JP2018205414A - 光学構造体、表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
VA方式の液晶パネルは、電圧がオフのときに液晶分子が表示面の法線方向に沿って配向して光が遮断される状態となり、電圧を徐々に増加させて液晶分子を表示面に沿う側に傾斜させていくことにより、光の透過率を徐々に増加させる構成を有している。
IPS方式の液晶パネルは、表示面に沿って配向された液晶分子を電圧の印加に応じて回転させることで、光の透過率を調節する。
一方で、液晶パネルの法線方向に対して傾斜した方向へ進む光の制御は比較的煩雑であり、視野角を広く確保したり、視野角内の輝度、コントラスト比及び色再現度のばらつきを十分に抑制したりするためには、構造が煩雑となって不所望にコストが増加し得る。
このような問題に対し、例えば特許文献1から特許文献4には、拡散等の作用によって視野角を拡大するべく液晶パネルの表示面に設けられる光学部材が開示されている。このような部材であれば、簡易的に視野角の改善を図ることができる。
その原因は、青表示の視認角度に対する発光スペクトル形状変化が(赤表示や緑表示と比較して)強いことにあり、具体的には「緑に対応する波長成分の強度」が「青に対応する波長成分の強度」に対して大きくなるような変化によって、表示色が黄ばむ傾向があることを、本件発明者は知見した。この問題を上述のような光学部材によって解消可能であれば有用である。しかしながら、上述の従来の技術では、視認角度に応じた色変化を効果的に抑制する工夫がなされているとは言い難い。
第1の発明は、表示装置(10)の表示面(15A)の出光側に配置される光学構造体であって、基材層(101)と、前記基材層に積層される第1の層(105)と、前記第1の層の前記基材層側とは反対側の面に沿って一方向に複数配列され、その配列方向とは交差する方向に延在し、前記基材層側とは反対側へ凸となるレンズ部(110)と、前記第1の層及び前記レンズ部による凹凸形状を埋めるように積層される第2の層(103)と、を備え、前記第1の層は、前記基材層側とは反対側の面に沿って、前記レンズ部の配列方向に沿って複数配列され、その配列方向とは交差する方向に延在し、前記基材層側とは反対側へ凸となる第2レンズ部(130)を備え、前記第2レンズ部と前記レンズ部との界面及び前記レンズ部と前記第2の層との界面は、屈折率差を有すること、を特徴とする光学構造体(100)である。
第2の発明は、第1の発明の光学構造体において、該光学構造体の厚み方向及び前記レンズ部の配列方向に平行な断面において、前記第2レンズ部(130)は、前記レンズ部(110)内に位置すること、を特徴とする光学構造体(100)である。
第3の発明は、第1又は第2の発明の光学構造体において、前記レンズ部(110)の屈折率は、前記第1の層(105)及び前記第2の層(103)の屈折率よりも高く、前記第1の層の屈折率は、前記レンズ部の屈折率よりも低く、前記基材層(101)及び前記第2の層の屈折率よりも高いこと、を特徴とする光学構造体(100)である。
第4の発明は、第1から第3の発明までのいずれかの光学構造体において、前記レンズ部(110)は、該光学構造体の厚み方向及び前記レンズ部の配列方向における断面形状が、台形形状であること、を特徴とする光学構造体(100)である。
第5の発明は、第1から第4の発明までのいずれかの光学構造体において、前記第2レンズ部(130)は、該光学構造体の厚み方向及び前記第2レンズ部の配列方向における断面形状が、前記第2の層(103)側に凸となる曲線状であること、を特徴とする光学構造体(100)である。
第6の発明は、第1から第5までの発明のいずれかの光学構造体(100)を前記表示面(15A)の出光側に備える表示装置(10)である。
第7の発明は、第6の発明の表示装置において、前記表示面(15A)を有する液晶パネル(15)と、前記液晶パネルの背面側に配置され、前記液晶パネルに光を照射する面光源装置(20)と、を備えること、を特徴とする表示装置(10)である。
第8の発明は、第7の発明の表示装置において、前記液晶パネル(15)は、液晶分子に対する電圧がオフ又は最小値のときに前記液晶分子が前記表示面の法線方向に沿って配向して前記面光源装置からの光が遮断される状態となり、前記液晶分子に対する電圧を徐々に増加させて前記液晶分子を前記表示面に沿う側に次第に傾斜させることにより、前記面光源装置(20)からの光の透過率を徐々に増加させるように構成された、VA方式の液晶パネルであること、を特徴とする表示装置(10)である。
