JP2009276616A - 光学シート、面光源装置、透過型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光制御シート15は、波長430nmの光の透過率T1と波長360nmの光の透過率T2とが、T1/T2≧160を満たすものとした。この光制御シート15は、片面に単位光学形状151が複数配列されたレンズ形状を有し、紫外線吸収剤が添加されたMBS樹脂等の熱可塑性樹脂を用いて押し出し成形等で形成されるものとした。
【選択図】図1
Description
通常、発光源として冷陰極管等の蛍光管を用いる場合、蛍光管が発光する光には紫外線が含まれている場合が多く、紫外線が面光源装置に用いられる各種光学シートを透過して液晶パネルに到達すると、紫外線によって液晶パネルが劣化しやすい。そこで、蛍光管の観察面側に乳白板を設ける場合には、乳白板に紫外線吸収剤を添加する手法が用いられるが、十分紫外線を吸収することができなかったり、一部の光が漏れたりして、液晶パネルに紫外線が到達して液晶パネルの劣化が生じるという問題があった。また、紫外線吸収作用を有する光学シートを、蛍光管と液晶パネルとの間に新たに積層する場合には、部品点数が増加するという問題や、面光源装置の奥行き寸法が増加し、液晶表示装置の大型化を招くという問題があった。
しかし、特許文献1に開示された光学シートでは、波長360〜400nmの領域での光線透過率が30%以上であるため、十分紫外線を吸収できず、液晶パネルの劣化を招く場合があるという問題があった。
請求項1の発明は、光を拡散又は収束する光学シートであって、波長430nmの光の透過率T1と波長360nmの光の透過率T2とが、T1/T2≧160を満たすこと、を特徴とする光学シート(15)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学シートにおいて、熱可塑性樹脂を用いて形成されていること、を特徴とする光学シート(15)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光学シートにおいて、少なくとも片面にレンズ形状又はプリズム形状を有すること、を特徴とする光学シート(15)である。
請求項4の発明は、請求項3に記載の光学シートにおいて、前記レンズ形状又は前記プリズム形状は、同一の断面形状が一方向に延在する単位光学形状(151)が、前記断面形状が延在する方向と直交する方向に複数配列されていること、を特徴とする光学シート(15)である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の光学シート(15)と、光を発光する光源部(13)と、を備えることを特徴とする面光源装置(12,13,14,15,16)である。
請求項6の発明は、請求項5に記載の面光源装置において、前記光源部に、蛍光管(13)が用いられていること、を特徴とする面光源装置(12,13,14,15,16)である。
請求項7の発明は、請求項5又は請求項6に記載の面光源装置(12,13,14,15,16)と、透過型表示部(11)と、を備える透過型表示装置(10)である。
請求項8の発明は、請求項7に記載の透過型表示装置において、前記透過型表示部(11)は、液晶パネルであること、を特徴とする透過型表示装置で(10)ある。
(1)本発明による光学シートは、波長430nmの光の透過率T1と波長360nmの光の透過率T2とが、T1/T2≧160を満たすので、紫外線を十分吸収しながら、青色光の透過率を高く保つことができる。従って、この光学シートを液晶表示装置の面光源装置に用いた場合には、紫外線による液晶パネルの劣化を防止でき、かつ、青色光の光量を十分確保できる。
(3)少なくとも片面にレンズ形状又はプリズム形状を有するので、透過する光の出射方向を任意の方向に制御可能である。
(4)レンズ形状又はプリズム形状は、同一の断面形状が一方向に延在する単位光学形状が、前記断面形状が延在する方向と直交する方向に複数配列されているので、透過する光の出射方向を配列方向において制御可能である。また、押し出し成形可能な形状となるので、作製が容易である。
(6)本発明による面光源装置と、透過型表示部とを備える透過型表示装置であるので、映像の色温度の低下等がなく、映像が黄みを帯びることのない良好な映像を提供できる。また、透過型表示部が液晶パネルである場合に、紫外線による液晶パネルの劣化を防止でき、良好な映像を表示できる。
図1は、本発明による透過型表示装置10の実施形態を示す図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムとされており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、この使い分けには、技術的な意味は無いので、特許請求の範囲の記載は、シートという記載で統一して使用した。従って、シート、板、フィルムの文言は、適宜置き換えることができるものとする。例えば、光制御シートは、光制御板としてもよいし、光制御フィルムとしてもよい。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
