JP2009274684A - 電動倍力式液圧ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車輪ロックを防止するアンチスキッド制御(減圧)中(t3〜t5)も倍力用電動機にブレーキ踏力F対応の電流Iを破線で示すように供給するのでは、アンチスキッド制御中でブレーキ液圧が減圧中なのにマスターシリンダ液圧Pmが破線で示すように不要に高く、その分だけ倍力用電動機の消費電力が多くなる。この間、実線で示すようにマスターシリンダ液圧Pmを、アンチスキッド制御(減圧)開始時液圧P0から、車両減速度およびブレーキ踏力が変化しない範囲で最大限、Po'またはP'へと低下させるべく、倍力用電動機への電流IをP0対応のI0からi'またはI'へと低下させて、電動式ブレーキ倍力装置の助勢力を低下させる。
【選択図】図9
Description
そして電動倍力式液圧ブレーキ装置は、かように助勢されたマスターシリンダ液圧に応じて制御されるブレーキ液圧により車輪を制動する配管構成となす。
ブレーキ操作力による制動中、常に電動式ブレーキ倍力装置の電動機にブレーキ操作力対応の電流を供給し続けることとなり、電動式ブレーキ倍力装置(電動機)の消費電力が多くなるという問題があった。
このアンチスキッド制御中は、運転者がブレーキペダル踏力(ブレーキ操作力)を保っていても、ブレーキ液圧を上記のごとく低下させるべきであることを考慮すると、その上流側におけるマスターシリンダ液圧がブレーキ液圧に対して高すぎることを意味する。
アンチスキッド制御中も常に電動式ブレーキ倍力装置の電動機にブレーキ操作力対応の電流を供給し続け、マスターシリンダ液圧を不要に高くしていることとなり、その分だけ電動式ブレーキ倍力装置(電動機)の電力が無駄に消費され、消費電力が多くなるという問題があった。
従来は、図9の瞬時t1〜t6におけるアンチスキッド制御中も倍力用電動機にブレーキペダル踏力F(ブレーキ操作力)対応の電流Iを破線で示すように供給し続け、マスターシリンダ液圧Pmを破線で示すように不要に高くしていて、その分だけ電動式ブレーキ倍力装置(電動機)の電力が無駄に消費され、消費電力が多くなる。
この間、電動式ブレーキ倍力装置への電力供給を低下させて電力の無駄な消費を抑制し、これにより消費電力に関する上記の問題を解消可能な電動倍力式液圧ブレーキ装置を提案することを目的とする。
ブレーキ操作力に応動するマスターシリンダからのマスターシリンダ液圧を助勢する電動式ブレーキ倍力装置を具え、
該マスターシリンダ液圧に応じたブレーキ液圧により車輪を制動し、
該車輪の制動ロック時に、前記ブレーキ液圧をアンチスキッド制御ユニットにより低下させて該制動ロックを防止するようにした電動倍力式液圧ブレーキ装置を前提とし、
前記アンチスキッド制御ユニットの作動中、前記電動式ブレーキ倍力装置の助勢力を低下させるよう構成したことを特徴とするものである。
マスターシリンダ液圧に応じたブレーキ液圧により制動されている車輪が制動ロックを生じたことでアンチスキッド制御ユニットが、ブレーキ液圧を低下させて当該車輪の制動ロックを防止するよう作動しているアンチスキッド制御中、マスターシリンダ液圧に対する電動式ブレーキ倍力装置の助勢力を低下させるため、
アンチスキッド制御中、マスターシリンダ液圧をブレーキ操作力相当の高い値にする必要がないのに、マスターシリンダ液圧をこの高い値にすべく電動式ブレーキ倍力装置へ無駄に電力が供給されて、電力消費が大きくなるという前記の問題を解消することができる。
図1は、本発明のー実施例になる電動倍力式液圧ブレーキ装置のシステム図で、
本実施例においては、車両のブレーキ液圧系を、左前輪および右後輪用のブレーキ液圧系と、右前輪および左後輪用のブレーキ液圧系との2系統に分離させた、X配管式液圧ブレーキ装置として電動倍力式液圧ブレーキ装置を構成し、
更にこれら2系統のブレーキ液圧を、運転者によるブレーキ操作力によるだけでなく、これから切り離して個別に電子制御可能となるよう構成する。
図1の電動倍力式液圧ブレーキ装置は、該ブレーキペダル1の踏力(ブレーキ操作力)に応動するマスターシリンダ2を具える。