第9の発明は、第6から第8の発明までのいずれかの表示装置において、前記光学構造体(100)は、前記基材層(101)を出光側、前記第2の層(103)を前記表示面(15A)側として配置されること、を特徴とする表示装置(10)である。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
また、本明細書中において、シート面とは、シート状の部材において、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。また、板面、フィルム面についても同様であるとする。
図1は、実施形態の表示装置10の概略的な断面図である。
図2は、実施形態の表示装置10における光の挙動を説明するための表示装置10の概略的な断面図である。
図3は、実施形態の光学構造体100の拡大断面図である。
図4は、図3に示す実施形態の光学構造体100の拡大断面図を拡大した図である。
なお、上述の図1〜図4を含め、以下に示す各断面図においては、説明の便宜上、ハッチングが省略されている場合がある。また、図1〜図4は、後述する第1方向d1と、表示装置10における液晶パネル15の板面及び光学構造体100のシート状の基材101のシート面に対して共通の法線方向となる第2方向d2とを含む面における断面図を示している。また、図4では、説明の便宜上、反射抑制層104を省略して示している。
なお、本実施形態では、第1方向d1は、表示装置10において、後述するようにエッジライト型となる面光源装置20の光源24が導光板30に光を出射する方向に平行な方向である。また、第2方向d2は、この表示装置10の厚み方向に相当し、その一方が観察者側であり、他方が背面側となる。
まず、表示装置10の全体の構成について説明する。図1等に示すように、本実施形態の表示装置10は、板状の液晶パネル15と、液晶パネル15を背面側(入光側)から面状に照らす面光源装置20と、液晶パネル15の観察者側(出光側)に配置されるシート状の光学構造体100とを備えている。
表示装置10では、液晶パネル15が、画素を形成する領域(サブピクセル)毎に、面光源装置20からの光の透過又は遮断を制御するシャッターとして機能し、液晶パネル15の駆動により後述する表示面15Aに像が表示される。
液晶パネル15は、その厚み方向において、裏面15B側(入光側)から表示面15A側(出光側)へ順に、下偏光板14、液晶層12、上偏光板13を備えている。
下偏光板14及び上偏光板13は、入射した光を直交する二つの偏光成分(例えばP波及びS波)に分解し、一方の方向(透過軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、P波)を透過させ、前記一方の方向に直交する他方の方向(吸収軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、S波)を吸収する機能を有している。
下偏光板14及び上偏光板13の透過軸の方向は、液晶パネル15に採用される液晶の駆動方式等に応じて適宜設定可能である。本実施形態では、後述のように、液晶パネル15がVA方式であり、下偏光板14及び上偏光板13の透過軸の方向は、液晶パネル15の板面の法線方向(第2方向d2)から見て直交している。
一例として、下偏光板14を透過した特定方向の偏光成分は、電圧が印加されていない液晶層12を通過する際には、その偏光方向を90°回転させるが、電圧が印加された液晶層12を通過する際には、その偏光方向を維持する。この場合、液晶層12への電圧印加の有無によって、下偏光板14を透過した特定方向に振動する偏光成分が、下偏光板14の出光側に配置された上偏光板13をさらに透過するか、あるいは、上偏光板13で吸収されて遮断されるかを制御することができる。
このようにして液晶パネル15では、面光源装置20からの光の透過又は遮断を、画素を形成する領域毎に制御し得るようになっている。
なお、液晶パネル15は、その液晶の駆動方式がVA方式に限られるものでなく、TN(Twisted Nematic)方としてもよいし、IPS(In−Plane Switching)方式としてもよい。液晶パネル15の詳細については、種々の公知文献(例えば、「フラットパネルディスプレイ大辞典(内田龍男、内池平樹監修)」2001年工業調査会発行)に記載されており、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
