JP2009285575A - 軟水化システム及び給湯システム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、塩橋を効果的に防止し、再生処理に適当な濃度の再生液を調整可能な再生剤容器を備えた軟水化システムを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、イオン交換樹脂に水を通過させて軟水化する軟水化装置11と、イオン交換樹脂を再生させる塩水を製造する再生塩水供給器12と、を備え、再生塩水供給器12は、塩水を貯留可能な容器本体50と、容器本体50に注水可能な注水手段37と、容器本体50内に配されて再生剤113を収容する塩バスケット52と、容器本体50に貯留された塩水をイオン交換樹脂に供給可能な塩水供給配管29と、を有し、塩バスケット52は、容器本体50に貯留された水の出入りが可能な浸水領域Wと、浸水領域Wの上方に位置する乾燥領域Dとに区分され、乾燥領域Dの内側面108が下向きに傾斜した傾斜面であることを特徴とする軟水化システム10である。
【選択図】図3

Description

本発明は外部から供給された湯水を軟水化可能な軟水化システムに関するものである。
陽イオン交換樹脂が入れられた軟水化装置に、水道水や井戸水などを通過させて軟水に変える技術が従来から知られている。軟水は、肌によく泡立ちも良いので、近年、軟水をお風呂で使用したいという需要が増加している。かかる需要を満足すべく、下記特許文献1に開示されているような軟水化装置が提供されている。
陽イオン交換樹脂を用いた軟水化装置は、長期間継続して使用されると、陽イオン交換樹脂の軟水化能力が徐々に低下し、最終的には軟水化ができなくなってしまう。このような場合、塩水(塩化ナトリウム水溶液)などの再生液が軟水化装置の陽イオン交換樹脂に供給されて、陽イオン交換樹脂に捕捉されていたカルシウムイオンやマグネシウムイオン等が排出されることで、軟水化装置は、再び軟水化可能な状態に戻される。例えば、特許文献1に開示されている軟水化装置は、再生処理を行うために、軟水化装置に対して塩水を供給可能な再生塩水供給器を備えた構成とされている。
特開2002−39613号公報
ここで、上記したような従来技術の軟水化装置で採用されている再生塩水供給器には、塩水の製造と貯留が行われる中空の容器本体と、容器本体の内部に配置されて再生処理複数回分の塩を収容可能な塩容器とを、備え、容器本体に対して注水することで製造された塩水をほぼ全て容器本体から排出して再生処理に利用する構成のものがあった。
このような構成の再生塩水供給器は、塩容器の底面等に通水可能な通水部が設けられており、容器本体に所定量の水が注入されると、通水部を通って塩容器内に水が浸入し、溶解した塩が塩水となって通水部から容器本体に流れ出し、容器本体に所定量の塩水を貯留可能なものであった。また塩容器は、水の浸入が可能な領域である浸水領域の塩が溶け出した後は、浸水領域の上部に貯えられた塩が浸水領域に自然落下することで、絶えず浸水領域に塩が補充される構成であった。
しかし従来の軟水化装置では、再生処理が長期間行われない場合や軟水化装置が高温になる場合など、塩容器の内部が乾燥することがあった。塩容器の内部が乾燥すると、塩容器内の湿潤した塩が乾燥して固化しやすく、固化した塩が塩容器の側面に支持されて、底部側の浸水領域にまで落下しない現象を発生させていた(以下、この現象を「塩橋」とも称する)。この塩橋が発生すると、塩容器の浸水領域に空洞が生じてしまうため、再生処理に適当な濃度の塩水を調整することができないという問題があった。
そこで本発明は、塩橋を効果的に防止し、再生処理に適当な濃度の再生液を調整可能な再生剤容器を備えた軟水化システムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、イオン交換樹脂に水を通過させて軟水化する軟水化装置と、前記イオン交換樹脂を再生させる再生液を製造する再生液供給器と、を備え、前記再生液供給器は、製造された再生液を貯留可能な中空の容器本体と、前記容器本体に対して注水可能な注水手段と、前記容器本体の内部に配置されて水溶性の再生剤を収容する再生剤容器と、前記容器本体に貯留された再生液を前記イオン交換樹脂に対して供給可能な再生液供給手段と、を有し、前記再生剤容器は、前記容器本体に貯留された水の出入りが可能な浸水領域と、前記浸水領域の上方に位置する乾燥領域と、に区分され、前記乾燥領域の内側面の一部又は全部が下向きに傾斜した傾斜面であることを特徴とした。
