JP2010096118A - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】潜熱により吸着材の温度変化を抑制する蓄熱材を利用しながら、アルコール混合燃料を使用する自動車に対して好適な蒸発燃料処理装置を提供する。
【解決手段】燃料タンク1と、主としてガソリン等の非極性物質を吸着・脱離する非極性物質吸着材55と樹脂カブセル内に相変化物質が内包された蓄熱材57とを含む第1の吸着材層51を有するキャニスタ10とを備える蒸発燃料処理装置であって、燃料タンク1と第1の吸着材層51との間に、主としてアルコール等の極性物質を吸着・脱離する極性物質吸着材56からなる第2の吸着材層52を有することを特徴とする。第2の吸着材層52は、第1の吸着材層51と共にキャニスタ10内に設けてもよいし、キャニスタとは別のサブキャニスタ内に設けることもできる。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料タンクから発生する蒸発燃料が大気中へ放散されることを防止する蒸発燃料処理装置に関し、特に、潜熱により吸着材の温度変化を抑制する蓄熱材を利用しながら、アルコール混合燃料を使用する自動車に対して好適な蒸発燃料処理装置に関する。
従来から、車両停止中等に燃料タンク内に貯留されたガソリン燃料が揮発して生じた蒸発燃料をキャニスタに収容された活性炭等からなる吸着材に吸着捕捉し、蒸発燃料が大気中に放散されることを防止する蒸発燃料処理装置がある。当該従来から公知の一般的な蒸発燃料処理装置の基本的な概略構成を、図1に示す。図1において、キャニスタ10には、燃料タンク1に連通するタンクポート11と、先端が大気に開放している大気ポート12と、吸着材から脱離(パージ)された蒸発燃料が排出されるパージポート13とが設けられている。エンジン2の駆動時や車両停止時等に燃料タンク1が昇温することで発生した蒸発燃料は、タンクポート11からキャニスタ10内に流入して大気ポート12へ向けて流動していく間に吸着材に吸着されることで、蒸発燃料が大気中へ放散されることが防止される。吸着材に吸着された蒸発燃料は、エンジン2の駆動時の吸気管3負圧やエンジン駆動とは別個独立して駆動制御される図外の吸引ポンプによって大気ポート12から大気が導入されることで脱離(パージ)され、吸着材が再生される。符号4は、吸入空気量を制御するバラフライ弁である。
このとき、キャニスタ内において燃料蒸気は吸着材に吸着される際に液化し、吸着材から脱離されると再度気化する。したがって、蒸発燃料が吸着される際には発熱反応である凝縮熱により吸着材の温度が上昇し、蒸発燃料が脱離される際には吸熱反応である気化熱により吸着材の温度が下がる。これに対し、多孔質体である吸着材は、温度が低いほど吸着容量が多くなり、温度が高いほど吸着容量が低下する特性を有する。したがって、蒸発燃料の吸着時には吸着材の温度は低く、パージ時には吸着材の温度が高いことが望ましい。しかし、上記蒸発燃料の相変化に伴う発熱・吸熱は、吸着材の望ましい温度状態とは逆の方向、すなわち吸着材の吸着・脱離性能を阻害する方向へ生じる。よって、吸着材の吸着・脱離性能を向上するためには、蒸発燃料の相変化に伴う発熱・吸熱を抑制して、吸着材の温度変化を抑制することが望まれる。
そこで、潜熱を利用して吸着材の温度変化を抑制する蓄熱材を、吸着材と共に内部に収容したキャニスタとして、特許文献1がある。特許文献1の蓄熱材には、メラミン樹脂等から成る外殻(マイクロカプセル)内に、比較的融点の低いテトラデカンやペンタデカン等のパラフィンからなる相変化物質を封入したマイクロカプセル型蓄熱材、ないしそれをペレット状に造粒した造粒蓄熱材が使用されている。このように、キャニスタ内に吸着材に加えて蓄熱材も収容していることで、蒸発燃料が吸着される際の吸着材の温度上昇が、蓄熱材中の相変化物質が固相から液相へ変化する際の潜熱(融解熱)によって抑制される一方、蒸発燃料が脱離される際の吸着材の温度低下が、蓄熱材中の相変化物質が液相から固相へ変化する際の潜熱(凝固熱)によって抑制されることで、吸着材の吸着・脱離性能が向上する。
