JP2009280721A - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】架橋性シリル基含有有機重合体を含有する硬化性組成物において、硬化後長期にわたる大気中に浮遊する自動車排ガス中の煤煙や砂埃等の塵埃に対する汚染防止性能を有する硬化性組成物を提供する。
【解決手段】架橋性シリル基含有有機重合体に、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する不飽和(メタ)アクリル化合物を配合することにより、前記課題を解決する。さらに架橋性シリル基含有有機重合体が、水酸基含有ポリオキシアルキレン系重合体と架橋性シリル基含有イソシアネートを反応させてえられる重合体、または水酸基含有(メタ)アクリル系重合体と架橋性シリル基含有イソシアネートと有機モノイソシアネトーを反応させて得られる重合体であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本願発明は、大気中などの水分により硬化してゴム状弾性体となる架橋性シリル基含有有機重合体を含有する硬化性組成物に関する。
従来から、建築物用、土木用、自動車用などの防水シーリング材、接着剤、塗料などに使用される湿気硬化型の樹脂成分として、一般に変成シリコーンとよばれている主鎖がポリエーテルで分子内に架橋性シリル基を含有する樹脂やポリウレタン樹脂などが作業性や接着性などに優れている点から広く使用されている。
しかしながら、架橋性シリル基含有有機重合体をシーリング材や塗膜防水材などに使用するために低〜中引張応力域に設計したとき、これを含有する硬化性組成物は、硬化後の表面にタック(粘着)が残るため、大気中に浮遊する自動車排ガス中の煤煙や砂埃等の塵埃が付着しやすくなり、表面が黒っぽく汚染してしまうという欠点を有している。特に硬化後6ヶ月以上の長期間屋外に暴露されたとき、硬化物表面に対する塵埃の付着が続き表面汚染が進行することにより、美観上著しい不具合が生じてしまうという問題がある。
この硬化物表面の汚染性を解決する技術として、架橋性シリル基含有有機重合体に光硬化性化合物を添加する事により耐候性を高める効果と表面汚染防止効果を付与する技術が開示されている(特許文献1)。しかし、これは汚染防止効果を珪砂の付着で評価しており、実際の大気中に浮遊する自動車排ガス中の煤煙や砂埃等の塵埃の付着を防止するには不十分であった。
特開2001−262125号公報
本発明は、上述の従来の問題にかんがみて架橋性シリル基含有有機重合体を含有する硬化性組成物において、硬化後長期にわたる大気中に浮遊する自動車排ガス中の煤煙や砂埃等の塵埃に対する汚染防止性能を有する硬化性組成物を提供する事を目的とする。
本発明は、上述の課題を解決すべく研究した結果、架橋性シリル基含有有機重合体に、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する不飽和(メタ)アクリル化合物を配合することにより、得られる硬化性組成物が硬化後3ヶ月以上の長期にわたって汚染防止性能を発揮することを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
(1)架橋性シリル基含有有機重合体(A)と、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレート化合物(B)とを含有することを特徴とする硬化性組成物である。
(2)前記(1)において架橋性シリル基含有有機重合体(A)が、水酸基含有ポリオキシアルキレン系重合体と架橋性シリル基含有イソシアネート化合物とを反応させて得られる架橋性シリル基含有樹脂を硬化成分として含有すること、を特徴とする硬化性組成物である。
(3)前記(1)において架橋性シリル基含有有機重合体(A)が、水酸基含有アクリル系重合体及び/又は水酸基含有メタクリル系重合体と架橋性シリル基含有イソシアネート化合物と有機モノイソシアネートとを反応させて得られる架橋性シリル基含有樹脂を含有すること、を特徴とする硬化性組成物である。
(4)前記(1)〜(3)において(メタ)アクリレート化合物(B)が、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を1個有し、(メタ)アクリロイル基を2〜5個有する化合物である、請求項1〜3に記載の硬化性組成物であること、
が好ましい。そして、
(5)前記(1)〜(3)において(メタ)アクリレート化合物(B)が、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物と炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有モノイソシアネート化合物との反応生成物であること、
が好ましい。また、
(6)前記(1)〜(3)において(メタ)アクリレート化合物(B)が、下記一般式(1)に表す化合物であること、
Figure 2009280721
[式(1)において、R1は炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、Xは結合(基)を表し、Yは多価(m+n価)の脂肪族炭化水素系基を表す。m、nはそれぞれ独立に1以上の整数である。R1が複数のときはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、nが2以上のときはR2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。]
が好ましく、さらに本発明は、
(7)前記(1)〜(6)において、添加剤(C)を配合することを特徴とする硬化性組成物である。
そして、
(8)前記添加剤(C)が、ヒンダードアミン系光安定剤および/またはヒンダードフェノール系酸化防止剤であること、
が好ましい。
なお、本発明において、前記「(メタ)アクリル」とは、「アクリルまたはメタクリル」を意味する。
上記の構成をとることにより、本発明の硬化性組成物は、硬化後長期間にわたって大気中に浮遊する自動車排ガス中の煤煙や砂埃等の塵埃に対する汚染防止性能を発揮する効果を有するものである。
本発明の硬化性組成物で使用する各成分について、以下に詳しく説明する。
まず、架橋性シリル基含有有機重合体(A)成分について説明する。架橋性シリル基含有有機重合体(A)は、分子内に、シロキサン結合を形成することによって架橋してゴム状硬化物を形成する、シリル基を1個以上含有する有機重合体である。このような架橋性シリル基含有有機重合体としては、例えば、特開昭52−73998号公報、特開昭55−9669号公報、特開昭59−122541号公報、特開昭60−6747号公報、特開昭61−233043号公報、特開昭63−112642号公報、特開平3−79627号公報、特開平4−283259号公報、特開平5−70531号公報、特開平5−287186号公報、特開平11−80571号公報、特開平11−116763号公報、特開平11−130931号公報中に開示されているものを挙げることができる。本発明における架橋性シリル基含有有機重合体としては具体的には、分子内に1個以上の架橋性シリル基を含有する、主鎖がそれぞれオルガノシロキサンを含有していてもよい、ポリオキシアルキレン重合体、ビニル変性ポリオキシアルキレン重合体、ビニル系重合体、ポリエステル重合体、アクリル酸エステル重合体、メタアクリル酸エステル重合体、これらの共重合体や混合物等を挙げることができる。架橋性シリル基は、シーリング材の硬化性や硬化後の物性等の点から、分子内に1〜5個含まれるのが好ましい。更に、架橋性シリル基は、架橋しやすく製造しやすい次の一般式で示されるものが好ましい。