本発明の軟水化システムは、再生剤容器の内側面が下向きに傾斜した傾斜面であるため、この傾斜面に対して再生剤の荷重が作用しにくい。そのため湿潤した再生剤が固化したとしても、固化した再生剤は、傾斜面によって支持されることなく再生剤容器の浸水領域に落下する。固化した再生剤が浸水領域に落下すると、その上方に位置する再生剤についても、その支持を失うため浸水領域に落下する。そのため、本発明の軟水化システムでは、再生剤容器に塩橋が生じにくい。したがって本発明の軟水化システムは、再生剤容器の浸水領域に対して所定量の再生剤を絶えず補充することが可能であり、再生処理に適当な濃度の再生液を調整することが可能である。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記傾斜面の下端近傍における傾斜が、下端近傍よりも上方領域の傾斜よりも緩やかであることを特徴とした。
本発明の軟水化システムの再生剤容器の傾斜面は、再生剤が最も湿潤して固化しやすい浸水領域と乾燥領域との境界近傍において、傾斜面の角度が最も下向きになっており、再生剤が傾斜面から離反し易く浸水領域に落下し易い構成になっている。したがって本発明の軟水化システムは、効果的に塩橋の発生を防止し、再生処理に適当な濃度の再生液を調整することが可能である。
請求項3の発明は、イオン交換樹脂に水を通過させて軟水化する軟水化装置と、前記イオン交換樹脂を再生させる再生液を製造する再生液供給器と、を備え、前記再生液供給器は、製造された再生液を貯留可能な中空の容器本体と、前記容器本体に対して注水可能な注水手段と、前記容器本体の内部に配置されて水溶性の再生剤を収容する再生剤容器と、前記容器本体に貯留された再生液を前記イオン交換樹脂に対して供給可能な再生液供給手段と、を有し、前記再生剤容器は、前記容器本体に貯留された水の出入りが可能な浸水領域と、前記浸水領域の上方に位置する乾燥領域と、に区分され、前記乾燥領域において、水平な仮想面Aによる前記再生剤容器の断面を、前記仮想面Aよりも下方であって乾燥領域に位置する水平な仮想面Bに投影させると、前記仮想面Aによる再生剤容器の断面の投影図が、前記仮想面Bによる再生剤容器の断面図の内側に位置することを特徴とした。
本発明の軟水化システムは、再生剤容器の乾燥領域において、水平な仮想面Aによる再生剤容器の断面を、仮想面Aよりも下方であって乾燥領域に位置する水平な仮想面Bに投影させると、仮想面Aによる再生剤容器の断面の投影図が、仮想面Bによる再生剤容器の断面図の内側に位置している。そのため本発明の軟水化システムにおいて、再生剤容器の浸水領域にあった再生剤が再生剤容器の外部に流れ出し、乾燥領域の仮想面Aの位置にあった再生剤が落下して仮想面Bの位置に達すると、仮想面Bの位置に達した再生剤は、再生剤容器の内側面から離れて内側に配置される。したがって本発明の軟水化システムの再生剤容器は、再生運転が行われる度に、再生剤が再生剤容器の内側面から離れた位置に配置されるので、再生剤が再生剤容器の内側面によって支持されない。その結果、本発明の軟水化システムは、再生剤容器内での塩橋の発生を効果的に防止することができる。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記仮想面Bは、前記仮想面Aにある再生剤が、再生運転が一度行われた後に移動する高さに配置され、前記仮想面Aによる再生剤容器の断面を仮想面Bへ投影させた投影図の周縁から、前記仮想面Bによる再生剤容器の断面図の周縁までの距離が2mm以上であることを特徴とした。
本発明の軟水化システムでは、再生運転が一度行われると、乾燥領域の再生剤が、再生剤容器の内側面から少なくとも2mm以上離れた位置に落下する。そのため本発明の軟水化システムは、再生剤容器内を落下した再生剤が多少崩れたとしても、再生剤容器の内側面と再生剤との間に一定の隙間を確保することができ、塩橋の発生を効果的に防止することができる。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の軟水化システムと、給湯装置とを有し、前記軟水化装置で軟水化された水を前記給湯装置に供給可能であることを特徴とした。
