図1は、本発明の一実施例に係るニップ圧調整装置を表す縦断面図(図3のI−I断面図)、図2は、本実施例のニップ圧調整装置を表す横断面図(図3のII−II断面図)、図3は、図1のIII−III断面図、図4は、図1のIV−IV断面図、図5は、本実施例の新聞用オフセット輪転印刷機を表す概略図、図6は、本実施例の新聞用オフセット輪転印刷機における印刷ユニットの概略構成図である。
本実施例において、図5に示すように、オフセット輪転印刷機として適用された新聞用オフセット輪転印刷機は、給紙装置11と、印刷装置12と、ターンバー装置13と、折機14とから構成されている。そして、給紙装置11には、それぞれウェブ(用紙)Wがロール状に巻かれた3つの巻取紙Rを保持する複数の保持アーム15が設けられ、この各保持アーム15を回動することで、巻取紙Rを給紙位置に回動することができる。また、この給紙装置11には、図示しない紙継装置が設けられており、給紙位置で繰り出されている巻取紙Rが残り少なくなると、この紙継装置により給紙位置にある巻取紙Rに対して、待機位置にある巻取紙Rを紙継することができる。
また、印刷装置12には、両面4色印刷を行う多色刷印刷ユニット16と、両面2色印刷を行う2色刷印刷ユニット17が設けられている。この多色刷印刷ユニット16及び2色刷印刷ユニット17は、給紙装置11から供給されたウェブWに対して所定の印刷を行うことができる。なお、本実施例では、印刷装置12を、多色刷印刷ユニット16と2色刷印刷ユニット17により構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、両面単色印刷を行う両面単色刷ユニット、一面4色または2色印刷を行う多色刷印刷ユニットなど印刷物に応じて適宜各種ユニットを組み合わせて使用すればよい。
また、ターンバー装置13には、図示しない複数のターンバーが設けられており、各印刷ユニット16,17から送り出された各ウェブWの走行ルートを変更し、所定の順番に重ね合わせることができる。折機14は、ターンバー装置13から搬送されたウェブWを縦折りし、所定の長さで横裁断し、更に横折りして所望の折帖を形成した後に排紙するものである。
従って、まず、給紙装置11から印刷装置12を構成する多色刷印刷ユニット16や2色刷印刷ユニット17にウェブWが供給されると、各印刷ユニット16,17では、各ウェブWに対して4色刷や2色刷が行われる。次に、各印刷ユニット16,17で印刷が施された複数のウェブWは、ターンバー装置13にて、走行ルートが変更されると共に、所定の順番に重ね合わせられる。そして、複数重ね合わされたウェブWは、折機14に搬送され、ここで縦折りされた後、横裁断され、更に横折りされて所望の折帖が形成され、羽根車により排紙コンベア上に排紙される。
ここで、上述した印刷装置12における印刷ユニット16,17について説明するが、各印刷ユニット16,17のローラ配列はほぼ同様であるため、多色刷印刷ユニット16についてのみ詳細に説明する。また、この印刷ユニット16は、4色印刷を行うことが可能となっており、各色のローラ配列はほぼ同様であるため、その一つのローラ配列についてのみ詳細に説明する。
印刷ユニット16において、図6に示すように、垂直方向に沿ったウェブWの搬送経路に対して、左右対称にローラが配列されており、ウェブWの搬送経路に対して、左側が表面印刷を行う表面印刷ユニット21であり、右側が裏面印刷を行う裏面印刷ユニット41である。
表面印刷ユニット21は、インキつぼ(インキ供給装置)22と、インキ元ローラ23と、受渡ローラ24と、3つの練ローラ25,26,27と、3つの往復ローラ28,29,30と、3つのインキ着ローラ31,32,33と、版胴35と、ブランケット胴36とがほぼ直列に対接して回転自在に支持されて構成されている。また、表面印刷ユニット21には、湿し水を供給する湿し水供給装置が設けられている。版胴35には、水着ローラ34が対接して回転自在に支持され、この水着ローラ34には、往復ローラ30が対接して回転自在に支持され、往復ローラ30に近接してスプレーダンプナー37が配設されている。このスプレーダンプナー37は、往復ローラ30の軸方向に沿って複数のスプレーノズルが配置されて構成され、湿し水を扇状に霧化して往復ローラ30に付与するものである。
即ち、インキつぼ22は、予め設定された所定粘性のインキを貯留するものであって、インキ元ローラ23が隣接して設けられている。このインキ元ローラ23は、インキつぼ22の図示しないインキキーにより調量されたインキを練り出すものであって、表面が金属により形成され、図示しないフレームに回転自在に支持されている。そして、このインキ元ローラ23は、図示しない駆動装置により矢印方向に駆動回転可能となっている。