Figure 2009280721
(式中、Rは炭化水素基であり、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。Xで示される反応性基はハロゲン原子、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アルケニルオキシ基及びアミノオキシ基より選ばれる基であり、Xが複数の場合には、Xは同じ基であっても異なった基であってもよい。このうちXはアルコキシ基が好ましく、メトキシ基が最も好ましい。aは0、1又は2の整数であり、1が最も好ましい。)
架橋性シリル基含有有機重合体の主鎖は、硬化後の引張接着性、モジュラス等の物性の点から、オルガノシロキサンを含有していてもよい、ポリオキシアルキレン重合体及び/又はビニル変性ポリオキシアルキレン重合体が好ましく、オルガノシロキサンを含有していてもよい、ポリオキシプロピレン重合体、アクリル変性ポリオキシプロピレン重合体、及び/又はメタクリル変性ポリオキシプロピレン重合体が更に好ましい。
前記の分子内に1個以上の架橋性シリル基を含有する、オルガノシロキサンを含有していてもよいビニル変性ポリオキシアルキレン重合体は、分子内に1個以上の架橋性シリル基を含有する、オルガノシロキサンを含有していてもよいポリオキシアルキレン重合体の存在下で、ラジカル重合開始剤の添加あるいは紫外線照射などの通常のラジカル重合方法により、1種又は2種以上のビニル系単量体を重合させる等して得ることができる(特開昭59−78223号公報、特公平2−42367号公報等が参考として挙げられるが、これらに限定されるものではない)。ビニル系単量体としては、分子内に1個以上の重合性不飽和結合を有する化合物であって、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、クロルスチレン、2−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ベンジル、グリシジルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ベンジル、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、n−メチロールアクリルアミド、エトキシ化フェノールアクリレート、エトキシ化パラクミルフェノールアクリレート、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、プロポキシ化ノニルフェノールアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、イソボルニルアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化イソシアヌール酸トリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸ダイマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、ジンクジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタアクリレートエステル、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、ジンクジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、また、次の化学式で示される各化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2009280721
ビニル系単量体は、オルガノシロキサンを含有していてもよいポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して、0.1〜1000質量部、更には1〜200質量部の範囲で使用するのが好ましい。なお、分子内に1個以上の架橋性シリル基を含有する、オルガノシロキサンを含有していてもよいビニル変性ポリオキシアルキレン重合体としては、分子内に1個以上の架橋性シリル基を含有する、オルガノシロキサンを含有していてもよいポリオキシアルキレン重合体と、前記ビニル系単量体の1種以上を重合して得られる重合体に架橋性シリル基を導入して得られる、架橋性シリル基含有ビニル系重合体とをブレンドしたものを使用することもできる。
本発明において、架橋性シリル基含有有機重合体の数平均分子量は1000以上、特に6000〜30000で分子量分布の狭いものが、硬化前の粘度が低いので取り扱い易く、硬化後の強度、伸び、モジュラス等の物性が好適である。
また、架橋性シリル基含有有機重合体(A)を製造するための水酸基含有ポリオキシアルキレン系重合体は、アルキレンオキシドを開環付加重合させた重合体や、開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させた重合体などである。開始剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、シュークローズ等の低分子アルコール類、ビスフェノールA等の多価フェノール類、エチレンジアミン等の低分子ポリアミン類、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類、又はこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、又はこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。すなわち、水酸基含有ポリオキシアルキレン系重合体は、分子内に2個以上の水酸基を含有するポリオキシアルキレン重合体であって、具体的には、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−グリコール、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシブチレン)−グリコールを挙げることができ、このうちポリオキシプロピレングリコールが特に好ましい。また、水酸基含有ポリオキシアルキレン系重合体としては、上記に挙げた各種ポリオールと、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の従来公知のポリイソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基とした重合体も挙げられる。これらは単独或いは2種以上を混合して使用できる。本発明において、水酸基含有ポリオキシアルキレン系重合体は、硬化性組成物の低粘度化や硬化物の高い伸びなどの点から、数平均分子量が500〜40,000、更に2,000〜30,000、特に10,000〜30,000のものが好ましく、また、1分子当たり平均の水酸基の数は2〜8、特に2〜4が好ましく、更に、総不飽和度が0.07(meq/g)以下、特に0.04(meq/g)以下の分子量分布の狭いものが好ましい。
