JP2009275090A - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 従来のポリイミドフィルムは得られる線膨張係数が十分なものではなく、ディスプレイ用基板として十分な性能を有するものではなかった。また、得られるフィルムが曲がっており、複数の材料を積層して構成されるディスプレイに適用することが難しかった。
【解決手段】 本発明は、3、3’、4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンを反応させてなるポリアミド酸の溶液を支持体上に塗布し加熱した後、フィルムを支持体から剥がしフィルムの周囲を固定した後、さらに加熱処理を行うことにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機EL照明装置、有機ELやLCD等の表示装置、太陽電池に用いることの出来る、耐熱性、透明性に優れたポリイミドフィルムの製造方法に関する。
現在、ディスプレイ、太陽電池などの光を利用した電子デバイスの分野では、主としてガラス基板が用いられている。しかし、一方では、軽量化、耐衝撃性の向上のために、基板をガラスからポリマー材料へと置き換えようという検討が行われている。こういったポリマー材料からなる透明プラスチックフィルム基板には現在用いられているガラスと同様の物性、すなわち、透明性や、蒸着・スパッタ等の工程に耐え得る高い耐熱性が要求される。
ポリイミドは、分子設計により透明性と耐熱性の両方を併せ持つ材料の一つであり、プラスチック基板に適していると考えられる。通常、ポリイミドは溶剤に不溶であるため、一般的なフィルム成型方法である溶液キャスト法を用いることが出来ない。そのため、ポリイミドフィルムを得る場合は、通常、酸無水物とジアミンを反応させて得られるポリアミド酸溶液を支持体上に塗布し溶剤を除去することで、ポリアミド酸のフィルムを得て、これを加熱処理、もしくは化学的処理を行っている。
ポリイミドのなかでも、3、3’、4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンを反応させてなるポリイミドフィルムは、透明性に加えて、高い耐熱性、比較的低い線膨張係数を示すため、プラスチック基板に用いることができる。たとえば特許文献1には、このポリアミド酸をガラス基板に塗布し、70℃で1時間乾燥してポリイミド前駆体膜を形成した後、350℃ で1時間、熱的にイミド化を行うことにより15μm厚のポリイミド膜を得ている。しかしながら、本方法で得られるフィルムは曲がって(カールして)おり、様々な部材を重ね合わせて製造されるディスプレイ用に用いることはできない。また、得られるポリイミドフィルムも15μm程度と薄く、この厚さではディスプレイを製造する工程でのハンドリングが困難である。
このように、ディスプレイ用途に使用するためのポリイミドフィルムとして要求される性能、即ち、ある程度のフィルム厚さを保ちながら、高透明性、高ガラス転移温度、低線熱膨張係数、まっすぐな形状などを満足する実用的なポリイミドフィルムは存在しないというのが現状である。そのような実用的なポリイミドフィルムを与えることのできる、ポリイミドフィルムの製造方法は知られていない。
特許第3972600号
上述のように、従来のポリイミドフィルムは得られる線膨張係数が十分なものではなく、ディスプレイ用基板として十分な性能を有するものではなかった。また、得られるフィルムが曲がっており、複数の材料を積層して構成されるディスプレイに適用することが難しかった。本発明は、有機ELやLCD等のディスプレイ、有機EL照明、太陽電池等に用いることの出来るポリイミドフィルムの製造方法に関する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の方法で処理されたポリイミドが上記課題を解決しうることを見出し、本発明を為すに至った。
本発明は、3、3’、4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンを反応させてなるポリアミド酸の溶液を支持体上に塗布し加熱した後、フィルムを支持体から剥がしフィルムの周囲を固定し、さらに加熱処理を行うことを特徴とする、ディスプレイ用ポリイミドフィルムの製造方法に関するものである(請求項1)。
また、本発明は、支持体上に塗布したフィルムを、40℃以上200℃以下で加熱することを特徴とする、請求項1記載のディスプレイ用ポリイミドフィルムの製造方法に関する(請求項2)。
