JP2009274111A - 圧延材の製造方法 - Google Patents

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寿伸 吉貝
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Abstract

【課題】圧延ロールとバックアップロールとの間のスリップを回避して、圧延ロールの表面が傷つくことを防止し、それによって圧延材の品質を高く維持しつつ生産性を向上することができる圧延材の製造方法を提供する。
【解決手段】圧延ロール2間に素材Aを複数回通過させながら、圧延ロール2間のギャップを徐々に減少させて圧延する圧延材の製造方法において、圧延ロール2間に挟持されて送られる素材Aの後端部が圧延ロール2から抜け出るときの素材Aの速度を100m/分以下とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は圧延ロール間に素材を複数回通過させながら、圧延ロール間のギャップを徐々に減少させて圧延する圧延材の製造方法に関する。
厚さ300〜650mm程度のアルミニウム等の鋳塊(スラブ)から板状の圧延材を製造する場合、まず粗圧延として、可逆式圧延機を用いて再結晶温度以上の例えば400〜550℃の温度で厚さ数十mmとなるまで熱間圧延し、さらに仕上げ圧延機で20mm以下まで圧延し、円筒状に巻き取ってコイルとしている。
その可逆式圧延機による熱間圧延は、圧延ロールを介してその前後間で素材を往復走行させるように両圧延ロール間に複数回通過させながら、圧延ロール間のギャップを徐々に減少させることにより、その厚さを薄くしていく方法である。
このような熱間圧延において、その素材の送り速度を速くすると生産性を高めることができるが、圧延ロールの回転数の上昇に伴う不具合を回避する必要がある。
特許文献1記載の圧延方法では、圧延中の素材のスリップを回避するために、圧延中の素材の速度を測定し、その素材の速度と圧延ロールの周速度とから実績先進率を連続的に演算し、得られた実績先進率を安定圧延状態の下限先進率と比較して、それより小さくなったときに、圧延速度を減速するようにするようにしている。
特開平7−51716号公報
ところで、圧延ロールの背部にはバックアップロールが接しており、このバックアップロールと圧延ロールとの間にスリップが生じる場合がある。このスリップが生じると、圧延ロールの表面が傷つき、その傷が圧延ロール間を通過する素材に転写され、圧延材の表面に細かな凹凸が形成されるおそれがある。
上記特許文献1に開示の方法では、素材の速度と圧延ロールの周速度とからスリップ危険域にあるか否かを判断して制御するものであり、素材と圧延ロールとの間のスリップ回避には有効であるが、圧延ロールとバックアップロールとの間でのスリップ発生は回避することはできない。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、モーター駆動される圧延ロールと、無駆動であるバックアップロールとの間のスリップを回避して、圧延ロールの表面が傷つくことを防止し、それによって圧延材の品質を高く維持しつつ生産性を向上することができる圧延材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る圧延材の製造方法は、圧延ロール間に素材を複数回通過させながら、圧延ロール間のギャップを徐々に減少させて圧延する圧延材の製造方法において、前記圧延ロール間に挟持されて送られる素材の後端部が圧延ロールから抜け出るときの素材の速度を100m/分以下としたことを特徴とする。
すなわち、圧延ロールとバックアップロールとの間のスリップ現象は、圧延ロールにより圧延されていた素材の後端が圧延ロールの間から抜け出る瞬間に生じ易い。圧延ロールに作用していた負荷が瞬間的に解放される際に、一瞬、回転数が上がり、かつ圧延ロールとバックアップロールとの間の接触荷重が減少することにより、バックアップロールが圧延ロールの回転に追従できなくなり、スリップすることが原因と考えられる。本発明の方法では、この素材の抜け出るときの速度を100m/分以下とすることにより、素材が抜け出るときの圧延ロールの跳ね上がりを抑制してバックアップロールと圧延ロールとの接触状態を維持することができ、これらの間のスリップ現象の発生を防止することができる。
本発明の圧延材の製造方法によれば、素材の後端部が圧延ロールから抜け出るときの素材の速度を100m/分以下としたから、素材が抜け出るときに圧延ロールとバックアップロールとの間にスリップが生じることを防止することができる。したがって、圧延ロールの表面の傷つきが防止され、これにより、素材に傷が転写されることはなく、高い品質の圧延材を製造することができ、その抜け時以外は速い速度で圧延することが可能で生産性を高めることができる。
以下、本発明に係る圧延材の製造方法の一実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本実施形態の製造方法を実施するために用いられる圧延材の製造装置を示すもの であり、符号1が圧延機を示している。この圧延機1は、上下に一対の圧延ロール2を備えるとともに、これら圧延ロール2が回転駆動モーター3によりそれぞれ正逆両方向に駆動されるようになっており、また、両圧延ロール2の背部には大径のバックアップロール4がそれぞれ接触した、いわゆる4段圧延機を構成している。また、この圧延機1の前後には、素材Aを搬送するテーブルローラー5がそれぞれ設けられている。