本発明における架橋性シリル基含有有機重合体(A)を製造するための架橋性シリル基含有イソシアネート化合物は、分子内に1個以上のイソシアネート基と1個以上の架橋性シリル基を少なくとも含有すればよく、架橋性シリル基は、製造しやすく架橋しやすい次の一般式で示されるものが好ましい。
Figure 2009280721
(式中、Rは炭化水素基であり、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。Xで示される反応性基はハロゲン原子、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アルケニルオキシ基及びアミノオキシ基より選ばれる基であり、Xが複数の場合には、Xは同じ基であっても異なった基であってもよい。このうちXはアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基又はイソプロポキシ基が更に好ましい。aは0、1又は2の整数であり、0又は1が好ましい。)
架橋性シリル基含有イソシアネート化合物としては、具体的には、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルイソプロポキシシラン、イソシアネートトリメトキシシラン、ジイソシアネートジメトキシシランなどが挙げられ、これらは単独で或いは2種以上混合して使用できる。
本発明における架橋性シリル基含有有機重合体(A)を製造するための有機モノイソシアネートは、分子内に1個のイソシアネート基を少なくとも含有すればよいが、架橋性シリル基は含有していない。すなわち、有機モノイソシアネートのイソシアネート基以外の有機基は湿気(水分)硬化性の官能基を含有していない、好ましくは疎水性の有機基である。具体的には、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−テトラデシルモノイソシアネート、n−ヘキサデシルモノイソシアネート、オクタデシルモノイソシアネート、n−クロロエチルモノイソシアネートなどの脂肪族モノイソシアネート、クロロフェニルモノイソシアネート、3,5−ジクロロフェニルモノイソシアネート、p−フルオロフェニルモノイソシアネート、2,4−ジフルオロフェニルモノイソシアネート、o−トリフルオロメチルフェニルモノイソシアネート、p−ニトロフェニルモノイソシアネート、p−イソプロピルフェニルモノイソシアネート、2,6−ジイソプロピルモノイソシアネート、p−トルエンスルホニルモノイソシアネート、p−ベンジルオキシフェニルモノイソシアネートなどの芳香族モノイソシアネート、その他に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。このうち、脂肪族モノイソシアネートが耐水性向上のため好ましい。これらは単独でも或いは2種以上混合しても使用できる。
本発明における架橋性シリル基含有樹脂は、水酸基含有ポリオキシアルキレン系重合体の水酸基に対し架橋性シリル基含有イソシアネート化合物を反応させて得ることができる。
なお、水酸基含有ポリオキシアルキレン系重合体と架橋性シリル基含有イソシアネート化合物とは、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.1以上/1.0、更には0.5〜1.5/1.0、特に0.9〜1.0/1.0の範囲で反応させるのが好ましい。イソシアネート基/水酸基の当量比が0.1/1.0を下まわると、架橋性シリル基含有樹脂に架橋基が少なく水酸基が多く残るため硬化物の物性が発現せず、かつ耐水性が向上しない。この反応の際には、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属化合物、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の有機アミンやその塩等の公知のウレタン化触媒を用いることができ、また、更に公知の有機溶媒を用いることもできる。
架橋性シリル基含有樹脂分子中に、その硬化性や硬化後の物性等の点から、架橋性シリル基は平均1〜5個含まれるのが好ましい。
本発明における水酸基含有アクリル系重合体及び/又は水酸基含有メタクリル系重合体と架橋性シリル基含有イソシアネート化合物と有機モノイソシアネートとを反応させて得られる架橋性シリル基含有樹脂は、水酸基含有アクリル系重合体及び/又は水酸基含有メタクリル系重合体の水酸基に対し、架橋性シリル基含有イソシアネート化合物と有機モノイソシアネートのそれぞれのイソシアネート基を、逐次或いは同時に反応させて得ることができる。水酸基含有アクリル系重合体及び/又は水酸基含有メタクリル系重合体と架橋性シリル基含有イソシアネート化合物と有機モノイソシアネートとは、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.1以上/1.0、更には0.5〜1.5/1.0、特に0.9〜1.0/1.0の範囲で反応させるのが好ましい。イソシアネート基/水酸基の当量比が0.1/1.0を下まわると、架橋性シリル基含有樹脂に架橋基が少なく水酸基が多く残るため、硬化物のゴム弾性が小さく、特に耐水性が悪くなる。逐次に反応させる場合、水酸基含有アクリル系重合体及び/又は水酸基含有メタクリル系重合体に、架橋性シリル基含有イソシアネート化合物と有機モノイソシアネートとはいずれを先に反応させてもよいが、まず架橋性シリル基含有イソシアネート化合物を反応させ、次いで有機モノイソシアネートを反応させるのが好ましい。水酸基含有アクリル系重合体及び/又は水酸基含有メタクリル系重合体の水酸基に対し架橋性シリル基含有イソシアネート化合物のイソシアネート基を、一部水酸基を残す当量比で反応させて樹脂中に目的とするゴム弾性物性を得るのに必要な数だけ架橋性シリル基を導入し、かつ残りの水酸基の一部或いは全部に対し有機モノイソシアネートのイソシアネート基を反応させ、水分硬化性を有しない疎水性の有機基を導入した構造とすることにより、硬化後の耐水性が大幅に向上し、かつモジュラスと伸びを用途に応じて適度に自由調節でき、耐久性に優れたゴム弾性体となる架橋性シリル基含有樹脂を得ることができる。具体的には、水酸基含有アクリル系重合体及び/又は水酸基含有メタクリル系重合体と架橋性シリル基含有イソシアネート化合物とは、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.05〜0.9/1.0、更には0.3〜0.6/1.0の範囲で反応させ、次いで、この反応生成物と有機モノイソシアネートとを、架橋性シリル基含有イソシアネート化合物との合計で、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.1以上/1.0、更には0.5〜1.5/1.0、特に0.9〜1.0/1.0となる範囲で反応させるのが好ましい。この反応の際には、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属化合物、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の有機アミンやその塩等の公知のウレタン化触媒を用いることができ、また、更に公知の有機溶媒を用いることもできる。
