JP2009270946A - マイクロビーズ自動識別方法及びマイクロビーズ - Google Patents

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Abstract

【課題】マイクロビーズに形成された識別パターンを高速に識別することが可能なマイクロビーズ自動識別方法の提供。
【解決手段】識別パターンと複数の基準点を円形面に形成した円柱形のマイクロビーズの円形面の画像を取得するステップと、取得された画像において、基準点の位置に基づき、マイクロビーズの裏表及び/又は傾きに関する情報を取得するステップと、を含むマイクロビーズ自動識別方法を提供する。このマイクロビーズ自動識別方法では、さらに、マイクロビーズの円形面の画像において、マイクロビーズの裏表及び/又は傾きに関する情報に基づき、識別パターンを検出するための格子を回転させて識別パターンとのパターンマッチングを行う。
【選択図】図8

Description

本発明は、マイクロビーズ自動識別方法及びマイクロビーズに関する。より詳しくは、マイクロビーズに形成された識別パターンの読み取りの際に、複数の基準点の位置に基づき、マイクロビーズの裏表及び/又は傾きに関する情報を取得するマイクロビーズ自動識別方法と、この方法に用いるマイクロビーズに関する。
核酸やタンパク等を対象とした生化学分析において、従来、「マイクロビーズ」と称される粒子状担体が用いられている。例えば、核酸分析においては、標的核酸鎖に対して相補的な塩基配列を有するプローブ核酸鎖を、表面に固相化したマイクロビーズを用いて、標的核酸鎖とプローブ核酸鎖の相互作用に基づき、標的核酸鎖を分離することが行われている。また、タンパク分析では、表面に標的タンパクに対する抗体を固相化したマイクロビーズが用いて、同様に標的タンパクを分離することが行われている。
近年、これらのマイクロビーズを用いた生化学分析では、一層のハイスループット化が求められており、分析の高速化を図るための技術が開発されてきている。
例えば、特許文献1には、「試料内の多数の分析物であり、それぞれの分析反応物によって認識される分析物を検出する方法であって、a)集団のそれぞれが異なる蛍光シグナル及び異なる分析反応物を有する蛍光粒子の集団であり、前記分析反応物が特異的に試料内の1つの分析物に結びつき、前記各蛍光粒子がそれぞれの蛍光染料で標識された少なくとも1つのナノ粒子を表面に有してなる蛍光粒子の集団を多数、試料と接触させ、b)標識試薬へ前記試料を加え、c)前記標識を検出することにより、前記分析反応物が分析物に結びついたことを示す前記蛍光粒子を分析し、同時に、d)前記各集団に関連付けられた前記異なる蛍光シグナルの機能から、それぞれの分析物と結びついた前記蛍光粒子の集団を決定すること、を含んでなる方法。」(請求項23参照)が開示されている。
この技術に基づきLuminex社が提供する「Suspension Array Technology」では、2種類の蛍光色素を発光の色味に変化を持たせてマイクロビーズに標識することにより、最大100種類のマイクロビーズを識別することが可能である。「Suspension Array Technology」によれば、100種類のマイクロビーズに、それぞれ異なるプローブ核酸鎖や抗体を固相化することによって、一回の分析で100種類の異なる核酸鎖やタンパクを同時に分離、検出することが可能である。
また、上記文献には、「前記蛍光粒子の集団がさらに、それらのサイズと形状によって決定される」(請求項25参照)と記載され、マイクロビーズを識別するための追加的なパラメータとして、ビーズのサイズや形状を採用できる旨が開示されている(当該文献段落0037等参照)。これに関連して、非特許文献1には、流路中でのフォトリソグラフィーによって、多数の形状の異なるマイクロビーズを作製する方法が記載されている。この方法によれば、100万種類を超える超多型状のマイクロビーズを作製することが可能となる。
特許第3468750号公報 "Multifunctional encoded particles for high-throughput biomoleculeanalysis." Science, 2007, Vol.315, No.5817, p.1393-6.