面光源装置20は、液晶パネル15を裏面15B側から照明する装置であり、この面光源装置20の液晶パネル15側の面は、面状に光を発光する発光面21である。
図1等に示すように、本実施形態の面光源装置20は、エッジライト型の面光源装置であり、導光板30と、光源24と、光学シート(プリズムシート)60と、反射シート28とを有している。
なお、本実施形態では、面光源装置20は、エッジライト型である例を挙げて説明するが、これに限らず、直下型や裏面照射型等の他の形式であってもよい。
本実施形態の光源24は、入光面33の長手方向に沿って並べて配置された多数の点状発光体25、具体的には、多数の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)によって構成されている。
なお、光源24は、これに限らず、例えば、線状の冷陰極管等の蛍光灯や、点状の白熱電球等の種々の態様で構成してもよい。
導光板30の一対の主面のうち、観察者側(液晶パネル15側)の主面が出光面31であり、これに対向するもう一方の背面側の主面が裏面32である。出光面31は、液晶パネル15の表示面15A及び面光源装置20の発光面21と同様に、平面視形状(第2方向d2から見下ろして見た形状)が四角形形状に形成されている。
4つの側面のうち、第1方向d1に対向する二つの面のうちの一方の側面が、入光面33であり、入光面33に対向する面が、反対面34である。前述の光源24は、入光面33に対面して設けられている。
本実施形態の表示装置10は、第1方向d1が水平方向すなわち左右方向に沿うように配置されることを想定されたものであり、この場合、光源24からの光は左右方向に導光される。しかし、このような配置は特に限られるものではなく、表示装置10は、他の態様で配置されてもよい。
導光板30内での導光は、導光板30の一対の主面(出光面31及び裏面32)での全反射作用によってなされる。導光板30の板面に平行な接続面39に入射した光は、一対の主面(出光面31及び裏面32)に入射する際の入射角度は変わらない。
なお、導光板30は、裏面32が凹凸面を有する形態に限らず、例えばドットパターンを有する形態としてもよい。また、導光板30は、出光面31に柱状の単位光学形状等が導光方向(第1方向d1)に対して交差する方向(例えば、直交する方向)に複数配列され、出光面31が凹凸面を有し、その配列方向において光の出射方向を制御する形態としてもよい。
反射シート28は、入射した光の少なくとも一部を反射する部材であり、白色の散乱反射シート、金属等の高い反射率を有する材料からなるシート、高い反射率を有する材料からなる薄膜(例えば金属薄膜や誘電体多層膜)を表面層として含んだシート等を用いることができる。
反射シート28は、光を主に正反射(鏡面反射)するものとしてもよいし、光を主に拡散反射するものとしてもよい。また、反射シート28が主に光を拡散反射する場合、その拡散反射は、等方性拡散反射としてもよいし、異方性拡散反射としてもよい。
この光学シート60は、透過光の進行方向を変化させる機能を有しており、図2に示すように、本体部65と、本体部65の入光側面67上に形成された複数の単位プリズム(単位形状要素、単位光学要素、単位レンズ)70とを有している。
単位プリズム70は、柱状であり、その配列方向(第1方向d1)と交差する方向(本実施形態では直交する方向)に稜線が延在している。
また、面光源装置20として所望する光学性能等に応じて、上述の光学シート(プリズムシート)60に限らず、他の光学形状等を有する光学シート等を光学シート60の観察者側(出光側)等に適宜組み合わせて配置してもよい。
そして、液晶パネル15に入射した光は、上述したように、液晶層12において、電圧印加に応じて光の透過又は遮断を画素の形成領域毎に制御され、これにより、液晶パネル15の表示面15Aに像が表示される。
次に、光学構造体100について説明する。
図2及び図3に示すように、本実施形態の光学構造体100は、シート状の基材101と、基材101の背面側に設けられた中間層105と、中間層105の背面側に所定の間隔で配列されたレンズ部110と、中間層105の背面側であって隣接するレンズ部110の間に形成された高屈折率層102と、中間層105及びレンズ部110の背面側に設けられた低屈折率層103と、基材101の観察者側に設けられた反射抑制層104とを備えている。