本発明における架橋性シリル基含有有機重合体(A)を製造するための水酸基含有アクリル系重合体及び/又は水酸基含有メタクリル系重合体は、水酸基含有アクリル系単量体及び/又は水酸基含有メタクリル系単量体を少なくとも含有するエチレン性不飽和化合物を重合開始剤の存在下又は不存在下に、そして溶剤の存在下又は不存在下において、バッチ式又は連続重合等の公知のラジカル重合の方法により、特には150〜350℃の高温連続重合反応して得られるものが重合体の分子量分布が狭く低粘度になるため好適である。重合体は水酸基含有アクリル系単量体、水酸基含有メタクリル系単量体をそれぞれ単独で重合して得られるものであってもよく、これらの2種以上を共重合して得られるものであってもよく、更に、これらそれぞれの1種又は2種以上とこれら以外のエチレン性不飽和化合物とを共重合して得られるものであってもよい。これらのうち、水酸基含有アクリル系重合体及び/又は水酸基含有メタクリル系重合体の水酸基の含有量を調節することが容易で、硬化樹脂の物性を選択しやすい点から、水酸基含有アクリル系単量体、水酸基含有メタクリル系単量体の1種又は2種以上とこれら以外のエチレン性不飽和化合物の1種又は2種以上とを共重合して得られる重合体が好ましい。この共重合の際、それぞれ1種又は2種以上の水酸基含有アクリル系単量体、水酸基含有メタクリル系単量体を、共重合体1分子当たり平均水酸基官能数が1個〜20個含有するように使用するのが好ましく、更に好ましくは1個〜10個、特に好ましくは2個〜6個含有するように使用するのが好ましい。平均水酸基官能数が20個を超えると、硬化後の物性が硬くなり過ぎゴム状弾性がなくなる。このうち、数平均分子量が500〜50,000、更に1,000〜30,000、特に2,000〜20,000、Tgが0℃以下、特に−20℃以下、25℃における粘度が100,000mPa・s以下、特に50,000mPa・s以下の水酸基含有アクリル系重合体及び/又は水酸基含有メタクリル系重合体が好ましい。数平均分子量50,000、Tg0℃、25℃における粘度100,000mPa・sをそれぞれ超えると、硬化性組成物の作業性が悪くなる。
水酸基含有アクリル系単量体、水酸基含有メタクリル系単量体としては、後述する分子内にイソシアネート基と架橋性シリル基を含有する化合物のイソシアネート基との反応性の良さ、および得られる架橋性シリル基含有樹脂の粘度の低さからアルコール性水酸基含有アクリル系単量体、アルコール性水酸基含有メタクリル系単量体が好ましく、具体的には、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート類、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシアルキルメタクリレート類、ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセリンモノアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート等の多価アルコールのモノ又は水酸基残存ポリアクリレート類、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレートモノステアレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジトリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等の多価アルコールのモノ又は水酸基残存ポリメタクリレート類、シクロヘキセンオキシドとアクリル酸との付加物等のエポキシドとアクリル酸との付加物、シクロヘキセンオキシドとメタクリル酸との付加物等のエポキシドとメタクリル酸との付加物などが挙げられる。
その他のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、クロルスチレン、2−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ベンジル、グリシジルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ベンジル、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、エトキシ化フェノールアクリレート、エトキシ化パラクミルフェノールアクリレート、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、プロポキシ化ノニルフェノールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、イソボルニルアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、アクリル酸ダイマー、ポリエステルポリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンジアクリレート、ジンクジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、ジンクメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどが挙げられる。
これらのうち、エチレン性不飽和化合物としては、耐候性と共に硬化後の特性などの点から、アクリル酸エステル系化合物のモノマー、メタクリル酸エステル系化合物のモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル等のアクリル系化合物及び/又はメタクリル系化合物が好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルが更に好ましい。
次に、本発明において使用する炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有不飽和(メタ)アクリル化合物(B)成分について説明する。この(B)成分は分子内に炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を少なくとも1個と、不飽和の(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個含有する化合物であり、前記架橋性シリル基含有有機重合体(A)に配合することにより、得られる硬化性組成物に対して、施工後、屋外に暴露されたとき、硬化後のゴム弾性物性を低引張応力〜中引張応力(高伸び率〜中伸び率)域に設計したときでも、3カ月以上、さらには6ヶ月以上、よりさらには1年以上の長期間にわたって、塵埃が硬化物表面に付着するのを防止してきれいな表面を保つ、優れた汚染防止性能(耐汚染性)を発揮する効果を付与するものである。この優れた汚染防止性能は、硬化性組成物が硬化する際、含まれる前記(B)成分が硬化物の表面に移行(ブリード)し、分子中の不飽和(メタ)アクリロイル基が、太陽光の紫外線などに暴露されて反応硬化することにより極めて薄い膜を形成し表面の粘着を抑えること、及び炭素数10以上の脂肪族炭化水素基が表面に配向し、表面の粘着を抑えることの二つの効果が相殺し塵埃の付着を防止する事により発揮されるもの、さらに硬化物表面に少し塵埃が付着しても、(B)成分の炭素数10以上の脂肪族炭化水素基からなる親油性の基およびエステル基からなる親水性の基による洗浄効果により、雨水や流水がかかったとき塵埃が洗い流されやすくなり、再び硬化物表面がきれいな状態に戻る効果により発揮されるものと推察される。
