が形成されている。
<吸着材>
主室20及び副室22のフィルタ34,38間には、吸着材50及び蓄熱材52が混合状態で充填されている。吸着材50は、蒸発燃料を吸着・脱離可能な粉末状の活性炭を成形したものである。なお、本実施形態の吸着材50は、直径が1〜3mm、長さが3〜10mmの円柱状に成形されているが、形状は任意に変更可能である。また、吸着材50は、破砕炭などの成形されていない活性炭であってもよい。
主室20及び副室22のフィルタ34,38間には、吸着材50及び蓄熱材52が混合状態で充填されている。吸着材50は、蒸発燃料を吸着・脱離可能な粉末状の活性炭を成形したものである。なお、本実施形態の吸着材50は、直径が1〜3mm、長さが3〜10mmの円柱状に成形されているが、形状は任意に変更可能である。また、吸着材50は、破砕炭などの成形されていない活性炭であってもよい。
<蓄熱材>
蓄熱材52は、微細なカプセル54をバインダ56によって造粒したものである。バインダ56は、図2に示すように、円柱状に成形されており、内部にカプセル54を含有している。カプセル54は、図3に示すように、中空球形に形成されており、温度変化に応じて潜熱の吸収及び放出を行う相変化物質58が内部に封入されている。なお、本実施形態の蓄熱材52は、直径が1〜3mm、長さが3〜5mmの円柱状に成形されているが、形状は任意に変更可能である。
蓄熱材52は、微細なカプセル54をバインダ56によって造粒したものである。バインダ56は、図2に示すように、円柱状に成形されており、内部にカプセル54を含有している。カプセル54は、図3に示すように、中空球形に形成されており、温度変化に応じて潜熱の吸収及び放出を行う相変化物質58が内部に封入されている。なお、本実施形態の蓄熱材52は、直径が1〜3mm、長さが3〜5mmの円柱状に成形されているが、形状は任意に変更可能である。
(カプセル)
カプセル54は、平均粒子径が0.1〜25μm程度であり、相変化物質58を芯材料として、コアセルベーション法、in−situ法等の公知の方法により製造できる。また、カプセル54は、メラミン樹脂、スチレン樹脂、ポリオルガノシロキサンなどの合成樹脂によって形成できる。これらの合成樹脂は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合使用してもよい。カプセル54の耐熱温度は、カプセル54を構成する合成樹脂の種類によって変動するが、通常は180〜200℃である。なお、カプセル54の耐熱温度とは、カプセル54を構成する合成樹脂の荷重たわみ温度(熱変形温度)を意味する。また、荷重たわみ温度の測定方法は、JISK7191−2:2007に準拠する。
カプセル54は、平均粒子径が0.1〜25μm程度であり、相変化物質58を芯材料として、コアセルベーション法、in−situ法等の公知の方法により製造できる。また、カプセル54は、メラミン樹脂、スチレン樹脂、ポリオルガノシロキサンなどの合成樹脂によって形成できる。これらの合成樹脂は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合使用してもよい。カプセル54の耐熱温度は、カプセル54を構成する合成樹脂の種類によって変動するが、通常は180〜200℃である。なお、カプセル54の耐熱温度とは、カプセル54を構成する合成樹脂の荷重たわみ温度(熱変形温度)を意味する。また、荷重たわみ温度の測定方法は、JISK7191−2:2007に準拠する。
(相変化物質)
相変化物質58としては、吸着材の温度変化に応じて固相と液相との間で相変化可能な物質であれば特に限定されず、融点が10〜80℃程度の有機化合物や無機化合物を使用できる。具体的には、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンイコサン、ドコサンなどの直鎖の脂肪族炭化水素や、天然ワックス、石油ワックス、LiNO3・3H2O、Na2SO4・10H2O、Na2HPO4・12H2Oなどの無機化合物の水和物、カプリン酸、ラウリル酸等の脂肪酸、炭素数が12から15の高級アルコール、及びバルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル等のエステル等が挙げられる。中でも、融点が20℃程度の相変化物質を用いることが好ましい。このような相変化物質としては、融点が18℃のヘキサデカンや、融点が22℃のヘプタデカン等がある。これら相変化物質は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合使用してもよい。