また、本発明は、支持体から剥がしたフィルムを、200℃以上で加熱することを特徴とする、請求項1または2記載のディスプレイ用ポリイミドフィルムの製造方法に関する(請求項3)。
また、本発明は、ポリアミド酸の還元粘度が1.0dL/g以上である、請求項1〜3記載のディスプレイ用ポリイミドフィルムの製造方法に関する(請求項4)。
また、本発明は、ポリアミド酸の溶媒がN、N’−ジメチルアセトアミド、N、N’−ジエチルアセトアミド、N、N’−ジメチルホルムアミド、N、N’−ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルイミダゾリジノンであることを特徴とする、請求項1〜4記載のディスプレイ用ポリイミドフィルムの製造方法に関する(請求項5)。
本発明のポリイミドフィルムは、優れた線膨張係数と優れた形状を有し、ディスプレイや照明装置、太陽電池等に好適に用いることができる。また、本発明の透明プラスチックフィルム基板を用いた照明装置、表示装置、太陽電池は、ポリマー材料を用いることで軽量性、耐衝撃性を向上させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。

本発明に用いるポリアミド酸溶液は例えば、特許3972600号などに記載の公知の製造方法により製造可能である。すなわち、原料である3、3’、4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分、及びトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン成分を実質的に等モル量使用し、有機極性溶媒中で重合してポリアミド酸重合体溶液を得る。本発明に用いるポリアミド酸は、特性を損なわない範囲で別種のモノマーと共重合したものでも良い。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、通常ポリアミド酸を合成するために用いられる溶剤であれば特に限定されないが、N、N’−ジメチルアセトアミド、N、N’−ジエチルアセトアミド、N、N’−ジメチルホルムアミド、N、N’−ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルイミダゾリジノンなどであり、得られるポリイミドフィルムの性能からN,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用いられる。
反応装置には、反応温度を制御するための温度調製装置を備えていることが好ましい。ポリアミド酸を合成する際の温度については、原料が溶解し反応が促進されることから、高温で短時間熱処理し、その後室温で反応させることが好ましい。たとえば、好適な条件としては、反応開始後、120℃で15分程度熱処理した後、加熱をやめそのまま反応させる。あまり温度を上げすぎると、生成したポリアミド酸がイミド化してしまう可能性がある。さらに、生成したポリアミド酸が解重合を起こし、得られるポリアミド酸の粘度が上昇しない可能性がある。一方、高温で熱処理しないと、原料が完全に溶解せず反応が実質的に進行しない可能性がある。高温で熱処理する場合、その温度は70℃以上140℃以下が好ましい。前記高温での処理時間は温度により前後し、特に制限されないが、1分〜30分が好ましい。
用いるポリアミド酸溶液の濃度について、高すぎると得られるポリアミド酸の粘度が高くなり、支持体への塗布がうまくいかず品質の良い塗膜が得られない恐れがある。また濃度が低すぎると、ポリアミド酸溶液の粘度が低くなるため、塗膜の熱処理中に厚みが変わってしまう恐れがある。有機溶媒中に占めるポリアミド酸の濃度は5〜50wt%、好ましくは10〜40wt%であるのが好ましい。 本発明のポリイミドフィルムの製造方法に用いるポリアミド酸については、重合度の大きさの指標となる還元粘度が、1 . 0 d L / g 以上を示すことが好ましい。これは、ディスプレイ用途にポリイミドフィルムを利用する場合、フィルムが十分に強靱であることが要求されるが、この要求に応えるためにはポリイミド前駆体の重合度が極めて高くなければならないからであり、この数値を下回ると、電子材料用途には強靭さが不足する。
なお、本発明で言う還元粘度とは、3 0 ℃ で0 . 5 w t % という条件で、ポリアミド酸のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液を作成し、それをオストワルド粘度計で測定して得られた値である。