前記不飽和(メタ)アクリル化合物(B)成分は、下記一般式(1)に表される化合物が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2009280721
[式(1)において、R1は炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、Xは結合(基)を表し、Yは多価(m+n価)の脂肪族炭化水素系基を表す。m、nはそれぞれ独立に1以上の整数である。R1が複数のときはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、nが2以上のときはR2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。]
前記炭素数10以上の脂肪族炭化水素基としては、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基、n−ベヘニル基等の1価の脂肪族炭化水素基、あるいはこれらの異性体やこれらの基にメチル基やエチル基などの置換基を有している基などが挙げられる。これらのうちさらに汚染防止効果が高い点で、炭素数14以上、よりさらに炭素数16以上の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに言えば、炭素数10以上、さらに炭素数14以上、よりさらには炭素数16以上の1価の直鎖脂肪族炭化水素基が好ましく、特にn−オクタデシル基が好ましい。
なお、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基は、汚染防止効果が高い点で、分子内に1個存在するのが好ましい。すなわち、前記一般式(1)において、mは1が好ましい。また、前記R2が水素原子である不飽和アクリロイル基が好ましく、そしてnは1以上、さらに2〜6、特に2〜4である事が、不飽和アクリロイル基の数が複数となり造膜性が良好で汚染防止付与効果が高い点で好ましい。したがって、不飽和(メタ)アクリル化合物(B)成分としては、分子内に1個以上の炭素数10以上の1価の脂肪族炭化水素基を有し、2〜4個の不飽和アクリロイル基を有する化合物が特に好ましい。
前記結合(基)Xとしては、ウレタン結合、エステル結合、アミド結合などが挙げられ、後述するようにウレタン結合が好ましい。
前記Yは、多価(m+n価)の脂肪族炭化水素系基である。なお、本発明において「脂肪族炭化水素系基」とは、脂肪族炭化水素骨格中にエーテル結合などの酸素原子を有していても良い事を意味する。
脂肪族炭化水素系基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、ネオペンチル基等の2価の脂肪族炭化水素基;グリセリンから水酸基を除いた残基、トリメチロールプロパンから水酸基を除いた残基等の3価の脂肪族炭化水素基;ペンタエリスリトールから水酸基を除いた残基等の4価の脂肪族炭化水素基;ジグリセリンから水酸基を除いた残基;ジトリメチロールプロパンから水酸基を除いた残基等の4価のエーテル結合含有脂肪族炭化水素;ジペンタエリスリトールから水酸基を除いた残基等の6価のエーテル結合含有脂肪族炭化水素基などが挙げられる。これらのうち汚染防止性能が高い点で、3価以上、さらに3〜5価の脂肪族炭化水素系基が好ましく、よりさらには3〜4価の脂肪族炭化水素基が好ましく、特にペンタエリスリトールから水酸基を除いた残基が好ましい。
前記不飽和(メタ)アクリル化合物(B)は、架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部に対して、0.01〜30質量部、さらに0.1〜10質量部配合するのが好ましい。0.01質量部未満では耐汚染性付与効果が小さく、30質量部を超えるとコストが増大し、ゴム弾性物性も低下するため好ましくない。なお、本発明の硬化性組成物は、架橋性シリル基含有有機重合体(A)と、炭素数10以上の1価の脂肪族炭化水素基含有不飽和(メタ)アクリル化合物(B)とからなるものが好ましい。
前記炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有不飽和(メタ)アクリル化合物(B)を合成する方法としては、
(1)イソシアネート基を含有する炭素数10以上の1価の脂肪族炭化水素化合物と、水酸基を有する不飽和(メタ)アクリル化合物をウレタン化反応する方法
(2)水酸基を有する炭素数10以上の脂肪族炭化水素化合物と、カルボキシル基を有する不飽和(メタ)アクリル化合物、あるいはカルボキシル基を有する炭素数10以上の脂肪族炭化水素化合物と、水酸基を有する不飽和(メタ)アクリル化合物をエステル化反応する方法
(3)アミノ基を有する炭素数10以上の脂肪族炭化水素化合物と、カルボキシル基を有する不飽和(メタ)アクリル化合物をアミド化する方法
などが挙げられるが、合成がし易い点で(1)のウレタン化反応して、ウレタン結合により両者を結合する方法が好ましい。この方法を具体的に示すと、架橋性シリル基含有有機重合体(A)の合成において使用するのと同様の反応容器に、イソシアネート基を有する炭素数10以上の脂肪族炭化水素化合物と、水酸基を有する不飽和(メタ)アクリル化合物を仕込み、公知のウレタン化反応触媒や有機溶剤の存在下、あるいは不存在下に、50〜120℃で攪拌しながら反応させる方法が挙げられる。この際、不飽和アクリロイル基が熱でラジカル反応するのを防止するため、公知の重合禁止剤の添加やエアバブリングするなどして反応を行う事が好ましい。
前記反応で使用するイソシアネート基を有する炭素数10以上の脂肪族炭化水素化合物は、前記で挙げた炭素数10以上の脂肪族炭化水素基に少なくとも1個以上のイソシアネート基が重合した化合物であり、具体的には、n−デシルモノイソシアネート、n−ドデシルモノイソシアネート、n−テトラデシルモノイソシアネート、n−ペンタデシルモノイソシアネート、n−ヘキサデシルモノイソシアネート、n−ヘプタデシルモノイソシアネート、n−オクタデシルモノイソシアネート、n−エイコシルモノイソシアネート、n−ベヘニルモノイソシアネート等のモノイソシアネート化合物が挙げられ、またポリイソシアネート類も使用できる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用できるが、これらのうち得られる不飽和(メタ)アクリル化合物(B)の耐汚染性付与効果が高い点で、モノイソシアネート化合物が好ましく、特にn−オクタデシルモノイソシアネートが好ましい。