上記非特許文献1には、マイクロビーズを流路内に通流し配向させた上、流路中の検出部においてマイクロビーズに形成された識別パターンを読み取ることで、マイクロビーズの識別を行う方法が記載されている。
しかし、この方法では、1つのマイクロビーズが流路中の検出部を通過するのに1/4秒程度を要し、仮に100万種類のマイクロビーズを識別する場合、25万秒(約70時間)もの分析時間が必要となる。
このように、マイクロビーズに形成された識別パターンの読み取り速度は、超多型状のマイクロビーズを用いた生化学分析の分析効率を決定する重要な要素となり得る。
そこで、本発明は、マイクロビーズに形成された識別パターンを高速に識別することが可能なマイクロビーズ自動識別方法を提供することを主な目的とする。
上記課題解決のため、本発明は、識別パターンと複数の基準点を円形面に形成した円柱形のマイクロビーズの前記円形面の画像を取得するステップと、取得された画像において、前記基準点の位置に基づき、該マイクロビーズの裏表及び/又は傾きに関する情報を取得するステップと、を含むマイクロビーズ自動識別方法を提供する。
このマイクロビーズ自動識別方法は、さらに、前記画像において、前記情報に基づき、前記識別パターンを検出するための格子を回転させて前記識別パターンとのパターンマッチングを行うステップを含む。
円柱形のマイクロビーズの円形面に形成された基準点の位置に基づき、マイクロビーズの裏表及び/又は傾きに関する情報を取得し、格子と識別パターンとのパターンマッチングを行うことで、少ない演算回数で識別パターンの検出を行うことが可能となる。
このマイクロビーズ自動識別方法では、前記基準点を、前記円形面と中心を共有する半径の異なる2つの同心円上にそれぞれ1つ配置し、かつ、両基準点を、前記中心を通る一直線上に共に存在しないよう配置することが好適となる。
また、本発明は、識別パターンと複数の基準点が円形面に形成され、取得された前記円形面の画像において、前記基準点の位置に基づき、表裏及び/又は傾きに関する情報を取得可能に構成された円柱形のマイクロビーズを提供する。
このマイクロビーズでは、前記基準点が、前記円形面と中心を共有する半径の異なる2つの同心円上にそれぞれ1つ配置され、かつ、両基準点が、前記中心を通る一直線上に共に存在しないよう配置されていることが好適となる。
本発明において、「識別パターン」及び「基準点」とは、マイクロビーズに形成される所定の形状であって、CCDカメラ及び画像解析ソフトウェア等の汎用の画像識別手段によって検出可能なものをいう。識別パターン及び基準点の形状、大きさは特に限定されない。「識別パターン」は個々のマイクロビーズを判別するための形状であり、「基準点」はマイクロビーズの裏表及び/又は傾きを判別するための形状である。同一の識別パターンを有するマイクロビーズでは、基準点を合せることによって識別パターンは合同となる。
本発明により、マイクロビーズに形成された識別パターンを高速に識別することが可能なマイクロビーズ自動識別方法が提供される。
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
1.マイクロビーズ
(1)マイクロビーズ1
図1は、本発明に係るマイクロビーズの第一の実施形態を示す模式図である。図(A)は上面図、(B)は側方図である。
図1中、符号1で示すマイクロビーズは、上方視(又は下方視)円形の円柱形に形成されている。マイクロビーズ1の円形面には、マイクロビーズ1を識別するための識別パターンが形成されるコード領域11が設けられている。また、円形面のコード領域11外の部分には、2つの基準点121,122が形成されている。
マイクロビーズ1の上面及び下面の円形面は、正円であることが望ましいが、完全な正円である必要はなく、以下に説明する方法に従って自動識別が可能な限りにおいて、略円形とすることができる。マイクロビーズ1の厚みdは、特に限定されないが、円形面の直径Rより小さいことが望ましい。
また、本実施形態では、コード領域11及び基準点121,122を、マイクロビーズ1上面の円形面に配置する場合を例に説明するが、これらはマイクロビーズ1下面の円形面に配置されていてもよい。コード領域11及び基準点121,122は、それぞれ上面又は下面の円形面のいずれかに設けることができる。
図2は、コード領域11に形成される識別パターンを示す上面模式図である。