本実施形態の光学構造体100は、低屈折率層103が表示装置10の背面側(表示面15A側)に向けられるように配置され、図2に示すように、低屈折率層103が表示面15Aに直接的に接している。
この基材101は、その屈折率が、1.46〜1.50程度である。
反射抑制層104は、基材101の出光面101A上に設けられた層であり、光学構造体100へ入射する外光の表面反射を抑制する機能を有している。これにより、外光の表面反射によって表示装置10に表示される像の視認性が損なわれることを防止できる。なお、反射抑制層104は、表示装置10に対する外光の影響が小さい環境で使用される場合等、表示装置10の使用環境に応じて光学構造体100に設けられない形態としてもよい。
第2レンズ部130は、その断面形状が、図3等に示すように、中間層105の法線方向(第2方向d2)に沿って入光側に凸となる曲線状であり、第1方向d1に沿って所定の間隔で配列され、この配列方向に交差する方向(本実施形態では直交する方向)にその稜線方向が延在している。なお、第2レンズ部130の断面形状は、基材101とは反対側に凸となる曲線状であれば、自由曲線によるものや、円弧状、楕円の一部形状、長円の一部形状やこれらに近似される曲線形状等、各種曲線形状としてよい。
図3や図4に示すレンズ部110の断面形状は、基材101側(出光側)の寸法が低屈折率層103側(入光側)の寸法より大きい台形形状である。
また、図3や図4に示すように、レンズ部110の基材101側端部の第1方向d1に平行な方向での寸法は、第2レンズ部130の基材101側端部の第1方向d1に平行な方向での寸法と等しい、もしくは、これより大きくなっている。したがって、前述の第2レンズ部130は、図3に示す光学構造体100の断面において、レンズ部110内の観察者側位置している。
この高屈折率層102の第1方向d1両端部は、レンズ部110と連続していてもよいし、連続していなくともよい。
また、本実施形態では、光学構造体100は、高屈折率層102を備える形態を示したがこれに限らず、高屈折率層102を備えない形態、すなわち、レンズ部110間においては、中間層105が低屈折率層103と接する形態としてもよい。
低屈折率層103は、レンズ部110及び中間層105を覆い、複数のレンズ部110による凹凸形状を充填するように、積層された層である。
凹部121の底部と凸部122の頂部との中点を通る面方向に延びる基準線SLに対し中間層105側に凹んだ部分が凹部121に対応し、基準線SLに対し低屈折率層103側に凸となる部分が凸部122に対応している。
凹部121及び凸部122は、第1方向d1に配列され、第1方向d1と交差する方向(本実施形態では、直交する方向)に線状に延びている。
また、凹部121の平坦部121Aと凸部122の平坦部122Aとの間に延びる凹凸形状120の側面120Sは、低屈折率層103側に凸となる曲面となっている。側面120Sは、これが接続する平坦部121Aの端点から法線方向に沿って延ばした直線を面方向に越えないように形成されている。これにより、側面120Sをなすレンズ部110を形成する際に、レンズ部110を型抜きすることが可能となる。
なお、側面120Sは、低屈折率層103側に凸となる折れ面(多角形状)となっていてもよいし、平面となっていてもよい。
以上のような凹凸形状120は、表示面15Aから出射される像を表示するための光に対して全反射や屈折、透過等の光学的作用を及ぼすことにより、表示面15A上に表示される像の表示品質を向上させるために設けられている。
また、中間層105は、その屈折率が、レンズ部110及び高屈折率層102の屈折率よりも低く、低屈折率層103及び基材101の屈折率よりも高い。中間層105の屈折率は、例えば、1.49〜1.60程度とすることが好ましい。
低屈折率層103は、その屈折率が、レンズ部110及び高屈折率層102や中間層105の屈折率よりも低い。低屈折率層103の屈折率は、例えば、1.40〜1.52程度とすることが好ましい。
本実施形態において、レンズ部110及び低屈折率層103は、その屈折率差が、0.05以上0.25以下の範囲となるように選択されている。また、レンズ部110と中間層105との屈折率差は、0.02以上0.18以下となるように選択され、中間層105と低屈折率層103との屈折率差は、0.02以上0.15以下となるように選択されている。