発光管13は、面光源装置(バックライト)の光源部を形成する線光源の冷陰極管である。本実施形態の発光管13は、図1中には6本のみ示したが、実際には略20mm間隔で等間隔に18本が並列に並べられている。発光管13の背面には、反射板12が設けられている。
乳白板14は、無指向性の光拡散作用を有するシート状の部材であり、発光管13の観察面側(出射側)に設けられている。本実施形態では、乳白板14は、その厚みが2mmであり、後述する光制御シート15の厚みよりも厚く、剛性も高く、面光源装置に用いられる各種光学シートを保持する機能を有している。
単位光学形状151は、断面形状が非対称形状であり、その同一断面形状が一方向(本実施形態では、水平方向)に延在しており、光制御シート15の観察面側に、断面形状が延在する方向と直交する方向(本実施形態では、垂直方向)に複数配列されている。
本実施形態の単位光学形状151の形状については、頂点Tを基準として上側の上側形状151Uと、下側の下側形状151Dとに分けて説明する。
下側形状151Dは、位置Aから頂点Tまでのシート面に平行な方向の幅が0.09mm、すなわち図2に示した断面において上下方向の幅WD=0.09mmの平面(平面側)であり、シート面に対して46度の角度を持って形成されている。
上側形状151Uは、図2に示した断面において、位置Aからシート面に平行に上方へ0.189mmにある位置Bを置き、この位置Bと頂点Tとを通る半径R=0.195mmの円筒面(曲面側)である。従って、この上側形状151Uの上下方向の幅WU=0.099mmであり、この単位光学形状151が配列されるピッチPは、P=WU+WD=0.189mmとなる。
この光制御シート15は、波長430nmの光の透過率T1=88.29%であり、波長360nmの光の透過率T2=0.45%であり、波長430nmの光の透過率T1は、波長360nmの光の透過率T2の196.2倍、すなわち、T1/T2=196.2である。
図3は、本実施形態の光制御シート及び比較例の光制御シートの分光透過率特性を示す図である。図3の横軸は波長、縦軸は透過率であり、実線で示す曲線が本実施形態の光制御シートの分光透過率特性、破線で示す曲線が比較例の光制御シートの分光透過率特性を示している。なお、図3では、紫外線領域及び可視光領域を含む波長350〜500nmの領域での分光透過率を示している。
なお、図3に示す本実施形態の光制御シート15及び比較例の光制御シートの分光透過率特性は、分光光度計 UV−2460(株式会社島津製作所製)を用いて、各波長毎の透過率を測定したものである。
そのため、図3に示すように、比較例の光制御シートでは、紫外線領域の光(波長350〜400nm)の透過率は、約68.9%〜77.6%であった。また、比較例の光制御シートでは、紫外線領域のピーク波長である波長360nmの光の透過率は、約70.4%であった。
また、一般に、紫外線硬化型樹脂に添加されている紫外線重合開始剤(紫外線吸収剤)の波長に対する吸収特性の変化が緩やかであるため、可視光領域の短波長側(波長400nm〜450nm)の光の一部が吸収され、その波長域の透過率が約77.6%〜82.3%となっていた。
面光源装置に用いられる発光管13は、波長350〜500nmの領域において、波長360nm近傍、波長430nm近傍にピーク波長を有している。波長360nmの光は紫外線領域の光であり、波長430nmの光は、可視光領域の青色光である。
このようなピーク波長は、波長の値に数nmの差はあるにしろ、本実施形態に用いた発光管13に限らず、多くの冷陰極管等の蛍光管が有しているものである。
このようなピーク波長の光は、光の強度が大きいため、透過型表示装置に表示される映像の色温度や液晶パネルの劣化に大きな影響を与える。すなわち、紫外線領域のピーク波長である波長360nmの透過率が大きいと、LCDパネルの劣化を招きやすく、青色光である波長430nmの光の透過率が低いと、映像の色温度が低下し、色再現性が低下する。
従って、ここでは、紫外線領域及び可視光領域の短波長側の光の透過率に加え、各領域のピーク波長であるの波長360nm、波長430nmの透過率についても考察した。
従って、比較例の光制御シートでは、LCDパネルを用いる本実施形態の透過型表示装置10の面光源装置に用いた場合には、発光管13が発する紫外線を完全に吸収することができず、LCDパネル11の紫外線による劣化を招く恐れがある。
これに対して、本実施形態の光制御シート15では、図3に示すように、紫外線領域の波長350〜400nmの光の透過率は約0.35〜77.8%であり、ピーク波長である波長360nmの光に関しては、透過率を0.45%まで抑えることができる。
従って、本実施形態によれば、LCDパネル11を用いる本実施形態の透過型表示装置10の面光源装置に用いた場合には、発光管13が発光する光に含まれる紫外線を十分に吸収することができる。
