JP2009274498A - 車両のフード跳ね上げ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一端が車両のフロントフード11に固定されたフードブラケット50に、他端が車体側にそれぞれ上下方向に揺動自在に支持され、フロントフード11の開閉におけるヒンジ機構をなす中間アーム60と、フードブラケット50と中間アーム60とを固定する固定手段と、車両と被衝突物との衝突とが衝突した場合に、フロントフード11を上方に押してボルト70による固定を解除しフロントフード11の後部を跳ね上げるアクチュエータ10と、を備えた車両のフード跳ね上げ装置において、固定手段は、フードブラケット50に設けられた嵌合孔55に挿通してフロントフード11と中間アーム60とを締結するボルト70を備えるとともに、嵌合孔55は、固定解除の際にボルト70の軸がその押し付け方向に対して略垂直方向の移動が許容されるよう形成される。
【選択図】図2
Description
例えば、歩行者との衝突時にフロントフードを持ち上げることでエンジンルーム内の空間を確保し、歩行者がフロントフードと衝突した際にエンジン等の固い部品に当たらないようにする技術がある。
また、請求項3の発明は、請求項1において、嵌合部は、締結軸の軸径より長い長径を有する長孔で形成されたことを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の何れかにおいて、嵌合部は、締結手段の軸径より上下方向に長くなるように形成されていることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の何れかにおいて、締結手段は、車幅方向に締結することを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7の何れかにおいて、フロントフード側またはリンク部材側には、該フロントフードまたは該リンク部材の本体部に揺動可能に係止されかつ先端に嵌合部を有するロックレバーを更に備え、アクチュエータは、衝突検出手段により衝突が検出された場合に、ロックレバーを押して揺動させ、固定手段によるリンク部材またはフロントフードとロックレバーとの固定を解除し、更にフロントフードを押して該フロントフードの後部を跳ね上げることを特徴とする。
特に、本発明の車両のフード跳ね上げ装置では、固定手段は、締結手段の締結によってフロントフードとリンク部材とを互いに押しつけて固定するので、上記特許文献1のような遊びが抑制され、フロントフードとリンク部材とがガタつきなく固定されて、フロントフードの振動による騒音を防止することができる。また、フロントフード後端上面の高さと車体側のフロントフェンダの上面の高さのばらつきを少なくすることができる。
更に、締結手段による締結力(トルク)を適性に管理することで、フロントフードの後部を跳ね上げる際のフロントフードとリンク部材との固定解除の信頼性を向上させることができる。
また、本発明の請求項3の車両のフード跳ね上げ装置によれば、フロントフードの後部を跳ね上げる際には、締結軸を長孔内で移動させることによってフロントフードとリンク部材との固定を解除させることができる。また、嵌合部を長孔にすることで、固定解除後の締結軸の必要以上の移動を規制するストッパとしての機能を得ることができる。
また、本発明の請求項5の車両のフード跳ね上げ装置によれば、フロントフードの跳ね上げ方向に対して略垂直な方向にフロントフードとリンク部材とが互いに押しつけられて固定されるので、固定手段による固定を解除させる際にその移動方向とフロントフードの跳ね上げ方向とが略同一となり、固定手段の固定解除と跳ね上げの動作が迅速かつスムーズに連なるとともに、固定手段による固定の解除をより確実に行うことができる。
また、本発明の請求項7の車両のフード跳ね上げ装置によれば、締結手段の締結力を適正な値に容易に調節できるとともに締結手段の締結力を維持することができ、生産性及び信頼性を向上させることができる。
図1は、本発明に係るフード跳ね上げ装置を備えた車両の概略構成図である。
図1に示すように、車両1の車体前部にはエンジンルーム2が形成されている。
また、車両1の車体前部の両側面にはそれぞれフロントフェンダ4、6が配設されている。車両1の車体前端部に設けられたフロントバンパ7の内部には歩行者(被衝突物)との衝突を検知可能な衝突センサ(衝突検出手段)8が設けられており、当該衝突センサ8は車両1に備えられているECU9と電気的に接続されている。
当該フロントフード11は、全閉時にはフロントフード11の前端に設けられたストライカ12が車体側に設けられたラッチ13により固定され、開放時には後端の車幅方向両側部分にそれぞれ設けられたフード跳ね上げ機構20、22に設けられた後述するヒンジ部44を支点として上方に開放する構成をなしている。
図2は本発明の第1実施形態に係るフード跳ね上げ機構20の側面図、図3はフード跳ね上げ機構20の固定部の断面図である。また、図4は、フード跳ね上げ機構20の斜視図である。
図2〜図4に示すように、フード跳ね上げ機構20は、フロントフェンダ4の車幅方向内側に配置される車体側の構造部品4aに固定されているアクチュエータ10及びベースブラケット40、フロントフード11に固定されているフードブラケット50、当該フードブラケット50及びベースブラケット40を連結している中間アーム(リンク部材)60を含んで構成されている。