受渡ローラ24は、インキ元ローラ23のインキを受け渡すものであって、表面が金属または樹脂により形成され、インキ元ローラ23に対接するようにフレームに回転自在に支持されている。練ローラ25は、受渡ローラ24から受け渡されたインキを練るものであって、表面がゴムにより形成され、受渡ローラ24に対接するようにフレームに回転自在に支持されている。往復ローラ28は、練ローラ25により練られたインキを幅方向に広げるものであって、表面が金属により形成され、練ローラ25に対接するようにフレームに回転自在に支持されると共に、軸方向に往復移動可能となっている。
なお、他の練ローラ26は、隣接するローラ間で受け渡されるインキを練るものであり、練ローラ27は、隣接するローラ間で受け渡される湿し水を練るものであって、表面がゴムにより形成され、隣接するローラに対接するようにフレームに回転自在に支持されている。また、他の往復ローラ29は、隣接するローラ間で受け渡されるインキを幅方向に広げるもの、往復ローラ30は、隣接するローラ間で受け渡される湿し水を幅方向に広げるものであって、表面が金属により形成され、隣接するローラに対接するようにフレームに回転自在に支持されると共に、軸方向に往復移動可能となっている。
インキ着ローラ31,32,33と水着ローラ34は、往復ローラ28,29により広げられたインキ、もしくは往復ローラ30により広げられた湿し水を受け取って供給するものであって、表面がゴムにより形成され、往復ローラ28,29,30に対接するようにフレームに回転自在に支持されている。そして、受渡ローラ24と往復ローラ28,29,30は、図示しないギアにより同期駆動するように連結され、駆動装置により矢印方向に駆動回転可能となっている。また、練ローラ25,26,27とインキ着ローラ31,32,33と水着ローラ34は上記駆動回転するローラとの摩擦接触による回転伝達で、図示する矢印方向に駆動回転可能となっている。
版胴35は、表面に図示しない刷版が巻き付けられる金属ローラであり、インキ着ローラ31,32,33のインキが刷版の画線部に受け渡されると共に、水着ローラ34の湿し水が刷版の非画線部に受け渡されるものである。この版胴35は、インキ着ローラ31,32,33と水着ローラ34に対接するようにフレームに回転自在に支持されている。ブランケット胴36は、表面に図示しないブランケット(ゴム)が巻き付けられるゴムローラであり、版胴35から受け渡されたインキをウェブWに転写するものであって、版胴35に対接するようにフレームに回転自在に支持されている。そして、版胴35とブランケット胴36は、図示しないギアにより同期駆動するように連結され、駆動装置により矢印方向に駆動回転可能となっている。
この場合、版胴35に装着される刷版は、絵柄のある領域(画線部)と絵柄のない領域(非画線部)が形成され、画線部が親油性であり、非画線部が親水性である。そのため、版胴35に装着された刷版に対して、インキ着ローラ31,32,33からインキが供給されると共に、水着ローラ34から湿し水が供給されると、画線部のみにインキが転写され、非画線部に湿し水が転写される。そして、版胴35に対してブランケット胴36が対接して同期回転すると、版胴35から画線部にあるインキがブランケット胴36に転写される。
一方、裏面印刷ユニット41も同様の構成となっており、インキつぼ(インキ供給装置)42と、インキ元ローラ43と、受渡ローラ44と、3つの練ローラ45,46,47と、3つの往復ローラ48,49,50と、3つのインキ着ローラ51,52,53と、版胴55と、ブランケット胴56とがほぼ直列に対接して回転自在に支持されて構成されている。また、裏面印刷ユニット41には、湿し水を供給する湿し水供給装置が設けられている。版胴55には、水着ローラ54が対接して回転自在に支持され、この水着ローラ54には、往復ローラ50が対接して回転自在に支持され、往復ローラ50に近接してスプレーダンプナー57が配設されている。このスプレーダンプナー57は、往復ローラ50の軸方向に沿って複数のスプレーノズルが配置されて構成され、湿し水を扇状に霧化して往復ローラ50に付与するものである。
即ち、インキつぼ42は、予め設定された所定粘性のインキを貯留するものであって、インキ元ローラ43が隣接して設けられている。このインキ元ローラ43は、インキつぼ42の図示しないインキキーにより調量されたインキを練り出すものであって、表面が金属により形成され、図示しないフレームに回転自在に支持されている。そして、このインキ元ローラ43は、図示しない駆動装置により矢印方向に駆動回転可能となっている。
受渡ローラ44は、インキ元ローラ43のインキを受け渡すものであって、表面が金属または樹脂により形成され、インキ元ローラ43に対接するようにフレームに回転自在に支持されている。練ローラ45は、受渡ローラ44から受け渡されたインキを練るものであって、表面がゴムにより形成され、受渡ローラ44に対接するようにフレームに回転自在に支持されている。往復ローラ48は、練ローラ45により練られたインキを幅方向に広げるものであって、表面が金属により形成され、練ローラ45に対接するようにフレームに回転自在に支持されると共に、軸方向に往復移動可能となっている。
