特許文献1と特許文献2に記載されているように、挿入口から挿入されたディスクを光学検知機構で検知するディスク装置では、挿入口から挿入されたディスクを何時でも検知できるように、発光素子を常に点灯させておくか、または間欠的に点灯させておく必要がある。そのため、電力を常に浪費する欠点がある。このディスク装置が車載用として使用される場合、エンジンが停止しているときも、発光素子を点灯させてディスクの挿入を待機する必要があるため、自動車に搭載されているバッテリーの電力消費が多くなりすぎる。
特許文献2に記載されているように、挿入口の内側に一対の検知ピンを設け、挿入口から挿入されたディスクの外周縁で検知ピンの間隔が広げられたことをスイッチで検知して、搬送機構を始動する構造も考えられる。この構造では、常に光学検知素子を点灯させておく必要がないため、ディスクの挿入を待つ待機時の消費電力を軽減できる。しかしながら、挿入口から挿入されたディスクの外周縁が、検知ピンに当たって摺動する構造であるため、正確な円形でない異形ディスクや四角いカードなどが挿入口から筐体内へ強引に押し込まれたときに、搬送機構を逆転させてこれらを挿入口から搬出させようとしても、異形ディスクやカードが検知ピンに引っ掛かって、挿入口へ戻せなくなることがあり得る。
その点、特許文献3に記載されたディスク装置は、ディスクが挿入されたときに、従動ローラがディスクの厚さ方向へ持ち上げられてスイッチが切り替わるために、搬入されたのが異形ディスクやカードであると判別され、駆動ローラによって異形ディスクやカードなどを搬出するときに、これらを挿入口から搬出させやすい。
しかしながら、特許文献3に記載されたディスク装置は、揺動プレートに支持された従動ローラが、搬送ローラよりも挿入口側に位置し、揺動プレートに与えられた付勢力により従動ローラが下側に押されている。そのため、ディスクが駆動ローラと従動ローラとで上下から挟持されたときに、駆動ローラよりも挿入口側で、ディスクが従動ローラによって下向きに押され続け、ディスクの下面が常に挿入口の下縁部に押し付けられることになる。よって、搬送されるディスクに常に負荷が作用することになり、また、ディスクの下面が挿入口の下縁部を摺動して傷付くことがある。さらに、搬入中のディスクは、筐体の内方へ向く周縁部が上向きの姿勢となるため、この周縁部がクランパなどに当たりやすく、所定位置まで搬入されたディスクを位置決めすることが困難である。
また、特許文献3に記載されたディスク装置は、ディスクが筐体の内部に搬送され、ディスクの中心がターンテーブルにクランプされた後に、駆動ローラを支持する駆動ローラホルダが回動して駆動ローラがディスクの下面から離れるとともに、この駆動ローラホルダの挿入口側の端部に設けられた突起によって前記揺動プレートが持ち上げられて、従動ローラがディスクの上面から離れる。
上記構造では、ディスクの中心穴がターンテーブルにクランプされるクランプ動作中に、従動ローラによってディスクが下向きに押圧され続けることになる。ディスクが筐体内に搬入された後に、従動ローラが長い時間ディスクの上面を押圧し続けるので、ディスクの中心穴をターンテーブルに嵌合させる際に、前記押圧力によってディスクに傾きが発生するなどして、ディスクのクランプ動作に支障をきたす可能性が高くなる。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、ディスクの厚み方向へ移動する部材によってディスクが挿入されたことを検知でき、よって、異形ディスクやカードなどが挿入された場合であっても、搬出することができるディスク装置を提供することを目的としている。
また本発明は、安定した姿勢でディスクを搬入できる検知機構と搬送機構を備えたディスク装置を提供することを目的としている。
本発明は、挿入口が開口する筐体の内部に、前記挿入口から挿入されたディスクを前記筐体の内部に向けて搬入する搬送機構が設けられているディスク装置において、
前記挿入口と前記搬送機構との間に、前記挿入口から挿入されたディスクが前記搬送機構によって搬送可能とされる前の時点で前記ディスクと当たる可動案内部が設けられており、
前記可動案内部は、前記挿入口から挿入されるディスクの厚さ方向へ向けて移動自在であり、前記挿入口から挿入されたディスクに押されて前記可動案内部が移動したことを検知する検知機構が設けられていることを特徴とするものである。
