JP4017585B2 - 塗装面の検査装置 - Google Patents
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Description
この種の検査装置にあっては、撮像装置本体側に、マイコン等からなる画像処理手段が備えられ、撮像される塗装面の撮像画像を画像処理して、塗装面上に存在する可能性がある欠陥等の撮像領域を注目領域として抽出する。
上記のようなストライプ状の検査光を使用して、この種の凸部や凹部の検出を行う場合、欠陥画像が、例えば、撮像画像内に存する暗ストライプ内に中間階調の閉領域として映り込む。
これにより、ストライプと直交する横断方向では、明部分に対応する高輝度の部分と暗部分に対応する低輝度の部分との境界が、所定間隔を置いて存在する状態であるのに対して、ストライプと平行な縦方向では、明部分に対応する高輝度の部分と暗部分に対応する低輝度の部分との境界が存在しない。
本発明は塗装面の検査装置において、この種の見落としの確率を極度に低減するとともに、比較的小型の欠陥であっても、これを検出することができる塗装面の検査装置を得ることを目的としている。
前記照射手段に於ける照射面での前記明暗分布が、第1方向と前記第1方向と交差する第2方向とからなる2次元方向に均等分散配置された複数の独立した明部分と、前記複数の明部分以外の暗部分とから構成され、
正常な塗装面を撮像した状態における撮像画像を正常撮像画像とする場合に、前記正常撮像画像における前記明部分に対応する撮像領域を正常明撮像領域と、前記暗部分に対応する撮像領域を正常暗撮像領域として、前記正常明撮像領域と正常暗撮像領域との中間階調領域を、注目領域として抽出するに、
前記撮像画像において、前記独立した明部分に対応する撮像領域である明撮像領域と、当該明撮像領域の周りの暗撮像領域とを合わせて単位判別領域として、
各前記単位判別領域に対応する前記塗装面の正常・異常を、前記正常撮像画像の前記単位判別領域の撮像明暗パターンと検査対象撮像画像の前記単位判別領域の撮像明暗パターンとを比較することにより判別する判別手段を備え、
前記判別手段による前記単位判別領域毎の正常・異常判断を実行した後、
異常と判断された前記単位判別領域について、前記中間階調領域を前記注目領域として抽出することにある。
従って、請求項1の特徴によると、明部分に対応する高輝度の部分と暗部分に対応する低輝度の部分との境界が、一つの方向では存在するが別の方向では存在しないと言うような状態ではないので、本願にいう、欠陥起因の中間輝度部分を確実に形成でき、塗装面に存在する凸部や凹部等が見落とされ易い状態にはならない。結果、格段に検査の信頼性が高くなる。
さらに、明暗分布を細かな分布として容易に形成できるため、本願にいう明部分周りに存する暗部分からの暗光の映り込み、暗部分周りに存する明部分からの明光の映り込みの機会が格段に増加し、結果的に、これまで検出することが困難であった微小欠陥をも検出することが可能となった。
そして、この場合は、判別手段における判別と、抽出処理が2重に行われることとなるため、信頼性が格段に高くなる。
即ち、発光ダイオードにより明部分が設定されるように構成していることで、輝度が充分に高い明部分を形成でき、撮像側における明部分に対応する高輝度の領域と暗部分に対応する低輝度の領域との境界が明確になり(ニジミが少なく且つ乱れていない状態)、問題の目的に適合した信頼性の高い検出を行える。
図1は、本願の検査装置100を使用して、自動車のボディ1の塗装面の検査を行っている状態を示しており、塗装の終了したボディ1がコンベア2により紙面左方に搬送されてくる。
一方、現状で、検査装置100が検査している塗装部位(検査部位)の位置情報が検査装置100側に入力されるように構成されており、検査装置側で、塗装が正常な場合に、撮像装置3により得られるべき撮像画像(正常撮像画像と呼ぶ)が特定できるように構成されている。
図1に示すように、コンベア2の搬送方向と直交する方向A0に対して、照射装置3及び撮像装置4が実質直交するように並べて配置されている。
即ち、照射装置3における照射面3a及び撮像装置4の撮像面4aは、実質的に塗装面に平行に配設されている。同図においては、図面表示を容易にするために、照射方向を傾けて示している。