ところで近年では、地球温暖化対策の一環として、バイオマスエタノール又はバイオエタノールとよばれる植物由来のアルコールを従来のガソリンに混合し、自動車用の燃料として利用する法制化が国際的に行われつつある。エタノールを混合したガソリンは、ガスホールと称されることもある。また、植物由来のエタノールとイソブテンを反応させたエチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)を一般のガソリンに対して数%混合させたバイオガソリンも使用されつつある。バイオマスエタノールの原料としては、糖質あるいはデンプン質を多く含む植物資源が好適とされており、現在では、サトウキビに由来するモラセス(主に南米)、トウモロコシ(主に米国)、及び甜菜(主に欧州)が主な原料となっている。その他、ソルガム(モロコシ、こうりゃん)、ジャガイモ、サツマイモ、麦などを原料とするバイオマスエタノールの開発も進められている。これらの植物は大気中のCO2を吸収しているため、その植物原料からの燃料ならば、これを燃焼させてCO2に変わっても、地球全体のCO2の絶対量は増えないという考え(カーボンニュートラル)に基づく。このように車両にアルコール混合燃料を使用した場合、蒸発燃料中には揮発したアルコール成分も含まれている。
ここで、ガソリンは非極性物質であり、アルコールは極性物質である。これに対し、従来から吸着材として一般的に使用されている活性炭は、極性物質よりも非極性物質を吸着し易い傾向にある。そこで、極性物質であるアルコール成分も含む蒸発燃料に的確に対応させるため、主として極性物質を吸着するシリカゲル(極性物質吸着材)を使用したキャニスタとして特許文献3,4がある。特許文献3では、キャニスタ内のタンクポート側に
非極性物質吸着材(活性炭)層を設け、大気ポート側に極性物質吸着材(シリカゲル)層を設けている。すなわち、極性物質吸着材層が非極性物質吸着材層よりも燃料タンクに対して下流側にある。特許文献4では、タンクポートや大気ポートから導入された極性物質である水分を極性物質吸着材が吸着して昇温することを避けるため、キャニスタ内において極性物質吸着材を非極性物質吸着材で挟み込んでいる。又は、水分吸着による局所的な昇温を避けるため、蒸発燃料の流動方向に対して平行に極性物質吸着材層と非極性物質吸着材層とを交互に積層している。
また、特許文献3では、極性物質吸着材層の容積を、全吸着材層の容積に対して15%以下、好ましくは10%以下としている。これにより、極性物質吸着材層の容積を十分に低く抑制することによって、当該極性物質吸着材に吸着される絶対的な水分量を減らし、その吸着熱による温度上昇を抑制している。なお、特許文献3では、アルコール混合燃料のほか、アルコール100%燃料をも対象としている。
特開2005−233106号公報 特開昭59−226263号公報 特開2004−11443号公報
しかしながら、特許文献1のようにメラミン樹脂製のマイクロカプセルを収容したキャニスタをアルコール混合燃料からの蒸発燃料の捕集に使用した場合、特に劣化アルコール混合燃料を使用した場合には問題が生じるおそれがある。すなわち、アルコール混合燃料が劣化して有機酸、過酸化物などが増加した場合、これらの劣化成分はマイクロカプセルを成すメラミン樹脂の架橋を切断する働きがあり、メラミン樹脂の架橋度が低下することでマイクロカプセル内の相変化物質が漏れ出すおそれがある。相変化物質がマイクロカプセルから漏れ出してしまうと、蓄熱材による潜熱が低減して所定の蓄熱効果を発揮できず、吸着材の性能が悪化してしまう。
これに対し特許文献2,3では、アルコール成分を主として吸着する極性物質吸着材(シリカゲル)を非極性物質吸着材(活性炭)と共にキャニスタ内に収容しているが、非極性物質吸着材層は極性物質吸着材層の下流側または並列に設けられているので、極性物質吸着材層に蓄熱材を混合すると蓄熱材がアルコール成分に晒されてしまい、マイクロカプセルの劣化は避けられない。そもそも、特許文献1,2では、吸着材と共に蓄熱材を併用することは想定していない。