なお、他の練ローラ46は、隣接するローラ間で受け渡されるインキを練るもの、練ローラ47は、隣接するローラ間で受け渡される湿し水を練るものであって、表面がゴムにより形成され、隣接するローラに対接するようにフレームに回転自在に支持されている。また、他の往復ローラ49は、隣接するローラ間で受け渡されるインキを幅方向に広げるもの、往復ローラ50は、隣接するローラ間で受け渡される湿し水を幅方向に広げるものであって、表面が金属により形成され、隣接するローラに対接するようにフレームに回転自在に支持されると共に、軸方向に往復移動可能となっている。
インキ着ローラ51,52,53と水着ローラ54は、往復ローラ48,49により広げられたインキ、もしくは往復ローラ50により広げられた湿し水を受け取って供給するものであって、表面がゴムにより形成され、往復ローラ48,49,50に対接するようにフレームに回転自在に支持されている。そして、受渡ローラ44と往復ローラ48,49,50は、図示しないギアにより同期駆動するように連結され、駆動装置により矢印方向に駆動回転可能となっている。また、練ローラ45,46,47とインキ着ローラ51,52,53と水着ローラ54は上記駆動回転するローラとの摩擦接触による回転伝達で、図示する矢印方向に駆動回転可能となっている。
版胴55は、表面に図示しない刷版が巻き付けられる金属ローラであり、インキ着ローラ51,52,53のインキが刷版の画線部に受け渡されると共に、水着ローラ54の湿し水が非画線部に受け渡されるものである。この版胴55は、インキ着ローラ51,52,53と水着ローラ54に対接するようにフレームに回転自在に支持されている。ブランケット胴56は、表面に図示しないブランケット(ゴム)が巻き付けられるゴムローラであり、版胴55から受け渡されたインキをウェブWに転写するものであって、版胴55に対接するようにフレームに回転自在に支持されている。そして、版胴55とブランケット胴56は、図示しないギアにより同期駆動するように連結され、駆動装置により矢印方向に駆動回転可能となっている。
この場合、版胴55に装着される刷版は、絵柄のある領域(画線部)と絵柄のない領域(非画線部)が形成され、画線部が親油性であり、非画線部が親水性である。そのため、版胴55に装着された刷版に対して、インキ着ローラ51,52,53からインキが供給されると共に、水着ローラ54から湿し水が供給されると、画線部のみにインキが転写され、非画線部に湿し水が転写される。そして、版胴55に対してブランケット胴56が対接して同期回転すると、版胴55から画線部にあるインキがブランケット胴56に転写される。
従って、表面印刷ユニット21にて、インキ元ローラ23により調量されたインキが、インキつぼ22からこのインキ元ローラ23を通して受渡ローラ24に供給される。この受渡ローラ24に供給されたインキは、練ローラ25を通して往復ローラ28に受け渡され、この往復ローラ28が軸方向に往復移動することで、幅方向に広げられる。また、この往復ローラ28で幅方向に広げられたインキは、練ローラ26を通して往復ローラ29に受け渡され、この往復ローラ29が軸方向に往復移動することで、更に幅方向に広げられる。
そして、各往復ローラ28,29により幅方向に広げられたインキは、インキ着ローラ31,32,33に供給され、このインキ着ローラ31,32,33が回転することで、このインキ着ローラ31,32,33上のインキは、版胴35の版面に受け渡される。このとき、インキ着ローラ31,32,33上のインキは、版胴35に装着された刷版の画線部のみに転写される。一方、スプレーダンプナー37は、扇状に霧化した湿し水を往復ローラ30に付与し、水着ローラ34を通して版胴35の版面に受け渡される。このとき、水着ローラ34の湿し水は、版胴35に装着された刷版の非画線部のみに転写される。そして、この版胴35が回転することで、刷版の画線部にあるインキがブランケット胴36に受け渡される。
一方、裏面印刷ユニット41にて、インキ元ローラ43により調量されたインキが、インキつぼ42からこのインキ元ローラ43を通して受渡ローラ44に供給される。この受渡ローラ44に供給されたインキは、練ローラ45を通して往復ローラ48に受け渡され、この往復ローラ48が軸方向に往復移動することで、幅方向に広げられる。また、この往復ローラ48で幅方向に広げられたインキは、練ローラ46を通して往復ローラ49に受け渡され、この往復ローラ49が軸方向に往復移動することで、更に幅方向に広げられる。