本願に係る塗装面の検査装置において、平面の塗装面では、一例として、撮像装置4が受けた撮像画像は、図3(イ)及び図4に示すようなものとなる。
この場合、明部分(発光ダイオード6)に対応する高輝度K1の領域(明撮像領域)C1、暗部分(外枠部5)に対応する低輝度K2の領域(暗撮像領域)C2が得られるのであり、塗装面の正常な部分では、明部分に対応する高輝度K1の領域(正常明撮像領域)C1が、照射側の形状をそのまま代表して円状となる。
塗装面に凹凸等の欠陥があると、その曲面形状の影響を受け、明部分に対応する高輝度K1の領域C3が、円状ではなく楕円状になるような状態になることがある。
図3、4に示す場合は、C3で示す歪んだ4つの明撮像領域の略中間位置に欠陥が存在する場合を示している。
図5(イ)(ロ)に示す例は、本来、単純な明撮像領域となるべき領域に対して、欠陥形状等の影響により、照射側の明部分周りの暗部分からの明撮像領域内への映り込みが発生し、C4で示すような中間階調領域が形成されたものである。
このような画像は、発光ダイオードの略中央、直対向位置に、発光ダイオード先端の大きさよりも僅かに小さい欠陥が存在する場合に形成される。
本願にあっては、画像処理の形態として、第1、第2の画像処理形態を示す。図7(イ)に、本願における第1の画像処理形態の画像処理手順を、(ロ)に第2の画像処理形態の画像処理手順を示した。
第1の画像処理形態は、各々の画像処理を、撮像画像全体を処理対象領域として画一的に、順次、実行するものであり、第2の画像処理形態は、塗装色による全体画像の補正処理を実行した後、正常な塗装面を撮像した場合に得られる明部分に対応する撮像画像領域である正常明撮像領域周りの明暗パターンと、実際の撮像画像における明暗パターンとの比較をパターン認識手法で実行し、その部位の正常・異常の判別をし、その後、異常と判断された領域についてのみ、第1の画像処理形態の残余の処理を実行するものである。
この画像処理形態では、図7(イ)に示すように、塗装色による補正処理(#2)を実行した後、3値化処理(#3)、正常な塗装面に対応する画像領域の排除処理(#4、5)をおこない、最終注目領域を特定、抽出し、後処理(#6:面積判定処理、ラベリング処理、面積・重心計算処理)を実行し、コンピュータ9側への出力(#7)を実行する。
この目的から、図1に示すように、画像処理部8内には、塗装色による補正手段8a、3値化手段8b、排除手段8c及び後処理手段8dが備えられている。
イ 3値化処理(3値化手段8bによる処理)
図3(イ)に示す撮像画像は画像処理装置8により3値化処理されて、明部分(発光ダイオード6)に対応する高輝度K1の領域C1、暗部分(外枠部5)に対応する低輝度K2の領域C2、及び、高輝度K1と低輝度K2との間の中間輝度の領域C6に分けられる。
引き続いて、明部分(発光ダイオード6)に対応する高輝度K1の領域C1、及び暗部分(外枠部5)に対応する低輝度K2の領域が除かれる。これにより、図3(ロ)に示すように、中間輝度の領域C6と、明部分(発光ダイオード6)に対応する高輝度K1の領域C1と暗部分(外枠部5)に対応する低輝度K2の領域C2との境界C7が残る。
さらに、上記手順で得られた処理済画像に対して、所謂、膨張・収縮処理を施す。塗装面の検査において抽出したい領域である、前述の境界C7は中間階調の領域C6に比べて微小なので、前述の後に膨張及び収縮処理を数回行うと、図3(ハ)に示すように前述の境界C7が消えて、中間階調の領域C6が残る。
この処理は、実質的には塗装が正常な撮像画像部位を除去していることとなる。
この中間階調の領域C6をボディ1の塗装面の凸部や凹部等であると識別でき、注目領域とすることができる。
これにより、残された中間輝度の領域C6に関して、面積判定処理、ラベリング処理、面積及び重心計算処理を行う。
ここで、面積判定とは、領域の面積に対応して、欠陥であるらしい確かさを所定の閾値に基づいて判断するものであり、ラベリングは、欠陥であるらしいとされた領域に関して、順に番号付け等を実行するものである。
さらに、面積・重心計算処理は、各々の領域について、その面積・重心位置を求めるものであり、これら後処理により得られたデータが、前述のコンピュータ9側へ出力される。