従って、比較例の光制御シートを透過する青色光の光量が低下し、表示される映像が黄みを帯びてしまい、映像の色温度の低下を招く。特に青色光のピーク波長である波長430nmの光が吸収されて透過率が減少することにより、このような色温度の低下が著しくなることが知られている。
そこで、従来、蛍光管内の青色光を発光する蛍光体の比率を増やす等の対策が採られている。しかし、その場合には、赤色光や緑色光の発光に充てられる蛍光体の割合が減少するため、蛍光体の発光する光全体としての輝度が低下し、結果的に面光源装置の明るさ低下及び透過型表示装置の映像の輝度の低下を招くという問題があった。また、冷陰極管等の蛍光管に用いられる蛍光体の青色光の発光効率は、他の赤色光、緑色光等に比べて低いため、消費電力の増加に繋がるという問題があった。
従って、本実施形態によれば、蛍光管内の青色光を発する蛍光体の比率を増加させなくとも、青色光の光量を十分得られるので、光の利用効率が向上して面光源装置及び透過型表示装置の映像の輝度を向上させることができ、消費電力を抑えることができる。
さらに、発光管13として青色光を発光する蛍光体の比率を増加させた蛍光管と本実施形態の光制御シート15と組み合わせて面光源装置に用いた場合には、青色光の光量が増加するので、青色光の色純度を向上させることができる。
これは、紫外線領域、特に、ピーク波長である波長360nmの光の透過率を抑え、かつ、可視光領域の短波長側、特にピーク波長である波長430nmの光の透過率を向上させることにより、LCDパネルの劣化防止と、光の利用効率向上による面光源装置及び透過型表示装置の輝度向上又は青色の色純度の向上を両立できるからである。
上述した比較例の光制御シートでは、波長430nmの光の透過率T1は、波長360nmの光の透過率T2の約1.17倍、すなわち、T1/T2=82.3/70.4≒1.17であり、T1/T2≧160を満たしていない。
これに対して、本実施形態の光制御シート15では、波長430nmの光の透過率T1は、波長360nmの光の透過率T2の196.2倍、すなわち、T1/T2=88.29/0.45=196.2であり、T1/T2≧160を満たしている。
以上のことから、光制御シート15は、波長430nmの光の透過率をT1とし、波長360nmの光の透過率をT2とするとき、T1/T2≧160を満たすものであることが好ましい。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態では、光制御シート15の観察面側に複数配列される単位光学形状151の断面形状は、垂直(上下)方向において非対称な形状である例を示したが、これに限らず、例えば、断面形状が楕円形の一部や、円形の一部であってもよいし、略二等辺三角形等であってもよい。
例えば、単位光学形状の断面形状が頂角を90°とする二等辺三角形形状である場合、発光管13から発せられた光の一部が、単位光学形状から出射する際に全反射して再び光源側に戻されて再利用される。そのため、発光管13からの紫外線を含む光が、光制御シートを透過せず、複数回光制御シートに入射することとなる。
このような単位光学形状の場合、紫外線硬化型樹脂を用いて単位光学形状を形成すると、複数回入射する光によって、画像が黄色みを帯びて観察されるといった画像の色温度の低下が発生するが、本発明を適用することにより、このような画像の色温度の低下を効果的に低減することができる。
11 LCDパネル
12 反射板
13 発光管
14 乳白板
15 光制御シート
151 単位光学形状
Claims (8)
- 光を拡散又は収束する光学シートであって、
波長430nmの光の透過率T1と波長360nmの光の透過率T2とが、
T1/T2≧160
を満たすこと、
を特徴とする光学シート。 - 請求項1に記載の光学シートにおいて、
熱可塑性樹脂を用いて形成されていること、
を特徴とする光学シート。 - 請求項1又は請求項2に記載の光学シートにおいて、
少なくとも片面にレンズ形状又はプリズム形状を有すること、
を特徴とする光学シート。 - 請求項3に記載の光学シートにおいて、
前記レンズ形状又は前記プリズム形状は、同一の断面形状が一方向に延在する単位光学形状が、前記断面形状が延在する方向と直交する方向に複数配列されていること、
を特徴とする光学シート。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の光学シートと、
光を発光する光源部と、
を備えることを特徴とする面光源装置。 - 請求項5に記載の面光源装置において、
前記光源部に、蛍光管が用いられていること、
を特徴とする面光源装置。 - 請求項5又は請求項6に記載の面光源装置と、
透過型表示部と、
を備える透過型表示装置。 - 請求項7に記載の透過型表示装置において、
前記透過型表示部は、液晶パネルであること、
を特徴とする透過型表示装置。
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