そして、各往復ローラ48,49により幅方向に広げられたインキは、インキ着ローラ51,52,53に供給され、このインキ着ローラ51,52,53が回転することで、このインキ着ローラ51,52,53上のインキは、版胴55の版面に受け渡される。このとき、インキ着ローラ51,52,53上のインキは、版胴55に装着された刷版の画線部のみに転写される。一方、スプレーダンプナー57は、扇状に霧化した湿し水を往復ローラ50に付与し、水着ローラ54を通して版胴55の版面に受け渡される。このとき、水着ローラ54の湿し水は、版胴55に装着された刷版の非画線部のみに転写される。そして、この版胴55が回転することで、刷版の画線部にあるインキがブランケット胴56に受け渡される。
その後、各ブランケット胴36,56の間にウェブWが通過するときに、その印圧により各ブランケット胴36,56に転写されたインキ(絵柄)がウェブWの表裏に転写される。即ち、ウェブWの表面に対して、ブランケット胴36のインキが転写され、ウェブWの裏面に対して、ブランケット胴56のインキが転写されることで、ウェブWへの両面印刷が行われる。
その後、各ブランケット胴36,56の間にウェブWが通過するときに、その印圧により各ブランケット胴36,56に転写されたインキ(絵柄)がウェブWの表裏に転写される。即ち、ウェブWの表面に対して、ブランケット胴36のインキが転写され、ウェブWの裏面に対して、ブランケット胴56のインキが転写されることで、ウェブWへの両面印刷が行われる。
このように構成された印刷ユニット16にて、本実施例では、表面印刷ユニット21にて、インキ着ローラ31,32,33を隣接する各ローラとのニップ圧を調整するニップ圧自動調整装置38が設けられている。また、裏面印刷ユニット41にて、インキ着ローラ51,52,53を隣接する各ローラとのニップ圧を調整するニップ圧自動調整装置58が設けられている。そして、このニップ圧自動調整装置38,58によりインキ着ローラ31,32,33,51,52,53を移動し、隣接する各ローラとのニップ圧を自動調整する制御装置60を設けている。
即ち、ニップ圧自動調整装置38,58は、インキ着ローラ31,32,33,51,52,53を移動して、対接する各ローラとのニップ圧を自動調整するものである。この場合、図6では、表面印刷ユニット21にて、3つのインキ着ローラ31,32,33に対して一つのニップ圧自動調整装置38だけ図示しているが、全てのインキ着ローラ31,32,33に対して個別のニップ圧自動調整装置が設けられている。また、同様に、裏面印刷ユニット41にて、3つのインキ着ローラ51,52,53に対して一つのニップ圧自動調整装置58だけ図示しているが、全てのインキ着ローラ51,52,53に対して個別のニップ圧自動調整装置が設けられている。更に、制御装置60は、全てのニップ圧自動調整装置38,58を駆動制御可能となっている。
ここで、ニップ圧自動調整装置38,58について説明するが、各ニップ圧自動調整装置38,58はほぼ同様の構成をなしているため、インキ着ローラ33のニップ圧自動調整装置38についてのみ説明する。また、このニップ圧自動調整装置38は、インキ着ローラ33における軸方向の両側の軸端部に設けられており、両者は同様の構成をなしているため、一方についてのみ説明する。
ニップ圧自動調整装置38において、図1乃至図4に示すように、フレーム61には、ハウジング62が固定されている。このハウジング62は、フレーム61に支持される円盤形状をなす第1支持部62aと、この第1支持部62aに一体に形成されて略四角筒形状をなす第2支持部62bと、この第2支持部62bに連結ボルト62cにより連結されて先端が開口する円筒形状をなす第3支持部62dとを有している。
ハウジング62の第1支持部62aには、4つのエアシリンダ(第1駆動手段)63,64,65,66が固定ボルト67により固定されている。この各エアシリンダ63,64,65,66は、第1支持部62aを貫通して第2支持部62bの外周辺に突出する駆動ロッド63a,64a,65a,66aを有している。各エアシリンダ63,64,65,66は、往復動シリンダであって、高圧エアを給排可能な2つのエア給排管(図示略)が連結されている。従って、各エアシリンダ63,64,65,66に対してエアを給排することで、各駆動ロッド63a,64a,65a,66aをインキ着ローラ33の軸方向に沿って移動、つまり、伸長または収縮することができる。
ハウジング62の第2支持部62bは、第1支持部62aより小径をなし、外周面のおける4つの角部にそれぞれ軸方向に沿ってガイド部材68が固定ボルト69により固定されている。そして、各エアシリンダ63,64,65,66は、駆動ロッド63a,64a,65a,66aの先端部に第1くさび部材(第1移動体)70,71,72,73が固定ボルト74,75,76,77により固定されている。この第1くさび部材70,71,72,73は、背面及び両側面の一部が第2支持部62b及び各ガイド部材68により移動自在に支持されている。また、第1くさび部材70,71,72,73は、前面に第1傾斜面(カム面)70a,71a,72a,73aが形成されている。この第1傾斜面70a,71a,72a,73aは、駆動ロッド63a,64a,65a,66aの移動方向に対して所定角度傾斜している。