このマスターシリンダ2は、ブレーキペダル1の踏力(ブレーキ操作力)に連動して図の左方へ押し込まれる方向へストロークする主ピストン3を具え、この主ピストン3が押し込みストローク時に図示せざるレリーフポートを閉じて、リザーバタンク4からのブレーキ液を媒体とするマスターシリンダ液圧Pmを、フリーピストン5の両側におけるシリンダ室6,7内に発生させるものとする。
ブーストピストン12は筒状ピストンとし、その中心孔内に前記の主ピストン3を摺動自在に嵌合し、ブーストピストン12の外周をマスターシリンダ2内に回転不能にして摺動自在に嵌合させる。
電動機14は、ボールナット13を回転させ得るためのもので、マスターシリンダ2内に固設する。
主ピストン3およびブーストピストン12の接近方向相対ストロークが制限範囲Sに限られるよう、主ピストン3に大径段差部3aを設定して、この大径段差部3aと、ブーストピストン12の対応端面との間に、後述の用をなす弾性手段としての踏力補償バネ16を介在させる。
ブレーキペダル1の踏力(ブレーキ操作力)に連動して主ピストン3が図1の左方(押し込まれる方向)へストロークすることでシリンダ室6,7内にマスターシリンダ液圧Pmを発生させるとき、
かかるブレーキ操作を検知して電動機14が、ブーストピストン12をマスターシリンダ液圧増圧方向(図1の左方)に押し込むべくボールナット13を回転させる。
よって、要求するマスターシリンダ液圧Pmをブレーキペダル1の小さな踏力(ブレーキ操作力)により発生させることができ、軽快なブレーキ操作を実現することができる。
この間ブーストピストン12が主ピストン3に対し遠ざかる方向(図1の左方)へ相対ストロークすることから、
踏力補償バネ16が主ピストン3に付与している弾性反力を低下され、液圧助勢分によるブレーキペダル1の踏力(ブレーキ操作力)増大を相殺して、ブレーキペダル1の踏力(ブレーキ操作力)を不変に保つ踏力補償機能を得ることができる。
かかるシリンダ室6内の液圧低下は主ピストン3を介してブレーキペダル1の踏力(ブレーキ操作力)を低下させようとするが、
この間ブーストピストン12が主ピストン3に対し接近する方向(図1の右方)へ相対ストロークすることから、踏力補償バネ16が主ピストン3に付与している弾性反力を増大され、シリンダ室6内の液圧低下によるブレーキペダル1の踏力(ブレーキ操作力)低下を相殺して、ブレーキペダル1の踏力(ブレーキ操作力)を不変に保つ踏力補償機能を得ることができる。
このため後者のブレーキ液圧系9は、左前輪21FLのホイールシリンダ22FLおよび右後輪21RRのホイールシリンダ22RRに接続し、前者のブレーキ液圧系8は、図示せざる右前輪ホイールシリンダおよび左後輪ホイールシリンダに接続する。
アンチスキッド制御ユニット13は、両ブレーキ液圧系8,9用のアンチスキッド制御部を同様な構成とし、ブレーキ液圧系9に関するアンチスキッド制御部につき以下、代表的に説明する。
ブレーキ液圧系9に遮断弁24を挿置し、これを、ソレノイドON時に閉じる常開電磁弁とする。
遮断弁24よりも下流においてブレーキ液圧系9を、左前輪ホイールシリンダ22FLに至るブレーキ液圧系9FLと、右後輪ホイールシリンダ22RRに至るブレーキ液圧系9RRとに分岐させる。
左前輪ブレーキ液圧系9FLおよび右後輪ブレーキ液圧系9RRには更に、増圧弁25FL,25RRに対し並列となるよう逆止弁26FL,26RRを接続し、
これら逆止弁26FL,26RRは対応するホイールシリンダ22FL, 22RRへのブレーキ液流を阻止する向きに配置する。
遮断弁24の下流側におけるブレーキ液圧系9の箇所と、上記リザーバ28との間を管路29に接続し、この管路29中に、遮断弁24の側から順に逆止弁31〜33を挿置し、これら逆止弁31〜33はそれぞれ、リザーバ28へのブレーキ液流を阻止する向きに配置する。
そして、逆止弁31,32間における管路29の箇所に、専用のモータ35で駆動されるポンプ36を接続して設ける。
マスターシリンダ液圧Pmをそのまま用いて左前輪21FLおよび右後輪21RRを制動する場合は、遮断弁24をOFFにより開通させておき、吸入弁34をOFFにより遮断しておく。
この場合、ブレーキ液圧系9のマスターシリンダ液圧Pmが、分岐したブレーキ液圧系9FL,9RRから、増圧弁25FL,25RR(OFFで開状態)を経て左前輪ホイールシリンダ22FLおよび右後輪ホイールシリンダ22RRに達し、左前輪21FLおよび右後輪21RRを制動することができる。