また、特許文献3では、全吸着材層の容積に対する極性物質吸着材層の容積を15%以下(好ましくは10%以下)としているが、これは絶対的な吸着水分量を低減して発熱量を抑えるためであり、蒸発燃料中の極性物質成分濃度については考慮していない。すなわち、アルコール100%燃料を使用する場合は非極性物質吸着材層が無駄になる。一方、アルコール混合燃料を使用する場合も、その混合比率に対応させた容積比率としなければ、極性物質吸着材と非極性物質吸着材のうち一方は吸着容量が過不足となり、他方は吸着量容量過多となる。現在、一般的に実用化されつつあるアルコール混合燃料でもあくまでガソリンが主体であり、極性物質吸着材の使用量(容積)を必要最低限に抑えることが効率的である。
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、潜熱により吸着材の温度変化を抑制する蓄熱材を利用しながら、アルコール混合燃料を使用する自動車に対して好適な蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、燃料を貯留する燃料タンクと、主として非極性物質を吸着・脱離する非極性物質吸着材と樹脂カブセル内に相変化物質が内包された蓄熱材とを含む第1の吸着材層を有するキャニスタとを備える蒸発燃料処理装置であって、燃料タンクと第1の吸着材層との間に、主として極性物質を吸着・脱離する極性物質吸着材からなる第2の吸着材層を有することを特徴とする。非極性物質の代表例はガソリンであり、極性物質の代表例はアルコールである。燃料タンクと第1の吸着材層との間に第2の吸着材層が存在することで、燃料タンクから発生した蒸発燃料中の極性物質成分が、先ず第2の吸着材層で吸着されたあと、残りの非極性物質成分が第1の吸着材層で吸着されることになる。
第2の吸着材層は、第1の吸着材層と共にキャニスタ内に設けてもよいし、キャニスタとは別のサブキャニスタ内に設けることもできる。第2の吸着材層がキャニスタ内に設けられる場合は、キャニスタ内の最上流側となるタンクポートに望む領域に第2の吸着材層が形成され、当該第2の吸着材層の下流領域に第1の吸着材層が形成されていることになる。サブキャニスタに第2の吸着材層を設ける場合は、当然メインキャニスタ内は第1の吸着材層のみである。
このとき、第2の吸着材層の容積は、蒸発燃料中の極性物質成分濃度に対応させて、第1の吸着材層と第2の吸着材層とを合わせた全吸着材層の容積に対して10%以下とすることが好ましい。
本発明によれば、第1の吸着材層に、主として非極性物質を吸着・脱離する非極性物質吸着材と共に、温度変化を抑制する蓄熱材が混合分散されているので、非極性物質の吸着・脱離特性が向上する。これを前提として、先ず極性物質成分が第2の吸着材層で吸着されたあと、残余の非極性物質成分が第1の吸着材層で吸着されるので、第1の吸着材層に含まれている蓄熱材のマイクロカプセルが耐アルコール性の低いメラミン樹脂製であっても、劣化することが防がれる。これにより、蓄熱材による温度変化抑制効果が良好に維持され、延いては非極性物質の吸着・脱離特性を良好に維持することができる。
第2の吸着材層が第1の吸着材層と共にキャニスタ内に設けられていれば、装置の小型化が可能である。一方、第2の吸着材層用のサブキャニスタを設けていれば、高容量化や容積設計が容易となる。第1の吸着材層の容積に対して第2の吸着材層の容積が制限されることも無い。また、第1の吸着材層と第2の吸着材層が明確に区分けされるので、また、走行時の振動等によって非極性物質吸着材と極性物質吸着材とが混合されることもない。
現在、実用化されつつあるアルコール混合燃料のアルコール含有量は高くて30vol%程度であり、このようなアルコール混合燃料から発生する蒸発燃料中のアルコール成分量は数%程度である。そこで、蒸発燃料中の極性物質成分濃度に対応させて、全吸着材層の容積に対して第2の吸着材層の容積を10%以下としていれば、第2の吸着材の使用量がほぼ必要最低限に抑えられているので、的確に畜熱効果を維持しながら効率的に極性物質と非極性物質を吸着・脱離できる。