図2(A)〜(C)に示すマイクロビーズ1A, 1B, 1Cのコード領域11には、ビーズの上面円形面から下方円形面へ貫通する貫通孔111が複数形成されている(図中、黒丸参照)。貫通孔111はコード領域11に縦横5列ずつの計25箇所形成され得るものであり、マイクロビーズ1を識別するための識別コードを構成するものである。すなわち、マイクロビーズ1A, 1B, 1Cでは、貫通孔111がこれら25箇所のいずれの位置に形成されているかによって、各マクロビーズを識別することが可能である。
具体的には、図2(A)に示すマイクロビーズ1Aでは、25箇所のうち9箇所に貫通孔111が形成されている。図中、貫通孔111が形成されている箇所は黒丸で、形成されていない箇所は白丸で示す。図2(B)に示すマイクロビーズ1Bでは、同じく9箇所に貫通孔111が形成されているが、その形成位置がマイクロビーズ1Aと異なっている。従って、この貫通孔111の形成位置の違いに基づけば、マイクロビーズ1Aとマイクロビーズ1Bとを区別することが可能となる。
また、図2(C)に示すマイクロビーズ1Cでは、貫通孔を11箇所に形成している。従って、この貫通孔111の形成数の違いに基づけば、マイクロビーズ1Cとマイクロビーズ1A又はマイクロビーズ1Bとを区別することが可能である。
コード領域11内に形成する貫通孔111は、0以上25以下の任意数であってよく、25箇所から選択される任意の位置に形成される。このように、マイクロビーズ1では、貫通孔111の形成位置及び形成数を任意に設定することで、各ビーズのコード領域11に異なるパターンを形成することができる。そして、このパターンを画像識別手段で検出することによって、最大で2の25乗の種類のマイクロビーズを識別することが可能である。
図3は、コード領域11に形成された識別パターンの検出方法を示す模式図である。図は、CCDカメラ等の通常の撮像手段によって取得されたマイクロビーズ1の円形面の画像を示している。
識別パターンは、取得されたマイクロビーズ1の円形面の画像において、識別パターンとこれを検出するための格子(図3中、符号M参照)とのパターンマッチングを行うことにより検出することができる。
格子M(以下、「メッシュM」ともいう)は、コード領域11における縦横5列、計25箇所の貫通孔111の形成位置に対応する点で交差する格子線から構成されている。このメッシュMを、マイクロビーズ1の円形面の画像において、コード領域11上に重ね合わせると、格子線の各交点は、コード領域11内の25箇所の貫通孔111の形成位置に一致する。そして、このようにコード領域11にメッシュMを重ね合わせ、格子線の各交点において貫通孔111の有無を判定するパターンマッチングを行うことにより、識別パターンを検出することができる。
このとき、マイクロビーズ1の円形面の画像において、メッシュMをコード領域11上に重ね合わせるためには、該画像におけるマイクロビーズ1の傾きに応じて、メッシュMを回転させる必要がある。例えば、図3では、マイクロビーズ1の円形面の画像において、マイクロビーズ1がY軸から角度θ傾いて撮像されている場合に、同方向に同角度だけメッシュMの軸mを回転させ、パターンマッチングを行っている。
識別パターンの検出を高速に行うためには、このマイクロビーズ1の円形面の画像における傾き角度θの算出と、メッシュMとコード領域11との重ね合わせを少ない演算回数で行う必要がある。
マイクロビーズ1は、マイクロビーズ1の円形面の画像における傾き角度θを算出するための構成として、基準点121,122を備えている。
図4は、円形面における基準点121,122の形成位置を示す上面模式図である。
上述の通り、基準点121,122は、マイクロビーズ1の円形面のコード領域11外の部分に形成されている(図1も参照)。基準点121,122は、コード領域11外の部分であれば任意の位置に形成することができるが、コード領域11内の識別パターンとの区別を容易にするため、円形面においてコード領域11の外周領域に設けられていることが望ましい。
基準点121,122は、円形面と中心Cを共有する半径の異なる同心円上にそれぞれ配置されている。すなわち、図4中、基準点121は、中心をCとし半径をr1とする円弧上の一点に、また基準点122は、中心をCとし半径をr2(r2≠r1)とする円弧上の一点に配置されている。