これにより請求項5の給湯システムは、再生剤容器内において塩橋が生じるのを効果的に防止し、再生処理に適当な濃度の再生液を調整することができる。
本発明によれば、塩橋を効果的に防止し、再生処理に適当な濃度の再生液を調整可能な再生剤容器を備えた軟水化システムおよび給湯システムを供給することができる。
続いて本発明を実施した給湯システム1および軟水化システム10について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明にかかる給湯システムを示す模式図である。図2は、図1に示す給湯システムに用いられている軟水化システムを示した作動原理図である。図3は、塩バスケットを示す斜視図である。図4(a)は図3に示す塩バスケットのA−A断面図であり、図4(b)は図4(a)の状態から再生運転を一回行った塩バスケットの断面図であり、図4(c)は仮想面Aによる塩バスケットの内部空間の断面を仮想面Bに投影した投影図と、仮想面Bによる塩バスケットの内部空間の断面図とを示し、図4(d)は図4(b)の一部拡大断面図である。
なお、図5〜図8は、本実施形態で採用されている軟水化装置10における通水状態を示すものであり、実線で記した部分は通水可能な状態であることを示し、二点鎖線で示した部分は通水不可能な状態であることを示す。
図1に示すように、給湯システム1は、給湯装置2と軟水化システム10とを有し、これらを軟水供給配管5により接続したものである。
給湯装置2は、従来公知のものと同様のものとされており、軟水供給配管5を介して軟水化システム10側から供給されてきた軟水(湯水)を加熱することができる。なお、軟水化システム10から供給される湯水は、基本的に非加熱の水であるが、ソーラーパネル等で加熱された湯水が供給される場合もある。
また、給湯装置2には、出湯配管8が接続されており、これを介して加熱された軟水(湯水)を外部の熱負荷に供給することができる。具体的には、給湯装置2から出湯配管8を介して供給された軟水(湯水)は、図示しないカランやシャワーへの給湯に使用したり、図示しない浴槽への落とし込みに使用したりすることができる。
図2に示すように、軟水化システム10は、軟水化装置11と再生塩水供給器12(再生液供給器)とを有する。
軟水化装置11は、外部から供給された湯水を軟水化する装置である。軟水化装置11は、湯水が含むカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどを吸着する陽イオン交換樹脂を充填したカラムを備えており、外部から供給される湯水をカラム内に導入することで湯水の硬度を低下させて、湯水を軟水化することができる。
また軟水化装置11を構成する陽イオン交換樹脂は、カルシウムイオンやマグネシウムイオンの吸着に限界があるため、長期間使用されると、軟水化能力が低下してしまう。このような場合、塩水などの再生液を陽イオン交換樹脂に通過させることにより、陽イオン交換樹脂に吸着しているカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどを取り除き、陽イオン交換樹脂を軟水化可能な状態に再生させることができる。
再生塩水供給器12は、軟水化装置11の陽イオン交換樹脂を再生する塩水を製造する装置である。再生塩水供給器12は、図2に示すように、塩水の製造と貯留が行われる中空の容器本体50と、容器本体50の内部に配置される塩バスケット52(再生剤容器)と、を有する。
容器本体50は、上端側に注水口54を有し、下端側に排出口56を有する。
注水口54には、後述する補水配管35が接続されている。一方、排出口56には、塩水供給配管29(再生液供給手段)の一端側が接続されており、再生塩水供給器12で製造された塩水は、塩水供給配管29を介して軟水化装置11に供給される。