以下に、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明における蒸発燃料処理装置及びこれに設けられるキャニスタとしては、基本的に従来から公知の全てのものに適用可能である。したがって、以下の各実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。例えば本発明の蒸発燃料処理装置は、背景技術で上述した図1に示す基本構成と同様であり、燃料を貯留する燃料タンク1と、当該燃料タンク1から発生する蒸発燃料を捕捉するキャニスタ10とを備える。その他の構成も上述の通りなので、ここではその詳しい説明を省略する。燃料としては、アルコール混合ガソリンが使用される。以下、キャニスタ内の構成を中心に説明する。
(実施例1)
図2に、本発明の実施例1に係るキャニスタ10の断面図を示す。図2に示されるように、本実施例1のキャニスタ10は、中空筒状のキャニスタケース14と、該キャニスタケース14の底面開口を閉塞するカバー15とを有する。キャニスタケース14の上面には、タンクポート11、大気ポート12、及びパージポート13が一体形成されている。キャニスタケース14内は、パージポート13と大気ポート12との間においてキャニスタケース14の上面からカバー15近傍まで上下に延びる隔壁16によって区画され、U字状の流路が形成されている。また、キャニスタケース14内下部には、コイルスプリング17によって常時上方(各ポート11〜12側)へ付勢されたプレート18が配されている。プレート18には、通気可能な複数の貫通孔が穿設されている。符号19は、吸着材を区画・保持する通気性を有するフィルタである。フィルタ19には、合成樹脂製の不織布や発泡ウレタンなどが使用される。
そのうえで、キャニスタ10内には、主として非極性物質を吸着・脱離する非極性物質吸着材55を含む第1の吸着材層51と、主として極性物質を吸着・脱離する極性物質吸着材56からなる第2の吸着材層52とが設けられている。アルコール混合ガソリンを使用する場合、非極性物質はガソリンであり、極性物質はアルコールである。第2の吸着材層52は燃料タンク1と第1の吸着材層51との間に位置し、キャニスタ10内において蒸発燃料を吸着する際の最上流側となるタンクポート11に望む領域に設けられている。第2の吸着材層52より下流側は、全て第1の吸着材層51となっている。本実施例1では、非極性物質吸着材55として活性炭を用い、極性物質吸着材56としてシリカゲルを用いた。また、第1の吸着材層51には、活性炭55と共に蓄熱材57が混合分散されている。なお、第1の吸着材層51と第2の吸着材層52との間にフィルタ19を介在させているので、両層51・52中の活性炭55及び蓄熱材57とシリカゲル56とが混合されることが防がれている。
活性炭55は、微細な粉末状の活性炭がバインダによりペレット状に造粒成形されている。例えば、多数の微細な活性炭とバインダと混練し、押し出し成形された長寸の円柱成形体を、所定の寸法に切断して得られる。蓄熱材57としては、従来から公知の一般的な蓄熱材を使用でき、メラミン樹脂(MF)からなる中空球形の外殻(マイクロカプセル)内に、温度変化に応じて潜熱の吸収・放出を生じる相変化物質が封入された多数の微細なマイクロカプセル型蓄熱材が、バインダ樹脂によってペレット状に造粒成形されている。メラミン樹脂は、コストが安い点で好適である。造粒方法は活性炭55と同様である。マイクロカプセル型蓄熱材は、例えば相変化物質を芯材料として、コアセルベーション法、in−situ法(界面反応法)等の公知の方法により製造できる。相変化物質としては、活性炭55の温度変化に応じて固相と液相との間で相変化可能な物質であれば特に限定されず、融点が10〜80℃程度の有機化合物や無機化合物を使用できる。具体的には、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンイコサン、ドコサンなどの直鎖の脂肪族炭化水素や、天然ワックス、石油ワックス、LiNO3・3H2O、Na2SO4・10H2O、Na2HPO4・12H2Oなどの無機化合物の水和物、カプリン酸、ラウリル酸等の脂肪酸、炭素数が12から15の高級アルコール、及びバルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル等のエステル等が挙げられる。