この中間層105、レンズ部110及び高屈折率層102は、プライマーを用いなくとも、TAC製の基材101に対して十分な密着性を有する同一の紫外線硬化型樹脂、より詳しくは、TAC製の基材101を溶解可能な成分を含有する紫外線硬化型樹脂により形成されている。
このような紫外線硬化型樹脂としては、アミド基含有モノマーや水酸基含有モノマー等を含有するアクリレート系紫外線硬化型樹脂が好適である。
なお、これに限らず、光透過性及び好適な屈折率を有し、かつ、粘着性を有しない樹脂を用いて低屈折率層103を形成し、別途、不図示の粘着剤層を介して光学構造体100を液晶パネル15に貼合する形態としてもよい。
図4において、符号θ1は、凹凸形状120の側面120Sが基材101の法線方向(d2方向)となす最小角度を示し、符号θ2は、凹凸形状120の側面120Sが基材101の法線方向(d2方向)となす最大角度を示している。
最小角度θ1は、側面120Sの凹部121側の端点を通る接線が第2方向d2となす角度である。また、最大角度θ2は、側面120Sの凸部122側の端点を通る接線が第2方向d2となす角度である。
なお、側面120Sが折れ面である場合、最小角度θ1は、側面120Sにおける凹部121側の端点を含む要素面を通る直線が第2方向d2となす角度となり、最大角度θ2は、側面120Sにおける凸部122側の端点を含む要素面を通る直線がレンズ部110及び低屈折率層103の界面の法線方向となす角度となる。
また、側面120Sが平面である場合、最小角度θ1と最大角度θ2とは、等しい。
符号Pは、凹凸形状120における1つの凹部121及び1つの凸部122からなる凹凸の1周期の間隔であるピッチを示している。これは、レンズ部110及び第2レンズ部130の配列ピッチに等しい。
また符号Hは、凹部121から凸部122までの法線方向に沿った凹凸形状120の高さを示している。
また、本件発明者は、平均斜面角度θ0が9度以上18度以下となることが、色変化を抑制する観点から好ましいことも知見した。平均斜面角度θ0が9度未満や、18度より大きくなると、高角度方向(表示面15Aの法線方向に対して大きな角度をなす方向)から観察した場合の色変化が大きくなるため、好ましくない。
凹凸形状120は、上記角度範囲等の条件を満たすことが、表示装置10の正面視での表示品質を良好に保ちつつ、視野角内における色変化を極めて効果的に抑制する観点から好ましい。
また、VA方式の液晶パネル15から、正面方向に対して大きな角度をなす方向へ出射してくる光は、前述のように発光スペクトルの形状が変化しているので、色再現性が低下している。
そのため、VA方式の液晶パネル15は、視野角による輝度変化と色変化が大きく、斜め方向、すなわち、正面方向(表示面15Aの法線方向、第2方向d2)に対して大きな角度をなす方向から観察すると、特にスキンカラー(肌色)が白っぽく見えたり、青色や白色が黄色味を帯びて観察されたりする。また、上述のような理由から、VA方式の液晶パネル15では、正面方向(表示面15Aの法線方向)に対してなす角度が大きくなるにつれて色の階調表現も低下する。
本実施形態の光学構造体100及び表示装置10は、そのような正面方向に対して大きな角度方向へ出射する色再現性の高い光の光量を増やし、色変化の抑制や階調表現の向上を図っている。
図5に示すように、光学構造体100は、液晶パネル15から正面方向(表示面15Aの法線方向)近傍へ出射する光L2を、側面120S(レンズ部110と低屈折率層103との界面)で屈折させ、さらに、第2レンズ部130とレンズ部110との界面で屈折させることにより、正面方向に対して大きな角度をなす方向へ向ける。しかも、第2レンズ部130が背面側に凸となる曲面形状であるので、このような光L2は、その出射方向が拡散される。
また、液晶パネル15から正面方向に対してより大きな角度をなす方向へ出射した光の一部(光L4)は、平坦部122Aからレンズ部110に入射し、側面120Sで全反射し、第2レンズ部130とレンズ部110との界面で屈折して拡散され、正面方向やその近傍へ出射される。このような光L4は、光量が小さく、さらに拡散されるため、正面方向で観察される映像の色再現性を低下させることはない。
また、本実施形態の光学構造体100は、中間層105を備えることにより、低屈折率層103と中間層105との屈折率差、中間層105と基材101との屈折率差が小さくなり、各層間の界面での反射を抑制することができ、輝度の向上を図ることができる。