フードブラケット50は、断面がL字型の板部材であって、第1の面50aがフロントフード11の下面と当接してボルト52により固定される一方、第2の面50bが第1の面50aから車体下方に突出しつつ車体前後方向に延びるように配置されている。フードブラケット50の第2の面50bには、前端部にヒンジ部54が形成されている一方、後端部に嵌合孔(嵌合部)55が形成されている。嵌合孔55は、上下方向に延びたU字状の形状であって、挿通するボルト(締結手段)70の軸径より上下方向に長く形成されるとともに、フードブラケット50の第2の面50bの下端で開口している。
以上のように構成されたフード跳ね上げ装置は、例えば車両が所定車速以上で走行していたときに歩行者と衝突し、衝突センサ8により歩行者との衝突が検出された場合に、ECU9からアクチュエータ10に作動信号が送られ、当該アクチュエータ10が作動することでフロントフード11を跳ね上げる。
図5は、フロントフード11通常開時におけるフード跳ね上げ機構20の側面図である。
まず、通常時のフロントフード11全閉状態では、フード跳ね上げ機構20は上記図2に示すようにボルト70によりフロントフード11と中間アーム60とが固定されている。そして、車両1前端のラッチ13を解除しフロントフード11を開放した場合には、図5に示すように、ベースブラケット40のヒンジ部44においてピン64を支点として中間アーム60がフードブラケット50、即ちフロントフード11と一体に車両上方向へと揺動する。
衝突センサ8により歩行者との衝突が検出され、ECU9から作動信号が送られたアクチュエータ10は、インフレータを作動させてピストン32を上方に押し出す。
このとき、フロントフード11は全閉状態であり、ピストン32が上方に押し出されることで、ピストン32の先端がフードブラケット50に接触する。そして、ピストン32がボルト70による締結力に抗してフードブラケット50を押すことで、フードブラケット50と中間アーム60との締結が解除される。ボルト70が挿通する嵌合孔55は、U字状に開口しており、ボルト70をその押し付け方向である軸線方向に対して垂直方向の移動を許容する許容部を備えているので、フロントフード11の後部は、図6に示すように、フードブラケット50を介してピストン32により上方に押されて跳ね上げられる。
本実施形態では、ボルト70がフードブラケット50と中間アーム60とを互いに押しつけて締結するので、ボルト70によりフードブラケット50と中間アーム60とがガタ付き無く固定され、車両の走行時やフロントフード11の開閉時にフロントフード11の振動による騒音を防止することができる。また、フードブラケット50とベースブラケット40を治具にそれぞれ固定して、規定高さにセットした後に、ボルト70でフードブラケット50と中間アーム60とを互いに押しつけて締結すると、フードブラケット50とベースブラケット40の高さが一定に保たれ、フロントフード11後端上面の高さと車体側のフロントフェンダ4、6の上面の高さのばらつきを少なくすることができる。
次に本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係るフード跳ね上げ機能の固定部の拡大断面図である。以下、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
ボルト80は、中間部に鍔部80aを備えている。ボルト80の一端80bは、中間アーム60の雌ネジ66の代わりに設けられた嵌合孔81を挿通してかしめられており、この一端80bと鍔部80aとの間に挟まれるようにして中間アーム60が固定されている。一方、ボルト80の他端部には、先端側が小径となる段付部80cが形成されており、段付部80cより先端側にはねじ部80dが形成されている。そして、ボルト80の他端側は、フードブラケット50の嵌合孔55を挿通してナット90が締結されている。即ち、本実施形態は第1実施形態と比較して、中間アーム60とボルトとの固定をねじ固定ではなくかしめによる固定にしている点と、フードブラケット50とともに皿バネ90aを共締めしている点とが異なっている。また、ボルト80に段付部80cを設けることにより、ナット90を完全に締め付けてもフードブラケット50はナット90の本体90bに接触せず、鍔部80aと皿バネ90aとの間に挟持される構造となっている。この段付部80cにより、フードブラケット50と中間アーム60との固定は、ナット90の締め付け力に左右されず皿バネ90aの反発力で規定され、ナット90の締め付け力の管理が比較的重要ではなくなる。
尚、本実施例では締結力によって弾性変形する変形部材の皿バネ90aについて示したが、締結力によって塑性変形する変形部材でもよい。つまり、該変形部材は、ナット90を完全に締め付けてもフードブラケット50はナット90の本体90bに接触せず、鍔部80aと該変形部材とでフードブラケット50と中間アーム60とを互いに押し付ける機能を有すればよく、そうする事によって、締め付け力に左右されず変形部材の反発力で規定され、ナット90の締め付け力の管理が比較的重要ではなくなる。
次に本発明の第3実施形態について説明する。