ハウジング62には、第1支持部62a及び第2支持部62bを囲繞するように支持され、円筒形状をなすローラホルダ78が配設されている。このローラホルダ78は、第3支持部62dに対向して円盤形状をなす固定プレート78aと、この固定プレート78aに連結ボルト78bにより連結されて円筒形状をなす壁面部78cとを有している。そして、このローラホルダ78の固定プレート78aの外面には、軸受79が固定され、この軸受79にインキ着ローラ33の回転軸33aが回転自在に支持されている。
また、ローラホルダ78の壁面部78cには、その内周面に周方向にほぼ均等間隔で4つの第2くさび部材80,81,82,83が固定ボルト84,85,86,87により固定されている。この第2くさび部材80,81,82,83は、背面が壁面部78cの内面に密着して固定され、前面に第2傾斜面(カム面)80a,81a,82a,83aが形成されている。この第2傾斜面80a,81a,82a,83aは、駆動ロッド63a,64a,65a,66aの移動方向に対して所定角度傾斜、つまり、第1傾斜面70a,71a,72a,73aと同じ角度となっている。そして、第1くさび部材70,71,72,73の第1傾斜面70a,71a,72a,73aが、第2くさび部材80,81,82,83の第2傾斜面80a,81a,82a,83aに移動自在に密着し、第2傾斜面80a,81a,82a,83aの面積が第1傾斜面70a,71a,72a,73aの面積より大きく設定されている。
なお、本実施例では、本発明の移動機構は、第1移動体としての第1くさび部材70,71,72,73と、第2移動体としての第2くさび部材80,81,82,83と、カム面としての第1傾斜面70a,71a,72a,73a及び第2傾斜面80a,81a,82a,83aにより構成されている。
なお、ハウジング62の第1支持部62aには、ローラホルダ78の壁面部78cとの接触部にリング形状をなす摺動部材88が固定され、ハウジング62の第3支持部62dには、各第2くさび部材80,81,82,83との接触部にリング形状をなす摺動部材89が固定されている。各摺動部材88,89は、ハウジング62に対してローラホルダ78が径方向に沿って円滑に移動できるようにその移動をガイドしている。
従って、エアシリンダ63の駆動ロッド63aを伸長駆動すると、第1くさび部材70が前進し、傾斜面70a,80aを介して第2くさび部材80を押圧し、この第2くさび部材80と共にローラホルダ78を径方向一方(図1にて上方に)移動させる。この作動と同時に、エアシリンダ64の駆動ロッド64aを収縮駆動すると、第1くさび部材71が後退する。すると、第2くさび部材81が径方向一方側へ移動可能となり、ローラホルダ78の移動を許容する。
また、エアシリンダ64の駆動ロッド64aを伸長駆動すると、第1くさび部材71が前進し、傾斜面71a,81aを介して第2くさび部材81を押圧し、この第2くさび部材81と共にローラホルダ78を径方向他方(図1にて下方)に移動させる。この作動と同時に、エアシリンダ63の駆動ロッド63aを収縮駆動すると、第1くさび部材70が後退する。すると、第2くさび部材80が径方向他方側へ移動可能となり、ローラホルダ78の移動を許容する。
即ち、エアシリンダ63における駆動ロッド63aの伸長量(収縮量)と、エアシリンダ64における駆動ロッド64aの収縮量(伸長量)を同量とすることで、傾斜面70a,80a、傾斜面71a,81aを密着させたままで、ローラホルダ78を径方向(図1にて上下方向)へ移動することができる。
同様に、エアシリンダ65における駆動ロッド65aの伸長量(収縮量)と、エアシリンダ66における駆動ロッド66aの収縮量(伸長量)を同量とすることで、傾斜面72a,82a、傾斜面73a,83aを密着させたままで、ローラホルダ78を径方向(図2にて上下方向)へ移動することができる。
この場合、ローラホルダ78は、壁面部78cの内側に4つの第2くさび部材80,81,82,83が周方向に所定の間隔をもって固定され、この4つの第2くさび部材80,81,82,83に対向して第1くさび部材70,71,72,73がそれぞれ設けられ、第1くさび部材70,71,72,73の移動に対して、第1傾斜面70a,71a,72a,73aが、第2くさび部材80,81,82,83の第2傾斜面80a,81a,82a,83a内を移動することで、ローラホルダ78をその径方向のいずれの方向でも移動することができる。即ち、4つのエアシリンダ63,64,65,66を同時に伸縮駆動することで、図3にて、ローラホルダ78を上方へ移動しながら、右方へ移動することができる。