前記反応で使用する水酸基を有する不飽和(メタ)アクリル化合物(B)としては、有機イソシアネートのイソシアネート基との反応性の良さから、アルコール性水酸基含有不飽和(メタ)アクリル化合物が好ましく、具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシネオペンチル(メタ)アクリレート等の1個の水酸基と1個の不飽和(メタ)アクリロイル基を有する化合物;グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の2個の水酸基と1〜4個の不飽和(メタ)アクリロイル基を有する化合物などがあげられる、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用できるが、これらのうち得られる不飽和(メタ)アクリル化合物(B)の耐汚染性付与効果が高い点で、1個の水酸基と2〜5個の不飽和(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、さらにグリセリンジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートが好ましく、特にペンタエリスリトールトリアクリレートが好ましい。
次に、本発明の硬化組成物において、さらに配合する事が好ましい添加剤(C)について説明する。
添加剤(C)としては、架橋触媒、可塑剤、耐候安定剤、充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性改良剤(脱水剤)、着色剤などが挙げられる。
架橋触媒は、前記の架橋性シリル基含有有機重合体(A)を架橋(硬化)させるために添加するものである。具体的には、有機金属化合物、アミン類等が挙げられるが、このうち架橋速度にすぐれた有機錫化合物が好ましい。この有機錫化合物は具体的には、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート等であるが、このうち高い架橋速度、毒性及び輝発性の比較的低い液体である点から、ジブチル錫ジアセチルアセトナートが最も好ましい。架橋触媒は、架橋速度、硬化物の物性などの点から、架橋性シリル基含有樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部、特に0.5〜5質量部配合するのが好ましい。
可塑剤は、得られる硬化性組成物の粘度を下げて作業性を向上させるとともに、硬化後の引張応力、伸び等のゴム弾性物性を調節するために使用するものである。
可塑剤としては、分子量が1,000未満の低分子量の可塑剤、数平均分子量が1,000以上の高分子量の可塑剤などが挙げられ、低分子量の可塑剤としてはフタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル類;塩素化パラフィンなどが挙げられ、高分子量の可塑剤としてはジカルボン酸類とグリコール類とからのポリエステル系樹脂;ポリオキシエチレングリコールやポリオキシプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコールのアルキルエーテル化誘導体やアルキルエステル化誘導体;前記ポリオキシアルキレングリコールと有機イソシアネートを反応した分子内にイソシアネート基や活性水素を有しない液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂;低粘度の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系(共)重合体樹脂;ポリブタジエンやポリイソプレン等のポリオレフィン樹脂、水添ポリブタジエンや水添ポリイソプレン等のポリアルキレン樹脂などが挙げられる。
これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いる事ができる。これらのうち、粘度が低く、架橋性シリル基含有有機重合体(A)と相溶性が良好で、得られる硬化性組成物の作業性が良好な点および硬化後表面に移行が少なく硬化物表面の汚染が少ない点で、フタル酸エステル類が好ましく、さらにフタル酸ジイソノニルが好ましい。
前記耐候性安定剤は、硬化樹脂の酸化や光劣化、熱劣化を防止して、耐候性だけでなく耐熱性を更に向上させるために使用されるものであり、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
具体的には、酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤を挙げることができ、このうち、ヒンダードアミン系酸化防止剤は分子量が200以上、更には分子量1,000以上の高分子量タイプが好ましい。この高分子量タイプのヒンダードアミン系酸化防止剤と紫外線吸収剤を併用すると、硬化後の表面タックを防止することができ、かつ、表面汚染防止効果を長期間持続させることができる。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系酸化防止剤とを混合して使用すると、特に耐候性を顕著に向上させることができる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、N,N′,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合体、[デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(70%)]−ポリプロピレン(30%)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物が挙げられる。また、旭電化工業(株)製のアデカスタブシリーズの次の化学式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009280721
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリストール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3′,3″,5,5′,5″−ヘキサ−tert−ブチル−a,a′,a″−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,αジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
酸化防止剤、紫外線吸収剤はそれぞれ、架橋性シリル基含有樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部、特に0.5〜5質量部配合するのが好ましい。
充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性向上剤(脱水剤)、着色剤は、それぞれ物性補強や増量、タレ(スランプ)の防止、接着性の向上、貯蔵安定性の向上、着色などのために、本願発明の硬化性組成物に配合して使用する事ができる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、クレー、タルク、スレート粉、マイカ、カオリン、ゼオライト、珪藻土、脂肪酸処理炭酸カルシウム等が挙げられ、粒径1〜100μmのものが好ましく、このうち脂肪酸処理炭酸カルシウムが更に好ましい。