そして、その上側のバックアップロール4に、これを押圧する圧下用スクリュー6、及びこの圧下用スクリュー6を移動させて圧延ロール2間の距離を設定する位置制御モーター7等からなる圧下手段8が設けられている。また圧延ロール2から素材Aへの圧延荷重を検出するロードセル等の圧延荷重検出手段9が設けられている。
また、圧延ロール2の回転駆動モーター3にはロール回転検出器11が備えられるとともに、圧下用スクリュー6の位置制御モーター7にはロールギャップ位置検出器12、テーブルローラー5のローラー駆動モーター13にはローラー回転検出器14がそれぞれ備えられている。
また、図1において符号15はセットアップ用計算機を示しており、このセットアップ用計算機15は、各パス毎の圧延ロール2の間隔や圧延ロール2の回転方向及び回転速度、圧延荷重、テーブルローラー5の搬送速度等の目標値をあらかじめ設定したパススケジュールにしたがって実行管理するコントローラー16に接続されている。このコントローラー16の目標値に基づき、位置制御モーター7、圧延ロール2の回転駆動モーター3、圧下用スクリュー6、テーブルローラー5のローラー駆動モーター13等を、圧延速度及びロールギャップ値等の出力値をフィードバックしながら制御する。
なお、図1中、符号17はストリッパーガイドを示しており、圧延ロール2の前後に設けられる。
次に、このように構成した製造装置によりアルミニウムの鋳塊から圧延材を製造する方法について説明する。
アルミニウムの鋳塊は、例えば300〜650mmの厚さを有しており、これを加熱炉(図示略)を経由して、再結晶温度以上の例えば400〜550℃の温度で圧延機1に送り込む。そして、この圧延機1では、設定されたパススケジュールにしたがって圧延ロール2間のギャップを徐々に減少させながら両圧延ロール2間に鋳塊を複数回通過させて圧延する。この場合、1パス毎に約5〜60mm程度厚さを減少させるように圧延ロール2間のギャップを制御しており、この圧延を複数回繰り返すことにより、素材Aが徐々に圧延される。
この場合、図2にハッチング領域で示したように、圧延により残りの素材長さがある長さ以下になった時に素材の速度が自動的に減速され(図2中、X点が減速開始点)、素材の後端が圧延ロールを通過する前までには送り速度が必ず100m/分以下となるようにし、図2のYで示す素材後端が圧延ロールから抜け出る(いわゆる尻抜け)時には100m/分以下の設定された速度で素材が抜け出るように制御される。
このように、素材Aの後端部が圧延ロール2から抜け出るときの速度が100m/分以下に小さくなっていることにより、素材Aが抜け出るときの圧延ロール2の跳ね上がりを抑制してバックアップロール4と圧延ロール2との接触状態を維持することができ、これらの間のスリップ現象の発生を防止することができる。したがって、圧延ロール2の表面の傷つきが防止され、これにより、素材Aに傷が転写されることはなく、高い品質の圧延材を製造することができる。
この抜け出る時の速度と傷の発生との関係を確認するために試験した結果を説明する。素材が抜け出る時の速度を90m/分、100m/分、110m/分の3通りで300mm厚さのアルミニウム素材を40mmずつの圧下量で複数回圧延して60mmの圧延材とした後、圧延材表面の傷による凹凸を調べたところ、90m/分及び100m/分の場合はいずれも傷の発生は認められず、110m/分の場合に圧延材の表面に規則的に発生する傷が認められた。したがって、抜け出る時の速度を100m/分以下とすることにより、傷の発生を防止できることが確認された。
なお、素材の速度は、圧延ロール2の回転駆動モーター3に備えられているロール回転検出器11によって回転数を検出して、これを圧延ロール2の直径から圧延ロール2の周速に換算し、これを素材の速度とすることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、素材の圧延長さについては、圧延ロールの周速と圧延時間との積により求めることができる。
本発明に係る圧延材の製造方法の一実施形態が適用される製造装置の例を示す概略図である。 本発明の一実施形態の製造方法における送り速度の推移を示すチャートである。
符号の説明
1 圧延機
2 圧延ロール
3 回転駆動モーター
4 バックアップロール
5 テーブルローラー
6 圧下用スクリュー
7 位置制御モーター
8 圧下手段
9 圧延荷重検出手段
11 ロール回転検出器
12 ロールギャップ位置検出器
13 ローラー駆動モーター
14 ローラー回転検出器
15 セットアップ用計算機
16 コントローラー
17 ストリッパーガイド
A 素材

Claims (1)

  1. 圧延ロール間に素材を複数回通過させながら、圧延ロール間のギャップを徐々に減少させて圧延する圧延材の製造方法において、前記圧延ロール間に挟持されて送られる素材の後端部が圧延ロールから抜け出るときの素材の速度を100m/分以下としたことを特徴とする圧延材の製造方法。
JP2008128274A 2008-05-15 2008-05-15 圧延材の製造方法 Withdrawn JP2009274111A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113232223A (zh) * 2021-04-26 2021-08-10 多富瑞(山东)新材料有限公司 一种波边脊瓦量产设备

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