本発明のディスク装置は、挿入口から挿入されたディスクが可動案内部に当たり、可動案内部によって検知機構が動作することで、挿入口からディスクが挿入されたことが検知される。可動案内部がディスクと直接に接触して検知動作を行うために、光学検知機構を用いたものに比べて待機時の消費電力を低減、あるいはゼロとすることができる。また、可動案内部がディスクの外周縁に当たるのではなくディスクの面に当たる構造であるため、正確な円形でない異形ディスクや四角いカードなどが挿入されたと認識され、これらを搬出しようとしたときに、挿入口からスムースに排出させることができる。しかも、搬送機構は可動案内部よりも筐体の内部側に設けられているため、搬送機構に保持されたディスクが可動案内部の押圧力の影響を受けにくく、ディスクが安定した姿勢で筐体の内部に搬入される。
例えば本発明は、前記可動案内部は、前記挿入口側に設けられた回動支点を中心として回動自在である。
可動案内部が挿入口側を回動支点として回動自在であると、挿入口から挿入されたディスクが可動案内部に当たった後に、ディスクを押し込む力によって、可動案内部をディスクの厚み方向へ容易に回動させることができ、ディスクを挿入するときの抵抗力を小さくできる。
なお、可動案内部は、ディスクで押されたときに、挿入口側の回動支点がディスクから離れるように少し動き、しかも可動案内部の筐体の内方に向く端部が、回動支点の動作範囲よりもさらに大きく動く構造であってもよい。
本発明は、前記挿入口から挿入されたディスクが前記搬送機構で搬送可能となるまで前記可動案内部が移動したときに、前記検知機構の出力が切り替わるものである。
上記発明では、挿入口から挿入されたディスクによって可動案内部が十分な距離だけ動き、ディスクが搬送機構で保持される位置まで至ったときに検知機構が切り替わるため、搬送機構で保持できない厚さの異物が挿入口から挿入されたときに、搬送機構が始動することを防止できる。
なお、本発明は、挿入口から挿入されたディスクによって可動案内部が少しだけ動かされたときに検知機構が動作し、搬送機構が始動する制御を行ってもよい。
本発明は、前記可動案内部によって前記検知機構の出力が切り替えられたときに、前記搬送機構が始動して、ディスクを前記筐体の内部に搬入させることが可能となる。
また本発明は、前記搬送機構は、固定案内部とこの固定案内部との間でディスクを挟む搬送ローラとを有しており、前記固定案内部が、前記可動案内部よりも前記筐体の奥側に並んで設けられており、前記挿入口から挿入されたディスクが、前記可動案内部の案内面と前記固定案内部の案内面とを摺動しながら、前記筐体の内部に供給される構造とすることが好ましい。
搬送機構に送られたディスクは、搬送ローラと固定案内部とで挟持されるため、搬送中に可動案内部がディスクに当たっても、ディスクはほぼ水平状態の姿勢を維持しながら搬入される。また、ディスクは、可動案内部の案内面とこれに続く固定案内部の案内面に案内されながら、安定した姿勢で搬入される。
本発明は、前記可動案内部に対向する対向案内部が設けられ、前記挿入口からディスクが挿入されるときに、前記可動案内部と前記対向案内部との対向間隔が、前記搬送機構に向かうにしたがって徐々に狭くなり、ディスクが前記可動案内部と前記対向案内部とで前記搬送機構まで導かれる構造とすることが好ましい。
上記発明は、ディスクを両側から案内する可動案内部と対向案内部の間隔が筐体の内部に向かうにしたがって徐々に狭くなるため、ディスクの挿入側に向く外周縁を、搬送ローラと固定案内部との間に導きやすい。
また、本発明は、前記可動案内部に対向する対向案内部が設けられ、前記搬送ローラは前記対向案内部を有する部材に支持されて、前記挿入口からディスクが挿入されるときに、前記可動案内部と前記対向案内部との対向間隔が、前記搬送機構に向かうにしたがって徐々に狭くなって、ディスクが前記可動案内部と前記対向案内部とで前記搬送機構まで導かれ、ディスクが前記筐体の内部に搬入された後に、前記搬送ローラが前記固定案内部から離れるとともに、前記対向案内部が前記可動案内部から離れるものとしても構成できる。
上記発明では、対向案内部を、搬送ローラを保持するローラブラケットに一体に形成できるため、部品点数を削減できる。
本発明は、前記可動案内部は、前記挿入口から挿入されたディスクが当たる当接姿勢に向けて付勢されており、前記ディスクが筐体内に押し込まれたときに、前記ディスクの挿入側の縁部に押されてディスクを案内可能な案内姿勢へ移動するものであり、前記ディスクが筐体内の所定位置に移動したときに、前記可動案内部を前記案内姿勢に保持する保持部材が設けられているものである。
また、本発明は、前記保持部材によってクランプ機構が動作させられて、ディスクの中心部がターンテーブルにクランプされるものとして構成できる。
保持部材の動作によってクランプ機構が動作させられるとともに、この保持部材によって可動案内部が案内姿勢に保持されるため、ディスクに対するクランプ動作と可動案内部の保持動作とをタイミングよく設定できる。そのため、ディスクがクランプされるときに、可動案内部からディスクに不用意に押圧力が作用するなどの問題を解消しやすい。
