以下、添付図面を参照しながら、本発明の画像データ処理装置に係る好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像データ処理装置の構成例を示すブロック図である。図中、10は画像データ処理装置(以下、MFPで代表する)で、該MFP10は、MFP10の動作を制御するCPU11と、原稿画像を読み取って画像データを入力するスキャナ部12と、スキャナ部12で読み取った画像データをA/D変換するA/Dコンバータ13と、各種プログラムの実行領域であるRAM14と、画像データに対して画像処理を行う画像処理部15と、操作キーやテンキーなどのキー群で構成されたキー入力部16と、画像データ171やプリントデータ172,定型フォーマットデータ173などを記憶する記憶部17と、各種データを表示する表示部18と、画像データを印刷出力する印刷エンジンである画像形成部19と、外部機器との通信を行うための通信ポート20とを備える。なお、記憶部17としては、MFP10の外部に設けられ、ネットワークを介して接続されたハードディスクドライブ(HDD)や、サーバコンピュータなどであってもよい。
通信ポート20は、各種USB(Universal Serial Bus)機器を着脱可能に接続するためのUSBI/F21と、PCなどの外部機器をLAN(Local Area Network)を介して接続するためのLANI/F22と、ファクシミリ装置を電話回線等の通信回線を介して接続するためのFAXI/F23とを備えている。
本発明の主たる特徴部分は、記憶部17に記憶されたプリントデータ172や定型フォーマットデータ173などの比較用データと、スキャナ部12等により入力された画像データ171とを比較し、画像データ171と類似する比較用データのファイル名を、画像データのファイル名として付与することで、画像データ171の内容と関連性の高いファイル名を自動的に付与することにある。
このための構成として、MFP10は、画像データを入力する画像入力部に相当するスキャナ部12あるいは通信ポート20と、定型フォーマット部分を含む比較用データ(プリントデータ172または定型フォーマットデータ173)を対応するファイル名と共に記憶するハードディスクなどの記憶部17と、スキャナ部12あるいは通信ポート20により入力された画像データに含まれる比較用データの定型フォーマット部分に相当する部分と記憶部17に記憶された比較用データの定型フォーマット部分とを比較する比較部と、この比較部により画像データと比較用データとが類似すると判定された場合、画像データのファイル名として比較用データのファイル名を設定するファイル名設定部とを備える。これら比較部とファイル名設定部は、CPU11により実行される。
図2は、本発明のプリントデータ172の一例を示す図である。このプリントデータ172は、定型フォーマット部分172aと、図中のハッチングに示す文字データ部分172bとが合成されたものである。CPU11は、プリントデータ172から定型フォーマット部分172aのみを取り出して、この定型フォーマット部分172aをビットマップ形式に変換する。
このプリントデータ172は、図2に示すように定型フォーマット部分172aと文字データ部分172bとで構成されたデータであって、通信ポート20により外部のPC等から受信され、そのファイル名と共に記憶部17に記憶されると共に、画像形成部19により印刷出力される。プリントデータ172としては、例えばレイヤ構造のデータが想定される。外部PCからMFP10に送信されるプリントデータの中には、定型フォーマット部分と文字データ部分とが別々に送信されるレイヤ構造のデータがある。このようなデータを受信した場合、MFP10でこれら2つの部分をプリントデータに合成して印刷出力する。CPU11は、上記のようなレイヤ構造のデータであれば、定型フォーマット部分を容易に抽出することができるため、これをプリントデータ172として記憶することができる。
なお、プリントデータ172としては、定型フォーマット部分がベクトルデータで構成され、定型フォーマット部分以外が文字データで構成されるメタデータ構成であることが好ましい。
図3は、本発明の定型フォーマットデータ173の一例を示す図である。定型フォーマットデータ173は、定型フォーマット部分173aのみで構成される。すなわち、図2に示すプリントデータのように文字データ部分を含まないため、この文字データ部分に対応する部分が空白部分173bとして設定される。CPU11は、定型フォーマットデータ173の定型フォーマット部分173aをビットマップ形式に変換する。