さらに、基準点121,122は、中心Cを通る一直線上に共に存在しないように配置されている。すなわち、図4中、基準点122は、基準点121及び中心Cを通る直線上に存在しないよう配置されている。なお、基準点121,122の形状や大きさは任意であってよい。
(2)マイクロビーズ2
図5は、本発明に係るマイクロビーズの第二の実施形態を示す上面模式図である。
図5中、符号2で示すマイクロビーズは、円形面のコード領域11外の部分に、基準点が3つ形成されている点でマイクロビーズ1と異なっている。マイクロビーズ2の全体形状及び円形面の形状や、コード領域及びコード領域に形成される識別コード等については、マイクロビーズ1と同様である。
マイクロビーズ2の円形面には、該円形面と中心Cを共有する半径rの円上に基準点221, 222, 223が配置されている。このうち、基準点221と基準点223は、中心Cを通る一直線上に配置されている。そして、基準点222は、上記円の基準点221, 223以外の位置に配置されている。すなわち、基準点221, 222, 223はそれぞれを頂点とする3角形を形作るように配置される。ただし、基準点221, 222, 223は、後述するマイクロビーズ2の裏表の判定のため、この3角形が二等辺三角形とならない位置に配置されることが必要である。
基準点221, 222, 223の形状や大きさは任意であってよい。また、基準点221, 222, 223は、コード領域外の部分であれば任意の位置に形成することができるが、コード領域内の識別パターンとの区別を容易にするため、円形面においてコード領域の外周領域に設けられていることが望ましい。基準点221, 222, 223は、マイクロビーズ2の上面又は下面の円形面のいずれかに設けることができる。
2.マイクロビーズ自動識別方法
図6は、本発明に係るマイクロビーズ自動識別方法において、上記のマイクロビーズ1を用いた場合の手順を示すフローチャートである。また、図7及び図8には、各手順で行われる画像識別処理を模式的に示す。
(1)円形面画像の取得
まず、マイクロビーズ1をCCDカメラ等の通常の撮像手段によって撮像し、マイクロビーズ1の円形面の画像を取得する(図6中、ステップS1参照)。
マイクロビーズ1は円柱形に形成されており、望ましくはマイクロビーズ1の厚みdが円形面の直径Rより小さい円盤形に形成される(図1参照)。円柱形又は円盤形に形成することで、マイクロビーズ1を、両円形面を上下方向に配向させた状態にできる。従って、マイクロビーズ1を撮像する際に、上下方向から撮像することによって、容易に円形面の正面像を取得することができる。
このステップS1で取得された撮影領域の画像を、図7(A)に示す。ここでは、撮影領域中に2つのマイクロビーズ1が存在した場合として、各マイクロビーズ1の円形面画像を符号B1, B2で示す。
(2)画像の2値化
次に、取得された画像の2値化を行う(図6中、ステップS2参照)。撮像された画像を、任意の色配列を取り出すことによって、又は色情報から再計算することよって、モノクロ画像として算出する。そして、所定の輝度を閾値として0,1に2値化する。このステップS2で2値化された画像を、図7(B)に示す。図7(B)は、画像中のマイクロビーズ1の円形面部分を1として、それ以外の部分を0として2値化した場合を示している。
(3)エッジの抽出
続いて、輝度が0から1又は1から0に変化する点を計算し、エッジ(輪郭)を抽出する(図6中、ステップS3参照)。このエッジには、撮影領域に位置する複数のマイクロビーズ1の輪郭と、場合によってホコリ等のノイズの輪郭も含まれる。このステップS3で抽出されたマイクロビーズ円形面B1, B2のエッジを、図7(C)中、符号E1, E2で示す。
(4)起点の検出
この画像(幅width、高さheight)を1次元の作業配列Aにコピーする。作業配列Aの大きさは、width・heightである。作業配列を2次元に表示した時、x軸を幅(画素数)、y軸を高さ(画素数)とすると、画像上の座標(x、y)は作業配列のy ・width + xの位置となる。(y ・width + x番目の配列の値が画素の値となる)。
次に、この作業配列Aを最初の画素(起点)が現れるまで順次検査する(図6中、ステップS4参照)。このステップS4で検出された起点を、図7(D)中、符号kで示す。ここでは、マイクロビーズ円形面B1のエッジE1上に起点kが検出されている。