本発明のディスク装置は、ディスクが挿入されることを待つ待機状態において、検知機構で消費する電力を低減、あるいはゼロとすることができる。また、異形ディスクや四角いカードなどが強引に挿入されたときに、これらを搬出しやすい。さらに、可動案内部がディスクに当たっている状態であっても、搬送機構によりディスクを安定した姿勢で搬入できる。
また、可動案内部をディスクを案内する案内姿勢に保持するタイミングと、ディスクをクランプするタイミングとの関係を設定しやすくなり、クランプ中のディスクの姿勢が可動案内部の押圧力によって不用意に傾けられるなどの問題を防止しやすい。
図1は、本発明の実施の形態のディスク装置の全体構造を示す斜視図であり、図2は図1の側面図である。図1と図2に示すディスク装置は、ディスクの挿入を待つ待機状態である。図3ないし図5は、可動案内部と搬送機構の動作を示す部分拡大断面図であり、図3は待機状態、図4は挿入口からディスクが挿入された状態、図5はディスクが筐体内部に搬入されてクランプが完了した状態をそれぞれ示している。
各図においては、X1側が右方向、X2側が左方向、Y1側が前方、Y2側が後方、Z1側が上方、Z2側が下方である。図2では、右側方スライダ30aの図示を省略している。また、図3ないし図5には、挿入口を有する筐体1の一部が断面で示されているが、図1と図2では筐体1の図示を省略している。
ディスク装置は、DVD(デジタルバーサタイルディスク)やCD(コンパクトディスク)などの直径が12cmの真円形のディスクDが装填可能であり、前記ディスク以外のもので、例えば、外周の形状が楕円形やその他の形状の異形ディスクや、四角形のカードなどが挿入されたときは、これらを搬出できるようにしている。
図3ないし図5に示すように、ディスク装置は筐体1を有している。筐体1は、金属板で形成されている。車載用のディスク装置の場合、筐体1の大きさは、例えば1DINサイズであり、筐体1は自動車の車室内のインストルメントパネルに埋設して設置される。
筐体1は、底板2と天井板3と前面板4とを有している。筐体1はY2側に後面板を有しており、X1側とX2側には側面板を有している。筐体1の前面板4には挿入口5が開口している。ディスク装置は、筐体1の前面板4の前方に、合成樹脂で形成された化粧ノーズが取り付けられており、この化粧ノーズの前面に各種操作部材や表示装置が設けられている。化粧ノーズには、挿入口5に連通するノーズ部挿入口が開口しており、このノーズ部挿入口と挿入口5を経て、ディスクDが筐体1の内部に向けて挿入される。挿入口5は、左右方向(X1−X2方向)に向けて細長く形成されている。
筐体1の内部に、図1および図2に示す機構ユニット10が収納されている。図2に示すように、機構ユニット10は底部側にドライブベース11を有し、上部側にクランプベース12を有している。ドライブベース11とクランプベース12は共に金属板を折り曲げて形成されている。図1と図2に示すように、ドライブベース11には、Y2側においてX1方向とX2方向へ延びる連結軸13が設けられ、クランプベース12のY2側の端部は、連結軸13に回動自在に支持されている。
筐体1の内部には、ドライブベース11を弾性的に支持する複数のダンパー15a,15bが設けられている。図1と図2に示すように、これらダンパー15a,15bは、弾性体の袋の内部にオイルが封入されて構成されている。ダンパー15a,15bは、筐体1の内面に固定されており、ドライブベース11に固定された支持軸がそれぞれのダンパー15a,15bに支持されている。機構ユニット10にディスクDが装填された後は、ドライブベース11が、ダンパー15a,15bに弾性支持された状態で、ディスクDが回転駆動される。
図2に示すように、ドライブベース11にはY1側に回転駆動部20が設けられている。図3に示すように、回転駆動部20は、ドライブベース11の上に固定されたスピンドルモータ21と、スピンドルモータ21の回転軸22に固定された合成樹脂製のターンテーブル23を有している。
図1に示すように、ドライブベース11には光ヘッド25が搭載されている。光ヘッド25は、ドライブベース11に設けられたガイド機構によって移動自在に支持されているとともに、光ヘッド25を前記ガイド機構に沿って往復移動させるスレッド機構が設けられている。スレッド機構によって、光ヘッド25は、ターンテーブル23にクランプされたディスクDの記録面に沿って、ディスクDの半径方向に向けて移動させられる。
図1に示すように、クランプベース12のY1側の端部には、合成樹脂製のクランパ27が回動自在に支持されているとともに、クランパ27の回転軸を下方(Z2方向)へ押圧する板ばね26が設けられている。