マスターシリンダ液圧Pmがそのままブレーキ液圧Pwとして対応するホイールシリンダ22FL, 22RRに達し、左前輪21FLおよび右後輪21RRの制動に供される。
かかるブレーキ液圧Pwの保圧によっても車輪スリップ率が増大する時、車輪の制動ロックが確実なものであるとの認定により、今度は減圧弁27FL,27RRもONして開状態に切り替え、この減圧弁27FL,27RRを経てブレーキ液圧Pwを減圧するアンチスキッド制御の開始により車輪の回転を回復させる(スリップ率を最大摩擦係数に対応した理想スリップ率に向かわせる)。
よって、上記したアンチスキッドサイクルが繰り返され、車輪のスリップ率が最大摩擦係数に対応した理想スリップ率に保たれるよう(制動距離が最短になるよう)ブレーキ液圧Pwを制御しつつ車輪の制動ロックを防止することができる。
この場合、遮断弁24をONにより遮断し、吸入弁34をOFFにより遮断しておき、ポンプ36からの吐出ブレーキ液をブレーキ液圧系9FL,9RRにより増圧弁25FL,25RR(OFFで開状態)を経て左前輪ホイールシリンダ22FLおよび右後輪ホイールシリンダ22RRに向かわせ、ブレーキ液圧Pwを発生させる。
よって、ブレーキ液圧Pwがマスターシリンダ液圧Pmと同じになるよう制御され、マスターシリンダ液圧Pmをそのままブレーキ液圧Pwとしてホイールシリンダ22FL,22RRへ供給する場合と同様に左前輪21FLおよび右後輪21RRを制動することができる。
この目的のため図1に示すごとく、マスターシリンダ液圧Pmを検出する前記圧力センサ41の他に、
車輪速Vw(全車輪の車輪速を便宜上同じVwで示した)を検出する車輪速センサ42FL,42RR(実際はアンチスキッド制御ユニット23に既存するから、それを用いる)と、
電動機14の回転位置(ボールナット13の回転によるブーストピストン12のストローク位置)を検出するレゾルバ43と、
電動機14への供給電流(消費電流)Iを検出する電流センサ44と、
ブレーキペダル1のストロークを検出するブレーキストロークセンサ45とを設ける。
ステップS11においては、アンチスキッド制御ユニット23による前記したアンチスキッド制御(ブレーキ液圧Pwの減圧)が開始されたか否かをチェックし、アンチスキッド制御(ブレーキ液圧Pwの減圧)が開始されていなければ、
本発明が狙いとする電動式ブレーキ倍力装置11の消費電流節約制御を行い得ないから、ステップS22において、センサ45で検出したブレーキペダルストロークに応じたブレーキ倍力作用が得られるよう通常通りに電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)への供給電流Iを決定し、ステップS21においてこの電流Iを電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)に供給する。
つまり先ずステップS12において、当該アンチスキッド制御(ブレーキ液圧Pwの減圧)の開始時におけるマスターシリンダ液圧Pmおよび電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)の消費電流Iをそれぞれ、アンチスキッド制御(減圧)開始時マスターシリンダ液圧P0およびアンチスキッド制御(減圧)開始時ブースタ供給電流I0として記憶する。
この算出に当たっては、車輪速Vwをもとにアンチスキッド制御で行われていると同様な要領で車輪スリップ率SLipを演算し、この車輪スリップ率SLipと、路面摩擦係数μとの関係を表す、図3に例示したごときμ−SLipマップ(予め実験などにより求めておく)をもとに、上記演算した車輪スリップ率SLipから、路面摩擦係数μをマップ検索し、これをアンチスキッド制御(減圧)開始時路面摩擦係数μ0とする。
先ず、ステップS13で求めたアンチスキッド制御(減圧)開始時路面摩擦係数μ0において得られるμ0時減速度を発生させるのに必要な図4に二点鎖線で示すμ0時減速度発生用前後輪制動力特性と、同図に実線で示す実車の前後輪制動力配分特性との交点における後輪制動力を求める。
従って、当該μ0時減速度用前後輪同時ロックマスターシリンダ液圧)P'は、アンチスキッド制御(減圧)開始時路面摩擦係数μ0において得られるμ0時減速度を発生させるのに必要なマスターシリンダ液圧の限界値を意味し、