本実施形態の塩バスケット52は、塩水による腐食を防止するため樹脂により成形されている。図3、4に示すように、塩バスケット52は、籠状の部材であり、再生処理に用いる造粒塩(再生剤113)を収容可能な内部空間101を備えている。塩バスケット52の頂部には、内部空間101に造粒塩を投入するための投入口102が設けられ、投入口102の周囲には外向きフランジ部103が形成されている。また図4(a)、(b)に示すように、塩バスケット52の底面105には、塩バスケット52の内外をつなぐ複数の通水孔106が設けられている。通水孔は、透水性のある網や布の透水材107で覆われている。
本実施形態の軟水化システム10において塩バスケット52は、内側面108が下向き(底面105側)に傾斜するように形成されている。そのため塩バスケット52の内部空間101は、底面105側の方が投入口102側よりも広く形成されている。
また図4(a)、(c)に示すように、容器本体50に設置された状態の塩バスケット52を水平な仮想面で切断すると、仮想面における塩バスケット52の断面積は、仮想面が下方になるに従って大きくなる。
図4(a)、(b)に示すように、塩バスケット52は、容器本体50に貯留された水の出入りが可能な浸水領域Wと、浸水領域Wの上方に位置する乾燥領域Dとに区分される。そして図4(c)に示すように、乾燥領域Dにおいて、水平な仮想面Aによる塩バスケット52の断面を、仮想面Aよりも下方であって乾燥領域Dに位置する水平な仮想面Bに投影させると、仮想面Aによる塩バスケット52の断面の投影図111は、仮想面Bによる塩バスケット52の断面図112の内側に位置している。また塩バスケット52は、仮想面Aから仮想面Bまでの距離を、浸水領域Wの高さと同一にすると、仮想面Aによる塩バスケット52の断面を仮想面Bへ投影させた投影図から、仮想面Bによる塩バスケット52の断面図の周縁までの距離が2mm以上になるように形成されている。
本実施形態の軟水化システム10において、塩バスケット52には、塩を所定の大きさの所定形状に固めた造粒塩が再生剤113として投入されている。
塩バスケット52は、外形が容器本体50の内部空間101よりも小さく、容器本体50の塩バスケット設置部51に外向きフランジ部を載置して、ぶら下がるように装着される。そのため塩バスケット52を容器本体50内に設置した状態において、塩バスケット52の底面105は、排出口56が設けられた底面よりも一定の間隔だけ上方に離れた位置にある。
内部空間101に造粒塩が投入された塩バスケット52を容器本体50にセットして、容器本体50に対して注水すると、塩バスケット52の底面から塩バスケット52の内部に水が浸入し、塩バスケット52内の造粒塩が溶解することで塩水が製造される。
軟水化装置11には、水供給配管20および軟水供給配管5が接続されている。
水供給配管20は、一方の端部に軟水化装置11が接続され、他方の端部に外部の給水源と接続可能な入水口15が設けられている。水供給配管20は、入水口15から軟水化装置11に向けて湯水を供給可能な配管であり、中途には、給水弁23や減圧弁24が取り付けられている。給水弁23を開閉させることにより軟水化装置11への湯水の供給を制御することができる。減圧弁24は、給水弁23よりも水供給配管20を流れる湯水の流れ方向上流側の位置に取り付けられている。
水供給配管20の中途、具体的には給水弁23と軟水化装置11との間には、排水管21が接続されている。排水管21は、軟水化装置11の再生運転の際に発生する排水などを軟水化装置11から排出するための配管である。排水管21の中途には、排水弁26が設けられている。
軟水供給配管5は、一方の端部に軟水化装置11が接続され、他方の端部に給湯装置2と接続可能な出水口16が設けられている。軟水供給配管5は、軟水化装置11において軟水化された湯水を給湯装置2側に向けて供給するための配管であり、中途に水量センサ19や、軟水供給配管5を流れる水の流量を制御する採水制御弁25を有する。
軟水化システム10は、給水弁23および採水制御弁25を開状態とし、水供給配管20を介して外部の給水源から軟水化装置11に向けて湯水を導入する。そして導入された湯水を軟水化装置11で軟水化し、軟水化された湯水を、軟水供給配管5を介して給湯装置2側に供給することができる。