なお、本実施例にて、図6に示すように、インキ着ローラ33は、往復ローラ29及び版胴35と対接しており、両者とのニップ圧を調整する必要がある。そのため、対向するくさび部材70,71,80,81と、対向するくさび部材72,73,82,83を交差する方向に配置している。この場合、インキ着ローラ33が一つのローラだけと対接しているとき、例えば、対向するくさび部材70,71,80,81だけで構成してもよい。
また、ニップ圧自動調整装置38にて、図1乃至図4に示すように、ハウジング62の第2支持部62bには、その中心部にエア配管91が軸方向に沿って移動自在に配設されている。ハウジング62の第3支持部62dには、円盤形状をなして固定プレート78aと対向する押圧プレート92が軸方向に移動自在に嵌合している。そして、エア配管91は、先端部が第3支持部62dまで延設され、押圧プレート92を貫通し、連結ナット93により連結されている。
この場合、第2支持部62bとエア配管91との間にブッシュ94が介装されることで、エア配管91の径方向の移動を規制している。また、第2支持部62bとエア配管91との間にOリング(シール部材)95が介装されると共に、第3支持部62dと押圧プレート92との間にOリング(シール部材)96が介装されることで、圧力室97が区画されている。そして、エア配管91は、先端部が閉塞されると共に、圧力室97に連通する開口91aが形成されている。また、第2支持部62bとエア配管91との間に圧縮コイルバネ(付勢部材)98が介装されている。そのため、押圧プレート92は、圧縮コイルバネ98の付勢力がエア配管91を介して作用することで、固定プレート78aから離間する方向に付勢支持される。
また、エア配管91は、基端部にエアホース99が連結され、このエアホース99は、ハウジング62の外まで延設され、電磁弁100を介してエア供給源101に連結されている。なお、本実施例にて、本発明の第2駆動手段及びエア供給機構は、エア配管91、圧力室97、エアホース99、電磁弁100、エア供給源101により構成されている。
従って、電磁弁100により、圧力室97がエア配管91及びエアホース99を介して大気に開放されているとき、押圧プレート92は、圧縮コイルバネ98の付勢力により固定プレート78aから離間する位置に位置決めされる。一方、電磁弁100を操作することで、エア供給源101のエアをエアホース99を通してエア配管91に供給し、開口91aから圧力室97に供給すると、押圧プレート92は、圧縮コイルバネ98の付勢力に抗して固定プレート78aに接近する。そして、この押圧プレート92が固定プレート78aに押圧することで、両者の摩擦力によりハウジング62に対してローラホルダ78を拘束することができる。
ここで、上述した本実施例のニップ圧自動調整装置38におけるインキ着ローラ33のニップ圧調整方法について説明する。
インキ着ローラ33のニップ圧を調整する場合、まず、電磁弁100を操作し、圧力室97のエアをエア配管91、エアホース99を介して大気に排出し、押圧プレート92を圧縮コイルバネ98の付勢力により固定プレート78aから離間させる。すると、インキ着ローラ33を支持するローラホルダ78は、ハウジング62(フレーム61)に対して径方向への移動の拘束が解除される。
次に、この状態で、各エアシリンダ63,64,65,66における駆動ロッド63a,64a,65a,66aを伸長駆動または収縮駆動し、第1くさび部材70,71,72,73を前進または後退する。すると、この第1くさび部材70,71,72,73の前進または後退により、第1傾斜面70a,71a,72a,73a及び第2傾斜面80a,81a,82a,83aを介して第2くさび部材80,81,82,83が径方向に押圧され、ローラホルダ78が径方向に移動する。このとき、各エアシリンダ63,64,65,66の伸縮量を調整することで、ローラホルダ78の移動方向及び移動量が調整され、図6に示すように、インキ着ローラ33は、往復ローラ29とのニップ圧が調整されると共に、版胴35とのニップ圧が調整される。
即ち、図3にて、第1くさび部材70を前進(紙面手前へ移動)して第1くさび部材71を後退(紙面奥へ移動)させると、各第2くさび部材80,81が上方に移動し、ローラホルダ78を上方に移動することができる。また、第1くさび部材72を前進(紙面手前へ移動)して第1くさび部材73を後退(紙面奥へ移動)させると、各第2くさび部材82,83が右方に移動し、ローラホルダ78を右方に移動することができる。そのため、各第1くさび部材70,71,72,73を同時に上述した方向に移動すると、ローラホルダ78を右上方に移動することができる。
このとき、第1くさび部材70,71,72,73の前進または後退に伴って、第1傾斜面70a,71a,72a,73aが、第2傾斜面80a,81a,82a,83a内を斜めに移動することで、第2くさび部材80,81,82,83と共にローラホルダ78を右上方に移動することができる。