図1と図2に示すように、ドライブベース11のY2側の端部にはX1方向へ突出する突出片12aが一体に形成され、この突出片12aに、トーションコイルばね17が取り付けられている。トーションコイルばね17の一方の腕部は、ドライブベース11に掛けられ、他方の腕部がクランプベース12に掛けられて、クランプベース12は、連結軸13を支点として、反時計方向へ常に付勢されている。すなわち、クランプベース12は、図5に示すように、クランパ27がターンテーブル23に押圧されるように常に回動付勢されている。
図1と図2に示すように、クランプベース12のY1側の端部には、X1方向へ突出する持ち上げ軸18が固定されている。この持ち上げ軸18に上方(Z1方向)への力を与えると、クランプベース12はトーションコイルばね17の付勢力に対抗して時計方向へ回動させられ、クランパ27がターンテーブル23から離れる。
図1に示すように、機構ユニット10のドライブベース11には、X1側に右側方スライダ30aが設けられ、X2側に左側方スライダ30bが設けられている。右側方スライダ30aと左側方スライダ30bが保持部材として機能する。図1に示すように、右側方スライダ30aには前後方向(Y1−Y2方向)に延びる案内長穴31が開口し、ドライブベース11に案内軸19が固定されている。案内長穴31と案内軸19は、ひとつの右側方スライダ30aに複数組設けられているが、図1では1組のみ図示している。案内長穴31が案内軸19を摺動することで、右側方スライダ30aがY1−Y2方向へ往復移動可能である。同様に、左側方スライダ30bも、ドライブベース11のX2側の側部において前後方向へ往復移動可能に支持されている。
ドライブベース11の左後方にモータMが設けられており、このモータMの動力によって左側方スライダ30bが前後方向へ駆動される。ドライブベース11の下面にはリンク機構が設けられ、左側方スライダ30bと右側方スライダ30aとが、前記リンク機構で連結されて、同期して同じ方向へ移動させられる。図1に示す待機状態では、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bは、共に後方(Y2方向)へ移動させられている。
ドライブベース11上には、直径が12cmの正常な形状のディスクDの中心穴がターンテーブル23上に至ったことを検知する装填検知機構が設けられている。この装填検知機構が正常なディスクDを検知すると、モータMが始動し、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bが同期して、一緒にY1方向へ移動させられる。
以下では、主に右側方スライダ30aについて説明する。右側方スライダ30aと左側方スライダ30bは同じ機能を発揮するものであり、左側方スライダ30bの形状および構造は、右側方スライダ30aと同等である。
図1に示すように、右側方スライダ30aにはクランプ制御カム部32が設けられている。クランプ制御カム部32は、前方(Y1方向)に向かうにしたがって上方(Z1方向)へ向けられるカム長穴32aと、このカム長穴32aとY2側で連続する大きな直径の逃げ穴部32bを有している。クランプベース12に設けられた持ち上げ軸18は、カム長穴32aと逃げ穴部32bの内部を移動できるように挿入されている。
図1に示す待機状態では、右側方スライダ30aが後方(Y2方向)へ移動しているため、カム長穴32aによって持ち上げ軸18がZ1方向へ持ち上げられている。このとき、図3と図4に示すように、クランプベース12が時計方向へ回動させられ、クランパ27がターンテーブル23から上方へ離れたクランプ解除状態に設定されている。正常なディスクDの中心穴がターンテーブル23の上に移動して前記装填検知機構が動作し、モータMが始動して、右側方スライダ30aが前方(Y1方向)へ移動させられると、持ち上げ軸18が、逃げ穴部32b内に移動する。このとき、図5に示すように、クランプベース12がトーションコイルばね17の弾性力によって反時計方向へ回動し、クランパ27によってディスクDの中心部がターンテーブル23に押し付けられ、ディスクDがターンテーブル23にクランプされる。
図1に示すように、右側方スライダ30aにはロックカム部33が設けられている。このロックカム部33は、前後方向に延びるロック長穴33aと、ロック長穴33aのY2側に連続する大きな直径の逃げ穴部33bとを有している。