マスターシリンダ液圧Pmが当該μ0時減速度用前後輪同時ロックマスターシリンダ液圧P'よりも低くなると、車両の減速度が低下する。
減速度が変化しない範囲で最大限可能なマスターシリンダ液圧低下幅である減速度不変用マスターシリンダ減圧許容幅ΔPは、アンチスキッド制御(減圧)開始時マスターシリンダ液圧P0から、上記μ0時減速度用前後輪同時ロックマスターシリンダ液圧P'を差し引いて求めることができる。
この算出に際しては、図5に実線で例示するようなブーストピストンストロークSTbとマスターシリンダ液圧Pmとの関係を表したSTb−Pm特性と、同図に一点鎖線で例示するようなブレーキペダルストロークSTpとブレーキペダル踏力Fとの関係を表したSTp−F特性とを用いる。
次にSTp−F特性から、上記のブレーキペダル踏力変化ΔFを無くすのに必要な踏力変化補償用ペダルストロークΔLを求める。
次いでステップS17において、踏力変化補償用ペダルストロークΔLが主ピストン3およびブーストピストン12間の踏力変化補償ギャップS以上であるか否かを、つまり、マスターシリンダ液圧低下ΔPに必要なブーストピストン12のストローク量が踏力変化補償ギャップS以上であるか否かをチェックする。
ブーストピストン12が踏力補償バネ16を圧縮し切って、踏力補償バネ16による前記した踏力補償を期待できず、上記のマスターシリンダ液圧低下ΔPをそのまま実行すると、ブレーキペダル踏力が変化して違和感となる。
このステップS18においては、ブーストピストン12が踏力補償ギャップSだけストロークした場合のマスターシリンダ液圧変化(低下)幅ΔPoを算出する。
この算出に際しては、図5のSTp−F特性から、踏力補償ギャップS分で補償できる踏力変化量Δfを求め、かかる踏力変化量Δfのマスターシリンダ液圧変化量換算値を上記のマスターシリンダ液圧変化(低下)幅ΔPoと定める。
マスターシリンダ液圧Pmをアンチスキッド制御(減圧)開始時マスターシリンダ液圧P0から上記のマスターシリンダ液圧変化(低下)幅ΔPoだけ低下させるのに必要な電流低下幅Δiを求め、
マスターシリンダ液圧Pmを(P0−ΔPo)=Po'(図5も参照)へ低下させる電流i'を、電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)への供給電流Iと定める。
そしてステップS21で、この電流Iを電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)に供給する。
マスターシリンダ液圧低下ΔPに必要なブーストピストン12のストローク量が踏力変化補償ギャップS未満であって、ブーストピストン12が踏力補償バネ16を圧縮し切ることがなくて、踏力補償バネ16による前記した踏力補償機能が得られるため、上記のマスターシリンダ液圧低下ΔPをそのまま実行しても、ブレーキペダル踏力が変化することがなくて違和感を生じない。
ステップS20において、マスターシリンダ液圧Pmと、電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)への供給電流Iとの関係を表す図6に例示した予定のマップをもとに、
マスターシリンダ液圧Pmをアンチスキッド制御(減圧)開始時マスターシリンダ液圧P0から上記のマスターシリンダ液圧変化(低下)幅ΔPだけ低下させるのに必要な電流低下幅ΔIを求め、
マスターシリンダ液圧Pmを(P0−ΔP)=P'へ低下させる電流I'を、電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)への供給電流Iと定める。
そしてステップS21で、この電流Iを電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)に供給する。
図9に示すごとく瞬時t1に前輪がアンチスキッド制御(ABS)を開始され、瞬時t2に後輪がアンチスキッド制御(ABS)を開始され、瞬時t3にアンチスキッド制御(ABS)によるブレーキ液圧Pwの減圧が開始され、瞬時t4にブレーキペダル1の戻し操作が開始され、瞬時t5にアンチスキッド制御(ABS)によるブレーキ液圧Pwの減圧が終了し、瞬時t6にアンチスキッド制御ユニット23が非作動にされた場合につき説明すると、