次に、実施形態の光学構造体100の製造方法の一例を説明する。
図6は、実施形態の光学構造体100の製造方法の一例を説明する図である。
まず、図6(a)に示すように、表面に凹凸形状120を賦形する凹凸形状701が形成された成形型700を用意し、図6(b)に示すように、成形型700の凹凸形状701が形成された表面にレンズ部110及び高屈折率層102を形成する紫外線硬化型樹脂R1を塗布し、紫外線硬化型樹脂R1上に、基材101を載置する。この際、基材101の表面には、紫外線硬化型樹脂R1との密着性を向上させるためのプライマー等は塗布しない。この紫外線硬化型樹脂R1は、前述のように、TAC製の基材101を溶解可能な成分を含有する。
基材101は、紫外線硬化型樹脂R1よりも屈折率が低いため、基材101から溶解したTACが紫外線硬化型樹脂R1に浸透した樹脂Rの屈折率、すなわち、中間層105の屈折率は、レンズ部110及び高屈折率層102よりも小さく、基材101より大きくなる。
次に、図6(e),(f)に示すように、成形型から基材101及び中間層105、レンズ部110の積層体を離型し、低屈折率層103を形成する樹脂を塗布し、レンズ部110と中間層105による凹凸形状120を埋めて平坦化する。低屈折率層103が粘着剤である場合には、上述の平坦化により光学構造体100が形成され、この後、液晶パネル15に貼合してもよいし、剥離シート等を積層して輸送や保管可能としてもよい。
また、低屈折率層103を形成する樹脂が粘着剤ではない場合には、塗布した低屈折率層103を形成する樹脂を硬化させ、光学構造体100が形成される。
また、図6では、成形型700は、平板状である例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、周側面に賦型用の凹凸形状が形成されたシリンダー状としてもよい。
ここで、本実施形態の実施例の光学構造体100と、比較例の光学構造体500とを作成し、その断面形状を確認した。
次に、この実施例の光学構造体100を備える実施例の表示装置10、比較例の光学構造体500を備える比較例1の表示装置、光学構造体を備えない比較例2の表示装置を作成し、色変化について調べた。また、比較例の光学構造体500と実施例の光学構造体100については、各光学構造体に入射した光の様子をシミュレーションにより確認した。
実施例の光学構造体100は、図7(a)に示すように、中間層105が形成され、レンズ部110に対応する位置に第2レンズ部130が形成されている。
図9は、比較例の光学構造体500における光線追跡図である。
図8,図9は、本実施形態の実施例の光学構造体100及び比較例の光学構造体500の断面において、入射角度52度で入射した場合の光の様子を示している。
図10は、実施例の表示装置10及び比較例1,2の表示装置での色変化を示すグラフである。
基材101:TAC製、厚さ60μm、屈折率1.49
中間層105:ジメチルアクリルアミド含有のアクリレート系紫外線硬化型樹脂を基材101に塗布することにより形成された樹脂層、屈折率1.52
レンズ部110:ジメチルアクリルアミド含有のアクリレート系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.62、斜面角度範囲α=19.5、平均斜面角度θ0=11.2、ピッチP=33.0μm、高さH=16.5μm
高屈折率層102:ジメチルアクリルアミド含有のアクリレート系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.62
低屈折率層103:アクリル系粘着剤、屈折率1.48
紫外線硬化型樹脂層502:アクリレート系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.62
したがって、実施例の表示装置10では、視野角を拡大し、視野角内での輝度を十分に保つことができ、また、色再現性及び階調表現を向上させることができる。
なお、横軸に示される角度が0度である場合は、法線方向(表示装置の正面方向)に沿って視認されたことを意味し、例えば、30度は、法線方向に対して30度傾斜した方向に沿って視認されたことを意味する。
また、縦軸に示す色変化Δu’v’は、色の差を示し、均等色空間におけるu’とv’とで規定される色から計算される。ある視野角中の角度θにおけるΔu’v’の値は、次の式(1)で表わされる。