この定型フォーマットデータ173は、図3に示すように定型フォーマット部分173aと空白部分173bとで構成されるデータであって、通信ポート20により外部のPC等から受信され、そのファイル名と共に記憶部17に記憶される。
また、MFP10は、定型フォーマット部分を含む比較用データ(プリントデータ172あるいは定型フォーマットデータ173)を格納する外部記憶装置(ファイルサーバなど)と通信ポート20を介して通信し、この外部記憶装置から比較用データを定期的(1日に1回など)にダウンロードして記憶部17に記憶された比較用データを最新の状態に更新するようにしてもよい。このように、MFP10が定期的に定型フォーマットデータをダウンロードして自動更新できるため、定型フォーマットデータの人手による更新作業を不要とすることができる。
図4は、画像データ171と比較用データとの比較処理の一例を説明するための図である。以下では、図3に示す定型フォーマットデータ173との比較処理を代表例として説明するが、プリントデータ172であっても同様である。図4(A)に示す画像データ171は、定型フォーマット部分を含むイメージデータであり、定型フォーマット部分171aと文字部分171bとで構成される。
また、図4(B)に示すように、定型フォーマットデータ173としては、定型フォーマット1と定型フォーマット2の2種類のパターンが記憶部17に記憶されている。各定型フォーマットデータ173は、定型フォーマット部分173aと空白部分173bとで構成される。CPU11は、2種類の定型フォーマットデータ173について、この画像データ171に含まれる定型フォーマットデータ173の定型フォーマット部分173aに相当する部分と、定型フォーマットデータ173の定型フォーマット部分とを比較する。
例えば、図4(C)に示すように、画像データ171に対して、定型フォーマット1の空白部分173bに相当する領域をマスキング処理し、画像データ171のマスキング画像を求める。さらに、画像データ171に対して、定型フォーマット2の空白部分173bに相当する領域をマスキング処理し、画像データ171のマスキング画像を求める。これら画像データ171のマスキング画像における定型フォーマットデータ173の定型フォーマット部分173aに相当する部分が、定型フォーマットデータ173の定型フォーマット部分173aと比較される。ここでいう部分とは、定型フォーマット部分173aの領域全体であることが望ましい。
本例において、CPU11は、上記で求めた画像データ171の各マスキング画像と、ビットマップ形式に変換された各定型フォーマットデータ173との間でパターンマッチングを行い、比較対象の全画素数に対するマッチングした画素数の割合が所定値以上であれば、両者が類似すると判定する。図4に示す例では、定型フォーマット2が入力画像と類似すると判定される。
なお、比較対象となる定型フォーマットデータ173が複数種類ある場合、この種類毎に上記類似判定処理を実行し、画像データ171と類似するか否かを判定する。
ここで、企業等で用いられる文書には、例えば、議事録や、日報、報告書、連絡書など複数種の定型フォーマットで作成された定型文書が存在するため、この定型フォーマット部分を比較することで、文書の内容に応じて適切なファイル名を付与することが可能となる。例えば、両者の定型フォーマット部分が「議事録」に対応したフォーマットであり、比較用データのファイル名が「4月度議事録」である場合、画像データのファイル名として「4月度議事録」が付与される。仮に画像データを5月度の議事録として保存したい場合、付与されたファイル名である「4月度議事録」を、「5月度議事録」に編集して保存することができる。このため、ユーザはファイル名を全て手入力する必要がなく、手間をかけずに適切なファイル名を付与することができる。
CPU11は、スキャナ部12あるいは通信ポート20により入力された画像データ171と、記憶部17に記憶された比較用データ(プリントデータ172あるいは定型フォーマットデータ173)とを比較した結果に基づいて、画像データ171と比較用データの類似の程度を示す類似度を設定することができる。例えば、画像データと比較用データとの間でパターンマッチングを行い、比較対象の全画素数に対するマッチングした画素数の割合に基づいて類似度を設定する。すなわち、マッチングした画素数の割合が高ければ、類似度が高く設定され、画素数の割合が低ければ、類似度が低く設定される。
なお、スキャナ部12で読み取った画像データ171を使用する場合、パターンマッチングの精度を上げるために、比較用データに対して、画像データ171の位置合わせ等の補正処理を行うことが望ましい。