塗装面が曲面である場合も、画像処理手順は、平面に対する処理と変わるところはない。平面の塗装面に対して、図8に示すように上下方向の軸芯を中心線とした曲面の塗装面では、撮像装置4が受けた撮像画像は、図9(イ)に示すようなものとなる。ここで、C1部位が左上方向から右下方向に、順次移動しているのは、塗装面がボディ1のデザインに合わせた所定の形状を有しているためである(ただし、図8及び図10では、詳細な形状表示は省略している)。
画像処理に際しては、前述と同様に、3値化処理により、撮像画像が、明部分(発光ダイオード6)に対応する高輝度K1の領域C1、暗部分(外枠部5)に対応する低輝度K2の領域C2、高輝度K1と低輝度K2との間の中間輝度の領域C6とに識別される。
この後、膨張及び収縮処理が数回行われて、明部分に対応する高輝度K1の領域C1と暗部分に対応する低輝度K2の領域C2との境界C7が除去されて、図9(ハ)に示すように、中間輝度の領域C6が残される。結果、中間輝度の領域C6をボディ1の塗装面の凸部や凹部等と判断することができる。
残された中間輝度の領域C6を注目領域として、面積判定処理、ラベリング処理、面積及び重心計算処理が行われ、コンピュータ9側に出力される。
従って、撮像データが画像処理装置8により処理されて、明部分に対応する高輝度K1の領域C1、暗部分に対応する低輝度K2の領域C2、高輝度K1と低輝度K2との間の中間輝度の領域C6が分離される。
引き続いて、膨張及び収縮処理が数回行われて、明部分に対応する高輝度K1の領域C1と暗部分に対応する低輝度K2の領域C2との境界領域C7が消えて、中間輝度の部分C6が残るのであり、図11(ハ)に示すように、中間輝度の部分C6をボディ1の塗装面の凸部や凹部等と判断することができる。
これにより、残された中間輝度の領域C6に対して、面積判定処理、ラベリング処理、面積及び重心計算処理が行われ、コンピュータ9側に出力される。
先に記載したように、撮像画像に現れる明暗パターンは、ボディ1の塗装色(例えば白色系や黒色系)により、明部分に対応する高輝度K1の領域C1や、中間輝度の領域C6の大きさが影響を受ける。
域C2の輝度が比較的低くなり、明部分(発光ダイオード6)に対応する高輝度K1の領域C1と、暗部分(外枠部5)に対応する低輝度K2の領域C2との輝度差が、比較的大きなものとなる(濃淡差が大きい状態)。また、明部分(発光ダイオード6)に対応する高輝度K1の領域C1や、中間輝度の領域C6が比較的大きなものになる。
上記の第1の画像処理形態にあっては、塗装色による領域の実質的な拡大・収縮補正を実行した後、補正後の画像に対して、3値化処理、排除処理(高輝度領域、低輝度領域、及び、境界領域の排除)を行って、最終的に、中間輝度領域で、正常な塗装面における撮像画像では現れない画像領域を、注目領域として判別、割り出す形態に関して説明したが、この形態の画像処理では、各処理において、撮像画像の全領域を全て処理することとなる。
問題となる領域が抽出された後は、3値化処理、排除処理(高輝度領域、低輝度領域、及び、境界領域の排除)を行って、最終的に、中間輝度領域で、正常な塗装面における撮像画像では現れない画像領域を、注目領域として判別、割り出す。画像処理の初期段階で、塗装色による領域の実質的な拡大・収縮補正を実行する(#2)点に関しては、この形態においても変わるところがない。
上記目的から、図1に対応して、図13に示すように、この処理を実行する検査装置1
00にあっては、画像処理部8内には、判別手段8eが別途設けられる。
イ 単位判別領域の区分け(#3)
上述のように、本願にあっては照射装置3の照射面3aにおける明部分及び暗部分の形状及び分布の構成上、発光ダイオード6の先端部分から構成される明部分の周りに、暗部分が2次元方向で均等分散配置されたものとなる。
この単位判別領域Aの例は、図14に一点鎖線で囲んだ領域である。
上記のようにして定まる各々の単位判別領域Aに対して、所謂、パターン認識手法により、この単位判別領域A内に、欠陥に起因する画像領域が含有されている可能性が高いかどうかに基づいて判断する。
判断に際しては、車種、塗装色、検査条件を同じくするボディ1に対して、正常に塗装が実行された状態の単位判別領域A内の撮像画像に関する明暗パターン情報が使用される。