また、図10に示す色変化の評価においては、光学構造体を設ける表示装置の本体として、ソニー社製のマルチドメイン型VA型液晶表示装置を用いた。なお、比較例2の表示装置に関しては、光学構造体を載置せず、この表示装置の本体のみを用いた。
まず、この表示装置の本体において光学構造体無し(すなわち、比較例2の表示装置)で、パターンジェネレータによってブルーの画像を表示した際の色変化を測定した。次に、この表示装置の本体に実施例、比較例の光学構造体をそれぞれ設けて、上記と同様の画像を表示した際の色変化を測定した。これらの色変化の測定には、トプコン社製の「分光放射計 SR−2」を用いた。
一方で、このうち、実施例の表示装置10は、特に、視野角内の40〜60度の範囲で、比較例1の表示装置に比べて、色変化を抑制していることがわかる。これは、前述の図5及び図8等に示すように、第2レンズ部130の界面における光の屈折による拡散効果によるものである。
従って、以上のことから、本実施形態によれば、表示装置の正面視での表示品質を良好に保ちながら、視野角を拡大し、視野角内の色再現性や色の階調表現の向上を図ることができる光学構造体100及びそれを備えた表示装置10を提供することができ、斜め方向から観察した場合の色再現性や階調表現の低下を効果的に抑制することができる。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)実施形態において、光学構造体100は、凹凸形状120が基材101よりも出光側に位置する形態としてもよい。
図11は、光学構造体100の変形形態の一例を示す図である。図11では、理解を容易にするために、光学構造体100の変形形態と液晶パネル15とを示している。
図11に示すように、光学構造体100は、基材101を背面側(液晶パネル15側)として、液晶パネル15の観察者側に配置される形態としてもよい。このとき、基材101と液晶パネル15との間に粘着剤層等による不図示の接合層を形成し、この接合層により貼合される形態としてもよい。
このような形態としても、表示装置10を斜め方向から観察する観察者に、十分な色再現性や階調表現を有する良好な映像を表示できる。
図12は、光学構造体100の変形形態の一例を示す図である。図12では、理解を容易にするために、光学構造体100の変形形態と液晶パネル15とを示している。
この変形形態の光学構造体100では、図12に示すように、基材101の背面側(反射抑制層104側とは反対側)に、中間層107が形成され、第2レンズ部150に対応してレンズ部160が形成され、隣り合うレンズ部160間に低屈折率層109が形成され、レンズ部160等による凹凸形状を高屈折率層108が埋めるように積層されている。
各部の屈折率は、高い方から、高屈折率層108、中間層107、基材101、レンズ部160及び低屈折率層109の順となっている。レンズ部160と低屈折率層109とは、同じ材料により形成されており、屈折率が等しい。中間層107の屈折率は、基材101(TAC製)より低く、レンズ部160及び低屈折率層109よりも高い。また、高屈折率層108、レンズ部160及び低屈折率層109の屈折率は、それぞれ前述の実施形態のレンズ部110及び高屈折率層102、低屈折率層103の屈折率に相当する形態としてよい。
このような形態としても、表示装置10を斜め方向から観察する観察者に、十分な色再現性や階調表現を有する良好な映像を表示できる。
例えば、基材101の片面に、レンズ部110より低く低屈折率層103より高い屈折率を有し、かつ、光透過性を有する樹脂により、中間層105(層本体105A及び第2レンズ部130)を成形型等により成形し、その上から、光透過性を有し、中間層105よりも高い屈折率を有する樹脂により、レンズ部110を形成し、レンズ部110の凹凸形状を充填して平坦化するように低屈折率層103を形成する製法を採用してもよい。
このような製造方法を採用した場合には、レンズ部110形成時のレンズ部110と第2レンズ部130との位置合わせ等が必要になるため、前述の実施形態で示した製造方法の方がより容易に光学構造体100を製造できる。しかし、この製造方法により製造した場合にも、実施形態の光学構造体100及び表示装置10と同等の効果を奏することができる。
また、実施形態において、面光源装置20は、エッジライト型に限らず、直下型の面光源装置としてもよい。