図1に示す待機状態で、右側方スライダ30aがY2方向へ移動していると、筐体1に固定されて設けられた拘束軸(図示せず)が、ロック長穴33a内に保持される。このとき、機構ユニット10は、筐体1の内側において動くことなく保持され、挿入口5から搬入されたディスクDが、ターンテーブル23と、ターンテーブル23から離れているクランパ27との間の隙間内に移動しやすくなる。前記装填検知機構が動作して、右側方スライダ30aがY1方向へ移動すると、図5に示すように、クランパ27が下降してディスクDの中心部がクランプされるとともに、ロック長穴33aが前記拘束軸から外れ、拘束軸が逃げ穴部33bに移動する。このとき、機構ユニット10は筐体1内で拘束されず、ダンパー15a,15bによって弾性支持される。ターンテーブル23にクランプされたディスクDが回転駆動される間に、外部振動がダンパー15a,15bの振動として吸収されやすくなり、機構ユニット10に直接に影響を及ぼすことが防止される。
図2と図3に示すように、挿入口5と回転駆動部20との間に搬送機構40が設けられている。
搬送機構40は、搬送ローラ41と、搬送ローラ41のZ1側に対向する固定案内部43とを有している。
固定案内部43は、摩擦係数の小さい合成樹脂材料で形成されて、筐体1の天井板3の下面に動かないように固定されている。固定案内部43は、その下面が、Y1−Y2方向へ水平に延びる案内面43aとなっている。
搬送ローラ41は、合成ゴムなどの摩擦係数の大きな材料で円筒状に形成されており、金属製のローラ軸42の外周に装着されている。ローラ軸42の両端部はローラブラケット44に支持されている。
ローラブラケット44は金属板で形成されている。図1と図2に示すように、ローラブラケット44は、X1側に形成された右側支持部44aおよびこの右側支持部44aのY1側の先部から上方へ延びる右側先部44bと、図3に示すように、X2側に形成されている左側支持部44cおよびこの左側支持部44cのY1側の先部から上方へ延びる左側先部44dとを有している。
図2に示すように、右側先部44bに支持穴44eが開口し、図3に示すように左側先部44dに支持穴44fが開口している。支持穴44eと支持穴44fは、X1−X2軸と平行な軸線上に位置している。筐体1の両側面板の内側には短い一対の支持軸45,45が固定されており、支持穴44e,44fがそれぞれの支持軸45,45に支持され、ローラブラケット44は、支持軸45,45を回動支点として回動自在に支持されている。図3に示すように、ローラブラケット44と筐体1の底板2との間に引っ張りコイルばね46が掛けられており、ローラブラケット44は常に反時計方向へ付勢されている。
図2に示すように、ローラブラケット44の右側支持部44aのY2側の端部に保持穴44gが形成され、左側支持部44cのY2側の端部にも同様に保持穴44g(図示せず)が開口している。ローラ軸42の両端部は、それぞれ保持穴44g内に挿入されている。図2に示す待機状態では、引っ張りコイルばね46の弾性力でローラブラケット44が反時計方向へ付勢されており、この付勢力によって、ローラ軸42が固定案内部43に押し付けられている。
また、ローラ軸42のX2側の端部にはピニオン歯車が固定されており、図示しない搬送モータからの回転動力が前記ピニオン歯車に伝達されて、ローラ軸42が回転駆動される。
図2と図3に示すように、ローラブラケット44には、右側支持部44aの上縁と左側支持部44cの上縁とをつなぐ対向案内部44hが設けられている。すなわち、右側支持部44aは対向案内部44hのX1側で下向きに直角に折り曲げて形成され、左側支持部44cは対向案内部44hのX2側で下向きに直角に折り曲げられて形成されている。
対向案内部44hの上面の案内面44iは平坦面である。図2と図3に示す待機状態では、案内面44iが、後方(Y2方向)に向かうにしたがって上方(Z1方向)へ持ち上がるように傾斜している。
搬送機構40と挿入口5との間には可動案内部50が設けられている。可動案内部50は、固定案内部43と同じ低摩擦係数の合成樹脂材料で形成されており、その下面は平滑な案内面51である。案内面51は、対向案内部44hの案内面44iに対向している。
可動案内部50の先部(Y1側)には、X1方向とX2方向へ突出する短い支持軸52,52が一体に形成されている。それぞれの支持軸52,52は、筐体1の両側面板に設けられた軸受部に回動自在に支持されている。可動案内部50はその自重と図示しないばね部材の付勢力によって、支持軸52,52を中心として時計方向へ回動付勢されている。可動案内部50の上面には、支持軸52,52よりもY1側にストッパ部53が形成されている。図3に示すように、可動案内部50は、ストッパ部53が筐体1の天井板3の下面に当たったときに、それ以上は時計方向へ回動しない回動限界となる。可動案内部50は、図3に示すような傾斜しているときが当接姿勢であり、挿入口5から挿入されたディスクDが案内面51に当たりやすくなっている。