図2に示すように、上記した軟水供給配管5と水供給配管20との間には、バイパス配管30が接続されており、このバイパス配管30を用いて軟水化装置11を迂回する流路を形成することができる。バイパス配管30の一端側は、水供給配管20の中途であって、給水弁23と減圧弁24との間の位置に接続されている。またバイパス配管30の他端側は、軟水供給配管5の中途であって、水量センサ19と採水制御弁25との間の位置に接続されている。バイパス配管30の中途には、バイパス弁31と水量センサ32とが設けられている。そのため軟水化システム10は、バイパス弁31を開くことにより、水供給配管20を介して外部から供給された湯水をバイパス配管30側に流し、軟水化装置11を迂回させることができる。
また、バイパス配管30の中途、具体的にはバイパス弁31と水量センサ32との間には、補水配管35の一端側が接続されている。補水配管35の他端側は、再生塩水供給器12側に接続されている。また、補水配管35の中途には、補水弁36が設けられており、この補水弁36を開くことにより外部から供給された水を水供給配管20およびバイパス配管30を介して再生塩水供給器12に供給することができる。したがって、補水配管35および補水弁36は、再生塩水供給器12への注水手段37として機能する。
本実施形態の軟水化システム10は、出水口16から塩水が流出するのを防止するための手段として流出防止弁60を備えている。流出防止弁60は、軟水供給配管5よりも下方の低位置に取り付けられる。図2に示すように、流出防止弁60と水供給配管20との間には、一次配管70が接続される。一次配管70は、一方の端部が、流出防止弁60に接続され、他方の端部が、水供給配管20の中途であって、入水口15と減圧弁24との間の位置に接続されている。また流出防止弁60と軟水供給配管5との間には、二次配管71が接続される。二次配管71は、一方の端部が、流出防止弁60に接続され、他方の端部が、軟水供給配管5の中途であって、採水制御弁25と水量センサ19との間の位置に接続されている。
上記した軟水化システム10は、軟水化運転と、再生運転とを行うことができる。
軟水化運転は、水供給配管20を介して外部の給水源から供給された湯水を軟水化し、軟水化された湯水を、軟水供給配管5を介して給湯装置2側に供給する運転方法である。
また再生運転は、水供給配管20および補水配管35を介して外部の給水源から供給された湯水を再生塩水供給器12に流入させて塩水を作成し、この塩水を軟水化装置11に供給することにより、軟水化装置11の陽イオン交換樹脂を再生する運転方法である。
さらに詳細に説明すると、軟水化装置10が軟水化運転を行う場合は、図5に示すように給水弁23や採水制御弁25が開状態とされると共に、排水弁26や塩水供給弁27、バイパス弁31、補水弁36が閉止された状態とされる。そして、この状態で外部の給水源から水供給配管20を介して軟水器11に湯水が供給される。これにより、軟水器11を通過した湯水は、軟水化され、軟水供給配管5を介して給湯装置2側に供給される。
再生運転を行う場合、軟水化システム10においては、補水動作と通薬動作、押出・洗浄動作、逆洗動作とからなる一連の動作が複数回実施される。
具体的に、軟水化システム10が再生運転を行う場合は、先ず補水動作が行われ、容器本体50に塩水が準備される。すなわち、補水動作が行われる場合は、図6に示すように、排水弁26や塩水供給弁27、バイパス弁31が閉止されると共に、採水制御弁25や補水弁36が開いた状態とされ、この状態で水供給配管20を介して外部の給水源から湯水が供給される。これにより外部から供給された湯水が、水供給配管20から補水配管35を通って、注水口54から容器本体50に流入する。
補水動作における注水は、容器本体50の水位が塩バスケット52の底面105よりも所定高さ高くなるように行われる。具体的に本実施形態の塩バスケット52は、投入口102から底面105までの高さが約20cmであり、補水動作における容器本体50の水位は、塩バスケット52の底面105から約2.5cmの高さになるように、即ち塩バスケット52の浸水領域Wの高さが約2.5cmになるように調整される。本実施形態の塩バスケット52は、一度の再生運転で浸水領域Wにある再生剤113が塩バスケット52の外部に溶け出すと想定されており、再生運転約8回分の再生剤113を貯留することができる。