(5)基準円の重ね合わせ
起点kが検出されたら、この起点kを含む円周(標準円)とエッジE1との重ね合せを行う(図6中、ステップS5参照)。この重ね合せにより、エッジE1がマイクロビーズ円形面の輪郭であるのか、もしくはホコリ等のノイズの輪郭であるのかを判定することができる。
マイクロビーズ1の円形面の直径を画素数Rとすると、重ね合わせに用いる標準円の配列は、それぞれ要素数Rからなる上弧の配列(Ru)と下弧の配列(Rd)を用意し、x番目の配列には (sqrt(r・r-(x-R/2)・(x-R/2))+R/2) 及び (-sqrt(r・r-(x-R/2)・(x-R/2))+R/2) を保持する。これはx軸、y軸に接した半径Rの円周の上弧と下弧のy座標である。
従って、幅width,高さheightの2次元座標に点pを原点0'としておかれた円周の2次元座標を1次元に展開した配列での位置は、重ね合わせる原点をp (px、py)(1次元配列上ではpy・width + px)とすると、座標がpxからpx+Rの区間で上弧(px,py+Ru[x-px]),下弧(px,py+Rd[x-px])) (ただしRu[x]はRuの配列のx番目の中身を示すとする)となり、(py+Ru[x-px])・width+px 及び(py+Rd[x-px])・width+pxが上弧、下弧の位置を示すこととなる。
この標準円に一致してエッジE1が存在すれば、その位置の画素は値を持ち、一致していなければ値をもたない。pxからpx+Rの間で2つの配列の足し合わせをすることによって基準円とエッジE1のマッチングを評価できる。円弧の位置の足し合わせのみで1回のビーズ位置の判定が可能であるため(1回につき、2xRの足し算)、評価を簡素化できる。なお、実際の画像識別処理では、エッジのかすれ等による影響を排除するため、足し合わせの評価値にはある程度の幅を持たせる。
値を持つ画素の最大となる位置は、起点kの座標と直径画素数Rに応じて、予め算出することが可能である。従って、値を持つ画素の最大となる位置が、予め算出された位置に一致するか否かを判定することで、エッジE1がマイクロビーズ円形面の輪郭であるのか、ホコリ等のノイズの輪郭であるのかを判定することができる。すなわち、値を持つ画素の最大となる位置が、円形面の直径画素数Rに基づき算出される値より小さい場合は、配列Aで検出された起点kは、マイクロビーズ1の輪郭の一部ではなく、ホコリ等のノイズの輪郭の一部であったと判定される。このステップS5でエッジE1に重ね合わされた標準円を、図7(E)中、点線で示す(符号E0参照)。
このように、マイクロビーズ1の円形面を正円とし、そのエッジと標準円との重ね合わせを、予め算出された値を持つ画素の最大となる位置に基づき行うことで、少ない演算処理でマッチングを評価することが可能である。仮に、マイクロビーズ1の撮像面が正円でなく、例えば、正五角形であるような場合には、そのエッジと標準五角形との重ね合わせのために要する演算は膨大なものとなる。なお、マイクロビーズ1の円形面は、正円であることが望ましいが、上記のような標準円との重ね合せが可能な限りにおいて、略円形とすることもできる。
(6)作業領域の抽出
標準円E0との重ね合せにより、エッジE1がマイクロビーズ円形面の輪郭であると判定された場合、エッジE1を含む画像領域を作業領域として抽出する(図6中、ステップS6参照)参照)。また、エッジE1が、ホコリ等のノイズの輪郭であって、マイクロビーズ円形面の輪郭でないと判定された場合には、ステップS4に戻って、再度作業配列Aを次の起点が現れるまで順次検査する。
(7)基準点121の検出
次に、抽出したエッジE1を含む作業領域について、基準点121の検出を行う(図6中、ステップS7参照)。まず、作業領域を上述の方法に従って2値化し、コード領域11に形成された識別コードと基準点121, 122を反転させる。2値化された画像を、図8(A)に示す。図8(A)は、識別コードを構成する貫通孔111と基準点121, 122を1として、それ以外の部分を0として2値化した場合を示している。
基準点121の位置を検出するための配列は、直径r1の円周を1次元に展開したもの(n)で、エッジE1(もしくは標準円E0)の配列と同じ中心とする。配列は円周上を1方向にたどり(2x r個)、配列の中身は標準円E0の配列位置である(RxRの平面上の座標)。従って、ある位置の配列の中身の示す作業領域の画素の値で、基準点121を検出することができる。