表示部18は、CPU11により算出された類似度が所定値以上の比較用データをファイル名と共にユーザにより選択可能に表示する。例えば、後述の図7に示すように、表示部18は、CPU11により算出された類似度が高い順に、比較用データのサムネイル画像をファイル名と共にユーザにより選択可能に表示する。
また、CPU11は、CPU11により算出された類似度が所定値未満の場合、適切なファイル名が存在しないため、画像データ171のファイル名として所定の形式で連番を割り当てるようにしてもよい。
上記において、CPU11により算出された類似度が所定値以上の場合に、ユーザにより選択された比較用データのファイル名を、画像データ171のファイル名として編集可能に表示することができる。また、CPU11により算出された類似度が所定値未満の場合に、MFP10で自動的に割り当てられる所定形式の連番(例えば、日付+番号など)を、画像データ171のファイル名として編集可能に表示することもできる。このように、ユーザは画像データ171のファイル名を自在に編集することができるため、画像データに対して手間をかけずに所望のファイル名を付けることができる。
なお、前述の図2及び図3に示した定型フォーマット部分はこれに限定されず、ページのヘッダ部に設けられた画像(すなわち、この画像が定型部分に相当)を利用して類似の判定を行うようにしてもよい。類似画像であれば、ヘッダ部に設けられた画像も類似するものと考えられるため、これを利用することで、類似画像の判定を行うことができる。
図5は、本発明のMFP10によるファイル名付与方法の一例を説明するためのフロー図である。まず、MFP10は、ユーザが選択した動作モードを設定すると共に、ユーザにより指定された送信先を設定する(ステップS1)。動作モードとは、スキャナ部12で読み取った画像データを電子メールで送信するスキャンtoEメールモード、あるいは、スキャナ部12で読み取った画像データをUSBメモリに送信するスキャンtoUSBモードであり、これらのモードはユーザにより選択可能に表示部18に表示される。また、送信先設定とは、送信先の電子メールアドレスの設定や、解像度の設定などを含み、表示部18はこれらの項目を設定するための設定画面を表示する。
次に、MFP10は、ユーザにより読み取りスタートキーが押下(ON)されたかどうかを判定し(ステップS2)、読み取りスタートキーがONされた場合(YESの場合)、スキャナ部12により原稿画像を読み取り、読み取った画像データ171を記憶部17に記憶する(ステップS3)。また、ステップS2において、読み取りスタートキーがONされない場合(NOの場合)、ステップS2で読み取りスタートキーのON(押下)待ち状態に移行する。
次に、MFP10は、スキャナ部12により読み取った画像データ171と、記憶部17に記憶されているプリントデータ172とパターンマッチングを行い、マッチングした画素の割合を類似度として算出する(ステップS4)。そして、類似度が所定値以上のプリントデータ172が有るか否かを判定し(ステップS5)、該当するプリントデータ172がある場合(YESの場合)、そのプリントデータ172のファイルを抽出し、ファイル名と共にプリントデータ172のサムネイル画像を表示する(ステップS6)。また、ステップS5において、該当するプリントデータ172がない場合(NOの場合)、スキャナ部12により読み取った画像データ171と、記憶部17に記憶されている定型フォーマットデータ173とパターンマッチングを行い、マッチングした画素の割合を類似度として算出する(ステップS9)。
MFP10は、ステップS9で算出した類似度が所定値以上の定型フォーマットデータ173が有るか否かを判定し(ステップS10)、該当する定型フォーマットデータ173がある場合(YESの場合)、その定型フォーマットデータ173のファイルを抽出し、ファイル名と共に定型フォーマットデータ173のサムネイル画像を表示し(ステップS11)、ステップS7に移行する。また、ステップS10において、該当する定型フォーマットデータ173がない場合(NOの場合)、日付と連番で構成される自動設定ファイル名を表示し(ステップS12)、ステップS8に移行する。
次に、MFP10は、表示部18にサムネイル画像と共に表示されたファイル名候補の中から、画像データ171のファイル名が選択されたか否かを判定し(ステップS7)、ファイル名候補からファイル名が選択された場合(YESの場合)、表示部18は、選択されたファイル名がセットされたファイル名編集画面を表示する(ステップS8)。また、ステップS7において、ファイル名候補からファイル名が選択されない場合(NOの場合)、ステップS7でファイル名の選択待ち状態に移行する。