相変化物質58としては、吸着材の温度変化に応じて固相と液相との間で相変化可能な物質であれば特に限定されず、融点が10〜80℃程度の有機化合物や無機化合物を使用できる。具体的には、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンイコサン、ドコサンなどの直鎖の脂肪族炭化水素や、天然ワックス、石油ワックス、LiNO3・3H2O、Na2SO4・10H2O、Na2HPO4・12H2Oなどの無機化合物の水和物、カプリン酸、ラウリル酸等の脂肪酸、炭素数が12から15の高級アルコール、及びバルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル等のエステル等が挙げられる。中でも、融点が20℃程度の相変化物質を用いることが好ましい。このような相変化物質としては、融点が18℃のヘキサデカンや、融点が22℃のヘプタデカン等がある。これら相変化物質は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合使用してもよい。
(バインダ)
バインダ56は、カプセル54の耐熱温度より低い温度で焼結可能な金属ナノ粒子からなる。金属の種類は特に限定されず、例えば、銀、金、銅等が使用可能である。中でも、酸化等による劣化が比較的起こりにくい性質や、製造コストの観点から銀が好ましい。
バインダ56は、カプセル54の耐熱温度より低い温度で焼結可能な金属ナノ粒子からなる。金属の種類は特に限定されず、例えば、銀、金、銅等が使用可能である。中でも、酸化等による劣化が比較的起こりにくい性質や、製造コストの観点から銀が好ましい。
バインダ56を構成する金属ナノ粒子の形状は、如何なる形状であってもよいが、球状が好ましい。金属ナノ粒子の平均粒子径は200nm以下であり、100nm以下が好ましい。平均粒子径が大きいほど金属ナノ粒子の焼結温度は高くなるため、金属ナノ粒子の平均粒子径が大きすぎると、カプセル54の耐熱温度より低温での金属ナノ粒子の焼結が困難になる。なお、上述した通りカプセル54の耐熱温度は180〜200℃程度であるため、金属ナノ粒子は120℃程度で焼結できることが望ましい。
<蓄熱材の製造>
蓄熱材52は、多数のカプセル54と金属ナノ粒子のペーストとを混錬し、所定の形状に成形した後に、カプセル54の耐熱温度より低温で金属ナノ粒子を焼結させることにより作成される。このように、カプセル54と金属ナノ粒子のペーストとを混錬して成形することにより、カプセル54の表面が金属ナノ粒子からなるバインダ56によって被覆された蓄熱材52を得ることができる。なお、金属ナノ粒子のペーストとは、上述した金属ナノ粒子が溶媒中に分散されているものであり、周知のものが使用可能である。溶媒は焼結工程において揮発可能なものであればよく、例えば、エタノール、プロパノール等のアルコール、プロピレングリコールジブチルエーテル等のエーテル、及びトルエン等の芳香族炭化水素が挙げられる。また、ペースト中の金属ナノ粒子は、溶媒中で相互に結合することを防止するために、ポリエチレングリコール等の高分子化合物からなる保護基で修飾されており、焼結時に保護基が金属ナノ粒子から脱離するよう構成されていてもよい。
蓄熱材52は、多数のカプセル54と金属ナノ粒子のペーストとを混錬し、所定の形状に成形した後に、カプセル54の耐熱温度より低温で金属ナノ粒子を焼結させることにより作成される。このように、カプセル54と金属ナノ粒子のペーストとを混錬して成形することにより、カプセル54の表面が金属ナノ粒子からなるバインダ56によって被覆された蓄熱材52を得ることができる。なお、金属ナノ粒子のペーストとは、上述した金属ナノ粒子が溶媒中に分散されているものであり、周知のものが使用可能である。溶媒は焼結工程において揮発可能なものであればよく、例えば、エタノール、プロパノール等のアルコール、プロピレングリコールジブチルエーテル等のエーテル、及びトルエン等の芳香族炭化水素が挙げられる。また、ペースト中の金属ナノ粒子は、溶媒中で相互に結合することを防止するために、ポリエチレングリコール等の高分子化合物からなる保護基で修飾されており、焼結時に保護基が金属ナノ粒子から脱離するよう構成されていてもよい。
<キャニスタの機能>
次に、図1を参照しながらキャニスタ10の機能について説明する。車両のエンジン27が停止している状態では、燃料タンク25内で蒸発した蒸発燃料や燃料タンク25に燃料を給油する際に生じた蒸発燃料が、タンクポート26を介して主室20に導入される。蒸発燃料は、主室20、連通路24、及び副室22を順次通る間に、主室20及び副室22に収容されている吸着材50に吸着される。
次に、図1を参照しながらキャニスタ10の機能について説明する。車両のエンジン27が停止している状態では、燃料タンク25内で蒸発した蒸発燃料や燃料タンク25に燃料を給油する際に生じた蒸発燃料が、タンクポート26を介して主室20に導入される。蒸発燃料は、主室20、連通路24、及び副室22を順次通る間に、主室20及び副室22に収容されている吸着材50に吸着される。