ここでは、基準点121, 122のうち、基準点121を検出する場合を例に説明した。以下、このステップS7で基準点121を、後述するステップS10で基準点122を検出するものとして説明するが、どちらの基準点を先に検出するかは任意であり、また本ステップS7で両基準点を同時に検出しておいてもよい。
(8)傾きθの検出
基準点121が検出されたら、この基準点121の位置に基づいて、作業領域のY軸からのマイクロビーズ1の傾き角度θを算出する(図6中ステップS8及び図8(B)参照)。
(9)メッシュの回転・マッチング
次に、作業領域において、算出された角度θに基づいてメッシュMを回転させ、識別パターンとのパターンマッチングを行う(図6中ステップS9及び図8(C)参照)。メッシュMの回転は、ビーズの中心を原点したcosθ、sinθに従い軸mを回転させることにより行う。
識別パターンとメッシュMとのパターンマッチングは、メッシュMを固定し、識別コードないしは識別コードが形成されたコード領域11を回転させることによって行うことも可能である。しかし、上記のように、識別コードないしはコード領域に対し、メッシュMを回転させる場合のほうが演算回数を少なくでき、パターンマッチングのための処理を高速化できる。
(10)基準点122の検出・裏表の判定
続いて、基準点121と同様の方法により、基準点122を検出する(図6中ステップS10参照)。基準点122の位置を検出するための配列は、直径r2の円周を1次元に展開したものを使用する。
そして、この基準点122の位置と基準点121との位置関係に基づいて、マイクロビーズ1の裏表の判定を行う。具体的には、基準点122が軸mに対し、基準点121と同側の半円にあるか、反対側の半円にあるかによって裏表の判定を行う(図8(D)参照)。
(11)識別パターンの検出
最後に、メッシュMの格子線の各交点において貫通孔111の有無を判定し、識別パターンを検出する(図6中ステップS11参照)。
以上のように、本発明に係るマイクロビーズ自動識別方法によれば、円柱形に形成したマイクロビーズの円形面に配置された2つの基準点の位置に基づいて、マイクロビーズの識別コードを少ない演算回数で検出することができ、高速な自動識別が可能となる。
また、基準点は、マイクロビーズの円形面のコード領域外の外周領域に設ければよいため、コード領域を広くとることができ、コード領域内に多様な識別パターンを作り込むことが可能となる。
3.マイクロビーズ自動識別方法
図9は、本発明に係るマイクロビーズ自動識別方法において、上記のマイクロビーズ2を用いた場合の手順を示すフローチャートである。また、図10には、作業領域の抽出後の各手順で行われる画像識別処理を模式的に示す。
マイクロビーズ2を用いる場合、マイクロビーズ1と同様にして円形面画像の取得S1から作業領域の抽出S6までの各ステップを行い、抽出した作業領域において基準点221,223の検出を行う(図9中、ステップS7参照)。作業領域を上述の方法に従って2値化し、コード領域11に形成された識別コードと基準点221, 222, 223を反転させる。2値化された画像を、図10(A)に示す。図10(A)は、識別コードを構成する貫通孔211と基準点221, 222, 223を1として、それ以外の部分を0として2値化した場合を示している。
マイクロビーズ2では、基準点221, 223の位置を検出するための配列として、直径rの円周を1次元に展開したもの(n)を使用する。マイクロビーズ2では、基準点221, 222, 223が同一同心円上に配置されているため、同時に基準点222も検出されることとなるが、基準点221, 223は同一直線上に配置されているため、検出された3つの基準点から基準点221, 223を取り出すことが可能である。以下、このステップS7で基準点221, 223を、後述するステップS10で基準点222を検出するものとして説明するが、本ステップS7で全ての基準点を同時に検出しておいてもよい。
基準点221, 223が検出されたら、この基準点221, 223の位置に基づき、両基準点を通る直線と作業領域のY軸がなす角度θをマイクロビーズ2の傾き角度として算出する(図9中ステップS8及び図10(B)参照)。