アンチスキッド制御(ABS)によるブレーキ液圧Pwの減圧が開始された瞬時t3から、アンチスキッド制御(ABS)によるブレーキ液圧Pwの減圧が終了する瞬時t5までの間、
当該ブレーキ液圧Pwの減圧に呼応してマスターシリンダ液圧Pmを、アンチスキッド制御(減圧)開始時マスターシリンダ液圧P0から、車両減速度およびブレーキペダル踏力が変化しない範囲で最大限、Po'またはP'へと低下させるべく、電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)への供給電流Iをマスターシリンダ液圧P0対応のI0からi'またはI'へと低下させて、電動式ブレーキ倍力装置11によるマスターシリンダ液圧助勢力を低下させるため、
アンチスキッド制御中、マスターシリンダ液圧Pmをブレーキ操作力相当の高い値にする必要がないのに、マスターシリンダ液圧Pmをこの高い値にすべく電動式ブレーキ倍力装置11へ無駄に電力が供給されて、その電力消費が大きくなるという問題を解消することができる。
図9の瞬時t3〜t5間における実減速度Gブレーキペダル踏力Fの時系列変化から明らかなように、車両減速度Gの変化やブレーキ操作力Fの変化を生じないようにしつつ、電動式ブレーキ倍力装置11の節電効果を最も高くすることができる。
まず、車両減速度が変化しない範囲で最大の電動式ブレーキ倍力装置11の助勢力低下量(マスターシリンダ液圧低下量ΔP)を求め、
これがブレーキ操作力を変化させなければ当該低下量を、車両減速度およびブレーキ操作力が変化しない範囲で最大の電動式ブレーキ倍力装置11の助勢力低下量(電動式ブレーキ倍力装置11への供給電流Iの低下量ΔIによるマスターシリンダ液圧低下量ΔP)とし、
車両減速度が変化しない範囲で最大の電動式ブレーキ倍力装置11の助勢力低下量(マスターシリンダ液圧低下量ΔP)だとブレーキ操作力が変化す場合は、当該低下量に代えて、ブレーキ操作力が変化しない範囲で最大のマスターシリンダ液圧低下を生じさせる助勢力低下量を、車両減速度およびブレーキ操作力が変化しない範囲で最大の電動式ブレーキ倍力装置11の助勢力低下量(電動式ブレーキ倍力装置11への供給電流Iの低下量Δiによるマスターシリンダ液圧低下量ΔPo)としたため、
車両減速度およびブレーキ操作力が変化しない範囲で最大の電動式ブレーキ倍力装置11の助勢力低下量を簡単な順次の演算により確実に求めることができ、演算負荷を減ずることができる。
現在の路面摩擦係数μ0のもとで前後輪が同時に制動ロックするマスターシリンダ液圧値へのマスターシリンダ液圧低下を生じさせる助勢力低下量としたため、
あらゆる路面摩擦係数μのもとで、上記の作用効果を確実に達成することができて、広範囲の走行条件で電動式ブレーキ倍力装置11の上記節電効果を享受し得る。
路面摩擦係数μを簡単、且つ、正確に求めることができ、演算負荷を減ずることができる。
この代わりに、マスターシリンダ液圧Pmをモニタしながら、このマスターシリンダ液圧Pmが前記したマスターシリンダ液圧の低下ΔPoおよびΔPに対応したものになるよう、電動式ブレーキ倍力装置11の助勢力低下を行うような構成にしたり、
ブーストピストン12のストロークSTbをモニタしながら、このブーストピストンストロークSTbが前記したマスターシリンダ液圧の低下ΔPoおよびΔPに対応したものになるよう、電動式ブレーキ倍力装置11の助勢力低下を行うような構成にすることができる。
これら図7,8は、図2の代わりに実行する節電制御プログラムであるが、図2におけると同様なステップには同一符号を付して示し、その説明を省略した。
ステップS31においては、マスターシリンダ液圧Pmをアンチスキッド制御(減圧)開始時マスターシリンダ液圧P0から、ステップS18で求めたマスターシリンダ液圧変化(低下)幅ΔPoだけ低下させて、Po'= P0−ΔPoに一致させるフィードバック制御により電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)への供給電流Iを決定する。