吸着材50が蒸発燃料を吸着すると、蒸発燃料の液化により熱が生じ、吸着材50の温度が上昇する。そして、吸着材50の熱が周囲の蓄熱材52に伝わって相変化物質58の温度がその融点まで上昇すると、相変化物質58が固相から液相に変化し、相変化物質58が吸熱する。これにより、蒸発燃料の吸着による温度上昇を抑制できる。また、相変化物質58は、相変化が完全に終了するまでは一定の温度を保つ。そのため、相変化物質58が相変化している間は主室20及び副室22の温度を一定に保つことができ、温度上昇により吸着材50の吸着性能が低下することを防止できる。
一方、エンジン27の運転中には、エンジン27の吸気負圧を利用して、外部の空気が大気ポート30から副室22へと導入される。この空気は、副室22、連通路24、及び主室20を順次通る間に、主室20及び副室22に収容されている吸着材50から蒸発燃料を脱離させる。
蒸発燃料は吸着材50から脱離する際に気化するため、気化熱により吸着材50の温度が低下する。そして、吸着材50の温度低下に伴い、その周囲の蓄熱材52の相変化物質58の温度が凝固点まで低下すると、相変化物質58は液相から固相に変化し、放熱する。これにより、蒸発燃料の脱離による温度低下を抑制できる。蒸発燃料を吸着する際と同様に、相変化物質58は相変化が完全に終了するまで一定の温度を保つ。そのため、相変化物質58が相変化している間は主室20及び副室22内の温度を一定に保つことができ、温度低下により吸着材50の脱離性能が低下することを防止できる。
なお、吸着材50から脱離した蒸発燃料は、空気と共にパージポート28から排出され、エンジン27で燃焼される。
<本実施形態の利点>
本実施形態によると、蓄熱材52のバインダ56が金属ナノ粒子により構成されている。金属は高い熱伝導性を有するため、蓄熱材52の周囲の温度が変化した際に、蓄熱材52中のカプセル54及びその内部に封入されている相変化物質58への熱伝導を速やかに行うことができる。そのため、蒸発燃料の吸着及び脱離により吸着材50の温度が変化した際に、その周囲に収容されている蓄熱材52が吸着材50の温度変化を速やかに抑制できる。その結果、合成樹脂製のバインダを用いた場合と比べて、蒸発燃料の吸着及び脱離性能を向上することができる。
本実施形態によると、蓄熱材52のバインダ56が金属ナノ粒子により構成されている。金属は高い熱伝導性を有するため、蓄熱材52の周囲の温度が変化した際に、蓄熱材52中のカプセル54及びその内部に封入されている相変化物質58への熱伝導を速やかに行うことができる。そのため、蒸発燃料の吸着及び脱離により吸着材50の温度が変化した際に、その周囲に収容されている蓄熱材52が吸着材50の温度変化を速やかに抑制できる。その結果、合成樹脂製のバインダを用いた場合と比べて、蒸発燃料の吸着及び脱離性能を向上することができる。
また、金属は合成樹脂と比べて劣化しにくい。そのため、従来の合成樹脂製のバインダを用いたキャニスタと比べて、経年劣化などによるキャニスタの性能低下を抑制することができる。
また、カプセル54の表面は熱伝導性が高い金属ナノ粒子からなるバインダ56によって覆われている。そのため、カプセル54及びその内部の相変化物質58への熱伝導を効率よく行うことができる。また、仮にカプセル54が破損したとしても、相変化物質58はバインダ56内に封入されており、外部に漏洩することを防止できる。
[実施形態2]
続いて、図4を参照しながら実施形態2を説明する。実施形態2は、実施形態1の吸着材50及び蓄熱材52の代わりに、蓄熱材付吸着材60をキャニスタ10の主室20及び副室22に収容したものである。そのため、変更箇所についてのみ説明し、同一の構成に関する説明は省略する。なお、図4は、実施形態2の蓄熱材付吸着材60の斜視図である。
続いて、図4を参照しながら実施形態2を説明する。実施形態2は、実施形態1の吸着材50及び蓄熱材52の代わりに、蓄熱材付吸着材60をキャニスタ10の主室20及び副室22に収容したものである。そのため、変更箇所についてのみ説明し、同一の構成に関する説明は省略する。なお、図4は、実施形態2の蓄熱材付吸着材60の斜視図である。
<蓄熱材付吸着材>
実施形態2の蓄熱材付吸着材60は、図4に示すように、円柱状に成形された吸着材62と、吸着材62の表面に付着されたカプセル54とを有する。カプセル54は、カプセル54の耐熱温度より低温で焼結可能な金属ナノ粒子からなるバインダを介して吸着材62に付着されている。なお、実施形態2のカプセル54及び金属ナノ粒子は、実施形態1のカプセル54及び金属ナノ粒子と同じ構成であるため、詳細な説明は省略する。