中でも、融点が20℃前後の相変化物質を用いることが好ましい。このような相変化物質としては、融点が18℃のヘキサデカンや、融点が22℃のヘプタデカン等がある。これら相変化物質は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合使用してもよい。バインダ樹脂としては種々の熱硬化性樹脂を用いることができるが、最終的なキャニスタとして要求される温度や強度等の点から、フェノール樹脂やアクリル樹脂が好適である。
活性炭55と蓄熱材57は略同形状に造粒されており、直径1〜3mm程度、長さ1〜5mm程度である。活性炭55と蓄熱材57とが同等ないし同一寸法であれば、これらをキャニスタ10内に混合分散したときに、各活性炭55や各蓄熱材57間に適宜な空隙が確保されるので、良好な通気性が確保されて圧力損失や吸着・脱離作用が損なわれることがない。なお、活性炭55や蓄熱材57は、その他球状、多角形状、扁平状などとすることもできる。蓄熱材57は、活性炭55の全体積に対して、5〜40%の体積割合で混合することが好ましい。蓄熱材57の全体積が活性炭55の全体積に対して5%未満では、蓄熱作用による温度変化抑制効果が十分に得られない。逆に、蓄熱材57の全体積が活性炭55の全体積に対して40%を超えると、活性炭55の収容割合が減少する結果、ガソリン蒸気の吸着容量が低下する。
シリカゲル56としては、基本的には公知の一般的なものを使用すれば良いが、必要に応じてシリカゲル表面に存在するシラノール基の水酸基又は水素を、アルキルシリル基、アルコキシ基、水酸基を有するアルコキシ基、アミノアルキル基、又はアミノ基に置換した変性シリカゲルを用いることもできる。このような変性シリカゲルは、水分より極性が弱く、炭化水素(HC)より極性の強いアルコール成分をより選択的に吸着する点で好ましい。
アルコール混合燃料としては、サトウキビ、モラセス、トウモロコシ、甜菜、ソルガム、ジャガイモ、サツマイモ、麦などの植物由来のバイオマスエタノールが数%〜数十%ガソリンに混合されたものを使用できる。現在実用化されつつあるアルコール混合燃料のアルコール含有率(混合率)は、1〜30vol%程度である。具体的には、米国ではエタノールが10vol%未満混合されたガソリン(E10)が使用され、ブラジルではエタノール20vol%混合ガソリン(E20)が標準とされている。わが国では、エタノールの混合率が3vol%(E3)以下であれば自動車に使っても安全とされている。アルコール混合率30vol%程度の混合燃料も使用され始め、将来的にはさらに混合率が高められることも予想される。なお、アルコール含有率30vol%の混合燃料から生じる蒸発燃料中のアルコール成分濃度は、約5vol%である。
そこで、第2の吸着材層52の容積を、蒸発燃料中のアルコール成分濃度に対応させて、第1の吸着材層51と第2の吸着材層52とを合わせた全吸着材層の容積に対して10%以下とすることが好ましい。より好ましくは5%以下である。蒸発燃料中のアルコール成分濃度に対応させて(アルコール成分の吸着に必要な範囲内で)第2の吸着材層52の容積割合をできるだけ低く設計しておけば、蓄熱材による温度変化抑制効果を良好に維持しながら、ガソリン蒸気の吸着容量を大きくできる。全吸着材層の容積に対して第2の吸着材層52の容積が10%程度あれば、将来的な動向を含め規格外のアルコール混合燃料を使用した場合にも、的確に対応でき汎用性が高い。また、全吸着材層の容積に対して第2の吸着材層52の容積が5%程度であれば、現時点における実用範囲のアルコール混合燃料に対して的確に対応できる。なお、第2の吸着材層52の容積の下限は、蒸発燃料中のアルコール成分濃度に対応させて、第1の吸着材層51と第2の吸着材層52とを合わせた全吸着材層の容積に対して0.5%以上、好ましくは1%以上程度とする。第2の吸着材層52の容積がこれより少ないと、的確にアルコール成分を吸着できなくなるからである。