またステップS32においては、マスターシリンダ液圧Pmをアンチスキッド制御(減圧)開始時マスターシリンダ液圧P0から、ステップS14で求めた減速度不変用マスターシリンダ減圧許容幅ΔPだけ低下させて、P'= P0−ΔPに一致させるフィードバック制御により電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)への供給電流Iを決定する。
ステップS31またはステップS32で求めた電流Iを、ステップS21において電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)へ出力する。
アンチスキッド制御中、マスターシリンダ液圧Pmをブレーキ操作力相当の高い値にする必要がないのに、マスターシリンダ液圧Pmをこの高い値にすべく電動式ブレーキ倍力装置11へ無駄に電力が供給されて、その電力消費が大きくなるという問題を解消することができる。
図9の瞬時t3〜t5間における実減速度Gブレーキペダル踏力Fの時系列変化から明らかなように、車両減速度Gの変化やブレーキ操作力Fの変化を生じないようにしつつ、電動式ブレーキ倍力装置11の節電効果を最も高くすることができる。
ステップS41においては、アンチスキッド制御(ブレーキ液圧Pwの減圧)の開始時におけるブースタピストンストローク位置STb(図1のレゾルバ43の検出値から演算する)を、アンチスキッド制御(減圧)開始時ブースタピストンストローク位置X0(図5参照)として記憶する。
ブーストピストンストローク位置STbを(X0−ΔXo)=Xo'にするための電流i'(図6に示されている)を、電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)への供給電流Iと定める。
ブーストピストンストローク位置STbを(X0−ΔX)=X'にするための電流I'(図6に示されている)を、電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)への供給電流Iと定める。
ステップS42またはステップS43で求めた電流Iを、ステップS21において電動式ブレーキ倍力装置11(電動機14)へ出力する。
アンチスキッド制御中、マスターシリンダ液圧Pmをブレーキ操作力相当の高い値にする必要がないのに、マスターシリンダ液圧Pmをこの高い値にすべく電動式ブレーキ倍力装置11へ無駄に電力が供給されて、その電力消費が大きくなるという問題を解消することができる。
図9の瞬時t3〜t5間における実減速度Gブレーキペダル踏力Fの時系列変化から明らかなように、車両減速度Gの変化やブレーキ操作力Fの変化を生じないようにしつつ、電動式ブレーキ倍力装置11の節電効果を最も高くすることができる。
2 マスターシリンダ
3 主ピストン
4 リザーバタンク
5 フリーピストン
8,9 ブレーキ液圧系
11 電動式ブレーキ倍力装置
12 ブーストピストン
13 ボールナット
14 電動機
15 ボール
16 踏力補償バネ
S 踏力補償ギャップ
21FL 左前輪
22FL 左前輪ホイールシリンダ
21RR 右後輪
22RR 右後輪ホイールシリンダ
23 アンチスキッド制御ユニット
24 遮断弁
25FL,25RR 増圧弁
27FL,27RR 減圧弁
28 リザーバ
34 吸入弁
36 ポンプ
41 圧力センサ
42FL,42RR 車輪速センサ
43 レゾルバ
44 電流センサ
45 ブレーキストロークセンサ
Claims (10)
- ブレーキ操作力に応動するマスターシリンダからのマスターシリンダ液圧を助勢する電動式ブレーキ倍力装置を具え、
該マスターシリンダ液圧に応じたブレーキ液圧により車輪を制動し、
該車輪の制動ロック時に、前記ブレーキ液圧をアンチスキッド制御ユニットにより低下させて該制動ロックを防止するようにした電動倍力式液圧ブレーキ装置において、
前記アンチスキッド制御ユニットの作動中、前記電動式ブレーキ倍力装置の助勢力を低下させるよう構成したことを特徴とする電動倍力式液圧ブレーキ装置。 - 請求項1に記載の電動倍力式液圧ブレーキ装置において、
前記アンチスキッド制御ユニットの作動中、減速度およびブレーキ操作力が変化しない範囲で前記電動式ブレーキ倍力装置の助勢力を低下させるよう構成したことを特徴とする電動倍力式液圧ブレーキ装置。 - 請求項2に記載の電動倍力式液圧ブレーキ装置において、
前記減速度が変化しない範囲の電動式ブレーキ倍力装置の助勢力低下量は、