次に、MFP10は、ファイル名編集画面によりファイル名が確定されたか否かを判定し(ステップS13)、ファイル名が確定された場合(YESの場合)、そのファイル名が付与された画像データ171を、ステップS1で設定された送信先に送信し(ステップS14)、ステップS1に戻り入力待ち状態に移行する。また、ステップS13において、ファイル名が確定されない場合(NOの場合)、ステップS13でファイル名の確定待ち状態に移行する。
図6は、本発明のMFP10によるファイル名付与方法の他の例を説明するためのフロー図である。まず、MFP10は、ユーザが選択した動作モードを設定すると共に、ユーザにより指定された送信先を設定する(ステップS21)。
次に、MFP10は、ユーザにより読み取りスタートキーが押下(ON)されたかどうかを判定し(ステップS22)、読み取りスタートキーがONされた場合(YESの場合)、スキャナ部12により原稿画像を読み取り、読み取った画像データ171を記憶部17に記憶する(ステップS23)。また、ステップS22において、読み取りスタートキーがONされない場合(NOの場合)、ステップS22で読み取りスタートキーのON(押下)待ち状態に移行する。
次に、MFP10は、スキャナ部12により読み取った画像データ171と、記憶部17に記憶されている定型フォーマットデータ173とパターンマッチングを行い、マッチングした画素の割合を類似度として算出する(ステップS24)。
MFP10は、ステップS24で算出した類似度が所定値以上の定型フォーマットデータ173が有るか否かを判定し(ステップS25)、該当する定型フォーマットデータ173がある場合(YESの場合)、その定型フォーマットデータ173のファイルを抽出し、ファイル名と共に定型フォーマットデータ173のサムネイル画像を表示し(ステップS26)、ステップS28に移行する。また、ステップS25において、該当する定型フォーマットデータ173がない場合(NOの場合)、日付と連番で構成される自動設定ファイル名を表示し(ステップS27)、ステップS29に移行する。
次に、MFP10は、表示部18にサムネイル画像と共に表示されたファイル名候補の中から、画像データ171のファイル名が選択されたか否かを判定し(ステップS28)、ファイル名候補からファイル名が選択された場合(YESの場合)、表示部18は、選択されたファイル名がセットされたファイル名編集画面を表示する(ステップS29)。また、ステップS28において、ファイル名候補からファイル名が選択されない場合(NOの場合)、ステップS28でファイル名の選択待ち状態に移行する。
次に、MFP10は、ファイル名編集画面によりファイル名が確定されたか否かを判定し(ステップS30)、ファイル名が確定された場合(YESの場合)、そのファイル名が付与された画像データ171をステップS21で設定された送信先に送信し(ステップS31)、ステップS21に戻り入力待ち状態に移行する。また、ステップS30において、ファイル名が確定されない場合(NOの場合)、ステップS30でファイル名の確定待ち状態に移行する。
図7は、表示部18に表示されるファイル名候補表示画面の一例を示す図である。このファイル名候補表示画面には、類似度が所定値以上のプリントデータ172又は定型フォーマットデータ173のサムネイル画像が類似度の高い順にファイル名と共に表示される。ユーザはこのファイル名候補表示画面から所望のファイル名を選択することで、画像データ171に対してファイル名を設定することができる。
図8は、表示部18に表示されるファイル名編集画面の一例を示す図である。図6に示したファイル名候補表示画面で選択・設定されたファイル名(ここでは「議事録」)は、このファイル名編集画面のファイル名欄181にセットされた状態で表示される。ユーザはこのままのファイル名でよければ、「OK」キーを押下すること、ファイル名が確定される。また、ファイル名を編集する場合、図8に示すキーボードを利用してファイル名を編集し、編集後、「OK」キーを押下することで、ファイル名が確定される。
以上説明したように、本発明によれば、画像データの類似性に基づいて適切なファイル名を自動的に付与することができるため、ユーザは手入力でファイル名を入力する必要がなくなり、また、画像データの内容をファイル名から容易に把握することができる。
10…画像データ処理装置(MFP)、11…CPU、12…スキャナ部、13…A/Dコンバータ、14…RAM、15…画像処理部、16…キー入力部、17…記憶部、171…画像データ、172…プリントデータ、173…定型フォーマットデータ、18…表示部、19…画像形成部、20…通信ポート、21…USBI/F、22…LANI/F、23…FAXI/F。