図8は、本発明の第3実施形態に係るフード跳ね上げ機構100の側面図である。以下、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図9は、第3実施形態に係るロックレバー110解除時におけるフード跳ね上げ機構20の側面図である。図10は、第3実施形態に係るフロントフード跳ね上げ時におけるフード跳ね上げ機構100の側面図である。
また、第3実施形態において、ピン112の周囲にスプリングを設け、一端部110aが後方に向かう方向にロックレバー110を付勢するとよい。このようにすれば、振動等によりボルト70の締結力が低下した場合に、アクチュエータ10が伸長しない限りロックレバー110が揺動せずに中間アーム60との締結が解除されないので、フロントフード11の意図しない移動が防止される。
また、上記実施形態では、ボルト70、80等の締結手段によって、フードブラケット50と中間アーム60とを車幅方向に互いに押し付けて締結しているが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば車両前後方向に押し付けて締結してもよい。あるいは、ボルト70の軸方向、即ち締結手段による締結方向は、フードブラケット50と中間アーム60とが車幅方向や車両前後方向のように略水平方向に押し付けられれば、この押し付け方向に必ずしも一致させる必要はない。
また、以上の実施形態ではフロントフード11側に締結軸が移動可能な嵌合孔55、114、120を設け、中間アーム60側に締結軸を固定する構成であるが、逆に中間アーム60側に締結軸が移動可能な嵌合孔を設け、フロントフード11側に締結軸を固定する構成でもよい。
2 フロントフード
4、6 フロントフェンダ
8 衝突センサ
10 アクチュエータ
20、22、100 フード跳ね上げ機構
55、114、120 嵌合孔
66 雌ネジ
60 中間アーム
70 ボルト
80a 皿バネ
110 ロックレバー
Claims (9)
- 車両のフロントフード後部の下方に位置し、一端が該フロントフード側に、他端が車体側にそれぞれ上下方向に揺動自在に支持され、前記フロントフードの開閉におけるヒンジ機構をなすリンク部材と、
前記フロントフードとリンク部材とを固定する固定手段と、
前記車両と被衝突物との衝突を検出する衝突検出手段と、
該衝突検出手段により衝突が検出された場合に、前記固定手段による固定を解除して前記フロントフードの後部を跳ね上げるアクチュエータと、を備えた車両のフード跳ね上げ装置において、
前記固定手段は、前記フロントフード側またはリンク部材側のいずれか一方に設けられる嵌合部と、前記嵌合部に挿通する締結軸を有し、締結力によって前記フロントフード側またはリンク部材側の一方を他方に押し付けて前記フロントフードとリンク部材とを固定する締結手段とを備えるとともに、
前記嵌合部は、固定解除の際に前記締結軸を前記押し付け方向に対して略垂直方向の移動を許容する許容部を備えることを特徴とする車両のフード跳ね上げ装置。 - 前記嵌合部は、開口部を有する孔で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のフード跳ね上げ装置。
- 前記嵌合部は、前記締結軸の軸径より長い長径を有する長孔で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のフード跳ね上げ装置。
- 前記嵌合部は、前記締結手段の軸径より上下方向に長くなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の車両のフード跳ね上げ装置。
- 前記固定手段は、前記フロントフードの後部の跳ね上げ方向に対して略垂直な方向に前記フロントフードとリンク部材とを互いに押しつけて固定することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の車両のフード跳ね上げ装置。
- 前記締結手段は、車幅方向に締結することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の車両のフード跳ね上げ装置。
- 前記締結手段は、締結力によって変形する変形部材を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の車両のフード跳ね上げ装置。
- 前記フロントフード側または前記リンク部材側には、該フロントフードまたは該リンク部材の本体部に揺動可能に係止されかつ先端に嵌合部を有するロックレバーを更に備え、
前記アクチュエータは、前記衝突検出手段により衝突が検出された場合に、前記ロックレバーを押して揺動させ、前記固定手段によるリンク部材またはフロントフードとロックレバーとの固定を解除し、更に前記フロントフードを押して該フロントフードの後部を跳ね上げることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の車両のフード跳ね上げ装置。 - 前記ロックレバーは、前記嵌合部内で前記締結軸が前記フロントフードの後部の跳ね上げ方向へ移動するのを規制する規制部を備えることを特徴とする請求項8に記載の車両のフード跳ね上げ装置。
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