使用するポリアミド酸溶液は、パーティクル含有量が少ないほど好ましい。ここでパーティクルとは、空気中の塵、埃、溶媒に未溶解成分などを言う。パーティクルが多いと、光散乱等が生じてしまったり、表面の平滑性が失われる。
具体的には、0.3μm以上のパーティクル含有量は50000個/g以下であることが好ましい。パーティクルの含有量は少ないほど好ましい。
0.3μmのパーティクルの除去方法としては、メンブレンフィルターなどを用いてポリアミド酸溶液を濾過する方法が挙げられる。効率良く濾過するためには、ポリアミド酸合成前の、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を溶液の状態でメンブレンフィルターを用いて濾過した後にポリアミド酸溶液の合成をはじめても良い。
本発明のポリイミドフィルムの作製方法について説明する。ポリイミドフィルムの作成には、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗工し、加熱後に剥離するソルベントキャスト法が適用できる。例えば、ポリアミド酸溶液をスピンコート法、スプレイコート法等や、バーコーター等により支持体上に塗工したり、スリットを設けたダイから押し出したりし、熱処理した後フィルムを引き剥がし、再び熱処理を行う。 ポリアミド酸を塗布する支持体として、表面が平滑で耐熱性のある材料であれば特に限定はないが、たとえば、ガラス板、ポリイミドやポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム、表面を鏡面処理した金属板を用いることが好ましい。
支持体の形状としては、特に限定はないが、ガラス板、ステンレスドラム、ステンレスエンドレスベルトが一般的である。ドラムやベルトを用いると、フィルムを連続的に生産することができ、好ましい。
溶液を塗布する方法としては、通常一般に用いられる方法であれば特に限定はないが、コンマコーター、バーコーター、リップコーター、ドクターブレードコーター、ロールコーター等を用いる。
支持体上に形成されたフィルムを乾燥する際、溶剤がある程度フィルムに残存しイミド化が進行していない状態で支持体から剥がす必要がある。支持体上のフィルムを200℃以上で処理すると、溶剤が必要以上に除去され、さらに、熱でイミド化が進行してしまう。この場合得られるポリイミドフィルムは支持体面とその反対側の面で異なる分子配列を示すと考えられ、その結果、ポリイミドフィルムの線膨張係数は増大し、また、曲がったフィルムが得られてしまう。線膨張係数の増加や曲がったフィルムは、多層無機材料や多数のフィルムを張り合わせて構成されるディスプレイにとっては適さない。支持体上でのフィルムは、溶剤が完全に除去してしまわない温度で処理する必要があり、40℃から200℃が好ましい。また支持体上で長時間熱処理すると熱イミド化が進行してしまい、フィルムがカールしてしまう恐れがある。そのため、熱処理する時間は1分以上30分以内であることが好ましい。
次に、支持体上で熱処理されたフィルムを支持体から剥がし、再度熱処理を行う。この際、得られるポリイミドフィルムの均一性や平坦性を保つために、フィルムの周囲を金属製の把持冶具やクリップ、ピン等で固定する。
支持体から剥がされたフィルムの熱処理は、溶媒を完全にフィルムから除去すると共に、イミド化反応を完全に完結させるのが目的である。フィルムの酸化を防ぐために、また、生産性の観点から、熱処理の温度は200℃以上500℃未満が好ましい。また反応時間は1分以上3時間以内が好ましい。

支持体から剥がしたポリアミド酸フィルムをイミド化する際には、熱キュア法及びケミカルキュア法のいずれかを用いる
熱キュア法は、脱水閉環剤等を作用させずに加熱だけでイミド化反応を進行させる方法である。具体的には、前述の通り、ガラス板やステンレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上に流延塗布し、自己支持性を持つ程度に反応を進行させた後に支持体より引き剥がし、端部をピン、クリップ、把持冶具などの方法で固定してさらに加熱して完全にイミド化することで得られる。また、剥がしたポリアミド酸フィルムを、真空乾燥器内で加熱しながら脱溶媒、脱水することによりイミド化する方法もある。