図13は、光学構造体100の変形形態の一例を示す図である。図13では、中間層105の背面側の面が略平面状である例を示している。
図14は、光学構造体100の変形形態の一例の断面写真である。図14では、中間層105の背面側の面(中間層105とレンズ部110及び高屈折率層102との界面)が緩やかな凹凸形状(うねり)を有する例を示している。また、図14では、低屈折率層103を形成する前の状態での光学構造体100の変形形態の一例の断面写真を示している。
また、中間層105の背面側の面がゆるやかな凹凸形状を有する形態では、上述の密着性や透過率の向上の効果に加え、中間層105とレンズ部110及び高屈折率層102との界面の凹凸形状により、第2レンズ部130による拡散効果に比べて小さいが、拡散効果を奏することができる。なお、中間層105の背面側の面の凹凸形状は、不規則な形状であってもよいし、規則性を有していてもよい。
15 液晶パネル
20 面光源装置
24 光源
28 反射シート
30 導光板
60 光学シート(プリズムシート)
100 光学構造体
101 基材
105 中間層
110 レンズ部
103 低屈折率層
104 反射抑制層
120 凹凸形状
130 第2レンズ部
Claims (9)
- 表示装置の表示面の出光側に配置される光学構造体であって、
基材層と、
前記基材層に積層される第1の層と、
前記第1の層の前記基材層側とは反対側の面に沿って一方向に複数配列され、その配列方向とは交差する方向に延在し、前記基材層側とは反対側へ凸となるレンズ部と、
前記第1の層及び前記レンズ部による凹凸形状を埋めるように積層される第2の層と、
を備え、
前記第1の層は、前記基材層側とは反対側の面に沿って、前記レンズ部の配列方向に沿って複数配列され、その配列方向とは交差する方向に延在し、前記基材層側とは反対側へ凸となる第2レンズ部を備え、
前記第2レンズ部と前記レンズ部との界面及び前記レンズ部と前記第2の層との界面は、屈折率差を有すること、
を特徴とする光学構造体。 - 請求項1に記載の光学構造体において、
該光学構造体の厚み方向及び前記レンズ部の配列方向に平行な断面において、前記第2レンズ部は、前記レンズ部内に位置すること、
を特徴とする光学構造体。 - 請求項1又は請求項2に記載の光学構造体において、
前記レンズ部の屈折率は、前記第1の層及び前記第2の層の屈折率よりも高く、
前記第1の層の屈折率は、前記レンズ部の屈折率よりも低く、前記基材層及び前記第2の層の屈折率よりも高いこと、
を特徴とする光学構造体。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の光学構造体において、
前記レンズ部は、該光学構造体の厚み方向及び前記レンズ部の配列方向における断面形状が、台形形状であること、
を特徴とする光学構造体。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の光学構造体において、
前記第2レンズ部は、該光学構造体の厚み方向及び前記第2レンズ部の配列方向における断面形状が、前記第2の層側に凸となる曲線状であること、
を特徴とする光学構造体。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の光学構造体を前記表示面の出光側に備える表示装置。
- 請求項6に記載の表示装置において、
前記表示面を有する液晶パネルと、
前記液晶パネルの背面側に配置され、前記液晶パネルに光を照射する面光源装置と、
を備えること、
を特徴とする表示装置。 - 請求項7に記載の表示装置において、
前記液晶パネルは、液晶分子に対する電圧がオフ又は最小値のときに前記液晶分子が前記表示面の法線方向に沿って配向して前記面光源装置からの光が遮断される状態となり、前記液晶分子に対する電圧を徐々に増加させて前記液晶分子を前記表示面に沿う側に次第に傾斜させることにより、前記面光源装置からの光の透過率を徐々に増加させるように構成された、VA方式の液晶パネルであること、
を特徴とする表示装置。 - 請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載の表示装置において、
前記光学構造体は、前記基材層を出光側、前記第2の層を前記表示面側として配置されること、
を特徴とする表示装置。
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