図3に示す待機状態では、可動案内部50の下面の案内面51と対向案内部44hの案内面44iとの対向間隔が、挿入口5側で広く、搬送ローラ41に向かうにしたがって徐々に狭くなっている。そして、図3に示す待機状態では、可動案内部50の案内面51のY2側の端部51aが、搬送ローラ41の左側に対向しており、同じく対向案内部44hの案内面44iのY2側の端部44jも、搬送ローラ41の左側に対向している。そして、端部51aと端部44jとの間隔が、ディスクDの厚み寸法よりも狭くなっている。
図1と図3に示すように、固定案内部43の前端(Y1側の端部)には、X1−X2方向のほぼ中心部分に、検知機構を構成する機械的なスイッチSが固定され、スイッチSのアクチュエータSaがY1方向へ突出している。また、可動案内部50のY2側の端部には、その上面に凹部54が形成されている。可動案内部50がばね部材の付勢力に対向して反時計方向へ回動させられると、凹部54の底面によってアクチュエータSaが押されスイッチSの出力がOFFからONに切り替えられる。
図1と図2に示すように、可動案内部50の後端部(Y2側の端部)には、X1方向とX2方向へ突出する持ち上げ突部55,55が一体に形成されている。
可動案内部50の下にはシャッタ部材60が設けられている。シャッタ部材60は金属板で形成されている。図3ないし図5に示すように、シャッタ部材60は、挿入口5を内側から閉鎖することができる円筒面形状の開閉板部61を有しており、図1に示すように、この開閉板部61のX1側で折り曲げられた右側支持部62aと、開閉板部61のX2側で折り曲げられた左側支持部62bとが形成されている。
ローラブラケット44の右側先部44bの内面および左側先部44dの内面には短い連結軸63,63が固定されており、シャッタ部材60の右側支持部62aと左側支持部62bが、連結軸63,63に回動自在に支持されている。シャッタ部材60とローラブラケット44との間には引っ張りコイルばね(図示せず)が掛けられており、図3に示す待機状態では、ローラブラケット44内において、シャッタ部材60が反時計方向へ付勢されている。この待機状態では、開閉板部61が下方へ向けられており、挿入口5が開放されている。
シャッタ部材60の右側支持部62aにはX1方向へ突出する突部64が設けられ、左側支持部62bにはX2方向へ突出する突部64が設けられている。この突部64をY1方向へ押圧すると、シャッタ部材60がばね部材の付勢力に対抗して時計方向へ回動し、図5に示すように、開閉板部61が挿入口5の内側に対向し、挿入口5が閉鎖される。
図1に示すように、右側方スライダ30aのY1側には、ローラ制御カム部34が設けられている。ローラ制御カム部34は、上側に形成された上側案内部34aと、それよりもY2側で且つ下側に形成された下側拘束部34bと、上側案内部34aと下側拘束部34bとに連続する傾斜案内穴34cとを有している。ローラ軸42のX1側の端部42aはローラ制御カム部34に摺動自在に挿入されている。
右側方スライダ30aのY1側の端部には、案内制御カム部35が形成されている。案内制御カム部35は、Y1側の持ち上げ案内部35aとY2側に延びる保持案内部35bとを有している。持ち上げ案内部35aは、後方(Y2方向)へ向かうにしたがって徐々に上向きになる傾斜面であり、保持案内部35bは、Y1−Y2方向へ延びる水平な平面である。可動案内部50に設けられた持ち上げ突部55の姿勢は、案内制御カム部35によって制御される。
また、右側方スライダ30aのY1側の端面で、且つ持ち上げ案内部35aよりも下側には、上下に延びるシャッタ押圧部36が形成されている。このシャッタ押圧部36で、シャッタ部材60の突部64をY1方向へ押圧することが可能となっている。
図1に示す待機状態で、右側方スライダ30aがY2方向へ移動していると、ローラ制御カム部34の上側案内部34a内にローラ軸42が位置している。上側案内部34aの上下の開口幅はローラ軸42の端部42aよりも広くなっており、図2と図3に示すように、引っ張りコイルばね46によって反時計方向へ回動させられているローラブラケット44の付勢力で、ローラ軸42が固定案内部43に向けて押圧されている。
図1では、右側方スライダ30aのY1側の端部に設けられた持ち上げ案内部35aが、持ち上げ突部55からY2方向へ離れており、図3に示すように、可動案内部50は時計方向へ回動した当接姿勢である。さらに、シャッタ押圧部36が、シャッタ部材60の突部64からY2方向へ離れているため、図3に示すように、シャッタ部材60は反時計方向へ回動し、開閉板部61が挿入口5から離れ、挿入口5が開放されている。