また、ケミカルキュア法は、ポリアミド酸溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される化学的転化剤(脱水剤)と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表される触媒とを作用させる方法である。脱水剤としてジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物を用いることも可能である。これらを混合したポリアミド酸溶液を支持体上に塗布し、熱イミド化のときと同様の処理を行い、ポリイミドフィルムを得る。
イミド化に際して、脱水剤を併用することはイミド化時間を短縮できる観点で好ましい。このような脱水剤としては、無水酢酸などの脂肪族酸無水物や芳香族酸無水物などが挙げられる。無水酢酸を用いることがポリイミド樹脂の洗浄に適しているという点から好ましい。ポリアミド酸に対する脱水剤及びイミド化促進剤の添加量は、ポリアミド酸の化学構造に依存するが、脱水剤の量は、(脱水剤のモル比/ポリアミド酸中のアミド基のモル比)で3〜1.2となるよう用いることができる。脱水剤の量が少ないとイミド化が進行するのに時間が要する場合があり、逆に多すぎると分子量の低下を引き起こす場合がある。
無論、ケミカルキュア法と熱キュア法を併用してもよく、イミド化の反応条件は、ポリアミド酸の種類、得られる樹脂の形態、熱キュア法、および/またはケミカルキュア法の選択等により変動し得る。 また、必要であれば、熱処理の前後及び熱処理中に、フィルムを延伸しても良い。適当な方法でフィルムを延伸することにより、複屈折や線膨張係数などの物性を向上させることが出来る。例えば、出口側の周速を速くした2対以上のニップロールを用いて、長手方向に延伸してもよく(縦延伸)、フィルムの両端をチャックで把持しこれを直交方向(長手方向と直角方向)に広げてもよい(横延伸)。また、同時2軸延伸法、逐次2軸延伸など、縦延伸と横延伸の両方の操作を行ってもよい。
フィルムの加熱方法については、全般にわたって一定温度で行っても、また、加熱温度を数段に分けて変化させてもよい。一般的に、後者の方がポリイミドフィルムの性能や生産性の観点から好ましい。また、必要に応じて、熱処理時に減圧したり、支持体の流動速度を複数にわたって変化させても良い。
加熱工程では、不活性ガス雰囲気下で処理を行ったほうが好ましい。空気下で熱処理を行うと、フィルムが酸化され着色や性能低下などの恐れがあり、好ましくない。
作成するフィルムの厚みについては、ディスプレイ用フィルムとしてディスプレイを作成する際のハンドリングの都合から、50ミクロンより分厚いフィルムであることが好ましい。フィルムの厚みは、ポリアミド酸を塗布する場合の塗膜の厚みを調整することにより容易に制御できる。
本発明のポリイミドフィルムの製造時に、必要に応じて酸化安定剤、無機化合物、感光剤等の添加剤を添加しても良い。また、本発明の効果を損なわない程度に、他のポリイミド前躯体を混合しても良い。

本発明のディスプレイ用ポリイミドフィルムは、必要に応じてその表面にガスバリア層や透明電極層を積層して設けることにより、ディスプレイだけではなく、照明装置、太陽電池などにも用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施形態の変更が可能である。

還元粘度(η red
オストワルド粘度計を用い、3 0 ℃ においてポリアミド酸0 . 5 w t %N、N’−ジメチルアセトアミド溶液の還元粘度を求めた。
ガラス転移温度(Tg)
DSCを用い、試験片を室温から400℃まで10℃/分の割合で昇温する。階段状変化前後のベースラインに2本の延長線を引き、延長線間の1/2直線と吸熱曲線の交点からTgを求めた。階段状変化がない場合には、TgはN.D.とした。
透明性
分光光度計により200nmから800nmの可視・紫外線透過率を測定した。透過率が1 % 以下となる波長(カットオフ波長)、および、400nmにおける透過率を透明性の指標とした。カットオフ波長が低い程、また、400nmにおける透過率が高いほど、透明性が良好であることを意味する。
線膨張係数(CTE)
熱機械分析により、荷重0 . 5 g / 膜厚1 μ m 、昇温速度5 ℃ / 分における試験片の伸びより、1 0 0 ℃ 〜 2 0 0 ℃ の範囲での平均値として線熱膨張係数を求めた。温度が変化しても寸法変化の小さい、すなわち、低い値であることが望まれる。
フィルムの形状
得られたフィルムを室温で目視で観察し、曲がっている(カールしている)かどうかを確認した。カールしていないフィルムがディスプレイ用フィルムとして適している。
<ポリアミド酸の製造>