揺変性付与剤としては、コロイダルシリカ、石綿粉等の無機揺変剤、有機ベントナイト、変性ポリエステルポリオール、脂肪酸アマイド等の有機揺変剤が挙げられる。
接着性向上剤としては、カップリング剤が挙げられ、カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などのものを挙げることができ、このうちシラン系カップリング剤が接着性に優れているので好ましい。
シラン系カップリング剤としては、具体的には、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのアルコキシシリル基を含有する分子量500以下、好ましくは400以下の低分子化合物を挙げることができる。
貯蔵安定性改良剤としては、組成物中に存在する水分と反応する、ビニルトリメトキシシランなどの低分子の架橋性シリル基含有化合物、酸化カルシウムなどが挙げられる。
着色剤としては、酸化チタンや酸化鉄などの無機系顔料、銅フタロシアニンなどの有機系顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性改良剤、及び着色剤の合計の配合量は、架橋性シリル基含有樹脂100質量部に対して0〜500質量部、特に50〜300質量部の範囲が好ましい。
本発明の硬化性組成物において、前記各成分はそれぞれ1種類又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の硬化性組成物において、必要に応じて、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、n−ヘキサンなどの脂肪族系溶剤、シクロヘキサンなどの脂環族系溶剤、トルエンやキシレンなどの芳香族系溶剤など従来公知の有機溶剤で架橋性シリル基と反応しないものであればどのようなものでも、単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。その種類と使用量は硬化性組成物の用途に応じて適宜決定すれば良い。
また、本願発明の硬化性組成物は、硬化後のゴム弾性物性を低硬度で高伸びから高硬度で低伸びのものまで広範囲に調節することができ、さらに接着性、耐水性や耐候性等の耐久性にも優れているため、建築用、土木用の塗料、塗膜防水剤、接着剤、シーリング材などの各種の用途に使用できるが、特に建築用あるいは土木用のシーリング材として好適に用いられる。
また、本願発明の硬化性組成物が施工の対象とする材料としては、モルタルやコンクリート等のセメント系材料、大理石等の天然石材料、サイディングやタイル等の窯業系材料、ポリプロピレンや塩化ビニルなどの各種合成樹脂性のシート状や板状の材料、木材や合板等の木質系材料などが、接着性等が良好なため好適に挙げられる。
また、本願発明の硬化性組成物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス製や鉄製の反応装置を用いて、架橋性シリル基含有有機重合体(A)成分と、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有不飽和(メタ)アクリル化合物(B)を別々に反応合成しておく。これらの反応は添加剤(C)成分の存在下において行ってもよいし、不存在下において行ってもよい。次いで攪拌、混合装置に(A)成分、(B)成分を仕込み、さらに必要に応じて添加剤成分(C)を加え混練り後、減圧脱泡して製造する方法が挙げられる。(A)成分や(B)成分は湿気に触れると反応して、増粘や加水分解を起こすため、反応合成や攪拌、混合は、湿気に触れないように密封状態、窒素ガス雰囲気下などの湿気を遮断して状態において行うのが好ましい。攪拌、混合装置としては、ステンレス製や鉄製のプラネタリーミキサー、ニーダー、アジター、ナウタミキサー、ラインミキサーなど各種挙げられる。製造した硬化性組成物もまた湿気に触れると反応して、増粘、硬化するものであるため、貯蔵に際しては、湿気を遮断できる容器に詰め、密封して貯蔵するのが好ましい。前記容器としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス製、鉄製等の金属製ドラム缶、金属製や合成樹脂性のペール缶や袋状容器、ラミネート処理した紙製や合成樹脂性のカートリッジ状容器など各種挙げられる。
以下、本発明について実施例等により更に詳細に説明する。ここにおいて、硬化性組成物の例として樹脂配合組成物とシーリング材組成物を示したが、これに限定されるものではない。
[合成例1]
攪拌機、温度計、窒素シール管及び冷却器の付いた加温反応容器に、水酸基含有アクリル系重合体(数平均分子量4,900、重量平均分子量13,000、水酸基価20.5mgKOH/g、平均水酸基数1.8個、東亞合成化学工業社製UH−2000)を733.7g(OH当量:0.27)仕込み、攪拌しながら3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製KBE−9007、滴定による実測イソシアネート基含有量16.4質量%)33.2g(NCO当量:0.13)(R値(NCO当量/OH当量)=0.5)とジブチル錫ジラウレート0.8gを加えたのち、加温して70〜80℃で1時間攪拌を行い、FTIRによりイソシアネート基のピークの消失を確認して常温まで冷却した。次いでこの中に、オクタデシルモノイソシアネート39.8g(NCO当量:0.135)(R値(NCO当量/OH当量)=0.5)を加え、再度加温して70〜80℃で1時間攪拌を行い、FTIRによりイソシアネート基のピークの消失を確認し、常温まで冷却して反応を終了させた。得られたトリエトキシシリル基含有ポリアクリル−ウレタン系樹脂は、常温で半透明の理論、滴定による実測イソシアネート基含有量0.00質量%、粘度16,200mPa・s/25℃の液体であった。この樹脂をNU−1と称する。
[合成例2]
合成例1と同様の加温反応容器に、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量16,000、総不飽度0.02meq/g、旭硝子(株)製PML−4016)を800g(OH当量:0.1)仕込み、攪拌しながら3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製KBE−9007)17.9g(NCO当量:0.07)(R値(NCO当量/OH当量)=0.7)とジブチルチンジラウレート0.8gを加えたのち、加温して70〜80℃で1時間攪拌を行い、FTIRによりイソシアネート基のピークの消失を確認し、常温まで冷却して反応を終了させた。得られたトリエトキシシリル基含有ポリオキシプロピレン−ウレタン系樹脂は、常温で半透明の理論、実測イソシアネート基含有量0.00質量%、粘度13,800mPa・s/25℃の液体であった。この樹脂をNU−2と称する。
[合成例3]