この正常な塗装面の明暗パターン情報は、図15(イ)に二点鎖線で示すように、撮像画像から、その横方向複数箇所(各横断線を丸付き数字で示す)に渡って、その方向における明暗パターン情報を取り込み、記憶されている情報である。即ち、明暗パターン情報は、図15(ロ)に丸付き数字で対応して示す形態のものである。ここで、理解を容易にするため、横断箇所数は7としているが、実際は、一致度の度数分布を収集できるだけの数とされる。
そして、横方向の複数箇所の全部(例えば、横断箇所1〜7全て)を対象として、図16に示すように、その一致度の度数分布が、一致するものの度数分布(OK側)、及び一致しないものの度数分布(NG側)として求められる。
(1) 前述の実施の形態の図2に示す照射装置3において、発光ダイオード6の前側にブラックボード(図示せず)を配置し、発光ダイオード6の位置に対応するブラックボードの部分に、円状の開口を設けるように構成してもよい。
このように構成すると、照射装置4において発光ダイオード6とブラックボードとの境界
が明確になるので、図3(イ),5(イ),6(イ),9(イ),11(イ)に示す明部分(発光ダイオード6)に対応する高輝度K1の部分C1と、暗部分(外枠部5)に対応する低輝度K2の部分C2との境界がさらに明確になる。
照射装置3における発光ダイオード6の配置としては、前述の実施の形態の図2に示すような配置ばかりではなく、一つの中心から放射状(ガウス関数状)に配置したり、千鳥状に配置したりしてもよい。
(2) 上記の実施の形態にあっては、各単位判別領域Aに関して、その正常・異常を判別するのに、パターン認識手法を採用したが、例えば、明領域内に、所定数の代表位置を定めておいて、これら各部位での明暗強度の一致度をみてもよい。さらには、面積比較等の手法を採用してもよい。
また、上記のように明暗パターンの一致度をみるのに、横断方向のみならず、任意の方向で判断してもよい。
(3) 上記の実施の形態にあっては、各単位判別領域A内に単数の明部分が含まれる例を示したが、画像処理装置の処理速度によっては、例えば、2×2の明部分を含むもの、さらに多くに明部分を含むものとしてもよい。
ただし、現状では、12×12程度に選択することで、塗装面の検査の実情に則した処理速度での画像処理を実現できる。
(4) 撮像装置の撮像面における明領域の形状に関しては、丸及び多角形の場合を例示して説明したが、任意の閉領域形状でよく、さらに、塗装面の形状に対応して、撮像側で丸、多角形になる形状を選択してもよい。
4 撮像手段
6 発光ダイオード
Claims (3)
- 所定の明暗分布を成す検査光を塗装面に向けて照射する照射手段と、前記検査光を受けた塗装面を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像される撮像画像を画像処理する画像処理手段とを備えた塗装面の検査装置であって、
前記照射手段に於ける照射面での前記明暗分布が、第1方向と前記第1方向と交差する第2方向とからなる2次元方向に均等分散配置された複数の独立した明部分と、前記複数の明部分以外の暗部分とから構成され、
正常な塗装面を撮像した状態における撮像画像を正常撮像画像とする場合に、前記正常撮像画像における前記明部分に対応する撮像領域を正常明撮像領域と、前記暗部分に対応する撮像領域を正常暗撮像領域として、前記正常明撮像領域と正常暗撮像領域との中間階調領域を、注目領域として抽出するに、
前記撮像画像において、前記独立した明部分に対応する撮像領域である明撮像領域と、当該明撮像領域の周りの暗撮像領域とを合わせて単位判別領域として、
各前記単位判別領域に対応する前記塗装面の正常・異常を、前記正常撮像画像の前記単位判別領域の撮像明暗パターンと検査対象撮像画像の前記単位判別領域の撮像明暗パターンとを比較することにより判別する判別手段を備え、
前記判別手段による前記単位判別領域毎の正常・異常判断を実行した後、
異常と判断された前記単位判別領域について、前記中間階調領域を前記注目領域として抽出することを特徴とする塗装面の検査装置。 - 前記明部分を円状に設定してある請求項1に記載の塗装面の検査装置。
- 発光ダイオードにより前記照射面での前記明部分が設定されるように構成してある請求項1又は2に記載の塗装面の検査装置。
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