現在の路面摩擦係数のもとで前後輪が同時に制動ロックするマスターシリンダ液圧値へのマスターシリンダ液圧低下を生じさせる助勢力低下量としたことを特徴とする電動倍力式液圧ブレーキ装置。 - 請求項3に記載の電動倍力式液圧ブレーキ装置において、
前記路面摩擦係数は、予め求めておいた、車輪スリップ率と路面摩擦係数との関係をもとに、車輪スリップ率演算値から求めるものであることを特徴とする電動倍力式液圧ブレーキ装置。 - 請求項2〜4のいずれか1項に記載の電動倍力式液圧ブレーキ装置において、
前記減速度およびブレーキ操作力が変化しない範囲の電動式ブレーキ倍力装置の助勢力低下量は、
前後輪が同時に制動ロックするマスターシリンダ液圧値へのマスターシリンダ液圧低下によってもブレーキ操作力が変化しない場合、該マスターシリンダ液圧値への液圧低下を生じさせる助勢力低下量としたことを特徴とする電動倍力式液圧ブレーキ装置。 - 請求項2〜5のいずれか1項に記載の電動倍力式液圧ブレーキ装置において、
前記減速度およびブレーキ操作力が変化しない範囲の電動式ブレーキ倍力装置の助勢力低下量は、
前後輪が同時に制動ロックするマスターシリンダ液圧値へのマスターシリンダ液圧低下を行うとブレーキ操作力が変化する場合、ブレーキ操作力が変化しない範囲で最大のマスターシリンダ液圧低下を生じさせる助勢力低下量としたことを特徴とする電動倍力式液圧ブレーキ装置。 - 前記マスターシリンダが、前記ブレーキ操作力に応動して押し込まれる主ピストン、および、前記電動機によりストロークされるブーストピストンとを相互にストローク可能に嵌合して具え、ブーストピストンを電動機により主ピストンの押し込みストロークに追従する方向へ変位させることにより倍力作用を生起させるようにした電動式ブレーキ倍力装置付きマスターシリンダである、請求項6に記載の電動倍力式液圧ブレーキ装置において、
前記主ピストンの押し込み方向と逆方向への前記ブーストピストンストロークを、これら主ピストンおよびブーストピストン間に介在させた弾性手段に抗し制限範囲内で行わせることによりブレーキペダル踏力の変化を補償するよう構成し、
前記減速度およびブレーキ操作力が変化しない範囲の電動式ブレーキ倍力装置の助勢力低下量は、
前後輪が同時に制動ロックするマスターシリンダ液圧値へのマスターシリンダ液圧低下を生起させるブーストピストンストロークに伴うブレーキペダル踏力変化を補償するのに必要な踏力変化補償用ペダルストロークが前記制限範囲以上である場合、この制限範囲のブーストピストンストロークによって得られるマスターシリンダ液圧低下を生じさせる助勢力低下量とし、
前後輪が同時に制動ロックするマスターシリンダ液圧値へのマスターシリンダ液圧低下を生起させるブーストピストンストロークに伴うブレーキペダル踏力変化を補償するのに必要な踏力変化補償用ペダルストロークが前記制限範囲未満である場合、前後輪が同時に制動ロックするマスターシリンダ液圧値へのマスターシリンダ液圧低下に必要なブーストピストンストロークによって得られるマスターシリンダ液圧低下を生じさせる助勢力低下量としたことを特徴とする電動倍力式液圧ブレーキ装置。 - 請求項3〜7のいずれか1項に記載の電動倍力式液圧ブレーキ装置において、
前記マスターシリンダ液圧をモニタしながら、該マスターシリンダ液圧が前記マスターシリンダ液圧の低下に対応したものになるよう、前記電動式ブレーキ倍力装置の助勢力低下を行うものであることを特徴とする電動倍力式液圧ブレーキ装置。 - 請求項7に記載の電動倍力式液圧ブレーキ装置において、
前記ブーストピストンのストロークをモニタしながら、該ブーストピストンのストロークが前記マスターシリンダ液圧の低下に対応したものになるよう、前記電動式ブレーキ倍力装置の助勢力低下を行うものであることを特徴とする電動倍力式液圧ブレーキ装置。 - 請求項3〜7のいずれか1項に記載の電動倍力式液圧ブレーキ装置において、
前記電動機の消費電流をモニタしながら、該消費電流が前記マスターシリンダ液圧の低下に対応したものになるよう、前記電動式ブレーキ倍力装置の助勢力低下を行うものであることを特徴とする電動倍力式液圧ブレーキ装置。
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