容器本体50の水位が塩バスケット52の底面105よりも高くなると、塩バスケット52の底面105の通水孔106から容器本体50の水が塩バスケット52内に浸入する。塩バスケット52内に侵入した水は、塩バスケット52内の造粒塩を溶解する。造粒塩の溶解により製造された塩水は、通水孔106から塩バスケット52の外部に流れ出し、容器本体50に塩水が準備された状態になる。
なお補水動作を行っている間、給水弁23は開いた状態とされている。また補水動作を行う場合であっても、軟水化装置11は完全に軟水化能力を喪失している訳ではない。そのため、この状態で図示しない蛇口などが開かれて外部から湯水が供給された場合、水供給配管20を介して外部の給水源から供給された湯水の一部は、軟水化装置11を通過して軟水化され、軟水供給配管5を介して給湯装置2側に供給される。
上記したようにして容器本体50に塩水が準備された状態になると、通薬動作が行われる。具体的には、通薬動作が行われる場合は、図7に示すように給水弁23や採水制御弁25、補水弁36が閉止された状態とされる一方、排水弁26や塩水供給弁27、バイパス弁31が開いた状態とされる。これにより、再生塩水供給器12に準備されていた塩水が軟水化装置11や排水管21を通って外部に排出される。再生塩水供給器12に準備されている塩水は、重力によりゆっくりと軟水化装置11に向けて流れる。これに伴い、軟水化装置11を構成する陽イオン交換樹脂に吸着しているカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどが塩水によって除去されていく。通薬動作は、再生塩水供給器12内の塩水が無くなるまで行われる。
なお通薬動作中は、図7に示すように給水弁23や採水制御弁25が閉止され、バイパス弁31が開いた状態とされているため、水供給配管20を介して外部から湯水が供給されたとしても、この湯水は軟水化装置11を迂回して給湯装置2側に供給される。そのため、通薬動作中は、外部から供給された湯水を軟水化することができない。
上記したようにして通薬動作が完了すると、押出・洗浄動作が行われる。押出・洗浄動作は、容器本体50の底面側の部分、容器本体50に繋がる配管や弁、および軟水化装置11等に残留する塩分を、外部からの水を用いて排水管21に押し出して洗浄する動作である。
具体的には、上記した補水動作と同様の手順で一旦、再生塩水供給器12の容器本体50に注水する。ここで本実施形態の再生塩水供給器12は、塩バスケット52の底面105が容器本体50の底面よりも上方になるように配置されている。そのため洗浄動作における注水は、塩水を製造しないように容器本体50内の水位が塩バスケット52の底面105よりも低水位の範囲内で行われる。
容器本体50に水が溜まった状態になると、図7に示すように通薬動作と同一の流路構成で押出・洗浄動作が実施される。具体的には塩水供給弁27および排水弁26が開状態にされ、給水弁23、採水制御弁25、および補水弁36は閉止状態にされる。これにより、容器本体50内の水が、図7に矢印で示すように再生塩水供給器12から塩水供給配管29、軟水化装置11、並びに、排水管21を経て排出される。その結果、容器本体50や塩水供給配管29、塩水供給弁27、軟水化装置11等が洗浄される。
なお、押出・洗浄動作を行っている間についても、上記した通薬動作中と同様に軟水化装置11において水道水等を軟水化することができない。そのため、押出・洗浄動作中は、通薬動作中と同様に、バイパス弁31が開いた状態とされ、水供給配管20を介して外部から湯水が軟水化装置11を迂回し、給湯装置2側に供給される。
上記したようにして押出・洗浄動作が完了すると、逆洗動作が行われる。逆洗動作を行う際は、図8に示すように給水弁23や、塩水供給弁27、補水弁36が閉じた状態とされる。その一方でバイパス弁31や、採水制御弁25、排水弁26については、開いた状態とされる。これにより、外部の給水源から水供給配管20に供給された水は、バイパス配管30および軟水供給配管5を経て、軟水化装置11に流入する。これにより、軟水化装置11が洗浄される。軟水化装置11を通過した水は、排水管21に流れ込み、外部に排出される。