直径が12cmで真円形の正常なディスクDが搬入され、ディスクDが正常な位置に装填されたことが装填検知機構により検知されると、モータMが始動し、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bが同期してY1方向へ移動する。前述のように、右側方スライダ30aがY1方向へ移動すると、クランプ動作が行われ、且つ機構ユニット10の拘束が解除される。
また、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bがY1方向へ移動すると、ローラ軸42の端部42aが、ローラ制御カム部34の傾斜案内穴34cによって下向きに案内されて、下側拘束部34bで保持される。よって、図5に示すように、ローラブラケット44が時計方向へ回動させられ、搬送ローラ41が固定案内部43から離れる位置へ移動するとともに、対向案内部44hも可動案内部50から下側へ離れる。さらに、可動案内部50に設けられた持ち上げ突部55が、右側方スライダ30aの持ち上げ案内部35aにより持ち上げられて、保持案内部35bを摺動する。このとき、図5に示すように、可動案内部50がほぼ水平な案内姿勢となる。
また、右側方スライダ30aがY1方向へ移動すると、シャッタ押圧部36によって突部64が押され、図5に示すようにシャッタ部材60が時計方向へ回動させられて、開閉板部61によって挿入口5が内側から閉鎖される。
次に、前記ディスク装置にディスクDを挿入する動作を説明する。
(ディスク挿入待機状態)
図1ないし図3に示すように、ディスクDが挿入される前のディスク挿入待機状態では、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bの双方がY2方向へ移動している。よって、右側方スライダ30aに設けられたクランプ制御カム部32のカム長穴32aによって持ち上げ軸18が持ち上げられ、クランプベース12が時計方向へ回動させられて、クランパ27がターンテーブル23から上方へ離れている。
また、ローラ軸42の端部42aが、右側方スライダ30aに形成されたローラ制御カム部34の上側案内部34aに案内され、引っ張りコイルばね46からローラブラケット44に作用する弾性力により、搬送ローラ41が固定案内部43に向けて付勢されている。また、右側方スライダ30aのY1側の端部の持ち上げ案内部35aが持ち上げ突部55から離れており、可動案内部50が時計方向へ回動して傾斜して当接姿勢となっている。また、シャッタ部材60の開閉板部61が挿入口5から離れ、挿入口5が開放されている。
図3に示す待機状態では、可動案内部50の下面の案内面51と、その下に位置する対向案内部44hの案内面44iとの上下の間隔が、挿入口5側で広く、搬送ローラ41に向かうにしたがって徐々に狭くなっている。
図3に示す待機状態では、搬送モータに通電されていない。また、スイッチSには検知電圧が与えられているが、スイッチSの接点が非接触で開かれているため、スイッチSに電流が流れず、消費電力が低くなっている。
(正常なディスクの挿入動作)
図3に示す待機状態で、挿入口5からディスクDがY2方向へ挿入されると、ディスクDのY2側に向く周縁部が、可動案内部50の案内面51と、その下に対向する対向案内部44hの案内面44iとの間で導かれて搬送ローラ41に至る。図3の待機状態では、可動案内部50の案内面51と対向案内部44hの案内面44iとの間隔がY2側に向かうにしたがって徐々に狭くなっており、しかも案内面51のY2側の端部51aと案内面44iのY2側の端部44jが搬送ローラ41の側方に対向している。また、端部51aと端部44jとの上下の間隔は、ディスクDの厚み寸法よりも狭い。
そのため、ディスクDのY2側に向く周縁部が搬送ローラ41に当たる位置、すなわち搬送機構40から搬送力を与えることが可能な位置まで挿入されると、ディスクDが端部51aと端部44jとの間に入り込み、ディスクDの上面によって可動案内部51が持ち上げられ、可動案内部51の凹部54の底部によってアクチュエータSaが持ち上げられて、スイッチSの出力がOFFからONに切り替えられる。
すなわち、挿入口5からディスクDが挿入され、ディスクDのY2側に向く外周縁が、搬送ローラ41に当たった時点で、可動案内部50が反時計方向へわずかに回動してスイッチSの出力がONに切り替えられる。あるいは、ディスクDのY2側の端部が、端部44jから上方へ離れるように持ち上げられて、可動案内部50が上方へやや長く持ち上げられたときに、スイッチSがONに切り替えられてもよい。