その後、ローラホルダ78を移動することで、インキ着ローラ33は、往復ローラ29及び版胴35とのニップ圧が適正に調整されると、各エアシリンダ63,64,65,66における駆動ロッド63a,64a,65a,66aの伸長駆動または収縮駆動を停止する。そして、電磁弁100を操作し、エア供給源101のエアをエアホース99、エア配管91を通して開口91aから圧力室97に供給する。すると、圧力室97が高圧となり、押圧プレート92は、そのエア圧により圧縮コイルバネ98の付勢力に抗して固定プレート78aに接近し、所定の圧力で密着する。そのため、押圧プレート92と固定プレート78aとの摩擦力によりハウジング62(フレーム61)に対して、ローラホルダ78が拘束されることとなり、インキ着ローラ33は、往復ローラ29及び版胴35とニップ圧が適正に調整された位置に位置決めされる。
なお、ここでは、インキ着ローラ33の軸方向の一方のニップ圧自動調整装置38によるニップ圧の調整作業について説明したが、実際には、インキ着ローラ33の軸方向の両方のニップ圧自動調整装置38を用いてニップ圧を調整する。また、ニップ圧自動調整装置38により、一つのインキ着ローラ33を移動し、往復ローラ29及び版胴35とのニップ圧を調整する場合について説明したが、ニップ圧自動調整装置38,58は、全てのインキ着ローラ31,32,33,51,52,53を移動することで、対接する往復ローラ28,29,30,48,49,50及び版胴35,55とのニップ圧を調整することができる。
このように本実施例のニップ圧調整装置にあっては、フレーム61にハウジング62を固定し、このハウジング62にローラホルダ78を径方向に移動自在に支持し、このローラホルダ78にインキ着ローラ31,32,33,51,52,53の回転軸を回転自在に支持し、ハウジング62にエアシリンダ63,64,65,66を装着し、駆動ロッド63a,64a,65a,66aの先端部に第1くさび部材70,71,72,73を連結する一方、ローラホルダ78に第1くさび部材70,71,72,73により押圧可能な第2くさび部材80,81,82,83を固定している。
従って、エアシリンダ63,64,65,66により第1くさび部材70,71,72,73を前進または後退すると、ハウジング62に対して、第1傾斜面70a,71a,72a,73a及び第2傾斜面80a,81a,82a,83aにより第2くさび部材80,81,82,83と共にローラホルダ78が径方向に移動することとなり、インキ着ローラ31,32,33,51,52,53と隣接するローラとのニップ圧を容易に調整することができる。この場合、カム面として第1傾斜面70a,71a,72a,73a及び第2傾斜面80a,81a,82a,83aを用いて移動方向を変換してローラホルダ78を径方向に移動することで、十分なニップ調整量を確保することができると共に、耐久性及び信頼性の向上を図ることができる。
また、本実施例のニップ圧調整装置では、本発明の移動機構として、第1傾斜面70a,71a,72a,73aを有する第1くさび部材70,71,72,73と、第2傾斜面80a,81a,82a,83aを有する第2くさび部材80,81,82,83とを設け、第1傾斜面70a,71a,72a,73aと第2傾斜面80a,81a,82a,83aとを密着させている。従って、軸方向の駆動力を第1傾斜面70a,71a,72a,73a及び第2傾斜面80a,81a,82a,83aによりほぼ直行する径方向の駆動力に変換し、ローラホルダ78を移動することとなり、構造の簡素化及び小型化を可能とすることができる。
この場合、本発明の移動機構を、第1移動体としての第1くさび部材70,71,72,73と、第2移動体としての第2くさび部材80,81,82,83と、第1傾斜面70a,71a,72a,73a及び第2傾斜面80a,81a,82a,83aとから構成されるくさび機構しており、構造の簡素化及び小型化を可能とすると共に、容易にニップ圧を調整することができる。
また、駆動手段としてのエアシリンダ63,64,65,66をフレーム62側に設けると共に、第2移動体としての第2くさび部材80,81,82,83をローラホルダ78側に設けており、エアシリンダ63,64,65,66の駆動源、つまり、エア配管を容易に確保することができ、構造の簡素化及び小型化を可能とすることができる。