次に、作用について説明する。車両停止時の高温雰囲気や車両走行時のエンジン駆動熱などによって燃料タンク1が昇温されると、燃料タンク1内に貯留されているアルコール混合燃料も昇温して、ガソリン揮発成分(炭化水素)とアルコール揮発成分とが混ざった蒸発燃料が多量に発生する。この燃料タンク1において発生した蒸発燃料は、タンクポート11からキャニスタ10内へ導入されて大気ポート12へ向けてキャニスタ10内を流動していく。この場合、先ずは蒸発燃料中のアルコール成分が、タンクポート11に臨む領域にある第2の吸着材層52のシリカゲル56によって優先的に吸着される。続いて、第2の吸着材層52を通過した残余のガソリン成分は、第1の吸着材層51の活性炭55によって吸着される。このとき、ガソリン成分は活性炭55に吸着される際に液化し、その凝固熱(吸着熱)によって活性炭55が昇温し得る。しかし、第1の吸着材層51には蓄熱材57が活性炭55と共に収納されていることで、吸着熱により蓄熱材57中の相変化物質が固相から液相へ相変化して潜熱による吸熱が生じることで、活性炭55温度の過上昇が抑制される。なお、蓄熱材57のマイクロカプセルが耐アルコール性の高くないメラミン樹脂製であっても、第1の吸着材層51にはアルコール成分が殆ど導入されることはないので、アルコール成分によってマイクロカプセルの架橋度が低減することが防がれる。
吸気管3の負圧によってキャニスタ10内が負圧になると、大気ポート12から大気(外気)が吸入され、活性炭55やシリカゲル56に吸着されていた蒸発燃料が脱離(パージ)されて、上記とは逆の方向に流動してパージポート13から排出されていく。このとき蒸発燃料は、脱離される際に気化する。すると、その気化熱によって蓄熱材57中の相変化物質が液相から固相へ相変化して潜熱による発熱が生じることで、活性炭55温度の過低下が抑制される。
(実施例2)
実施例1は内部にU字状の蒸発燃料流路を有するキャニスタ10に適用した例であるが、内部に直線状の蒸発燃料流路を有するキャニスタ20に適用することもできる。図3に示すように、実施例2のキャニスタ20は、中空筒状のキャニスタケース24と、該キャニスタケース24の一端(本実施例2では右端)開口を閉塞するカバー25とを有する。カバー25には、大気と連通して大気(外気)の出入口となる大気ポート22が一体形成されている。一方、キャニスタケース14における大気ポート22との対向面には、蒸発燃料の導入部となるタンクポート21と、脱離された蒸発燃料の排出口となるパージポート23とが一体形成されている。これにより、キャニスタ20の内部には、タンクポート21及びパージポート23と大気ポート22との間に亘る略直線状の流路が形成される。符号27はコイルスプリング、符号28はプレート、符号29はフィルタである。当該キャニスタ20を有する蒸発燃料処理装置としては、図1に示す実施例1におけるキャニスタ10を、本実施例2のキャニスタ20に置換した構成となる。
本実施例2でも、キャニスタ20内に、蓄熱材57と主としてガソリン成分(非極性物質)を吸着・脱離する活性炭55とを含む第1の吸着材層51と、主としてアルコール成分(極性物質)を吸着・脱離するシリカゲル56からなる第2の吸着材層52とが設けられている。第2の吸着材層52は燃料タンク1と第1の吸着材層51との間に位置し、キャニスタ20内において蒸発燃料を吸着する際の最上流側となるタンクポート21に望む領域に設けられている。第2の吸着材層52より下流側は、全て第1の吸着材層51となっている。その他は先の実施例1と同じなので、その説明を省略する。
(実施例3)