図示しない制御部では、スイッチSがONに切り替えられたときに搬送モータを始動する。搬送モータの動力は減速歯車で減速されて、ローラ軸42に伝達され、ローラ軸42および搬送ローラ41が、図4において搬入方向である時計方向へ回転し始める。ディスクDのY2側の周縁部は、搬送ローラ41の回転力によって、搬送ローラ41と固定案内部43との間に導かれる。ローラ軸42に引っ張りコイルばね46の弾性力が作用しているため、ディスクDは搬送ローラ41と固定案内部43の案内面43aとで挟持され、搬送ローラ41の回転力によって筐体1の内方へ向けて搬入される。
ディスクDは、固定案内部43の案内面43aと搬送ローラ41との間に挟まれて、Y1−Y2方向へ水平に延びる案内面43aに沿って搬入されるため、ディスクDは水平な姿勢を保ったままで筐体1の内方へ搬入される。搬送ローラ41よりも挿入口5側では、ばね部材の付勢力によって時計方向へ回動しようとする可動案内部50によってディスクDが下向きに押圧されているが、ディスクDの上面が、固定案内部43の水平に延びる案内面43aに当たっているため、可動案内部50の押圧力が作用してもディスクDは傾くことなく、水平な姿勢を保って筐体1の内方へ搬送されやすくなる。
搬送されたディスクDの中心穴がターンテーブル23の上に至ると、筐体1の内部に設けられている装填検知機構がこれを検知する。制御部では、装填検知機構が検知状態となったときに、図1に示すモータMを始動する。
モータMが始動すると、左側方スライダ30bと右側方スライダ30aが同期して、図1に示す状態からY1方向へ移動する。この過程で、右側方スライダ30aに設けられたクランプ制御カム部32のカム長穴32aによって持ち上げ軸18が下方へ案内されて逃げ穴部32bに移動させられる。よって、クランプベース12が、トーションコイルばね17の付勢力によって、連結軸13,13を支点として反時計方向へ回動させられ、クランパ27がターンテーブル23に向けて下降する。
上記のクランプベース12の反時計方向への回動動作とほぼ同時に、ローラ軸42の端部42aが、右側方スライダ30aに設けられたローラ制御カム部34の上側案内部34aから傾斜案内穴34cへ案内され、さらに下側拘束部34bで拘束される。これにより、ローラ軸42および搬送ローラ41が下降するが、搬送ローラ41の上に乗っているディスクDの上面は可動案内部50によって下側へ押圧されている。よって、ディスクDは、可動案内部50と搬送ローラ41とで挟まれた状態で下降し、同時にクランパ27によってディスクDが下向きに押さえられることになり、ディスクDが水平状態を保って安定した姿勢のまま下降する。そのため、ディスクDの中心穴がターンテーブル23に確実に嵌合できるようになる。
図5に示すように、ローラ制御カム部34の下側拘束部34bによって、搬送ローラ41がディスクDから下側へ離れた位置に拘束された後に、さらに右側方スライダ30aがY1方向へ移動すると、右側方スライダ30aのY1側の端部に設けられた案内制御カム部35の持ち上げ案内部35aで持ち上げ突部55が持ち上げられさらに保持案内部35bで保持される。その結果、可動案内部50は反時計方向へ回動させられ、図5に示すように、可動案内部50の下面の案内面51が水平姿勢となり、クランプされているディスクDから上方へ離れる。
さらに、右側方スライダ30aの移動力でシャッタ部材60が回動させられ、開閉板部61で挿入口5が閉鎖される。
そして、図5に示す状態で、ターンテーブル23にクランプされたディスクDを回転駆動することが可能になる。
(正常なディスク以外の異物の挿入)
図3の待機状態において、直径が8cmの円形の小径ディスクや外周が楕円形などであって真円形ではない異形ディスクまたは四角形のカードなどの異物が挿入され、この異物のY2側の先端で可動案内部50が持ち上げられてスイッチSがONに切り替えられると、搬送モータが始動し、ローラ軸42が駆動されて搬送ローラ41が搬入方向へ始動させられる。よって、前記異物は搬送ローラ41と固定案内部43とで挟まれて筐体1の内方へ搬入される。
制御部では、搬送モータが始動したときにタイマーの計測を開始する。異物の場合には、搬送モータが始動した後に所定時間が経過するまでに前記装填検知機構が検知状態とならないときに異物が挿入されたと判断する。あるいは、筐体1内に光学検知機構などの他の検知手段が設けられており、この検知手段は、搬送モータが始動した後に通電される。そして、この検知手段により、正常なディスクであるか否かを判断できるようにしている。
搬入されているのが正常なディスクでないと判断されると、直ちに搬送モータが逆転し、ローラ軸42が反時計方向の搬出方向へ回転する。この回転により異物は挿入口5に向けて搬出される。このとき、可動案内部50は異形ディスクやカードの面に当接し外周縁に当接するものではないため、どのような形状の異物であっても可動案内部50に引っ掛かることなく、確実に挿入口5から排出させることができる。