攪拌機、温度計、空気注入管及び冷却器の付いた加温反応容器に、ペンタエリスリトールトリアクリレート(分子量298、日本化薬(株)製SR−444)を298gと、トルエン149gを仕込み、エアバブリング及び攪拌しながらオクタデシルモノイソシアネート(分子量295、保土ヶ谷化学工業(株)製ミリオネートO)を295gと、反応触媒としてオクチル酸錫(日東化成(株)製ネオスタンU−28)を0.06g加えた後、加温して70〜80℃で反応し、滴定による実測イソシアネート基含有量が0.3質量%以下になった時点で反応を終了し、オクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を合成した。この時の反応時間は2時間であった。
得られたウレタン結合を有するオクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を室温に冷却したところ固化した。
[実施例1]
加熱装置付き混練容器に、トリエトキシシリル基含有アクリル−ウレタン系樹脂NU−1を100g、トリエトキシシリル基含有ポリオキシプロピレン−ウレタン系樹脂NU−2を100g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ペンタエリストールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製イルガノックス1010)を4g、ヒンダードアミン系酸化防止剤(旭電化工業(株)製アデカスタブLA−63P、分子量2,000)を2.5g及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製TINUVIN327)を2.5g、脂肪酸(表面)処理炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製カルファイン200M)を200g、脂肪酸アマイド(花王(株)製脂肪酸アマイドS)を4.5g、ビニルトリメトキシシランを6g仕込み、内容物が均一になるまで攪拌、混合した。その後110℃で1時間滅圧脱水を行い、冷却後、オクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を1g、ジブチル錫ジアセチルアセトナート(日東化成(株)製ネオスタンU−220)を2g及びN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(チッソ(株)製サイラエースS310)を2g仕込み、攪拌、混合してシーリング材組成物を調製した。
[実施例2]
実施例1においてオクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を10g使用した以外は同様にしてシーリング材組成物を調製した。
[比較例1]
実施例1においてオクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を使用しない以外は同様にしてシーリング材組成物を調製した。
[性能試験]
(1)スランプ
JIS A 1439(1997、改正2002)「建築用シーリング材の試験方法」の「4.1スランプ試験」により、23℃におけるスランプ(縦)を測定した。
(2)表面汚染性
厚さ5mmのスレート板の表面に、厚さ5mm×幅20mmの短冊状に切り出したスレート板を四角枠上に配置し、接着剤を用いて接着し、深さ5mm×幅20mm×長さ150mmの目地を作成し、この目地に1液湿気硬化型シーリング材を充填し、余分のシーリング材をヘラでかきとり表面を平らにしたものを試験体とした。
試験体を23℃、50%RHの室内に1日おいた後、屋外の交通量の多い交差点近くに、目地の表面が道路に面する向きに、その長さ方向を垂直にして設置して暴露した。3ヶ月経過後、6ヶ月経過後、12ヶ月経過後及び24ヶ月経過後、試験体表面の塵埃付着による汚染の状態を目視により観察し、シーリング材表面の汚染性を下記の判定基準により評価した。
判定基準
○:表面に、塵埃の付着がほとんど認められずきれいな状態
×:表面に、塵埃が付着し黒く汚れた状態
(3)引張接着性
JIS A 1439(1997、改正2002)「建築用シーリング材の試験方法」の「4.21引張接着性試験」により、養生後の試験体について引張試験をし、50%引張応力M50[N/cm2]、最大引張応力Tmax[N/cm2]、最大荷重時の伸びEmax[%]を求めた。
なお、試験体はモルタルを被着体とし、プライマー(オート化学工業(株)製OP−2531)で処理し、シーリング材を打設、養生して作成した。
Figure 2009280721

Claims (8)

  1. 架橋性シリル基含有有機重合体(A)と、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレート化合物(B)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記架橋性シリル基含有有機重合体(A)が、水酸基含有ポリオキシアルキレン系重合体と架橋性シリル基含有イソシアネート化合物とを反応させて得られる架橋性シリル基含有樹脂を含有すること、を特徴とする硬化性組成物である請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記架橋性シリル基含有有機重合体(A)が、水酸基含有アクリル系重合体及び/又は水酸基含有メタクリル系重合体と架橋性シリル基含有イソシアネート化合物と有機モノイソシアネートとを反応させて得られる架橋性シリル基含有樹脂を含有すること、を特徴とする硬化性組成物である請求項1に記載の硬化性組成物。
  4. 前記(メタ)アクリレート化合物(B)が、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を1個有し、不飽和アクリロイル基を2〜5個有する化合物である、請求項1〜3に記載の硬化性組成物。
  5. 前記(メタ)アクリレート化合物(B)が、下記一般式(1)に表す化合物である、請求項1〜3に記載の硬化性組成物。
    Figure 2009280721
    [式(1)において、R1は炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、Xは結合(基)を表し、Yは多価(m+n価)の脂肪族炭化水素系基を表す。m、nはそれぞれ独立に1以上の整数である。R1が複数のときはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、nが2以上のときはR2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。]
  6. 前記(メタ)アクリレート化合物(B)が、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物と炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有モノイソシアネート化合物との反応生成物である、請求項1〜3に記載の硬化性組成物。
  7. さらに、添加剤(C)を配合することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  8. 前記添加剤(C)が、ヒンダードアミン系光安定剤および/またはヒンダードフェノール系酸化防止剤である、請求項7に記載の硬化性組成物。
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