実施例1,2では、1つのキャニスタ内に第1の吸着材層51と第2の吸着材層52との双方を設けたが、それぞれの層51・52を別個のキャニスタに分けて設けることもできる。具体的には、図4に示すように、実施例3の蒸発燃料装置には、第1の吸着材層51を内部に有するメインキャニスタ30と、第2の吸着材層52を内部に有するサブキャニスタ36とが設けられている。サブキャニスタ36は、蒸発燃料を吸着する際におけるメインキャニスタ30の上流側、すなわち燃料タンク1とメインキャニスタ30との間に位置する。サブキャニスタ36には、タンクポート31とパージポート33とが設けられており、メインキャニスタ30には大気ポート32が設けられている。そして、両キャニスタ30・36におけるタンクポート31及びパージポート33や大気ポート32との対向面には連結ポート40が設けられており、両キャニスタ30・36は、各連結ポート40・40同士に接合される連結管41を介して互いに連結されている。符号34はキャニスタケース、符号35はカバー、符号37はコイルスプリング、符号38はプレート、符号39はフィルタである。当該メインキャニスタ30とサブキャニスタ36とを有する実施例3の蒸発燃料処理装置としては、図1に示す実施例1におけるキャニスタ10を、本実施例3のメインキャニスタ30及びサブキャニスタ36に置換した構成となる。作用は先の実施例1や実施例2と同じなので、その説明を省略する。
(その他の変形例)
上記実施例1〜3では、別途所定形状に造粒された活性炭55と蓄熱材57とを混合して収容していたが、これに限らず、図5に示すように、マイクロカプセル型蓄熱材と微細な活性炭とを混練したうえで、バインダ樹脂によって共に造粒成形した複合吸着材58としてもよい。これによれば、造粒活性炭55と造粒蓄熱材57とを別個独立して製造する手間が省ける。
蒸発燃料処理装置の概略構成図である。 実施例1のキャニスタの断面図である。 実施例2のキャニスタの断面図である。 実施例3のキャニスタの断面図である。 吸着材の変形例を使用したキャニスタの断面図である。
符号の説明
1 燃料タンク
3 吸気管
10・20 キャニスタ
11・21・31 タンクポート
12・22・32 大気ポート
13・23・33 パージポート
30 メインキャニスタ
36 サブキャニスタ
51 第1の吸着材層
52 第2の吸着材層
55 活性炭(非極性物質吸着材)
56 シリカゲル(極性物質吸着材)
57 蓄熱材
58 複合吸着材

Claims (4)

  1. 燃料を貯留する燃料タンクと、主として非極性物質を吸着・脱離する非極性物質吸着材と樹脂カブセル内に相変化物質が内包された蓄熱材とを含む第1の吸着材層を有するキャニスタとを備える蒸発燃料処理装置であって、
    前記燃料タンクと第1の吸着材層との間に、主として極性物質を吸着・脱離する極性物質吸着材からなる第2の吸着材層を有することを特徴とする、蒸発燃料処理装置。
  2. 前記第2の吸着材層は、前記第1の吸着材層と共に前記キャニスタ内に設けられている、請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。
  3. 前記第2の吸着材層は、前記キャニスタとは別のサブキャニスタ内に設けられている、請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。
  4. 前記第2の吸着材層の容積が、蒸発燃料中の極性物質成分濃度に対応させて、前記第1の吸着材層と第2の吸着材層とを合わせた全吸着材層の容積に対して10%以下である、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の蒸発燃料処理装置。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012149620A (ja) * 2011-01-21 2012-08-09 Aisan Industry Co Ltd キャニスタ
US9206770B2 (en) 2011-05-10 2015-12-08 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Purge method of canister in FFV, and purge mechanism of canister in FFV using the method
CN105422322A (zh) * 2014-09-16 2016-03-23 爱三工业株式会社 蒸发燃料处理装置

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