実施形態2の蓄熱材付吸着材60は、図4に示すように、円柱状に成形された吸着材62と、吸着材62の表面に付着されたカプセル54とを有する。カプセル54は、カプセル54の耐熱温度より低温で焼結可能な金属ナノ粒子からなるバインダを介して吸着材62に付着されている。なお、実施形態2のカプセル54及び金属ナノ粒子は、実施形態1のカプセル54及び金属ナノ粒子と同じ構成であるため、詳細な説明は省略する。
蓄熱材付吸着材60は、粉末状の活性炭を円柱状に成形し、その表面に金属ナノ粒子のペーストを用いてカプセル54を付着させた後に、金属ナノ粒子を焼結することにより作成される。なお、蓄熱材付吸着材60の吸着材62の形状は円柱状に限られず、任意の形状に成形可能である。また、吸着材62は、破砕炭等の成形工程を経ていない活性炭であってもよい。なお、カプセル54を吸着材62に付着させる方法は周知の如何なる方法であってもよいが、カプセル54の表面全体を金属ナノ粒子のペーストで被覆して吸着材62に付着させることが好ましい。このようにして得られた蓄熱材付吸着材60は、カプセル54が金属ナノ粒子からなるバインダによって被覆されているため、カプセル54の物理的強度を向上できると共に、カプセル54が破損した場合においても内部の相変化物質58が漏洩することを防止できる。
<本実施形態の利点>
本実施形態によると、吸着材62の表面に金属ナノ粒子からなるバインダを介してカプセル54が付着されている。金属は熱伝導性が高いため、吸着材62とカプセル54内の相変化物質58との間での熱伝導を速やかに行うことができる。そのため、蒸発燃料の吸着及び脱離により吸着材62の温度が変化した際に、吸着材62の温度変化を速やかに抑制できる。その結果、合成樹脂製のバインダを用いた場合と比べて、蒸発燃料の吸着及び脱離性能を向上することができる。
本実施形態によると、吸着材62の表面に金属ナノ粒子からなるバインダを介してカプセル54が付着されている。金属は熱伝導性が高いため、吸着材62とカプセル54内の相変化物質58との間での熱伝導を速やかに行うことができる。そのため、蒸発燃料の吸着及び脱離により吸着材62の温度が変化した際に、吸着材62の温度変化を速やかに抑制できる。その結果、合成樹脂製のバインダを用いた場合と比べて、蒸発燃料の吸着及び脱離性能を向上することができる。
また、蓄熱機能を有するカプセル54が吸着材62に付着されているため、キャニスタ10内にカプセル54と吸着材62とを均一に充填することができる。これにより、キャニスタ10内における吸着材62の温度変化をカプセル54内の相変化物質58によって効率的に抑制することができ、吸着・脱離性能を向上することができる。
本開示の技術は上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、主室20と副室22には、相互に相変化温度が異なる複数の相変化物質58が用いられていてもよい。また、主室20及び副室22の一方に吸着材50及び蓄熱材52、又は蓄熱材付吸着材60を収容し、他方には活性炭等の吸着材のみを収容してもよい。
10 キャニスタ
50,62 吸着材
52 蓄熱材
54 カプセル
56 バインダ
58 相変化物質
50,62 吸着材
52 蓄熱材
54 カプセル
56 バインダ
58 相変化物質
Claims (2)
- 蒸発燃料を吸着及び脱離可能な吸着材と蓄熱材とがケーシング内に収容されているキャニスタであって、
前記蓄熱材は、温度変化に応じて潜熱を吸収及び放出する相変化物質を内包した複数のカプセルと、前記カプセルを相互に接着するバインダとを含み、
前記バインダは、前記カプセルの耐熱温度より低い温度で焼結可能な金属ナノ粒子からなる、キャニスタ。 - 蒸発燃料を吸着及び脱離可能な吸着材がケーシング内に収容されているキャニスタであって、
前記吸着材の表面には、温度変化に応じて潜熱を吸収及び放出する相変化物質を内包したカプセルがバインダを介して付着されており、
前記バインダは、前記カプセルの耐熱温度より低い温度で焼結可能な金属ナノ粒子からなる、キャニスタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017172963A JP2019049215A (ja) | 2017-09-08 | 2017-09-08 | キャニスタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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- 2017-09-08 JP JP2017172963A patent/JP2019049215A/ja active Pending
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