一方、逆洗動作を行っている間に給湯栓(図示せず)が開栓される等して給湯装置2側に水を供給しなければならない状態になった場合は、上記した通薬動作中と同様にバイパス配管30を通過した後、軟水化装置11を通過することなく給湯装置2側に供給される。
本実施形態の軟水化システム10は、塩バスケット52の内側面108が下向きに傾斜した傾斜面である。そのため塩バスケット52の内側面108に対して再生剤113の下向きの荷重が作用しにくい。よって浸水領域Wと乾燥領域Dの境界近傍の造粒塩が湿潤して固化したとしても、固化した造粒塩は塩バスケット52の内側面108によって支持されることがなく、塩バスケット52の浸水領域Wに落下することになる。浸水領域Wと乾燥領域Dの境界近傍の造粒塩が浸水領域Wに落下すると、その上方に収容されていた造粒塩もともに落下する。そのため本実施形態の軟水化システム10では、固化した造粒塩が塩バスケット52の内側面108に支持されることで浸水領域Wに空間が生じる塩橋が発生しにくい。したがって本実施形態の軟水化システム10は、塩バスケット52の浸水領域Wに対して所定量の再生剤113を絶えず補充することが可能であり、再生処理に適当な濃度の塩水を調整することができる。
また本実施形態の軟水化システム10は、図4(c)に示すように、乾燥領域Dにおいて、水平な仮想面Aによる塩バスケット52の断面を、仮想面Aよりも下方であって乾燥領域Dに位置する水平な仮想面Bに投影させると、仮想面Aによる塩バスケット52の断面の投影図111が、仮想面Bによる塩バスケット52の断面図112の内側に位置するように塩バスケット52を形成している。そのため本実施形態の軟水化システム10では、塩バスケット52の浸水領域Wにあった造粒塩が溶解して塩バスケット52の外部に流れ出した場合、乾燥領域Dの仮想面Aの位置にあった造粒塩が落下して仮想面Bの位置に達すると、仮想面Bの位置に達した造粒塩は、塩バスケット52の内側面108から離反して内側に配置されることになる。
また本実施形態の塩バスケット52は、仮想面Aから仮想面Bまでの距離が浸水領域Wの高さ(約2.5cm)と同一にした場合、仮想面Aによる塩バスケット52の断面を仮想面Bへ投影させた投影図から、仮想面Bによる塩バスケット52の断面図の周縁までの距離が2mm以上になるように成形されている。そのため本実施形態の軟水化システム10は、再生運転が一度行われると、図4(d)に示すように、再生剤113が塩バスケット52の内側面108から少なくとも2mm以上離れた位置に落下することになる。そのため本実施形態の軟水化システム10は、塩バスケット52内を落下した造粒塩が多少崩れたとしても、塩バスケット52の内側面113と造粒塩との間に一定の隙間を確保することができるため、塩橋の発生を効果的に防止することができる。
上記実施形態の軟水化システム10において、塩バスケット52の内側面108の傾斜角度は、乾燥領域Dおよび浸水領域Wにおいて同一であったが本発明はこのような構成に限られるわけではない。例えば、塩バスケット52の内側面108のうち、浸水領域Wと乾燥領域Dとの境界近傍部分を、他の部分よりも大きく下向きに傾斜するように構成してもよい。塩バスケット52の浸水領域Wと乾燥領域Dとの境界部分は、特に造粒塩が湿潤して固化しやすい部分であるため、この部分の傾斜を大きくすることで、塩バスケット52内の再生剤113を浸水領域Wに落下させ、塩橋の発生を効果的に防止することができる。
また塩バスケット52は、乾燥領域Dの内側面108の下端近傍における傾斜が、下端近傍よりも上方領域の傾斜よりも緩やかになるように構成してもよい。この構成を採用することで、塩バスケット52の内側面108は下方になるに従い下向きに傾斜することになる。その結果、再生剤113が最も湿潤して固化しやすい浸水領域Wと乾燥領域Dとの境界近傍において塩バスケット52の内側面108の傾斜角度が最も下向きになるため、再生剤113が傾斜面から離反して浸水領域Wに落下し易くなる。
上記実施形態の軟水化システムでは、軟水化装置の再生剤113に塩が用いられたが、本発明はこのような構成に限定されるわけではなく、再生剤113として塩化カリウムなどを使用してもよい。