そして、作業領域において、算出された角度θに基づいて、ビーズの中心を原点したcosθ、sinθに従い、軸m及びメッシュMを回転させ、メッシュMと識別パターンとのパターンマッチングを行う(図9中ステップS9及び図10(C)参照)。
次に、基準点222の検出(図9中ステップS10参照)と、基準点222の位置と基準点221, 223との位置関係に基づくマイクロビーズ2の裏表の判定を行う。マイクロビーズ2では、基準点222が軸mに対し、基準点121と右半円にあるか、左半円にあるによって裏表の判定を行う(図10(D)参照)。
このとき、基準点222が、基準点221, 223とそれぞれを頂点とする二等辺三角形となる位置に配置されていると、基準点222の位置と基準点221, 223との位置関係に基づいてマイクロビーズ2の裏表の判定を行うことができない。
以上のようにして、最後に、メッシュMの格子線の各交点において貫通孔211の有無を判定し、識別パターンを検出することで(図9中ステップS11参照)、円柱形に形成したマイクロビーズの円形面に配置された3つの基準点の位置に基づいて、マイクロビーズの識別コードを少ない演算回数で検出することができる。
本発明に係るマイクロビーズ自動識別方法及びマイクロビーズは、マイクロビーズに形成された識別パターンを高速に識別することができるため、マイクロビーズを用いた各種生化学分析の一層のハイスループット化・高速化に寄与し得る。
本発明に係るマイクロビーズの第一の実施形態を説明する模式図である。図(A)は上面図、(B)は側方図である。 コード領域11に形成される識別パターンを説明する上面模式図である。 コード領域11に形成された識別パターンの検出方法を説明する模式図である。 マイクロビーズ1の円形面における基準点121,122の形成位置を説明する上面模式図である。 本発明に係るマイクロビーズの第二の実施形態を説明する上面模式図である。 本発明に係るマイクロビーズ自動識別方法において、マイクロビーズ1を用いた場合の手順を説明するフローチャートである。 マイクロビーズ1を用いたマイクロビーズ自動識別方法の各手順で行われる画像識別処理を説明する模式的に示す(ステップS1〜S6)。 マイクロビーズ1を用いたマイクロビーズ自動識別方法の各手順で行われる画像識別処理を説明する模式的に示す(ステップS7〜S11)。 本発明に係るマイクロビーズ自動識別方法において、マイクロビーズ2を用いた場合の手順を説明するフローチャートである。 マイクロビーズ2を用いたマイクロビーズ自動識別方法の各手順で行われる画像識別処理を説明する模式的に示す(ステップS7〜S11)。
符号の説明
1, 1A, 1B, 1C, 2 マイクロビーズ
11 コード領域
111, 211 貫通孔
121, 122, 221, 222, 223 基準点
B1, B2 円形面画像
E0 標準円
E1, E2 エッジ
k 起点
M メッシュ
m 軸
θ 傾き角度

Claims (5)

  1. 識別パターンと複数の基準点を円形面に形成した円柱形のマイクロビーズの前記円形面の画像を取得するステップと、
    取得された画像において、前記基準点の位置に基づき、該マイクロビーズの裏表及び/又は傾きに関する情報を取得するステップと、を含むマイクロビーズ自動識別方法。
  2. さらに、前記画像において、前記情報に基づき、前記識別パターンを検出するための格子を回転させて前記識別パターンとのパターンマッチングを行うステップ、を含む請求項1記載のマイクロビーズ自動識別方法。
  3. 前記基準点を、前記円形面と中心を共有する半径の異なる2つの同心円上にそれぞれ1つ配置し、かつ、
    両基準点を、前記中心を通る一直線上に共に存在しないよう配置する請求項2記載のマイクロビーズ自動識別方法。
  4. 識別パターンと複数の基準点が円形面に形成され、
    取得された前記円形面の画像において、前記基準点の位置に基づき、表裏及び/又は傾きに関する情報を取得可能に構成された円柱形のマイクロビーズ。
  5. 前記基準点が、前記円形面と中心を共有する半径の異なる2つの同心円上にそれぞれ1つ配置され、かつ、
    両基準点が、前記中心を通る一直線上に共に存在しないよう配置された請求項4記載のマイクロビーズ。
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