ポリテトラフルオロエチレン製シール栓付き攪拌器、攪拌翼、窒素導入管を備えた容積2000mLのガラス製セパラブルフラスコに、モレキュラーシーブを用いて脱水したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を1017g入れ、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン(t−CHDA)50gを加え、完全に溶解するまで攪拌した。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して15重量%であった。水浴で25℃に冷却しながら、3,3’、4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)129.5gを加え、激しく攪拌した。15分後、フラスコを120℃に加熱し反応を続けた。15分後加熱をやめそのまま攪拌を続け5時間反応を行い、透明で粘稠なポリアミド酸溶液(A)を得た。得られたポリアミド酸の還元粘度は2.3dL/gであった。
<ポリイミドフィルムの製造>
(実施例1)
溶液Aをガラス板上にバーコーター(松尾産業株式会社製K303マルチコーター)で流延し、室温で3分、ついで、100℃で10分間乾燥させた後ガラス板から引き剥がした。引き剥がしたフィルムをピンのついた金属枠に固定し、窒素雰囲気下300℃で60分乾燥させることにより厚み56μmの無色透明のフィルムを得た。
(実施例2)
溶液Aを用いて、ガラス板上に張ったポリイミドフィルム(アピカルAH、(株)カネカ製)上にバーコーターで流延し、室温で3分、ついで、150℃で2分間乾燥させた。ポリイミドフィルム(アピカルAH)とキャストフィルムからなる積層フィルムをガラスから剥がし、さらにポリイミドフィルム(アピカルAH)を引っ張って剥がしキャストフィルムを得た後、実施例1と同様の操作を行い厚み65μmの無色透明のフィルムを得た。
(比較例1)
溶液Aを用いて、ガラス板上にバーコーターで流延し、室温で3分、ついで、100℃で10分間乾燥させた後、ガラス板から引き剥がさずにそのまま窒素雰囲気下300℃で60分乾燥させた。その後、ガラス板からフィルムを剥がし厚み58μmの無色透明のフィルムを得た。
(比較例2)
溶液Aを用いて、ガラス板上にバーコーターで流延し、室温で3分、ついで、150℃で2分間乾燥させた後、ガラス板から引き剥がさずにそのまま窒素雰囲気下350℃で60分乾燥させた。その後、ガラス板からフィルムを剥がし厚み60μmの無色透明のフィルムを得た。 得られたポリイミドフィルムについて、その評価結果を表1に示す。
表1から分かるように、支持体上で熱乾燥させた後ガラス板から引き剥がして得られたフィルムを固定し、再度熱乾燥させることにより得られたポリイミドフィルムは、比較例に比べて線膨張係数が小さく、しかもカールしないフィルムであり、ディスプレイ用フィルムとして適した性能を示すことがわかる。一方、支持体上でイミド化まで熱処理して得られたフィルムは、線膨張係数は大きく、カールしているフィルムであった。

Claims (5)

  1. 3、3’、4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンを反応させてなるポリアミド酸の溶液を支持体上に塗布し加熱した後、フィルムを支持体から剥がしフィルムの周囲を固定し、さらに加熱処理を行うことを特徴とする、ディスプレイ用ポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 支持体上に塗布したフィルムを、40℃以上200℃以下で加熱することを特徴とする、請求項1記載のディスプレイ用ポリイミドフィルムの製造方法。
  3. 支持体から剥がしたフィルムを、200℃以上で加熱することを特徴とする、請求項1または2記載のディスプレイ用ポリイミドフィルムの製造方法。
  4. ポリアミド酸の還元粘度が1.0dL/g以上である、請求項1〜3記載のディスプレイ用ポリイミドフィルムの製造方法。
  5. ポリアミド酸の溶媒がN、N’−ジメチルアセトアミド、N、N’−ジエチルアセトアミド、N、N’−ジメチルホルムアミド、N、N’−ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルイミダゾリジノンであることを特徴とする、請求項1〜4記載のディスプレイ用ポリイミドフィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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