本実施形態の軟水化システムにおいて、塩バスケット52の内部空間101には、所定の大きさの所定形状に塩を固めた造粒塩が再生剤113として収容されたが、本発明の再生剤113はこのような構成に限定されるわけではなく、料理等に使用される粒子状の塩であってもよい。
本発明の第一実施形態にかかる給湯システムを示した模式図である。 図1に示す給湯システムに用いられている軟水化ユニットを示した作動原理図である。 塩バスケットを示す斜視図である。 (a)は図3に示す塩バスケットのA−A断面図であり、(b)は(a)の状態から再生運転を一回行った塩バスケットの断面図であり、(c)は仮想面Aによる塩バスケットの内部空間の断面を仮想面Bに投影した投影図と、仮想面Bによる塩バスケットの内部空間の断面図とを示し、(d)は(b)の一部拡大断面図である。 図2の軟水化装置が軟水化運転を行う場合の作動原理図である。 図2の軟水化装置が再生運転において補水動作を行う場合の作動原理図である。 図2の軟水化装置が再生運転において通薬動作または押出・洗浄動作を行う場合の作動原理図である。 図2の軟水化装置が再生運転において逆洗動作を行う場合の作動原理図である。
符号の説明
1 給湯システム
10 軟水化システム
11 軟水化装置
12 再生塩水供給器(再生液供給器)
37 注水手段
50 容器本体
52 塩バスケット(再生剤容器)
29 塩水供給配管(再生液供給手段)
108 内側面
111 投影図
112 断面図
113 再生剤
D 乾燥領域
W 浸水領域

Claims (5)

  1. イオン交換樹脂に水を通過させて軟水化する軟水化装置と、
    前記イオン交換樹脂を再生させる再生液を製造する再生液供給器と、を備え、
    前記再生液供給器は、
    製造された再生液を貯留可能な中空の容器本体と、
    前記容器本体に対して注水可能な注水手段と、
    前記容器本体の内部に配置されて水溶性の再生剤を収容する再生剤容器と、
    前記容器本体に貯留された再生液を前記イオン交換樹脂に対して供給可能な再生液供給手段と、を有し、
    前記再生剤容器は、
    前記容器本体に貯留された水の出入りが可能な浸水領域と、
    前記浸水領域の上方に位置する乾燥領域と、に区分され、
    前記乾燥領域の内側面の一部又は全部が下向きに傾斜した傾斜面であることを特徴とする軟水化システム。
  2. 前記傾斜面の下端近傍における傾斜が、下端近傍よりも上方領域の傾斜よりも緩やかであること特徴とする請求項1に記載の軟水化システム。
  3. イオン交換樹脂に水を通過させて軟水化する軟水化装置と、
    前記イオン交換樹脂を再生させる再生液を製造する再生液供給器と、を備え、
    前記再生液供給器は、
    製造された再生液を貯留可能な中空の容器本体と、
    前記容器本体に対して注水可能な注水手段と、
    前記容器本体の内部に配置されて水溶性の再生剤を収容する再生剤容器と、
    前記容器本体に貯留された再生液を前記イオン交換樹脂に対して供給可能な再生液供給手段と、を有し、
    前記再生剤容器は、
    前記容器本体に貯留された水の出入りが可能な浸水領域と、
    前記浸水領域の上方に位置する乾燥領域と、に区分され、
    前記乾燥領域において、水平な仮想面Aによる前記再生剤容器の断面を、前記仮想面Aよりも下方であって乾燥領域に位置する水平な仮想面Bに投影させると、前記仮想面Aによる再生剤容器の断面の投影図が、前記仮想面Bによる再生剤容器の断面図の内側に位置することを特徴とする軟水化システム。
  4. 前記仮想面Bは、前記仮想面Aにある再生剤が、再生運転が一度行われた後に移動する高さに配置され、
    前記仮想面Aによる再生剤容器の断面を仮想面Bへ投影させた投影図の周縁から、前記仮想面Bによる再生剤容器の断面図の周縁までの距離が2mm以上であることを特徴とする請求項3に記載の軟水化システム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の軟水化システムと、給湯装置とを有し、
    前記軟水化装置で軟水化された水を前記給湯装置に供給可能であることを特徴とする給湯システム。
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