また、本実施例のニップ圧調整装置では、第1くさび部材70,71,72,73及び第2くさび部材80,81,82,83を径方向に対向した組みとして設けている。従って、対向位置にあるエアシリンダ63,64またはエアシリンダ65,66を伸縮することで、第1くさび部材70,71,72,73及び第2くさび部材80,81,82,83を介してローラホルダ78を径方向の一方側または他方側に移動することができ、ローラ間のニップ圧調整を容易に行うことができる。また、4組の第1くさび部材70,71,72,73及び第2くさび部材80,81,82,83を設けることで、ローラホルダ78を径方向における全ての方向に移動することができ、ローラ間のニップ圧調整を高精度に行うことができる。
また、本実施例のニップ圧調整装置では、ローラホルダ78に円盤形状をなす固定プレート78aを設ける一方、ハウジング62に固定プレート78aに接近離反自在な押圧プレート92を設け、この押圧プレート92を固定プレート78aに押圧することで、ハウジング62に対してローラホルダ78を拘束するエア配管91を設けている。従って、ローラ間のニップ圧調整を実行した後、押圧プレート92を固定プレート78aに押圧し、両者の摩擦力によりローラホルダを拘束することで、ローラをその調整位置に位置決めすることができ、構造の簡素化及び小型化を可能とすることができる。また、この場合、押圧プレート92及び固定プレート78aを別途設け、ハウジング62に対してローラホルダ78を拘束するため、振動を第1傾斜面70a,71a,72a,73aと第2傾斜面80a,81a,82a,83aで全て受ける必要がなくなることから、摩耗を抑制して長寿命化を図ることができる。
また、本実施例のニップ圧調整装置では、押圧プレート92を固定プレート78aから離間する方向に付勢する圧縮コイルバネ98を設け、高圧エアにより圧縮コイルバネ98の付勢力に抗して押圧プレート92を固定プレート78a側に移動可能としている。従って、ローラホルダ78の拘束をエア圧により行い、その解除を圧縮コイルバネ98の付勢力により行うことで、構造の簡素化及び小型化を可能とすることができる。
なお、上述した実施例では、第1くさび部材と第2くさび部材からなる移動機構を4つ設けたが、1つで構成してもよい。即ち、ニップを調整するローラに対接するローラが1つであるとき、ローラ間のニップ圧が高くなる(ローラが接近する)方向にローラを移動可能とする移動機構を設けると共に、ローラ間のニップ圧が低くなる(ローラが離反する)方向にローラを移動する付勢手段(バネ)を設ければよい。また、上述した実施例では、ニップを調整するローラに対接するローラが2つであることから、第1くさび部材と第2くさび部材からなる移動機構を4つ設けたが、3つで構成してもよい。即ち、ハウジングとローラホルダとの間に周方向に均等間隔で3つのくさび部材を設ければよい。
また、上述した実施例では、第1駆動手段をエアシリンダとし、第2駆動手段をエア供給機構としたが、この構造に限定されるものではない。例えば、エアモータ、油圧モータ、電気モータ、油圧供給機構などとしてもよい。
また、上述した実施例では、第1駆動手段としてのエアシリンダ63,64,65,66をフレーム61側に設け、第2移動体としての第2くさび部材80,81,82,83をローラホルダ78側に設けたが、この構成に限定されるものではない。即ち、第1駆動手段をフレーム61側に設け、第2移動体をローラホルダ78側に設けてもよい。
また、上述した実施例では、本発明のニップ圧調整装置をインキ着ローラに適用して説明したが、練ローラに適用してもよい。また、本発明のニップ圧調整装置をインキ供給経路のローラに適用したが、湿し水供給経路のローラに適用してもよい。
なお、インキの供給方法として、インキ元ローラと受渡ローラとの間に所定のギャップを設けることで、インキ元ローラのインキを受渡ローラのくぼみに受け渡して供給するギャップ転移方式(連続インキ供給式)と、インキ元ローラと往復ローラとの間に往復移動する呼出ローラを設けることで、インキ元ローラのインキを呼出ローラを介して往復ローラに受け渡して供給する呼出転移方式(間欠インキ供給式)とがある。本実施例では、ギャップ転移方式(連続インキ供給式)としたが、呼出転移方式(間欠インキ供給式)としてもよい。即ち、上述した実施例では、インキ供給装置をインキつぼ22,42及びインキ元ローラ23,43により構成したが、この構成に限定されるものではなく、受渡ローラ24,44に代えて、インキ元ローラ23,43と練ローラ25,45との間で往復移動する呼出ローラとしてもよい。更に、噴射式のインキ供給ポンプとしてもよい。
また、スプレーダンプナーと往復ローラと練ローラと水着ローラから構成される湿し装置を有する印刷ユニットを適用して説明したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、水無し印刷のように湿し装置を持たない印刷ユニットに適用してもよい。
また、上述した実施例では、本発明のニップ圧調整装置及び印刷機を新聞用オフセット輪転印刷機に適用して説明したが、商業用印刷機など他の印刷機に適用することもできる。また、枚葉印刷機でもよく、両面印刷機としたが、片面印刷機としてもよい。